JPH09209172A - 耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板 - Google Patents
耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板Info
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- JPH09209172A JPH09209172A JP4417696A JP4417696A JPH09209172A JP H09209172 A JPH09209172 A JP H09209172A JP 4417696 A JP4417696 A JP 4417696A JP 4417696 A JP4417696 A JP 4417696A JP H09209172 A JPH09209172 A JP H09209172A
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ラミネート密着性、高速溶接性及び耐食性に
優れ且つ安価に製造が可能な溶接缶用ラミネート鋼板を
提供する。 【解決手段】 鋼板面に下層側から順に、溶錫処理を施
すことなく形成された錫層、所定付着量の金属Cr層及び
Cr水和酸化物層、ラミネートフィルム層を有し、前記錫
層は下層側が錫−鉄合金で且つ上層側が金属錫である粒
状錫層部分と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在し
た錫層であり、前記粒状錫層部分のうちの90%以上の個
数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以下、上
層側の金属錫の最大厚み部の厚さが板厚0.19mm以上の
鋼板で0.1〜0.7μm、板厚0.19mm未満の鋼板で0.2〜
0.7μmであり、且つこれらの条件を満足する粒状錫層
部分による鋼板面被覆面積率が10%以上であり、前記平
坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.01〜0.05μmで且つ鋼
板面の被覆面積率が60%以上である。
優れ且つ安価に製造が可能な溶接缶用ラミネート鋼板を
提供する。 【解決手段】 鋼板面に下層側から順に、溶錫処理を施
すことなく形成された錫層、所定付着量の金属Cr層及び
Cr水和酸化物層、ラミネートフィルム層を有し、前記錫
層は下層側が錫−鉄合金で且つ上層側が金属錫である粒
状錫層部分と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在し
た錫層であり、前記粒状錫層部分のうちの90%以上の個
数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以下、上
層側の金属錫の最大厚み部の厚さが板厚0.19mm以上の
鋼板で0.1〜0.7μm、板厚0.19mm未満の鋼板で0.2〜
0.7μmであり、且つこれらの条件を満足する粒状錫層
部分による鋼板面被覆面積率が10%以上であり、前記平
坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.01〜0.05μmで且つ鋼
板面の被覆面積率が60%以上である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の食品や飲料等の
充填保存に適したラミネート溶接缶の材料として用いら
れるラミネート鋼板に関するものである。
充填保存に適したラミネート溶接缶の材料として用いら
れるラミネート鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種の食品や飲料に使用される缶
は、缶内外面の耐食性と外面の美観を確保する必要から
エポキシフェノール系塗料等の塗装を施し使用されてき
た。しかし、近年塗装工程で排出される有機溶媒による
環境汚染の問題や内容物に対する耐食性向上のニーズ等
から、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィ
ルムをラミネートした缶が開発され急速に普及しつつあ
る。ところで、飲料等に使用されるラミネート缶の中で
も、溶接により缶胴部を成形する3ピース溶接缶に用い
られる素材(めっき鋼板)には溶接性やラミネート密着
性等の複数の性能が要求される。また、最近では缶に対
するコストダウンニーズも強く、これらに使用される素
材にも薄ゲージ化及び蓋使用量の低減を目的としたネッ
クイン加工等の強加工への対応が要求されはじめてい
る。
は、缶内外面の耐食性と外面の美観を確保する必要から
エポキシフェノール系塗料等の塗装を施し使用されてき
た。しかし、近年塗装工程で排出される有機溶媒による
環境汚染の問題や内容物に対する耐食性向上のニーズ等
から、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィ
ルムをラミネートした缶が開発され急速に普及しつつあ
る。ところで、飲料等に使用されるラミネート缶の中で
も、溶接により缶胴部を成形する3ピース溶接缶に用い
られる素材(めっき鋼板)には溶接性やラミネート密着
性等の複数の性能が要求される。また、最近では缶に対
するコストダウンニーズも強く、これらに使用される素
材にも薄ゲージ化及び蓋使用量の低減を目的としたネッ
クイン加工等の強加工への対応が要求されはじめてい
る。
【0003】しかし、薄ゲージ材は溶接時の発熱量の変
動を十分に小さくしないと過剰発熱による溶接欠陥を生
じ易いという難点があり、素材の薄ゲージ化を図るには
素材自体の溶接性を従来に増して向上させる必要があ
る。また、蓋使用量の低減化に必要な強加工を行うため
には、素材加工部においてラミネートフィルムの高い密
着性が要求されるため、素材とラミネートフィルムとの
密着性を向上させる必要がある。しかし、素材に対する
密着性に関しては、ラミネートフィルムは従来から使用
されてきたエポキシフェノール系塗料とは異なる挙動を
示す。これは、ラミネートフィルムは塗装皮膜に較べて
膜厚が厚いために高い内部応力を有し、しかも接着部の
有機樹脂成分も塗料の場合とは全く異なるためである。
したがって、ラミネートに適した素材側の最適皮膜構造
も、従来から使用されてきたエポキシフェノール系塗料
の場合とは異ったものとなる。一般にラミネートフィル
ムの密着性はエポキシフェノール系塗料に比較して劣る
ため、表面処理鋼板には高い密着性が要求される。
動を十分に小さくしないと過剰発熱による溶接欠陥を生
じ易いという難点があり、素材の薄ゲージ化を図るには
素材自体の溶接性を従来に増して向上させる必要があ
る。また、蓋使用量の低減化に必要な強加工を行うため
には、素材加工部においてラミネートフィルムの高い密
着性が要求されるため、素材とラミネートフィルムとの
密着性を向上させる必要がある。しかし、素材に対する
密着性に関しては、ラミネートフィルムは従来から使用
されてきたエポキシフェノール系塗料とは異なる挙動を
示す。これは、ラミネートフィルムは塗装皮膜に較べて
膜厚が厚いために高い内部応力を有し、しかも接着部の
有機樹脂成分も塗料の場合とは全く異なるためである。
したがって、ラミネートに適した素材側の最適皮膜構造
も、従来から使用されてきたエポキシフェノール系塗料
の場合とは異ったものとなる。一般にラミネートフィル
ムの密着性はエポキシフェノール系塗料に比較して劣る
ため、表面処理鋼板には高い密着性が要求される。
【0004】従来、溶接缶用表面処理鋼板として下記の
ような種類のものが知られている。 (a) クロムめっき層とクロム水和酸化物層により鋼板
を被覆した鋼板であって、クロムめっき層の形態を粒状
若しくは不連続状のものとしたり、或いは電気的絶縁層
であるクロム水和酸化物層を薄層化することにより、溶
接時の電気抵抗を減少させて溶接性を改善した表面処理
鋼板(特開昭62−20529号公報、特開昭62−9
9497号公報、特開昭63−35797号公報、特開
昭62−63678号公報、特開昭61−281899
号公報、特開昭61−213399号公報) (b) クロムめっき層とクロム水和酸化物層とからなる
化成処理層の下層側に、溶錫処理を経て形成された、錫
−鉄合金層または錫−鉄−ニッケル合金層とその上層の
連続状(平板状)または不連続状(若しくは島状)の金
属錫層とからなるめっき層を設けることで溶接性を改善
した表面処理鋼板(特公昭61−36595号公報、特
公平1−54437号公報)
ような種類のものが知られている。 (a) クロムめっき層とクロム水和酸化物層により鋼板
を被覆した鋼板であって、クロムめっき層の形態を粒状
若しくは不連続状のものとしたり、或いは電気的絶縁層
であるクロム水和酸化物層を薄層化することにより、溶
接時の電気抵抗を減少させて溶接性を改善した表面処理
鋼板(特開昭62−20529号公報、特開昭62−9
9497号公報、特開昭63−35797号公報、特開
昭62−63678号公報、特開昭61−281899
号公報、特開昭61−213399号公報) (b) クロムめっき層とクロム水和酸化物層とからなる
化成処理層の下層側に、溶錫処理を経て形成された、錫
−鉄合金層または錫−鉄−ニッケル合金層とその上層の
連続状(平板状)または不連続状(若しくは島状)の金
属錫層とからなるめっき層を設けることで溶接性を改善
した表面処理鋼板(特公昭61−36595号公報、特
公平1−54437号公報)
【0005】(c) 鋼板面に溶錫処理を行うことなく粒
状の金属錫層を不連続状に設け、その上層にクロムめっ
き層及びクロム水和酸化物層を設けることにより塗装焼
付け時の錫の合金化を抑制し、溶接性を改善した表面処
理鋼板(特開昭60−67677号公報) (d) 鋼板面にニッケルめっき、鉄−ニッケル合金めっ
き、錫−鉄合金めっきのいずれかを施し、その上層に溶
錫処理を行なうことなく粒状の金属錫層を不連続状に設
け、さらにその上層にクロムめっき層及びクロム水和酸
化物層を設けることにより溶接性、潤滑性、塗料密着性
を改善した表面処理鋼板(特開平4−128387号公
報、特開平4−247897号公報、特開平6−293
996号公報)
状の金属錫層を不連続状に設け、その上層にクロムめっ
き層及びクロム水和酸化物層を設けることにより塗装焼
付け時の錫の合金化を抑制し、溶接性を改善した表面処
理鋼板(特開昭60−67677号公報) (d) 鋼板面にニッケルめっき、鉄−ニッケル合金めっ
き、錫−鉄合金めっきのいずれかを施し、その上層に溶
錫処理を行なうことなく粒状の金属錫層を不連続状に設
け、さらにその上層にクロムめっき層及びクロム水和酸
化物層を設けることにより溶接性、潤滑性、塗料密着性
を改善した表面処理鋼板(特開平4−128387号公
報、特開平4−247897号公報、特開平6−293
996号公報)
【0006】しかしながら、上記(a)〜(d)の表面処理鋼
板をラミネート溶接缶に適用した場合、それぞれ以下の
ような問題がある。まず、(a)の表面処理鋼板は、優れ
たラミネート密着性は得られるものの高速溶接性に劣
り、近年の生産性の高い高速製缶には適さない。(b)の
表面処理鋼板は、化成処理層のクロム付着量が30mg
/m2を超えるような場合に高速溶接性が不十分となる
欠点がある。また、化成処理層のクロム付着量が30m
g/m2未満の場合であっても、化成処理層の下層側が
連続した金属錫層である場合には金属錫層の表層に生成
する錫酸化物がラミネート密着性を阻害するため、ネッ
クイン加工において缶蓋部付近の周長を缶胴周長に対し
て15%以上縮小するような強加工を実施する場合には
十分なラミネート密着性が得られない。また、化成処理
層の下層が不連続状の金属錫層である場合には、金属錫
層以外の部分には溶錫処理により生成した高融点の錫−
鉄合金層または錫−鉄−ニッケル合金層が厚く存在す
る。したがって金属錫層以外の部分では高融点の厚い合
金層の上層に化成処理層が形成された皮膜構造となるた
め、良好なラミネート密着性は得られるものの、化成処
理層のクロム付着量が少ない場合でも高速溶接性は劣っ
たものとなる。一方、高速溶接性を改善するために金属
錫被覆率を高くした場合にはラミネート密着性が劣るこ
とになる。したがって、この被覆構造では高速溶接性と
高いラミネート密着性を両立させることは難しい。
板をラミネート溶接缶に適用した場合、それぞれ以下の
ような問題がある。まず、(a)の表面処理鋼板は、優れ
たラミネート密着性は得られるものの高速溶接性に劣
り、近年の生産性の高い高速製缶には適さない。(b)の
表面処理鋼板は、化成処理層のクロム付着量が30mg
/m2を超えるような場合に高速溶接性が不十分となる
欠点がある。また、化成処理層のクロム付着量が30m
g/m2未満の場合であっても、化成処理層の下層側が
連続した金属錫層である場合には金属錫層の表層に生成
する錫酸化物がラミネート密着性を阻害するため、ネッ
クイン加工において缶蓋部付近の周長を缶胴周長に対し
て15%以上縮小するような強加工を実施する場合には
十分なラミネート密着性が得られない。また、化成処理
層の下層が不連続状の金属錫層である場合には、金属錫
層以外の部分には溶錫処理により生成した高融点の錫−
鉄合金層または錫−鉄−ニッケル合金層が厚く存在す
る。したがって金属錫層以外の部分では高融点の厚い合
金層の上層に化成処理層が形成された皮膜構造となるた
め、良好なラミネート密着性は得られるものの、化成処
理層のクロム付着量が少ない場合でも高速溶接性は劣っ
たものとなる。一方、高速溶接性を改善するために金属
錫被覆率を高くした場合にはラミネート密着性が劣るこ
とになる。したがって、この被覆構造では高速溶接性と
高いラミネート密着性を両立させることは難しい。
【0007】(c)の表面処理鋼板は、溶錫処理を行うこ
となく形成した粒状の金属錫層を有する点で溶接性及び
ラミネート密着性には有利であると考えられるが、開示
された皮膜構造ではラミネート溶接缶に適用した場合の
優れた高速溶接性及びラミネート密着性を得ることはで
きず、特に素材を薄ゲージ化した場合の高速溶接性及び
強加工時のラミネート密着性に劣っている。さらに、粒
状の金属錫層以外の部分では鋼板面に直に化成処理層を
設けた皮膜構造となるため、板端面等の耐食性に劣ると
いう欠点もある。(d)の表面処理鋼板は、溶錫処理を行
うことなく形成した粒状の金属錫層を有する点でラミネ
ート密着性には有利であると考えられるが、開示された
皮膜構造では強加工時のラミネート密着性が十分ではな
い。また、この表面処理鋼板は鋼板面を合金層で被覆す
るため板端面等の耐錆性には優れていると考えられる
が、溶接搬送時等における粒状金属錫の剥離等の問題に
ついての検討は行われておらず、また、化成処理層のク
ロム付着量が非常に多いため優れた高速溶接性は期待で
きない。また、高価なニッケルをめっきする表面処理鋼
板は、めっき工程が多くなり且つ皮膜コストも高くなる
という欠点がある。
となく形成した粒状の金属錫層を有する点で溶接性及び
ラミネート密着性には有利であると考えられるが、開示
された皮膜構造ではラミネート溶接缶に適用した場合の
優れた高速溶接性及びラミネート密着性を得ることはで
きず、特に素材を薄ゲージ化した場合の高速溶接性及び
強加工時のラミネート密着性に劣っている。さらに、粒
状の金属錫層以外の部分では鋼板面に直に化成処理層を
設けた皮膜構造となるため、板端面等の耐食性に劣ると
いう欠点もある。(d)の表面処理鋼板は、溶錫処理を行
うことなく形成した粒状の金属錫層を有する点でラミネ
ート密着性には有利であると考えられるが、開示された
皮膜構造では強加工時のラミネート密着性が十分ではな
い。また、この表面処理鋼板は鋼板面を合金層で被覆す
るため板端面等の耐錆性には優れていると考えられる
が、溶接搬送時等における粒状金属錫の剥離等の問題に
ついての検討は行われておらず、また、化成処理層のク
ロム付着量が非常に多いため優れた高速溶接性は期待で
きない。また、高価なニッケルをめっきする表面処理鋼
板は、めっき工程が多くなり且つ皮膜コストも高くなる
という欠点がある。
【0008】以上のように現状では缶用素材の薄ゲージ
化及び蓋使用量の低減化を目的とした強加工への対応が
可能な、優れたラミネート密着性、高速溶接性及び耐食
性を兼ね備えた溶接缶用ラミネート鋼板は知られていな
い。したがって本発明の目的は、上記の諸特性を兼ね備
え、しかも比較的安価に製造することができる溶接缶用
ラミネート鋼板を提供することにある。
化及び蓋使用量の低減化を目的とした強加工への対応が
可能な、優れたラミネート密着性、高速溶接性及び耐食
性を兼ね備えた溶接缶用ラミネート鋼板は知られていな
い。したがって本発明の目的は、上記の諸特性を兼ね備
え、しかも比較的安価に製造することができる溶接缶用
ラミネート鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ラミネー
ト密着性、高速溶接性及び耐食性に優れ、缶用素材の薄
ゲージ化および蓋使用量の低コスト化を目的とした強加
工への対応が可能な溶接缶用ラミネート鋼板の皮膜構造
について検討を行い、その結果、特定の錫めっき付着構
造及び被覆率とクロメート層及びラミネートフィルム層
との組み合わせにより、溶接缶用素材としての高速溶接
性を確保しつつ、ラミネート密着性と耐食性を著しく改
善できることを見い出した。本発明はこのような知見に
基づきなされたもので、その特徴とする構成は以下の通
りである。
ト密着性、高速溶接性及び耐食性に優れ、缶用素材の薄
ゲージ化および蓋使用量の低コスト化を目的とした強加
工への対応が可能な溶接缶用ラミネート鋼板の皮膜構造
について検討を行い、その結果、特定の錫めっき付着構
造及び被覆率とクロメート層及びラミネートフィルム層
との組み合わせにより、溶接缶用素材としての高速溶接
性を確保しつつ、ラミネート密着性と耐食性を著しく改
善できることを見い出した。本発明はこのような知見に
基づきなされたもので、その特徴とする構成は以下の通
りである。
【0010】[1] 板厚0.19mm以上の鋼板の少な
くとも片面に、下層側から順に、溶錫処理を施すことな
く形成された錫層、金属クロム層とその上層のクロム水
和酸化物層とからなる化成処理層、及び該化成処理層の
少なくとも一部を覆うラミネートフィルム層を有するラ
ミネート鋼板であって、前記錫層は、下層側が錫−鉄合
金で且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分
と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層であ
って、前記粒状に突起した錫層部分のうちの90%以上
の個数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以
下、上層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.
1〜0.7μmで、且つこれらの条件を満足する粒状に
突起した錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%以
上であり、前記平坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.0
1〜0.05μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以
上であり、前記化成処理層は、前記金属クロム層のクロ
ム付着量が5mg/m2以上、前記クロム水和酸化物層
のクロム付着量が金属クロム換算で5mg/m2以上1
5mg/m2未満、金属クロム層とクロム水和酸化物層
のクロム付着量の合計が金属クロム換算で10〜30m
g/m2である、耐食性、溶接性及びラミネート密着性
に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。
くとも片面に、下層側から順に、溶錫処理を施すことな
く形成された錫層、金属クロム層とその上層のクロム水
和酸化物層とからなる化成処理層、及び該化成処理層の
少なくとも一部を覆うラミネートフィルム層を有するラ
ミネート鋼板であって、前記錫層は、下層側が錫−鉄合
金で且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分
と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層であ
って、前記粒状に突起した錫層部分のうちの90%以上
の個数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以
下、上層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.
1〜0.7μmで、且つこれらの条件を満足する粒状に
突起した錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%以
上であり、前記平坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.0
1〜0.05μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以
上であり、前記化成処理層は、前記金属クロム層のクロ
ム付着量が5mg/m2以上、前記クロム水和酸化物層
のクロム付着量が金属クロム換算で5mg/m2以上1
5mg/m2未満、金属クロム層とクロム水和酸化物層
のクロム付着量の合計が金属クロム換算で10〜30m
g/m2である、耐食性、溶接性及びラミネート密着性
に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。
【0011】[2] 板厚0.19mm未満の鋼板の少な
くとも片面に、下層側から順に、溶錫処理を施すことな
く形成された錫層、金属クロム層とその上層のクロム水
和酸化物層とからなる化成処理層、及び該化成処理層の
少なくとも一部を覆うラミネートフィルム層を有するラ
ミネート鋼板であって、前記錫層は、下層側が錫−鉄合
金で且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分
と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層であ
って、前記粒状に突起した錫層部分のうちの90%以上
の個数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以
下、上層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.
2〜0.7μmで、且つこれらの条件を満足する粒状に
突起した錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%以
上であり、前記平坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.0
1〜0.05μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以
上であり、前記化成処理層は、前記金属クロム層のクロ
ム付着量が5mg/m2以上、前記クロム水和酸化物層
のクロム付着量が金属クロム換算で5mg/m2以上1
5mg/m2未満、金属クロム層とクロム水和酸化物層
のクロム付着量の合計が金属クロム換算で10〜30m
g/m2である、耐食性、溶接性及びラミネート密着性
に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。
くとも片面に、下層側から順に、溶錫処理を施すことな
く形成された錫層、金属クロム層とその上層のクロム水
和酸化物層とからなる化成処理層、及び該化成処理層の
少なくとも一部を覆うラミネートフィルム層を有するラ
ミネート鋼板であって、前記錫層は、下層側が錫−鉄合
金で且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分
と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層であ
って、前記粒状に突起した錫層部分のうちの90%以上
の個数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以
下、上層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.
2〜0.7μmで、且つこれらの条件を満足する粒状に
突起した錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%以
上であり、前記平坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.0
1〜0.05μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以
上であり、前記化成処理層は、前記金属クロム層のクロ
ム付着量が5mg/m2以上、前記クロム水和酸化物層
のクロム付着量が金属クロム換算で5mg/m2以上1
5mg/m2未満、金属クロム層とクロム水和酸化物層
のクロム付着量の合計が金属クロム換算で10〜30m
g/m2である、耐食性、溶接性及びラミネート密着性
に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。
【0012】[3] 上記[1]または[2]のラミネート鋼板
において、粒状に突起した錫層部分の下層側を構成する
錫−鉄合金層の厚さが0.01μm以上である耐食性、
溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネー
ト鋼板。 [4] 上記[1]、[2]または[3]のラミネート鋼板におい
て、金属クロム層のクロム付着量が10mg/m2以上
である耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶
接缶用ラミネート鋼板。 [5] 上記[1]、[2]、[3]または[4]のラミネート鋼板に
おいて、ラミネートフィルム層が、下層側から接着剤層
及び二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層を
有する耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶
接缶用ラミネート鋼板。
において、粒状に突起した錫層部分の下層側を構成する
錫−鉄合金層の厚さが0.01μm以上である耐食性、
溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネー
ト鋼板。 [4] 上記[1]、[2]または[3]のラミネート鋼板におい
て、金属クロム層のクロム付着量が10mg/m2以上
である耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶
接缶用ラミネート鋼板。 [5] 上記[1]、[2]、[3]または[4]のラミネート鋼板に
おいて、ラミネートフィルム層が、下層側から接着剤層
及び二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層を
有する耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶
接缶用ラミネート鋼板。
【0013】[6] 上記[5]のラミネート鋼板において、
接着剤層を構成する接着剤が熱硬化型エポキシ樹脂系接
着剤である耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れ
た溶接缶用ラミネート鋼板。 [7] 上記[1]、[2]、[3]または[4]のラミネート鋼板に
おいて、ラミネートフィルム層が、少なくとも鋼板と接
着する面にイソフタル酸を共重合した1層または2層以
上の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムから
なる耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接
缶用ラミネート鋼板。
接着剤層を構成する接着剤が熱硬化型エポキシ樹脂系接
着剤である耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れ
た溶接缶用ラミネート鋼板。 [7] 上記[1]、[2]、[3]または[4]のラミネート鋼板に
おいて、ラミネートフィルム層が、少なくとも鋼板と接
着する面にイソフタル酸を共重合した1層または2層以
上の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムから
なる耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接
缶用ラミネート鋼板。
【0014】
【発明の実施の形態】飲料缶や食缶用途の溶接缶用素材
には高速溶接性が求められる。しかし、溶接速度がワイ
ヤー供給速度で80m/分以上になると単位面積当りの
入熱量が高くなるため、散りと呼ばれる溶融金属の噴出
による溶融欠陥を生じ易くなる。特に、板厚0.19m
m未満の薄ゲージ材の場合には、入熱変動による過剰発
熱に起因した散りや孔あき等の溶接欠陥を生じ易い。こ
のような問題に対して従来では、高速溶接性の確保には
素材と溶接電極との接触抵抗の低減化が重要であること
から、低融点金属である金属錫の存在が有効であるとの
前提の下で、金属錫量により必要な溶接性を確保するよ
うな対応が採られてきた。
には高速溶接性が求められる。しかし、溶接速度がワイ
ヤー供給速度で80m/分以上になると単位面積当りの
入熱量が高くなるため、散りと呼ばれる溶融金属の噴出
による溶融欠陥を生じ易くなる。特に、板厚0.19m
m未満の薄ゲージ材の場合には、入熱変動による過剰発
熱に起因した散りや孔あき等の溶接欠陥を生じ易い。こ
のような問題に対して従来では、高速溶接性の確保には
素材と溶接電極との接触抵抗の低減化が重要であること
から、低融点金属である金属錫の存在が有効であるとの
前提の下で、金属錫量により必要な溶接性を確保するよ
うな対応が採られてきた。
【0015】しかし、ラミネート溶接缶の場合には、金
属錫量が多くなると錫の被覆面積が増大するため十分な
ラミネート強度が得られなくなるという問題がある。し
たがって、従来採用されている合金層−金属錫層或いは
鋼板面−金属錫層からなるモザイク構造(粒状若しくは
不連続の金属錫層を有する錫めっき付着構造)の適用だ
けでは、ラミネート溶接缶用表面処理鋼板、とりわけ板
厚が0.19mmを下回るような薄ゲージ材に要求され
る高度の高速溶接性とラミネート密着性を両立させるこ
とはできない。このような現状を踏まえ、本発明者らは
錫の一部が粒状に突起した錫層(以下、粒状に突起した
錫層部分を「粒状錫層部分」という)を有する錫めっき
付着構造を前提として、缶蓋部付近の缶周長を缶胴の周
長よりも15%以上縮小するようなネックイン加工(以
下、この縮小率を「加工率」という)に耐え得るラミネ
ート密着性と板厚0.19mm未満を含めた各種板厚の
鋼板の高速溶接性とが両立可能な皮膜構造について調
査、検討を行った。その結果判明した事実を以下に述べ
る。
属錫量が多くなると錫の被覆面積が増大するため十分な
ラミネート強度が得られなくなるという問題がある。し
たがって、従来採用されている合金層−金属錫層或いは
鋼板面−金属錫層からなるモザイク構造(粒状若しくは
不連続の金属錫層を有する錫めっき付着構造)の適用だ
けでは、ラミネート溶接缶用表面処理鋼板、とりわけ板
厚が0.19mmを下回るような薄ゲージ材に要求され
る高度の高速溶接性とラミネート密着性を両立させるこ
とはできない。このような現状を踏まえ、本発明者らは
錫の一部が粒状に突起した錫層(以下、粒状に突起した
錫層部分を「粒状錫層部分」という)を有する錫めっき
付着構造を前提として、缶蓋部付近の缶周長を缶胴の周
長よりも15%以上縮小するようなネックイン加工(以
下、この縮小率を「加工率」という)に耐え得るラミネ
ート密着性と板厚0.19mm未満を含めた各種板厚の
鋼板の高速溶接性とが両立可能な皮膜構造について調
査、検討を行った。その結果判明した事実を以下に述べ
る。
【0016】(a) 飲料缶や食缶用途のポリエチレンテ
レフタレート(PET)を主成分とするラミネートフィ
ルムを接着した場合、接着する際の加熱により形成され
る錫−鉄合金層の厚さは約0.05μm程度であり、ま
た溶接補修による加熱工程を含めたとしても、製缶工程
で形成される錫−鉄合金層の厚さは0.06〜0.1μ
m程度であることが判った。一方、粒状金属錫が形成さ
れた錫めっき層を有する表面処理鋼板において、接触抵
抗を低下させることで溶接性を向上させるためには、ラ
ミネート焼付け後の粒状錫層部分の金属錫を一定厚さ以
上にすることが必要であること、具体的にはラミネート
焼付け後の粒状錫層部分の金属錫の厚さを板厚0.19
mm以上の鋼板の場合で0.1μm以上、また板厚0.
19mm未満の鋼板の場合で0.2μm以上とすること
により、電極の加圧により金属錫を押し延ばすことによ
って素材と電極との接触抵抗を著しく低下させ得ること
が判った。したがって、上述したラミネート接着工程等
で形成される錫−鉄合金層の厚さを考慮した場合、良好
な高速溶接性を得るために必要なラミネート鋼板の粒状
錫層部分の厚さ(最大厚み部の厚さ)は、板厚0.19
mm以上の鋼板では0.2μm以上、板厚0.19mm
未満の鋼板では0.3μm以上となり、これにより上層
側に上記した必要な厚さの金属錫が残留した粒状錫層と
することができる。
レフタレート(PET)を主成分とするラミネートフィ
ルムを接着した場合、接着する際の加熱により形成され
る錫−鉄合金層の厚さは約0.05μm程度であり、ま
た溶接補修による加熱工程を含めたとしても、製缶工程
で形成される錫−鉄合金層の厚さは0.06〜0.1μ
m程度であることが判った。一方、粒状金属錫が形成さ
れた錫めっき層を有する表面処理鋼板において、接触抵
抗を低下させることで溶接性を向上させるためには、ラ
ミネート焼付け後の粒状錫層部分の金属錫を一定厚さ以
上にすることが必要であること、具体的にはラミネート
焼付け後の粒状錫層部分の金属錫の厚さを板厚0.19
mm以上の鋼板の場合で0.1μm以上、また板厚0.
19mm未満の鋼板の場合で0.2μm以上とすること
により、電極の加圧により金属錫を押し延ばすことによ
って素材と電極との接触抵抗を著しく低下させ得ること
が判った。したがって、上述したラミネート接着工程等
で形成される錫−鉄合金層の厚さを考慮した場合、良好
な高速溶接性を得るために必要なラミネート鋼板の粒状
錫層部分の厚さ(最大厚み部の厚さ)は、板厚0.19
mm以上の鋼板では0.2μm以上、板厚0.19mm
未満の鋼板では0.3μm以上となり、これにより上層
側に上記した必要な厚さの金属錫が残留した粒状錫層と
することができる。
【0017】(b) さらに、上記のような厚さを有する
粒状錫層部分による鋼板の被覆面積率が高速溶接性に大
きな影響を与えることが判った。具体的には、上記のよ
うな厚さを有する粒状金属錫部による鋼板面の被覆面積
率が10%未満になると粒状錫層部分以外の部分による
溶接性への悪影響が著しくなり、いずれの場合も高速溶
接性は低下する。 (c) 粒状錫層部分以外の平坦な部分には耐食性の観点
から錫層を設ける必要があるが、この錫層はラミネート
焼付け後の段階で全て錫−鉄合金層とする必要があり、
この平坦な錫層部分をラミネート焼付け後に全量合金化
して金属錫を残留させないことが優れたラミネート密着
性を得るために不可欠であることが判った。上述したよ
うにラミネートの際の加熱により生成する錫−鉄合金層
の厚さは約0.05μm程度であり、したがって、平坦
な部分に金属錫を残留させることなく錫−鉄合金層を形
成させるためには、その厚さを0.05μm以下にする
必要がある。
粒状錫層部分による鋼板の被覆面積率が高速溶接性に大
きな影響を与えることが判った。具体的には、上記のよ
うな厚さを有する粒状金属錫部による鋼板面の被覆面積
率が10%未満になると粒状錫層部分以外の部分による
溶接性への悪影響が著しくなり、いずれの場合も高速溶
接性は低下する。 (c) 粒状錫層部分以外の平坦な部分には耐食性の観点
から錫層を設ける必要があるが、この錫層はラミネート
焼付け後の段階で全て錫−鉄合金層とする必要があり、
この平坦な錫層部分をラミネート焼付け後に全量合金化
して金属錫を残留させないことが優れたラミネート密着
性を得るために不可欠であることが判った。上述したよ
うにラミネートの際の加熱により生成する錫−鉄合金層
の厚さは約0.05μm程度であり、したがって、平坦
な部分に金属錫を残留させることなく錫−鉄合金層を形
成させるためには、その厚さを0.05μm以下にする
必要がある。
【0018】一方、高速溶接性の観点からは、錫−鉄合
金層は上述のように高速溶接性を悪化させるが、ラミネ
ート焼付けにより生成する錫−鉄合金層は、溶錫処理の
ような高温加熱で生成する高融点の錫−鉄合金層に較べ
て高速溶接性に対する悪影響が相対的に小さく、ラミネ
ート焼付け後における平坦な部分の錫−鉄合金層の厚さ
が0.05μm以下であれば高速溶接性への悪影響はな
いことが判った。また、優れたラミネート密着性を得る
ためには、上記の平坦な錫−鉄合金層部分による鋼板の
被覆面積率を十分に確保する必要があり、具体的には上
記厚さの平坦な錫−鉄合金層部分による鋼板の被覆面積
率を60%以上とする必要がある。
金層は上述のように高速溶接性を悪化させるが、ラミネ
ート焼付けにより生成する錫−鉄合金層は、溶錫処理の
ような高温加熱で生成する高融点の錫−鉄合金層に較べ
て高速溶接性に対する悪影響が相対的に小さく、ラミネ
ート焼付け後における平坦な部分の錫−鉄合金層の厚さ
が0.05μm以下であれば高速溶接性への悪影響はな
いことが判った。また、優れたラミネート密着性を得る
ためには、上記の平坦な錫−鉄合金層部分による鋼板の
被覆面積率を十分に確保する必要があり、具体的には上
記厚さの平坦な錫−鉄合金層部分による鋼板の被覆面積
率を60%以上とする必要がある。
【0019】(d) 化成処理層は、高融点の金属クロム
層と絶縁性物質であるクロム水和酸化物層により構成さ
れるため、高速溶接性に大きな影響を与える。クロム水
和酸化物層は、ラミネート時の加熱による脱水反応によ
り水和度は低下するものの、ラミネート後も存在し、金
属クロム換算での付着量も変化しない。絶縁層であるク
ロム水和酸化物層のクロム付着量が金属クロム換算で1
5mg/m2以下であって、且つ化成処理層全体のクロ
ム付着量が金属クロム換算で30mg/m2以下である
ことが高速溶接性の確保に不可欠である。 (e) 飲料缶等の溶接では缶内への異物の混入を避ける
必要があるが、粒状錫層部分の厚さ(最大厚み部の厚
さ)が0.8μmを超えたり、或いは粒状錫層部分の上
層側を構成する金属錫の厚さ(最大厚み部の厚さ)が
0.7μmを超えると、溶接機直前に配置されたZバー
などの板搬送系との摩擦による錫層の剥離が著しくな
り、剥離した錫粉が缶内に混入するという問題を生じ、
缶材料としての使用が事実上不可能になる。また、粒状
錫層部分の下層側を構成する錫−鉄合金層の厚さが0.
01μm未満でも錫の剥離を生じ易くなる。
層と絶縁性物質であるクロム水和酸化物層により構成さ
れるため、高速溶接性に大きな影響を与える。クロム水
和酸化物層は、ラミネート時の加熱による脱水反応によ
り水和度は低下するものの、ラミネート後も存在し、金
属クロム換算での付着量も変化しない。絶縁層であるク
ロム水和酸化物層のクロム付着量が金属クロム換算で1
5mg/m2以下であって、且つ化成処理層全体のクロ
ム付着量が金属クロム換算で30mg/m2以下である
ことが高速溶接性の確保に不可欠である。 (e) 飲料缶等の溶接では缶内への異物の混入を避ける
必要があるが、粒状錫層部分の厚さ(最大厚み部の厚
さ)が0.8μmを超えたり、或いは粒状錫層部分の上
層側を構成する金属錫の厚さ(最大厚み部の厚さ)が
0.7μmを超えると、溶接機直前に配置されたZバー
などの板搬送系との摩擦による錫層の剥離が著しくな
り、剥離した錫粉が缶内に混入するという問題を生じ、
缶材料としての使用が事実上不可能になる。また、粒状
錫層部分の下層側を構成する錫−鉄合金層の厚さが0.
01μm未満でも錫の剥離を生じ易くなる。
【0020】(f) 化成処理層を構成する金属クロム層
は、下層側の金属錫の酸化を抑制するとともに、クロム
水和酸化物層と金属錫または錫−鉄合金層との密着力を
高めるなどラミネート密着性に大きな影響を与える。十
分なラミネート密着性(現在一般的に使用されている薄
めっきぶりきで得られているのと同程度の密着性)を確
保するには金属クロム層のクロム付着量を5mg/m2
以上とする必要ある。また、加工率が15%以上となる
ようなネックイン加工において十分なラミネート密着性
を確保するには、金属クロム層のクロム付着量は10m
g/m2以上とすることが必要である。 (g) 上述したようにラミネート密着性は、金属錫の表
面に不可避的に生成する錫酸化物により低下する。した
がって粒状金属錫を形成させる方法として、錫酸化物の
生成量の高いリフロー処理等の溶錫処理を実施すること
は避ける必要がある。
は、下層側の金属錫の酸化を抑制するとともに、クロム
水和酸化物層と金属錫または錫−鉄合金層との密着力を
高めるなどラミネート密着性に大きな影響を与える。十
分なラミネート密着性(現在一般的に使用されている薄
めっきぶりきで得られているのと同程度の密着性)を確
保するには金属クロム層のクロム付着量を5mg/m2
以上とする必要ある。また、加工率が15%以上となる
ようなネックイン加工において十分なラミネート密着性
を確保するには、金属クロム層のクロム付着量は10m
g/m2以上とすることが必要である。 (g) 上述したようにラミネート密着性は、金属錫の表
面に不可避的に生成する錫酸化物により低下する。した
がって粒状金属錫を形成させる方法として、錫酸化物の
生成量の高いリフロー処理等の溶錫処理を実施すること
は避ける必要がある。
【0021】(h) 缶用素材では耐食性も重要な性能で
あり、耐食性には化成処理層と錫層の被覆状態が大きく
影響する。粒状錫層部分以外の平坦部に錫層が全く存在
せず、鋼板素地面が直に化成処理層(例えば、金属クロ
ム換算で30mg/m2程度のクロム付着量の化成処理
層)で覆われているような皮膜構造では、板貯蔵時の端
面部や溶接補修部等の耐食性が劣る。したがって、粒状
金属錫部以外の平坦部分には錫層(錫−鉄合金層)を形
成させる必要がある。但し、粒状錫層部分以外の平坦部
に錫−鉄合金層を形成させる場合でも、その厚さが0.
01μm未満では十分な耐食性向上効果が得られない。
また、化成処理層については、そのクロム付着量の合計
が金属クロム換算で10mg/m2未満では十分な耐食
性が得られず、またクロム水和酸化物層のクロム付着量
が金属クロム換算で5mg/m2未満でも十分な耐食性
が得られない。 (i) 上述した粒状錫層部分の厚さ(粒状錫層部分の下
層側の「錫−鉄合金層の厚さ」も含む)に関する条件
は、形成された粒状錫層部分の大多数が満足する必要が
あり、具体的には全体の90%以上の個数の粒状錫層部
分がその厚さに関する条件を満足する必要がある。
あり、耐食性には化成処理層と錫層の被覆状態が大きく
影響する。粒状錫層部分以外の平坦部に錫層が全く存在
せず、鋼板素地面が直に化成処理層(例えば、金属クロ
ム換算で30mg/m2程度のクロム付着量の化成処理
層)で覆われているような皮膜構造では、板貯蔵時の端
面部や溶接補修部等の耐食性が劣る。したがって、粒状
金属錫部以外の平坦部分には錫層(錫−鉄合金層)を形
成させる必要がある。但し、粒状錫層部分以外の平坦部
に錫−鉄合金層を形成させる場合でも、その厚さが0.
01μm未満では十分な耐食性向上効果が得られない。
また、化成処理層については、そのクロム付着量の合計
が金属クロム換算で10mg/m2未満では十分な耐食
性が得られず、またクロム水和酸化物層のクロム付着量
が金属クロム換算で5mg/m2未満でも十分な耐食性
が得られない。 (i) 上述した粒状錫層部分の厚さ(粒状錫層部分の下
層側の「錫−鉄合金層の厚さ」も含む)に関する条件
は、形成された粒状錫層部分の大多数が満足する必要が
あり、具体的には全体の90%以上の個数の粒状錫層部
分がその厚さに関する条件を満足する必要がある。
【0022】(j) ラミネートフィルムは、飲料および
食品用途であることを考慮してポリエチレンテレフタレ
ート(以下、PETという)を主成分とするものが望ま
しく、そのなかでも形状の安定性及び密着性等の観点か
ら、縦方向に3倍、横方向に3倍程度の低配向の二軸延
伸PETを主成分とするフィルムを用いることが好まし
い。また、フィルムをラミネートする場合は接着剤層を
介してラミネートするか、若しくは少なくとも鋼板と接
着する面にイソフタル酸を共重合したフィルムを熱融着
させることが好ましい。また接着剤としては接着温度が
200℃以上で且つ錫の融点である232℃未満の接着
剤、例えば、硬化温度がこのような温度域にある熱硬化
型エポキシ樹脂系接着剤を用いることが好ましい。この
ようにして二軸延伸PETフィルムによるラミネートフ
ィルム層を設けることにより、本発明の粒状錫層を有す
るめっき皮膜構造との相乗効果(粒状錫層によるアンカ
ー効果)により特に優れたラミネート密着性、すなわち
加工率が15%以上のネックイン加工においても十分な
ラミネート密着性が得られる。
食品用途であることを考慮してポリエチレンテレフタレ
ート(以下、PETという)を主成分とするものが望ま
しく、そのなかでも形状の安定性及び密着性等の観点か
ら、縦方向に3倍、横方向に3倍程度の低配向の二軸延
伸PETを主成分とするフィルムを用いることが好まし
い。また、フィルムをラミネートする場合は接着剤層を
介してラミネートするか、若しくは少なくとも鋼板と接
着する面にイソフタル酸を共重合したフィルムを熱融着
させることが好ましい。また接着剤としては接着温度が
200℃以上で且つ錫の融点である232℃未満の接着
剤、例えば、硬化温度がこのような温度域にある熱硬化
型エポキシ樹脂系接着剤を用いることが好ましい。この
ようにして二軸延伸PETフィルムによるラミネートフ
ィルム層を設けることにより、本発明の粒状錫層を有す
るめっき皮膜構造との相乗効果(粒状錫層によるアンカ
ー効果)により特に優れたラミネート密着性、すなわち
加工率が15%以上のネックイン加工においても十分な
ラミネート密着性が得られる。
【0023】以上述べた(a)〜(j)の事項に基づく本発明
の限定理由を以下に示す。本発明の溶接缶用ラミネート
鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、下層側から順に、溶
錫処理を施すことなく形成された錫層、金属クロム層と
その上層のクロム水和酸化物層とからなる化成処理層、
及び該化成処理層の少なくとも一部を覆うラミネートフ
ィルム層を有する。前記錫層は、下層側が錫−鉄合金で
且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分と残
部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層、換言す
れば粒状の突起を有する錫層部分が平坦な錫−鉄合金層
部分に分散して分布した錫層を有する(図1乃至図3を
参照) 錫めっきされる鋼板面は、通常脱脂及び酸洗処理がなさ
れており、錫層はこのような鋼板素地面に形成される。
の限定理由を以下に示す。本発明の溶接缶用ラミネート
鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、下層側から順に、溶
錫処理を施すことなく形成された錫層、金属クロム層と
その上層のクロム水和酸化物層とからなる化成処理層、
及び該化成処理層の少なくとも一部を覆うラミネートフ
ィルム層を有する。前記錫層は、下層側が錫−鉄合金で
且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分と残
部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層、換言す
れば粒状の突起を有する錫層部分が平坦な錫−鉄合金層
部分に分散して分布した錫層を有する(図1乃至図3を
参照) 錫めっきされる鋼板面は、通常脱脂及び酸洗処理がなさ
れており、錫層はこのような鋼板素地面に形成される。
【0024】前記錫層を構成する粒状錫層部分は、板厚
が0.19mm以上の鋼板では全体の90%以上の個数
の各錫層部分の最大厚み部の厚さが0.8μm以下、上
層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.1〜
0.7μmであり、また、板厚が0.19mm未満の鋼
板では全体の90%以上の個数の各錫層部分の最大厚み
部の厚さが0.8μm以下、上層側を構成する金属錫の
最大厚み部の厚さが0.2〜0.7μmである。また、
このような条件を満足する粒状錫層部分による鋼板面の
被覆面積率は10%以上である。なお、粒状錫層部分及
び平坦な錫−鉄合金層部分の厚さとは、それぞれ鋼板面
から各錫層部分の上面までの厚さを指す。(図1、図2
参照)。粒状錫層部分の上層側を構成する金属錫の最大
厚み部の厚さが上記の各下限値(板厚0.19mm以上
の鋼板で0.1μm、板厚0.19mm未満の鋼板で
0.2μm)未満では電極との接触抵抗を十分に低減さ
せることができず、満足できる高速溶接性が得られな
い。一方、粒状錫層部分の最大厚み部の厚さが0.8μ
mを超え或いは粒状錫層部分の上層側を構成する金属錫
の最大厚み部の厚さが0.7μmを超えると溶接搬送時
等において錫層の剥離を生じてしまう。
が0.19mm以上の鋼板では全体の90%以上の個数
の各錫層部分の最大厚み部の厚さが0.8μm以下、上
層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.1〜
0.7μmであり、また、板厚が0.19mm未満の鋼
板では全体の90%以上の個数の各錫層部分の最大厚み
部の厚さが0.8μm以下、上層側を構成する金属錫の
最大厚み部の厚さが0.2〜0.7μmである。また、
このような条件を満足する粒状錫層部分による鋼板面の
被覆面積率は10%以上である。なお、粒状錫層部分及
び平坦な錫−鉄合金層部分の厚さとは、それぞれ鋼板面
から各錫層部分の上面までの厚さを指す。(図1、図2
参照)。粒状錫層部分の上層側を構成する金属錫の最大
厚み部の厚さが上記の各下限値(板厚0.19mm以上
の鋼板で0.1μm、板厚0.19mm未満の鋼板で
0.2μm)未満では電極との接触抵抗を十分に低減さ
せることができず、満足できる高速溶接性が得られな
い。一方、粒状錫層部分の最大厚み部の厚さが0.8μ
mを超え或いは粒状錫層部分の上層側を構成する金属錫
の最大厚み部の厚さが0.7μmを超えると溶接搬送時
等において錫層の剥離を生じてしまう。
【0025】また、粒状錫層部分の下層側を構成する錫
−鉄合金層の厚さが0.01μm未満でも錫剥離性が劣
る傾向があり、このためこの錫−鉄合金層の厚さは0.
01μm以上とすることが好ましい。また、粒状錫層部
分の厚さ(粒状錫層部分の下層側を構成する「錫−鉄合
金層の厚さ」も含む)に関する上記条件は、形成された
粒状錫層部分のうちの90%以上の個数の粒状錫層部分
が満足する必要があり、この条件を満足する粒状錫層部
分の個数が全体の90%を下回ると、優れた高速溶接性
が得られなくなる。また、溶接搬送時等における粒状錫
層の剥離性の観点からは、全体の99%以上の個数の粒
状錫層部分が上記条件を満足することが望ましい。さら
に、最大厚み部分の厚さに関する上記条件を満足する粒
状錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%未満で
は、粒状錫層を利用した高速溶接性の向上効果が十分に
得られない。
−鉄合金層の厚さが0.01μm未満でも錫剥離性が劣
る傾向があり、このためこの錫−鉄合金層の厚さは0.
01μm以上とすることが好ましい。また、粒状錫層部
分の厚さ(粒状錫層部分の下層側を構成する「錫−鉄合
金層の厚さ」も含む)に関する上記条件は、形成された
粒状錫層部分のうちの90%以上の個数の粒状錫層部分
が満足する必要があり、この条件を満足する粒状錫層部
分の個数が全体の90%を下回ると、優れた高速溶接性
が得られなくなる。また、溶接搬送時等における粒状錫
層の剥離性の観点からは、全体の99%以上の個数の粒
状錫層部分が上記条件を満足することが望ましい。さら
に、最大厚み部分の厚さに関する上記条件を満足する粒
状錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%未満で
は、粒状錫層を利用した高速溶接性の向上効果が十分に
得られない。
【0026】また、錫層を構成する粒状錫層部分以外の
平坦な錫−鉄合金層部分は、厚さが0.01〜0.05
μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以上である。平
坦な錫−鉄合金層部分の厚さが0.01μm未満では十
分な耐食性が得られず、一方、0.05μmを超えると
不可避的に金属錫が残留するためラミネート密着性が劣
り、また溶接性も劣る。また、このような錫層の厚さを
有する平坦な錫−鉄合金層部分による鋼板面の被覆面積
率が60%未満でも十分なラミネート密着性が得られな
い。粒状錫層部分と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが
混在した錫層は、ラミネート密着性を阻害する錫酸化物
の生成を抑制するという観点から、溶錫処理を施すこと
なく形成させる必要がある。
平坦な錫−鉄合金層部分は、厚さが0.01〜0.05
μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以上である。平
坦な錫−鉄合金層部分の厚さが0.01μm未満では十
分な耐食性が得られず、一方、0.05μmを超えると
不可避的に金属錫が残留するためラミネート密着性が劣
り、また溶接性も劣る。また、このような錫層の厚さを
有する平坦な錫−鉄合金層部分による鋼板面の被覆面積
率が60%未満でも十分なラミネート密着性が得られな
い。粒状錫層部分と残部の平坦な錫−鉄合金層部分とが
混在した錫層は、ラミネート密着性を阻害する錫酸化物
の生成を抑制するという観点から、溶錫処理を施すこと
なく形成させる必要がある。
【0027】前記錫層の上部には、金属クロム層とその
上層のクロム水和酸化物層とからなる化成処理層が形成
される。前記金属クロム層のクロム付着量が5mg/m
2未満では、錫層の酸化を抑制する効果及びクロム水和
酸化物層と金属錫または錫−鉄合金層との密着力を向上
させる効果が十分に得られず、良好なラミネート密着性
が得られない。このため金属クロム層のクロム付着量は
5mg/m2以上とする。また、加工率が15%を超え
るようなネックイン加工において十分なラミネート密着
性を確保するには、金属クロム層のクロム付着量は10
mg/m2以上とすることが好ましい。なお、金属クロ
ム層のクロム付着量の上限値は、化成処理層全体のクロ
ム付着量(金属クロム換算)の上限値とクロム水和酸化
物層のクロム付着量(金属クロム換算)の下限値とから
実質的に25mg/m2となる。
上層のクロム水和酸化物層とからなる化成処理層が形成
される。前記金属クロム層のクロム付着量が5mg/m
2未満では、錫層の酸化を抑制する効果及びクロム水和
酸化物層と金属錫または錫−鉄合金層との密着力を向上
させる効果が十分に得られず、良好なラミネート密着性
が得られない。このため金属クロム層のクロム付着量は
5mg/m2以上とする。また、加工率が15%を超え
るようなネックイン加工において十分なラミネート密着
性を確保するには、金属クロム層のクロム付着量は10
mg/m2以上とすることが好ましい。なお、金属クロ
ム層のクロム付着量の上限値は、化成処理層全体のクロ
ム付着量(金属クロム換算)の上限値とクロム水和酸化
物層のクロム付着量(金属クロム換算)の下限値とから
実質的に25mg/m2となる。
【0028】また、クロム水和酸化物層のクロム付着量
が金属クロム換算で5mg/m2未満では十分な耐食性
が得られず、一方、15mg/m2以上では高速溶接性
が劣化する。このためクロム水和酸化物層のクロム付着
量は金属クロム換算で5mg/m2以上15mg/m2未
満とする。前記金属クロム層とクロム水和酸化物層のク
ロム付着量の合計が金属クロム換算で10mg/m2未
満では十分な耐食性が得られず、一方、30mg/m2
を超えると高速溶接性が劣化する。このため金属クロム
層とクロム水和酸化物層のクロム付着量の合計は金属ク
ロム換算で10〜30mg/m2とする。
が金属クロム換算で5mg/m2未満では十分な耐食性
が得られず、一方、15mg/m2以上では高速溶接性
が劣化する。このためクロム水和酸化物層のクロム付着
量は金属クロム換算で5mg/m2以上15mg/m2未
満とする。前記金属クロム層とクロム水和酸化物層のク
ロム付着量の合計が金属クロム換算で10mg/m2未
満では十分な耐食性が得られず、一方、30mg/m2
を超えると高速溶接性が劣化する。このため金属クロム
層とクロム水和酸化物層のクロム付着量の合計は金属ク
ロム換算で10〜30mg/m2とする。
【0029】ラミネートフィルム層は、通常、缶胴ブラ
ンクの溶接継ぎ目部となる部分を除き、化成処理層の上
部に形成される。ラミネートフィルム層を構成するフィ
ルムとしてはPETを主成分とするフィルムが好まし
く、そのなかでも二軸延伸PETフィルムが形状安定性
に優れ、しかも本発明のめっき皮膜構造と組み合わせた
場合に、粒状錫層とのアンカー効果による特に優れたラ
ミネート密着性、すなわちネックイン加工において加工
率15%以上の強加工に耐え得る優れたラミネート密着
性が得られるため好ましい。
ンクの溶接継ぎ目部となる部分を除き、化成処理層の上
部に形成される。ラミネートフィルム層を構成するフィ
ルムとしてはPETを主成分とするフィルムが好まし
く、そのなかでも二軸延伸PETフィルムが形状安定性
に優れ、しかも本発明のめっき皮膜構造と組み合わせた
場合に、粒状錫層とのアンカー効果による特に優れたラ
ミネート密着性、すなわちネックイン加工において加工
率15%以上の強加工に耐え得る優れたラミネート密着
性が得られるため好ましい。
【0030】二軸延伸PETフィルムをラミネートする
場合は、PETフィルムを接着剤層を介してラミネート
するか、若しくは少なくとも鋼板と接着する面にイソフ
タル酸を10〜25モル%程度共重合したPETフィル
ムを熱融着することが好ましい。前者の場合にはラミネ
ートフィルム層は下層側から接着剤層とPETフィルム
層を有する構造となる。また後者の場合には、少なくと
も鋼板と接着する面にイソフタル酸を共重合したPET
フィルムを化成処理層上に1層または2層以上熱融着さ
せた構造となる。通常、PETフィルムの一方の面には
印刷が施される。
場合は、PETフィルムを接着剤層を介してラミネート
するか、若しくは少なくとも鋼板と接着する面にイソフ
タル酸を10〜25モル%程度共重合したPETフィル
ムを熱融着することが好ましい。前者の場合にはラミネ
ートフィルム層は下層側から接着剤層とPETフィルム
層を有する構造となる。また後者の場合には、少なくと
も鋼板と接着する面にイソフタル酸を共重合したPET
フィルムを化成処理層上に1層または2層以上熱融着さ
せた構造となる。通常、PETフィルムの一方の面には
印刷が施される。
【0031】また、上記接着剤層を構成する接着剤とし
ては、接着温度が錫層の合金化が進行する200℃以上
で且つ錫の融点である232℃未満の接着剤、例えば硬
化温度がこの範囲にある熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤
を用いることが好ましい。硬化温度が200〜232℃
の範囲から外れると錫層の適度な合金化(平坦な部分の
錫層を全量合金化させ、且つ粒状錫層部分の上層側に金
属錫が残留する程度の合金化)が達成されない。また、
PETフィルムを熱融着させる場合にも200〜232
℃の範囲で熱融着処理を行なうことが好ましい。また、
良好な色調を得るためにPETフィルムおよび/または
接着剤に白色顔料等の顔料を添加することができる。た
だし、50wt%を超えるような過剰の顔料の添加はラ
ミネート密着性を損なうため好ましくない。
ては、接着温度が錫層の合金化が進行する200℃以上
で且つ錫の融点である232℃未満の接着剤、例えば硬
化温度がこの範囲にある熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤
を用いることが好ましい。硬化温度が200〜232℃
の範囲から外れると錫層の適度な合金化(平坦な部分の
錫層を全量合金化させ、且つ粒状錫層部分の上層側に金
属錫が残留する程度の合金化)が達成されない。また、
PETフィルムを熱融着させる場合にも200〜232
℃の範囲で熱融着処理を行なうことが好ましい。また、
良好な色調を得るためにPETフィルムおよび/または
接着剤に白色顔料等の顔料を添加することができる。た
だし、50wt%を超えるような過剰の顔料の添加はラ
ミネート密着性を損なうため好ましくない。
【0032】図1及び図2は本発明の溶接缶用ラミネー
ト鋼板の皮膜構造を模式的に示したもので、1は鋼板、
2は錫層を構成する粒状錫層部分のうち上層側の金属
錫、3は同じく下層側の錫−鉄合金、4は錫層を構成す
る粒状錫層部分以外の平坦な錫−鉄合金層部分、5は化
成処理層を構成する金属クロム層、6は同じくクロム水
和酸化物層である。また、図1において7はラミネート
フィルム層を構成するフィルム層、8は接着剤層であ
り、図2において9はフィルムを熱融着して形成された
ラミネートフィルム層である。また、図3は本発明の溶
接缶用ラミネート鋼板の粒状錫層の断面(ラミネートフ
ィルムを除去した状態での断面)を観察した電子顕微鏡
拡大写真である。
ト鋼板の皮膜構造を模式的に示したもので、1は鋼板、
2は錫層を構成する粒状錫層部分のうち上層側の金属
錫、3は同じく下層側の錫−鉄合金、4は錫層を構成す
る粒状錫層部分以外の平坦な錫−鉄合金層部分、5は化
成処理層を構成する金属クロム層、6は同じくクロム水
和酸化物層である。また、図1において7はラミネート
フィルム層を構成するフィルム層、8は接着剤層であ
り、図2において9はフィルムを熱融着して形成された
ラミネートフィルム層である。また、図3は本発明の溶
接缶用ラミネート鋼板の粒状錫層の断面(ラミネートフ
ィルムを除去した状態での断面)を観察した電子顕微鏡
拡大写真である。
【0033】これら図面及び写真に示されるように、本
発明の溶接缶用ラミネート鋼板の錫層は平坦な錫層に粒
状に突起した錫層部分が分散して分布した皮膜構造を有
し、また、錫層は溶錫処理を施すことなく形成されたも
のであるため、殆どの粒状錫層部分は上面が比較的平ら
で且つ周縁が比較的切り立った形状を有している。ま
た、図4は本発明のラミネート鋼板に形成された錫層の
厚さ方向における成分分析をオージェ電子分光とアルゴ
ンイオンスパッタリングを組み合わせた深さ方向分析を
用いて測定したものである。
発明の溶接缶用ラミネート鋼板の錫層は平坦な錫層に粒
状に突起した錫層部分が分散して分布した皮膜構造を有
し、また、錫層は溶錫処理を施すことなく形成されたも
のであるため、殆どの粒状錫層部分は上面が比較的平ら
で且つ周縁が比較的切り立った形状を有している。ま
た、図4は本発明のラミネート鋼板に形成された錫層の
厚さ方向における成分分析をオージェ電子分光とアルゴ
ンイオンスパッタリングを組み合わせた深さ方向分析を
用いて測定したものである。
【0034】本発明のラミネート鋼板は、例えばフェノ
ールスルホン酸:10〜40g/l(硫酸換算)、2価
錫イオン濃度:15〜40g/l、水酸化フェノール
(例えば、カテコール、レゾルシンハイドロキノン
等):0.5〜30g/l、残部が水および不可避的不
純物からなるめっき浴中において、鋼板を10〜50A
の電流密度でカソード電解処理することにより錫めっき
を行い、次いで溶錫処理を施すことなく、化成処理及び
ラミネートを順次施すことにより得ることができる。化
成処理は、例えば浴組成をCrO3:10〜40g/
l、H2SO4:0.1〜0.5g/l、電流密度を10
〜50A/dm2とし、クロメート付着量に応じて電解
時間及び電解パターンを調整して行われる。
ールスルホン酸:10〜40g/l(硫酸換算)、2価
錫イオン濃度:15〜40g/l、水酸化フェノール
(例えば、カテコール、レゾルシンハイドロキノン
等):0.5〜30g/l、残部が水および不可避的不
純物からなるめっき浴中において、鋼板を10〜50A
の電流密度でカソード電解処理することにより錫めっき
を行い、次いで溶錫処理を施すことなく、化成処理及び
ラミネートを順次施すことにより得ることができる。化
成処理は、例えば浴組成をCrO3:10〜40g/
l、H2SO4:0.1〜0.5g/l、電流密度を10
〜50A/dm2とし、クロメート付着量に応じて電解
時間及び電解パターンを調整して行われる。
【0035】
【実施例】冷延鋼板を電解アルカリ脱脂、水洗、電解酸
洗、水洗後、下記(A)に示す条件[1]〜[4]のいずれか
で電気錫めっきを施し、次いで下記の(B)に示す条件
で化成処理を施した後、通常の塗油を施して試験に供し
た。なお、錫めっきの前処理は通常の缶用鋼板の電気錫
めっきラインの処理条件に準じて行ない、また、錫めっ
き浴はいずれも流速2m/sec、浴温45℃とした。
洗、水洗後、下記(A)に示す条件[1]〜[4]のいずれか
で電気錫めっきを施し、次いで下記の(B)に示す条件
で化成処理を施した後、通常の塗油を施して試験に供し
た。なお、錫めっきの前処理は通常の缶用鋼板の電気錫
めっきラインの処理条件に準じて行ない、また、錫めっ
き浴はいずれも流速2m/sec、浴温45℃とした。
【0036】(A) 電気錫めっき条件 条件[1] ・めっき浴組成;フェノールスルホン酸:20g/l
(硫酸換算)、2価錫イオン濃度:35g/l、カテコ
ール:5g/l ・電流密度:15〜30A/dm2 ・電解時間は錫めっきの付着形態に応じて調整した。 条件[2] ・めっき浴組成;メタンスルホン酸:40g/l(硫酸
換算)、2価錫イオン濃度:40g/l、カテコール:
2g/l ・電流密度:20〜40A/dm2 ・電解時間は錫めっきの付着形態に応じて調整した。
(硫酸換算)、2価錫イオン濃度:35g/l、カテコ
ール:5g/l ・電流密度:15〜30A/dm2 ・電解時間は錫めっきの付着形態に応じて調整した。 条件[2] ・めっき浴組成;メタンスルホン酸:40g/l(硫酸
換算)、2価錫イオン濃度:40g/l、カテコール:
2g/l ・電流密度:20〜40A/dm2 ・電解時間は錫めっきの付着形態に応じて調整した。
【0037】条件[3] ・めっき浴組成;フェノールスルホン酸:30g/l
(硫酸換算)、2価錫イオン濃度:35g/l、エトキ
シ化ナフトールスルホン酸:5g/l ・電流密度:15〜30A/dm2 ・電解時間はめっき付着量に応じて調整した。 ・錫層が均一になるように錫めっき層を調製した。 条件[4] ・めっき浴組成;フェノールスルホン酸:30g/l
(硫酸換算)、2価錫イオン濃度:35g/l、エトキ
シ化ナフトールスルホン酸:5g/l ・電流密度:15〜30A/dm2 ・電解時間はめっき付着量に応じて調整した。 ・電解後に溶錫処理を行い、島状の錫層と錫−鉄合金層
が混在しためっき表面となるように錫めっき層を調製し
た。
(硫酸換算)、2価錫イオン濃度:35g/l、エトキ
シ化ナフトールスルホン酸:5g/l ・電流密度:15〜30A/dm2 ・電解時間はめっき付着量に応じて調整した。 ・錫層が均一になるように錫めっき層を調製した。 条件[4] ・めっき浴組成;フェノールスルホン酸:30g/l
(硫酸換算)、2価錫イオン濃度:35g/l、エトキ
シ化ナフトールスルホン酸:5g/l ・電流密度:15〜30A/dm2 ・電解時間はめっき付着量に応じて調整した。 ・電解後に溶錫処理を行い、島状の錫層と錫−鉄合金層
が混在しためっき表面となるように錫めっき層を調製し
た。
【0038】(B) 化成処理条件 ・浴温:45℃ ・浴組成:CrO3:20g/l、H2SO4:0.20
g/l ・電流密度:10〜30A/dm2、 ・電解時間はクロメート付着量に応じて調整した。 ・必要に応じて、CrO3溶液によるクロム水和酸化物
層の溶解処理を実施した。
g/l ・電流密度:10〜30A/dm2、 ・電解時間はクロメート付着量に応じて調整した。 ・必要に応じて、CrO3溶液によるクロム水和酸化物
層の溶解処理を実施した。
【0039】製造された表面処理鋼板を切断後、所定形
状にスリット加工して缶胴用ブランクを作成し、下記
(C)に示す条件[1]〜[4]でラミネートまたは塗装を施
した。この後、所定のブランキングを行い、高速溶接、
溶接部補修およびネックイン加工、さらにフランジ加工
を実施した。 (C) 有機被覆(ラミネートまたは塗装)条件 条件[1] 厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムの片面に2〜4
g/m2の熱硬化型エポキシ樹脂系の接着剤を塗布し、
140℃以下の温度で加熱乾燥した。前記フィルムを2
10℃に予熱された表面処理鋼板に接着剤層を介して貼
り合わせ、加圧ロールを通して熱圧着した。その際、缶
胴ブランクの溶接継ぎ目部に該当する部分にラミネート
避け部を設けた。
状にスリット加工して缶胴用ブランクを作成し、下記
(C)に示す条件[1]〜[4]でラミネートまたは塗装を施
した。この後、所定のブランキングを行い、高速溶接、
溶接部補修およびネックイン加工、さらにフランジ加工
を実施した。 (C) 有機被覆(ラミネートまたは塗装)条件 条件[1] 厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムの片面に2〜4
g/m2の熱硬化型エポキシ樹脂系の接着剤を塗布し、
140℃以下の温度で加熱乾燥した。前記フィルムを2
10℃に予熱された表面処理鋼板に接着剤層を介して貼
り合わせ、加圧ロールを通して熱圧着した。その際、缶
胴ブランクの溶接継ぎ目部に該当する部分にラミネート
避け部を設けた。
【0040】条件[2] 厚さ25μmで鋼板と接着される面にイソフタル酸を1
0〜25モル%共重合してある二軸延伸PETフィルム
(鋼板に接着される面がイソフタル酸を10〜25モル
%共重合してあるPETフィルムによって構成された2
層フィルム)を、230℃に予熱された表面処理鋼板に
貼り合わせ、加圧ロールを通して熱圧着し、水冷した。
その際、缶胴ブランクの溶接継ぎ目部に該当する部分に
ラミネート避け部を設けた。 条件[3] 厚さ25μmで鋼板と接着される面にイソフタル酸を3
モル%共重合してある二軸延伸PETフィルムを、23
0℃に予熱された表面処理鋼板に貼り合わせ、加圧ロー
ルを通して熱圧着し、水冷した。その際、缶胴ブランク
の溶接継ぎ目部に該当する部分にラミネート避け部を設
けた。 条件[4] 通常の缶塗装に使用されるエポキシフェノール系の塗料
を表面処理鋼板に塗装し、208℃×10分間の焼付処
理を施し、焼付け後の膜厚が5μmの塗膜を形成させ
た。
0〜25モル%共重合してある二軸延伸PETフィルム
(鋼板に接着される面がイソフタル酸を10〜25モル
%共重合してあるPETフィルムによって構成された2
層フィルム)を、230℃に予熱された表面処理鋼板に
貼り合わせ、加圧ロールを通して熱圧着し、水冷した。
その際、缶胴ブランクの溶接継ぎ目部に該当する部分に
ラミネート避け部を設けた。 条件[3] 厚さ25μmで鋼板と接着される面にイソフタル酸を3
モル%共重合してある二軸延伸PETフィルムを、23
0℃に予熱された表面処理鋼板に貼り合わせ、加圧ロー
ルを通して熱圧着し、水冷した。その際、缶胴ブランク
の溶接継ぎ目部に該当する部分にラミネート避け部を設
けた。 条件[4] 通常の缶塗装に使用されるエポキシフェノール系の塗料
を表面処理鋼板に塗装し、208℃×10分間の焼付処
理を施し、焼付け後の膜厚が5μmの塗膜を形成させ
た。
【0041】高速溶接はスードロニック社製のワイヤシ
ーム溶接機FBB5600を使用し、ワイヤー供給速度
80m/minの条件で行った。得られた供試材につい
て以下の特性を評価した。その結果を各表面処理鋼板の
皮膜構成とともに表1〜表15に示す。 (1) 高速溶接性 溶接電流の設定値を変えて溶接を行い、十分な溶接強度
が得られる最小電流設定値と散りや孔あき等の溶接欠陥
が目立ちはじめる最大電流値との間の適正電流設定範囲
を調べ、実用性及び操業の可否を評価した。その評価基
準は以下の通りである。 ○:実用可能(合格) △:適正電流設定範囲がわずかであり実用不能(不合
格) ×:適正電流設定範囲が存在しない(不合格)
ーム溶接機FBB5600を使用し、ワイヤー供給速度
80m/minの条件で行った。得られた供試材につい
て以下の特性を評価した。その結果を各表面処理鋼板の
皮膜構成とともに表1〜表15に示す。 (1) 高速溶接性 溶接電流の設定値を変えて溶接を行い、十分な溶接強度
が得られる最小電流設定値と散りや孔あき等の溶接欠陥
が目立ちはじめる最大電流値との間の適正電流設定範囲
を調べ、実用性及び操業の可否を評価した。その評価基
準は以下の通りである。 ○:実用可能(合格) △:適正電流設定範囲がわずかであり実用不能(不合
格) ×:適正電流設定範囲が存在しない(不合格)
【0042】(2) ラミネート密着性及び塗料密着性 ネックイン加工を施した加工部に対して、1.5%食塩
水、130℃、30分間のレトルト処理を行い、レトル
ト後の加工部のフィルムまたは塗膜の剥離の有無を観察
した。その評価基準は以下の通りである。 ○:剥離無し(合格) ×:剥離あり(不合格) (3) 耐錫剥離性 溶接機で100缶連続製缶した後、Zバーへの金属粉の
付着の有無および缶への金属粉の付着の有無を評価し
た。その評価基準は以下の通りである。 ○:Zバー及び缶ともに金属粉の付着は軽微(合格) ×:缶への金属粉の付着あり(不合格)
水、130℃、30分間のレトルト処理を行い、レトル
ト後の加工部のフィルムまたは塗膜の剥離の有無を観察
した。その評価基準は以下の通りである。 ○:剥離無し(合格) ×:剥離あり(不合格) (3) 耐錫剥離性 溶接機で100缶連続製缶した後、Zバーへの金属粉の
付着の有無および缶への金属粉の付着の有無を評価し
た。その評価基準は以下の通りである。 ○:Zバー及び缶ともに金属粉の付着は軽微(合格) ×:缶への金属粉の付着あり(不合格)
【0043】(4) 耐食性 ラミネートまたは塗装後溶接前の表面処理鋼板のラミネ
ート避け部または塗装避け部に補修塗装を行った後、カ
ッターで下地に達する傷を入れ、38℃、3.5%食塩
水への浸漬、水洗処理を行った後、30℃相対湿度90
%で1週間暴露し、錆の発生状況を評価した。その評価
基準は以下の通りである。 ○:錆発生無し(合格) ×:錆発生あり(不合格)
ート避け部または塗装避け部に補修塗装を行った後、カ
ッターで下地に達する傷を入れ、38℃、3.5%食塩
水への浸漬、水洗処理を行った後、30℃相対湿度90
%で1週間暴露し、錆の発生状況を評価した。その評価
基準は以下の通りである。 ○:錆発生無し(合格) ×:錆発生あり(不合格)
【0044】なお、本実施例では錫層を構成する粒状錫
層部分の厚さは皮膜断面方向からの透過電子顕微鏡によ
る観察により測定した。この際、断面試料の作成用の装
置としては Dupont-Sorvall MT6000 型ウルトラミクロ
トームを使用し、樹脂包埋した供試材を同装置に固定し
た Diatome 社製ダイヤモンドナイフで供試材断面方向
に超薄切化して観察用試料とした。試料断面の観察用の
透過電子顕微鏡としては日本電子(株)製 200CX を用
い、観察時の加速電圧は200kVとした。粒状錫層の
上層側の金属錫と下層側の錫−鉄合金との識別には電子
回折を用いた。また、平坦な錫−鉄合金層部分の厚さは
皮膜断面方向からの透過電子顕微鏡による観察では測定
が困難であるため、その測定にはオージェ電子分光とア
ルゴンイオンスパッタリングを組み合わせた深さ方向分
析を用いた。この測定用の装置としては Perkin-Elmer
社製のSAM-600を用い、以下のような条件で行なった。
層部分の厚さは皮膜断面方向からの透過電子顕微鏡によ
る観察により測定した。この際、断面試料の作成用の装
置としては Dupont-Sorvall MT6000 型ウルトラミクロ
トームを使用し、樹脂包埋した供試材を同装置に固定し
た Diatome 社製ダイヤモンドナイフで供試材断面方向
に超薄切化して観察用試料とした。試料断面の観察用の
透過電子顕微鏡としては日本電子(株)製 200CX を用
い、観察時の加速電圧は200kVとした。粒状錫層の
上層側の金属錫と下層側の錫−鉄合金との識別には電子
回折を用いた。また、平坦な錫−鉄合金層部分の厚さは
皮膜断面方向からの透過電子顕微鏡による観察では測定
が困難であるため、その測定にはオージェ電子分光とア
ルゴンイオンスパッタリングを組み合わせた深さ方向分
析を用いた。この測定用の装置としては Perkin-Elmer
社製のSAM-600を用い、以下のような条件で行なった。
【0045】すなわち、スパッタ時間を横軸としてクロ
ム、錫および鉄のオージェ電子強度の変化を測定し、ス
パッタレートと元素間の相対感度因子から深さ方向の組
成変化を求めた。測定時の電子線の加速電圧は5kV、
試料吸収電流は0.15μAとした。また、この条件で
の電子線のビーム径は0.5μm以下である。スパッタ
レートは既知の膜厚の錫及び錫−鉄合金皮膜を用いて求
めた。アルゴンイオン銃の加速電圧、エミッション電流
をそれぞれ3kV、2.5μAとした時の錫及び錫−鉄
合金のスパッタレートは、それぞれ8nm/sec、5
nm/secであった。相対感度因子にはアルバック・
ファイ社の求めた値を用いた。また、粒状錫層部分及び
平坦な錫−鉄合金層部分の各被覆面積率は走査型電子顕
微鏡による観察により測定した。観察用の走査型電子顕
微鏡としては日本電子(株)製 JSM-840Fを用い、観察時
の加速電圧は15kVとした。
ム、錫および鉄のオージェ電子強度の変化を測定し、ス
パッタレートと元素間の相対感度因子から深さ方向の組
成変化を求めた。測定時の電子線の加速電圧は5kV、
試料吸収電流は0.15μAとした。また、この条件で
の電子線のビーム径は0.5μm以下である。スパッタ
レートは既知の膜厚の錫及び錫−鉄合金皮膜を用いて求
めた。アルゴンイオン銃の加速電圧、エミッション電流
をそれぞれ3kV、2.5μAとした時の錫及び錫−鉄
合金のスパッタレートは、それぞれ8nm/sec、5
nm/secであった。相対感度因子にはアルバック・
ファイ社の求めた値を用いた。また、粒状錫層部分及び
平坦な錫−鉄合金層部分の各被覆面積率は走査型電子顕
微鏡による観察により測定した。観察用の走査型電子顕
微鏡としては日本電子(株)製 JSM-840Fを用い、観察時
の加速電圧は15kVとした。
【0046】表1〜表15において比較例1〜11、比
較例19〜30は、金属錫層または化成処理層に関する
いずれかの条件が本発明範囲から外れているため、高速
溶接性、ラミネート密着性、耐錫剥離性、耐食性または
色調のうちのいずれかの特性が劣っている。また、比較
例13及び比較例31は錫層を溶錫処理を施すことなく
形成したものであるが、その錫層は均一な厚さでのもの
あるためラミネート密着性が劣っている。また、比較例
15及び比較例33は粒状錫層を溶錫処理により形成し
たものであるためラミネート密着性が劣っている。比較
例15〜18、比較例33〜36は島状(若しくは不連
続状)の金属錫層を有する既存の代表的な溶接缶表面処
理鋼板である。これら比較例のうち、比較例17と比較
例18、比較例35と比較例36は、それぞれ錫層及び
化成処理層の構成を同一とした上で、前者にはPETフ
ィルムをラミネートし、後者には従来使用されているエ
ポキシフェノール系塗料による塗膜を形成したものであ
るが、両者を比較するとラミネートと塗膜とは密着性に
関して異なる挙動を示すことが判る。
較例19〜30は、金属錫層または化成処理層に関する
いずれかの条件が本発明範囲から外れているため、高速
溶接性、ラミネート密着性、耐錫剥離性、耐食性または
色調のうちのいずれかの特性が劣っている。また、比較
例13及び比較例31は錫層を溶錫処理を施すことなく
形成したものであるが、その錫層は均一な厚さでのもの
あるためラミネート密着性が劣っている。また、比較例
15及び比較例33は粒状錫層を溶錫処理により形成し
たものであるためラミネート密着性が劣っている。比較
例15〜18、比較例33〜36は島状(若しくは不連
続状)の金属錫層を有する既存の代表的な溶接缶表面処
理鋼板である。これら比較例のうち、比較例17と比較
例18、比較例35と比較例36は、それぞれ錫層及び
化成処理層の構成を同一とした上で、前者にはPETフ
ィルムをラミネートし、後者には従来使用されているエ
ポキシフェノール系塗料による塗膜を形成したものであ
るが、両者を比較するとラミネートと塗膜とは密着性に
関して異なる挙動を示すことが判る。
【0047】また、比較例15と比較例16、比較例3
3と比較例34は、それぞれ錫めっき層、化成処理層及
びラミネートフィルム層の構成を同一とした上で、ラミ
ネート後のネックイン加工を比較例15、比較例33で
は加工率20%で、また比較例16、比較例34では加
工率6%でそれぞれ実施したものであるが、このような
既存の溶接缶表面処理鋼板においても、加工率が6%程
度のネックイン加工では十分なラミネート密着性が得ら
れるが、加工率が15%を超えるような厳しいネックイ
ン加工では十分なラミネート密着性が得られないことが
判る。本発明例5〜7、21〜23に示すように、ラミ
ネートフィルムが共重合PETフィルムの場合には熱融
着による接着でも良好なラミネート密着性を示す。これ
に対し、実施例1〜4、17〜20に示すようにホモP
ETまたは低重合度のPETフィルムをラミネートする
場合は接着剤を介して接着することが必要である。ま
た、比較例14、比較例32に示すように本発明条件を
満足する錫層及び化成処理層を有する場合でも、熱融着
によりラミネートされるPETフィルムが低重合度のフ
ィルムであると十分なラミネート密着性は得られない。
3と比較例34は、それぞれ錫めっき層、化成処理層及
びラミネートフィルム層の構成を同一とした上で、ラミ
ネート後のネックイン加工を比較例15、比較例33で
は加工率20%で、また比較例16、比較例34では加
工率6%でそれぞれ実施したものであるが、このような
既存の溶接缶表面処理鋼板においても、加工率が6%程
度のネックイン加工では十分なラミネート密着性が得ら
れるが、加工率が15%を超えるような厳しいネックイ
ン加工では十分なラミネート密着性が得られないことが
判る。本発明例5〜7、21〜23に示すように、ラミ
ネートフィルムが共重合PETフィルムの場合には熱融
着による接着でも良好なラミネート密着性を示す。これ
に対し、実施例1〜4、17〜20に示すようにホモP
ETまたは低重合度のPETフィルムをラミネートする
場合は接着剤を介して接着することが必要である。ま
た、比較例14、比較例32に示すように本発明条件を
満足する錫層及び化成処理層を有する場合でも、熱融着
によりラミネートされるPETフィルムが低重合度のフ
ィルムであると十分なラミネート密着性は得られない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【表12】
【0060】
【表13】
【0061】
【表14】
【0062】
【表15】
【0063】
【発明の効果】以上述べた本発明の溶接缶用ラミネート
鋼板によれば、鋼板の板厚に拘りなく優れた高速溶接性
が得られるととももに、加工率15%以上のネックイン
加工にも十分に耐えるラミネート密着性を有し、しかも
良好な耐食性、耐錫剥離性及び色調を有し、また特別な
工程を経ることなく安価に製造することができる。
鋼板によれば、鋼板の板厚に拘りなく優れた高速溶接性
が得られるととももに、加工率15%以上のネックイン
加工にも十分に耐えるラミネート密着性を有し、しかも
良好な耐食性、耐錫剥離性及び色調を有し、また特別な
工程を経ることなく安価に製造することができる。
【図1】本発明の溶接缶用ラミネート鋼板の皮膜断面の
一例を模式的に示す説明図
一例を模式的に示す説明図
【図2】本発明の溶接缶用ラミネート鋼板の皮膜断面の
他の例を模式的に示す説明図
他の例を模式的に示す説明図
【図3】本発明の溶接缶用ラミネート鋼板の粒状錫層部
分の粒構造の断面を示す電子顕微鏡拡大写真
分の粒構造の断面を示す電子顕微鏡拡大写真
【図4】本発明の溶接缶用ラミネート鋼板について、錫
層を構成する粒状錫層部分および平坦な錫−鉄合金層部
分の厚さ方向における成分分析結果を示すグラフ
層を構成する粒状錫層部分および平坦な錫−鉄合金層部
分の厚さ方向における成分分析結果を示すグラフ
1…鋼板、2…粒状錫層部分の上層側を構成する金属
錫、3…粒状錫層部分の下層側を構成する錫−鉄合金、
4…平坦な錫−鉄合金層部分、5…金属クロム層、6…
クロム水和酸化物層、7…フィルム層、8…接着剤層、
9…ラミネートフィルム層
錫、3…粒状錫層部分の下層側を構成する錫−鉄合金、
4…平坦な錫−鉄合金層部分、5…金属クロム層、6…
クロム水和酸化物層、7…フィルム層、8…接着剤層、
9…ラミネートフィルム層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 7/00 C25D 7/00 M (72)発明者 久保 啓 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (7)
- 【請求項1】 板厚0.19mm以上の鋼板の少なくと
も片面に、下層側から順に、溶錫処理を施すことなく形
成された錫層、金属クロム層とその上層のクロム水和酸
化物層とからなる化成処理層、及び該化成処理層の少な
くとも一部を覆うラミネートフィルム層を有するラミネ
ート鋼板であって、前記錫層は、下層側が錫−鉄合金で
且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分と残
部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層であっ
て、前記粒状に突起した錫層部分のうちの90%以上の
個数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以
下、上層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.
1〜0.7μmで、且つこれらの条件を満足する粒状に
突起した錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%以
上であり、前記平坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.0
1〜0.05μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以
上であり、前記化成処理層は、前記金属クロム層のクロ
ム付着量が5mg/m2以上、前記クロム水和酸化物層
のクロム付着量が金属クロム換算で5mg/m2以上1
5mg/m2未満、金属クロム層とクロム水和酸化物層
のクロム付着量の合計が金属クロム換算で10〜30m
g/m2である、耐食性、溶接性及びラミネート密着性
に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。 - 【請求項2】 板厚0.19mm未満の鋼板の少なくと
も片面に、下層側から順に、溶錫処理を施すことなく形
成された錫層、金属クロム層とその上層のクロム水和酸
化物層とからなる化成処理層、及び該化成処理層の少な
くとも一部を覆うラミネートフィルム層を有するラミネ
ート鋼板であって、前記錫層は、下層側が錫−鉄合金で
且つ上層側が金属錫である粒状に突起した錫層部分と残
部の平坦な錫−鉄合金層部分とが混在した錫層であっ
て、前記粒状に突起した錫層部分のうちの90%以上の
個数の各錫層部分は最大厚み部の厚さが0.8μm以
下、上層側を構成する金属錫の最大厚み部の厚さが0.
2〜0.7μmで、且つこれらの条件を満足する粒状に
突起した錫層部分による鋼板面の被覆面積率が10%以
上であり、前記平坦な錫−鉄合金層部分は厚さが0.0
1〜0.05μmで且つ鋼板面の被覆面積率が60%以
上であり、前記化成処理層は、前記金属クロム層のクロ
ム付着量が5mg/m2以上、前記クロム水和酸化物層
のクロム付着量が金属クロム換算で5mg/m2以上1
5mg/m2未満、金属クロム層とクロム水和酸化物層
のクロム付着量の合計が金属クロム換算で10〜30m
g/m2である、耐食性、溶接性及びラミネート密着性
に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。 - 【請求項3】 粒状に突起した錫層部分の下層側を構成
する錫−鉄合金層の厚さが0.01μm以上である、請
求項1または2に記載の耐食性、溶接性及びラミネート
密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板。 - 【請求項4】 金属クロム層のクロム付着量が10mg
/m2以上である、請求項1、2または3に記載の耐食
性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミ
ネート鋼板。 - 【請求項5】 ラミネートフィルム層が、下層側から接
着剤層及び二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム層を有する請求項1、2、3または4に記載の耐食
性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミ
ネート鋼板。 - 【請求項6】 接着剤層を構成する接着剤が熱硬化型エ
ポキシ樹脂系接着剤である請求項5に記載の耐食性、溶
接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート
鋼板。 - 【請求項7】 ラミネートフィルム層が、少なくとも鋼
板と接着する面にイソフタル酸を共重合した1層または
2層以上の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ムからなる請求項1、2、3または4に記載の耐食性、
溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネー
ト鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4417696A JPH09209172A (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4417696A JPH09209172A (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09209172A true JPH09209172A (ja) | 1997-08-12 |
Family
ID=12684279
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4417696A Pending JPH09209172A (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09209172A (ja) |
-
1996
- 1996-02-06 JP JP4417696A patent/JPH09209172A/ja active Pending
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