JPH09173051A - 脱色活性を有する新規微生物およびこれを用いた脱色方法 - Google Patents

脱色活性を有する新規微生物およびこれを用いた脱色方法

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JPH09173051A
JPH09173051A JP33748895A JP33748895A JPH09173051A JP H09173051 A JPH09173051 A JP H09173051A JP 33748895 A JP33748895 A JP 33748895A JP 33748895 A JP33748895 A JP 33748895A JP H09173051 A JPH09173051 A JP H09173051A
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Makoto Shoda
誠 正田
Seijiyun Kin
成準 金
Kenichi Ishikawa
健一 石川
Mitsuyo Hirai
光代 平井
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 少なくとも脱色活性を有するゲオトリク
ム・カンジダム(Geotrichum candidum )、およびその
菌株であるゲオトリクム・カンジダムDec1(FER
M P−15348)、並びにこれを培養して得られた
菌体外分泌物を用いて染料を分解・脱色することからな
る脱色方法。 【効果】 種々の染料に対し広い脱色スペクトルを示す
新規微生物が得られるので、染料排水処理に菌を用いた
処理システムや、染料で汚染された土壌のバイオレメデ
ィエーションの開発等への応用が期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染料に対して高脱
色活性を有する新規な糸状菌株およびこれを用いた脱色
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】染色工場や染料製造産業の工程で排出さ
れる各種合成染料は、難分解性物質が多い。こうした有
色廃水の処理には主に吸着、濃縮、化学的変換、焼却等
の物理化学的な方法が用いられている。これらの処理方
法は効率的である反面、処理コストが高い、有害な副産
物が生成される、高いエネルギー消費が要求される、等
の種々の問題点がある。
【0003】近年、上記の方法に代わるものとして、微
生物による処理方法が注目を集めており、既に染料や有
色物質を分解できるいくつかの菌類も報告されている。
最も盛んに研究が行われている菌類はリグニンペルオキ
シダーゼによるリグニン分解能力を示す白色腐朽菌であ
るファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete
chrysosporium )で、その分解メカニズムも明らかにな
っている。また、いわゆる脱色菌としてプレウロツス・
オストレアツス(Pleurotus ostreatus )、コリオルス
・ベルシカラー(Coriolus versicolor )、ストレプト
ミセテス種(Streptomycetes spp. )等も研究されてい
る。
【0004】しかしながら、脱色菌の種類はまだ少な
く、しかもこれらの菌は1若しくは数種類の染料を脱色
し得るのみで、多種類の染料に対して脱色活性を有する
ものでない。例えば、プレウロツス・オストレアツスは
1種類の高分子色素について(Appl. Microbiol. Biote
chnol., 21, 394-396(1985)) 、コリオルス・ベルシカ
ラーはメラノイジンについて( Argic. Biol. Chem.. 4
6, 1623-1630(1982)) 、ストレプトミセテス種は3種類
のアンスロン染料について(Can. J. Microbiol., 37,
902-907(1991))、それぞれ脱色可能であるという報告が
されている。さらにファネロカエテ・クリソスポリウム
(P. chrysosporium)では3種類の高分子色素、3種類
のアゾ染料と4種類のアゾ染料およびヘテロ環状染料に
ついての脱色活性や、ストレプトミセテス種とファネロ
カエテ・クリソスポリウムではいくつかのアゾ染料およ
び該染料と共通の骨格を有する物質(モデル物質)につ
いての脱色活性等も報告されている。
【0005】微生物による処理の効率は、菌の生存力、
適応性、脱色活性等に依存するが、さらに、より多種類
の染料に対して高い脱色活性を有する菌類を用いること
ができれば、処理効率のさらなる向上を図ることができ
るものと思われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情を鑑みてなされたもので、より効率的な微生物処理を
行い得るための菌類、およびこれを用いた脱色方法を提
供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を行い、染料を脱色する菌をス
クリーニングし、種々の染料に対し広い脱色スペクトル
を示す糸状菌の新菌株の単離に成功した。すなわち本発
明は、種々の染料に対して高脱色活性を有する糸状菌お
よびその菌株、並びにこれを用いた脱色方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳述する。 [本菌株のスクリーニング、単離]国内各所の畑地より
採取したいくつかの土壌サンプルを水に懸濁し、この懸
濁液を下記に示す3種類の染料を200ppmずつ含む
GPY寒天培地、PDA培地に添加した。なお、GPY
寒天培地(g/l)はグルコース10、ポリペプトン
3、酵母エキス7、KH2 PO4 1、MgSO4 ・7H
2 O 0.5、寒天15(pH=7)の成分からなる。
また、PDA培地(g/l)はポテトエキス200、グ
ルコース20、寒天15(pH=5.6)の成分からな
る。
【0009】スクリーニングに用いた染料は、アントラ
キノン発色団を有する代表的な反応性染料である C. I.
Reactive blue 114、アゾ発色団を有する酸性染料であ
る C. I. Acid blue 324、およびアゾ染料で分散染料で
ある C. I. Dispersive blue79 である。土壌の懸濁液
を添加した各プレートを30℃にて3週間培養した。脱
色されて透明なハローを形成したコロニー(集落)を採
取し、これらをGPY溶液に再懸濁させ、純菌化を繰り
返すことによっていくつかの糸状菌株を単離した。
【0010】これらの中の1つの菌株が高い染料分解能
力と広い染料脱色スペクトルを示した。この菌株は後述
するように新菌株として、ゲオトリクム・カンジダム
(Geotrichum candidum )Dec1と命名され、平成7
年12月15日付で工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託された(受託番号:FERM P−1534
8)。 [本菌株の菌学的性質]本発明に係るゲオトリクム・カ
ンジダムDec1(以下、単に「Dec1株」と略記)
の菌学的性質は以下のとおりである。 (a)形態 Dec1株は、ポテトデキストロース寒天培地(PD
A)上で速やかに生育し、コロニー全体に分生子を豊富
に形成する。菌糸は直径1.6〜4.8μmで、無色で
隔壁を有し、表面は平滑である。幅の広い栄養菌糸と幅
の狭い分生子形成菌糸とに分かれる。分生子と菌糸との
区別は不明瞭で、分生子形成菌糸が分断されて分生子と
なる。ときに栄養菌糸も分生子を形成する。分生子は、
大きさが2.4〜4.8×2.4〜16μmで、無色で
表面は平滑であり、分節型分生子で菌糸の分断により形
成され、気中または培地表面に連鎖し、最初は角張った
円筒型形状をなすが、後には樽型、楕円型、亜球形をな
すようになる。 (b)各種培地における生育状態 PDA培地(25℃)上での生育は極めて良い。コロニ
ーの直径は、培養5日間で62−73mmに、7日間で
90mm以上に達する。コロニーの表面は気生菌糸が旺
盛で、毛羽立ち羊毛状となり、純白色を呈する。裏面か
ら見ると無色である。分生子の形成は良好である。
【0011】麦芽エキス寒天培地(25℃)上での生育
は良好である。5日間でコロニーの直径は47−57m
mに、7日間で90mm以上に達する。コロニーの表面
はPDA培地(25℃)上での生育とほぼ同じである。
ツアペック酵母エキス寒天培地(25℃)上での生育は
良好である。コロニーの直径は、培養5日間で46−5
3mmに、7日間で90mm以上に達する。コロニーの
表面は羊毛状で白色を呈し、裏面から見ると無色であ
る。
【0012】コーンミール寒天培地(25℃)上での生
育は良くない。コロニーの直径は、培養5日間で38−
51mmに、7日間で90mm以上に達する。コロニー
の表面は気生菌糸が薄く、平坦に広がり無色である。分
生子の形成は悪い。ツアペック寒天培地(25℃)上で
の生育は認められない。 (c)生育温度とpH PDA培地および麦芽エキス寒天培地(MEA)のそ
れぞれにDec1株を植菌し、各温度で7日間培養した
結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】ツアペック酵母エキス(CY)液体培地
のpHを2−10に変化させ、これらをそれぞれ試験管
に8mlずつ入れ、Dec1株を1白金耳植菌し、25
℃で7日間培養した結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】表1、表2から明らかなように、本菌株の
至適生育温度は25℃前後である。また生育可能なpH
は4−8で、至適pHは6前後である。 (d)生理学的性質 D−グルコースの発酵性は弱く、ガラクトース、グルコ
ース、ソルボース、キシロース、グリセロール、ラクト
ースで増殖可能である。
【0017】以上の菌学的性質をもとに、Ainsworth an
d Bisby's Dictionary of the Fungi,7th ed.,C.M.L.,K
ew(1983)、 Mycologia,49,820-830(1957) 、Trans. Myc
ol.Soc.,Japan,3,29-35 (1962) 、YEAST:characteristi
cs and identification, Cambridge University Press
(1983)、「菌類図鑑」(講談社、1978)を参考に検討し
た結果、本菌は真菌門、不完全菌亜門、不完全糸状菌綱
のゲオトリクム(Geotrichum)属菌であると同定した。
次いで種の検索を行った結果、ゲオトリクム・カンジダ
ム(Geotrichum candidum )の記載と一致したので、本
菌をゲオトリクム・カンジダムに属すると同定した。
【0018】さらに同種内の公知菌株との比較を行っ
た。いずれの公知菌株も、下記実施例に示す本菌株のよ
うな、多種類の染料に対して幅広く高脱色活性を示すも
のがないため、本菌株を新規の菌株ゲオトリクム・カン
ジダム(Geotrichum candidum)Dec1と命名した
(FERM P−15348)。
【0019】
【実施例】
[Dec1株の脱色活性]下記の表3に示す22種類の
染料(反応性染料15種、酸性染料2種、分散染料2種
と、モデル化合物3種)を用いて、本菌株の脱色活性を
測定した。なお、用いられる染料中、C. I. Reactive b
lue 5 、C. I. Reactive red 33、C. I. Acid red 73
、C. I. Dispersive red 60 は、それぞれ下記の化
1、化2、化3、化4で表される化学構造を有する。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】またモデル化合物3種(便宜上AQ−1、
AQ−2、AZ−1と呼ぶ)は、それぞれ上記染料と化
学構造上共通の部分をもつ染料である。すなわちAQ−
1、AQ−2はいずれも C. I. Reactive blue 5 のモ
デル化合物で、それぞれ下記の化5、化6で表される化
学構造を有する。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】またAZ−1は C. I. Reactive red 33
のモデル化合物で、下記の化7で表される化学構造を有
する。
【0028】
【化7】
【0029】(1)Dec1株の固体培地における脱色
活性 上記22種類の各染料を0.45μmの硝酸セルロース
フィルタで濾過した後、終濃度100〜200ppmを
含むPDA培地を作成した。白金耳で本菌株から菌糸を
取り、プレートの中央に植菌した。次いでこのプレート
を28℃で4日間培養し、形成されたハローの脱色直径
(mm)を測定した。結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】なお、表中の「相対値」は、染料 C. I. R
eactive blue 5 の直径を1とした場合の値である。D
ec1株はモデル物質であるAQ−1、AQ−2、AZ
−1を脱色したので、本菌は染料の発色団に直接的に作
用すると考えられる。また、脱色の効率は各染料の構造
により異なる。
【0032】表3において、4日間の培養で脱色活性が
やや低かった染料は、7日間の培養で完全に脱色され
た。C. I. Dispersive red 60 は2週間培養で薄い黄色
に脱色したが、C. I. Dispersive blue 79 は2週間経
ってもほとんど脱色できなかった。なお、固体培地で脱
色できた染料は、染料によって脱色の速度差はあるが、
後述の表4に示すようにPD液体培地でも分解され、脱
色できた。
【0033】グルコースと無機塩のみからなるツァペッ
クドックス寒天培地では7〜10日間かけて脱色が完了
した。 (2)液体培地における脱色活性 Dec1株をPDA培地で6日間培養し、その菌体を滅
菌蒸留水に懸濁し、ガーゼで濾過し、107 (コロニー
形成単位/ml)(cfu/ml)の胞子懸濁液を準備
した。
【0034】この懸濁液5mlを500ml坂口フラス
コのPD液体培地150ml(pH=6)に植菌し、1
20spm、30℃で6日間培養した。濾過して除菌し
た各染料溶液を濃度100〜200ppmになるように
添加し、培養液0.1〜1.0mlを経時的にエッペン
ドルフチューブにサンプリングし、遠心分離(1200
0rpm、3min)により培養上清を取り、サンプル
とした。
【0035】各培養上清(サンプル)の染料濃度の減少
は、分光光度計(UV−240、島津製作所製)で各染
料の最大吸収帯の吸光度の減少により測定した。脱色速
度は染料の初期濃度とある時間経過後の各培養上清の吸
光度差により求めた。あらかじめ求めた染料濃度と吸光
度の測定結果に基づいて、ある時間経過後における吸光
度の差を染料濃度の変化(ppm/h)に換算した。全
波長スキャンニングにより求めた各染料の最大吸収帯の
波長を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】〈液体培地でのDec1株の増殖とpH変
化〉PD液体培地におけるDec1株の増殖とpHの経
時変化を図1に示す。増殖曲線は100mlPD液体培
地で培養した菌体の乾燥重量により求めた。増殖は培養
3日目に最大になり、その後は菌糸の自己分解による菌
体重量の減少がみられた。pHは培養3日で6から4.
5に下がり、それ以降は2週間ほぼ一定に維持された。 〈脱色活性とグルコース濃度〉PD液体培地における培
養3日後、つまり増殖が最大になったとき、染料 C.I.
Reactive blue 5 200ppmを添加し、培養液の上
清の吸光度を測定した(図2)。脱色活性は速やかに発
現し、培養5日目に最大100ppm/hに至ったが、
10日目には77ppm/hに下がった。しかし再び1
4日目には130ppm/hに増加した。培地中のグル
コースは培養3日後から徐々に減少し19日目には枯渇
した。グルコースが2g/l以下になると、脱色活性の
著しい減少が観察されたが、19日目にグルコース10
g/lを添加すると脱色活性が速やかに復活した。すな
わち、本菌株の脱色活性を維持させるには、グルコース
等のエネルギー源が必須なことがわかる。 〈染料の初期濃度と脱色速度〉図3は、染料 C. I. Rea
ctive blue 5 の初期濃度を変えたときの脱色速度の変
化を示すグラフである。PD液体培地に含まれる染料濃
度が400〜1600ppmでは、脱色速度は徐々に増
加したが、3200ppmでは初めの4時間は脱色活性
が低かった。これは細胞活性に対する染料の阻害効果で
あると考えられた。しかし脱色活性の向上が6時間後に
得られた。
【0038】そこで約3000ppmずつ染料を繰り返
して添加した(図4。同図中矢印で示す)。4回目まで
の染料の繰り返し添加までは脱色活性の減少があまりみ
られずに脱色された。この間に添加された染料は12g
/lとなり、これがすべて分解できたことになる。しか
し、その後染料の添加を繰り返しても脱色活性は著しく
減少した。
【0039】また初期濃度として12g/lの染料をP
D液体培地に添加しても2日以内にほとんど分解した。
これは本菌の脱色活性が高濃度の染料で阻害を受けない
ことを示している。 〈脱色速度と温度およびpHとの関係〉脱色速度に対す
る温度の効果を図5に示す。PD液体培地を用い各温度
でDec1株を1週間培養し、それぞれの培養液に染料
を添加し分解速度を実測した。菌体量は分解速度を測定
したときの値である。最適温度は30℃で観察され、培
養7日後のDec1株の菌体量は37℃以外には大きな
差がなかった。
【0040】なお、PD液体培地における初期pHを
4、5、6、7に設定して培養を行ったが、どのpHで
も培養5日後にはpH5で一定になり、脱色活性もあま
り差がみられなかった。以後はPD液体培地での初期p
Hは6に調整した。 〈脱色活性における酸素の影響〉PD液体培地で培養し
た培養液の脱色活性を確認した後、好気あるいは嫌気条
件下で培養した。PD液体培地中の酸素を置換するため
に、10分間窒素ガスを滅菌フィルタを通して注入し
た。次に、C. I. Reactive blue 5 400ppmを添加
し、脱色活性をモニターした。
【0041】その結果、図6に示すように、嫌気条件下
では脱色活性がほとんど発現できなかった。8時間後、
空気の供給を開始すると、脱色活性が復活した。この結
果からDec1株による染料の分解には酸素が必須であ
ることがわかった。 〈Dec1株の菌体外と菌体内の粗酵素液の調製〉De
c1株を100mlPD液体培地で3日間培養し、染料
C. I.Reactive blue 5 を50ppm添加した後、12
時間で完全に脱色できることを確認した。
【0042】次に、培養液を遠心分離(8000rp
m、20min)して培養上清を取り、この培養上清に
硫酸アンモニウムを80%までゆっくり加えた。次いで
これを穏やかに攪拌し沈殿物を得た。1時間放置後、遠
心分離(12000rpm、10min)により沈殿物
を取り、この沈殿物を25mMクエン酸バッファー(p
H=5)に溶解し、硫酸アンモニウムを除去するために
同バッファーで透析した。透析後、0.45μm硝酸セ
ルロース膜で濾過し、菌体外粗酵素液として4℃で保存
した。これらの処理はすべて4℃で行った。
【0043】約300mg(乾燥重量)の菌体を乳鉢の
中で石英砂と混合してすりつぶし、25mlのクエン酸
バッファー(pH=5)に溶解し、遠心(12000r
pm、10min)した上清を菌体内粗酵素液として調
製した。この菌体内粗酵素液をH22 0.2mMと
C. I. Reactive blue 5 50ppmとに混合し、28
℃、120spmで反応させたが、染料の分解活性は観
察されなかった。
【0044】一方、上記菌体外粗酵素液を上記と同様に
して反応させたところ、図7に示すように脱色活性がみ
られた。菌体外の粗酵素液に脱色活性がみられ、ペルオ
キシダーゼが存在することが明らかになった。この反応
溶液はタンパク質66μg/ml、H22 0.2m
M、C. I. Reactive blue 5 50ppmを含んでいる。
22 を添加しない場合と粗酵素液を熱変性させた場
合は全く脱色活性がなかった。
【0045】なお、約0.5μg−タンパク質/mlの
粗酵素液の脱色速度を上記表4に示した。表4で、培養
液と粗酵素との脱色速度を比較した結果、いくつかの染
料に対しては粗酵素の染料分解速度が100倍以上高か
った。Dec1株の増殖が定常状態に至った培養3日後
の培養液から粗酵素を抽出したこと、より長時間の培養
でも活性が維持されていることから、本菌が分泌してい
るペルオキシダーゼは誘導型と考えられる。酵素活性が
PD液体培地で得られたことから染料自体は誘導物質で
はないと考えられる。 〈本菌体外粗酵素と西洋ワサビペルオキシダーゼとの比
較〉本菌体外粗酵素と西洋ワサビペルオキシダーゼ(H
RP)との比較を行った。
【0046】基質に C. I. Reactive blue 5 を用い、
上記本菌体外粗酵素とHRPとの脱色活性を比較する
と、本酵素の最適pHは3.2であり、HRPは4.0
であった。熱安定性については、40℃では両酵素とも
長時間安定であったが、80℃で3時間処理すると、H
RPが88%、本酵素は41%失活した。pH安定性
は、pH8.2の処理では両者とも約30%失活した
が、pH2.3の酸性処理(6時間)ではHRPが10
0%、本酵素が58%失活し、酸性領域での本酵素の安
定性が高かった。またHRPと本酵素の C. I. Reactiv
e blue 5 脱色後のUVスペクトルも400nm以下に
おいてかなり相違していた。本酵素の脱色活性における
金属イオンの影響を調べた結果、Cu2+は脱色活性を促
進するが、Mn 2+は阻害の傾向があった。
【0047】以上述べたように、本発明に係るDec1
株は、これまで報告されている脱色菌に比して格段に多
種類の染料に対して脱色活性を有する。本発明者らは、
このDec1株が実用化している種々の染料を固体培地
および液体培地で脱色できることを証明した(表3、表
4)。またDec1株による脱色活性はエネルギー源と
酸素が必要であることが証明された。ペルオキシダーゼ
型酵素によりリグニン関連化合物(Trans.Myc.Soc.,Jap
an,3,29-35(1962)) や除草剤(J.Gen.Microbiol., 26,1
55-165(1961))の分解活性を示す糸状菌が報告されてい
るが、Dec1株は数多い染料に対して脱色活性を示
し、これは主に菌体外分泌物であるペルオキシダーゼ型
の酵素によると考えられる。脱色菌が1種類の染料に特
異的に脱色活性を示すのみでは、一般の排水における染
料の混合液に対してはあまり実用価値がないと考えら
れ、多種類の染料に対して高脱色活性を有する本菌の応
用の可能性が期待される。
【0048】またゲオトリクム・カンジダム(Geotrich
um candidum )は、土壌や水系に広く分布し、酢酸、エ
タノール、アセトン等をエネルギー源として利用できる
ことが知られているので、実用においてグルコースの代
わりにより安価な炭素源としてこれら物質を用いること
も可能であろう。このような特性は、リアクターシステ
ムによる利用だけでなく土壌のバイオレメディエーショ
ンにおいても有色物質の処理への可能性を示すといえ
る。
【0049】
【発明の効果】本発明により、従来に比して極めて多種
類の染料に対して脱色活性を有するDec1株が提供さ
れるので、染料排水処理に微生物を用いた処理システム
や染料で汚染された土壌のバイオレメディエーションな
ど、幅広い分野への応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るDec1株の増殖と培地のpH変
化の関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係るDec1株による脱色速度と培地
中のグルコース濃度の関係を示すグラフである。
【図3】染料の初期濃度とDec1株による脱色速度と
の関係を示すグラフである。
【図4】染料を培地中に連続添加した場合の濃度変化を
示すグラフである。
【図5】本発明に係るDec1株の菌体量およびその脱
色速度に対する温度効果を示すグラフである。
【図6】好気条件、嫌気条件における脱色効果を示すグ
ラフである。
【図7】本発明に係るD1株から菌体外分泌された粗酵
素液による脱色活性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 健一 神奈川県横浜市旭区南希望ヶ丘118 森永 希望ヶ 丘寮319 (72)発明者 平井 光代 神奈川県相模原市相模台1−15−1

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも脱色活性を有するゲオトリク
    ム・カンジダム(Geotrichum candidum)。
  2. 【請求項2】 次の菌学的性質を有する、請求項1記載
    のゲオトリクム・カンジダム。 (A)形態学的特性 ポテトデキストロース寒天培地(PDA)上で速やかに
    生育。菌糸は直径1.6〜4.8μm、無色、隔壁を有
    し、表面平滑。幅の広い栄養菌糸と幅の狭い分生子形成
    菌糸とに分かれる。分生子は2.4〜4.8×2.4〜
    16μm、無色で表面平滑で、樽型、楕円型、亜球形を
    なす。 (B)培養学的特性 (1)PDA培地:生育は極めて良い。コロニーの表面
    は気生菌糸が旺盛で、毛羽立ち羊毛状、純白色、裏面か
    ら見ると無色。分生子の形成は良好。 (2)麦芽エキス寒天培地:生育は良好。コロニーの表
    面はPDA培地上での生育とほぼ同じ。 (3)ツアペック酵母エキス寒天培地:生育は良好。コ
    ロニーの表面は羊毛状で白色、裏面から見ると無色。 (4)コーンミール寒天培地:生育は良くない。コロニ
    ーの表面は気生菌糸が薄く、平坦に広がり無色。分生子
    の形成は悪い。 (5)ツアペック寒天培地:生育は認められない。 (6)生育至適温度は25℃前後。 (7)生育可能なpHは4−8、至適pHは6前後。 (C)生理学的特性 D−グルコースの発酵性は弱く、ガラクトース、グルコ
    ース、ソルボース、キシロース、グリセロール、ラクト
    ースで増殖可能。
  3. 【請求項3】 ゲオトリクム・カンジダム Dec1
    (FERM P−15348)である、請求項1または
    2に記載のゲオトリクム・カンジダム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のゲオト
    リクム・カンジダムを培養して得られた菌体外分泌物を
    用いて染料を分解・脱色することを特徴とする、脱色方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004082107A (ja) * 2002-06-24 2004-03-18 Kuraray Co Ltd 窒素を含有する染料を含む排水の処理装置及び処理方法
CN110563159A (zh) * 2019-09-30 2019-12-13 河北科技大学 一种阿维菌素发酵废水的处理方法

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