JPH09192471A - アルギン酸ゲル球の作成方法 - Google Patents

アルギン酸ゲル球の作成方法

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JPH09192471A
JPH09192471A JP991196A JP991196A JPH09192471A JP H09192471 A JPH09192471 A JP H09192471A JP 991196 A JP991196 A JP 991196A JP 991196 A JP991196 A JP 991196A JP H09192471 A JPH09192471 A JP H09192471A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 支持体にアルギン酸可溶性塩水溶液の液
滴を付着させた後、該液滴を支持体とともに硬化液に浸
漬することを特徴とするアルギン酸ゲル球の作成方法。 【効果】 簡易な操作でアルギン酸ゲル球を作成する手
段を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルギン酸ゲル球
の新規な作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルギン酸ナトリウム溶液などのアルギ
ン酸可溶性塩水溶液は、マグネシウムイオン、水銀イオ
ンを除く2価以上の金属塩の水溶液との接触によりゲル
を形成することが知られている。このゲル化は瞬時に起
こるので、アルギン酸可溶性塩水溶液の液滴を塩化カル
シウムなどの硬化液に滴下することで容易にゲル球を作
成することできる(以下この方法を「液滴硬化法」とい
う)。たとえば、アルギン酸可溶性塩水溶液の粘度、曳
糸性を適切に調整し、最適な装置を用いることにより、
均質なゲル球を短時間のうちに多量に作成することがで
きる(特開昭62-266137号公報、特開昭63-197530号公
報)。
【0003】液滴硬化法は、このように量産性に優れる
が、ゲル球に物体を封入したり複雑なゲル球構造を得る
ためには、更なる工夫を要する。例えば、液体の封入の
ためには多重ノズルを用いる方法(特開昭52-117282号
公報)や増粘させた硬化性陽イオンを含む溶液をアルギ
ン酸可溶性塩水溶液に滴下する方法(特公昭41-15501号
公報)が知られている。また、固体の封入方法も幾つか
開発されている。たとえば、物体を分散させたアルギン
酸可溶性塩水溶液をノズル導入し、ノズル内に存在する
物体の間の液量を供給、排出ポンプにより調節したの
ち、硬化槽に滴下する方法(特開昭62-170251号公報)
がある。別の方法では、多重ノズルの下部内管に形成さ
れたアルギン酸可溶性塩水溶液のメニスカスに種子や培
養植物を供給した後、物体とメニスカスを形成していた
アルギン酸可溶性塩水溶液が液滴となって硬化槽に滴下
される(R. E. Garret, J. J. Mehlschau, N. E. Smit
h, M.K. Redenbaugh, Applied Engineering in Agricul
ture 7(1), 25-31 (1991)および特開昭63-209502号公
報)。これらの方法では、ノズル構造や物体の供給機構
が複雑であり、またゲル球の生成速度は、1ノズルあた
り0.5秒が限度である。さらに物体をアルギン酸液滴に
付着させることができた場合でも、特に物体の撥水性が
高い場合には、硬化液への滴下の際の衝撃などにより、
ゲル球から物体が飛び出してしまうことが観察された
(Garretらの機械で実験)。
【0004】一方、アルギン酸ゲルを鋳型(成形型)で
成形する技術が知られている(以下、「鋳型法」とい
う)。この方法も工夫を要する。即ち、寒天、ゼラチ
ン、光硬化性樹脂と異なり、ゲル化能を有するカチオン
との接触でゲルを形成するアルギン酸では、鋳型により
均質なゲル成形体を得ることは困難でである。この点を
解決するため、予め、アルギン酸水溶液に、硬化性イオ
ンの燐酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、亜硫酸塩などを混
合することがおこなわれる(たとえば特開昭52-53898号
公報)。これらの塩は、カルシウムと難溶性塩を形成し
たり、カルシウムを隠ぺいすることにより、アルギン酸
のゲル化を遅延させる。
【0005】鋳型法では、硬化する前にほかの物体を封
入したり表面に付着させることは容易におこなわれう
る。しかし、鋳型の作製に初期コストがかかり、また、
ゲル化するまでの鋳型中での保持時間や、鋳型からの取
り出し工程が必要であり、作業が液滴硬化法に比して煩
雑であることが欠点であった。
【0006】また、鋳型法の変法として、丸底容器の底
部にいれたアルギン酸可溶性塩水溶液にノズルで硬化液
を噴射し、その勢いでアルギン酸を球形に成形させる方
法が知られている(Solimon et. al., in Synseeds p4
0, Ed. by K. Redenbaugh, CRC Press (1993))。この
方法では、噴射ノズル、噴射制御装置の作成など、鋳型
法を上回る初期コストが必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、液滴硬化法
で特徴的なアルギン酸の迅速な硬化特性を損なわずに、
物体の封入や装着を可能にする、新しいアルギン酸ゲル
球の作成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】アルギン酸ナトリウム水
溶液は水と同様に表面張力を有し、平板表面のアルギン
酸可溶性塩水溶液の液滴は、平板の撥水性に比例した接
触角を有することが観察された(接触角とは、水滴面と
平板面が接する点において、液面に引いた切線と平板表
面のなす角のことで、物質の”ヌレ”の度合いに比例す
るとされている)。市販のシリコン系の撥水処理剤(ス
プレー)で処理した平板上に滴下したアルギン酸可溶性
塩水溶液の液滴は、液滴の盛り上がりが大きく、おおき
な接触角が観察された(図1−a)。この液滴を平板ご
と、塩化カルシウムなどの硬化液に浸漬すると、液滴は
直ちに平板表面から離れ(図1−b)、自ら球形に成形
した(図1−c)。また、撥水処理した網目板(メッシ
ュサイズ1mm)状に液滴を滴下しても同様な液滴の盛り
上がりが観察され、このものを網目板ごと塩化カルシウ
ム溶液に浸漬すると、すぐに液滴は板から遊離してゲル
球を形成した。これらのゲル球は硬化液に浸漬した直後
はややいびつであっても、時間の経過とともに真球に近
い形態となった。
【0009】「従来の技術」で述べたように、アルギン
酸ゲル球に物体を封入または付着させる方法は種々試み
られており、鋳型の中のアルギン酸可溶性塩水溶液やメ
ニスカス状のアルギン酸可溶性塩水溶液に物体を落下さ
せる方法が知られている(Solimon et. al., in Synsee
ds p40, Ed. by K. Redenbaugh, CRC Press (1993)、
(R. E. Garret, J. J. Mehlschau, N. E. Smith, M.
K. Redenbaugh, AppliedEngineering in Agriculture 7
(1), 25-31 (1991))。同様の方法を用いて、硬化前の
液滴に物体を付着または封入させることができる。特
に、ゲル球の表面に物体を付着させる場合、従来の方法
と比して、硬化液への浸漬工程で衝撃が加わることは少
なく、付着した物体がゲル球から離れてしまうことが少
ないことが判明した。
【0010】以上の工程は、簡単な液滴供給装置と、好
ましくは撥水性を有する支持体と、支持体に対応した硬
化槽があれば実施することができる。また、また、複雑
なノズル等を多数作成する必要なしに、液滴の形成を支
持体上の多くの箇所で同時におこなうことができるの
で、大量生産装置の開発原理としても有望である。
【0011】ここに、「発明が解決しようとする課題」
であった新規アルギン酸ゲル球の作成方法が完成した。
即ち、撥水性の支持体上のアルギン液滴が、硬化槽に浸
漬されると、自ら支持体を離れてゲル球を形成する機構
を利用することで、従来煩雑であった、鋳型や、複雑な
ノズルなどを用いることなく、支持体上で物体を封入ま
たは付着させた後、ゲル球を形成させる安価で効率的な
方法が得られた。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。用いるア
ルギン酸可溶性塩としては、特に限定されないが、例え
ば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどを
挙げることができる。アルギン酸可溶性塩水溶液の濃度
は、ゲル球を形成し得る範囲内であれば特に限定されな
いが、例えば、1%濃度調製時の粘度が450〜500cpであ
るアルギン酸ナトリウムであれば、0.5〜5.0%とするこ
とができる。また、アルギン酸可溶性塩水溶液に、特開
平3-218303号公報に記述されるような種々の粉体や分散
性物質を添加することも可能である。
【0013】アルギン酸の液滴を供給する方式は、特に
限定されないが、例えば、正確な供給量を期待する時は
ノズルからの供給が好適である。これらのノズルは、一
定間隔で一列に整列させたり、一定間隔で2次元的に配
置することも可能である。液滴の供給制御は、定量ポン
プや、電磁弁を用いて、最適に設定することができ、上
記アルギン酸可溶性塩水溶液であれば、1滴の供給に要
する所要時間は0.3〜2秒である。
【0014】液滴はまず支持体上に滴下される。このと
き、支持体の材質は特に限定されないが、撥水処理され
ているものが好ましい。撥水処理の方法としては、例え
ば、テフロン(デュポン社)加工したり、市販の防水ス
プレー〔例えば、スコッチガード(住友3M社製)な
ど〕などの表面改質剤で処理する方法などを挙げること
ができる。
【0015】支持体の形状は、隣同志の液滴と干渉をお
こさなければ特に限定されないが、例えば、平板、液滴
の落下位置に丸底状の凹面部を有する平板などを用いる
ことが可能である。丸底状の凹面部を有する平板の場
合、アルギン酸可溶性塩水溶液の液滴を凹面に滴下する
ことで液滴を安定して保持することができる。また、前
記した丸底状の凹面部を有する平板の凹面部に「アルギ
ン酸可溶性塩水溶液が通過しない程度の孔」を有する平
板も使用することができる。ここで「アルギン酸可溶性
塩水溶液が通過しない程度の孔」とは、圧力のかからな
い状態ではアルギン酸可溶性塩水溶液が通過できないよ
うな孔径の孔をいう。このような孔を設けることによ
り、孔を通してアルギン酸可溶性塩水溶液の液滴の注
入・吸引ができ、孔を陰圧にすることで不定胚、種子
などの顆粒を吸着させた状態で液滴を滴下することがで
きる。
【0016】平板の代わりに撥水処理された網目板を用
いることも可能である。網目は液滴が落下しない程度の
メッシュサイズであればよく、一般的には2mm以下のも
のが使用可能であり、たとえばメッシュサイズ1mmのも
のを使うことができる。網目板を用いると、硬化液の浸
透が迅速に起こるのでより真球に近いゲル球が得られ
る。また、硬化時間のあいだに網目板を硬化槽の底部に
そのまま放置しておくと、硬化終了後にそのままゲル球
の回収に用いることもできる。
【0017】さらに、2個以上のローラーに巻回・張設
されたベルトを用いることも可能である。このとき、ベ
ルトは、伸縮性と撥水性を兼ねた素材が好ましく、例え
ば、撥水処理されたシリコンゴムや、撥水処理されたス
テンレス金網などが好適である。
【0018】また、支持体上の液滴に、物体を封入した
り付着させることができる。ここでいう物体とは、特に
限定されないが、固体であることが望ましい。材質や形
状にも限定はないが、著しく疎水性を示すものは、硬化
槽に滴下される前に液滴から飛び出してしまうので不適
である。また、封入とは、ゲル球に完全に埋まった状態
をいい、付着とは、少なくとのその一部が、露出した状
態をいう。たとえば、付着の例としては、培養植物体
(長径6mm )を液滴上に載せることで、培養植物体が一
部埋まった形状の培養植物体−ゲル球を得ることができ
る。これらの物体の供給方法は、特に限定されないが、
既に知られている多くの供給方法をもちいることができ
る。
【0019】支持体上に形成された液滴(または物体−
液滴複合体)は、支持体ごと硬化槽の硬化液に浸漬され
る。硬化液は、アルギン酸可溶性塩水溶液と接触して、
不溶性塩を形成するものであればよく、例えば、25〜1,
000mMの塩化カルシウム溶液を用いることができる。硬
化槽は、支持体の大きさに応じて設定されることが望ま
しい。支持体の硬化液への浸漬は、比較的速やかにおこ
なうことができる。浸漬後数秒で、アルギン酸の液滴は
遊離するので、支持体はすぐに回収することができる。
このようにして形成されたゲル球は、通常のゲル球作成
工程と同様に1秒〜60分、望ましくは5〜30分間、硬化槽
に置かれた後、水洗などで、過剰の硬化液を洗い流す処
理を経て、最終製品として得ることができる。回収され
た支持体は、硬化剤を除去するため洗浄後、必要に応じ
て撥水処理された後再び用いることができる。ベルトな
どで連続生産をおこなう際には、洗浄、撥水性回復工程
が組み込まれていることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下の実施例は本発明の好ましい
実施様態を示すものであり、本発明の範囲を限定される
と解してはならない。
【0021】
【実施例】
〔実施例1〕フラクションコレクター(アドバンテック
社製SF−2120)を用いて約200μlの1.5%アルギ
ン酸ナトリウム溶液((株)紀文フードケミファ製NS
PH)を市販の防水スプレー(住友3M社製スコッチガ
ード)で撥水処理したポリアクリル製の平板上(20×30
cm)に供給し、均質な液滴を100滴を得た。この平板を5
00mlの100mM 塩化カルシウム溶液が入った水槽(25×35
×5cm)中に浸漬した。液滴はすぐに遊離し、このもの
を10分間硬化槽に放置した後、水道水で水洗して100個
の均質なアルギン酸ゲル球を得た。平板は、浸漬後すぐ
に回収し、洗浄、乾燥後、再使用した。
【0022】〔実施例2〕実施例1において、平板の代
わりに、撥水処理したメッシュサイズ1mmのステンレス
製金網を用いることで同様のゲル球を得ることができ
た。金網は硬化時間の間、硬化槽に置かれ、そのままゲ
ル球の回収に用いられた。得られたゲル球の形状は真球
に近かった。
【0023】〔実施例3〕実施例1の方法において、平
板上の液滴に平均形状が、長径7mm、太さ3mmの培養植物
体を載せた後、硬化槽に浸漬した。10分の硬化と水洗の
後に、植物体の約半分が露出した、植物体−ゲル球複合
体が得られた。
【0024】〔実施例4〕一列に整列した液滴供給ノズ
ル1 群の下に、4個のローラー2 を用いて撥水処理ゴム
ベルト3 を巻回・張設した(第2図)。ノズル1 で形成
された液滴は、ベルト3 上で硬化槽4 に送りこまれ、液
滴は硬化槽4 内で自ら遊離し、ゲル球を形成した。ベル
ト3 は、硬化槽4 から上がったのち水洗、乾燥され、再
び、液滴を形成した。
【0025】〔実施例5〕一列に整列した液滴供給ノズ
ル1 群の下に、ローラー2 を用いて撥水処理金網ベルト
3'を巻回・張設した(第3図)。ノズル1 で形成された
液滴は、ベルト3'上で硬化槽4 に送りこまれ、液滴は硬
化槽4 内で自ら遊離し、ゲル球を形成した。ベルト3'
は、硬化したゲル球を回収した後、硬化槽4 から上がっ
たのち水洗、乾燥され、再び、液滴を形成した。
【0026】
【発明の効果】本発明は、簡易な操作でアルギン酸ゲル
球を作成することができ、また、従来法では一般に困難
であったゲル球内への物体の封入等を容易に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゲル球の作成方法の概要を示す図であ
る。
【図2】撥水性ベルトを支持体として用いてゲル球を連
続生産する装置を示す図である。
【図3】金網ベルトを支持体として用いてゲル球を連続
生産する装置を示す図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体にアルギン酸可溶性塩水溶液の液
    滴を付着させた後、該液滴を支持体とともに硬化液に浸
    漬することを特徴とするアルギン酸ゲル球の作成方法。
  2. 【請求項2】 撥水処理された支持体を用いることを特
    徴とする請求項1記載のアルギン酸ゲル球の作成方法。
  3. 【請求項3】 支持体が平板であることを特徴とする請
    求項1記載のアルギン酸ゲル球の作成方法。
  4. 【請求項4】 支持体が網目板であることを特徴とする
    請求項1記載のアルギン酸ゲル球の作成方法。
  5. 【請求項5】 支持体が丸底状の凹面を持った平板であ
    ることを特徴とする請求項1記載のアルギン酸ゲル球の
    作成方法。
  6. 【請求項6】 凹面部にアルギン酸可溶性塩水溶液が通
    過しない程度の孔があることを特徴とする請求項5記載
    のアルギン酸ゲル球の作成方法。
  7. 【請求項7】 支持体にアルギン酸可溶性水溶液の液滴
    を付着させた後、該液滴に物体を封入又は付着させ、次
    いで、該液滴を支持体とともに硬化液に浸漬することを
    特徴とする物体を封入又は付着させたアルギン酸ゲル球
    の作成方法。
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