JPH0919199A - 誘導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御方法及び装置 - Google Patents

誘導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御方法及び装置

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JPH0919199A
JPH0919199A JP7184751A JP18475195A JPH0919199A JP H0919199 A JPH0919199 A JP H0919199A JP 7184751 A JP7184751 A JP 7184751A JP 18475195 A JP18475195 A JP 18475195A JP H0919199 A JPH0919199 A JP H0919199A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベクトル制御系の構造、動作が適応同定系の
構造、動作に悪影響を与えることがなく、且つ適応同定
系がベクトル制御系にとって不都合な交流信号の重畳を
必要としない適応滑り周波数形ベクトル制御方法及び装
置を提供する。 【構成】 誘導電動機1の励磁分電流及びトルク分電流
の実測値id,iq及び指令値id*,iq*に基づい
て一次電圧指令値va*,vb*を生成するとともに、
id*、iq及び二次抵抗R2の制御設定値に基づいて
滑り角周波数指令値ωs*を生成するベクトル制御系5
1と、誘導電動機1の動作状態に応じて変化する源信号
を取得してR2を同定し、その同定されたR2に基づい
て上記制御設定値を更新する適応同定系52とを備えた
適応滑り周波数形ベクトル制御装置において、上記源信
号に基づくR2の値の同定を二次磁束座標と独立した固
定座標上で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘導電動機を高精度、
高効率に制御するための適応滑り周波数形ベクトル制御
方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、誘導電動機を高精度、高効率に制
御する方法として、誘導電動機の状態を二次磁束軸とそ
れと直交する軸を座標軸する座標(以下「二次磁束座
標」という。)上でとらえて誘導電動機を制御するベク
トル制御方法が知られている。このように誘導電動機を
回転座標である二次磁束座標上で制御するためには、そ
の座標の位相を検出あるいは推定する必要がある。この
二次磁束座標の位相の求め方により、上記ベクトル制御
方法は、該座標の位相を直接検出する直接形のベクトル
制御方法と、該座標の位相を間接的に求める間接形の滑
り周波数形ベクトル制御方法とに大別されるが、現在は
主に、高精度の磁束検出が不要である後者の滑り周波数
形ベクトル制御方法の実用化が進められている。
【0003】上記滑り周波数形ベクトル制御方法のベク
トル制御系では、固定座標上での一次電流のベクトル成
分を二次磁束座標上での一次電流の二つのベクトル成分
である励磁分電流及びトルク分電流に変換し、該励磁分
電流及びトルク分電流の変換値並びにそれらの指令値に
基づいて二次磁束座標上での一次電圧指令値を生成し、
該二次磁束座標上での一次電圧指令値を固定座標上での
一次電圧指令値に変換している。この固定座標上での一
次電圧指令値に基づいて、誘導電動機に印加する一次電
圧が制御される。また、上記トルク分電流及び励磁分電
流の値並びに電動機パラメータの制御設定値に基づいて
滑り角周波数指令値を生成し、該滑り角周波数指令値に
基づいて、上記二つの座標間でのベクトル成分の変換の
際に用いる二次磁束座標の位相を生成する。
【0004】ところが、上記滑り角周波数指令値を生成
する際に用いる電動機パラメータの制御設定値の中に
は、温度によって大きく変化する誘導電動機の二次抵抗
等の推定値が含まれ、これらの推定値として誘導電動機
の広い動作範囲にわたって単一の定数を用いることは不
可能であった。このように温度等によって変化する電動
機パラメータの推定値が実際値と一致していないと制御
性能が劣化する。例えば、二次抵抗の制御に用いる推定
値が実際値と一致していないと、二次磁束やトルクに過
渡振動や定常偏差が生じる。
【0005】そこで、上記滑り角周波数指令値を生成す
る際に用いる電動機パラメータのうち温度等で変化する
パラメータの値又はその変化分を、誘導電動機の動作状
態に応じて逐次同定し、上記二次磁束座標の位相の生成
に用いる適応同定系を備えたものが知られている(以
下、この制御方法を「適応滑り周波数形ベクトル制御方
法」という)。上記電動機パラメータの同定は、例えば
誘導電動機の動作状態に応じて変化する信号(以下「源
信号」という)を取得し、その取得された源信号に基づ
いて行う。この適応滑り周波数形ベクトル制御方法及び
装置の具体例としては、一次電流の検出値及び探りコイ
ルで検出した3相電圧の検出値を二次磁束座標上のベク
トル成分に変換し、その変換値を用いて、通常電圧モデ
ルといわれるモデルに基づき二次抵抗の影響を受けるこ
となく二次磁束を推定するとともに、通常電流モデルと
いわれるモデルに基づき同定した二次抵抗を用いて二次
磁束を推定し、これら二つの二次磁束の推定値の偏差を
とり、この偏差を積分+比例則といわれる連続時間形適
応アルゴリズムに入力し、電動機パラメータの一つであ
る二次抵抗を同定するものが知られている(杉本・玉
井:「モデル規範適応システムを適用した誘導電動機の
二次抵抗同定法とその特性」電学論B,Vol.106,No.
2,pp.97-104参照)。また、一次電圧指令値に交流信号
を加え、一次電圧に関連した値と一次電流に関連した値
とに含まれる該交流信号に関連した成分を検出し、この
検出値に基づいて誘導電動機の一次抵抗に無関係な値を
演算し、この演算値を用いて誘導電動機の二次抵抗を演
算するものが知られている(特開平1−308187号
公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の適応滑り周波数形ベクトル制御方法及び装置では、
誘導電動機の二次抵抗等の電動機パラメータの適応同定
を行う適応同定系が、ベクトル制御系と同様に回転座標
である二次磁束座標上で設計・構成され、しかも、ベク
トル制御系と複雑にリンクした形で設計・構成されてい
る。このため、適応同定系の設計・構成は、ベクトル制
御系の設計・構成によって限定され、更には、ベクトル
制御系の動作の悪さが直接適応同定系に悪影響を与えて
しまうおそれがある。また、二次磁束座標上の電圧、電
流、磁束の諸信号は一般に直流的であるので、適応同定
系における二次抵抗等の電動機パラメータの同定速度は
低いものとなっている。また、上記従来の適応滑り周波
数形ベクトル制御方法及び装置では、この同定速度を向
上するためにベクトル制御系にとっては不都合な交流信
号を、励磁分電流等の信号に重畳させる必要があり、適
応同定系がベクトル制御系の性能低下を要求する構成に
なっている。
【0007】本発明は、以上の背景のもとでなされたも
のであり、その目的は、ベクトル制御系の構造、動作が
適応同定系の構造、動作に悪影響を与えることがなく、
且つ適応同定系がベクトル制御系にとって不都合な交流
信号の重畳を必要としない適応滑り周波数形ベクトル制
御方法及び装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、二次磁束座標上での一次電流の
二つのベクトル成分である励磁分電流及びトルク分電流
の実測値及びそれらの指令値に基づいて、一次電圧指令
値を生成するとともに、該励磁分電流及びトルク分電流
の値並びに電動機パラメータの制御設定値に基づいて、
該二次磁束座標の位相の決定に用いる滑り角周波数指令
値を生成するベクトル制御工程と、誘導電動機の動作状
態に応じて変化する源信号を取得し、該取得した源信号
に基づいて上記電動機パラメータを同定し、該同定され
た電動機パラメータに基づいて該電動機パラメータに対
応する制御設定値を更新する適応同定工程とを有する誘
導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御方法におい
て、該源信号に基づく該電動機パラメータの値の同定
を、該二次磁束座標と独立した固定座標上で行うことを
特徴とするものである。
【0009】請求項2の発明は、二次磁束座標上での一
次電流の二つのベクトル成分である励磁分電流及びトル
ク分電流の実測値及びそれらの指令値に基づいて、一次
電圧指令値を生成するとともに、該励磁分電流及びトル
ク分電流の値並びに電動機パラメータの制御設定値に基
づいて、該二次磁束座標の位相の決定に用いる滑り角周
波数指令値を生成するベクトル制御手段と、誘導電動機
の動作状態に応じて変化する源信号を取得し、該取得し
た源信号に基づいて上記電動機パラメータを同定し、該
同定された電動機パラメータに基づいて該電動機パラメ
ータに対応する制御設定値を更新する適応同定手段とを
備えた誘導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御装置
において、源信号に基づく該電動機パラメータの値の同
定を、該二次磁束座標と独立した固定座標上で行うこと
を特徴とするものである。
【0010】請求項3の発明は、請求項2の誘導電動機
の適応滑り周波数形ベクトル制御装置において、上記源
信号として、一次電圧に対応した信号、一次電流に対応
した信号、及び上記滑り角周波数指令値の信号又は上記
回転速度の検出値の信号を用いたことを特徴とするもの
である。
【0011】請求項4の発明は、請求項3の誘導電動機
の適応滑り周波数形ベクトル制御装置において、上記一
次電圧に対応した信号として、上記一次電圧指令値の信
号を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
【作用】請求項1又は2の発明においては、二次磁束座
標上での一次電流の二つのベクトル成分である励磁分電
流及びトルク分電流の実測値及びそれらの指令値に基づ
いて、一次電圧指令値を生成することにより、励磁分電
流及びトルク分電流を独立に制御する。そして、上記ベ
クトル制御で使用する二次磁束座標の位相の決定のため
に、励磁分電流及びトルク分電流の値並びに電動機パラ
メータの制御設定値に基づいて滑り角周波数指令値を生
成する。そして、誘導電動機の動作状態に応じて変化す
る源信号を取得し、該取得した源信号に基づいて上記電
動機パラメータを同定する。この同定された電動機パラ
メータに基づいて、上記滑り角周波数指令値の生成時に
用いる該電動機パラメータに対応する制御設定値を更新
することにより、該電動機パラメータの制御設定値と実
際値との差を小さくして上記励磁分電流及びトルク分電
流の制御の精度を向上させる。ここで、上記源信号に基
づく電動機パラメータの値の同定を、回転座標である二
次磁束座標と独立した固定座標上で行うことにより、ベ
クトル制御系の構造に依存しないで適応同定系を設計で
きるようにする。また、元来交流信号である固定座標上
での電圧、電流の信号を適応同定系で用いることができ
るため、新たに同定のために特別な交流信号を重畳しな
くてもよくなる。
【0013】請求項3の発明においては、請求項2の誘
導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御装置で、上記
源信号として、ベクトル制御系の構成に依存する一次磁
束、二次磁束、二次電流等の信号を用いずに、ベクトル
制御系の構成に依存しない一次電圧に対応した信号、一
次電流に対応した信号、及び上記滑り角周波数指令値の
信号又は上記回転速度の検出値の信号を用いることによ
り、源信号の利用の観点から、更にベクトル制御系の構
造に依存しないで適応同定系を設計できるようにする。
【0014】請求項4の発明においては、請求項3の誘
導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御装置で、上記
一次電圧に対応した信号として、上記一次電圧指令値の
信号を用いることにより、一次電圧の検出、ひいては一
次電圧検出用の装置を不要とする。
【0015】
【実施例】以下、本発明を三相誘導電動機の適応滑り周
波数形ベクトル制御装置(以下、「適応ベクトル制御装
置」という)に適用した一実施例について説明する。ま
ず、図1及び図2を用いて、本実施例に係る適応ベクト
ル制御装置の全体構成及び動作について説明する。この
適応ベクトル制御装置は、誘導電動機1の回転子の回転
角速度ω2nを検出する回転速度検出装置2と、誘導電
動機1の一次電流iu,ivを検出する電流検出装置3
と、3−2相変換器4a及び2−3相変換器4bからな
る2相/3相変換装置4と、ベクトル制御手段としての
ベクトル制御系51及び適応同定手段としての適応同定
系52からなる主制御部5と、PWMインバータからな
る電力変換器6とを備えている。
【0016】上記電流検出装置3で検出された一次電流
iu,iv及びその電流値から生成された残りの電流i
wは、上記3−2相変換器4aで固定座標上で直交する
二つのベクトル成分である2相電流ia,ibに変換さ
れ、上記回転子の回転角速度ω2nとともに、次の主制
御部5のベクトル制御系51に外部信号として入力され
る。
【0017】上記ベクトル制御系51は、図2に示すよ
うにベクトル回転器51aと、電流制御器51bと、逆
ベクトル回転器51cと、滑り角周波数指令値ωs*を
生成する滑り角周波数指令値生成器51dと、ベクトル
回転器51a及び逆ベクトル回転器51cで用いる回転
座標の位相を生成する位相生成器51eとにより構成さ
れ、外部指令として励磁分電流指令値id*、トルク分
電流指令値iq*、及び主制御部5を適切に動作させる
ための設計パラメータ(一次抵抗、漏れインダクタン
ス、サンプリング周期など)の値が入力されている。こ
のベクトル制御系51においては、ベクトル回転器51
aにより固定座標上での2相電流ia,ibを回転座標
である二次磁束座標(以下、「回転座標」という)上で
の一次電流の二つのベクトル成分である励磁分電流id
及びトルク分電流iqに変換し、電流制御器51bによ
り励磁分電流及びトルク分電流の実測値id,iqをそ
れらの指令値id*,iq*と各々比較して回転座標上
での一次電圧指令値vd*,vq*を生成し、逆ベクト
ル変換器51cにより回転座標上での一次電圧指令値v
d*,vq*を固定座標上での一次電圧指令値va*,
vb*に変換して出力する。そして、2−3相変換器4
bにより2相の一次電圧指令値va*,vb*を3相の
一次電圧指令値vu*,vv*,vw*に変換して電力
変換器6へ出力される。電力変換器6は、3相の一次電
圧指令値vu*,vv*,vw*に従って3相電圧v
u,vv,vwを発生し、誘導電動機1に印加する。
【0018】また、上記ベクトル制御系51のベクトル
回転器51a及び逆ベクトル回転器51cには、回転座
標の位相θ0が必要とされるので、滑り角周波数指令値
生成器51dにより上記トルク分電流の実測値iq、励
磁分電流の指令値id*及び電動機パラメータの制御設
定値に基づいて滑り角周波数指令値ωs*を生成し、位
相生成器51eにより滑り角周波数指令値ωs*と回転
子の回転速度の検出値ω2nとを加算して得られた一次
電圧指令値の角周波数ω0を積分処理して回転座標の位
相θ0を生成し、上記ベクトル回転器51a及び逆ベク
トル回転器51cに出力している。
【0019】以上のように一次電流検出及び一次電圧印
加は固定座標系で実施されるのに対し、上記ベクトル制
御系51での電流の制御は回転座標系で実施される。こ
れが、誘導電動機ベクトル制御の大きな特色であり、高
性能なベクトル制御を実現するには、両座標系の変換を
行うベクトル回転器51aおよび逆ベクトル回転器51
cへの入力信号である回転座標の位相θ0に関して高い
精度が必要とされる。この位相θ0は、前述のように回
転子の回転角速度ω2nの実測値と滑り角周波数指令値
ωs*とに基づいて生成される。回転子の回転角速度ω
2nの精度に関しては、回転速度検出装置2として所要
の分解能を有するものを利用すればよい。一方、滑り角
周波数指令値ωs*は、例えば上記滑り角周波数指令値
生成器51dにより次の数1に従って生成される。この
数1の式中のW2は、数2の式で示すように電動機パラ
メータである二次抵抗R2及び二次インダクタンスL2
の比として定義される逆二次時定数である。
【数1】ωs*=(iq/id*)・W2
【数2】W2=R2/L2
【0020】上記数1及び数2の式から容易に理解され
るように、上記座標変換に用いる精度の高い滑り角周波
数指令値ωs*を生成するには、精度の高い逆二次時定
数が必要とされる。すなわち、高性能のベクトル制御を
実現するには、精度の高い逆二次時定数が必要とされ
る。ところが、二次時定数を構成する二次抵抗R2は温
度によって大きく変動するために、誘導電動機の広い動
作範囲にわたって、上記滑り角周波数指令値ωs*の生
成の際に用いる二次抵抗R2の制御設定値として単一の
定数で用いることは、高精度のベクトル制御を行う上で
望ましくない。
【0021】そこで、本実施例では、主制御部5の適応
同定系52により、適応ベクトル制御装置内の信号をパ
ラメータ適応同定用の源信号として取得し、該取得され
た源信号に基づいて二次抵抗R2の値を同定し、該同定
された二次抵抗R2の値に基づいて上記滑り角周波数指
令値ωs*の生成の際に用いる二次抵抗R2に対応した
制御設定値を更新している。
【0022】上記源信号としては、設計パラメータのほ
か、ベクトル情報である固定座標上での一次電圧値v
a、vb及び一次電流値ia,ibと、スカラー情報で
ある回転速度検出装置2で検出した回転子の回転角速度
ω2nとを用いている。上記一次電流値ia,ibは、
3−2相変換器4aからベクトル制御系に出力される信
号を分岐して取得している。また、上記一次電圧値v
a、vbは、電圧検出装置7で検出した3相の一次電圧
vu,vv,vwの検出値を3−2相変換器8で固定座
標上の2相の一次電圧va,vbに変換したものから取
得している。また、上記回転子の回転角速度ω2nは、
ベクトル制御系51を介して取得している。なお、この
回転角速度ω2nは、回転速度検出装置2から直接取得
してもよい。また、この回転角速度ω2nに代わるスカ
ラー情報として、滑り角周波数指令値ωs*をベクトル
制御系51から取得してもよい。
【0023】また、上記適応同定系52における二次抵
抗R2の適応同定のアルゴリズムとしては、離散時間適
応アルゴリズム(新中:「適応アルゴリズム」産業図
書,1990年,pp.11-134参照)を採用している。上
記ベクトル制御系51は離散時間的に実現され、所定の
周期T1で動作しているので、検出信号はすでに所定の
周期でサンプリングされ離散時間化されている。そのた
め、ベクトル制御系51と適応同定系52との間で信号
の送受するために、サンプル器やホールド器は設けてい
ない。もし、上記ベクトル制御系51を連続時間的に構
成し、上記適応同定系52を離散時間的に構成する場合
には、ベクトル制御系51と適応同定系52との間の連
結部分にサンプル器あるいはホールド器を設ける。
【0024】以上、本実施例によれば、上記電動機パラ
メータの同定に用いる源信号として、ベクトル制御系5
1の構成に依存する一次磁束、二次磁束、二次電流等の
信号を用いずに、ベクトル制御系51の構成に依存しな
い固定座標上での一次電圧値va、vb及び一次電流値
ia,ibと、回転子の回転角速度ω2nの検出値ある
いは滑り周波数指令値ωs*を用い、二次抵抗R2の同
定を、ベクトル制御系51の制御で用いている回転座標
と独立した固定座標上で行うことにより、ベクトル制御
系51の構造に依存しないで適応同定系52を設計でき
るので、ベクトル制御系51に依存しない自由度に富ん
だ柔軟な適応同定系52を得ることができ、ベクトル制
御系51の動作の悪さが適応同定系52に悪影響を及ぼ
さなくなる。
【0025】また、本実施例によれば、元来交流信号で
ある固定座標上での一次電圧値va、vb及び一次電流
値ia,ibの信号を適応同定系52で用いることがで
きるため、該源信号として直流信号のみを用いた場合に
比較して高速な二次抵抗R2の同定が可能となるととも
に、ベクトル制御系51にとって外乱として作用する適
応同定のための特別な交流信号を重畳しなくてもよくな
るので、ベクトル制御系51の性能の劣化を防止でき
る。
【0026】なお、上記実施例では、二次抵抗R2の同
定のために取得する源信号として、電圧検出装置7で検
出した3相の一次電圧vu,vv,vwの検出値を3−
2相変換器8で固定座標上の2相の一次電圧va,vb
に変換した信号を取得しているが、この2相の一次電圧
va,vbに代えて、図3に示すようにベクトル制御系
51から出力される固定座標上での一次電圧指令値va
*,vb*を用いてもよい。この場合には、上記一次電
圧vu,vv,vwの検出動作、ひいては電圧検出装置
7及び3−2相変換器8が不要となるので、非適応的な
滑り周波数形ベクトル制御装置と同様なハード構成で、
適応滑り周波数形ベクトル制御装置を構成することがで
きる。
【0027】また、上記実施例では、多数の電動機パラ
メータのうち二次抵抗R2の値を同定するものについて
説明しているが、本発明は、二次抵抗R2の変化分を同
定するものにも適用でき、同様な効果が得られるもので
ある。また、本発明は、二次抵抗R2に加えて二次イン
ダクタンスL2についても適応同定するものや、二次抵
抗R2と二次インダクタンスL2の比である逆二次時定
数W2(=R2/L2)や二次時定数(L2/R2)の
値を直接同定するものにも適用でき、同様な効果が得ら
れるものである。また、本発明は、二次抵抗R2や二次
インダクタンスL2に限定されることなく温度変化など
で経時的に変動する電動機パラメータの値を同定するも
のにも適用でき、同様な効果が得られるものである。 (以下、余白)
【0028】また、上記実施例においては、ベクトル制
御系51の滑り角周波数指令値生成器51dでトルク分
電流の実測値iq、励磁分電流の指令値id*及び電動
機パラメータの制御設定値に基づいて滑り角周波数指令
値ωs*を生成しているが、これは滑り角周波数指令値
ωs*の生成の一例を示したにすぎない。滑り角周波数
指令値ωs*は、二次磁束φ2を正確に知り得る場合に
は、相互インダクタンスM及び上記逆二次時定数W2を
用いた次の数3の式に従って生成することができる。こ
こで、この数3の式におけるトルク分電流の実測値iq
はその指令値iq*で近似できるので、上記実施例のト
ルク分電流の実測値iqの代わりにその指令値iq*を
用いて滑り角周波数指令値ωs*を生成しても良い。こ
の場合には、実測値iqを用いた場合に比較してノイズ
の影響を受けにくい。
【数3】ωs*=(iq/(φ2/M))・W2
【0029】また、上記数3の式中のφ2/Mは、sを
微分演算子とすると、励磁分電流の指令値id*又はそ
の実測値idを用いて次の数4又は数5の式のように近
似できる。従って、上記実施例において滑り角周波数指
令値ωs*を生成する際に、その指令値id*そのもの
を用いても良いし、(W2/(s+W2))・id*の
値を用いても良い。また、上記実施例では励磁分電流の
指令値id*を用いているが、励磁分電流の実測値id
そのものを用いても良いし、(W2/(s+W2))・
idを用いても良い。但し、ノイズの影響を受けにくい
という点では、上記実施例のように励磁分電流の指令値
id*やW2/(s+W2))・id*の値を用いるの
が好ましい。
【数4】 φ2/M≒(W2/(s+W2))・id*≒id*
【数5】 φ2/M≒(W2/(s+W2))・id≒id
【0030】
【発明の効果】請求項1、2、3又は4の発明によれ
ば、上記源信号に基づく電動機パラメータの値の同定
を、回転座標である二次磁束座標と独立した固定座標上
で行うことにより、ベクトル制御系の構造に依存しない
で適応同定系を設計できるので、ベクトル制御系に依存
しない自由度に富んだ柔軟な適応同定系を得ることがで
き、ベクトル制御系の動作の悪さが適応同定系に悪影響
を及ぼさなくなるという効果がある。また、元来交流信
号である固定座標上での電圧、電流の信号を適応同定系
で用いることができるため、該源信号として直流信号の
みを用いた場合に比較して高速な電動機パラメータの同
定が可能となるとともに、ベクトル制御系にとって外乱
として作用する適応同定のための特別な交流信号を重畳
しなくてもよくなるので、ベクトル制御系の性能の劣化
を防止できるという効果がある。
【0031】特に、請求項3の発明によれば、上記源信
号として、ベクトル制御系の構成に依存する一次磁束、
二次磁束、二次電流等の信号を用いずに、ベクトル制御
系の構成に依存しない一次電圧に対応した信号、一次電
流に対応した信号、及び上記滑り角周波数指令値の信号
又は上記回転速度の検出値の信号を用いることにより、
源信号の利用の観点から、ベクトル制御系の構造に依存
しないで適応同定系を設計できるので、更にベクトル制
御系に依存しない自由度に富んだ柔軟な適応同定系を得
ることができ、ベクトル制御系の動作の悪さが適応同定
系に悪影響を及ぼさなくなるという効果がある。
【0032】また特に、請求項4の発明によれば、上記
一次電圧に対応した信号として、上記一次電圧指令値の
信号を用いることにより、一次電圧の検出動作、ひいて
は一次電圧検出用の装置が不要となるので、非適応的な
滑り周波数形ベクトル制御装置と同様なハード構成で、
適応滑り周波数形ベクトル制御装置を構成することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る適応ベクトル制御装置の概略構成
を示すブロック図。
【図2】同適応ベクトル制御装置のベクトル制御系内部
の概略構成を示すブロック図。
【図3】他の実施例に係る適応ベクトル制御装置の概略
構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 誘導電動機 2 回転速度検出装置 3 電流検出装置 4 2相/3相変換装置 5 主制御部 6 電力変換器 7 電圧検出装置 8 3−2相変換器 51 ベクトル制御系 51a ベクトル回転器 51b 電流制御器 51c 逆ベクトル回転器 51d 滑り角周波数指令値生成器 51e 位相生成器 52 適応同定系

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二次磁束座標上での一次電流の二つのベク
    トル成分である励磁分電流及びトルク分電流の実測値及
    びそれらの指令値に基づいて、一次電圧指令値を生成す
    るとともに、該励磁分電流及びトルク分電流の値並びに
    電動機パラメータの制御設定値に基づいて、該二次磁束
    座標の位相の決定に用いる滑り角周波数指令値を生成す
    るベクトル制御工程と、 誘導電動機の動作状態に応じて変化する源信号を取得
    し、該取得した源信号に基づいて上記電動機パラメータ
    を同定し、該同定された電動機パラメータに基づいて該
    電動機パラメータに対応する制御設定値を更新する適応
    同定工程とを有する誘導電動機の適応滑り周波数形ベク
    トル制御方法において、 該源信号に基づく該電動機パラメータの値の同定を、該
    二次磁束座標と独立した固定座標上で行うことを特徴と
    する誘導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御方法。
  2. 【請求項2】二次磁束座標上での一次電流の二つのベク
    トル成分である励磁分電流及びトルク分電流の実測値及
    びそれらの指令値に基づいて、一次電圧指令値を生成す
    るとともに、該励磁分電流及びトルク分電流の値並びに
    電動機パラメータの制御設定値に基づいて、該二次磁束
    座標の位相の決定に用いる滑り角周波数指令値を生成す
    るベクトル制御手段と、 誘導電動機の動作状態に応じて変化する源信号を取得
    し、該取得した源信号に基づいて上記電動機パラメータ
    を同定し、該同定された電動機パラメータに基づいて該
    電動機パラメータに対応する制御設定値を更新する適応
    同定手段とを備えた誘導電動機の適応滑り周波数形ベク
    トル制御装置において、 該源信号に基づく該電動機パラメータの値の同定を、該
    二次磁束座標と独立した固定座標上で行うことを特徴と
    する誘導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御装置。
  3. 【請求項3】上記源信号として、一次電圧に対応した信
    号、一次電流に対応した信号、及び上記滑り角周波数指
    令値の信号又は上記回転速度の検出値の信号を用いたこ
    とを特徴とする請求項2の誘導電動機の適応滑り周波数
    形ベクトル制御装置。
  4. 【請求項4】上記一次電圧に対応した信号として、上記
    一次電圧指令値の信号を用いたことを特徴とする請求項
    3の誘導電動機の適応滑り周波数形ベクトル制御装置。
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