JPH09159643A - バイオセンサ - Google Patents

バイオセンサ

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JPH09159643A
JPH09159643A JP7315230A JP31523095A JPH09159643A JP H09159643 A JPH09159643 A JP H09159643A JP 7315230 A JP7315230 A JP 7315230A JP 31523095 A JP31523095 A JP 31523095A JP H09159643 A JPH09159643 A JP H09159643A
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義人 碇山
Shigeru Toyama
滋 外山
Shigeru Yamauchi
繁 山内
Tomonori Nakada
友紀 中田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスコルビン酸および酸素のどちらの影響も
受けないような電位で体液中のグルコース濃度を測定で
きるバイオセンサおよびそのようなセンサを使用する測
定方法を提供することである。 【解決手段】 カーボン電極材料、酸化酵素およびニッ
ケロセンを含んで成るバイオセンサを作用電極として使
用して、参照電極に対して−0.3〜0.1ボルトの電
位にて体液中のグルコースの濃度を電気化学的方法によ
り測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定条件下にて、
液体、特に血液、尿等の体液に含まれる特定基質、例え
ばグルコースの濃度に対応した電気的な応答を示すバイ
オセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】白金や炭素電極表面に酵素や抗体、微生
物等の生物由来あるいは生物自体より成る生体機能物質
を固定化したバイオセンサが種々の化学物質および生体
物質の量や濃度を迅速且つ連続的に測定できることは既
に知られている。
【0003】このバイオセンサは、その特徴を活かして
様々な分野において利用されているが、特に盛んに利用
されているのは臨床検査の分野においてである。このよ
うなバイオセンサを、臨床検査の分野において最もポピ
ュラーなバイオセンサであるグルコース測定用バイオセ
ンサの例により、以下詳細に説明する。
【0004】従来のグルコース濃度測定用バイオセンサ
は、一般的に、平板状の白金,銀等の電極表面に酵素固
定化膜を装着した構造を有している。そして、その製作
法としては、別途調製した固定化酵素膜を白金または銀
のような電極表面に貼り付けるという方法がしばしば用
いられている。この固定化酵素膜には通常グルコースオ
キシダーゼが固定化されており、このグルコースオキシ
ダーゼが血液、尿等の体液中のグルコースに特異的に働
いて、 グルコース+酸素+水→グルコン酸+過酸化水素 の反応を引き起こす。この反応により発生した過酸化水
素の量を電気化学的方法により測定することによって体
液中のグルコースの量や濃度を測定している。
【0005】電気化学的方法による過酸化水素の測定
は、作用電極と参照電極との間に一定電位(例えば+6
00mV程度)を印加し、作用電極表面上で過酸化水素
を酸化する時に流れる電流値を測定することによってい
る。即ち、一定電位を印加することにより次の反応を起
こさせて、これらの反応時の電流値を測定しているわけ
である: (陽極) H2O2→2H++O2+2e- (陰極) 1/2O2+2H++2e-→H2O
【0006】上述の反応を行うことに加えて、固定化酵
素膜のもう一つの役割は、血液、尿等の体液中に存在す
る、電気化学的方法を妨害する物質、例えばアスコルビ
ン酸が電極表面近くに存在しないようにすることであ
る。ここで、電気化学的方法を妨害する物質とは、電極
表面近くに存在すると、電極に過酸化水素を酸化するた
めに一定電位を印加した時に、過酸化水素と同時に、電
極表面上で酸化あるいは還元されて電極に電子を与える
か、あるいは電極から電子を奪うことにより、過酸化水
素の酸化に起因する電流値に影響を与える物質のことで
ある。
【0007】従来の固定化酵素膜では、代表的な電気化
学的方法妨害物質であるアスコルビン酸のような大きな
分子量の物質は通さないが、過酸化水素のような低分子
量の物質であれば通過できるような小さな孔を固定化酵
素膜に形成することによって、電極表面に電気化学的方
法妨害物質が接近するのを防いでいる。
【0008】このように従来のバイオセンサが電気化学
的方法妨害物質、特にアスコルビン酸の影響を考慮した
構成を採っている理由は、過酸化水素を電極表面上で酸
化するために与える電位がアスコルビン酸が電極表面上
で酸化される電位よりも高いことによる。このことは、
アスコルビン酸が過酸化水素と共存した場合に、測定値
に正誤差をあたえることを意味している。もし、アスコ
ルビン酸が酸化される電位(およそ+200mV以上)
よりも低い電位を電極に印加するだけでグルコース濃度
の測定が可能であれば、測定試料中のアスコルビン酸の
影響は考慮しなくともよいことになる。
【0009】しかしながら、測定の際に電極に与える電
位は、可能な限り低ければ良いというわけではない。そ
れは、測定試料中の酸素が電極表面上で還元され得る電
位がおよそ−400mV付近以下であるからである。即
ち、電極に与える電位を−400mV以下にすると、測
定試料中の酸素が電気化学的方法妨害物質となってしま
うのである。
【0010】ここでは、試料中のグルコース濃度の測定
に関して説明したが、測定試料中の他の物質、例えば乳
酸、コレステロール、尿素、アルコール等を測定する場
合にも同様の問題点がある。
【0011】従って、可能であるのならば、電気化学的
方法妨害物質となり得る物質のなかでも代表的な、アス
コルビン酸および酸素の双方が測定試料中に存在してい
ても、これらの影響を受けないような電位で測定するの
が望ましいが、従来技術のバイオセンサではこれは実質
的に不可能であった。
【0012】尚、従来技術のグルコース等の測定用バイ
オセンサの他の形態においては、前述の様に過酸化水素
の量を測定するのではなく、グルコースを酸化したグル
コースオキシダーゼの活性中心から測定電極へ電子を伝
達(メディエート)するメディエータ化合物を用いたも
のがある。メディエータ化合物としては、例えばフェリ
シアン化カリウム、オクタシアノタングステンイオン、
ニコチンアミド誘導体、フラビン誘導体、フェロセンお
よびフェロセン誘導体、キノンおよびキノン誘導体、ヘ
キサシアノ鉄(III)酸塩等が知られている。このよう
な方法は、例えば特開平第1−191051号、特開平
第6−90754号、特開昭第60−17345号およ
び公表平第5−505459号等に開示されている。し
かしながら、このようなメディエータ化合物を用いて
も、アスコルビン酸と酸素のどちらの影響も受けないよ
うな電位で測定することは実質的に不可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来技術
のバイオセンサに鑑み、発明が解決しようとする課題
は、アスコルビン酸および酸素のどちらの影響も受けな
いような電位で、測定試料の特定基質、特に体液中のグ
ルコースの量(従って、濃度)を測定することができる
バイオセンサおよびそのようなセンサを使用して特定基
質の量を測定する方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、酵素の活
性中心から測定電極へ電子を伝達するメディエータ化合
物として、ニッケロセンまたはニッケロセン誘導体を用
いることにより解決されることが見いだされた。
【0015】即ち、第1の要旨において、本発明は、カ
ーボン電極材料、酸化還元酵素およびニッケロセンまた
はニッケロセン誘導体を含んで成る、液体試料中の特定
基質の濃度の電気化学的測定方法に使用できるバイオセ
ンサとしての電極を提供する。
【0016】本発明において、液体試料とは、測定すべ
き対象である特定基質が溶解している液体であって、液
体自体は、溶液であっても、エマルジョンであってもよ
い。具体的には、血液、血清、血漿、尿、髄液などの体
液や果汁などの食品等を例示できる。
【0017】本発明において、メディエータ化合物
(M)とは、酸化酵素の場合を例にして説明すると、酸
化型酸化酵素(OD)oxと特定基質(S)との反応によ
って生成する生成物(P)および還元型酸化酵素(O
D)reが生成する場合(式(1))、その内の、還元型
酸化酵素(OD)reと反応して酸化型メディエータ
(M)oxとなり(式(2))、その酸化型メディエータ
(M)oxが作用電極にて電子を放出して(従って、酸化
されて)還元型メディエータ(M)reに戻る(式
(3))一連の反応に関与する化合物であって、実質的
に電子を伝達する働きをする化合物を意味する。これ
は、以下の反応式で表すことができる: (S)+(OD)ox→(P)+(OD)re (1) (OD)re+(M)ox→(OD)ox+(M)re (2) (M)re→(M)ox+ne- (電極にて、nは正の整数) (3) 換言すれば、メディエータ化合物とは、上述の酸化酵素
の場合について、酸化酵素が特定基質を酸化することに
より奪った電子を電極に伝達する機能を有する化合物で
ある。
【0018】例えば、グルコースオキシダーゼ(GO
D)を用いて特定基質としてのグルコースの量を測定す
る場合では、上記反応は以下のようになる: C6H12O6+(GOD)ox→C6H10O6+(GOD)re (1)’ (GOD)re+(M)ox→(GOD)ox+(M)re (2)’ (M)re→(M)ox+2H++2e- (電極にて) (3)’
【0019】還元酵素の場合は、上記反応(1)〜
(3)が下記反応(4)〜(6)となる。 (S)+(OD)re→(P)+(OD)ox (4) (OD)ox+(M)re→(OD)re+(M)ox (5) (M)ox+ne-→(M)re (電極にて、nは正の整数) (6) 換言すれば、メディエータ化合物とは、上述の還元酵素
の場合について、還元酵素が特定基質を還元するために
電極から電子を特定基質に伝達する機能を有する化合物
である。
【0020】本発明において、電気化学的測定方法と
は、上述のような反応において生じる電流量(または電
気量)を測定し、その電流量に基づいて基質の量、従っ
て濃度を求める方法を意味する。このような方法は、当
業者には古くから周知の方法であり、例えば特公昭第4
5−35360号公報を参照できる。
【0021】本発明の電極は、電気化学的測定方法にお
いて作用電極(測定電極)として使用することができ、
本発明の電極に加えて、バイオセンサを用いる電気化学
的測定方法において常套的に使用される、参照電極とし
ても作用する対極ならびに極電間に所定の電位差を形成
し、また、反応により生じる電流量を測定する、印加お
よび電流測定装置を組み合わせて、測定試料中の特定基
質の濃度測定方法に使用できる。場合により、参照電極
を対極から独立した電極としてもよい。本発明のバイオ
センサ以外の要素、例えば対極ならびに印加および電流
測定装置については、当業者には周知であり、これ以上
の説明は不要である。
【0022】本発明において、ニッケロセン誘導体と
は、ニッケロセン((C5H5)2Ni)の誘導体をも含
む意味で使用する。この誘導体としては、例えば、1,
1’−ジカルボキシレートニッケロセン、モノカルボキ
シレートニッケロセン、ジメチルアミノメチルニッケロ
セン、ヒドロキシメチルニッケロセンのようなものを例
示できる。ニッケロセンまたはその誘導体は、単独で、
または種々の混合物で使用できる。
【0023】ニッケロセンまたはニッケロセン誘導体を
電気化学的測定方法におけるメディエータ化合物として
使用する場合、約−300mV〜+100mVの範囲、
特に約−100mVの参照電極に対する作用電極の電位
にてメディエータとして最も効率的に機能する、即ち、
最も多くの電子を伝達できる(従って、応答電流値(即
ち、上記反応(3)または(3)’あるいは(6)によ
り伝達される電気量)が大きい)ことが判った。この電
位は、アスコルビン酸の(最低)酸化電位(約+200
mV)より低く、かつ、酸素の(最高)還元電位(約−
400mV)より高いため、このような範囲の電位にて
電気化学的方法を実施する場合、測定試料中に電気化学
的測定方法妨害物質が共存する場合であっても、これら
の物質は電気化学的には実質的に反応せず、従って、特
定基質の濃度を測定するための電気化学的測定方法はこ
れらの物質の悪影響を受けない。
【0024】本発明のバイオセンサに使用する酸化還元
酵素は、特定基質を酸化または還元できる酵素であれ
ば、特に限定されるものではなく、例えばグルコースオ
キシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ウリカー
ゼ、乳酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グル
コースデヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナー
ゼ、パイルベート(phyruvate)デヒドロゲナーゼ、マ
レイト(malate)デヒドロゲナーゼ、グルタメイト(gl
utamate)デヒドロゲナーゼを例示できる。
【0025】従って、本発明のバイオセンサを用いる電
気化学的測定方法により測定できる特定基質は、上記酸
化還元酵素により酸化または還元されるものであれば特
に限定されるものではない。例えば、グルコースオキシ
ダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼを使用する場
合には、特定基質はグルコースであり、他の組み合わせ
として、コレステロールとコレステロールオキシダー
ゼ、尿素とウリカーゼ、乳酸と乳酸オキシダーゼまたは
ラクトースデヒドロゲナーゼ、アルコールとアルコール
オキシダーゼ、ピルビン酸とパイルベートデヒドロゲナ
ーゼ、マレイン酸とマレイトデヒドロゲナーゼ、グルタ
ミン酸とグルタメイトデヒドロゲナーゼを例示できる。
【0026】本発明において、カーボン電極材料とは、
電極として使用できるカーボンまたはカーボンと他の材
料の組み合わせ、例えば組成物である。好ましい1つの
態様では、カーボン電極材料は、カーボン粒状物、例え
ば微粒状物である。粒状物のカーボンを使用する場合、
カーボン粒状物の導電性が高い上に、他の材料、例えば
粉末、粒状材料と混合して組み合わせ易いこと、成形が
容易であることのような利点がある。特に平均直径が約
10μmのものを使用するのが好ましい。また、より好
ましい態様では、カーボン粒状物は、ペースト状で使用
する。ペースト状とするために、使用するペースト化剤
は、特に限定されるものではないが、例えばパラフィ
ン、ヌジョール、ワックス、エポキシ樹脂、シリコーン
ゴムを使用できる。カーボン粒状物をペースト状とする
ことにより、電極としての成形が容易になることに加え
て、センサの使用時にカーボン粒状物、ニッケロセン、
酸化還元酵素および場合により存在する他の物質が測定
試料中に分散し易い傾向を抑制することが可能となる。
【0027】本発明のバイオセンサにおいて、カーボン
電極材料は、白金粒状物、特に微粒状物を含むのが好ま
しい。この白金粒状物は、カーボンのみを電極材料とし
て使用する場合よりも大きい応答電流を得ることができ
る、また、応答電流のピーク値が電位が低くなる方向に
シフトするという作用を有する。このような白金粒状物
は、その平均寸法が約0.3〜2.5μmであるのが好
ましく、また、カーボン粒状物より小さいのが特に好ま
しい。このような特定の白金粒状物を用いると上述の白
金粒状物の作用が一層顕著になる。
【0028】第2の要旨において、本発明は、液体であ
る測定試料中に存在する特定基質の量(従って、その濃
度)を電気化学的測定方法により測定するための装置で
あって、作用電極としての上述の本発明のバイオセン
サ、対極およびこれらの電極間に所定の電位差を印加し
て生じる電流量を測定する装置を有して成る測定装置を
提供する。
【0029】好ましい態様において、本発明の測定装置
は、対極から独立した参照電極を更に有して成り、作用
電極と参照電極との間に所定の電位差にて印加した場合
に生じる電流量として、作用電極と対極との間で流れる
電流量を測定する装置を提供する。このような測定装置
の構成を模式的に図1に示す。
【0030】図1において、本発明の測定装置10は、
作用電極としての本発明のバイオセンサ12、参照電極
14および対極16を有して成り、これらの電極は、リ
ード18によりポテンショスタット20およびレコーダ
22に接続されている。これらの電極は、所定の容器2
4中に入れられた、基質濃度を測定すべき試料26中に
浸けられ、試料はスターラにより撹拌してよい。容器2
4は、恒温槽28内に配置されている。別法では、参照
電極と対極とを一体としてもよい。
【0031】本発明の測定装置10において、作用電極
としてのバイオセンサ12以外は、当業者には周知の構
成であり、また、作用電極12については、上述の本発
明のバイオセンサの説明が当てはまる。
【0032】第3の要旨において、本発明は、上述の本
発明の測定装置を用いて、測定電極と参照電極との間に
−400〜+200mV、好ましくは−300〜+10
0mVの電位差を印加して、測定試料中の特定基質の濃
度を電気化学的方法により測定する方法を提供する。
【0033】本発明の測定方法において、バイオセンサ
12以外は、当業者には周知のものであり、また、測定
方法に使用する測定装置、特に作用電極12およびにつ
いては、上述の本発明のバイオセンサおよびそれを用い
る測定装置の説明が当てはまる。本発明の測定方法にお
いては特定基質の濃度が既知の種々の標準試料につい
て、上述の本発明の測定装置を用いて、応答電流の基質
濃度依存性を予め検量線として求めておき、その後、特
定基質濃度が未知の試料について同様の測定を実施して
応答電流値を得、この電流値から検量線に基づいて試料
中の特定基質濃度を求める。
【0034】
【実施例】実施例1 (バイオセンサおよび測定装置の作製) 以下の成分: (a)カーボンペースト(カーボン粒状物(グラファイ
ト)の平均粒径10μm、カーボン:ナカライテスク社
製、パラフィン:メルク社製) (b)グルコースオキシダーゼ (c)白金粒状物(平均粒径0.3〜2.5μm、田中
貴金属社製、商品名:AY−1010) (d)ニッケロセン(東京化成社製) を(a):(b):(c):(d)=7:1:1:1の
重量比で室温にて十分混練して作用電極用ペーストを得
た。
【0035】このペーストを成形して作用電極としての
本発明のバイオセンサを作製した。作製したバイオセン
サをガラス管に入れ、その端部にて電極が露出するよう
にした。また、電極の露出面の他方の端部は、リード線
を介してポテンショスタットに接続した。
【0036】また、参照電極として銀/塩化銀電極、対
極として白金電極を用い、これらも同様にポテンショス
タットに接続して、図1に示す本発明の電気化学的測定
方法に使用する測定装置10を得た。
【0037】実施例2(メディエータの応答電流の測
定) 実施例1にて作製した装置を使用して酸化ピークを微分
ポーラログラフィで測定することにより、メディエータ
の応答電流特性を評価した。
【0038】本実施例および後述の他の実施例の全てに
おいて、電気化学的測定方法は、実施例1にて作製した
測定装置10を用いて、三種の電極を用いた3電極系に
おいて行った。測定に際して、作用電極12の参照電極
14に対する電位を一定に保ちながら、作用電極14と
対極16との間に流れる電流量(応答電流量)を測定し
た。測定の対象となる液体試料は、スターラーで撹拌さ
れ、また、30℃の恒温槽に浸けて温度を一定に保つよ
うにした。
【0039】本実施例において、測定試料として100
mMリン酸緩衝液(pH6.8)を用いた。本実施例に
おいて使用した電極(電極A)は、ピークを明確にする
ためにグルコースオキシダーゼを含まないこと、また、
白金粒状物も含まないことを除いて、実施例1と同様の
組成にて作製した電極と同様の電極である。
【0040】比較のため、ニッケロセンに代えてフェロ
センを使用したこと以外は、上記のグルコースオキシダ
ーゼおよび白金粒状物を含まない電極(電極B)、なら
びにグルコースオキシダーゼ、白金粒状物およびメディ
エータ化合物を全く用いないで(従って、カーボンペー
ストのみで)作製した電極(電極C)を用いて同様の測
定を実施した。
【0041】図2に測定結果を示す。図2において、ニ
ッケロセンを用いた電極(電極A)の測定結果をCP+
Nicにより、フェロセンを用いた電極(電極B)の測
定結果をCP+Fcにより、また、メディエータ化合物
を使用しない電極の測定結果をCP(電極C)により示
している。
【0042】図2から、明らかなように、電極Bの酸化
ピークは約+300mV付近の参照電極に対する作用電
極の電位にあるのに対して、電極Aの場合は酸化ピーク
は−100mV付近にあり、しかも応答電流が大きいこ
とが判る。また、電極Cでは、シャープなピークは存在
せず、また、応答電流の絶対値も他の2つに比べて相当
小さいことが判る。これらの結果は、ニッケロセンをメ
ディエータ化合物として用いる場合、フェロセンと比較
してはるかに低い電位でメディエータとして機能し、ま
た、カーボンよりはるかに大きい応答電流を発生するこ
とを示している。
【0043】酸素の影響もアスコルビン酸の影響も受け
ない特定基質の測定には、従来技術の説明から明らかな
ように−400〜+200mVの電位範囲において大き
い絶対値の応答電流を生じることが望ましいので、ニッ
ケロセンがメディエータ化合物として非常に望ましく機
能し得ることを示している。
【0044】実施例3(白金粒状物の影響の測定) 実施例1にて作製したバイオセンサ(白金粒状物含有
量:電極を構成する組成物全体の重量基準で10%)お
よびそれを有する図1の測定装置を用いて、100mM
リン酸緩衝液(pH6.8)中にグルコースが5mM含
まれるように調製した水溶液について、実施例2と同様
に電位の変化に対する応答電流の変化(応答電流の電位
依存性)を測定した。また、比較のため、白金粒状物を
全く含まない以外は、実施例1と同じ電極についても同
様の測定を実施した。
【0045】これらの測定結果を図3に示す。図3か
ら、明らかなように、白金粒状物を含有する電極を使用
する場合、白金粒状物を含まない場合と比較して、全電
位範囲において大きな応答電流を生じ、また、応答電流
値のピークはより低い電位側にシフトすることが判る。
白金粒状物を含むことによって、応答電流の絶対値が大
きくなることは、測定感度が向上することを意味し、望
ましい傾向である。
【0046】実施例4(グルコース濃度の測定) 種々のグルコース濃度の水溶液(100mMリン酸緩衝
液(pH6.8)を含む)を調製し、実施例1にて説明
した作用電極としての本発明のバイオセンサにおいて白
金粒状物の含有率を種々に変更し(電極を構成する組成
物全体の重量基準で白金粒状物が0%、1%、5%、1
0%、他の成分は、実質的に実施例1と同じ割合)およ
び実施例1にて説明した測定装置を用いて、応答電流の
グルコース濃度依存性を測定した。尚、印加電位は−2
00mVとした。
【0047】測定結果を図4に示す。この結果から明ら
かなように、いずれの白金含有率の場合であっても、電
極からの応答電流は、グルコース濃度に対する明らかな
依存性を示し、また、白金含有率がある程度大きい場
合、大きいほど応答電流が大きくなることが判る。従っ
て、本発明のバイオセンサは、アスコルビン酸が酸化さ
れず、酸素が還元されないような低電位でも十分にセン
サとして機能し得ること、また、基本的には白金含有率
を大きくするほど、応答電流が大きくなることが判る。
【0048】実施例5(血清中のグルコース濃度の測
定) 実施例4と同様に、本発明の電極の応答電流の血清中の
グルコース濃度依存性を測定した。測定に使用した電極
は、実施例1と同様の材料を使用し、カーボンペース
ト:グルコースオキシダーゼ:ニッケロセン:白金が
7:1:1:1(重量比)の組成物を十分に混合した電
極材料から形成した。尚、印加電位は−200mVとし
た。
【0049】測定結果を図5に示す。実施例4と同様
に、電極の応答電流は血清中のグルコース濃度に対して
明らかな依存性を示し、従って、血清を測定試料とする
場合であっても、アスコルビン酸が酸化されず、酸素が
還元されないような電位でも本発明の電極は、十分にセ
ンサとして機能し得ることが判る。
【0050】実施例6(センサの応答時間の検討) 実施例5と同じ装置を用いて、同じ条件にて本発明のバ
イオセンサの応答時間について検討した。応答時間を評
価するために、グルコース濃度4.6mMの状態で応答
電流値を安定化させた後に、濃グルコース溶液を加え
て、グルコース濃度が10.5mMとなるようにし、そ
の後、濃グルコース溶液を更に加えて、最終のグルコー
ス濃度が16.5mMとなるようにした。この時の、応
答電流の時間的変化を図6に示す。この結果から、本発
明のバイオセンサが十分短い応答時間(図示した場合で
は、約10秒以下)で作動していることが判る。
【0051】実施例7(アスコルビン酸の影響の検討) 実施例6と同様の条件で、測定を実施した。測定試料
(4.8mMのグルコースを含むコントロール血清(和
光純薬社製)5mlについて測定を開始し、電流値が安
定した後、1Mアスコルビン酸溶液25μlを追加して
試料全体としてアスコルビン酸濃度が5mMとなるよう
にし、応答電流の変化を確認した後、1Mグルコース溶
液25μlを追加して試料全体としてグルコース濃度が
9.8mMとなるようにした。
【0052】図7に測定結果を示す。この結果から明ら
かなように、アスコルビン酸溶液を加えても、応答電流
は実質的に変化しない。これは、本発明のバイオセンサ
は、アスコルビン酸の影響を受けないでグルコース濃度
を測定できることを意味する。
【0053】
【発明の効果】本発明のバイオセンサ、測定装置および
測定方法を使用することにより、測定試料中に共存する
酸素の影響もアスコルビン酸の影響も受けないような電
位で溶液中の特定基質、特に体液中のグルコース濃度を
測定することができる。その結果、酸素の影響やアスコ
ルビン酸の影響を回避するために従来技術において採用
さられていた構成(例えば特定の膜の使用)が不要とな
る。また、そのような構成の影響による測定値のばらつ
きをなくすことができる。このことによって、従来より
も、より正確な測定値を迅速に得られるバイオセンサを
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバイオセンサを使用した本発明の測
定装置の構成を模式的に示す概略図である。
【図2】 本発明のバイオセンサの酸化ピークを微分ポ
ーラログラフィにより測定した結果を、フェロセンを使
用する場合およびメディエータを使用しない場合と比較
した図である。
【図3】 本発明のバイオセンサにおいて白金粒状物を
加える効果を示す図である。
【図4】 本発明のバイオセンサを使用して水溶液中の
グルコース濃度を測定した結果を示す図である。
【図5】 本発明のバイオセンサを使用して血清中のグ
ルコース濃度を測定した結果を示す図である。
【図6】 本発明のバイオセンサを使用した場合の応答
時間を評価する図である。
【図7】 本発明のバイオセンサを使用した場合のアス
コルビン酸の影響を示す図である。
【符号の説明】
10…電気化学的方法による測定装置、12…作用電
極、14…参照電極、16…対極、18…リード、20
…ポテンショスタット、22…レコーダ、24…容器、
26…測定試料、28…恒温槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 外山 滋 埼玉県所沢市並木4丁目1番地 公務員宿 舎B104号 (72)発明者 山内 繁 東京都千代田区一番町22−7 一番町ロイ ヤルハイツ205 (72)発明者 中田 友紀 埼玉県狭山市南入曽196−3

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボン電極材料、酸化還元酵素および
    メディエータ化合物としてのニッケロセンまたはニッケ
    ロセン誘導体を有して成る、液体試料中の特定基質の濃
    度の電気化学的測定方法に電極として使用できるバイオ
    センサ。
  2. 【請求項2】 カーボン電極材料はカーボン粒状物であ
    る請求項1のバイオセンサ。
  3. 【請求項3】 カーボン電極材料はペースト状であり、
    電極は、カーボン電極材料、酸化還元酵素およびメディ
    エータ化合物の均質混合物から形成されている請求項2
    のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 カーボン電極材料は、更に白金粒状物を
    含んで成る請求項2または3のバイオセンサ。
  5. 【請求項5】 白金粒状物の寸法がカーボン粒状物の寸
    法より小さい請求項2〜4のいずれかのバイオセンサ。
  6. 【請求項6】 白金粒状物の寸法が0.3〜2.5μm
    であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかのバイ
    オセンサ。
  7. 【請求項7】 特定基質がグルコースであり、酸化還元
    酵素がグルコースオキシダーゼである請求項1〜6のい
    ずれかのバイオセンサ。
  8. 【請求項8】 作用電極としての請求項1〜7のいずれ
    かのバイオセンサ、対極およびこれらの電極間に一定の
    電位を印加して流れる電流量を測定する装置を有して成
    る、液体試料中の特定基質の濃度の電気化学的方法によ
    り測定するための装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のバイオ
    センサを使用して液体試料中の特定基質の濃度の電気化
    学的方法により測定する方法であって、バイオセンサと
    参照電極との間に−0.4〜+0.2ボルト、好ましく
    は−0.3〜+0.1ボルトの電位差が形成されるよう
    に印加することを特徴とする方法。
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