JPH09157046A5 - - Google Patents

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JPH09157046A5
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【書類名】明細書
【発明の名称】 湿式吹付け耐火物用組成物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性骨材と、耐火性粉末と、少量の分散剤とを含み、水を加えて混練した坏土に急結剤を注入して吹付ける組成物であって、該組成物中に含まれる粒径10μm以下の微粉の量が8〜23重量%であり、該組成物100重量部に対して8重量部の水を加えて混練した直後の坏土を、水平な板面に置いた上部内径50mm、底部内径100mm、高さ150mmのコーン型に流し込んで充たし、該コーン型を上方に抜き取って振動を与えないで60秒間静置したときの坏土の広がり直径が180mm以上であることを特徴とする湿式吹付け耐火物用組成物。
【請求項2】
耐火性粉末として、組成物中にアルミナセメントを0.5〜6重量%含み、該アルミナセメントのCaO/Al23 モル比が1.3以下である請求項1記載の湿式吹付け耐火物用組成物。
【請求項3】
耐火性粉末として、バイヤーアルミナ、ヒュームドシリカ及び前記アルミナセメントを含み、これらが組成物中に合量で13重量%以下含まれている請求項2記載の湿式吹付け耐火物用組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵩比重が大きく耐熱衝撃抵抗性に優れた湿式吹付け耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な不定形耐火物である流し込み耐火物では、その施工工事を省力化するため、坏土に自己流動性を与えてバイブレータを使用しない施工方法が採用されている。坏土に自己流動性を付与するには、水を混合する前の組成物中に含まれる微粉の量を25重量%以上と多くし、混合水の量を多くして適切な分散剤を添加すればよいことが分かっている。しかし、耐火物中に含まれる微粉の量が多いと乾燥時や熱上げ時の収縮が大きくなって亀裂が発生しやすく、耐熱衝撃性が小さくなる。
【0003】
また、坏土に混合された混合水の量が多いと、耐火物の気孔率が大きくなり、耐火物の耐食性が低下する。さらに、流し込み耐火物の施工では、予め施工箇所の周囲を囲む型枠を設けて施工後に型枠を取り除くという時間と手間のかかる工事が必要である。
【0004】
多くの手間のかかる型枠の使用を省略できる耐火物として、特公平2−27308や特開昭62−36071に提案されている吹付け耐火物がある。しかし、これら従来の吹付け耐火物では、空気流で搬送する坏土に予め湿り気が与えてあったとしても、工事時に周囲に撒き散らされる粉塵量が多く、吹付け坏土中に相当多くの空気が内包されており、吹付け施工された耐火物の気孔率が大きくなることによって耐食性が劣るという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、先に、周囲に撒き散らされる粉塵の量が少なく、気孔率が小さくて嵩比重が大きい耐火物を施工できる吹付け耐火物として、予め所要量の混合水を加えた自己流動性の坏土を、圧送ポンプと圧送配管で工事現場に送り、坏土中に圧縮空気と急結剤を注入しつつ施工現場に備えた吹付けノズルから施工箇所に湿式吹付け施工する吹付け耐火物を提案した(特許3098230号)。
【0006】
この吹付け耐火物では、気孔率が小さく嵩比重が大きい耐火物を吹付け施工できる。しかし、施工される耐火物が緻密な組織となったため、その後の乾燥時や熱上げ時に亀裂を生じやすく、耐熱衝撃性の小さい耐火物であることが分かった。本発明の目的は、耐熱衝撃性が良好で加熱収縮が小さい湿式吹付け耐火物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の湿式吹付け耐火物用組成物は、耐火性骨材と、耐火性粉末と、少量の分散剤とを含み、水を加えて混練した坏土に急結剤を注入して吹付ける組成物であって、該組成物中に含まれる粒径10μm以下の微粉の量が8〜23重量%であり、該組成物100重量部に対して8重量部の水を加えて混練した直後の坏土を、水平な板面に置いた上部内径50mm、底部内径100mm、高さ150mmのコーン型に流し込んで充たし、該コーン型を上方に抜き取って振動を与えないで60秒間静置したときの坏土の広がり直径が180mm以上であることを特徴とする。
【0008】
耐火性骨材は吹付け耐火物に耐熱性や耐食性を付与する耐火物の主要な成分である。耐火性骨材としては、高い充填密度が得られる粒度分布を有するものがよく、予め粗粒、中粒及び細粒に分級した耐火性骨材を、高い充填密度が得られるように再調合したものを使用するのが好ましい。耐火性骨材の充填密度を高くできれば、耐火物の坏土に自己流動性を付与するのに必要な混合水の量を少なくでき、嵩比重の大きい耐火物としての特性に優れた吹付け耐火物を提供できる。
【0009】
耐火性骨材としては、アルミナ、チタニア、ボーキサイト、ダイアスポア、ムライト、礬土頁岩、蝋石、カイヤナイト、シャモット、パイロフィライト、シリマナイト、アンダリューサイト、ケイ石、クロム鉱石、スピネル、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、クロミア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化ジルコニウム、ホウチタン等が好ましく使用できる。
【0010】
耐火性粉末は、耐火性骨材の粒子間の隙間を埋めて耐火性骨材の粒子間を結合し、耐火物に結合強度を付与する成分であり、通常粒径10μm以下の微粉の大部分は耐火性粉末として配合される。しかし、微粒を篩い落としていない細粒の耐火性骨材中に粒径10μm以下の微粉が含まれていてもよく、配合された組成物中の粒径10μm以下の微粉の量を8〜23重量%とすればよい。
【0011】
本発明の湿式吹付け耐火物では、施工後の吹付け耐火物の乾燥時と熱上げ時に耐火物中に亀裂が発生しやすく、耐火物の耐熱衝撃性が小さいという問題を微粉の配合量を少ない量に限定すること、すなわち、組成物中の粒径10μm以下の微粉の含有量を23重量%以下として解決している。ただし、組成物中の粒径10μm以下の微粉の量は耐火物の坏土に自己流動性を付与し、かつ耐火物に実用性のある結合強度を付与するため8重量%以上必要である。
【0012】
良好な坏土の流動性と施工体の良好な耐熱衝撃性が得られるように、組成物中の10μ以下の微粉の含有量は好ましくは10〜21重量%とする。流し込み耐火物の場合は、微粉の含有量が少ないと施工時に坏土中の微粉が表層に集まって分離層を形成する傾向があるが、吹付け耐火物では圧送配管中において坏土が撹拌され、吹付け後速やかに硬化するため分離層は生じない。
【0013】
耐火性粉末は、アルミナセメントを含むものが好ましい。このアルミナセメントは、その成分中のCaO/Al23 モル比が大きいと混練後に坏土の流動性が短時間に低下し、耐火物の耐火度も低下するので、CaO/Al23 モル比が1.3以下であるアルミナセメント(以下、特記ないかぎり、CaO/Al23 モル比が1.3以下であるアルミナセメントを単にアルミナセメントという)が好ましい。
【0014】
耐火性粉末がアルミナセメントを含むものであれば、吹付け施工された耐火物は、硬化後常温から耐火物が使用される高温の間で実用性のある強度を有する。実用的で良好な施工体強度を付与できるように、アルミナセメントは組成物中に0.5〜10重量%、特には2〜6重量%配合するのが好ましい。また、混練後の坏土の流動性を高められるので、アルミナセメントは平均粒径が10μm以下のものを使用するのが好ましい。アルミナセメントを多く配合すると組成物の原料費が高くなるのでアルミナセメントの配合量は10重量%以下とするのが好ましい。
【0015】
アルミナセメント中のCaO/Al23 モル比は1.0以下がより好ましい。CaO/Al23 モル比が1.0より大きいアルミナセメントを使用する場合には、硬化を遅らせて可使用時間を確保するように、組成物にシュウ酸などの硬化遅延剤を添加しておくとよい。
【0016】
耐火性粉末には、上述のアルミナセメントの他にヒュームドシリカ、バイヤーアルミナなどのアルミナ、チタニア、ムライト、礬土頁岩、ボーキサイト、カイヤナイト、シャモット、スピネル、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、クロミア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ石、炭化ケイ素、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタン等の粉末を使用できる。
【0017】
耐火性粉末として組成物にヒュームドシリカを配合すると、坏土の流動性が向上する。このため、ヒュームドシリカを組成物中に3重量%以上配合するのが好ましい。しかし、あまり多くヒュームドシリカを配合すると耐火物の耐火度が低下して耐食性が損なわれ、耐火物の耐熱衝撃性が小さくなるのでヒュームドシリカの配合は8重量%以下とするのが好ましい。
【0018】
また、耐火性粉末の一部としてバイヤーアルミナを配合すると、良好な自己流動性を有する坏土が安定して得られる。このため、バイヤーアルミナは組成物中に2〜5重量%配合しておくのが好ましい。
【0019】
また、組成物中のバイヤーアルミナ、アルミナセメント及びヒュームドシリカを合わせた配合量を13重量%以下にすると、耐熱衝撃性に優れた製品が安定して得られるので好ましい。また、組成物中のこれらを合わせた配合量が少ないと坏土の流動性が小さくなるので、好ましくは合量で8重量%以上配合する。
【0020】
分散剤には、従来流し込み耐火物に使用されているポリメタクリル酸塩類、ポリカルボン酸塩類、ポリアクリル酸塩類、β−ナフタレンスルホン酸塩類、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム等が使用できる。これらの分散剤のうち、少量添加すれば良好な流動性を有する坏土が得られることから、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びテトラポリリン酸ナトリウムから選ばれる1種以上を使用するのが好ましい。
【0021】
分散剤は、組成物に予め混合しておけるように粉末状のものを使用するのが好ましく、組成物中にあまり多く分散剤を配合しても分散効果はそれ以上向上しないため、分散剤の配合量は組成物100重量部に対して0.02〜1.0重量部とするのが好ましい。
【0022】
本発明の吹付け耐火物用組成物100重量部に対して8重量部の水を加えて混合した坏土は、振動を与えなくても自然に流動してその表面が水平になり、坏土中にある気泡を坏土の上表面に浮上させて放出する自己流動性を有する。
【0023】
坏土の流動性の程度は、本発明では次の方法で評価する。すなわち、組成物100重量部に対して、8重量部の水を加えて混練した直後の坏土を、水平な板面上に置いた上部内径50mm、底部内径100mm、高さ150mmのコーン型(円錐台形状の上下を打ち抜いた型)に流し込んで充たし、このコーン型を上方に抜き取って振動を加えないで60秒間静置し、板面上に自己流動させたときの坏土の広がり直径を、互いに直交する2方向についてノギスで測定し、その平均値を求めて坏土の流動性の指標(以下、フロー値という)とする。ポンプ圧送をトラブルなく行える自己流動性の坏土のフロー値は180mm以上である。
【0024】
坏土のフロー値は、坏土に混合されている水の量が多いとより大きくなる。坏土の流動性が大きい方が圧送性と施工性がよく、より好ましい坏土のフロー値は200mm以上である。フロー値の測定は、約20℃の室内において、約20℃の混合水を使用して行い、混練後3分以内に終わらせる。室温や水温が高いときにはアルミナセメントの水和が速く進んで坏土のフロー値が短時間に低下し、測定値にばらつきが生じる。
【0025】
本発明の湿式吹付け耐火物用組成物を使用する耐火物施工体は、組成物中に含まれる粒径10μm以下の微粉の量が23重量%以下と少ないことで、耐熱衝撃性が良好である。また、坏土中の混合水の含有量を比較的少なくでき、かつ自己流動性を有する坏土の状態で吹付け施工するため、施工された耐火物の気孔率が小さく、嵩比重の大きい耐火物が施工できるので施工体は耐食性などの耐火物特性に優れる。
【0026】
本発明の湿式吹付け耐火物の施工方法は、耐火性骨材と、耐火性粉末と、少量の分散剤とを含み、かつ粒径10μm以下の微粉の含有量が8〜23重量%である組成物を調合し、該組成物に水を加えて混練した自己流動性を有する坏土を、圧送ポンプと圧送配管で施工現場に置いた吹付けノズルに送り、圧送配管の下流部に設けた圧縮空気注入口と急結剤注入口から圧縮空気と組成物100重量部に対して0.05〜3重量部の急結剤を注入して吹付けノズルから施工箇所に吹付けることを特徴とする。
【0027】
本発明において、耐火物の坏土を吹付け施工するには、圧送ポンプと圧送配管を用いて混練した坏土を施工現場に備えた吹付けノズルに圧送し、吹付けノズルの上流で圧縮空気と急結剤を注入して吹付け施工する。圧送ポンプと圧送配管で圧送される坏土が自己流動性を有しているので、坏土中の気泡は圧送ポンプに供給されるまでの間に坏土の表面に浮上し放出されている。また、坏土が施工箇所に吹付け施工される際に坏土中に巻き込まれる空気もごく少ないため、耐火物の施工体は気孔率が小さく嵩比重の大きいものになる。
【0028】
本発明の湿式吹付け耐火物の施工方法では、簡単な構成の仕切り枠を使用することはあっても、施工箇所の上面を除く周囲を囲む型枠を使用しないので、型枠の取り付け取り外しの手間が少なくてすみ、急結剤の働きで施工体が速やかに硬化し、その後に施工体を速く乾燥させても亀裂が発生しないため施工期間を顕著に短縮できる。
【0029】
自己流動性を有する坏土中の混合水の量は、耐火性骨材の比重や気孔率によって相当変化する。たとえば、比重が大きく、気孔率の小さい電融アルミナの耐火性骨材を使用する場合、組成物100重量部に対して4.5重量部の水を混合すれば良好な自己流動性を示す。混合水の量を少なくすると嵩比重の大きい耐火物を施工できるので、坏土中の混合水は組成物100重量部に対して10重量部以下、さらには8重量部以下の量とするのが好ましい。
【0030】
坏土が施工箇所に吹付け施工されたとき、坏土が垂直な施工面等で流れ落ちないように、吹付けノズルの近くの配管に設けた急結剤注入口から急結剤を坏土中に注入する。急結剤は水溶液であってもよいが、取扱が容易で坏土中の水分を増やすことがない粉末状の急結剤を使用するのが好ましい。
【0031】
急結剤としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等のアルカリ金属アルミン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の炭酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、12CaO・7Al23 、3CaO・Al23 、11CaO・7Al23・CaF2等のカルシウムアルミネート類、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等が使用できる。
【0032】
急結剤としては、急結特性が安定してい使いやすいことから、アルカリ金属のアルミン酸塩の粉末及び/又はCaO/Al23 モル比が1.5以上のカルシウムアルミネート類を含む急結剤を使用するのが好ましい。カルシウムアルミネート類はCaO/Al23 モル比が1.5以上である場合に有効な急結性が得られる。カルシウムアルミネート類のCaO/Al23 モル比は、好ましくは2以上である。坏土に注入する急結剤の量は、急結剤の種類によって変えることになるが、組成物100重量部に対して固形分で0.05〜3重量部とするのが好ましい。
【0033】
急結剤の注入量が0.05重量部より少ないと急結効果の大きい酸化カルシウムの類のような急結剤でも硬化速度が不足して坏土が施工箇所から流れ落ちることになる。また、急結剤を3重量部を超えて多く注入すると、硬化が速くなりすぎて吹付け施工が困難になったり、耐火物の耐熱性が低下したり、施工体の気孔率が増加して耐食性が損なわれたりする傾向がある。急結剤の注入量は、好ましくは組成物100重量部に対して0.1〜2重量部である。
【0034】
圧縮空気注入口と急結剤注入口は、吹付けノズルに近い吹付けノズルの上流の配管に設けておけば、作業者が耐火物の吹付け状況を監視しながら圧縮空気注入量、急結剤注入量を調節できる。急結剤注入口は、圧縮空気注入口より下流又は圧縮空気注入口と同位置に設けるのが好ましい。この構成によって、急結剤を坏土中に効果的に分散させうる。
【0035】
圧送ポンプは、市販品の入手が容易なことから、ピストン式ポンプ又はスクィーズ式ポンプを使用するのが好ましい。スクィーズ式ポンプとは、ダイヤフラムを圧縮空気で駆動するダイヤフラム式ポンプ、弾性を有するチューブをローラでしごいて坏土を送るチューブ式ポンプをいう。圧送ポンプには、圧送する坏土の脈動を少なくするため、複数のダイヤフラムを備えるスクィーズ式ポンプ、複数のチューブを備えるスクィーズ式ポンプ、又は複数のピストンを備えるピストン式ポンプを使用するのが好ましい。
【0036】
【実施例】
以下本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定されない。
【0037】
耐火物の主要成分である耐火性骨材には、Al23 43重量%とSiO2 53重量%を含むシャモット質骨材の粗粒(粒径1.68〜5mm)及び中粒(粒径0.1〜1.68mm)、Al23 59重量%とSiO2 37重量%を含むムライト質骨材の粗粒(粒径1.68〜5mm)及び中粒(粒径0.1〜1.68mm)、Al23 89重量%とSiO2 7重量%を含むボーキサイト質骨材の粗粒(粒径1.68〜5mm)、中粒(粒径0.1〜1.68mm)、細粒A(粒径0.043mm以下、粒径10μm以下の微粉を30重量%含む)及び細粒B(粒径0.043mm以下、粒径10μm以下の微粉を15重量%含む)を使用した。
【0038】
耐火性粉末には、Al23 74重量%とCaO24重量%を含むアルミナセメント(CaO/Al23 モル比0.59、平均粒径5.6μm、粒径10μm以下の粒子を60重量%含む)、Al23 99.6重量%を含むバイヤーアルミナ(平均粒径4.3μm、粒径10μm以下の微粉を95重量%含む)及びSiO2 93重量%を含むヒュームドシリカ(平均粒径0.8μm、粒径10μm以下の微粉を95重量%含む)を使用した。また、分散剤にはP25 58重量%とNa2
O 42重量%を含むトリポリリン酸ナトリウムを使用した。
【0039】
気温約20℃の室内で、これらの原料を用いて表1と表2に示した調合(単位の記載がない量はいずれも重量%である)の組成物を調合した。次に、これらの組成物を500kg容量のミキサー中に順次投入し、同じく表1と表2に示した量の水(約20℃)を加えて混合し坏土とした。得られた各坏土について、前述の方法によって流動性を評価し、結果を表1と表2に示した。なお、組成物中の粒径10μm以下の微粉の量は、各調合原料中に含まれる粒径10μm以下の微粉の量から計算で求めて表1と表2に示した。
【0040】
急結剤には、アルミン酸ナトリウム(約20重量%の結晶水を含む)と炭酸ナトリウムを3:1の割合で混合した平均粒径約150μmの混合粉末(急結剤A)と平均粒径約7μm、CaO/Al23 モル比が1.7のカルシウムアルミネートの粉末(急結剤B)を使用した。耐火物の吹付け試験には、その概要を図1に示す設備を使用した。
【0041】
図1において、1は圧送ポンプ、2は圧送ポンプの坏土ホッパー、3は圧送配管A(65A、長さ30m)、4はテーパ配管(長さ1mで65Aから50Aに縮小)、5は圧送配管B(長さ1m+1m、50Aのゴム管)、6は吹付けノズル、7は急結剤注入装置、8は圧縮空気注入口、9は圧縮空気の流量調節弁、10は圧縮空気配管、11は急結剤注入口、12は急結剤注入管、13は施工壁面、14は施工体である。試験に使用した圧送ポンプ1は2つのピストンを備えるPutzmister社製コンクリートポンプ(BS702)である。また、粉末急結剤を定量的に坏土に注入する急結剤注入装置7は、テーブルフィーダを備える日本プライブリコ社製Qガンを使用した。
【0042】
ミキサーで予め所要の水を加えて混合した坏土を、圧送ポンプのホッパーに投入し、面積が約50cm×50cmの概ね垂直な壁面に約100mmの厚さになるまで吹付け施工した。この施工体を約20℃の室内に24時間放置後、施工体から30cm×30cmの試料を採取し、JIS−R2205に規定された方法に準じて気孔率と嵩比重を測定し、その結果を表1と表2に併せて示した。
【0043】
また、耐熱衝撃性の評価は、上記各施工体から65mm×114mm×23mmの試験片を採取し、110℃で24時間乾燥後1000℃で3時間加熱したものについて、各試験片の片側を電気炉中に差し込んで1400℃に加熱し、次いで水中に急冷するDIN−E51067の方法に準拠して行った。耐熱衝撃性の程度は、試験片の最初の重量の5%が欠落したときの水中急冷した回数で表され、その結果を表1と表2に併せて示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
吹付け施工を試みた結果、例3では坏土が壁面から流れ落ちて満足な施工体が得られず、例4では坏土の硬化が早過ぎて坏土が満足に壁面に付着せず吹付けができなかった。また、例7は粒径10μm以下の微粉が少ないことによって組成物100重量部に対して9重量部の水を混合しても、自己流動性が得られず、吹付け施工ができなかった。
【0047】
耐熱衝撃試験の結果、例1、2、5、8、9、10及び11の試験片ではいずれも30回超の耐熱衝撃性を示したのに対し、10μm以下の微粉を多く含み、バイヤーアルミナ、ヒュームドシリカ及びアルミナセメントを合わせた配合量が多い例6の組成からなる施工体の試験片では4回と小さかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の湿式吹付け耐火物用組成物では、組成物100重量部に対して8重量部の水を混合すればポンプ圧送できる自己流動性を有する坏土が得られ、混合する水の量が比較的少ないため嵩比重が大きく耐食性の良好な耐火物施工体が得られる。また、組成物中に含まれる粒径10μm以下の微粉の量が23重量%以下と少ないので、緻密な耐火物施工体となっても耐熱衝撃性が優れており、施工後の乾燥と熱上げを速く行っても亀裂が発生しない。
【0049】
また、本発明の湿式吹付け耐火物を使用した施工方法では、予め所要の比較的少量の水を混合した自己流動性を有する坏土を吹付け施工するので、工事時に周囲に撒き散らされる粉塵が少なく、吹付け施工時に坏土中に巻き込まれる空気泡がごく少ないので、見掛け気孔率が小さく嵩比重の大きい耐火物の施工体が得られる。
【0050】
さらに、仕切り枠を使用することがあっても、施工箇所の周囲を囲む型枠を使用する必要がないので、流し込みによる不定形耐火物の施工方法と比べて手間のかかる型枠の取り付け取り外し作業を省力化でき、硬化が速いこともあって施工期間を顕著に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式吹付け耐火物を使用する施工方法で使用する施工設備の一例を示す概要図
【符号の説明】
1:圧送ポンプ
2:坏土ホッパー
3:圧送配管
4:テーパ配管
5:吹付け配管
6:吹付けノズル
7:急結剤注入装置
8:圧縮空気注入口
9:流量調節弁
10:圧縮空気配管
11:急結剤注入口
12:急結剤注入管
13:施工壁面
14:施工体
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