JPH09194347A - フィルムコーティング粒剤の製造方法 - Google Patents

フィルムコーティング粒剤の製造方法

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JPH09194347A
JPH09194347A JP625596A JP625596A JPH09194347A JP H09194347 A JPH09194347 A JP H09194347A JP 625596 A JP625596 A JP 625596A JP 625596 A JP625596 A JP 625596A JP H09194347 A JPH09194347 A JP H09194347A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の貯蔵においても徐放性などの性能が
低下しない安定なフィルムを有するフィルムコーティン
グ粒剤を、製造工程における粒剤の固結や薬物力価の低
減を引き起こすことなく効率的に製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 薬物を含有する素粒剤を、転動流動型コ
ーティング装置を用いて転動流動させるとともに、実質
的に直径1μm以下のエチルセルロースを主成分とする
球形固体粒子とクエン酸トリエチルなどの可塑剤からな
る水分散体を噴霧してコーティングし、次いで8.5%
以上、60.0%未満の相対湿度雰囲気下、かつ、40
℃以上、80℃以下の温度で熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬物の溶出速度を
制御するフィルム、もしくは防湿性のフィルムを有する
粒剤の製造方法に関し、さらに詳しくは、製造直後と長
期間貯蔵した後で性能が変わらない安定なフィルムを有
するフィルムコーティング粒剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品製剤は薬物(医薬品薬効成分)の
溶出速度を制御するために、あるいは湿気による力価の
低減を防止するためにフィルムを施される。従来はフィ
ルム基剤である高分子物質を有機溶媒に溶解し、フィル
ムコーティングに供されていた。しかし、近年の環境汚
染問題や労働者の作業環境の改善の観点から、有機溶媒
の使用を避けるために、水系のフィルムコーティング基
剤を使用されるようになってきた。
【0003】薬物の溶出速度を制御する、あるいは強力
に防湿することのできる水系のフィルムコーティング基
剤の一つとして、エチルセルロースの水分散体が市販さ
れている。徐放性製剤を製造するために、エチルセルロ
ースの水分散体をフィルムコーティング剤として用いた
例としては、アニーリング剤(水溶性高分子)の配合
(特表昭55−500709号公報)、細孔形成剤の配
合(特開平3−3275618号公報)、オイドラギッ
トの配合(特開昭57−109716号公報)が知られ
ているが、これらには長期の貯蔵によるフィルムの機能
(徐放性)の変化、および、その安定化に関する記述は
ない。フィルムの安定化については、適当な温度および
湿度雰囲気下で加熱処理することが特開平7−1381
89号公報、特開平7−165609号公報に示されて
いる。しかしながら、これらはコーティング条件を考慮
していないために、例えば60℃、9%RH(相対湿
度)、24時間という条件では湿度が低すぎて充分にフ
ィルムを安定化させることができず、よって、高い湿度
雰囲気が必要であるとしている。好ましい条件の一例
は、60℃の処理で、湿度は約60%以上、時間は48
〜72時間であるとされている。これらの記述からは、
0〜約50%RHという低湿度雰囲気では効果が充分で
ないものと推定される。
【0004】しかしながら、湿度雰囲気が約60%RH
以上であると、次の操作に移る前には必ず乾燥しなけれ
ばならず、また、粒剤の場合は著しく固結してしまうの
で、ほぐす操作が必要となる。特に粒剤の固結は、ほぐ
す際にフィルムを損傷してしまうので、なんとしても避
ける必要がある。さらに、加熱処理時間が長すぎる(4
8時間以上)ので、生産性の向上の点から短縮する必要
がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、長期間の貯蔵においても徐放性などの性能が
低下しない安定なフィルムを有するフィルムコーティン
グ粒剤を、製造工程における粒剤の固結や薬物力価の低
減を引き起こすことなく効率的に製造する方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定のフィルムコ
ーティング方法を用いることで、湿度雰囲気下での加熱
処理条件を大幅に緩和できることを見いだし、本発明を
なすに至った。即ち、本発明は、薬物を含有する素粒剤
を、転動流動型コーティング装置を用いて転動流動させ
るとともに、実質的に直径1μm以下のエチルセルロー
スを主成分とする球形固体粒子と可塑剤からなる水分散
体を噴霧してコーティングを行い、次いで8.5%以
上、60.0%未満の相対湿度雰囲気下、かつ、40℃
以上、80℃以下の温度で熱処理を行うことを特徴とす
るフィルムコーティング粒剤の製造方法に関する。
【0007】以下、本発明について説明する。本発明に
おいて、フィルムコーティングに供される、薬物を含有
する素粒剤は、1種もしくは2種以上の薬物と賦形剤
(例えば、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロー
ス、マンニット、低置換度ヒドロキシプロピルセルロー
ス、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化
デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケ
イ酸など)から成る。その大きさは10μm以上、5m
m以下程度であり、その形状は球状、楕円粒状、棒状、
多面体状、などである。好ましくは、緻密で、かつ、表
面が滑らかな、短径と長径の比(短径/長径)が0.8
以上の球状で、75〜1410μmの大きさのものであ
る。さらに好ましくは、最大粒度が最小粒度の1.7倍
以下程度の粒度分布のものである。その製造方法は、高
速攪拌造粒、押し出し造粒、押し出し造粒+マルメ、転
動造粒、流動層造粒、転動流動層造粒、核粒子を用いた
コーティング造粒、などが使用され、特に好ましくは、
押し出し造粒+マルメ法、および、核粒子を用いたコー
ティング造粒法(修飾造粒法)である。修飾造粒法を用
いる場合は、形状および粒度分布の点で、市販の球形顆
粒であるセルフィア<登録商標>(旭化成工業(株)
製)やノンパレル(フロイント産業(株)の商品名)な
どを使用することが好ましい。
【0008】本発明において、薬物とは、人および動物
の疾病の治療、予防、診断に使用されるものであって、
器具機械ではないもののことであり、例としては、以下
のようなものを挙げることができる。即ち、抗癲癇剤
(例、フェニトイン、アセチルフェネトライド、トリメ
タジオン、フェノバルビタール、プリミドン、ニトラゼ
パム、バルプロ酸ナトリウム、スルチアム、等)、解熱
鎮痛消炎剤(例、アセトアミノフェン、フェニルアセチ
ルグリシンメチルアミド、メフェナム酸、ジクロフェナ
クナトリウム、フロクタフェニン、アスピリン、アスピ
リンアルミニウム、エテンザミド、オキシフェンブタゾ
ン、スルピリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、
アルクロフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、塩
酸チノリジン、塩酸ベンジダミン、塩酸チアラミド、イ
ンドメタシン、ピロキシカム、サリチルアミド、等)、
鎮暈剤(例、ジメンヒドリナート、塩酸メクリジン、塩
酸ジフェニドール、等)、麻薬(例、塩酸アヘンアルカ
ロイド、塩酸エチルモルヒネ、リン酸コデイン、リン酸
ジヒドロコデイン、オキシメテバノール、等)、精神神
経用剤(例、塩酸クロルプロマジン、マレイン酸レボメ
プロマジン、マレイン酸ペラジン、プロペリシアジン、
ペルフェナジン、クロルプロチキセン、ハロペリドー
ル、ジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、メキサ
ゾラム、アルプラゾラム、ゾテピン、等)、骨格筋弛緩
剤(例、クロルゾキサゾン、カルバミン酸クロルフェネ
シン、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、塩酸エ
ペリゾン、等)、自律神経用剤(例、塩化ベタネコー
ル、臭化ネオスチグミン、臭化ピリドスチグミン、
等)、鎮痙剤(例、硫酸アトロピン、臭化ブトロピウ
ム、臭化ブチルスポコラミン、臭化プロパンテリン、塩
酸パパベリン、等)、抗パーキンソン剤(例、塩酸ビペ
リデン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジ
ン、レボドパ、等)、眼科用剤(例、ジクロルフェナミ
ド、メタゾラミド、等)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェ
ンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、
d−マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、メ
キタジン、フマル酸クレマスチン、等)、強心剤(例、
アミノフィリン、カフェイン、dl−塩酸イソイソプロ
テレノール、塩酸エチレフリン、塩酸ノルフェネリン、
ユビデカレノン、等)、不整脈用剤(例、塩酸プロカイ
ンアミド、ピンドロール、酒石酸メトプロロール、ジソ
ビラミド、等)、利尿剤(例、塩化カリウム、シクロペ
ンチアジド、ヒドロクロロチアジド、トリアムテレン、
アセタゾラミド、フロセミド、等)。
【0009】さらにまた、血圧降下剤(例、臭化ヘキサ
メトニウム、塩酸ヒドララジン、シロシンゴピン、レセ
ルピン、塩酸プロプラノール、カプトプリル、メチルド
パ、等)、血管収縮剤(例、メシル酸ジヒドロエルゴタ
ミン、等)、血管拡張剤(例、塩酸エタフェノン、塩酸
ジルチアゼム、塩酸カルボクロメン、四硝酸ペンタエリ
スリトール、ジピリダモール、硝酸イソソルビド、ニフ
ェジピン、クエン酸ニカメタート、シクランデレート、
シンナリジン、等)、動脈硬化用剤(例、リノール酸エ
チル、レシチン、クロフィブラート、等)、循環器官用
剤(例、塩酸ニカルジピン、塩酸メクロフェノキサー
ト、チトクロームC、ピリジノールカルバメート、ピン
ボセチン、ホパンテン酸カルシウム、ペントキシフィリ
ン、イデベノン、等)、呼吸促進剤(例、塩酸ジメフリ
ン、等)、鎮咳去痰剤(例、リン酸コデイン、リン酸ジ
ヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルファン、
ノスカピン、塩酸L−メチルシステイン、塩酸ブロムヘ
キシン、テオフィリン、塩酸エフェドリン、アンレキサ
ノクス、等)、利胆剤(例、オサルミド、フェニルプロ
パノール、ヒメクロモン、等)、整腸剤(例、塩化ベル
ベリン、塩酸ロペラミド、等)、消化器官用剤(例、メ
トクロプラミド、フェニペントール、ドンペリドン、
等)、ビタミン剤(例、酢酸レチノール、ジヒドロタキ
ステロール、エトレチナート、塩酸チアミン、硝酸チア
ミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミ
ン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキ
サール、ニコチン酸、パンテチン、シアノコバラミン、
ビオチン、アスコルビン酸、フィトナジオン、メナテト
レノン、等)、抗生物質(例、ベンジルペニシリンベン
ザチン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリ
ン、セファクロル、セファレキシン、エリスロマイシ
ン、キタサマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニ
コール、テトラサイクリン、グリセオフルビン、セフゾ
ナムナトリウム、等)、化学療法剤(例、スルファメト
キサゾール、イソニアジド、エチオナミド、チアゾスル
ホン、ニトロフラントイン、エノキサシン、オフロキサ
シン、ノルフロキサシン、等)などが挙げられる。
【0010】特に、本発明は低温処理が可能となるため
に、融点が低い、あるいは、熱によって力価が低下する
ために、高温で加熱処理することのできなかった薬物、
例えば、ゾテピン、イブプロフェン、カルバミン酸クロ
ルフェネシン、ユビデカレノン、ジソビラミド、硝酸イ
ソソルビド、シクランデレート、イデベノン、酢酸レチ
ノール、塩酸エチルモルヒネ、臭化ネオスチグミン、臭
化ブチルスポコラミン、臭化プロパンテリン、フマル酸
クレマスチン、塩酸チアミン、フルスルチアミン、オク
トチアミン、アスコルビン酸、ベンジルペニシリンベン
ザチン、アモキシシリン、シクラシリン、セファクロ
ル、セファレキシン、エリスロマイシン、ジョサマイシ
ン、スルファメトキサゾールなどに対して有用である。
素粒剤中の薬物含有量は薬物の投与量によって決まる
が、あえて例を示せば、極微量で薬効が発現する薬物の
場合は0.01重量%程度、薬効の発現に多量の薬物が
必要な場合は95重量%程度である。
【0011】本発明ではフィルムコーティング剤とし
て、エチルセルロースを主成分とする実質的に直径1μ
m以下の球形固体粒子と可塑剤を含有する水分散体が使
用される。エチルセルロースを主成分とする球形固体粒
子の粒度分布は実質的に直径1μm以下である。「実質
的」という意味は、直径1μmを越える球形固体粒子
(但し、最大で5μm程度)がフィルムコーティング剤
としての成膜性や分散安定性を阻害しない程度の量の存
在を認めているという事であり、その量は0.5体積%
以下である。球形固体粒子は小さい方が好ましいが、そ
の分布としては、直径0.6μm以下のものは95体積
%以上、0.5μm以下のものは75体積%以上、0.
4μm以下のものは1体積%以上であることが好まし
い。球形固体粒子の「球形」とは球形度が0.7以上の
ことを意味し、0.8以上であることがより好ましい。
【0012】エチルセルロース以外の副成分としては、
球形固体粒子に内包するか、あるいは複合体化したもの
で、球形固体粒子の水分散体を製造するために必要な助
剤、あるいは球形固体粒子の水中での分散安定性を維持
するのに必要な助剤、あるいは細菌汚染を防止するため
の助剤などのことである。例としては、界面活性剤
(例、ラウリル硫酸ナトリウム)、乳化助剤(例、セチ
ルアルコール)、消泡剤、静菌剤、殺菌剤などを挙げる
ことができる。その配合量はエチルセルロースに対して
30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0013】このようなエチルセルロースの水分散体
は、これ自身では最低成膜温度が高すぎて実用に供しえ
ない。そこで可塑剤を配合し、最低成膜温度を下げる必
要があるが、前述のようなエチルセルロースを主成分と
する球形固体粒子の大きさが1μm以下であると、可塑
剤の使用量が少なくて良い。可塑剤の配合は、その配合
量が多い場合、成膜後に分離(ブリード)などを起こ
し、薬物溶出速度が経時的に変化してしまうという欠点
を有する。本発明で使用されるフィルムコーティング剤
の場合、可塑剤の使用量が少なくて良いため、経時変化
を最小に抑えることができる。本発明では、エチルセル
ロースの球形固体粒子が水中に安定に分散し、可塑剤は
ほとんどがエチルセルロース粒子に吸収され、場合によ
っては一部が水に溶解した状態のものを使用する。可塑
剤は水と分離して油球を形成したり、あるいは二層分離
してはならない。場合によっては、水溶性高分子、糖
類、イオン性物質などの薬物の溶出速度調整剤、アンモ
ニア水、水酸化アンモニウムなどの分散安定化剤、タル
ク、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、トウモロコシデンプ
ン、結晶セルロースなどのフィルムコーティング助剤な
ど、通常のフィルムコーティングに使用される助剤を含
んでいても良い。
【0014】エチルセルロースの球形固体粒子の水分散
体は種々の方法で製造され、例えば、Pharmace
utical Technology,Vol.11,
No.3,p56−68(1987)に示されているよ
うなエマルジョン−溶媒蒸発法、あるいは転相法などで
製造される。例としては、FMC社(米国)製造の「A
quacoat」ECD−30などを挙げることができ
る。
【0015】本発明で使用されるエチルセルロースと
は、The United States Pharm
acopia23(米国)のGuide to Gen
eral Chapters/General Tes
t and Assays/<431>Methoxy
Determinationの方法(但し、0.1N
チオ硫酸ナトリウム液1mLはエトキシル基0.751
0mgに相当)によって測定されるエトキシル基(−0
C2H5)の含有率が41.0〜51.0重量%のもので
ある。
【0016】本発明で使用される可塑剤は、エチルセル
ロースのガラス転移温度および最低成膜温度を低下させ
る物質である。例としては、アセチル化モノグリセリ
ド、クエン酸トリエチル、トリアセチン、セバシン酸ジ
ブチル、セバシン酸ジメチル、中鎖脂肪酸トリグリセリ
ド、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチ
ル、クエン酸アセチルトリブチル、アジピン酸ジブチ
ル、オレイン酸、オレイノールなどを挙げることができ
る。可塑剤の選択は、薬物の溶解性と製剤設計(薬物溶
出速度、保存安定性の設定)に大きく依存する。一例を
挙げれば、薬物の溶解度が低い場合は、フィルムコーテ
ィングのバッチバラツキを低減できるのでアセチル化モ
ノグリセリドの使用が好ましく、また、薬物の溶解度が
高い場合は、フィルムコーティング量を少なくし得るク
エン酸トリエチルの使用が好ましい。配合量は、最低成
膜温度、フィルムの熱軟化による融着性(フィルムコー
ティング操作に影響)、保存安定性などを考慮して決め
られるが、おおよそエチルセルロース100重量部に対
して10〜70重量部、好ましくは25〜50重量部程
度である。
【0017】本発明で使用される水溶性高分子としては
医薬品製剤に汎用されるものが使用され、その例として
は、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース(以下、HPMCと略称することもあ
る)、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、プ
ルラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸
プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、など
を挙げることができる。本発明ではこれらの一種、もし
くは二種以上を使用する。
【0018】本発明で使用される転動流動型コーティン
グ装置とは、略円筒型の空間と、底部には、被コーティ
ング粒子を転動させるための円盤と温風を供給するため
スリットあるいは小孔を有し、上部には、温風を排出す
るための排風口(通常はバグフィルター付き)を持つも
のであり、フィルムコーティング液を噴霧するためのス
プレーノズルが上部から下部に向かって、あるいは略円
筒型空間下部の円盤の回転の接線方向に取り付けられて
いる。略円筒型空間の形状、転動用の円盤の形状、温風
を供給するためのスリットあるいは小孔の形状および位
置、スプレーノズルの形状(噴霧能力、異物の付着防
止)の違いによって、種々の装置が提案されているが、
本発明においてはいずれの装置を用いてもよい。市販品
としては(株)パウレック製「マルチプレックス」、不
二パウダル(株)製「ニューマルメライザー」、フロイ
ント産業(株)製「スパイラフロー」、同「ローターコ
ンテナー」付き「フローコーター」、などがある。特に
好ましい装置は「マルチプレックス」である。
【0019】転動流動型コーティング装置を使用してエ
チルセルロース水分散液を噴霧し、フィルムコーティン
グを行うと、温風による流動作用と円盤による転動作用
が素粒剤に与えられるため、素粒剤に付着したコーティ
ング剤が乾燥する前に良く展延される。さらに略円筒型
空間下部から円盤の転動作用の接線方向にエチルセルロ
ース水分散液を噴霧するのが好ましく、このように接線
方向に噴霧することにより、スプレーノズル先端から球
形素顆粒までの距離が短く、充分水分を持った状態で付
着するため、付着効率が高く、その後の展延効果も高く
なるのであろう。その結果得られるフィルムはより緻密
であり、従来技術と比べて著しく緩和された条件での加
熱処理でも、エチルセルロース粒子の連続化が容易に達
成され、結局、長期間の貯蔵においても薬物の溶出速度
の変わらない、安定なフィルムになるものと考えられ
る。「マルチプレックス」が好ましい理由は、そのスプ
レーノズルが、その外側に噴霧と同一方向にエアーを流
す機構を備えており、このエアーが非コーティング粒子
等の付着防止の他に、フィルムコーティング剤の付着防
止、噴霧された液滴を球形素顆粒に良く付着させる作
用、および、球形素顆粒をよく転動流動させる作用をも
つためである。
【0020】本発明において、フィルムコーティング粒
剤のフィルムはその厚みが30μm以上であることが好
ましい。30μm以下ではフィルム強度が低く、経時変
化しやすい。上限は特にないが、あまり厚すぎるとフィ
ルムコーティングに長時間かかり、実用的でない。その
ような制約からいうと、上限はおおよそ100μmであ
る。フィルムが厚くなると溶出速度が遅くなりすぎるな
どの影響が出てくるが、そのような場合は適宜水溶性物
質を配合するなどして、適当な溶出速度と適当なフィル
ムを厚みを確保してもよい。コーティング量は素粒剤の
粒度や形状、表面の滑らかさなどによって大きく変わる
が、素粒剤100重量部に対して、5〜100重量部程
度であり、好ましくは10〜25重量%程度である。
【0021】このようにして得られたフィルムコーティ
ング粒剤は8.5%以上、60.0%未満の相対湿度雰
囲気下で、40℃以上80℃以下の温度で、適当な時間
処理される。湿度が8.5%RH未満、もしくは40℃
未満であると、充分にエチルセルロース粒子の連続化が
起こらないので、長期の貯蔵によって薬物の溶出速度が
変化してしまう。また、湿度が60.0%RH以上であ
ると粒剤の吸湿がはなはだしく、乾燥が必須となり、さ
らには粒剤の固結が生じるのでほぐしてやらなければ使
いものにならなくなる。温度が80℃を越えると、薬物
の力価の低下が生じやすくなるので好ましくない。湿度
が8.5%未満でも温度を60℃以上にすれば、安定な
フィルムを作ることは可能だが、本発明の方法に比べて
長時間を要するので、生産性の点から不利である。好ま
しくは9.0〜58.0%RH、40〜70℃、さらに
好ましくは9.5〜30.0%RH、40〜60℃であ
る。加熱時間はいくつか水準を変えて試験を行い、溶出
速度が底打ちになる条件を見つけ、設定する必要があ
る。通常は0.5〜24時間であり、その多くは1〜6
時間程度の短時間である。
【0022】この加熱処理は、デシケーターに適当な湿
度を与える硫酸水溶液あるいは飽和塩水溶液などを入
れ、そこにフィルムコーティング粒剤を入れ、デシケー
ターを恒温器に入れて加湿・加熱するか、あるいは、フ
ィルムコーティング粒剤を直接恒温恒湿器にて加湿・加
熱するか、あるいは、フィルムコーティング粒剤を転動
流動層もしくは流動層にて転動流動(流動)させ、同時
に水を噴霧し、粒剤を加湿・加熱すればよい。加湿によ
って水分含有量が上がる場合があるが、本発明は、比較
的低湿度、短時間の処理なので粒剤の固結などの問題は
ほとんど生じない。但し、長期間保存した場合、あるい
は加速的な保存安定性試験を行った場合、粒剤の軽い固
結が生じる場合がある。これを回避するためには乾燥処
理を施すことが効果的である。
【0023】本発明は、より低温で処理できるので、低
融点の薬物、あるいは、加熱によって失活する薬物を使
用する場合に多大なる効果がある。従来、そのような薬
物を含有する粒剤にエチルセルロース水分散体でフィル
ムコーテイングを施す場合、フィルムの安定化が不充分
であるために、その使用を断念せざるを得ない場合があ
った。湿度雰囲気下で加熱する場合、より低温でもエチ
ルセルロース粒子の連続化を促進できる理由は、フィル
ムの水分が可塑剤として作用し、ガラス転移点が下がる
ためと考えられる。
【0024】粒剤の薬物溶出速度は、医薬品の品質保証
期間内安定であることが求められる。通常、その期間は
3年間であり、溶出速度のバラツキの限度は薬理効果の
発現に同等性が認められる範囲内である。その目安とし
ては、例えば、「徐放性製剤(経口投与剤)の設計及び
評価に関するガイドライン」(日本公定書協会編、医薬
品製造指針1992年版、p107−112(薬事時報
社))に、最終製品の包装形態で、40℃、75%R
H、6ケ月間の保存安定性試験を行い、その間、溶出率
が20〜40%、40〜60%、70%以上の適当な時
間において、それぞれ±15%以内、±15%以内、±
10%以内であることが示されている。本発明は、従来
技術では難しかった低温の処理、あるいは短時間の処理
でこれを達成することができる。
【0025】本発明において、フィルムコーティング粒
剤は、エチルセルロース水分散体フィルムのコーティン
グのバッチバラツキ低減、あるいは薬物とエチルセルロ
ース水分散体フィルムの配合変化の防止などの目的で、
素粒剤の外側に水溶性高分子(例、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、等)などをフィルムコーティングし
ても良いし、また、貯蔵時の固結防止、あるいは腸溶性
を付与することなどを目的として、エチルセルロース水
分散体フィルムの外側に、さらに他のフィルムコーティ
ング剤をコーティングしても良い。
【0026】このようにして得られたフィルムコーティ
ング粒剤の粒度分布は、前記の素粒剤粒度分布にフィル
ムの厚みが増したものである。それは75〜1410μ
mの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは実
質的に75〜500μmの範囲内である。この範囲内の
粒度分布であると、服用が容易である、食品などに混合
して服用することが可能である、第12改正日本薬局方
製剤総則で規定の「散剤」あるいは「顆粒剤」との混合
性が良いので調剤しやすい、他の賦形剤と混合して打錠
してもフィルムの損傷が少ない、などの利点を有する。
「実質的」という意味は、前述の利点を損なわない程度
に75μm未満、あるいは500μmを越える粒子を含
んでいても良いということであり、それは75μm未満
の粒子が10重量%以下、500μmを越える粒子が5
重量%以下(但し、最大で850μm程度)であること
をいう。
【0027】本発明において、フィルムコーティング粒
剤は、そのまま投薬されるか、あるいはカプセルに充填
して使用されるか、あるいは他の薬剤と混合して使用さ
れるか、あるいは他の賦形剤や薬物や薬物を含む粒剤や
フィルムコーティングを施した粒剤と混合後、打錠して
錠剤とし、使用される。食品や経管流動食などに混合し
て投薬することも可能である。また、医薬品以外に、農
薬や、肥料、あるいは工業用途として使用することも可
能である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明する。なお、測定法、調製法等は次の通りであ
る。 粒度分布[重量%]の測定方法 JIS標準篩を用いて素粒剤およびコーティング粒剤を
各々50g正確に秤量し、ロータップ式篩分機で篩分し
たときの篩上重量の重量百分率で表した。 粗比容積[cm3/g] 目開き4000μmの篩上に置いた薬包紙上に素粒剤2
0gを置き、薬包紙をゆっくり除いて50cm3メスシ
リンダー内に落下させる。そのときの体積を素粒剤重量
20gで除して求めた。 エチルセルロースを主成分とした球形固体粒子の球形
度[−] 粒子形状を電子顕微鏡を用いて撮影し、その50個の粒
子の短径と長径の比(短径/長径)の平均値をとった。 エチルセルロースを主成分とした球形固体粒子の粒度
分布[体積%] 試料の水分散体を適当な透過率を示す濃度に水で希釈
し、1分間超音波分散した後、攪拌しながら、相対屈折
率1.2、取り込み回数10回、の条件で、レーザー回
折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−9
10型)にて測定し、体積基準の粒子径分布を求めた。 薬物の溶出率[%]の測定方法 薬物の溶出率は、日本分光工業(株)製、自動溶出試験
機DT−600を用い、パドル法(100rpm)にて
測定した。試験液は第12改正日本薬局方一般試験法崩
壊試験法の試験液第2液を用いた。測定は2回行い、そ
の平均値をとった。 素粒剤の調製 イブプロフェン70重量部と結晶セルロース(アビセル
<登録商標>PH−101、旭化成工業(株)製)30
重量部を粉体混合後、プラネタリーミキサー(品川工業
所製5−DM型、パドル:ビーター型)で攪拌しながら
加水練合し、ダイス孔径が直径0.5mmの押し出し機
(ドームグラン、DG−1L型、不二パウダル(株)
製)で押し出し、次いで、球形化機(マルメライザー、
Q−230型、不二パウダル(株)製)で15分間球形
化したものを流動層乾燥機で乾燥し、目開き1410μ
mの篩で篩上に残る粗大粒子を除去し素粒剤を得た。素
粒剤の短径と長径の比は0.86であり、粗比容積は
2.20cm3/gであった。得られた素粒剤の粒度分
布を表1に示す。 HPMCコート粒剤の調製 転動流動型コーティング装置(マルチプレックス、MP
−01型、(株)パウレック製)に上記素粒剤を仕込
み、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学
(株)製、TC−5E)5部、水95部からなる被覆液
を噴霧し、素粒剤100重量部に対し、HPMCが5重
量部コーティングされたHPMCコート粒剤を得た。粒
度分布を表2に示す。
【0029】
【実施例1】エチルセルロース水分散体(「Aquac
oat」ECD−30、固形分濃度:30%、FMC社
製造、旭化成工業(株)販売)32部、クエン酸トリエ
チル2.4部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(信越化学工業(株)製、TC−5E)10%水溶液3
0部、水35.6部の割合からなるコーティング液を調
製し、HPMCコート粒剤700gに対し、前出の転動
流動型コーティング装置を用いて、回転板回転数:45
0rpm、タンジェンシャルボトムスプレーを使用し、
スプレーエアー圧:1.6kgf/cm2、スプレーエ
アー流量:40L/min、給気温度:55℃、排気温
度:36℃、風量:105m3/hr、コーティング液
供給速度:14g/minの条件でコーティングした。
使用したエチルセルロース水分散体は、0.4μm以上
の粒子はなく、平均で0.145μm(メジアン径)の
大きさであり、かつ、球形度は1.0であった。コーテ
ィングはHPMCコート粒剤100重量部に対して、1
5重量部になるように行った。コーティング液供給停止
後、そのまま放置し、排気温度が40℃まで上がったら
ヒーターを切って室温まで冷却し、コーティング粒剤を
取り出した。ヒーターを切ってから取り出しまで約30
分かかった。得られたコーティング粒剤の粒度分布を表
3に示す。コーティングフィルムの厚みは36μm(篩
下積算分布50%粒径から算出)であった。
【0030】次いで、ZnCl2飽和水溶液を入れたデ
シケーター中に、得られたコーティング粒剤約500g
を入れ、熱風乾燥機にて、50℃、2時間加熱した。こ
の時のデシケーター中の温度は50℃、相対湿度は1
0.0%RHであった。コーティング粒剤の固結は全く
見られなかった。これをガラス製気密容器に入れ40
℃、75%RHの条件下に放置し保存安定性試験を行っ
た。結果を表4に示す。
【0031】8週間放置した後の溶出速度は、保存の前
の溶出速度に比較してほとんど変化は見られなかった。
また、8週間保存後のガラス製気密容器中の粒剤はほと
んど固結していなかった。
【0032】
【実施例2】実施例1で調製したコーティング粒剤を、
恒温恒湿機(タバイエスペックコーポレーション製)に
て、50℃、57.0%RHで2時間加湿・加熱処理し
た。粒剤は振盪すればほぐれる程度に軽く固結した。こ
れをガラス製気密容器に入れ40℃、75%RHの条件
下に放置し保存安定性試験を行った。結果を表5に示
す。
【0033】8週間放置した後の溶出速度は、保存の前
の溶出速度に比較してほとんど変化は見られなかった。
また、8週間保存後のガラス製気密容器中の粒剤は固結
していたが、スパチュラで軽くほぐすことができる程度
だった。
【0034】
【比較例1】実施例1で調製したコーティング粒剤を5
0℃、8.0%RHで2時間加熱処理した。これをガラ
ス製気密容器に入れ40℃、75%RH、及び、50
℃、8%RHの条件下に放置し保存安定性試験を行っ
た。結果を表6、表7に示す。この場合、8週間保存し
た後の溶出速度は、保存前の溶出速度に比較して両方の
条件ともに、大幅に遅延した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
【発明の効果】本発明により、長期間の貯蔵においてフ
ィルムの徐放性などの機能が変化しない安定なフィルム
コーティング粒剤を、低湿度で、低温度、かつ、短時間
の処理で、処理中に粒剤の固結を引き起こすことなく製
造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬物を含有する素粒剤を、転動流動型コー
    ティング装置を用いて転動流動させるとともに、実質的
    に直径1μm以下のエチルセルロースを主成分とする球
    形固体粒子と可塑剤からなる水分散体を噴霧してコーテ
    ィングを行い、次いで8.5%以上、60.0%未満の
    相対湿度雰囲気下、かつ、40℃以上、80℃以下の温
    度で熱処理を行うことを特徴とするフィルムコーティン
    グ粒剤の製造方法。
  2. 【請求項2】エチルセルロースを主成分とする球形固体
    粒子と可塑剤からなる水分散体を、転動流動型コーティ
    ング装置の転動作用の接線方向に噴霧することを特徴と
    する請求項1記載のフィルムコーティング粒剤の製造方
    法。
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