JPH09176535A - 透明又は光沢のある媒体上にプリントされたイメージを形成する染料の結晶化を低減する方法 - Google Patents

透明又は光沢のある媒体上にプリントされたイメージを形成する染料の結晶化を低減する方法

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JPH09176535A
JPH09176535A JP8317478A JP31747896A JPH09176535A JP H09176535 A JPH09176535 A JP H09176535A JP 8317478 A JP8317478 A JP 8317478A JP 31747896 A JP31747896 A JP 31747896A JP H09176535 A JPH09176535 A JP H09176535A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スライド等の透明又は光沢媒体において、印刷
結果を劣化させる黄色染料分子の結晶化を低減する方
法。 【解決手段】本発明は、約6〜9 wt%のEHPDと約3〜9
wt%の2-ピロリドンと約3〜9 wt%のDEGを含むベヒク
ルを調製し、pHが約5〜7内に維持する量の緩衝液を含
み、インクの無機塩成分としてカルシウムイオンを含む
ように調製する工程の少なくとも一工程を含む。更に、
3.5wt%を越えない染料を含み、媒体のコーティングの膜
厚を大きくして染料の結晶化を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、インクジェット・プ
リンティングに関し、より詳細には、フィルム及び紙を
ベースとした透明及び光沢のある媒体(glossy media)上
にイメージを形成する黄色インクジェット用インク組成
物中のアニオン染料のアシッド・イエロー23(Acid Y
ellow 23)の結晶化の低減に関する。
【0002】
【背景技術】インクジェット・プリンティングは、ノン
インパクト(非衝撃式)プリンティング・プロセスであ
り、この場合、インク液滴を印刷媒体上に特定の順に被
着させて、英数字文字、塗りつぶし(area fills)及びそ
の他のパターンを媒体上に形成するものである。低価で
高品質の出力は、比較的雑音のない運転と組み合わせ
て、インクジェット・プリンタをコンピュータとともに
用いられる他のプリンタに代わる普及型代替機となって
いる。
【0003】インクジェット・プリンティングのノンイ
ンパクト・プリンティング・プロセスは、マイクロプロ
セッサによって生成させた電気信号に応答して、紙、透
明、不透明フィルム又は織物等のプリント媒体上に微細
なインク液滴を噴射するものである。インク液滴噴射イ
ンクジェット・プリンティングを遂行するのに現在利用
できる基本的手段には、熱的に行うものと圧電式の2通
りがある。サーマルインクジェット・プリンティングで
は、液滴噴射エネルギーは、電気加熱型抵抗素子によっ
て発生されるもので、これは、マイクロプロセッサから
の電気信号に応答して急速に加熱され、蒸気泡を生成
し、その結果、抵抗素子に連結しているノズルを通して
インクを放出するものである。圧電式インクジェット・
プリンティングでは、マイクロプロセッサによって生成
させた電気信号に応答する圧電性結晶の振動によってイ
ンク液滴を噴射する。
【0004】ヒューレット・パッカード・カンパニーよ
り提供されるDeskJet(登録商標)プリンタのような、
市販のサーマル・インクジェットカラープリンタでは、
カラースペクトルは、黄色、マゼンタ、シアン及び黒色
のインクを種々の比率で組み合わせることによって得ら
れる。黄色、マゼンタ、シアン及び黒色インクは、色相
をそれぞれ黄色、マゼンタ、シアン及び黒色の着色剤か
ら誘導する。
【0005】インク用着色剤は、染料又は顔料の形で使
用できる。従って、インクジェット用インクは、染料ベ
ース及び/又は顔料ベースの組成物として使用できる。
2つのうち、染料ベースのインクジェット用インク組成
物がより広範囲に利用されている。染料ベースのインク
ジェット用インク組成物は、一般に、水溶性であり、染
料をインクベヒクルに溶解させて配合する。インクジェ
ット用インク組成物に用いられる染料分子は、しばし
ば、ナトリウム、リチウム又はテトラメチルアンモニウ
ム(TMA)のような染料のアニオン及びカチオンから作ら
れた染料の塩基の形である。限定されている顔料ベース
のインクジェット用インクも使用することができ、これ
は一般に、分散剤で水性溶液中に分散した顔料から成
る。顔料は、耐水性(waterfastness)及び耐光性(lig
htfastness)という極めて望ましい特性を提供するとは
いえ、染料ベースのインクと比較して、それら本来の水
性媒体で集塊化する傾向と均一なサイズ分布の欠如とい
う問題のため、インクジェット用インク組成物としてそ
れらを採用しようとする産業上の熱意に水を差すもので
あった。
【0006】インクジェット・プリンティングにおける
優れたプリント品質は、いくつかの異なった測定スティ
ックによって定量化される。例えば、インクジェット用
インク組成物の3つの望ましい品質は、耐水性、耐光性
及び優れたエッジ尖鋭性(edge acuity)である。これら
の優れたプリント品質の尺度に加えて、フィルム及び紙
ベースの透明又は光沢媒体上にプリントする際は、イン
クジェット用インク組成物はさらに付加的な測定スティ
ックによっ鮮明度(clarity)について測定される。よ
り詳細には、透明又は光沢媒体上のイメージは、非光沢
紙の媒体上へプリントしたイメージに対しては本来留意
しなくてよい、曇りまたは濁りをおびる(haziness)こと
のないことが望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】透明又は光沢のある媒
体上にプリントされたイメージに関する望ましくない曇
りまたは濁りについての可能性のある原因の1つは、染
料分子の結晶化である。本発明では、そのような結晶化
は、アニオン染料分子であるアシッド・イエロー23
(Acid Yellow 23)を含有している黄色染料ベースのイ
ンクジェット用インク組成物に関連するものであること
を見出した。Acid Yellow 23を含むインクについては、
画像を透明又は光沢媒体上にプリントした後、時間が経
ってから曇り又は濁りの発生が観察されることがある。
Acid Yellow 23染料分子の結晶化によって、フィルム及
び紙ベースの透明及び光沢媒体上で散乱する光が増え、
黄褐色の外観を呈する。さらに、この曇りは、黄色のイ
ンクを含有するインクで着色した任意の領域で観察され
ることがある。従って、黄、赤、及び緑領域では、それ
ぞれ、潜在的にこの問題が出現する。
【0008】従って、Acid Yellow 23アニオン染料分子
の結晶化の問題を解決するための、即ち、そのような染
料分子を使って(フィルム及び紙ベースの)透明及び光
沢媒体上に作られるイメージが曇ったりまたは濁りをお
びたりせず、鮮明にする必要性は存在する。Acid Yello
w 23アニオン染料分子の結晶化の問題に対する解決策
は、効果的で、容易に実施でき且つ安価でなければなら
ない。最終的に、総合プリント品質を犠牲にしてはいけ
ない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明により、透明及び
光沢媒体(フィルム又は紙ベースのどちらでも)の上に
イメージとしてプリントされた黄色のインクジェット用
インク組成物に含まれるAcid Yellow 23アニオン染料の
結晶化を低減させる方法が、黄色のインクジェット用イ
ンク組成物の生成方法と共に提供される。該方法は、次
の3つの条件の少なくとも1つに従い、黄色のインクジ
ェット用インク組成物を配合することから成る。 (a)第一条件として、黄色のインクジェット用インク組
成物のベヒクルは、約6〜9 wt%のエチルヒドロキシプロ
パンジオールと約3〜9 wt%の2-ピロリドンと約3〜9 wt%
のジエチレングリコールとを含み、(b)第二条件とし
て、そのベヒクルは、黄色のインクジェット用インク組
成物のpHを約5〜7の範囲内に維持するのに十分な量の
緩衝液を含み、(c)第三条件として、黄色のインクジェ
ット用インク組成物の無機塩成分は、カチオンとアニオ
ンから成り、カチオンは実質上マグネシウムイオンを除
いたカルシウムイオンから成る。
【0010】前述の条件の何れか又は全てを実行して黄
色のインクジェット用インクの結晶化を低減してよい
が、3つの組合せが特に有効である。より限定された具
体例でも、上の3つの条件の何れか又は全てを使って結
晶化を低減するための2つの付加的方法が組み込まれ
る。より詳細には、その方法はまた、好ましくは、黄色
のインクジェット用インクの染料容量(dye load)を約3.
5 wt%を越えないところまで減ずることと、透明又は光
沢媒体の表面コーティングの厚さをその典型値10μmか
ら少なくとも約12μmまで増やすことを包含する。
【0011】本発明の方法とインクジェット用インク組
成物によってAcid Yellow 23アニオン染料の結晶化の低
減が達成される。インクベヒクルが、ここに開示且つ推
奨した溶媒系、pH及び無機塩カチオンに再配合され、そ
して染料容量を適切に減らされ且つ透明又は光沢媒体の
コーティングがわずかに厚くなり、黄色染料の結晶化が
完全に排除される。それ故、本方法は、極めて有効であ
る。さらに、この方法で提供される解決策は、容易且つ
安価に実行され、且つ総合的プリント品質を犠牲にはし
ない。
【0012】
【発明の実施例】ここに記述する発明は、ヒューレット
・パッカード・カンパニーから市販されているDeskJet
(登録商標)プリンタ等のインクジェット・プリンタに
よって(フィルム及び紙ベースの)透明及び光沢媒体上
にプリントされるインクジェット用インク組成物に含ま
れるアニオン染料分子Acid Yellow 23の結晶化の低減を
志向するものである。結晶化の低減を達成すべくここに
開示された方法には、いくつかの異なったオプションが
含まれ、それらは、結晶化を低減するために単独でもし
くは組合せで用いてよい。また、低い結晶化を呈するAc
id Yellow 23から成るインクジェット用インク組成物も
開示される。
【0013】本発明の方法は、次の3つの条件の少なく
とも1つに従い、黄色のインクジェット用インク組成を
配合することから成る。 (a)第一条件として、黄色のインクジェット用インク組
成物のベヒクルは、約6〜9 wt%のエチルヒドロキシプロ
パンジオールと、約3〜9 wt%の2-ピロリドンと、約3〜9
wt%のジエチレングリコールとを含み、(b)第二条件と
して、そのベヒクルは、黄色のインクジェット用インク
組成物のpHを約5〜7の範囲内に維持するのに十分な量
の緩衝液を含み、(c)第三条件として、黄色のインクジ
ェット用インク組成物の無機塩成分は、カチオンアニオ
ンから成り、カチオンはマグクネシウムイオンを実質上
除いたカルシウムイオンから成る。
【0014】全ての成分の純度は、インクジェット用イ
ンク組成物として通常の商業的実践に用いられる。重量
パーセントは、別に表示しない限り、全インク成分のパ
ーセントを表す。
【0015】選択されたステップによっていったん配合
が達成されると、得られたインクジェット用インク組成
物は、インクジェット・プリンタによって(フィルム及
び紙ベースの)透明及び光沢媒体上にプリントしてよ
く、その結果、創り出されるイメージでは、Acid Yello
w 23アニオン染料の結晶化の低減が立証される。とりわ
け、ここに引用したインクジェット用インク組成物は、
その配合に当たり、前述の3条件のうちの少なくとも1
つを織り込んだものである。前述の条件の何れか又は全
てを実行して黄色のインクジェット用インクの結晶化を
低減してよいが、3つの組合せが特に有効である。
【0016】結晶化を低減させるための上述の手段に代
わるものとして、ある与えられた領域に印加される黄色
インクの濃度を単純に減らすか又は黄色インクの染料容
量を減らすかして、結晶化の低減を遂行してもよいこと
に注意する。しかし、これらの両方の行為によって、得
られたカラーの強度(即ち、彩度)が減少する。そのよ
うに、黄色領域は、「色はげした(washed-out)」よう
に見えるか又は望ましくない光を呈する。さらに、赤と
緑の領域に対して適当な色相角(hue angle)を維持する
ために、黄色インクと混ぜられるマゼンタ色のインク又
はシアン色インクも相応して減らさなければならず、結
果的に、これらの領域も外見は「色はげ」することにな
る。
【0017】透明及び光沢媒体上にプリントされるイン
クジェット用インク組成物の結晶化を減ずるのに用いて
よい別の代替方法は、前述のプリント媒体上の溶媒吸収
層の厚さを増やすことである。これは、コーティングの
単位容積当りのモルに換算したプリント媒体上の染料分
子の濃度を減ずるという効果がある。溶媒吸収層の厚さ
を増やすことにより、染料分子の濃度がその環境に対す
るそれの溶解度限界以下に減少し、よって、染料の結晶
化を低減することが推定される。しかし、溶媒吸収層の
厚さを増やせば、プリント媒体のコストも増大する。
【0018】本発明の最も好ましい実施例には、上記の
3つの条件の何れか又は全てによって結晶化を低減する
ための2つの代替方法が適度に組み込まれている。従っ
て、本発明の最も好ましい方法には、インク組成物のベ
ヒクルに向けられた3条件全てを組み込むことと同様に
黄色インクの染料容量を約3.5 wt%を越えないところま
で減ずることと、さらに透明又は光沢媒体の表面コーテ
ィングの厚さを増やすことが含まれる。
【0019】本願発明の実施において特に利益を得る染
料成分は、黄色のアニオン染料、即ち、Acid Yellow 23
アニオン染料である。この染料は、精製後、インクベヒ
クルと結合させて、インクジェット・プリンティングに
用いられる水溶性の、染料ベースのインクジェット用イ
ンク組成物を形成する。Acid Yellow 23の染料分子のア
ニオンは、典型的に、商業的に利用できるようなナトリ
ウムのカチオンと結合するが、イオン交換のような技術
を使って、その染料を処理してナトリウムのカチオンを
テトラメチルアンモニウム(TMA)と置換するのが一般的
である。
【0020】黄色インク組成物と共に、典型的に、マゼ
ンタ、シアン及び黒色インク組成物が生成され、DeskJe
t(登録商標)プリンタのような4色カラーインクジェ
ットプリンタ用の完全なセットを構成する。本発明の実
施に当たりこれらの4つのインクを調合するのに用いて
よい特定の染料の組み合わせの例として、Direct Blue
199とAcid Blue 9(シアン)、Reactive Red 180とAcid
Red 52(マゼンタ)及びAcid Yellow 23(黄色)など
が挙げられる。連結する黒色インクは、通常、染料ベー
スのインク又は顔料ベースのインクのどちらかで表され
る。
【0021】Acid Yellow 23アニオン染料−TMAは、い
ったんプリント媒体上にプリントされると結晶化するこ
とが確認されており、これは、もし透明又は光沢媒体が
使われる場合に問題となる。Acid Yellow 23アニオン染
料の結晶化によって、フィルム及び紙ベースの、透明及
び光沢媒体上で光の散乱が増大し、よって、外観が曇る
ことになる。この効果は、黄色インクを含んでいる透明
又は光沢媒体上のインク着色領域のどこにも見られ、そ
の結果、そのイメージの赤と緑の領域は、黄色領域とと
もに悪影響を受ける。そのような結晶化問題を経験する
典型的なインクジェット用インク組成物は、Acid Yello
w 23−TMA、1,5-ペンタンジオール、エチルヒドロキシ
プロパンジオール(EHPD)及び2-ピロリドンを含有する溶
媒系と、硝酸マグネシウムのような無機塩と、界面活性
剤、緩衝液及び殺生物剤のようなその他の成分と、水と
から成る。より詳細には、本発明の実施により利益を得
るであろう例示の黄色インクジェット用インクの配合物
には次のものを含んでいてよい。(a)約3.8 wt%のAcid Y
ellow 23-TMA、(b)約7.5 wt%のEHPD、(c)約7.5 wt%の2-
ピロリドン、(d)約8.0 wt%の1,5-ペンタンジオール、
(e)約4.5 wt%の硝酸マグネシウム、(f)約2.5 wt%の界面
活性剤、(g)それぞれ約0.2 wt%の緩衝液と殺生物剤及び
(h)バランスをとった量の水である。
【0022】本発明により、Acid Yellow 23アニオン染
料と結合されるインク・ベヒクルは、再配合されて染料
の結晶化傾向を低減することもできる。3つのアプロー
チ、即ち、(1)溶媒系を再調合することと、(2)黄色イン
クのpHを特定の範囲内に維持することと、さらに(3)イ
ンクの無機成分と結合される特定のカチオンを使うこと
は、単独でもしくは組合せて用いてよい。
【0023】第一のアプローチでは、黄色インクの溶媒
系は、再調合してAcid Yellow 23染料分子の結晶化の低
減を達成してよい。発明の実施において、結晶化の低減
は、Acid Yellow 23アニオン染料が約6〜9 wt%EHPD、約
3〜9 wt%の2-ピロリドン及び約3〜9 wt%のジエチレング
リコール(DEG)から成る溶媒系と共に用いられる時に達
成される。より好ましくは、溶媒系は、約7.5〜8.5 wt%
EHPD、約3〜5 wt%の2-ピロリドン及び約3〜5 wt%のジエ
チレングリコールから成る。最も好ましくは、溶媒系
は、約7.5〜8.5 wt%EHPD、約3.5〜4.5 wt%の2-ピロリド
ン及び約3.5〜4.5wt%のジエチレングリコールから成
る。以下の実施例に説明するように、8 wt%EHPD、4 wt%
の2-ピロリドン及び4 wt%のジエチレングリコールから
成る溶媒系Aを用いれば、8 wt% 1,5-ペンタンジオー
ル、7.5 wt%EHPD及び7.5 wt% 2-ピロリドンから成る溶
媒系Bに比較して染料の結晶化が低減される。
【0024】第二のアプローチでは、黄色のインクジェ
ット用インク組成物のpHは、インクベヒクルに緩衝剤を
含有させることによって、約5〜7の範囲内に維持され
る。以下の実施例で立証されるように、約7というpHを
有する黄色のインクジェット用インクは、イメージ領域
における結晶化が約pH 8で調合したインクより低い。本
発明の実施に当たりpHを緩和するために使われる緩衝剤
は、無機緩衝剤では予想されるインク組成中に比較的大
量の無機塩が存在すると多分沈殿するであろうから、有
機系の生物緩衝剤でなければならない。好んで使われる
緩衝剤の例には、例えばAldrich Chemical社(Milwauke
e, WI)から市販されているトリズマ・ベース(Trizma B
ase)及び4-モリホリンエタンスルホン酸(MES)がある。
典型的には、本願の黄色インクジェット用インクは、約
0.1〜1 wt%の緩衝剤を含有する。
【0025】第三のアプローチでは、無機塩成分と結合
されるカチオンは、マグネシウムよりむしろカルシウム
である。本願のインクベヒクルの無機塩成分は、インク
・セットの黒インクとカラーインク間のにじみを防ぐ働
きがあり、用いられた濃度のインクで必ず溶解する1以
上の無機塩から成る。無機塩に通常用いられるカチオン
には、周期律表の2A族のアルカリ土類金属(例えば、マ
グネシウムとカルシウム)、周期律表の3B族の遷移金属
(例えば、ランタン)、周期律表の3A族由来のカチオン
(例えば、アルミニウム)及びランタニド(例えば、ネ
オジム)が含まれ、そのカルシウムとマグネシウムが最
も一般的に選択されるものである。それら2つのうち、
カルシウムは、マグネシウムと対比してカルシウムの存
在ではAcid Yellow 23染料分子の結晶化が低いという理
由で、マグネシウムより望ましい。適切に使われるカル
シウム結合アニオンには、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、安
息香酸塩、ギ酸塩及びチオシアン酸塩があり、カルシウ
ムの硝酸塩、塩化物及び酢酸塩が最も好ましい。本願の
黄色インクジェット用インク組成物は、好ましくは、結
合しているカルシウムカチオンを有する約3〜6 wt%の無
機塩を使い、最も好ましくは、約4〜5 wt%の硝酸カルシ
ウムを使う。
【0026】Acid Yellow 23の結晶化を減ずるための上
述の3つのアプローチの中、最も有効なのは、インクの
無機塩成分にマグネシウムよりむしろカルシウムを使
い、続いて溶媒系を選択することである。最終的に、Ac
id Yellow 23の結晶化を減ずるための最小限有効なアプ
ローチは、pHを約5〜7の範囲内に維持することであ
る。
【0027】上述の3つのアプローチの何れか又は全部
と結晶化を低減する2つの代替方法を併合することによ
り、Acid Yellow 23の結晶化の量がさらに減らすことが
可能である。結晶化を減ずるための1つの代替方法は、
黄色インク組成物の染料容量を減らすことである。より
詳細には、黄色インクジェット用インクの染料容量は、
通常、約4 wt%までの範囲にある。最大染料容量を約3.5
wt%未満、好ましくは、約3.0〜3.5 wt%の範囲内に減ら
すことにより、染料分子の結晶化の低減が進むことが観
察される。染料容量を減らすことは、得られるカラー強
度を減らすという効果があり、従って、本発明の実施に
当たっては、染料容量をほんの少し減らし、且つ、溶媒
系の再調合のような、他のアプローチを同時に実施して
結晶化の低減を遂行することを意図している。
【0028】結晶化を減ずる別の代替方法は、透明又は
光沢媒体の表面コーティングの厚さを増やすことであ
る。透明フィルムの例は、ヒューレット・パッカード・
カンパニーから市販されている Premium Transparency
Filmという製品名がある。光沢紙の例は、これもヒュー
レット・パッカード・カンパニーから市販されているPr
emium Glossy Paperという製品名である。
【0029】典型的には、前述の透明及び光沢媒体は、
溶媒吸収層でコーティングされている。溶媒吸収層の厚
さを増やすことで、コーティングの単位容積当りのモル
換算でフィルム又は紙の基板上の染料分子の濃度が効果
的に減らされる。層厚を増やしてその溶解度限界以下に
染料分子の濃度を減らすことにより結晶化が避けられる
ものと推定される。溶媒吸収層の厚さを大幅に増やすこ
とは、媒体のコストに顕著な影響を及ぼす故、染料分子
の結晶化を減ずる別のアプローチと組み合わせながら溶
媒吸収層の厚さの適度な増加を計るのは、経済的に賢明
である。従って、前述の層は、典型的に、約10μmであ
るので、発明の実施に際しては、厚さを少なくとも約12
μmに適度に増やすことが考えられる。溶媒吸収層の厚
さは、フィルム又は紙の基板のウェブ上に余剰のコーテ
ィングを施し、次いで、そのコーティングしたウェブを
ある種のロッド又はブレード(刃)の下を通過させて余
剰コーティングを掻き取ることにより制御する。コーテ
ィングの厚さは、移動するウェブとロッド又はブレード
の間のギャップを拡げたり又は狭めたりして調節するこ
とができる。
【0030】実際問題として、黄色インクの染料容量を
多少減らすことと並びに透明又は光沢媒体上のコーティ
ングを多少厚くすることと組み合わせて、望ましい溶媒
系、カチオン及びpHを用いることにより、Acid Yellow
23染料分子の結晶化が完全に排除されることが観察され
る。
【0031】上述の溶媒系、緩衝剤及び無機塩とは別
に、黄色インクジェット用インク組成物に存在してよい
他の成分には、界面活性剤、殺虫剤及びその類がある。
該成分は、インクジェット用インク組成物に通常用いら
れる添加剤である。
【0032】界面活性剤成分に特に関連して、界面活性
剤の1つのよく知られた目的は、プリント媒体中へのイ
ンクの浸透を高めてカラー間のにじみを防ぐことであ
る。界面活性剤は、インクに実質上均一な表面エネルギ
ーを生成させ、それによって、ノズル板上のインクのパ
ドリング(溜まり)などによって、誤った滴下の発生を
軽減させるのに用いてもよい。本願のインク組成物に用
いて望ましい界面活性剤の種類の例としては、アニオン
界面活性剤と非イオン性界面活性剤がある。
【0033】インクジェット用インクに通常用いられる
殺虫剤はどれも本願発明のインク、例えば、Huls Ameri
ca社 (Piscataway,N.J.)から販売されているNUOSEPT 9
5、ICIAmerica社(Wilmington, Del.)からのPROXEL GXL
及び商品名UCARCIDE 250を付してUnion Carbide Compan
y社 (Bound Brook, N.J.)から市販されているグルタル
アルデヒドに用いてもよい。PROXEL GXLは、好ましい殺
虫剤である。本願の黄色インクジェット用インクは、約
0.3 wt%未満の殺虫剤を含有する。
【0034】最後に、本願発明の実施において用いてよ
い別のオプション成分は、硝酸アンモニウムであり、こ
れはカルシウム含有無機塩と共に用いてよい。硝酸アン
モニウムは、インク中の前述のカルシウム含有無機塩が
大気中の二酸化炭素に晒されると沈殿するという現象を
防ぐ働きがある。
【0035】最も好ましくは、黄色インクは、次の配合
によって作成され、且つ約6.5のpHに緩和される。 (a)約3.0〜3.5 wt%のAcid Yellow 23−TMA、(b)約7.5〜
8.5 wt% EHPD、(c)約3.5〜4.5 wt% 2-ピロリドン、(d)
約3.5〜4.5 wt% ジエチレングリコール、(e)約4〜5 wt%
硝酸カルシウム、(f)約4 wt%未満の少なくとも1つの界
面活性剤、好ましくは、アニオン界面活性剤もしくは非
イオン性界面活性剤、(g)約0.1〜1 wt%の緩衝剤、好ま
しくは、トリズマ・ベース又はMES、(h)約0.3 wt%未満
の殺虫剤、好ましくは、PROXEL GXL及び(i)残りバラン
スをとる量の水。
【0036】上記の黄色インクを配合し且つその同一物
を10μmから少なくとも12μmまで増加させたコーティン
グ厚を有する透明又は光沢媒体上にプリントすること
で、Acid Yellow 23染料分子の結晶化は完全に根絶され
るであろう。
【0037】Acid Yellow 23染料分子の結晶化を低減す
るのに単一でもしくは組み合わせて用いるこれらの様々
なアプローチにおいて実現できる諸利点は、以下の実施
例で説明する。
【0038】
【実施例】本発明の実施において得られる諸利点を説明
するため、一組7つのインクを調製した。これらのイン
クの組成を表1に挙げる。各インクは、DeskJet(登録
商標)850サーマルインクジェットプリンタを使って、
ヒューレット・パッカード・カンパニーのPremium Tran
sparency Film(製品名)上にプリントした。約3〜20日
の時間経過後、各インクでプリントしたイメージを調べ
て、インクの相対的結晶化の測定を実施できるようにし
た。これらの結果も表1に挙げる。より詳細には、イン
クは、結晶化の程度の順に、即ち、最高位の結晶化を呈
するインクを第1のカラー (Col. 1)にそして最低位の
結晶化を呈するインクを第7のカラー(Col. 7)に示し
た。
【0039】
【表1】
【0040】それ故、表1の結果に基づけば、溶媒系、
染料容量、pH、カチオン及びコーティングの厚さのそれ
ぞれ単独変量の変更によって、第1カラーの劣位のイン
ク組成に比べ結晶化が前進的に低減すると結論される。
しかし、第7カラーにおけるように、単一のインクにそ
の変更の全てが組み入れられた時は、結晶化は完全に排
除されることがはっきりした。
【0041】このように、Acid Yellow 23染料分子の結
晶化は、容易に実施できるインク組成及び媒体コーティ
ング厚の変更によって低減できることが立証された。さ
らに、結晶化の完全な根絶は、提案された5つの変更、
即ち、(1)溶媒系の再配合、(2)無機塩成分にマグネシウ
ムよりむしろカルシウムを使用すること、(3)インクのp
Hを約7を越えないところに維持すること、(4)インク中
の染料容量を多少減らすこと及び(5)透明又は光沢媒体
上に多少厚いコーティングを採用すことを、それぞれ、
組み入れることによって達成できることも立証された。
【0042】フィルムベース及び紙ベースの透明及び光
沢媒体上へのインクジェット・プリンティングにおいて
Acid Yellow 23アニオン染料分子の低結晶化を実現する
ために本願明細書に開示された本願の方法とインク組成
物は、サーマルインクジェットカラー・プリンティング
において商業上の用途を見出すことが期待される。
【0043】このように、ここでは、Acid Yellow 23を
含有するインクジェット用インク組成物がフィルムベー
ス及び紙ベースの透明及び光沢媒体上へインクジェット
プリントされる時に、そうでなければ経験したAcid Yel
low 23アニオン染料分子の結晶化を低減する方法とイン
クジェット用インク組成物が開示された。明白な性質の
種々の変更並びに修正は、本発明の精神から逸脱するこ
となく実施してよいこと、且つ前述の変更並びに修正の
全ては、特許の請求範囲によって規定された発明の範囲
内に帰属するものと考えられることは熟練した当業者に
は明らかな事項である。
【0044】以上、本発明の実施例について詳述した
が、以下、本発明の各実施態様の例を示す。 (実施態様1)測定可能な厚さの透明なポリマーの表面
コーティングをその上に有するプリント媒体上にプリン
トされた黄色インクの結晶化を低減する方法において、
前記黄色インクは、アシッド・イエロー23のアニオン
染料とベヒクルから成り、前記ベヒクルはカチオンとア
ニオンから成る無機塩を含有し、さらに前記黄色インク
は測定可能なpHを有するものであり、前記ベヒクルを、
前記黄色インクが、約6〜9 重量%のエチルヒドロキシプ
ロパンジオールと、約3〜9 重量%の2-ピロリドンと、そ
して約3〜9重量%のジエチレングリコールとを含むよう
に調製する第1のステップと、前記ベヒクルを、前記黄
色インクのpHを約5〜7の範囲内に維持するのに十分な量
の緩衝剤を含むように調製する第2のステップと、前記
ベヒクルを、前記無機塩のカチオンが、実質上、マグネ
シウムイオンを除外してカルシウムイオンを包含するよ
うに調製する第3のステップの少なくとも1つに従って
前記の黄色インク組成物を調製することから成ることを
特徴とする方法。 (実施態様2)さらに約3.5 重量%を越えない前記アシ
ッド・イエロ−23のアニオン染料を含有するように前
記黄色インクを調製するステップと、前記媒体の前記透
明なポリマーの表面コーティングの厚さを少なくとも約
12μmまで増やすステップを含む実施態様1の方法。 (実施態様3)前記第1のステップの前記ベヒクルは、
約7.5〜8.5重量%のエチルヒドロキシプロパンジオール
と、約3〜5 重量%の2-ピロリドンと、そして約3〜5 重
量%のジエチレングリコールとを含むことを特徴とする
実施態様1記載の方法。 (実施態様4)前記第2のステップの前記緩衝剤は、前
記黄色インクの前記pHを約6.5に維持するのに十分な量
で存在することを特徴とする実施態様1記載の方法。 (実施態様5)前記第3のステップの前記無機塩は、本
質的に硝酸カルシウムから成ることを特徴とする実施態
様1記載の方法。 (実施態様6)前記ベヒクルは、約6〜9 重量%のエチル
ヒドロキシプロパンジオールと、約3〜9重量%の2-ピロ
リドンと、約3〜9重量%のジエチレングリコールと、前
記pHを約5〜7の範囲内に維持する約0.1〜1重量%の緩衝
剤と、約3〜6重量%の前記無機塩と(前記無機塩の前記
カチオン成分は、実質上マグネシウムイオンを除外し
て、カルシウムイオンを含有)と、約4 重量%未満の界
面活性剤と、約0.3重量%未満の殺生物剤と、(h)バラン
スをとる量の水を含むよう調製されることを特徴とする
実施態様1記載の方法。 (実施態様7)前記方法は、約0.1〜3.5重量%のアシッ
ド・イエロー23−TMAからなる染料と、約6〜9重量
%のエチルヒドロキシプロパンジオールと、約3〜9重量%
の2-ピロリドンと、約3〜9 重量%のジエチレングリコー
ルと、前記pHを〜7の範囲内に維持する約0.1〜1 重量%
の緩衝剤と、約3〜6 重量%の無機塩と(この場合、前記
無機塩の前記カチオン成分は、実質上マグネシウムイオ
ンを除外して、カルシウムイオンを含有)と、約4 重量
%未満の界面活性剤と、約0.3重量%未満の殺生物剤と、
バランスをとる量の水とを含有するように前記黄色イン
クを調製するステップと、前記媒体の前記の透明なポリ
マーの表面コーティングの厚さを少なくとも約12μmま
で増やすステップとを含む実施態様2記載の方法。 (実施態様8)前記方法は、約0.1〜3.5 重量%のアシッ
ド・イエロー23−TMAと、約7.5〜8.5重量%のエチ
ルヒドロキシプロパンジオールと、約3〜5 重量%の2-ピ
ロリドンと、約3〜5 重量%のジエチレングリコールと、
前記pHを約5から7の範囲内に維持する約0.1〜1重量%の
緩衝剤と、約4〜5重量%の無機塩と(前記無機塩のカチ
オン成分は、実質上マグネシウムイオンを除外して、カ
ルシウムイオンを含む)と、約4 重量%未満の界面活性
剤と、約0.3 重量%未満の殺生物剤と、バランスをとる
量の水とを含有するように前記黄色インクを調製するス
テップと、前記媒体の前記透明なポリマーの表面コーテ
ィングの厚さを少なくとも約12μmまで増やすステップ
とを含む実施態様7記載の方法。 (実施態様9)実施態様1の方法に従って調製される黄
色インク組成物であって、アシッド・イエロー23のア
ニオン染料とベヒクルから成り、前記ベヒクルは前記カ
チオンと前記アニオンから成る前記無機塩を含有し、前
記黄色インクは測定可能なpHを有し、前記黄色インク組
成物は、さらに、前記ベヒクルは、前記黄色インク組成
物の重量パーセントで、約6〜9重量%のエチルヒドロキ
シプロパンジオールと、約3〜9 重量%の2-ピロリドン
と、約3〜9 重量%のジエチレングリコールを含む第1の
条件と、前記ベヒクルは、前記黄色インク組成物のpHを
約5〜7の範囲内に維持するのに十分な量の緩衝剤を含む
第2の条件と、前記無機塩のカチオンが、実質上マグネ
シウムイオンを除外して、カルシウムイオンを含む第3
の条件の少なくとも1条件を満足する黄色インク組成
物。 (実施態様10)約0.1〜3.5 重量%のアシッド・イエロ
ー23−TMAと、約7.5〜8.5重量%のエチルヒドロキ
シプロパンジオールと、約3〜5 重量%の2-ピロリドン
と、約3〜5重量%のジエチレングリコールと、 前記pHを
約5から7の範囲内に維持する約0.1〜1 重量%の緩衝剤
と、約4〜5 重量%の無機塩と(カチオン成分は、実質上
マグネシウムイオンを除外して、カルシウムイオンを含
む)、約4 重量%未満の界面活性剤と、約0.3重量%未満
の殺虫剤と、バランスをとる量の水とを含む実施態様9
記載の黄色インク組成物。
【0045】
【発明の効果】以上、説明したように、本願発明によっ
て、種々のプリント特性の品質を劣化することなく、光
沢のあるプリント媒体もしくはスライドなどの透明媒体
上に形成されたイメージ中の黄色が濁りやくもっていな
い、鮮明な色となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定可能な厚さの透明なポリマーの表面コ
    ーティングをその上に有するプリント媒体上にプリント
    された黄色インクの結晶化を低減する方法において、 前記黄色インクは、アシッド・イエロー23のアニオン
    染料とベヒクルから成り、前記ベヒクルはカチオンとア
    ニオンから成る無機塩を含有し、さらに前記黄色インク
    は測定可能なpHを有するものであり、 前記ベヒクルを、前記黄色インクが、約6〜9 重量%のエ
    チルヒドロキシプロパンジオールと、約3〜9 重量%の2-
    ピロリドンと、そして約3〜9重量%のジエチレングリコ
    ールとを含むように調製する第1のステップと、 前記ベヒクルを、前記黄色インクのpHを約5〜7の範囲内
    に維持するのに十分な量の緩衝剤を含むように調製する
    第2のステップと、 前記ベヒクルを、前記無機塩のカチオンが、実質上、マ
    グネシウムイオンを除外してカルシウムイオンを包含す
    るように調製する第3のステップの少なくとも1つに従
    って前記の黄色インク組成物を調製することから成るこ
    とを特徴とする方法。
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