JPH09182982A - レールのテルミット溶接方法 - Google Patents

レールのテルミット溶接方法

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JPH09182982A
JPH09182982A JP11961196A JP11961196A JPH09182982A JP H09182982 A JPH09182982 A JP H09182982A JP 11961196 A JP11961196 A JP 11961196A JP 11961196 A JP11961196 A JP 11961196A JP H09182982 A JPH09182982 A JP H09182982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応力集中による破壊からレール連結部を防止
することができるレールのテルミット溶接方法を提供す
る。 【解決手段】 分割構造を具備するレール溶接用鋳型1
0Bを用いてレール11、12の端部同士を融解して連
結するレールのテルミット溶接方法において、テルミッ
ト溶接の際に、予熱された足表部28から腹部の下部の
範囲におけるレール断面表層部の溶け込み幅W4 を、レ
ール溶接用鋳型10Bの余盛り形成凹部21cの止端部
29間の幅W3 と同じ又はこの幅W3 より10mmの範
囲で大きくし、余盛り形成凹部21cの各止端部29と
レール11、12の表面11a、12aとの間に未融合
部30が発生するのを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレール突き合わせ溶
接部を応力集中による破壊から防止することができるレ
ールのテルミット溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レールのテルミット溶接について
は、例えば、特公昭59−8477号公報に、レールの
テルミット溶接方法及び同方法に好適に用いることがで
きる鋳型が提示されている。この方法は、所定の隙間を
有して相対向して配置されたレールの端部をレール幅方
向に左右に分割された鋳型によって囲み、上部からテル
ミット法によって製造された溶融金属をキャビティ部内
に注入して、前記レール同士を接合するようにしたもの
である。また、特公昭60−54145号公報に、鋳型
の構成部材間の接触面に耐火性圧縮フェルト帯状体を設
ける方法が提示されており、鋳型キャビティ部内に注入
された溶接用の溶融金属が鋳型とレールとの接触面の隙
間より漏れ出ることのないように、密封状態にしてレー
ルを接合するようにしている。
【0003】ところで、溶接すべきレールの一方が使用
中であり、他方は新品である場合には、両レールの天端
を合わせるために両レールの足の位置が合わなくなる。
従って、場合によっては、最大7mm程度の段差が生ず
る。この場合、前記した特公昭59−8477号公報及
び特公昭60−54145号公報に示すように、二分割
型の鋳型を使用して溶接を行なったのでは、接合するレ
ールの上下面と鋳型の内側上下面との間に上下方向の隙
間ができる。また、レールにも小さな製造誤差もあり、
これによってもレールの外面と鋳型の内面との間に隙間
が生ずる。そして、この隙間は、溶融金属が漏出して鋳
張りを生じさせる原因となるので、モルタル又は粘土状
の耐火物の圧入や詰め込みにより、この発生を防止しよ
うとしてきたが、溶融金属の浸透する限界気孔径は30
μmといわれており、隙間をそれ以下にすることは困難
であった。その結果、鋳張りの発生がしばしば生じ、接
合部の疲労強度の低下を招くという問題があった。
【0004】かかる問題を解決するため、本発明者ら
は、特開平5−261596号公報において、鋳型の底
部を分割した上で、レールを中心として対向して分割さ
れた鋳型をさらにレール方向にそれぞれ2分割して、即
ち、レール幅方向と長さ方向に4分割して上鋳型群を構
成し、分割した上鋳型群の少なくとも下部及び底鋳型に
線状突起部を設けたレール溶接用鋳型を提示した。この
レール溶接用鋳型10の構成を図11に示す。図示する
ように、レール溶接用鋳型10は、対向するレール1
1、12の接合部を囲む分割上鋳型群13と、この分割
上鋳型群13の底部に配置される下鋳型14と、上部の
注湯口15に装着されるキャップ16とから構成され
る。そして、前記分割上鋳型群13は、対向するレール
11、12の中心面と、該レール11、12の接合面と
によって4分割された上鋳型17〜20からなってい
る。前記上鋳型17〜20及び下鋳型14の内側には、
装着されるレール11、12の接合部に溶融金属が注入
されるキャビティ部21が設けられ、該キャビティ部2
1の内面には余盛り形成凹部21cが設けられ、レール
11、12の接合部の補強を行なうことができるように
なっている。
【0005】また、耐火物からなる上鋳型17〜20の
下部の前記余盛り形成凹部21cの外側には線状突出部
21aが設けられ、しかも、その外側に開先21bが設
けられている。そして、使用に際しては、該線状突出部
21aがレール11、12の腹部側面、足表面及び足先
部、さらに必要に応じてレール11、12の頭部顎下部
(頭部下面)に当接し、前記開先21bに塑性材F(図
14参照)を充填できるようになっている。そして、前
記上鋳型17〜20を組み合わせた場合、その両側中央
に空気孔22、23が形成され、該空気孔22、23の
底部は、内側のキャビティ部21と細い連通孔24、2
5(図11、図13参照)を介して接続され、注湯時に
キャビティ部21の内部に溜まる空気が円滑に抜けるよ
うになっている。下鋳型14は、同じく耐火物からなっ
て、図10に示すように、表面中央に前記接合部に対応
して余盛り形成凹部26を有し、その線状突出部26a
は、さらに、その外側に開先26bを備えている。そし
て、分割上鋳型群13と下鋳型14を組み立てた場合に
は、前記線状突出部26aがレール11、12の底部及
び上鋳型17〜20の底部に線接触によって当接してシ
ールを形成し、更には、前記開先26bに塑性材Fを充
填することによって、前記線接触当接によるシールが上
鋳型17〜20の表面粗さなどによって不充分であって
も、外部に湯漏れを生じないようにバックアップしてい
る。
【0006】かかる構成によって、分割上鋳型群13が
レール11、12の中心面方向のみでなく、接合面方向
にも分割されているので、図12に示すように隙間G1
を開けて連設したレール11、12間にわずかな寸法差
があっても、高さ方向で調整して分割上鋳型群13をレ
ール11、12に合わせることができ、溶融金属Mをキ
ャビティ部21内に注入硬化した際、鋳張りが発生する
のを減少でき、鋳型の製造も容易になる。また、レール
溶接用鋳型10のシール方法は、レール11、12或い
は隣合う分割上鋳型群13と下鋳型14間及び上鋳型1
7〜20間の接合を線状突出部21a、26aを介して
行い、更に、図14に示すように、その外側に開先21
b、26bを設けて組立後に塑性材Fを充填できるよう
にしたので、この面からも鋳張りが減少でき、これによ
って応力集中等の発生が少ないレール11、12の溶接
接合が可能となった。また、本出願人は、特開平6−3
12609号公報において、上記したレール溶接用鋳型
10において用いる塑性材Fとして加熱膨張する耐火目
地材を用い、上鋳型17〜20及び隙間発生部のシール
性を向上させることを提示した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようにして、レー
ル11、12と分割上鋳型群13及び下鋳型14間及び
上鋳型17〜20間の隙間に生ずる鋳張りの発生は防止
できるようになったが、上記したレール溶接用鋳型10
は、未だ、以下の解決すべき課題を有していた。即ち、
一般に、レール11、12のテルミット溶接部のレール
長手方向の縦断面内の溶融金属Mと母材であるレール1
1、12の境界、即ち、溶融金属Mの溶け込み状態は、
図12及び図13に示すようになる。しかし、図12に
示すように、レール11、12のレール断面表層部にお
ける溶融金属Mの溶け込み幅W2 は、形状に左右される
のに対して、余盛り27を形成するために上鋳型17〜
20の内面に設けた余盛り形成凹部21cの両端にそれ
ぞれ設けた止端部29間の幅W1 は、鋳型の形状により
決まり、頭部から底部まで同一である。
【0008】その結果、図12及び図14に示すレール
11、12の各断面での溶融金属Mの溶け込み幅W2
余盛り形成凹部21cの両止端部29間の幅W1 との間
に差が生ずる。この時、レール連結部の曲げ疲労時に応
力集中が生じると、図12〜図14に示すように、疲労
亀裂の発生点となりやすいレールの足表部28では、溶
融金属の溶け込み幅W2 よりも余盛形成凹部21cの両
止端部29間の幅W1が大きいので、図14に示すよう
に、余盛り形成凹部21cの両止端部29とレール11
(12)の表面11a(12a)との間に未融合部30
が生じ、疲労亀裂の発生点となる可能性があり、これを
防止するために二次的加工あるいは早期補修が必要であ
った。
【0009】このことは、図15に示すように、線状突
出部21aや開先21bが設けられていないレール溶接
用鋳型10Aにおいても同様であった。そこで、本発明
者らは、研究の結果、上記した余盛り形成凹部21cの
止端部29を余盛り27の両端と略一致させたり、余盛
り形成凹部21cの両止端部29間の幅W1 とレール1
1、12の溶け込みの幅W2 との関係を適切に選択すれ
ば、余盛り形成凹部21cの止端部29の疲労強度を高
めることができることを知見した。本発明は、このよう
な知見に基づいてなされたものであり、レール連結部の
曲げ疲労強度を高くし、レール連結部の信頼性を向上す
ることができるレールのテルミット溶接方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載のレールのテルミット溶接方法は、端部同士を対向
させた二つのレールの接合部を、その両側からレール溶
接用鋳型を構成する分割鋳型で囲むと共に組み立て、前
記レール溶接用鋳型内にキャビティ部を形成し、前記分
割鋳型及び前記レールの接合部を予熱した後、該キャビ
ティ部に溶融金属を流し込み、前記レールの端部同士を
融解して連結するレールのテルミット溶接方法におい
て、予熱された足表部から前記腹部の下部の範囲におけ
るレール断面表層部の溶け込み幅を、レール溶接用鋳型
の余盛り形成凹部の止端部間の幅と同じ又は該幅より1
0mmの範囲で大きくし、前記余盛り形成凹部の前記各
止端部と前記レールの表面との間に未融合部が発生する
のを防止する。
【0011】ここで、テルミット溶接の際に、予熱され
た足表部から腹部の下部の範囲におけるレール断面表層
部の溶け込み幅の最下限を、レール溶接用鋳型の余盛り
形成凹部の両止端部間の幅と同じとしたのは、前記溶け
込み幅を鋳型余盛り形成凹部の両止端部間の幅より少し
でも小さくすると、従来と同様に、余盛り形成凹部の両
端に形成される各止端部とレールの表面との間に未融合
部が生じ、疲労亀裂の発生点となるからである。一方、
レール断面表層部の溶け込み幅の最上限を余盛り形成凹
部の止端部間の幅より10mmとしたのは、溶融金属の
溶け込み幅が余盛り形成凹部の止端部間の幅より10m
mを越えると、レール表面と同一面上に位置する溶け込
み表層部が直接鋳型と接触するため、鋳型との焼き付き
や鋳型の粗さの影響を受け、応力集中の原因となる凹凸
が生ずるからである。請求項2記載のレールのテルミッ
ト溶接方法は、請求項1記載のレールのテルミット溶接
方法において、前記した分割鋳型及び前記レールの接合
部の予熱に先立って、予め、各レールの足表部から腹部
の下部の範囲のみを300℃〜700℃で加熱する。こ
のように、レール溶接用鋳型のレール足表部から腹部の
下部の範囲のみを300〜700℃の範囲で予熱するよ
うにしたのは、以下の理由による。
【0012】レール断面表層部の溶け込み幅は、テルミ
ット反応により得られる反応熱の大きさ、即ち、反応に
関与する酸化鉄の酸化度及び酸化鉄とアルミニウムの混
合割合、量により制御できる。さらに、溶接前に行なう
レール端部やレール溶接用鋳型の予熱の大きさ、即ち、
使用される酸素、プロパンなどのガスの圧力、流量や予
熱の時間により制御できる。一般的には、溶剤の調整は
原材料の入手やレール断面の大きさにより制約を受ける
ことが多いため、溶け込み幅の制御は予熱条件の調整に
より行なうことが容易である。しかしながら、図12を
参照して説明したように、溶け込み幅はレールの部位に
より異なり、従来、行なわれている予熱のみでは、この
差を制御することは困難である。そこで、鋳型を組み立
てた後に行なう従来の予熱に加え、溶け込み幅の小さい
レール足表部から腹部の下部の範囲のレール表面を予熱
し、溶け込み量を大きくすることにより、レール部位に
おける溶け込み量を制御することが可能となり、溶接に
より形成されるレール断面表層部の溶け込み幅W4 が余
盛り形成凹部の止端部間の幅W3 と同じ又は10mm大
きい範囲で溶け込みを確保できる(図1及び図3参
照)。
【0013】ここで、前記したレールの予熱温度は30
0〜700℃の範囲とするのが好ましい。300℃未満
の場合、局部加熱による溶け込み幅拡大の効果が小さ
く、一方、700℃を越える場合は、レールの足裏部の
溶け込み幅拡大に影響し、足表部から足裏部の溶け込み
幅の均一化の効果が減ずると共に、高温のレールへの鋳
型装着作業が困難となるからである。なお、レールの足
先部及び端面に直接加熱炎を当てる場合も、前述したよ
うに予熱温度が700℃を越える場合と同様に、レール
の足表部から足裏部の溶け込み幅の均一化の効果が減ず
る。請求項3記載のレールのテルミット溶接方法は、請
求項1記載のレールのテルミット溶接方法において、前
記した分割鋳型及び前記レールの接合部の予熱に先立っ
て、予め、各レールの足表部から腹部の下部の範囲にお
いて、前記二つのレールの止端部間の間隙を、他の部位
の間隙と比較して2〜16mmの範囲で広くなるように
切削する。
【0014】ここで、レールの足表部から腹部の下部の
範囲におけるレール止端部間の間隙と他の部位の間隙と
の差異、即ち、レール足表部と腹下部の開先広げ代を2
〜16mmとしたのは以下の理由による。即ち、レール
足表部と腹下部の開先広げ代を2mmより狭くした場合
は、局部加熱による溶け込み幅拡大の効果が小さく、レ
ール足表部と腹下部の開先広げ代を16mmより広くし
た場合は、レールの足裏部の溶け込み幅拡大に影響し、
足表部から足裏部の溶け込み幅の均一化の効果が減ずる
からである。
【0015】
【作用】請求項1記載のレールのテルミット溶接方法に
おいては、レールを、その両側から分割鋳型で囲み、内
部にキャビティ部を有するレール溶接用鋳型を組み立て
た後、分割鋳型とレールの接合部を予熱する。次に、テ
ルミット法によって製造された溶融金属を注湯口からキ
ャビティ部内に注入する。これによって、溶融金属はキ
ャビティ部内に充填され、内部に溜まろうとする空気は
連通孔を通って空気孔に移動し外部に排出され、レール
の溶接による連結が完了する。この際、予熱された足表
部から腹部の下部の範囲におけるレール断面表層部の溶
け込み幅が、レール溶接用鋳型の余盛り形成凹部の止端
部間の幅と同じ又は該幅より10mmの範囲で大きくな
るようにしているので、余盛り形成凹部の両端に形成さ
れている止端部とレールの表面との間に、疲労亀裂の発
生点となる未融合部が生じるのを防止できる。
【0016】請求項2記載のレールのテルミット溶接方
法においては、まず、端部同士を対向させた二つのレー
ルの接合部を、テルミット溶接によって連結する前に、
レールの足表部から腹部の下部の範囲のみを300〜7
00℃で予め加熱する。その後、加熱されたレールを、
その両側から分割鋳型で囲み、内部にキャビティ部を有
するレール溶接用鋳型を組み立て、組み立て後、分割鋳
型とレールの接合部を予熱する。次に、テルミット法に
よって製造された溶融金属を注湯口からキャビティ部内
に注入する。これによって、溶融金属はキャビティ部内
に充填され、内部に溜まろうとする空気は連通孔を通っ
て空気孔に移動し外部に排出され、レールの溶接による
連結が完了する。この際、レール溶接用鋳型のレールの
足表部から腹部の下部の範囲のみを300〜700℃で
予め加熱しているので、テルミット溶接により形成され
るレール断面表層部の溶け込み幅を、確実に、鋳型に設
けた余盛り形成凹部の両止端部間の幅と同じ又はこの溶
け込み幅より10mmの範囲で大きくできる。従って、
余盛り形成凹部の両端に形成されている止端部とレール
の表面との間に、疲労亀裂の発生点となる未融合部が生
じるのを防止できる。
【0017】請求項3記載のレールのテルミット溶接方
法においては、まず、端部同士を対向させた二つのレー
ルの端部間の間隙を、レールの足表部から腹部の下部の
範囲において、他の部位の間隙と比較して2〜16mm
の範囲で広くなるように切削する。その後、これらのレ
ールを、その両側から分割鋳型で囲み、内部にキャビテ
ィ部を有するレール溶接用鋳型を組み立て、組み立て
後、分割鋳型とレールの接合部を予熱する。次に、テル
ミット法によって製造された溶融金属を注湯口からキャ
ビティ部内に注入する。これによって、溶融金属はキャ
ビティ部内に充填され、内部に溜まろうとする空気は連
通孔を通って空気孔に移動し外部に排出され、レールの
溶接による連結が完了する。この際、レール溶接用鋳型
のレールの足表部から腹部の下部の範囲の二つのレール
端部間の間隙を他の部位より2〜16mmの範囲で広く
しているので、テルミット溶接により形成されるレール
断面表層部の溶け込み幅を、確実に、鋳型に設けた余盛
り形成凹部の両止端部間の幅と同じ又はこの溶け込み幅
より10mmの範囲で大きくできる。従って、余盛り形
成凹部の両端に形成されている止端部とレールの表面と
の間に、疲労亀裂の発生点となる未融合部が生じるのを
防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した一実施の形態につき説明し、本
発明の理解に供する。なお、本発明の一実施の形態に係
るレールのテルミット溶接方法に用いるレール溶接用鋳
型10B、10Cは、実質的に、鋳型に設けた余盛り形
成凹部の両止端部間の幅と、テルミット溶接により形成
されるレール断面表層部の溶け込み幅との相対関係を除
いて、図11〜図15を参照して説明した従来のレール
溶接用鋳型10と全く同一構成なので、その詳細な構成
及び作用の説明は省略する。また、同一の構成は同一の
符号で示す。
【0019】以下、図1〜図10を参照して、本実施の
形態に係るレールのテルミット溶接方法について説明す
る。なお、図1は本発明の一実施の形態に係るレールの
テルミット溶接方法によって形成されたレール連結部の
断面図、図2は図1の矢視I−I線による断面図、図3
はレール断面表層部の溶け込み幅と鋳型に設けた余盛り
形成凹部の両止端部間の幅との関係を変えた場合のレー
ル連結部の断面図、図4は他の実施の形態に係るレール
連結部の要部断面図、図5は他の実施の形態に係るレー
ル連結部の断面図、図6及び図7は実験に用いたレール
の予熱部位を示す説明図、図8〜図10は実験に用いた
レール溶接用鋳型の具体的構成を示す説明図である。
【0020】本発明の一実施の形態に係るレールのテル
ミット溶接方法においては、図1に示すように、端部同
士を対向させた二つのレール11、12の接合部を、テ
ルミット溶接によって連結する前に、まず、レール1
1、12の足表部28から腹部の下部の範囲のみを30
0〜700℃で加熱する。その後、このようにして加熱
されたレール11、12を、その両側から分割上鋳型群
13及び下鋳型14で囲み、内部にキャビティ部21を
有するレール溶接用鋳型10Bを組み立てる。次に、組
み立てられたレール溶接用鋳型10Bの分割上鋳型群1
3及び下鋳型14の接合部を予熱し、予熱後、テルミッ
ト法によって製造された溶融金属Mを注湯口15からキ
ャビティ部21内に注入する(図13参照)。これによ
って、溶融金属Mはキャビティ部21内に充填され、内
部に溜まろうとする空気は連通孔24、25を通って空
気孔22、23に移動し外部に排出され、レール11、
12の溶接による連結が完了する。
【0021】この際、レール11、12は、組み立て後
に行われるレール溶接用鋳型10Bの分割上鋳型群13
及び下鋳型14の接合部の予熱の他に、レール溶接用鋳
型10Bの組み立てに先立ってその足表部28から腹部
の下部の範囲のみを300〜700℃で予め加熱されて
いるので、図1〜図3に示すように、テルミット溶接に
より形成されるレール断面表層部の溶け込み幅W4 を、
上鋳型17〜20に設けた余盛り形成凹部21cの両止
端部29間の幅W3 と同じ又は10mmの範囲で大きく
できる。従って、余盛り形成凹部21cの両端に形成さ
れる止端部29とレール11(12)の表面11a(1
2a)との間に、従来技術における疲労亀裂の発生点と
なる未融合部30(図14及び図15参照)が生じるの
を防止でき、鋳張り等の欠陥のない余盛り27の形状が
得られ、レール連結部における応力集中に対する疲労強
度を向上できる。
【0022】ここで、図1はレール断面表層部の溶け込
み幅W4 を、上鋳型17〜20に設けた余盛り形成凹部
21cの止端部29間の幅W3 と同じとした場合であ
り、図3はレール断面表層部の溶け込み幅W4 を、上鋳
型17〜20に設けた余盛り形成凹部21cの止端部2
9間の幅W3 より最大限である10mm大きくした場合
である。図4は、図2に示す線状突出部21aと開先2
1bを具備しないレール溶接用鋳型10Cに係るもので
あり、この場合においても、テルミット溶接により形成
されるレール断面表層部の溶け込み幅W6 を、上鋳型1
7〜20に設けた余盛り形成凹部21cの止端部29間
の幅W5 と同じ又はこの止端部29間の幅W5 より10
mmの範囲で大きくできる。従って、図2に示すレール
溶接用鋳型10Bと同様に、余盛り形成凹部21cの両
端に形成される各止端部29とレール11(12)の表
面11a(12a)との間に、疲労亀裂の発生点となる
未融合部が生じるのを防止でき、鋳張り等の欠陥のない
余盛り27の形状が得られ、レール連結部における疲労
強度を向上できる。
【0023】また、図5に他の実施の形態に係るレール
のテルミット溶接方法に用いるレール溶接用鋳型10D
の構成を示す。なお、レール溶接用鋳型10Dは、前記
したレール溶接用鋳型10Bと構成が同じなので、同一
の構成要素は同一の符合で示す。本実施の形態に係るレ
ールのテルミット溶接方法は、分割上鋳型群13及び下
鋳型14とレール11、12の接合部の予熱に先立っ
て、予め、レール11、12の足表部28から腹部の下
部の範囲において、二つのレール11、12の端部間の
間隙を、他の部位の間隙と比較して2〜16mmの範囲
で広くなるように切削することを特徴とする。このよう
な切削は、例えば、鋸、グラインダ、切削バイト、ガス
切断機等を用いて容易かつ迅速に行うことができる。従
って、溶接した際、図5に示すように、テルミット溶接
により形成されるレール断面表層部の溶け込み幅W
8 を、上鋳型17〜20に設けた余盛り形成凹部21c
の止端部29間の幅W7 と同じ又はこの止端部29間の
幅W7 より10mmの範囲で大きくできる。
【0024】
【実施例1】前述したレール溶接用鋳型10Bについ
て、レール11、12の予熱条件を変えた場合の、レー
ル11、12の下部における引張曲げ疲労強度の変化及
び疲労亀裂発生点の状態について実験を行なったので、
その結果を表1に示す。なお、表1に示す(a)は、図
6におけるレール11、12の足表部28から腹部下部
の被予熱部位を示し、表1に示す(b)は、図7におけ
るレール11、12のレール足先部及びレール端面の被
予熱部位を示す。また、図8〜図10に、本実施例で実
際に使用したレール溶接用鋳型10Bの具体的構成を示
す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかなように、本発明に係るレ
ールのテルミット溶接方法A、B、C、Dは、レール1
1、12の足表部28から腹部下部を予熱しない比較方
法H、I、J、Kや、足表部28から腹部下部を予熱す
るが予熱温度を1000℃した比較方法Lや、予熱温度
は500℃とするがレール11、12の足先部及びレー
ル端面のみを予熱した比較方法Mと比較して、レールの
連結部の下部引張の曲げ疲労強度を向上することができ
ると共に、足表部、足裏部及び止端部における疲労亀裂
の発生を防止することができ、さらに、接合部への鋳張
りの発生も防止することができることが判明した。
【0027】
【実施例2】前述したレール溶接用鋳型10Dについ
て、レール11、12の足表部28から腹部の下部の範
囲におけるレール端部間の間隙と他の部位の間隙との差
異、即ち、レール11、12の足表部28と腹下部の開
先広げ代を変えた場合のレール11、12の連結部の下
部引張の曲げ疲労強度の変化及び疲労亀裂発生点の状態
について実験を行なったので、その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかなように、レール足表部と
腹下部の開先広げ代を2〜16mmの範囲とした本発明
に係るレールのテルミット溶接方法E、F、Gは、レー
ル足表部と腹下部の開先広げ代をそれぞれ1mmと20
mmとした比較方法N、Oと比較して、レールの連結部
の下部引張の曲げ疲労強度を向上することができると共
に、足表部、足裏部及び止端部における疲労亀裂の発生
を防止することができ、さらに、鋳張りの発生も防止す
ることができることが判明した。
【0030】
【発明の効果】請求項1〜3記載のレールのテルミット
溶接方法においては、端部同士を対向させた二つのレー
ルの接合部を、その両側からレール溶接用鋳型を構成す
る分割鋳型で囲むと共に組み立て、レール溶接用鋳型内
にキャビティ部を形成し、分割鋳型及び前記レールの接
合部を予熱した後、キャビティ部に溶融金属を流し込
み、レールの端部同士を融解して連結するレールのテル
ミット溶接方法において、予熱された前記足表部から腹
部の下部の範囲におけるレール断面表層部の溶け込み幅
を、レール溶接用鋳型の余盛り形成凹部の止端部間の幅
と同じ又は該幅より10mmの範囲で大きくしている。
従って、余盛り形成凹部の各止端部とレールの表面との
間に未融合部が発生するのを防止することができ、欠陥
のない余盛りの形状が得られ、レール連結部における疲
労強度を向上できる。
【0031】特に、請求項2記載のレールのテルミット
溶接方法においては、分割鋳型及び前記レールの接合部
の予熱に先立って、予め、各レールの足表部から腹部の
下部の範囲のみを300℃〜700℃で加熱するように
しているので、その後のテルミット溶接において、確実
に、予熱された前記足表部から腹部の下部の範囲におけ
るレール断面表層部の溶け込み幅を、レール溶接用鋳型
の余盛り形成凹部の止端部間の幅と同じ又は該幅より1
0mmの範囲で大きくすることができる。しかも、単に
各レールの足表部から腹部の下部の範囲のみを300℃
〜700℃で予め加熱するだけでよいので、欠陥のない
余盛りの形状が得られ、レール連結部における疲労強度
を向上できるといった効果を容易かつ安価に得ることが
できる。
【0032】請求項3記載のレールのテルミット溶接方
法においては、分割鋳型及びレールの接合部の予熱に先
立って、予め、各レールの足表部から腹部の下部の範囲
において、二つのレールの止端部間の間隙を、他の部位
の間隙と比較して2〜16mmの範囲で広くなるように
切削しているので、その後のテルミット溶接において、
確実に、予熱された前記足表部から腹部の下部の範囲に
おけるレール断面表層部の溶け込み幅を、レール溶接用
鋳型の余盛り形成凹部の止端部間の幅と同じ又は該幅よ
り10mmの範囲で大きくすることができ、欠陥のない
余盛りの形状が得られ、レール連結部における疲労強度
を向上できるといった効果を容易かつ安価に得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレールのテルミッ
ト溶接方法によって形成されたレール連結部の縦断面図
である。
【図2】図1の矢視I−I線による断面図である。
【図3】レール断面表層部の溶け込み幅と鋳型に設けた
余盛り形成凹部の止端部間の幅との関係を説明するレー
ル連結部の断面図である。
【図4】レール溶接用鋳型の断面図である。
【図5】他の実施の形態に係るレール連結部の断面図で
ある。
【図6】実験に用いたレールの予熱部位を示す説明図で
ある。
【図7】実験に用いたレールの予熱部位を示す説明図で
ある。
【図8】実験に用いたレール溶接用鋳型の具体的構成を
示す説明図である。
【図9】実験に用いたレール溶接用鋳型の具体的構成を
示す説明図である。
【図10】実験に用いたレール溶接用鋳型の具体的構成
を示す説明図である。
【図11】従来のレールのテルミット溶接方法に用いる
レール溶接用鋳型の分解斜視図である。
【図12】同方法によって形成されるレール連結部の縦
断面図である。
【図13】同方法によって形成されるレール連結部の横
断面図である。
【図14】図12の矢視II−II線による断面図である。
【図15】図12の矢視II−II線による他の断面図であ
る。
【符号の説明】
F 塑性材 G1 隙間 M 溶融金属 W3 余盛り形成凹部の止端部間の幅 W4 レール断面表層部の溶け込み幅 W5 余盛り形成凹部の止端部間の幅 W6 レール断面表層部の溶け込み幅 W7 余盛り形成凹部の止端部間の幅 W8 レール断面表層部の溶け込み幅 10B レール溶接用鋳型 10C レール
溶接用鋳型 10D レール溶接用鋳型 11 レール 11a 表面 12 レール 12a 表面 13 分割上鋳
型群 14 下鋳型 15 注湯口 16 キャップ 17 上鋳型 18 上鋳型 19 上鋳型 20 上鋳型 21 キャビテ
ィ部 21a 線状突出部 21b 開先 21c 余盛り形成凹部 22 空気孔 23 空気孔 24 連通孔 25 連通孔 26 余盛り形
成凹部 26a 線状突出部 26b 開先 27 余盛り 28 足表部 29 止端部 30 未融合部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端部同士を対向させた二つのレールの接
    合部を、その両側からレール溶接用鋳型を構成する分割
    鋳型で囲むと共に組み立て、前記レール溶接用鋳型内に
    キャビティ部を形成し、前記分割鋳型及び前記レールの
    接合部を予熱した後、該キャビティ部に溶融金属を流し
    込み、前記レールの端部同士を融解して連結するレール
    のテルミット溶接方法において、 予熱された足表部から腹部の下部の範囲におけるレール
    断面表層部の溶け込み幅を、レール溶接用鋳型の余盛り
    形成凹部の止端部間の幅と同じ又は該幅より10mmの
    範囲で大きくし、前記余盛り形成凹部の前記各止端部と
    前記レールの表面との間に未融合部が発生するのを防止
    することができるようにしたことを特徴とするレールの
    テルミット溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記した分割鋳型及び前記レールの接合
    部の予熱に先立って、予め、各レールの足表部から腹部
    の下部の範囲のみを300℃〜700℃で加熱すること
    を特徴とする請求項1記載のレールのテルミット溶接方
    法。
  3. 【請求項3】 前記した分割鋳型及び前記レールの接合
    部の予熱に先立って、予め、各レールの足表部から腹部
    の下部の範囲において、前記二つのレールの端部間の間
    隙を、他の部位の間隙と比較して2〜16mmの範囲で
    広くなるように切削したことを特徴とする請求項1記載
    のレールのテルミット溶接方法。
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