JPH09208295A - 耐摩耗性アルミナ装飾部材およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性アルミナ装飾部材およびその製造方法

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JPH09208295A
JPH09208295A JP8015474A JP1547496A JPH09208295A JP H09208295 A JPH09208295 A JP H09208295A JP 8015474 A JP8015474 A JP 8015474A JP 1547496 A JP1547496 A JP 1547496A JP H09208295 A JPH09208295 A JP H09208295A
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JP
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alumina
weight
decorative member
cobalt
oxide
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JP8015474A
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Hiroshi Hamashima
浩 浜島
Shunji Migaki
俊二 三垣
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐摩耗性を有するとともに、装飾性に富
んだ着色アルミナセラミックスを提供する。 【解決手段】アルミナを主成分とし、酸化マグネシウム
および/または酸化珪素を0.2重量%以下と、着色成
分としてコバルト、ニッケル、クロム、マンガン、バナ
ジウムのうち1種以上からなる金属を0.005〜0.
1重量%の範囲でそれぞれ含有するとともに、焼結体中
におけるアルミナ結晶の第1ピーク強度(I0 )と上記
着色成分の酸化物結晶の第1ピーク強度(I)の強度比
(I/I0)がI/I0 <0.02であるアルミナセラ
ミックスでもって耐摩耗性アルミナ装飾部材を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣糸ガイドや繊維
ガイドなどのガイド部材、時計ケースやその他の時計用
部品等として使用する耐摩耗性アルミナ装飾部材とその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、釣糸ガイドや繊維ガイドなどのガ
イド部材、あるいは時計ケースやその他の時計用部品等
には装飾性は勿論のこと、高い耐摩耗性が要求されてい
る。
【0003】例えば、釣糸ガイドや繊維ガイドなどのガ
イド部材には少なくとも糸との摺動面に硬質クロムメッ
キを施した炭素鋼が使用されていた。しかしながら、こ
のようなガイド部材では糸が高速摺動することに伴い摺
動面のメッキが剥がれ易く、短期間で摩耗してしまうと
ともに、耐食性の点においても問題があった。
【0004】そこで、近年、ガイド部材を着色アルミナ
セラミックスにより形成したものが使用されている。
【0005】この種のアルミナセラミックスとしては、
アルミナ粉末に対し、焼結助剤として酸化マグネシウム
などの粉末を添加するとともに、着色顔料としてコバル
ト、ニッケル、クロム、マンガンなどの酸化物の粉末を
0.1〜10重量%程度添加混合して造粒体を製作し、
金型に充填して所定形状に成形したあと、還元雰囲気中
にて焼成することにより形成したものがあった(特開昭
56−140070号公報、特開昭56−140071
号公報、および特開昭62−224226号公報参
照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ガイド
部材のように着色成分を酸化物の状態で添加したアルミ
ナセラミックスは、焼結体中において殆どの着色成分が
酸化物状態のまま存在しているために透光感がなく黒み
がかった色を呈しており装飾性に乏しいものであった。
【0007】即ち、着色成分を酸化物の状態で添加した
ものでは、上記着色成分の酸化物が焼結体中においてア
ルミナ結晶の粒界中に存在するために、アルミナ結晶中
を通過してきた光が上記酸化物により吸収されたり屈折
を受け、その結果、透光感が得られず、黒みがかった色
を呈していた。
【0008】また、着色顔料として添加するコバルト、
ニッケル、クロム、マンガンなどの酸化物にはアルミナ
粒子の成長抑制作用がないために充分に緻密化すること
ができず、アルミナ純度の高いものでも抗折強度で40
kg/mm2 程度、ビッカース硬度で1600〜180
0kg/mm2 程度とそれほど機械的強度を高めること
ができなかった。その為、この着色アルミナセラミック
スにより形成した釣糸ガイドを用いて釣糸を高速度で、
かつ高負荷荷重下において使用すると比較的短い期間で
摺動面が摩耗して使用不能となってしまうといった課題
があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は着色成分を添加しているにもか
かわらず、硬度や抗折強度等の機械的特性を向上させる
ことができるとともに、透光感ある極めて装飾性に富ん
だ耐摩耗性アルミナ装飾部材とその製造方法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、耐摩耗性アルミナ装飾部材としてアルミナを
主成分とし、酸化マグネシウムおよび/または酸化珪素
を0.2重量%以下と、着色成分としてコバルト、ニッ
ケル、クロム、マンガン、バナジウムのうち1種以上か
らなる金属を0.005〜0.1重量%の範囲でそれぞ
れ含有するとともに、焼結体中におけるアルミナ結晶の
第1ピーク強度(I0 )と上記着色成分の酸化物結晶の
第1ピーク強度(I)の強度比(I/I0 )がI/I0
<0.02であるアルミナセラミックスによりを形成し
たことを特徴とするものである。
【0011】また、本発明は、上記耐摩耗性アルミナ装
飾部材の製造方法として、主成分をなすアルミナ粉末に
対し、酸化マグネシウムおよび/または酸化珪素の粉末
を0.2重量%以下と、着色顔料としてコバルト、ニッ
ケル、クロム、マンガン、バナジウムのうち1種以上か
らなる金属塩の粉末を0.03〜0.5重量%の範囲で
含有して溶媒およびバインダーとともに混練乾燥するこ
とにより造粒体を製作し、この造粒体を金型に充填して
所定形状に成形したあと、大気雰囲気中もしくは真空雰
囲気中で1200〜1800℃の焼成温度にて焼成する
ことにより製造することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】即ち、本発明に係る耐摩耗性アル
ミナ装飾部材は、焼結体中において着色成分であるコバ
ルト、ニッケル、クロム、マンガン、バナジウムのうち
1種以上からなる金属が実質的に酸化物の状態で存在す
るのではなく、アルミナ結晶中にほぼ完全に固溶させた
ものである。つまり、着色成分をアルミナ結晶中に固溶
させることで、アルミナ結晶の粒界中において光を吸収
したり屈折させるものがなくなるために高い直線透過率
が得られ、透光感あるアルミナセラミックスとすること
ができる。
【0013】その為、本発明に係る耐摩耗性アルミナ装
飾部材において着色成分としてコバルトを含有したもの
にあっては透光感ある青色、ニッケルを含有したものに
あっては透光感ある緑色、クロムを含有したものにあっ
ては透光感ある赤色、マンガンを含有したものにあって
は透光感あるピンク色、バナジウムを含有したものにあ
っては透光感ある黄色に着色することができ、さらに、
例えばコバルトとクロムを含有したものにあっては透光
感ある紫色に着色することができるなど上記着色成分を
組み合わせることにより装飾性を持った様々な色に着色
することができる。
【0014】しかも、着色成分をアルミナ結晶中に固溶
させることでアルミナ粒子の成長を抑制することができ
るため、より緻密化して機械的特性を向上させることが
できる。
【0015】ただし、本発明においてコバルト、ニッケ
ル、クロム、マンガン、バナジウムのうち1種以上から
なる金属が実質的に酸化物として存在しないとは、X線
回折における測定において焼結体中のアルミナ結晶の第
1ピーク強度をI0 、コバルト、ニッケル、クロム、マ
ンガン、バナジウムのうち1種以上からなる金属の酸化
物の第1ピーク強度をIとした時の強度比(I/I0
がI/I0 <0.02であるものを言う。
【0016】ところで、アルミナセラミックス中におけ
る着色成分の含有量は0.005〜0.1重量%の範囲
であることが重要である。
【0017】これは、着色成分の含有量が0.005重
量%未満であると充分に着色させることができないため
に色調が薄く装飾性に欠けるからであり、逆に、着色成
分の含有量が0.1重量%より多くなるとアルミナ装飾
部材の機械的強度が低下してしまうからである。
【0018】また、焼結助剤として酸化マグネシウムお
よび/または酸化珪素を含有させても良い。例えば、酸
化マグネシウムにはアルミナ粒子の成長抑制作用があ
り、酸化珪素にはアルミナ同士の結合力を高める作用が
ある。その為、これらの焼結助剤を添加することにより
アルミナ装飾部材の機械的強度を向上させることができ
る。ただし、焼結助剤の含有量としては上限を0.2重
量%までとすることが必要である。これは、焼結助剤の
含有量が0.2重量%より多くなるとアルミナ結晶の粒
界中に占める焼結助剤の割合が多くなりすぎるために透
光感が薄れてしまうとともに、さらに焼結助剤が多くな
るとアルミナ装飾部材の機械的強度が低下してしまうか
らである。ただし、本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾
部材においては、必ずしも焼結助剤を添加する必要はな
い。
【0019】一方、主成分をなすアルミナの含有量とし
ては99.7重量%以上であることが好ましい。これ
は、アルミナ含有量が99.7重量%より少なくなる
と、アルミナ装飾部材の機械的強度が大きく低下してし
まうからである。なお、アルミナ結晶の平均結晶粒子径
が3.5μmより大きくなってもアルミナ装飾部材の機
械的強度が大きく低下するために、アルミナ結晶の平均
結晶粒子径は3.5μm以下、好ましくは3.0μm以
下としたものが良い。
【0020】また、本発明に係るアルミナ装飾部材にお
いてはある程度の透光性を有していることが必要であ
り、好ましくは可視光線全域において高い直線透過率を
有するものが良いが、少なくとも0.5mmの厚みに加
工した板状体のアルミナ装飾部材に800nmの波長光
を照射した時の直線透過率が15T%以上有するもので
あれば良い。
【0021】次に、本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾
部材の製造方法について説明する。
【0022】まず、主成分をなすアルミナ粉末として純
度99%以上で、平均粒子径1μm以下のものを使用す
る。これは、アルミナ粉末中の不純物量が多くなると透
光感が得られなくなるからであり、平均粒子径が1μm
より大きくなると焼結性が低下することからアルミナ装
飾部材の機械的強度(抗折強度及び硬度)が低下してし
まうからである。
【0023】そして、このアルミナ粉末に対し、酸化マ
グネシウムおよび/または酸化珪素を0.2重量%以下
の範囲で含有するとともに、着色顔料としてコバルト、
ニッケル、クロム、マンガン、バナジウムのうち1種以
上からなる金属塩の粉末を0.03〜0.5重量%の範
囲でそれぞれ添加する。ここで、着色成分を金属塩とし
て添加するのは着色成分であるコバルト、ニッケル、ク
ロム、バナジウムをイオン化させてアルミナに固溶させ
易くするためである。また、上記金属塩の添加量を0.
03〜0.5重量%としたのは、添加量が上記範囲より
多かったり少なかったりすると焼結体中における着色成
分の含有量を0.005〜0.1重量%とすることがで
きないからである。なお、上記金属塩としては硫化塩、
硝酸塩、塩化塩を用いれば良い。
【0024】しかるのち、これらの原料に溶媒とバイン
ダーを添加して混練乾燥して造粒体を製作し、金型中に
充填して所定形状に成形したあと、大気雰囲気中または
水素雰囲気中で1200〜1800℃の焼成温度にて焼
成すれば良い。なお、焼成後にHIP処理を施しても良
く、このHIP処理を施すことにより機械的強度をさら
に向上させることが可能である。
【0025】上記製造方法により形成した本発明に係る
アルミナ装飾部材は、装飾性を備えていることは勿論の
こと、ビッカース硬度2000kg/mm2 以上、抗折
強度55kg/mm2 以上の優れた機械的強度をもった
ものとすることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明実施例を説明する。
【0027】図1は本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾
部材の一例である釣糸ガイド1で、透光感ある青色を呈
したアルミナセラミックスからなるリング状体2をした
もので、リング状体2の内面を摺動面3としてある。
【0028】この釣糸ガイド1は、純度99%以上のア
ルミナ粉末に対し、着色顔料として硫酸コバルトの粉末
を0.1重量%と、焼結助剤として酸化珪素を0.1重
量%添加して15時間混合粉砕したあとバインダーを添
加してスプレードライヤにより造粒体を製作し、この造
粒体を金型中に充填して1.0ton/cm2 程度の圧
力にて加圧成形することによりリング状をした成形体を
形成する。しかるのち、得られた成形体を大気雰囲気中
にて1300℃程度の焼成温度で1時間焼成し、さらに
HIP処理を施すことにより形成した。
【0029】この釣糸ガイド1をICP発光分光分析に
より、コバルト量を測定したところ0.018重量%で
あり、X線回折により酸化コバルト(Co3 4 )の有
無について測定したところ酸化コバルト(Co3 4
は全く含んでいなかった。
【0030】また、別に上記釣糸ガイド1を構成するア
ルミナセラミックスからなる試料を容易して研摩加工を
施し、厚み0.5mm程度の薄板とし、800nmの波
長光を照射したところ20T%程度の直線透過率を有し
たものであり、さらに、機械的特性について測定したと
ころ、ビッカース硬度2100kg/mm2 、抗折強度
75kg/mm2 と充分な機械的強度を有していた。
【0031】(実験例1)ここで、着色成分としてコバ
ルトを含有した本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾部材
と従来の耐摩耗性アルミナ装飾部材とを用意し、それぞ
れの特性について測定を行った。
【0032】本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾部材と
しては、着色顔料として硫酸コバルトを0.1重量%
と、焼結助剤として酸化珪素を0.1重量%添加したア
ルミナセラミックスを用意し、従来の耐摩耗性アルミナ
装飾部材としては、着色顔料として酸化コバルトを0.
1重量%と、焼結助剤として酸化マグネシウムを0.1
重量%の範囲で添加したアルミナセラミックスを用意し
た。
【0033】そして、これらのアルミナ装飾部材をX線
回折により測定したところ、従来の耐摩耗性アルミナ装
飾部材では図2(b)に示すように、アルミナ結晶以外
に酸化コバルト(Co3 4 )結晶の存在が確認でき
た。また、アルミナ結晶の第1ピーク(I0 )と酸化コ
バルト(Co3 4 )結晶の第1ピーク(I)のピーク
比(I/I0 )を求めたところI/I0 =0.11であ
った。
【0034】このことから従来の耐摩耗性アルミナ装飾
部材を構成するアルミナセラミックス中には着色成分で
あるコバルトが酸化物の状態で存在していることが判
る。
【0035】これに対し、本発明に係る耐摩耗性アルミ
ナ装飾部材は図2(a)に示すように、酸化コバルト
(Co3 4 )結晶のピークが見られずアルミナ結晶の
存在のみ確認できた。
【0036】このことから、本発明に係る耐摩耗性アル
ミナ装飾部材においては着色成分であるコバルトは焼結
体中においてほぼ完全にアルミナ結晶中に固溶している
ことが判る。なお、着色成分であるコバルトは焼結体中
においてアルミナと反応してスピネル(CoAl
2 4 )の状態で存在しているものと考えられる。
【0037】次に、これらのアルミナ装飾部材を厚み
0.5mmに研摩したあと、190〜800nmの波長
光(可視光線)を照射し、赤外分光計により直線透過率
の測定を行った。
【0038】それぞれの結果は図3(a)、(b)にそ
れぞれ示す通りである。
【0039】この結果、図3(b)の従来の耐摩耗性ア
ルミナ装飾部材では190〜800nmの波長光全域に
おいて光の透過が得られず直線透過率はほぼゼロであっ
た。
【0040】これに対し、図2(a)の本発明に係る耐
摩耗性アルミナ装飾部材は、300nm〜800nmの
波長光において光の透過があり、特に800nmの波長
光においては20T%もの直線透過率を有していた。
【0041】このことから判るように、従来の耐摩耗性
アルミナ装飾部材は黒色がかった青色を呈しており装飾
性に欠けるものであったが、本発明に係る耐摩耗性アル
ミナ装飾部材は透光感ある青色を呈しており充分な装飾
性を備えたものであった。
【0042】(実験例2)図1に示す本発明の釣糸ガイ
ド1と比較例として着色顔料として酸化コバルトを添加
したアルミナセラミックス、炭化珪素質セラミックス、
ジルコニアセラミックス、およびTiN系サーメット材
からなる釣糸ガイド1をそれぞれ試作し、機械的特性に
ついて硬度および抗折強度について測定するとともに、
釣糸との摺動特性について実験を行った。
【0043】硬度および抗折強度の測定については試料
の表面を鏡面研摩し、硬度はJISZ2244試験法
に、抗折強度はJISR1601の3点曲げ試験法にし
たがってそれぞれ測定を行った。
【0044】また、釣糸との摺動特性については図4に
示すように、ナイロン製の釣糸5を各釣糸ガイド1の摺
動面3に1kgの荷重をかけた状態で、300mmのス
トロークに対し2秒で1往復するような速度で1万回往
復移動させた時の摺動面3の摩耗状態を測定した。
【0045】そして、摺動面3を20倍に拡大して見た
ときに摩耗痕が見られなかったものは○、摩耗痕が見ら
れたものは×として測定を行った。
【0046】また、本実験ではビッカース硬度2000
kg/mm2 以上、抗折強度55kg/mm2 以上を有
し、かつ釣糸5との摺動において摺動面3に摩耗痕が見
られなかったものを釣糸ガイド1として適したものとし
た。
【0047】各釣糸ガイド1の機械的特性および摺動特
性は表1に示す通りである。
【0048】
【表1】
【0049】この結果、試料No.1の炭化珪素質セラ
ミックス製の釣糸ガイドはビッカース硬度が2000k
g/mm2 と高硬度を有していたものの、抗折硬度が5
0kg/mm2 程度であるために、釣糸との摺動により
摺動面3に1μm以上の深さの摩耗痕が見られた。ま
た、炭化珪素質セラミックスは黒色を呈したものであり
装飾部材には不適当であった。
【0050】また、試料No.2のジルコニアセラミッ
クス製の釣糸ガイド、および試料No.3のTiN系サ
ーメット製の釣糸ガイドでは、抗折硬度で100kg/
mm2 もの高い強度を有するものの、ビッカース強度が
1200〜1250kg/mm2 程度であるために、釣
糸5との摺動により摺動面3に3μm以上の深さの摩耗
痕が見られた。
【0051】さらに、試料No.4および5のアルミナ
セラミック製の釣糸ガイドは、着色顔料としてコバルト
の酸化物およびバナジウムの酸化物をそれぞれ添加した
ものであるために焼結体中において着色成分が酸化物の
状態で存在し、その為、抗折強度で40kg/mm2
ビッカース硬度でも1600kg/mm2 程度と機械的
強度を向上させることができなかった。その為、釣糸5
との摺動により摺動面3に1μm以上の深さの摩耗痕が
できた。また、色調も黒みがかった青色と黄色をしたも
ので装飾部材には不適当であった。
【0052】また、試料No.6のアルミナセラミック
製の釣糸ガイドは、着色顔料としてコバルト塩(硫酸コ
バルト)を添加したものであるために色調において透光
感ある青色を呈したものとすることができたものの、焼
結体中におけるコバルトの含有量が0.1重量%より多
いために抗折強度で45kg/mm2 、ビッカース硬度
1800kg/mm2 と機械的強度を向上させることが
できなかった。その為、釣糸5との摺動により摺動面3
に1μm以上の深さの摩耗痕ができた。
【0053】これに対し、試料No.7乃至試料No.
9の本発明に係るアルミナセラミック製の釣糸ガイド
は、着色顔料としてコバルト塩(硫酸コバルト)を添加
したものであるために色調において透光感ある青色を呈
したものとすることができ、装飾部材として適してい
た。また、焼結体中におけるコバルトの含有量は0.0
05〜0.1重量%で、かつ焼結助剤である酸化マグネ
シウムおよび/または酸化珪素の含有量は0.2重量%
以下であるために、ビッカース硬度で55kg/mm2
以上、抗折強度で2000kg/mm2 以上とすること
ができた。その為、釣糸5との1万回の摺動においても
摺動面3に摩耗痕は見られなかった。
【0054】この結果、試料No.7乃至試料No.9
の本発明に係るアルミナセラミックスは釣糸ガイドの材
質として適したものであった。
【0055】なお、本実施例では着色成分としてコバル
トを用いた例を示したが、他のニッケル、クロム、マン
ガン、バナジウムなどの着色成分を用いた場合において
もほぼ同様の結果であった。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明は耐摩耗性アルミ
ナ装飾部材としてアルミナを主成分とし、酸化マグネシ
ウムおよび/または酸化珪素を0.2重量%以下、着色
成分としてコバルト、ニッケル、クロム、マンガン、バ
ナジウムのうち1種以上からなる金属を0.005〜
0.1重量%の範囲でそれぞれ含有するとともに、焼結
体中におけるアルミナ結晶の第1ピーク強度(I0 )と
上記着色成分の酸化物結晶の第1ピーク強度(I)の強
度比(I/I0 )がI/I0 <0.02であるアルミナ
セラミックスによりを形成したことにより充分な色調と
透光感ある装飾性をもったものとすることができる。し
かも、硬度および抗折強度などの機械的特性を向上させ
ることができる。その為、釣糸ガイドや繊維ガイドなど
のガイド部材あるいは時計ケースやその他の時計用部品
などの装飾性を有するとともに、耐摩耗性が要求される
部材として長期間にわたり好適に使用することができ
る。
【0057】また、本発明は、上記耐摩耗性アルミナ装
飾部材をアルミナ粉末に対し、酸化マグネシウムおよび
/または酸化珪素の粉末を0.2重量%以下と、着色顔
料としてコバルト、ニッケル、クロム、マンガンのうち
1種以上からなる金属塩の粉末を0.03〜0.5重量
%の範囲で含有して溶媒およびバインダーとともに混練
乾燥することにより造粒体を製作し、この造粒体を金型
に充填して所定形状に成形したあと、大気雰囲気中もし
くは真空雰囲気中で1200〜1800℃の焼成温度に
て焼成することにより製造したことにより、微量の着色
成分の添加で充分な色調を持たせることができるととも
に、透光感を持たせることができる。しかも、アルミナ
粒子の成長を抑え緻密化することができるため機械的強
度を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾部材の一例
である釣糸ガイドを示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾部
材のX線回折によるピーク強度を示すグラフであり、
(b)は従来の耐摩耗性アルミナ装飾部材のX線回折に
よるピーク強度を示すグラフである。
【図3】(a)は本発明に係る耐摩耗性アルミナ装飾部
材の直線透過率を示すグラフであり、(b)は従来の耐
摩耗性アルミナ装飾部材の直線透過率を示すグラフであ
る。
【図4】摺動特性を調べるための摺動装置を示す概略図
である。
【符号の説明】
1…釣糸ガイド 2…リング状体 3…摺動面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナを主成分とし、酸化マグネシウム
    および/または酸化珪素を0.2重量%以下と、着色成
    分としてコバルト、ニッケル、クロム、マンガン、バナ
    ジウムのうち1種以上からなる金属を0.005〜0.
    1重量%の範囲でそれぞれ含有してなり、焼結体中にお
    けるアルミナ結晶の第1ピーク強度(I0 )と上記着色
    成分の酸化物結晶の第1ピーク強度(I)の強度比(I
    /I0 )がI/I0 <0.02であるアルミナセラミッ
    クスにより形成したことを特徴とする耐摩耗性アルミナ
    装飾部材。
  2. 【請求項2】主成分をなすアルミナ粉末に対し、酸化マ
    グネシウムおよび/または酸化珪素の粉末を0.2重量
    %以下と、着色顔料としてコバルト、ニッケル、クロ
    ム、マンガン、バナジウムのうち1種以上からなる金属
    塩の粉末を0.03〜0.5重量%の範囲でそれぞれ添
    加して溶媒およびバインダーとともに混練乾燥すること
    により造粒体を製作し、この造粒体を金型に充填して所
    定形状に成形したあと、大気雰囲気中もしくは真空雰囲
    気中で1200〜1800℃の焼成温度にて焼成するこ
    とを特徴とする耐摩耗性アルミナ装飾部材の製造方法。
JP8015474A 1996-01-31 1996-01-31 耐摩耗性アルミナ装飾部材およびその製造方法 Pending JPH09208295A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011120181A1 (fr) 2010-04-01 2011-10-06 Rolex S.A. Céramique opaque à base d'alumine
CN117264440A (zh) * 2023-11-14 2023-12-22 山东陶正新材料科技有限公司 一种耐高温氧化铝、氧化锆陶瓷用黑色颜料的制作工艺

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