JPH09175900A - 窒化炭素配向膜被覆部材及び製造方法 - Google Patents

窒化炭素配向膜被覆部材及び製造方法

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JPH09175900A
JPH09175900A JP35260295A JP35260295A JPH09175900A JP H09175900 A JPH09175900 A JP H09175900A JP 35260295 A JP35260295 A JP 35260295A JP 35260295 A JP35260295 A JP 35260295A JP H09175900 A JPH09175900 A JP H09175900A
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alignment film
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慶春 内海
Takahiro Imai
貴浩 今井
Akira Okamoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規物質である窒化炭素(C34 )はアモ
ルファスか質の悪い多結晶しか得られていない。ある方
向に結晶粒の方向がそろっているC34 配向膜を製造
することが目的である。 【構成】 基板の上にSi34 の配向膜をまず形成す
る。Si34 中間層の上にC34 薄膜を製作するこ
とによってC34 配向膜を得る事ができる。中間層の
α型、β型を選択的に製造することによって、α型、β
型のC34 を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具、耐摩部品、
高熱伝導率ヒートシンク、高温動作素子、耐環境素子、
発光素子、光学材料、圧電材料などに利用される窒化炭
素膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまでダイヤモンドが物質中最高の硬
度を有する物質として認められていた。しかし1989
年CohenらはScience,245 841(1
989)において窒化炭素β−C34 がダイヤモンド
を越える超硬度物質であろうということを計算機実験に
よって予測した。β−C34 はsp3 混成軌道による
C−N結合を持ち、β−Si34 型の結晶構造を持つ
新物質である。同様に、α−Si34 型の結晶構造を
有するα−C34 もダイヤモンドを越える超硬度物質
であろうことが予想される。もちろんいずれも天然に存
在しない物質である。人工的な合成もなされていない。
【0003】Cohen等による計算機予測以来、結晶
質の窒化炭素即ち、α−C34 或いはβ−C34
薄膜を合成する試みが盛んになされている。しかしその
ような試みにおいて作られたものの多くはアモルファス
のものである。結晶質窒化炭素が未だ殆ど得られていな
い。それ程に結晶質の窒化炭素を作るのは難しいのであ
る。
【0004】結晶質の窒化炭素薄膜を作る方法として、
例えば米国特許5110679はスパッタリング法によ
る方法を提案している。これは、窒素を含む雰囲気ガス
中で、グラファイトターゲットをスパッタリングするも
のである。Si(100)単結晶基板上に、β−C3
4 の薄膜を合成したという。またGe(111)単結晶
基板上にα−C34 の薄膜を合成したと報告してい
る。これらは結晶質であると述べているがアモルファス
に近いものであり、結晶質であるとしても無秩序な方位
の結晶粒からなる多結晶である。単結晶でないし、配向
性の膜でもない。
【0005】国際公表公報WO95/02709はレ−
ザアブレーション法による合成が提案されている。これ
は基板上に、グラファイトターゲットのレ−ザアブレー
ションによりC原子を、RFプラズマにより形成した原
子状窒素ビームによって窒素原子を供給する方法であ
る。この方法によって、Si(100)単結晶基板上、
及び多結晶Ni基板上にβ−C34 の薄膜を形成した
という。これもアモルファスに近い多結晶である。単結
晶でなくまた配向性がない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】β−C34 、或いは
α−C34 は六方晶系の結晶構造を持つ。為に硬度、
電気特性、光物性、圧電特性などの物性が異方性を持つ
事が予想される。従ってこれら窒化炭素膜を薄膜の形で
基板の上に形成して使用する場合は、特定の結晶方位に
優先的に配向した多結晶膜あるいは単結晶膜であること
が望ましい。
【0007】前述の米国特許5110679、WO95
/2709は何れもアモルファスであるか、ランダムな
結晶方位を持つ結晶粒からなる多結晶膜である。これら
はいずれも、特定の方向に優先配向した配向膜を得るた
めの方法については全く述べられていない。C34
配向膜を得ることのできる製造方法を提案する事が本発
明の第1の目的である。またC34 配向膜を被覆した
硬質の部材を提供することが本発明の第2の目的であ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、α−Si3
4 、β−Si34 の配向膜を基板の上に形成してお
き、これらの上にさらにα−C34 、β−C34
膜を形成する。α−Si34 はα−C34 とほぼ同
じ結晶構造をもつ。β−Si34 はβ−C34 とほ
ぼ同じ結晶構造をもつ。そこでこれらのほぼ同等の結晶
構造をもつ材料の上に、目的であるα−C34 、β−
34 の薄膜を形成するのである。
【0009】α−Si34 、β−Si34 ともに自
然界に存在する材料ではない。またバルク単結晶も製造
できない。そこで他の材料の基板の上にα−Si3
4 、β−Si34 の配向膜中間層を予め作製し、その
上にα−C34 、β−C34の薄膜を作製する。こ
うする事によって初めてα−C34 配向膜、β−C3
4 配向膜を製造する事ができる。
【0010】下地にSi34 の配向膜を形成し、この
中間層の作用によって、C34 の高配向膜を形成する
ことが本発明の特徴である。本発明のC34 は、基板
/Si34 /C34 という構造をもち、C34
配向膜である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明においては、窒化炭素(C
34 )を特定の方位に優先的に配向した窒化珪素(S
34 )上に成長させる事により、窒化炭素の配向膜
を実現する。しかしながら、Si34 は基板として使
用可能な程に大型の単結晶を合成することは不可能であ
る。そこで本発明においては、他の物質の基板の上に、
Si34 の高配向薄膜を形成し、そのSi34 膜の
上に窒化炭素膜を成長させる。図1はこれを示す。中間
層としてSi34 の配向膜を形成し、その上に C3
4 の配向膜を製造することが本発明の眼目である。
【0012】窒化炭素(C34 )はSi34 と同じ
結晶構造をもつ。C34 は、下地のSi34 の結晶
方位を受け継いで成長し、下地のSi34 配向膜と同
じ配向方向を持った配向膜となる。例えば、Si34
が基板面と平行に(001)面が優先的に配向した(0
01)配向膜であれば、その上に形成したC34
(001)配向膜となる。これらのSi34 配向膜、
及びC34 配向膜は基板面に垂直な結晶方位は一方向
に揃っているが、基板に平行な面内での方位はバラバラ
な多結晶膜である。
【0013】Si34 及びC34 にはβ型とα型の
2種類の結晶構造がある。β−C34 はβ−Si34
と同じ結晶構造を持つ。α−C34 はα−Si34
と同じ結晶構造を持つ。従って、α−C34 を成長
させたい場合は、下地にα−Si34 を用いるのが最
適である(図3)。β−C34 を成長させたい場合
は、下地にβ−Si34 を用いるのが最良の方法であ
る(図2)。
【0014】しかし必ずしも、成長させたいC34
同じ結晶構造のSi34 を下地に使わなくてはいけな
いということはない。α−Si34 下地の上に、β−
34 膜を成長させる事が可能である。反対にβ−S
34 下地の上に、α−C 34 膜を成長させること
もできる。これはSi34 、C34 のα型、β型
が、c軸方向の積み重ねの様式が異なるだけで、それ以
外の結晶構造は殆ど同じであるからである。格子定数も
α型のc軸長は、β型のc軸長の約2倍であるが、a軸
長は殆ど変わらない。
【0015】本発明が目的とするC34 は六方晶系の
構造を持つ結晶である。これについて2種類の面指数の
表現方法(三指数法、四指数法)があるので、初めにこ
れを説明する。図7に示すように六方晶系の結晶は、c
軸に直角な面では正6角形の構造をもつ。この面の単位
のベクトルは120度の角度をなす。これをa、b、w
軸としよう。通常はこれらの軸はa軸と呼ばれるが、こ
こでは幾何学的な関係を明らかにするためにa、b、w
軸とする。これらに直角な軸がc軸である。c軸の表記
については両方の表記ともに同一である。c軸について
は問題がない。
【0016】[四指数法]面指数というのは結晶格子の
中に想定される多数の等間隔平行面を表現する指数であ
る。四指数法は、面や方位を4つの指数によって表す方
法である。原点を通る面の次の面について、その面が
a、b、w、c軸を切る点の原点からの距離の逆数を並
べたものが面指数である。a/k、b/l、w/m、c
/nにおいてその面が軸と交差するとき、この面は(k
lmn)によって表現される。(0001)はc軸に直
角な間隔cの面である。(10−10)はbc面に平行
な間隔が(31/2 /2)aの面である。
【0017】面指数であるので、ここで−1は1の上に
マイナス−を付けるべきであるが表記できないので−1
としている。1を引くと解してはならない。(10−1
0)、(01−10)、(1−100)は等価な面であ
る。間隔がa/2でw軸に直角な面は(11−20)面
である。(11−20)、(2−1−10)、(1−2
10)は等価な面である。当然のことであるが、幾何学
的な関係からk+l+m=0という関係が常に存在す
る。つまり独立な指数は3つである。
【0018】[三指数法]独立な指数が3つしかないの
で、3つの指数によって六方晶系の面指数を表す事もで
きる。図7においてw軸の表記をやめる。a軸、b軸の
みを使う。c軸に直角な間隔cの面指数は(001)で
ある。間隔が(31/2 /2)aであってbc面に平行な
面は(100)である。(100)、(010)、(1
−10)は等価である。間隔がa/2でw軸に直角なも
のは(110)面である。(110)、(2−10)、
(1−20)は等価面である。つまり四指数法で(kl
mn)の時、三指数法の場合(kln)で表現される。
これは面の表現であって比較的単純であるが、方位の場
合両者の関係は単純でない。
【0019】またklmは等価な指数であるが、このう
ち2つだけを取るので対称性が良く分からないという欠
点がある。しかし簡単であるから三指数法が六方晶系の
結晶構造を表現するのに良く用いられる。本発明で三指
数法を用いる。図7において、c軸に平行な面であって
a軸、b軸、w軸を適当な箇所において切るような面群
を三指数法と四指数法によって表現したものを示す。
【0020】α−Si34 、β−Si34 が本発明
では重要な中間層を構成する。これら自体かなり複雑な
結晶構造をもち、自然界には存在しない物質である。結
晶構造は単純でない。そこでこれらSi34 の結晶構
造についてまず説明する。Si34 にはα型とβ型が
ある。両者の構造は良く似ている。いずれの型において
も窒素原子は、3つの同一平面上のSi原子によって囲
まれている。つまりほぼ正三角形をなすSi原子の中心
にN原子がある。またSi原子は4つのN原子によって
三次元的に囲まれる。つまりN原子4つが作る四面体の
中心にSi原子がある。そのような四面体が頂点を共有
している。α型のc軸の長さはβ型の約2倍である。α
型のa軸の長さは、β型のそれより少し長い。
【0021】[β型Si34 の結晶構造]単位胞はS
34 で表現されるもの二つ分を含む。つまり単位胞
はSi原子6個、窒素原子8個を含む。c軸に直角な面
で切った場合a軸、b軸、w軸によって張られる正六角
形は単位胞3つ分を含む。この正六角形柱はSi原子1
8個、窒素原子24個よりなる。
【0022】つまりa軸とb軸によって囲まれる120
度、240度の菱型柱が単位胞である。図8にこれを示
す。単位胞(2Si34 )に含まれる14個の原子座
標は次の(2b)と(6c)、(6c’)によって表現
される。
【0023】(2b)1/3,2/3,z;2/3,1
/3,1/2+z(z=0.739 ) (6c)x,y,z;−y,x−y,z;y−x、−
x,z;−x,−y,1/2+z;y,y−x,1/2
+z;x−y,x,1/2+z(x=0.030 、y=0.32
9 、z=0.263 ) (6c’)x,y,z;−y,x−y,z;y−x、−
x,z;−x,−y,1/2+z;y,y−x,1/2
+z;x−y,x,1/2+z(x=0.769 、y=0.17
4 、z=0.250 )
【0024】β−Si34 の構造において、2個の窒
素原子が(2b)位置を占める。6個の窒素原子が(6
c)位置にある。6個のSi原子が(6c’)位置にあ
る。図9にz=0.239、z=0.250、z=0.
263、z=0.739、z=0.750、z=0.7
63の断面に存在する窒素原子(白丸)、Si原子
(●)を表している。又、図10はβ−Si34 にお
いて、abw面に原子位置を投影した図を示している。
格子定数はa0 =0.7595nm、c0 =0.290
2nmである。
【0025】[α型Si34 の結晶構造]α型のSi
34 はより複雑である。単位胞はSi34 で表現さ
れるもの4つ分を含む。β型の2倍の要素を持つ。つま
り単位胞はSi原子12個、窒素原子16個を含む。α
−Si34 は、β−Si34 型の層(A層とする)
とこれと(100)面について鏡面対称にある層(B
層)を足し合わせたABABの構造をとる。単位胞はA
Bなので、β−Si34 の約倍の大きさをもつのであ
る。c軸に直角な面で切った場合a軸、b軸、w軸によ
って張られる正六角形は単位胞3つ分を含む。この正六
角形柱はSi原子36個、窒素原子48個よりなる。結
晶系はP31cである。
【0026】つまりa軸とb軸によって囲まれる120
度、240度の菱型柱が単位胞である。単位胞(4Si
34 )に含まれる2814個の原子座標は次の(2
a)、(2b)、(6c)、(6c’)、(6
c’’)、(6c’’’)によって表現される。
【0027】(2a)0,0,z;0,0,z+1/2
(z=0.450 ) (2b)1/3,2/3,z;2/3,1/3,1/2
+z(z=0.593 ) (6c)x,y,z;−y,x−y,z;y−x、−
x,z;x,y,1/2+z;−x,y−x,1/2+
z;x−y,−y,1/2+z(x=0.656 、y=0.60
8 、z=0.432 )
【0028】(6c’) x,y,z;−y,x−y,
z;y−x、−x,z;x,y,1/2+z;−x,y
−x,1/2+z;x−y,−y,1/2+z(x=0.
315 、y=0.319 、z=0.696 ) (6c’’)x,y,z;−y,x−y,z;y−x、
−x,z;x,y,1/2+z;−x,y−x,1/2
+z;x−y,−y,1/2+z(x=0.083 、y=0.
514 、z=0.656 ) (6c’’’)x,y,z;−y,x−y,z;y−
x、−x,z;x,y,1/2+z;−x,y−x,1
/2+z;x−y,−y,1/2+z(x=0.256 、y
=0.168 、z=0.451 )
【0029】α−Si34 の構造において、2個の窒
素原子が(2a)位置を占める。2個の窒素原子が(2
b)位置を占める。6個の窒素原子が(6c)位置にあ
る。残りの6個の窒素原子が(6’c)位置にある。ま
た6個のSi原子が(6c’’)位置にある。残りの6
個のSi原子が(6c’’’)位置にある。格子定数は
0 =0.7813nm、c0 =0.5591nmであ
る。
【0030】以上において、Si34 の構造を説明し
た。Si34 は共有結合性の強い化合物である。硬度
が大きく、耐熱性、耐酸化性、耐スポ−リング性などに
優れる。高強度であって、熱膨張率が小さい、などの特
徴がある。α型、β型のC34 も同じ結晶構造をも
つ。
【0031】C34 を成長させるための下地としての
Si34 配向膜の優先配向の方位としては、Si3
4 とC34 の結晶構造が同じであるから、どのような
面方位をも用いる事ができる。Si34 配向膜は基板
上に形成した薄膜の形で使用するので、基板上に配向膜
として成長させ易い方位のものを用いるのが便利であ
る。これは(001)、(100)、(110)、(1
01)などの低面指数の面が基板と平行になるように配
向したものである。
【0032】その上に結晶性、配向性の優れたC34
を成長させるため、Si34 配向膜はできるだけ配向
性の良好なものを用いる必要がある。Si34 のこれ
らの配向面からのX線回折のロッキングカ−ブの半値幅
(FWHM)が10゜以下であれば下地結晶として十分
に使用できる。つまりここで、配向性が良好であるとい
うのは、その配向面でのX線回折ロッキングカ−ブFW
HMが10゜以下であるものを意味する。
【0033】Si34 は基板と上層のC34 の間に
あるから、中間層と呼ぶことにする。Si34 中間層
の適当な厚さは、1nm〜1μmである。1nm未満で
あると、中間層がないのと同じであり、上層のC34
を配向させる作用が弱い。1μm以上であると、Si3
4 中間層自体に欠陥や歪が発生しやすくなり、その上
に形成するC34 上層に欠陥、歪を与え、C34
の結晶性を低下させる恐れがある。
【0034】中間層のSi34 配向膜を成長させるた
めの基板として適当なものは、WC、Fe、Ni、ステ
ンレスなどの金属基板、ガラス、アルミナ、SiCなど
のセラミック基板、Si、GaAsなどの半導体基板、
ダイヤモンド、BNなどの絶縁体基板などである。これ
ら基板は単結晶、多結晶、焼結体の何れであっても良
い。
【0035】しかしその中でも、中間層Si34 と格
子整合性のよい単結晶基板を用いると、最も容易に配向
性のSi34 上層を成長させる事ができる。このよう
な目的に利用できる基板としては、例えば、サファイア
(α−Al23 )、六方晶SiC、立方晶SiC、ダ
イヤモンド、シリコン、BN、MgOなどの単結晶基板
である。
【0036】基板上に、中間層のSi34 配向膜を成
長させるための合成方法としては、熱CVD法、プラズ
マCVD法、スパッタ法、イオンプレーティング法、反
応性蒸着法、MBE法、レ−ザアブレーション法など、
公知の方法を用いる事ができる。
【0037】配向性に優れた中間層Si34 を得よう
とすると、基板温度はより高温である事が望ましい。良
好な配向性の中間層を得るために必要な基板温度は、合
成方法、基板、他の合成条件などによって異なる。好ま
しい基板温度は、一般に800℃〜1800℃である。
【0038】中間層として利用するSi34 は、先述
のように、β型とα型の結晶構造が存在する。β型、α
型いずれのSi34 も中間層として使用可能である。
Si34 がいずれの構造を取るかという事は、基板、
基板温度などによって決まる。しかしSi34 の構造
は主に基板温度によって決定される。
【0039】一般に、β−Si34 膜の合成は、α−
Si34 の合成よりも高い基板温度を要求する。基板
温度の範囲は、合成法、その他の合成条件にもよる。基
板温度1000℃〜1800℃ではβ型Si34 が生
成される。基板温度が800℃〜1500℃ではα型S
34 が合成される事が多い。成膜方法、基板の種
類、基板温度、その他の合成条件によって、Si34
中間層の配向方位が決定される。これらの方法条件を適
当に選ぶ事によって、任意の配向方位のSi34 中間
層を得る事ができる。
【0040】Si34 中間層の上に、C34 上層を
成長させるための合成方法としては、熱CVD法、プラ
ズマCVD法、レ−ザCVD法、スパッタ法、イオンビ
−ムスパッタ法、イオンプレーティング法、反応性蒸着
法、MBE法、レ−ザアブレーション法などの公知の方
法を用いることができる。何れの合成法においても、C
34 配向膜を成長させるためには、基板を高温に加熱
する必要がある。加熱温度は、合成法や他の条件によっ
ても異なるが、600℃〜2000℃の範囲である。
【0041】C34 の合成に関して、熱CVD法、プ
ラズマCVD法、レ−ザCVD法などのCVD法では、
炭素原料として、CH4 、C26 、C38 などの炭
化水素を用いる事ができる。また窒素原料として、N
2 、NH3 などを使用できる。プラズマCVD法の場合
は励起源によっていくつかの種類がある。RFプラズマ
CVD法、マイクロ波プラズマCVD法、ECRプラズ
マCVD法などの何れの方法であっても良い。
【0042】スパッタ法、イオンビ−ムスパッタ法、イ
オンプレーティング法、反応性蒸着法、MBE法、レ−
ザアブレーション法などよってC34 を合成する場合
は、グラファイトなど炭素固体を炭素原料として用い
る。窒素原料は、窒素ガス(N2 )、アンモニア(NH
3 )などである。このように、基板の上に、Si34
配向膜を中間層として形成し、さらにその上に、C3
4 を成長させることによって、特定の方向に優先配向し
たC34 配向膜を製造する事ができる。
【0043】また、Si34 中間層の配向方向を制御
することによって、目的とする特性に応じて、最適な方
位に配向したC34 配向膜を得る事ができる。硬度、
電気的特性、光学特性、圧電性などにおいて優れたC3
4 被覆材料を製作する事ができる。
【0044】
【実施例】
[実施例1(6H−SiC/β−Si34 /β−C3
4 )]基板として六方晶SiC(001)単結晶を用
いた。基板を次の手順によって洗浄した。
【0045】(1)アセトンによる超音波洗浄 (2)純水リンス (3)1.5%フッ化水素水溶液による酸化膜除去1分 (4)純水リンス このSiC基板の上に、次の条件で熱CVD法によって
β−Si34 薄膜を成長させた。
【0046】 原料ガス Si3 Cl4 1 l/min NH3 2 l/min H2 6 l/min 圧力 0.5 Torr 基板温度 1500 ℃ 反応時間 20 min β−Si34 膜厚 500 nm
【0047】こうして得られた中間層をX線回折のθ−
2θスキャンによって調べた。基板面に対して、(00
1)面が平行になるように配向したβ−Si34 であ
ることが確認された。θ−2θスキャンでは(00x)
面以外の面からの回折線は現れなかった。(002)回
折線のロッキングカ−ブ半値幅(FWHM)は3.0゜
であった。さらにβ−Si34 中間層の上に、スパッ
タ法によって窒化炭素膜を次の条件によって成長させ
た。
【0048】 タ−ゲット グラファイト 成膜ガス Ar+N2 成膜時の全圧力 5 mTorr 窒素分圧 2.5 mTorr
【0049】 RFパワー 500 W 基板温度 1000 ℃ 基板バイアス 300 V 成長時間 1 時間 C34 膜厚 200 nm
【0050】こうして得られた薄膜をX線回折のθ−2
θスキャンによって調べた。基板面に対して(001)
面が平行に配向したβ−C34 であることが確認され
た。θ−2θスキャンでは(00x)面以外の面からの
回折線は見られなかった。(002)回折線のロッキン
グカーブの半値幅は5.2゜であった。
【0051】[実施例2(6H−SiC/α−Si3
4 /α−C34 )]基板として六方晶SiC(00
1)単結晶を用いた。実施例1と同じように基板を次の
手順によって洗浄した。
【0052】(1)アセトンによる超音波洗浄 (2)純水リンス (3)1.5%フッ化水素水溶液による酸化膜除去1分 (4)純水リンス このSiC基板の上に、次の条件で熱CVD法によって
α−Si34 薄膜を成長させた。実施例1では基板温
度が1500℃であったが、ここでは1000℃とより
低温にしている。基板温度以外の条件は実施例1と同じ
である。
【0053】 原料ガス Si3 Cl4 1 l/min NH3 2 l/min H2 6 l/min 圧力 0.5 Torr 基板温度 1000 ℃ 反応時間 20 min α−Si34 膜厚 500 nm
【0054】こうして得られた中間層をX線回折のθ−
2θスキャンによって調べた。これは基板面に対して、
(001)面が平行になるように配向したα−Si3
4 であることが確認された。θ−2θスキャンでは(0
0x)面以外の面からの回折線は現れなかった。(00
2)回折線のロッキングカ−ブ半値幅(FWHM)は
3.5゜であった。さらにα−Si34 中間層の上
に、スパッタ法によって窒化炭素膜を次の条件によって
成長させた。
【0055】 ターゲット グラファイト 成膜ガス Ar+N2 成膜時の全圧力 5 mTorr 窒素分圧 2.5 mTorr RFパワー 500 W 基板温度 1000 ℃ 基板バイアス 300 V 成長時間 1 時間 C34 膜厚 200 nm
【0056】こうして得られた薄膜をX線回折のθ−2
θスキャンによって調べた。基板面に対して(001)
面が平行に配向したα−C34 であることが確認され
た。θ−2θスキャンでは(00x)面以外の面からの
回折線は見られなかった。(002)回折線のロッキン
グカ−ブの半値幅は5.5゜であった。実施例1、2を
比較すると、中間層を作るときに比較的基板温度が高い
とβ−Si34 が、温度が低いとα−Si34 が成
長しやすいという事が分かる。中間層の基板温度によっ
て、α型、β型のいずれかの高配向膜を自在に製造でき
る。
【0057】[実施例3(ダイヤモンド/α−Si3
4 /β−C34 )]基板としてダイヤモンド(11
1)単結晶を用いた。ダイヤモンド(111)基板を次
の手順によって洗浄した。
【0058】(1)アセトンによる超音波洗浄 (2)純水リンス (3)10%塩化水素水溶液による洗浄10秒 (4)純水リンス このダイヤモンド基板の上に、次の条件でマイクロ波プ
ラズマCVD法によってSi34 配向膜を成長させ
た。
【0059】 [マイクロ波プラズマCVD法] 原料ガス Si3 Cl4 :NH3 :H2 =1:2:6 圧力 100 Torr マイクロ波パワー 350 W 基板温度 800 ℃ 反応時間 25 min α−Si34 膜厚 200 nm
【0060】こうして得られた中間層をX線回折のθ−
2θスキャンによって調べた。これは基板面に対して、
(001)面が平行になるように配向したα−Si3
4 であることが確認された。θ−2θスキャンでは(0
0x)面以外の面からの回折線は現れなかった。つまり
これは高配向膜であることの証拠である。(002)回
折線のロッキングカ−ブ半値幅(FWHM)は4.2゜
であった。
【0061】さらにα−Si34 中間層の上に、レ−
ザアブレーション法によって窒化炭素膜を次の条件によ
って成長させた。パルスYAGレ−ザによってグラファ
イトターゲットをアブレーションし、窒素イオンビ−ム
を基板に照射する。
【0062】[レ−ザアブレーション法] レ−ザ YAGレ−ザ ターゲット グラファイト イオンビ−ム 窒素イオンビ−ム イオンビ−ムエネルギー 100 eV 基板温度 1200 ℃ 成長時間 1 時間 C34 膜厚 400 nm
【0063】こうして得られた薄膜をX線回折のθ−2
θスキャンによって調べた。基板面に対して(001)
面が平行に配向したβ−C34 であることが確認され
た。θ−2θスキャンでは(00x)面以外の面からの
回折線は見られなかった。(002)回折線のロッキン
グカーブの半値幅は5.0゜であった。
【0064】
【発明の効果】C34 は新規な物質であり合成されて
から未だ日が浅い。単結晶C34 はダイヤモンド以上
の硬度を有するものだという計算がなされているが、実
際にはアモルファスのC34 しかできないでいる。こ
れは硬度、耐摩耗性、熱伝導率などにおいて期待される
ほどのものではなかった。しかし本発明は、Si34
の中間層を基板の上に設ける事によって、その上に良好
なC34 の配向膜を成長させることができた。Si3
4 高配向膜を中間層として用いることにより、C3
4 配向膜を作るところに本発明の特徴がある。これによ
って超高硬度の工具、耐摩部品を製造できる。さらに熱
伝導率の高いヒートシンクの材料として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のC34 /Si34 /基板構造材料
の断面図。
【図2】β−Si34 を中間層にして作る本発明のC
34 材料の断面図。
【図3】α−Si34 を中間層にして作る本発明のC
34 材料の断面図。
【図4】h−SiC(001)基板の上にβ−C34
配向膜薄膜を作製する実施例1の部材の構造を示す断面
図。
【図5】h−SiC(001)基板の上にα−C34
配向膜薄膜を作製する実施例2の部材の構造を示す断面
図。
【図6】ダイヤモンド(111)基板の上にβ−C3
4 配向膜薄膜を作製する実施例3の部材の構造を示す断
面図。
【図7】六方晶系の面群を四指数法で表現する場合と三
指数法で表現する場合の両者の関係を示す図。
【図8】a軸長を辺とする六角柱に単位格子(ユニット
セル)が三個分含まれることを示す説明図。
【図9】z軸に直角な面における原子配置によってβ−
Si34 の構造を示す図。z=0.239、z=0.
250、z=0.263、z=0.739、z=0.7
50、z=0.763での窒素原子、シリコン原子の配
置を表している。
【図10】β−Si34 において、abw面に原子位
置を投影した図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に中間層として窒化珪素(Si3
    4 )配向膜が形成され、前記窒化珪素配向膜上に窒化炭
    素配向膜が形成された構造を持つ事を特徴とする窒化炭
    素配向膜被覆部材。
  2. 【請求項2】 窒化炭素配向膜がβ−Si34 型又は
    α−Si34 型の結晶構造を有し、C34 なる化学
    式によって示されることを特徴とする請求項1に記載の
    窒化炭素配向膜被覆部材。
  3. 【請求項3】 窒化珪素配向膜がα型又はβ型結晶構造
    を有する事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    窒化炭素配向膜被覆部材。
  4. 【請求項4】 基板として、サファイヤ、六方晶Si
    C、立方晶SiC、ダイヤモンド、Si、BN、MgO
    の単結晶を使用することを特徴とする請求項1、請求項
    2又は請求項3の何れかに記載の窒化炭素配向膜被覆部
    材。
  5. 【請求項5】 熱CVD法、プラズマCVD法、スパッ
    タリング法、イオンプレーティング法、反応性蒸着法、
    MBE法、レ−ザアブレーション法の何れかによって基
    板の上に窒化珪素配向膜を形成し、窒化珪素配向膜の上
    に、熱CVD法、プラズマCVD法、レーザCVD法、
    スパッタリング法、イオンビームスパッタ法、イオンプ
    レーティング法、反応性蒸着法、MBE法、レ−ザアブ
    レーション法の何れかによって窒化炭素配向膜を形成す
    る事を特徴とする窒化炭素配向膜被覆部材の製造方法。
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