JPH09210990A - 塗装品質解析装置 - Google Patents

塗装品質解析装置

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JPH09210990A
JPH09210990A JP2130196A JP2130196A JPH09210990A JP H09210990 A JPH09210990 A JP H09210990A JP 2130196 A JP2130196 A JP 2130196A JP 2130196 A JP2130196 A JP 2130196A JP H09210990 A JPH09210990 A JP H09210990A
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JP
Japan
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coating
paint
wavelength
film thickness
thinner
Prior art date
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JP2130196A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Yoshida
清 吉田
Akira Nagashima
明 長島
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】季節や塗装部位等に応じて温度、膜厚、シンナ
ー種が変化する場合であっても塗装中に迅速かつ高精度
で塗膜面の塗着非揮発性成分を演算することのできる塗
装品質解析装置を提供する。 【解決手段】塗装条件入力手段100から塗装ブース内
の温度情報と塗料シンナー種情報を入力し、また、膜厚
入力手段103から膜厚情報を入力し、それらの情報に
基づいてシンナー蒸発量を補正するシンナー蒸発量補正
手段104を設け、塗装ブース内の温度、シンナー種お
よび膜厚に応じた補正を施した塗膜面の塗着非揮発性成
分を演算する塗装品質解析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装品質、すなわち塗
着直後や塗着の所定時間後(例えば数分後)における塗
膜中の非揮発性成分を求める塗装品質解析装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塗装品質の評価、例えば自動車の車体塗
装における塗装品質の評価としては、塗装後に長時間か
けて乾燥させ、乾燥後に塗装の鮮映性、すなわち平滑感
と肉持ち感と光沢感とを検査して評価することが行なわ
れている。上記のごとき塗装品質評価の際に、鮮映性の
評価値にバラツキが発生した場合、その要因としては、
吹き付け時の塗料の種類、膜厚、塗着後の非揮発性成分
(以下、塗着N.Vと略記する)、塗着粘度、塗装ガン
吹き付け圧等が考えられる。これらの要因のうち、代表
的要因としては、塗着N.Vと膜厚とが挙げられるが、
これらの要因は、出来るだけ塗布直後に定量的に把握
し、以後の塗装条件改善に役立てる必要がある。従来、
塗装直後の塗膜面の塗着N.Vを測定するには、車体等
の被塗装体にアルミ箔を貼り付け、塗装ガンで塗料を塗
布した後にアルミ箔を剥ぎ取り、塗布直後のアルミ箔の
重量と乾燥後のアルミ箔の重量とを計測するアルミ重量
法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】自動車の車体塗装のよ
うに、塗装自動化ラインで次々に塗装を行なう場合に
は、塗装状態の良否を出来るだけ速やかにフィードバッ
クして次の塗装条件を改善し、常に最良の塗装状態に保
つ必要がある。しかし、従来のアルミ重量法では、上記
のように、アルミ箔の添付と剥離工程および乾燥工程や
重量測定工程が必要なため、測定に多くの工程と時間と
が必要であり、かつ、乾燥後のアルミ箔の重量を計測し
た後に初めて塗布直後の塗着N.Vが判明するので、塗
布直後や塗布後の任意の時点(例えば数分後)の塗着
N.Vをリアルタイムで求めることは出来なかった。そ
のため、上記のごとき塗装自動化ラインの要求に応える
ことが出来ない、という問題があった。
【0004】上記の問題を解決するため、本出願人は、
塗装前の塗料の非揮発性成分情報と、塗膜面における塗
料の微粒化度と、塗料のシンナー蒸発量情報(単位面積
当りの蒸発量)とに基づいて塗布直後の塗膜面の塗着
N.Vを演算し、また、上記の算出した塗布直後の塗着
N.Vと塗料の種類情報とに基づいて、塗布直後の塗膜
面の塗料密度を算出し、その算出した塗料密度と計測時
間(塗布時点から任意の計測時点までの経過時間)と膜
厚とシンナー蒸発量とに基づいて、任意の設定した計測
時点における塗膜面の塗着N.Vを演算するように構成
した塗装品質解析装置を発明し、既に出願している(特
願平6−258073号:末公開)。
【0005】上記の本出願人の先行発明においては、塗
着直後や塗布時点から所定時間後における塗膜中の非揮
発性成分を、非接触で、かつ短時間で計測することが出
来るという優れた効果が得られる。しかし、塗料のシン
ナー蒸発速度は、雰囲気温度条件(例えば塗装ブース内
温度)、塗装した膜厚条件および塗料のシンナー種に依
存するため、一般の塗装の自動化ラインのように、季節
や昼と夜の差などに応じた温度変化が大きく、塗装部位
によって膜厚が変化し、かつ季節によって塗料に調合す
るシンナー種が変わるという条件の場合には、それらの
条件に応じてシンナーの蒸発量が基準の値からずれるの
で、計測精度の確保が困難になることがあり、したがっ
て自動車の車体塗装のような自動化ラインに適用する場
合には、更に改良の余地があった。
【0006】本発明は、上記のごとき従来技術の問題を
解決し、さらに上記本出願人の先行発明を改良するため
になされたものであり、温度、膜厚、シンナー種が変化
する場合であっても塗装中に迅速かつ高精度で塗膜面の
塗着非揮発性成分を演算することのできる塗装品質解析
装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、請求項1に記載の発明は、
図1に示すごとく、少なくとも塗装前の塗料の非揮発性
成分情報(塗料のN.V)と塗料の種類情報(塗料の種
類とシンナー種とを含む)と塗装ブース内の温度情報と
を含む塗装条件を入力する塗装条件入力手段100と、
塗膜面における塗料の微粒化度を入力する微粒化度入力
手段101と、塗料の単位面積当りのシンナー蒸発量を
入力するシンナー蒸発量入力手段102と、塗膜面の膜
厚を入力する膜厚入力手段103と、上記塗装条件入力
手段100から与えられる塗装ブース内の温度情報およ
び塗料のシンナー種情報と上記膜厚入力手段103から
与えられる膜厚情報とに基づいて上記シンナー蒸発量を
補正するシンナー蒸発量補正手段104と、上記塗料の
非揮発性成分と上記微粒化度と上記補正後のシンナー蒸
発量とに基づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成分
を演算する第1の塗着非揮発性成分演算手段105と、
上記第1の塗着非揮発性成分演算手段105で算出した
塗布直後の塗着非揮発性成分と上記塗装条件入力手段1
00から入力した塗料の種類情報とに基づいて、塗布直
後の塗膜面の塗料密度を算出する塗料密度演算手段10
6と、塗料塗布時点から任意の計測時点までの時間を入
力する計測時間入力時間107と、上記塗料密度と上記
計測時間と上記膜厚と上記補正後のシンナー蒸発量とに
基づいて、上記の設定した計測時点における塗膜面の塗
着非揮発性成分を演算する第2の塗着非揮発性成分演算
手段108と、を備えている。なお、シンナー種とは、
季節に応じてシンナーの沸点を変えるように調合したも
のであり、例えば低沸点シンナーと高沸点シンナーとの
混合比を変えることにより、夏用(高沸点)、冬用(低
沸点)、春秋用(中間)のように季節に応じた沸点に調
合したものである。
【0008】上記のように、請求項1に記載の発明にお
いては、塗装ブース内の温度情報と塗料のシンナー種情
報と膜厚情報とに基づいてシンナー蒸発量を補正するシ
ンナー蒸発量補正手段104を設けることにより、塗装
ブース内の温度、シンナー種、膜厚に応じた補正を行な
うように構成している。したがって季節や塗装部位に応
じて温度、シンナー種、膜厚が変化した場合でも、塗装
中に迅速かつ高精度で塗膜面の塗着N.Vを演算するこ
とが可能となる。
【0009】また、請求項2に記載のように、上記第1
の塗着非揮発性成分演算手段105は、上記の入力した
塗料の非揮発性成分およびシンナー蒸発量と上記の入力
した微粒化度から求めた塗料粒子の表面積との関係に基
づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成分を演算する
ものである。また、請求項3に記載のように、上記シン
ナー蒸発量入力手段102は、予め実験によって測定し
た塗装前の塗料の非揮発性成分と塗装直後の塗膜面の塗
着非揮発性成分と塗料の微粒化度とに基づいて単位面積
当りのシンナー蒸発量を算出して入力するものである。
【0010】また、請求項4に記載のように、上記微粒
化度入力手段101は、塗料を塗布した直後の未乾燥塗
装表面を撮像する撮像手段と、上記撮像手段からの画像
情報を画像処理する画像処理手段と、上記画像処理手段
で処理された画像処理データに基づいて、塗装表面の凹
凸波形の波長分布を算出する波長演算手段と、上記波長
演算手段で求めた波長分布に基づいて微粒化度を演算す
る微粒化演算手段と、を備え、上記の演算した微粒化度
を入力するものである。また、請求項5に記載のよう
に、上記波長演算手段は、塗装表面の凹凸波形のパワー
スペクトルにおける長波長領域のピーク波長を求めるも
のであり、上記微粒化演算手段は、上記長波長領域のピ
ーク波長の値と予め実験で求めた塗料粒子径との関係か
ら、塗料粒子径を算出し、それを微粒化度とするもので
ある。
【0011】また、請求項6に記載のように、上記撮像
手段では、塗装表面の複数個所を撮像し、後続の各手段
ではそれぞれの個所について処理を行ない、上記波長演
算手段ではそれぞれの個所における波長値を順次算出
し、かつ、上記複数個の波長値を平均処理する波長平均
処理手段を備え、上記微粒化演算手段では、上記波長平
均処理手段の演算結果に基づいて微粒化度を算出するも
のである。また、請求項7に記載の発明は、請求項6の
発明において、塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面
を、塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する複
数の撮像手段を備え、それらの撮像手段で撮像した複数
個所の画像情報を順次処理するように構成したものであ
る。
【0012】次に、請求項8に記載のように、請求項1
における膜厚入力手段103は、塗料を塗布した直後の
未乾燥塗装表面を撮像する撮像手段と、上記撮像手段か
らの画像情報を画像処理する画像処理手段と、上記画像
処理手段で処理された画像処理データに基づいて、塗装
表面の凹凸波形の波長分布を算出する波長演算手段と、
上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
て、塗装表面の粗さを算出する表面粗さ算出手段と、少
なくとも塗料の粘度を含む塗装条件を入力する塗装条件
入力手段と、上記表面粗さ算出手段で算出された粗さ度
と、該粗さ度の時間変化量と、上記波長分布演算手段で
算出された波長分布と、上記塗装条件入力手段から入力
された塗装条件とに基づいて塗装膜厚を算出する膜厚演
算手段と、を備え、上記の演算した膜厚を入力するもの
である。
【0013】上記のごとく、上記の微粒化度や膜厚は、
請求項3〜請求項8にそれぞれ記載のように、塗装面を
撮像した画像を画像処理することによって演算で求める
ことが出来る。したがって非接触で極めて短時間に塗布
直後や塗布時点から所定時間後の塗着N.Vを容易に計
測することが出来る。なお、塗着N.Vは、例えば非揮
発性成分の含有率で表示されるが、含有量を用いてもよ
い。
【0014】
【発明の効果】本発明においては、塗装ブース内の温度
情報と塗料シンナー種情報と膜厚情報とに基づいてシン
ナー蒸発量を補正するように構成したことにより、季節
や塗装部位に応じて環境温度、塗料のシンナー種および
膜厚が変化した場合でも、塗装中に非接触で極めて短時
間に塗布直後や塗布時点から所定時間後の塗着N.Vを
容易に計測することが出来る。そのため塗装条件を直ち
にフィードバック制御することが出来るので、塗装品質
を維持、向上させることができると共に、塗着N.V計
測の工数を大幅に低減することが出来る、という効果が
得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】図2は本発明の第1の実施の形態
を示す図であり、本発明を自動塗装ラインに適用した場
合のブロック図を示す。まず、図2に基づいて全体の構
成の概略を説明する。1は被塗装体(例えば自動車のボ
ディ)であり、塗装ライン上を所定の速度で移動しなが
ら塗装されるものである。2は塗装直後におけるウエッ
ト状態の塗装表面を撮像する撮像部である。撮像する時
点は、塗料を吹き付けたのち所定時間(例えば1〜2
分)後に行なう。そのため、撮像部2は塗装ラインの移
動速度に合わせて、例えば1〜2分後に車体が到達する
位置に設置されている。上記の撮像部2で撮像した塗装
表面の画像(詳細後述)は、画像処理部3で2値化等の
画像処理される。なお、この画像処理部は画像情報を記
憶する画像メモリとコンピュータ等の演算装置で構成さ
れる。
【0016】上記の画像処理部3で処理された画像処理
データは波長演算部4へ送られる。上記波長演算部4で
は、パワースペクトル周波数分析(例えば高速フーリエ
変換処理:FFT)を行ない、入力した画像処理データ
から塗装表面の凹凸波形のパワースペクトルPS(特に
その長波長領域のピーク波長λpと積分値P:詳細後
述)を算出する。上記のパワースペクトルPSの値は、
微粒化演算部8へ送られる。また、塗装条件入力部5
は、例えばキーボード等の入力手段であり、少なくとも
塗装前の塗料の非揮発性成分(含有率または含有量)と
塗料の種類情報(塗料のシンナー種情報を含む)と塗装
ブース内の温度情報とを含む塗装条件の数値を入力す
る。なお、塗装条件としては、上記の他に、中塗り、上
塗りベース、上塗りクリア等の塗料の種類や吹き付け距
離等があり、必要に応じて塗装条件入力部5から入力す
る。なお、シンナー種とは、季節に応じてシンナーの沸
点を変えるように調合したものであり、例えば低沸点シ
ンナーと高沸点シンナーとの混合比を変えることによ
り、夏用(高沸点)、冬用(低沸点)、春秋用(中間)
のように季節に応じた沸点に調合する。したがって塗装
条件入力部5から入力するシンナー種は、例えば2種の
シンナーの混合比で表すことが出来る。
【0017】また、微粒化演算部8は、上記塗装条件入
力部5からの塗装条件と、波長演算部4で求めた波長値
とに基づいて塗料の微粒化度を演算する(詳細後述)。
また、シンナー蒸発量入力部6は、予め実験で測定した
塗料のシンナー蒸発量(単位面積当たりの量:詳細後
述)を入力する。なお、予め実験によって測定した塗装
前の塗料の非揮発性成分含有率と塗装直後の塗着非揮発
性成分と塗料の微粒化度との関係に基づいて単位面積当
たりのシンナー蒸発量を算出することも出来る。また、
このシンナー蒸発量入力部6と前記塗装条件入力部5と
は別々に記載しているが、共通のものでよい。次に、シ
ンナー蒸発量補正部7は、塗装条件入力部5から入力し
た塗装ブース内の温度、塗料のシンナー種および後記の
膜厚演算部13から入力した塗装膜厚に応じて、シンナ
ー蒸発量入力部6から入力したシンナー蒸発量を補正す
る(詳細後述)。
【0018】次に、第1の塗着N.V演算部9は、上記
微粒化演算部8から入力した塗料の微粒化度と、上記塗
装条件入力部5から入力した塗布前の塗料の非揮発性成
分と、上記シンナー蒸発量補正部6から入力した補正後
のシンナー蒸発量と、に基づいて塗布直後の塗膜面の塗
着N.Vを演算する(詳細後述)。なお、塗着N.Vの単
位は、例えば単位面積当たりの重量または%である。次
に、塗料密度演算部10は、第1の塗着N.V演算部9
で求めた塗装直後の塗着N.Vと塗装条件入力部5から
の塗装条件(塗料の種類等)とに基づいて塗着直後の塗
料密度を演算する(詳細後述)。
【0019】一方、表面粗さ演算部12は、画像処理部
3で求めた画像処理情報に基づいて塗装表面の粗さ度を
演算し、膜厚演算部13は、上記表面粗さ度およびその
時間変化量と波長演算部4で求めた波長(パワースペク
トルPSの長波長領域のピーク波長λpとパワースペク
トル積分値P)とに基づいて、塗装膜厚を演算する(詳
細後述)。
【0020】また、測定時間入力部11は、塗料を塗布
した時点から任意の計測時点(塗装後所望の時間が経過
した時点、例えば2分〜9分後)までの時間(以下、測
定時間と記す)を入力する。そして第2の塗着N.V演
算部14は、膜厚演算部13で求めた膜厚と、塗料密度
演算部10で求めた塗料密度と、測定時間入力部11か
ら入力した測定時間と、シンナー蒸発量補正部7で補正
したシンナー蒸発量とに基づいて、上記の測定時間入力
部11で設定した塗装時点から任意の時間後の塗着N.
Vを演算する(詳細後述)。
【0021】上記のようにして求められた塗着N.V
は、液晶表示装置やCRT表示装置等の表示器15で表
示して作業員に提示すると共に、塗装条件制御システム
16へ送られ、塗装ガン17の動作条件(塗料の吐出
量、ベル回転数、エア圧等)を所望の値(微粒化度等)
を達成するための最適条件に保つように制御する。な
お、上記の各演算部は、コンピュータ等の演算装置で構
成される。
【0022】次に、各部の詳細構造および作用を説明す
る。最初に、撮像部2について説明する。図3は、撮像
部2の一例を示す断面図である。図3に示すように、撮
像部の基本的構成は、光源31、明暗パタン板32、反
射鏡33、レンズ34、CCDカメラ35から成る。上
記の明暗パタン板32は、所定間隔(例えばlmm間
隔)で直線状のスリットが設けられた不透明板(または
透明板に所定間隔で不透明なストライプパタンを印刷し
たもの)である。そして光源31からの平行光線を上記
明暗パタン板32と反射鏡33とレンズ34とを介して
塗装面の斜め方向から照射することにより、被塗装体上
にスリットに対応した縞模様をつくる。この縞模様は、
被塗装体上の凹凸に応じて歪んだ波形(例えば後記図1
9のごとき波形)となる。その反射光をCCDカメラ3
5で撮像し、上記の歪んだ縞模様、すなわち表面粗さの
情報を入力するようになっている。上記のごとき縞模様
の画像情報を画像処理し、パワースペクトル周波数分析
(例えば高速フーリエ変換処理:FFT)を行なってパ
ワースペクトルPSを求める。
【0023】図4は、上記パワースペクトルPSの周波
数特性図であり、縦軸はパワースペクトルPS、横軸は
周波数f(波長λの逆数、f=1/λ)である。図4に
おいて、第1のピーク波形は、前記スリットに対応し
た基本縞による基本波形のパワースペクトル、第2のピ
ーク波形は、塗装表面の凹凸波形の長波長領域(10
〜lmm程度)に対応したパワースペクトル、第3のピ
ーク波形は、凹凸波形の中波長領域(1〜0.lmm
程度)に対応したパワースペクトル、第4のピーク波形
は、凹凸波形の短波長領域(0.lmm以下)に対応
したパワースペクトルを示す。
【0024】上記のパワースペクトル波形において、凹
凸波形の長波長領域のピーク波長、すなわち第2のピー
ク波形のピーク値に対応した波長λpを求め、さらに
表面の粗さを表示する値として、第2のピーク波形の
積分値(斜線部分の面積)を求め、それをパワースペク
トル積分値Pとする。上記の波長λpとパワースペクト
ル積分値Pとは、後記のごとく膜厚と関係があり、これ
らの値に基づいて、後記の平滑化理論式を用いて膜厚を
算出することが出来る。また、上記の波長λpは、後記
のごとく微粒化度と相関性があり、それによって微粒化
度を測定することが出来る。また、この波長λpのみか
ら膜厚を算出することもできる。図2に示した実施の形
態においては、画像処理部3、波長演算部4および表面
粗さ演算部12とで上記のごとき画像処理とパワースペ
クトルの演算を行なっている。
【0025】次に、塗装条件入力部5から塗装前の塗料
のN.Vと塗料の種類と塗装ブース内の温度を入力す
る。そして微粒化演算部8では、上記塗装前の塗料の
N.Vと塗料の種類の情報および波長演算部4からのピ
ーク波長λpの値に応じて微粒化度を演算する。
【0026】次に、微粒化演算部8における微粒化度計
測の原理について説明する。まず、図5に基づいて、塗
装時における塗装面への塗料粒子の付着と塗装膜面の形
成過程について説明する。図5(a)に示すように、塗
装ガンから塗装面へ向けて微粒化した塗料粒子を吹き付
ける。この際、塗料粒子の平均粒子径は、基本的には、
塗装条件である塗料速度(下記、、)と空気速度
(下記)と塗料物性(下記)によって決まる。ただ
し、上記の〜は次の通りである。 塗装ガンの吐出量 塗装ガンのベル回転数 印加電圧 エア圧 塗料物性(粘度、表面張力、密度) なお、ベル回転数とは塗料を微粒化する回転体の回転数
であり、印加電圧とは塗料粒子に静電気を付加するため
に印加する静電圧(50kV程度)であり、エア圧と
は、塗料粒子が周辺に飛散しないように周囲に気流の壁
を作るための気圧である。上記のようにして吹き付けら
れた塗料粒子は、塗装面に衝突し、つぶれた形で付着す
る。
【0027】次に、図5(b)に示すように、塗膜形成
の初期には、付着した小さな塗料粒子が大きな塗料粒子
に結合され、より大きな粒子を形成する。そして、さら
に粒子の結合が進み、表面張力と境界張力とによって初
期の塗膜面が形成される。上記のように粒子の付着と結
合によって塗膜が形成されていくため、初期の塗膜表面
状況は大きな塗装粒子の粒子径r、粒子衝突速度vx、
塗料物性(表面張力γ、粘度η)等に依存する。例え
ば、上塗り塗料の場合、初期塗膜表面の凹凸の高さは数
〜数十μm程度であり、また、凹凸の波長分布は3〜6
mm程度の長波長領域が支配的であることが確認され
た。そして上記の長波長領域のピーク波長λpと大きな
塗料粒子の粒子径rとには相関性があることが実験によ
って確認された。
【0028】次に、図5(c)に示すように、上記の初
期塗膜形成後の塗膜表面は、レベリング力(表面張力γ
と重力gとの合成力)によって次第に平坦化して行く。
この平坦化速度は上記のレベリング力と塗料物性(表面
張力γ、粘度η)および膜厚hによって決定される。例
えば、上塗り塗料の場合、平坦化速度は時定数で数十秒
〜数百秒であることが確認されている。
【0029】次に、塗料粒子径と塗膜面の凹凸との関係
について図6〜図9に基づいて詳細に説明する。図6に
示すように、塗装ガンから吹き付けられた塗料粒子の粒
子径をrとし、それが付着した付着粒子の幅をλ/2、
厚さ(ピーク値)をhとすれば、波長λの凹凸を持つ塗
膜面が形成される。なお、上記付着粒子の幅λ/2と波
長λとの関係は、実験的に求められたものであり、ほぼ
この程度の値になることが確認されている。上記の場合
における塗料粒子径rは、下記(数1)式で示される。
【0030】
【数1】
【0031】上記の理論式をグラフに示すと、図7の破
線で示すごとき曲線となる。しかし、実際には、付着粒
子の結合があるため、図7の実線で示すような特性とな
る。この実験で求めた特性を数式で示すと、下記(数
2)式のようになる。
【0032】
【数2】
【0033】ただし ks:補正係数 λp:塗膜面の凹凸のピーク波長(前記長波長領域のピ
ーク波長に相当) a、β:定数 上記のごとき実験で求めた凹凸のピーク波長λpと塗料
粒子径rとの関係を、付着粒子の結合を考慮して解析す
る。まず、図8に示すように、付着粒子径Rは、塗布時
間が大きくなるに従って順次大きくなる。この関係を数
式で示すと下記(数3)式のようになる。
【0034】
【数3】
【0035】ただし R0:初期粒子径 b,c:定数 なお、図8において、塗布時間とは1ヶ所に塗布する持
続時間であり、初期粒子径とは付着前の塗料粒子径であ
り、付着粒子径とは最初に付着したときの粒子径であ
る。この付着粒子径Rは塗布時間が長くなるに従って順
次塗布される粒子が結合するので次第に大きくなる。
【0036】また、図9は、塗布時間と塗膜面の凹凸波
長との関係を、実測値(破線)と周波数解析によるパワ
ースペクトルから求めた結果とについて比較した特性図
である。図9から判るように、パワースペクトルから求
めた値は実測値によく一致している。したがってパワー
スペクトルから求めた凹凸波長(前記長波長のピーク波
長λp)を用いて付着粒子径Rを求めることが出来る。
さらに、自動塗装機においては、塗布時間は一定である
から、下記(数4)式によって塗料粒子径rも求めるこ
とが出来る。 2r(t)=λp(t) …(数4) 上記のごとき考察により、基本的には前記(数2)式に
より、パワースペクトルから求めた凹凸の長波長領域の
ピーク波長λpを用いて、塗料粒子径rを求めることが
出来る。具体的には、実験で前記図7の特性を求め、そ
れから(数2)式の各係数ks、a、βを予め求めてお
けば、撮像画像から求めたピーク波長λpを用いて塗料
粒子径rを求めることが出来る。なお、塗料粒子の粒子
径rは塗料の微粒化の程度に対応しているから、塗料粒
子の粒子径rをそのまま用いて微粒化度を表してもよい
し、或いはrの逆数、もしくは基準値との百分率などを
用いて微粒化度を表すことも出来る。
【0037】次に、第1の塗着N.V演算部9における
塗膜面の塗着N.Vの算出原理と、シンナー蒸発量入力
部6およびシンナー蒸発量補正部7におけるシンナー蒸
発量演算について説明する。図10は、塗装ガンから噴
射された塗料粒子が被塗装面に付着するまでの状況を示
す図である。図10に示すように、塗料粒子からは飛行
中および付着後に溶剤(揮発性成分)が蒸発し、塗膜が
完全に乾燥した状態では非揮発性成分のみが残ることに
なる。なお、塗料が塗装ガンから噴射された時点から被
塗装体に付着するまでの時間は、塗装ガンと被塗装体と
の距離によって変わるが、一般に、0.1秒〜0.5秒程
度である。
【0038】上記のごとき状況において、付着直後の塗
着N.VをX1とすれば、X1は下記(数5)式で与えら
れる。 X1=M1×X0/(M1−V×S1×t) …(数5) ただし、M1:飛行中の塗料粒子の質量 X0:塗布前の塗料のN.V(塗料濃度) V:シンナー蒸発速度(単位面積当たりの値) S1:飛行中の塗料粒子表面積 t:塗料噴射時点からの経過時間(塗料粒子の飛行時
間) また、上記のシンナー蒸発速度Vは、下記(数6)式で
与えられる。 V=V(C,T,X0) …(数6) ただし、C:シンナー種混合比 T:温度(塗料温度または塗装ブースの雰囲気温度) なお、シンナー種混合比Cとは、季節による温度変化に
対応するため、低沸点シンナーと高沸点シンナーとの混
合比を変えて季節に応じた沸点に調合する場合の混合比
を意味する。
【0039】また、塗料粒子の質量M1は下記(数7)
式で与えられる。 M1=(1/6)×πR3×ρ0 …(数7) ただし、R:塗装粒子径 ρ0:塗料密度 また、塗料粒子表面積S1は下記(数8)式で与えられ
る。 S1=πR2 …(数8) したがって、上記の(数7)式、(数8)式を(数5)
式に代入することにより、塗着N.V=X1(%)を表す
数式として下記(数9)式が得られる。
【0040】
【数9】
【0041】単位面積当たりのシンナー蒸発量は、蒸発
速度V×時間tで示される。したがって基準温度におけ
るシンナー蒸発量を上記(数5)式と(数9)式から求
めると、下記(数10)式に示すようになる。 Vc×tc=(1/6)×R×ρ0(Xc−X0)/Xc …(数10) ただし、Vc:基準温度における蒸発速度 tc:粒子飛行時間(噴射時点から付着時点までの時
間) Xc:基準温度における付着直後の塗着N.V したがって基準塗装条件における粒子飛行時間tcは下
記(数11)式で示される。
【0042】 tc=(1/6)×R×ρ0(Xc−X0)/Xc・Vc …(数11) また、任意の温度T、膜厚h、シンナー種混合比Cにお
けるシンナー蒸発速度Vは下記(数12)式で示され
る。 V=Vc+k1(T−T0)+k2(h−h0)+k3(C−C0)…(数12) ただし、 Vc:基準温度における蒸発速度 T:計測時の温度 T0:基準温度 h:計測時の膜厚 h0:膜厚の基準値 C:計測時の塗料シンナー種混合比 C0:塗料シンナー種混合比の基準値 k1、k2、k3:定数 なお、上記CおよびC0の塗料シンナー種混合比とは、
季節に応じてシンナーの沸点を変える場合に、低沸点シ
ンナーと高沸点シンナーとの混合比を変えることによ
り、夏用(高沸点)、冬用(低沸点)、春秋用(中間)
のように季節に応じた沸点に調合したときの混合比を意
味する。したがってシンナー種とは上記の夏用、冬用、
春秋用のような沸点に違いによるシンナーの種類を意味
する。
【0043】上記(数11)式、(数12)式に示すよ
うに、粒子飛行時間tcおよびシンナー蒸発速度Vは、
塗装機の塗装条件R、Xc、X0等によって較正される。
また、上記(数9)式に示すように、塗装条件が一定で
あれば、付着後の塗着N.Vは、シンナー蒸発量(蒸発
速度V×時間t)と塗料粒子径Rと塗料密度ρ0から演
算で求めることが出来る。そして基準温度T0における
シンナー蒸発速度Vcは上記(数10)式に基づいて予
め実験で求めることが出来、任意の温度T、膜厚h、シ
ンナー種Cにおけるシンナー蒸発速度Vは上記(数1
2)式で求めることが出来る。
【0044】前記図2の実施の形態においては、上記の
ようにして予め求めた基準温度T0におけるシンナー蒸
発速度Vcまたはシンナー蒸発量(Vc×tc)をシンナ
ー蒸発量入力部7から入力する。そしてシンナー蒸発量
補正部7においては、塗装条件入力部5から入力した塗
装ブース内の温度(実測値:上記のTに相当)およびシ
ンナー種(上記のCに相当)と膜厚演算部13から入力
した塗装膜厚(上記のhに相当)とを用いて基準のシン
ナー蒸発量を補正して、その塗装条件におけるシンナー
蒸発量を演算し、その値を用いて付着直後の塗着N.V
を演算する。なお、塗料粒子径Rは微粒化演算部8で求
めた値を用い、塗料密度ρ0は塗装条件入力部5から入
力した値を用いる。
【0045】次に、第2の塗着N.V演算部14におけ
る演算について説明する。第2の塗着N.V演算部14
においては、塗料を塗布してから任意の所定時間後(例
えば数分後)における塗着N.Vを演算するものであ
る。また上記の演算を行なうために必要な塗料密度演算
部10、測定時間入力部11および膜厚演算部13につ
いても説明する。まず、塗料密度演算部10は、第1の
塗着N.V演算部9で求めた塗着N.Vから塗料密度を演
算する(詳細後述)。また、計測時間入力部11は、塗
料を塗布した時点から任意の計測時点(塗装後所望の時
間が経過した時点、例えば2分〜9分後)までの時間
(以下、計測時間と記す)を入力する。また、膜厚演算
部13は、波長演算部4で求めたピーク波長λpと表面
粗さ演算部12で求めた粗さ度(およびその時間変化
量)に応じて塗装膜厚を演算する(詳細後述)。そして
第2の塗着N.V演算部14は、膜厚演算部13で求め
た膜厚と塗料密度演算部10で求めた塗料密度と計測時
間入力部11から入力した計測時間とに基づいて、上記
の計測時間入力部11で設定した塗装時点から任意の時
間後の塗着N.Vを演算する。
【0046】以下、第2の塗着N.V演算部14で行な
う塗装時点から任意の時間後の塗着N.V演算とについ
て説明する。付着直後(塗料噴射時点から塗料粒子飛行
時間t1経過後)の塗着N.VをX1、付着後、時間t2
経過した時点の塗着N.VをX2とすれば、X1は下記
(数13)式、X2は下記(数14)式または(数1
5)式で与えられる。 X1=M1×X0/(M1−S1×V×t1) …(数13) X2=M1×X0/(M1−S1×V×t1−S2×V'×t2)…(数14) or X2:M2×X1/(M2−S2×V'×t2) …(数15) ただし、M1:飛行中の塗料粒子の質量 M2:付着後の塗料粒子の質量 X0:塗布前の塗料のN.V(塗料濃度) S1:飛行中の塗料粒子表面積 S2:付着後の塗料粒子表面積 V:飛行中の単位面積当たりのシンナー蒸発速度 V':付着後の単位面積当たりのシンナー蒸発速度 なお、(数13)式における「S1×V×t1」は塗装粒
子飛行中のシンナー蒸発量に相当し、(数14)式の
「S2×V'×t2」は、付着後のシンナー蒸発量に相当
する。
【0047】また、付着後の塗料粒子の質量M2は下記
(数16)式で与えられる。 M2=S2×h×ρ2 …(数16) ただし、h:塗膜の膜厚 ρ2:付着後の塗料密度 また、上記の付着後の塗料粒子表面積S2は下記(数1
7)式で与えられる。
【0048】S2=k4×S1 …(数17) ただし、k4=f(h)であり、k4は膜厚hの関数であ
る。上記の(数16)式および(数17)式を、(数1
4)式、(数15)式に代入すると、付着後、時間t2
が経過した時点の塗着N.Vを示すX2(含有率)の数式
として下記(数18)式と(数19)式が得られる。
【0049】
【数18】
【0050】また、任意の温度T、膜厚h、シンナー種
混合比Cにおけるシンナー蒸発速度V'は下記(数2
0)式で与えられる。 V'=Vc+k1(T−T0)+k2(h−h0)+k3(C−C0)…(数20) ただし、各符号の意味は前記(数12)式と同じ 上記(数19)式を用いる場合には、付着直後の塗着
N.Vを示すX1と、付着後の塗料密度ρ2と、塗膜の膜
厚hと、塗装時点から計測時点までの計測時間t2と、
計測時の温度に対応したシンナー蒸発速度Vが必要があ
るが、X1は前記のように(数13)式を用いて求めら
れるし、膜厚hは膜厚演算部13で演算することが出来
る。また、計測時間t2は計測時間入力部11から入力
すればよい。
【0051】また、付着後の塗料密度ρ2(なお、ρ2
ρ1)は、塗料密度演算部10で求めた値を用いる。ま
た、シンナー蒸発速度V'は上記(数20)式によって
求められる。
【0052】次に、塗料密度演算部10で行なう塗料密
度演算について説明する。付着直後の塗着N.V(前記
のX1)と塗料密度ρとは、図11に示すような関係が
ある。したがって塗料密度演算部10においては、予め
図11の特性を記憶しておき、第1の塗着N.V演算部
9で求めた付着直後の塗着N.Vに応じて、そのときの
塗料密度ρを読み出して出力するように構成する。な
お、図11の関係は塗料の種類(上塗り、下塗り等)に
よって異なるので、それぞれの塗料に応じた特性を記憶
しておき、塗装条件入力部5から入力した塗料の種類の
情報に応じて対応する特性を用いる。上記のようにし
て、塗装後所定時間経過後における温度補正を施された
塗着N.Vを算出することが出来、これを用いて塗装品
質を判定することが出来る。
【0053】次に、表面粗さ演算部12と膜厚演算部1
3における表面粗さ度と膜厚の演算について説明する。
図12は、塗装後の塗膜の断面図である。塗装直後に
は、(a)に示すように、塗装表面は初期の付着粒子の
結合によって凹凸状態になっている。そして時間の経過
と共に、(b)に示すように、レベリング力によって次
第に平滑化され、最終的には、(c)に示すように、平
滑化状態となる。本実施の形態においては、このような
平滑化現象に着目し、ウエット状態における塗装表面の
凹凸状態を測定し、それによって平滑化後、或いは乾燥
後の塗装膜厚を算出するものである。
【0054】上記のごときウエット状態における凹凸状
態を測定するには、光干渉式表面粗さ計など種々の方法
(例えば「機械工学便欄 日本機械学会1989年9月
30日 新版3刷発行 B2編 207頁〜208
頁」に記載)があるが、ここでは撮像手段(例えばCC
Dカメラ)で塗装表面を撮像し、その情報を画像処理す
る方法について説明する。
【0055】まず、パワースペクトル積分値Pによる平
滑化特性を説明すると、表面の凹凸(ピーク・ツウ・ピ
ーク値)の面積平均値に相当する表面粗さRaとパワー
スペクトル積分値Pとは、図13に示すような関係にあ
り、下記(数21)式、(数22)式に示す関係があ
る。 P=Q十k×√Ra …(数21) Ra={(P−Q)/k}2 …(数22) ただし、上式において、Qは粗さ補正値、kは粗さ変換
係数である。
【0056】パワースペクトル解析値による平滑化理論
式の導出では、まず、ウエット塗膜平滑化理論式(近似
式)として、表面粗さ度Raは下記(数23)式で表さ
れる。 Ra=Ra0・exp(−t/τ) …
(数23) ただし、Ra0はRaの初期値(時点0すなわち塗装直後
の値)、tは塗装後の経過時間である。また、τは粘性
流体の基本式から導出された時定数であり、後記(数2
8)式に示すごときものである。
【0057】上記(数22)式を(数23)式に代入す
ると、下記(数24)式が得られる。 {(P−Q)/k}2={(P0−Q0)/k}2 exp(−t/τ)…(数24) ただし、P0はPの初期値(時点0における値)であ
り、Q0はQの初期値である。上記(数24)式におい
て、P、P0をそれぞれの補正値Q、Q0を含んだ値とし
て、(P0−Q0)→P0、(P−Q)→Pと示せば、
(数24)式は下記(数25)式のように表せる。 P=P0・exp(−t/2τ) …(数25) また、時定数τは下記(数26)式で示される。 τ=3ηλ4/16π4γh3 …(数26) ただし、ηは塗料の粘度、λは前記の長波長領域のピー
ク波長、γは塗膜の表面張力、hはウエット状態におけ
る膜厚(撮像部分の平均値)である。以上から、パワー
スペクトル解析値による塗装膜厚hは、下記(数27)
式で示すようになる。
【0058】
【数27】
【0059】ただし、P1は時点t1におけるパワースペ
クトル積分値Pの値、P2は時点t2(ただし−t1
2)におけるPの値である。なお、τ'iは下記(数2
8)式で示される。 τ'i=3η(ti)・λ4/16π4γ …(数28) ただし、i=1,2であり、η(ti)は塗料の粘度が塗
装後の経過時間の関数であることを示す。すなわち、塗
装条件入力部5から入力するのは、塗装前における塗料
の粘度ηであるが、塗装後の塗着粘度は、塗装後の経過
時間に応じて変化する値η(ti)となる。この値は、塗
料組成(塗料内の揮発成分の割合等)や風速などによっ
て定まる値である。上記(数27)式から判るように、
塗料の粘度η、塗膜の表面張力γ、凹凸波形の長波長領
域のピーク波長λ、塗装後の2つの時点t1、t2におけ
るパワースペクトル積分値Pの値から、ウエット状態に
おける膜厚hを求めることが出来る。 上記の各数値の
うち、塗料の粘度ηと塗膜の表面張力γは、塗料の特性
によって定まる値であるから、予め判っている値を入力
し、長波長領域のピーク波長λとパワースペクトル積分
値Pの値は、前記の画像情報を処理した値を用いる。
【0060】図14は、上記(数27)式を用いた平滑
化理論値と測定値を比較したウエット平滑化動特性(パ
ワースペクトル積分値P)を示す特性図である。図14
において、横軸は塗装後の経過時間、縦軸はパワースペ
クトル積分値Pである。上記の測定は、塗布直後の画像
を撮像部2で撮影し、パワースペクトル解析を行なった
ものである。図14から、測定値は理論値とほぼ一致し
た平滑化特性となっていることがわかる。また、表1
は、膜厚60μmと54μmの2つのサンプルに対し
て、上記(数27)式の推定式を用いて膜厚hを計測し
た結果を示す表である。表1に示すように、数μmの精
度で計測可能であることが判る。
【0061】
【表1】
【0062】図2の実施の形態においては、撮像部2、
画像処理部3、波長演算部4、表面粗さ演算部12、膜
厚演算部13において、上記のごとき処理を行ない、撮
像個所の膜厚hを求める。
【0063】また、前記(数27)式においては、塗装
後の2つの時点t1とt2における2つの値P1、P2を用
い、粗さ情報の時間変化量を用いて演算している。その
ため、塗装後に2つの時点で同一個所を撮像する必要が
ある。このためには、塗装ライン上の車体の移動に合わ
せて撮像部2を移動させる必要があるので、装置が複雑
になる。それを避けるためには、次のような方法があ
る。すなわち、被塗装体である車体の他に、テストピー
スを用意して被塗装体と同じ条件で塗装を行ない、時点
1(例えばt1=10秒、t1<t2)における値P
1は、テストピースの画像情報を処理して求めた値を用
いるようにする。このようにすれば、撮像部2は時点t
2(例えば塗装1〜2分後)において1回のみの撮像を
行なえばよい。
【0064】なお、本実施の形態においては、基本的な
測定を塗装面の撮像と画像処理によって行ない、塗装表
面の粗さの情報としてパワースペクトル積分値Pと長波
長領域のピーク波長λとを用いて演算を行なう場合を例
示した。しかし、塗装表面の粗さ情報としては、例え
ば、本出願人の先行出願(特願平4−306966号)
に記載のように、光干渉式表面粗さ計を用い、凹凸のピ
ーク・ツウ・ピークと凹凸の波長λに基づいて演算する
方法、或いは上記光干渉式表面粗さ計の測定結果から表
面の平均粗さ度Raと凹凸の平均波長λaとを用いて演算
する方法などがあり、いずれを用いてもよい。
【0065】また、塗膜面の凹凸波長(長波長領域のピ
ーク波長λp)のみを用いて膜厚を演算することもでき
る。以下詳細に説明する。前記の波長演算部4で求めた
パワースペクトル波形(図4)において、凹凸波形の長
波長領域のピーク波長、すなわち第2のピーク波形の
ピーク値に対応した波長λpは、後記のごとく塗装の膜
厚と相関性があるので、上記の波長λpを求めることに
よって塗装膜厚を計測することが出来る。
【0066】前記図5で説明したような塗料粒子の付着
メカニズムの基礎実験、具体的には塗料の吹き付け時間
を制御することによって膜厚を変化させ、そのときの塗
装膜面の波長分布を測定した実験の結果によれば、被塗
装面への付着粒子は、粒子結合によって粒子径が前記図
8に示したように成長することが確認された。そして前
記図5〜図9で説明したごとく、パワースペクトルから
求めた凹凸の長波長領域のピーク波長λpを用いて、塗
料粒子径rを求めることが出来る。具体的には、実験で
前記図7の特性を求め、それから(数2)式の各係数k
s、aを予め求めておけば、撮像画像から求めたピーク
波長λpを用いて塗料粒子径rを求めることが出来る。
【0067】そして、図8に示すように、付着粒子径R
は塗布時間すなわち膜厚が大きくなるに従って順次大き
くなっている。この関係を、さらに塗布時間ではなく膜
厚値を実測しながら、膜厚と付着粒子径の関係、すなわ
ち膜厚と塗膜面の凹凸の波長との関係を解析すると、膜
厚と波長(前記ピーク波長λp)との関係は、図15に
示すようになる。すなわち、膜厚が大きくなるとピーク
波長λpも大きくなり、下記(数29)式、(数30)
式に示したごとき関係が実験的に得られた。
【0068】
【数29】
【0069】h=k'×λ−k" …(数30) ただし、k、k'、k"、α:塗料に応じて定まる定数 上記の数式および図の特性から判るように、付着粒子径
(すなわち塗装面の凹凸の波長)は、膜厚が厚いほど粒
子の結合数が多くなるため、大きくなる。すなわち、塗
膜面の成長は塗装条件である膜厚値に依存することを示
しており、膜厚値の推定を行なう場合には、上記(数2
9)式または(数30)式を用いて、塗膜面の凹凸の波
長から膜厚値の算出を行なうことが可能である。したが
って塗膜表面の凹凸波形の長波長領域のピーク波長λp
を求めることにより、ウエット状態の膜厚hを算出する
ことが出来る。
【0070】図2の実施の形態に適用する場合には、波
長演算部4で、入力した画像処理データから塗装表面の
凹凸波形のパワースペクトルPSを求め、前記の長波長
領域のピーク波長λpを算出する。そして膜厚演算部1
3では、予め実験で求めた前記図15の特性(数29式
または数30式)を用いて上記ピーク波長λpから塗装
の膜厚値を演算するように構成する。この場合には表面
粗さ演算部12を省略することが出来る。なお、上記の
演算において、図15の特性は、正確には塗料の種類に
応じて異なるので、塗装条件入力部5から入力した中塗
り、上塗りベース、上塗りクリア等の塗料の種類に応じ
て(数29)式、(数30)式の係数値を変更する。
【0071】次に、図16は、本発明の第2の実施の形
態を示すブロック図である。一般に、自動車の車体のよ
うな大型の被塗装体の場合には、吹き付け面積が大きい
ため、塗装部位によっては塗装条件が必ずしも均一にな
らない場合がある。したがって精度のよい計測を行なう
ためには、塗装表面の複数個所を撮像し、それらの各部
位におけるピーク波長λpの平均値を用いて微粒化度演
算を行なうことが望ましい。図16の実施の形態におい
ては、上記の理由により、撮像部2では塗装面の複数個
所の撮像を行なってその画像情報を順次演算処理し、波
長演算部4で求められた複数のピーク波長λpを平均処
理部18で平均化する。そして微粒化演算部8では、上
記の平均化したピーク波長λp'の値に応じて微粒化度を
演算するように構成している。
【0072】また、図16の実施の形態においては、1
個の撮像部2を用いて複数個所の撮像を順次行なうの
で、計測時間が長くなると共に計測手順が複雑になる場
合がある。したがって複数の撮像部を設け、同時に複数
個所の画像情報を入力するように構成すれば、計測時間
を短縮できると共に計測手順を簡略化することが出来
る。なお、撮像部の数は、被塗装面の大きさ等の応じて
適当な個数を設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能ブロックを示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図3】撮像部2の一例を示す断面図。
【図4】パワースペクトルPSの周波数特性図。
【図5】塗装時における塗装面への塗料粒子の付着と塗
装膜面の形成過程を示す図。
【図6】飛行中の塗料粒子と付着粒子との関係を示す
図。
【図7】塗料粒子の平均径と波長との関係を示す特性
図。
【図8】塗料の粒子径と塗布時間との関係を示す特性
図。
【図9】波長λと塗布時間との関係を示す特性図。
【図10】塗装時における塗料粒子からの溶剤蒸発状況
を示す図。
【図11】塗着密度と塗着N.Vとの関係を示す特性
図。
【図12】塗装後の塗膜の状態を示す断面図。
【図13】表面の凹凸の面積平均値に相当する表面粗さ
aとパワースペクトル積分値Pと関係の関係を示す特
性図。
【図14】平滑化理論値と測定値を比較したウエット平
滑化動特性を示す特性図。
【図15】波長とウエット膜厚との関係を示す特性図。
【図16】本発明の第2の実施の形態を示すブロック
図。
【符号の説明】
1…被塗装体(ボディ) 6…シンナー蒸発
量入力部 2…撮像部 7…シンナー蒸発
量補正部 3…画像処理部 8…微粒化演算部 4…波長演算部 9…第1の塗着
N.V演算部 5…塗装条件入力部 10…塗料密度演算
部 11…計測時間入力部 15…表示器 12…表面粗さ演算部 16…塗装条件制
御システム 13…膜厚演算部 17…塗装ガン 14…第2の塗着N.V演算部 18…平均処理部 100…塗装条件入力手段 105…第1の塗
着N.V演算手段 101…微粒化度入力手段 106…塗料密度
演算手段 102…シンナー蒸発量入力手段 107…計測時間
入力手段 103…膜厚入力手段 108…第2の塗
着N.V演算手段 104…シンナー蒸発量補正手段

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも塗装前の塗料の非揮発性成分情
    報と塗料の種類情報と塗装ブース内の温度情報とを含む
    塗装条件を入力する塗装条件入力手段と、 塗膜面における塗料の微粒化度を入力する微粒化度入力
    手段と、 塗料の単位面積当りのシンナー蒸発量を入力するシンナ
    ー蒸発量入力手段と、 上記塗料の非揮発性成分と上記微粒化度と上記シンナー
    蒸発量とに基づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成
    分を演算する第1の塗着非揮発性成分演算手段と、 上記第1の塗着非揮発性成分演算手段で算出した塗布直
    後の塗着非揮発性成分と上記塗装条件入力手段から入力
    した塗料の種類情報とに基づいて、塗布直後の塗膜面の
    塗料密度を算出する塗料密度演算手段と、 塗料塗布時点から任意の計測時点までの時間を入力する
    計測時間入力手段と、 塗膜面の膜厚を入力する膜厚入力手段と、 上記塗料密度と上記計測時間と上記膜厚と上記シンナー
    蒸発量とに基づいて、上記の設定した計測時点における
    塗膜面の塗着非揮発性成分を演算する第2の塗着非揮発
    性成分演算手段と、を備えた塗装品質解析装置であっ
    て、 上記塗装条件入力手段から与えられる塗装ブース内の温
    度情報および塗料のシンナー種情報と上記膜厚入力手段
    から与えられる膜厚情報とに基づいて上記シンナー蒸発
    量を補正するシンナー蒸発量補正手段を備え、該シンナ
    ー蒸発量補正手段で補正したシンナー蒸発量を上記第1
    の塗着非揮発性成分演算手段と上記第2の塗着非揮発性
    成分演算手段とにおけるシンナー蒸発量として演算を行
    なうことを特徴とする塗装品質解析装置。
  2. 【請求項2】上記第1の塗着非揮発性成分演算手段は、
    上記の入力した塗料の非揮発性成分と上記補正後のシン
    ナー蒸発量と上記の入力した微粒化度から求めた塗料粒
    子の表面積との関係に基づいて塗布直後の塗膜面の塗着
    非揮発性成分を演算するものである、ことを特徴とする
    請求項1に記載の塗装品質解析装置。
  3. 【請求項3】上記シンナー蒸発量入力手段は、予め実験
    によって測定した塗装前の塗料の非揮発性成分と塗装直
    後の塗膜面の塗着非揮発性成分と塗料の微粒化度とに基
    づいて単位面積当りのシンナー蒸発量を算出して入力す
    るものである、ことを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の塗装品質解析装置。
  4. 【請求項4】上記微粒化度入力手段は、 塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手
    段と、 上記撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理手
    段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の凹凸波形の波長分布を算出する波長演算
    手段と、 上記波長演算手段で求めた波長分布に基づいて微粒化度
    を演算する微粒化演算手段と、 を備え、上記の演算した微粒化度を入力するものであ
    る、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに
    記載の塗装品質解析装置。
  5. 【請求項5】上記波長演算手段は、塗装表面の凹凸波形
    のパワースペクトルにおける長波長領域のピーク波長を
    求めるものであり、 上記微粒化演算手段は、上記長波長領域のピーク波長の
    値と予め実験で求めた塗料粒子径との関係から、塗料粒
    子径を算出し、それを微粒化度とするものである、こと
    を特徴とする請求項4に記載の塗装品質解析装置。
  6. 【請求項6】上記撮像手段では、塗装表面の複数個所を
    撮像し、後続の各手段ではそれぞれの個所について処理
    を行ない、上記波長演算手段ではそれぞれの個所におけ
    る波長値を順次算出し、 かつ、上記複数個の波長値を平均処理する波長平均処理
    手段を備え、 上記微粒化演算手段では、上記波長平均処理手段の演算
    結果に基づいて微粒化度を算出するものである、ことを
    特徴とする請求項4または請求項5に記載の塗装品質解
    析装置。
  7. 【請求項7】塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を、
    塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する複数の
    撮像手段を備え、それらの撮像手段で撮像した複数個所
    の画像情報を順次処理することを特徴とする請求項6に
    記載の塗装品質解析装置。
  8. 【請求項8】上記膜厚入力手段は、 塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手
    段と、 上記撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理手
    段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の凹凸波形の波長分布を算出する波長演算
    手段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の粗さを算出する表面粗さ算出手段と、 少なくとも塗料の粘度を含む塗装条件を入力する塗装条
    件入力手段と、 上記表面粗さ算出手段で算出された粗さ度と、該粗さ度
    の時間変化量と、上記波長分布演算手段で算出された波
    長分布と、上記塗装条件入力手段から入力された塗装条
    件とに基づいて塗装膜厚を算出する膜厚演算手段と、 を備え、上記の算出した膜厚を入力するものである、こ
    とを特徴とする請求項1に記載の塗装品質解析装置。
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