JPH09213977A - 半導体薄膜の製造方法 - Google Patents
半導体薄膜の製造方法Info
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Abstract
膜及びCu(In,Ga)(Se,S)2膜の膜の深さ方向のV
Ia族元素SeとSの分布を制御し、禁制帯幅に変化を
与える製造方法を提供し、さらにこの方法で形成したC
uIn(Se,S)2膜及びCu(In,Ga)(Se,S)2膜
を用いることにより、高いエネルギー変換効率が得られ
る太陽電池を提供する。 【解決手段】裏面電極となるMo膜等の金属膜を被覆し
た基体(1)上に形成したCuInSe2膜またはCu(I
n,Ga)Se2膜(4)の表面上にIn、Sの原子または分
子またはIn−Sの化合物分子(5)を供給し反応させる
ことにより、S濃度が膜表面で高く膜の深さ方向に徐々
に減少し、逆にSe濃度が膜表面で低く膜の深さ方向に
徐々に増加する分布を有するCuIn(Se,S)2膜及び
Cu(In,Ga)(Se,S)2膜を製造する。
Description
方法に関するものであり、特にエネルギー変換効率の高
い太陽電池の光吸収層に好適な半導体薄膜の製造方法に
関する。
合物半導体薄膜(カルコパイライト構造半導体薄膜)で
あるCuInSe2 を光吸収層に用いた薄膜太陽電池が
高いエネルギー変換効率を示し、光照射等による効率の
劣化がないという利点を有していることが報告されてい
る。しかし、CuInSe2 の禁制帯幅は1.04eVで
あり、太陽光を最も効率良くエネルギー変換できる禁制
帯幅である約1.45eVより小さい。そこで、Inと同
族のIIIa族元素であるGaまたはSeと同族のVIa族
元素であるSを固溶して禁制帯幅を広げたCu(In,G
a)Se2 、CuIn(Se,S)2 またはCu(In,G
a)(Se,S)2 膜が研究開発されている。さらに、より
高いエネルギー変換効率を得るためにInとGaの組成
比が膜厚方向で変化する、つまり禁制帯幅が膜厚方向で
変化するCu(In,Ga)Se2 膜の作製例が1997
年に出版されたプログレス・イン・フォトボルタイクス
という刊行物の525〜530頁にミギュール・エ・コ
ントレラス等によって「16.4% トータルエリア
コンバージョン エッフィシェンシ シンフィルム ポ
リクリスタライン MgF2/ZnO/CdS/Cu(In,
Ga)Se2/Mo ソーラ セル」("16.4% Total-area
Conversion Efficiency Thin-film Polycrystalline M
gF2/ZnO/CdS/Cu(In,Ga)Se2/Mo Solar Cell", Miguel A
Contreras et al., Progress In Photovoltaics, pp525
-530 (1997))という題で報告されている。また、In
とGaの組成比だけでなくSとSeの組成比も変化する
Cu(In,Ga)(Se,S)2 膜の作製例も1993年5月10
日から14日までアメリカ ルイスビルで開催された23回
目のアイトリプルイ主催のフォトボルタイック スペシ
ャリスト コンファレンスで「I-III-VI2 マルチナリ
ー ソーラ セルズ ベースド オン CuInS
e2」という題でディ・ターラント等("I-III-VI2 Mult
inary Solar Cells Based on CuInSe2", D. Tarrant et
al.,23rd IEEE Photovoltaic Specialists Conferenc
e, Louisville USA, May 10-14 1993.)及び1994年4月1
1日から15日までオランダ アムステルダムで開催され
た12回目のヨーロピアン フォトボルタイック フォト
ボルタイック ソーラ エナジー コンファレンスで
「ストラテジ フォア ザ デベロップメント オブ
マルチナリー カルコパイライト ベースド シン フ
ィルム ソーラ セルズ」という題でエッチ・ダブル・
ショック("Strategies For The Development of Multi
nary Chalcopyraite Based Thin Film Solar Cells",
H. W. Schock, 12th European Photovoltaic Solar Ene
rgy Conference, Amsterdam, The Netherlands, April
11-151994.)によって報告されている。
禁制帯幅を膜厚方向(光の入射方向)にpn接合部から
裏面電極へと徐々に拡大するように変化させると図1
(a)に示すように内部電界が生じる。この内部電界に
より光励起されたキャリアがpn接合領域へ移動し、外
部に電流として取り出される。このとき、キャリアは主
に電界により移動するため、通常の禁制帯幅が一定の光
吸収層の場合での拡散により移動する時よりも再結合に
より消滅する確率が減少する。従って、光電流は増加す
る。さらに、禁制帯幅が一定の場合は裏面電極方向にも
キャリアが移動し、電極を介して再結合し消滅するが、
内部電界が生じている場合は裏面電極方向にはキャリア
は移動しない。このことからも光電流が増加する効果が
ある。しかし、太陽電池の開放端電圧は禁制帯幅の大き
さにほぼ比例することから、電圧の増加は得られない。
これに対し、図1(b)のようにpn接合領域で禁制帯
幅を逆に増加させる構造にすると、開放端電圧の増加を
得ることもできる。従って、図1(b)のような禁制帯
幅が変化した光吸収層を用いると、太陽電池の開放端電
圧と短絡光電流がともに増加し、変換効率の向上を図る
ことができる。図1(b)に示すような構造を実現でき
る材料として、組成比により禁制帯幅を変化させること
ができるCu(In,Ga)(Se,S)2 系カルコパイライ
ト型構造半導体薄膜が適している。図1(b)の構造
は、組成分布の結果から前述のコントレラス等の「16.4
% トータルエリア コンバージョン エッフィシェン
シ シンフィルム ポリクリスタライン MgF2/Zn
O/CdS/Cu(In,Ga)Se2/Mo ソーラ セ
ル」で報告されているCu(In,Ga)Se2膜でほぼ実
現されていると考えられている。
テンシャルが極小となる点Aが存在する。ここに、光励
起されたキャリア(電子)の一部が溜まる。溜まった電
子は価電子帯のホールと再結合し、消滅する確率が増大
する。従って、光電流が減少するという問題がある。こ
のような、問題を解消するために、価電子帯をポテンシ
ャルの低い方へと変化させる方法が考えられる。CuI
nSe2にSを固溶すると価電子帯のポテンシャルが低
くなる。前記のディ・ターラント等やエッチ・ダブル・
ショックの報告ではSを固溶したCu(In,Ga)(S
e,S)2膜を作製例が挙げられている。しかし、禁制帯
幅の変化は十分に制御されてはいない。さらに、再現性
にも問題がある。
め、禁制帯幅の変化が制御されたCuIn(Se,S)2ま
たはCu(In,Ga)(Se,S)2膜を再現性良く製造す
る方法を提供するすることを目的とする。
め、本発明の半導体薄膜の第1番目の製造方法は、Cu
InSe2 またはCu(In,Ga)Se2 半導体薄膜上
にSを含む化合物を堆積し、反応させることによりCu
In(Se,S)2 またはCu(In,Ga)(Se,S)2 薄
膜を形成するという構成を備えたものである。ここで、
Cu(In,Ga)Se2 はIb族元素CuとIIIa族元素
とVIa族元素Seの化合物であって、IIIa族元素であ
るInとGaが固溶しており、前記元素の固溶率が一定
でなく結晶中で変化している場合も含む。同様に、Cu
In(Se,S)2 はIb族元素CuとIIIa族元素InとV
Ia族元素の化合物であって、VIa族元素であるSeと
Sが固溶しており、前記元素の固溶率が結晶中で一定で
なく変化している場合も含む。同様に、Cu(In,G
a)(Se,S)2 はIb族元素CuとIIIa族元素とVIa族
元素の化合物であって、IIIa族元素であるInとGa
及びVIa族元素であるSeとSが固溶しており、前記元
素の固溶率が結晶中で一定でなく変化している場合も含
む。この構成によれば、禁制帯幅の変化が制御されたC
uIn(Se,S)2またはCu(In,Ga)(Se,S)2膜
を再現性良く製造できる。
In、Ga、Seから選ばれる少なくとも一つの元素と
Sの化合物であることが好ましい。次に本発明の半導体
薄膜の第2番目の製造方法は、CuInSe2 またはC
u(In,Ga)Se2 半導体薄膜上に、Sの単一元素、
またはIn、Ga、Seから選ばれる少なくとも一つと
Sを同時に堆積しながら反応させることにより、CuI
n(Se,S)2 またはCu(In,Ga)(Se,S)2 薄膜
を形成するという構成を備えたものである。この構成に
よれば、禁制帯幅の変化が制御されたCuIn(Se,
S)2またはCu(In,Ga)(Se,S)2膜を再現性良く
製造できる。
aから選ばれる少なくとも一つの元素とSeの化合物薄
膜を形成した後に、前記化合物薄膜上にCuとSeを同
時に堆積して形成したCuInSe2 またはCu(In,
Ga)Se2 半導体薄膜を用いることが好ましい。
Cu過剰組成(元素比Cu/In>1またはCu/(In
+Ga)>1)のCuInSe2 またはCu(In,G
a)Se2 半導体薄膜を用いることが好ましい。
方法は、CuInSe2 またはCu(In,Ga)Se2
半導体薄膜をSを含む雰囲気中で熱処理して、CuIn
(Se,S)2 またはCu(In,Ga)(Se,S)2 薄膜を
形成するという構成を備えたものである。この構成によ
れば、禁制帯幅の変化が制御されたCuIn(Se,S)2
またはCu(In,Ga)(Se,S)2膜を再現性良く製造
できる。
て、S原子、S分子、H2S、CS2、(CH3)2S及び
(C2H5)2Sから選ばれる少なくとも一つを含む雰囲気
であることが好ましい。
半導体薄膜を太陽電池の光吸収層として用いることが好
ましい。本発明の製造方法で作製したCuIn(Se,
S)2またはCu(In,Ga)(Se,S)2 膜を光吸収層に
用いることにより、高いエネルギー変換効率を有する太
陽電池が提供できる。
素とVIa族元素からなるカルコパイライト構造半導体薄
膜Cu-III-VI2では、伝導帯及び価電子帯のポテンシャ
ルはそれぞれIIIa族元素とVIa族元素に主に支配され
ている。伝導帯のポテンシャルはInとGaの組成比x
(=Ga/(In+Ga))が増加するにつれ高くなる。
従って、pn接合付近ではxが小さく、裏面電極に近づ
くにつれxが増加するような組成比変化をしている膜で
は図1(a)のような禁制帯幅の変化が得られる。ま
た、pn接合付近のGa濃度(x)を大きくし、ある膜
厚(図1(b)ではA点)までxを減少させ、そこか
ら、xを増加させるように膜を形成すると、図1(b)
のような禁制帯幅の変化が得られる。図1(a)の構造
では高い開放端電圧が得られない問題が、図1(b)で
は点A付近でのキャリアの再結合による電流の低下の問
題があった。これに対し、価電子帯のポテンシャルは、
SeとSの組成比y(=S/(Se+S))が増加するに
つれ低くなる。従って、pn接合付近でのSの濃度
(y)が高く、裏面電極に近づくにつれyが減少する組
成比変化を有するCuIn(Se,S)2膜では図2(a)
のような禁制帯幅の変化が得られる。この場合、pn接
合付近の禁制帯幅が大きいことから高い開放端電圧が得
られる。さらに、前記S濃度(y)の変化に加え、pn
接合付近ではGaの濃度(x)を低くし、裏面電極に近
づくにつれxを増加させるような組成比分布を有するC
u(In,Ga)(Se,S)2 膜では、図2(b)のような
禁制帯幅の変化が得られる。この場合は、開放端電圧の
増加に加え、裏面電極付近からpn接合へと伝導帯のポ
テンシャルが低くなるため、内部電界が生じ光キャリア
(電子)がpn接合へと移動する。従って、光電流(短
絡光電流)も増加する。図2(a)と図2(b)の禁制
帯幅の変化を比べると、図2(b)では、図2(a)の
ような伝導帯のポテンシャルが極小となる部分が存在し
ないため、キャリアの再結合確率が増加する箇所はな
い。従って、図2(b)の構造の方が大きな光電流を得
ることができる。
(Se,S)2膜は4元素または5元素で構成されているた
め、組成比の制御は容易ではない。さらに、図2(b)
のような禁制帯幅の変化が得られる膜の組成比を制御す
ることは非常に難しい。しかし、CuInSe2 膜を形
成した後に、Seより反応性の高いSを供給することに
より、図2(a)の構造の禁制帯幅変化を有するCuI
n(Se,S)2膜を容易に作製することができる。また、
Cu(In,Ga)Se2膜においては、InとGaの拡散
速度が異なるため、図1(a)に示した禁制帯幅(組成
比x)の変化を与える膜をいくつかの製造方法で容易に
作製できる。この膜の表面からSを供給することにより
図2(b)に示す禁制帯幅の変化を有するCu(In,G
a)(Se,S)2膜を作製することができる。この場合、
伝導帯のポテンシャル変化を支配する組成比xと価電子
帯のポテンシャルを支配する組成比yをほぼ独立に制御
することができるため、高い変換効率を実現できる禁制
帯幅の変化を意図的に与えることが可能となる。さら
に、組成比が独立に制御できることから再現性にも優れ
ている。
膜の膜表面からSを供給する方法として、 (1)CuInSe2膜(Cu(In,Ga)Se2)膜上
にSの化合物を堆積し、CuInSe2膜(Cu(In,
Ga)Se2膜)と反応させる方法。 (2)CuInSe2膜(Cu(In,Ga)Se2)膜上
にSまたはそれに加えてIn、Ga、Seを同時に供給
しながら反応させる方法。 (3)H2S等のSを含む雰囲気中で熱処理する方法。 が組成比変化の制御性と再現性に優れた製造方法であ
る。(1)と(2)の方法でS単体だけでなくIn、G
aまたはSeを供給するのは、反応させるためにCuI
nSe2膜(Cu(In,Ga)Se2)膜の温度を上昇さ
せた時に、蒸気圧の高いSeやIn2SeまたはGa2S
eが膜中から離脱し、組成比が変化することを防ぐため
である。また、CuInSe2膜やCu(In,Ga)Se
2膜の組成比がCu過剰(Cu/In>1またはCu/(I
n+Ga)>1)である場合、527℃以上の膜温度に
おいて表面にCu−Se系の液層が存在することが報告
されている。この状態でInとSまたはIn、GaとS
を供給するとCu−Seの液相を介し結晶が疑似液相エ
ピタキシャル的に成長するため、欠陥の少ない膜が得ら
れ、太陽電池の変換効率の向上を図ることができる。さ
らに、一層目にInとSeまたはIn、GaとSeの化
合物膜を堆積し、その上にCuとSeを供給する作製法
でCuInSe2膜またはCu(In,Ga)Se2膜を形
成すると、CuとIIIa族元素の組成比を比較的容易に
制御することができる。また、Cu(In,Ga)Se2膜
においては、前記方法で作製すると、InとGaの拡散
速度の違いから、基板(裏面電極)側のGa濃度が高
く、膜表面(pn接合)になるにつれ濃度が低くなる図
1(a)の禁制帯幅を与えることができる組成比変化を
実現できる。
禁制帯幅の変化を有するCuIn(Se,S)2膜とCu
(In,Ga)(Se,S)2膜の製造法として制御性と再現
性に優れた方法を提供できる。
ながら説明するが、本発明はここで説明する実施例のみ
に限定されるものではない。特に、各実施例におけるC
uInSe2膜やCu(In,Ga)Se2膜の製造方法は
以下の説明に限定されるものではない。さらに、S化合
物またはSの供給法も限定されるものではない。
(Se,S)2膜の製造工程における前駆体の断面図を示し
ている。基体1として裏面電極に使用できるMo膜を被
覆したガラス基板を用いた。その上にCuInSe2膜
2を形成した。CuInSe2膜は、基体1上に形成し
たCu膜とIn膜の積層膜を1vol%のH2Seを含むA
rガス雰囲気・500Torr圧力下で550℃で約1時間
熱処理して作製した。この時のCuとInの膜厚はそれ
ぞれ約0.20μmと0.40μmであった。また、作製
したCuInSe2膜のCuとInの組成比Cu/Inは
約1.1であった。このCuInSe2膜2上にIn−S
膜3をスパッタ蒸着により堆積した。In−S膜はIn
2S3の焼結体をターゲットとして真空度8×10-3To
rrのAr雰囲気中で高周波マグネトロンスパッタ法に
より基板温度室温にて作製した。このIn−S膜の膜厚
は約0.2μmであり、InとSの組成比In/Sはほぼ
1であった。この前駆体をN2雰囲気中・575℃で1
5分熱処理してCuIn(Se,S)2膜を形成した。
の組成比をオージェ電子分光法を用いて測定した。図4
に得られた結果を示す。x軸の深さ0は膜表面を表し、
Moの信号が急に上昇している深さ約2μmの場所がM
o膜との界面である。Sの濃度は膜表面で高く、深さ方
向に徐々に減少していることがわかる。これとは逆にS
e濃度は膜表面で低く、深さ方向に徐々に増加している
ことがわかる。Sの濃度が高いほどCuIn(Se,S)2
膜の価電子帯ポテンシャルが低く、禁制帯幅が大きいこ
とから、得られた膜の禁制帯幅分布は図2(a)のよう
な構造となっていることが考えられる。また、CuIn
(Se,S)2膜のCuとInの平均の組成比はCu/In
<1であり、太陽電池の効率を低下させる要因となるC
u−SまたはCu−Se系の異相が存在する可能性は低
い。従って、本実施例で作製したCuIn(Se,S)2膜
が太陽電池の光吸収層に適しており、禁制帯幅の変化か
らCuInSe2膜の太陽電池より開放端電圧が増加す
ることがわかる。
n−S膜の膜厚と前駆体の熱処理温度と時間で制御する
ことができるため、太陽電池の効率向上に適した禁制帯
幅の変化を前記パラメータで制御することができる。ま
た、In−Sの膜厚と熱処理温度と時間の精密に制御で
きるため、再現性も優れていることがわかる。
n−Sを用いたが、Seを若干含むIn−(S,Se)
系膜でも同様な効果が得られる。この膜を用いた場合
は、Seの過剰な減少を防ぐことができる。また、熱処
理はN2雰囲気中で行っているが、Ar等の希ガスやH2
またはH2Sを含むガス雰囲気中でも同様な効果が得ら
れる。
Ga)(Se,S)2膜の製造工程の一部を模式的に示した
図である。基体1としては実施例1と同様にMo膜を被
覆したガラス基板を用いた。まず、この基体上にCu
(In,Ga)Se2膜4を形成した。Cu(In,Ga)S
e2膜は、基体上にまず膜厚が各々0.05μm、0.2
μm、0.32μmとなるGa、Cu、Inの積層膜を
形成した後、真空中・550℃にてSeを膜表面に供給
し反応させて作製した。得られたCu(In,Ga)Se2
膜は組成比Cu/(In+Ga)>1のCu過剰膜であっ
た。このCu(In,Ga)Se2膜上にIn2S3を蒸着源
として発生したIn−S分子5を蒸着しつつヒータ6で
膜温度を約550℃まで上昇し、Cu(In,Ga)Se2
膜とIn−Sを反応させてCu(In,Ga)(Se,S)2
膜を作製した。この時、基板温度が室温におけるIn−
Sの蒸着速度が10nm/minとなるように蒸発源の
温度を制御し、20分間蒸着した。
2膜の組成分布を示す。x軸の値は図4と同様に0は膜
表面、2.0μmはMoとの界面を表している。Sの濃
度は膜表面で高く、深さ方向に徐々に減少しており、S
e濃度は膜表面で低く、深さ方向に徐々に増加している
ことがわかる。また、Inの濃度はSの分布と同様に膜
表面で高く、Mo界面で低い。Gaの濃度はSeの分布
と同様に膜表面で低く、Mo界面で高い。GaとInの
濃度の分布は2つの元素の拡散速度の違いに起因してい
る。Cu(In,Ga)(Se,S)2膜においてSとSeの
組成比は価電子帯のポテンシャルに影響を与え、Gaと
Inの組成比は伝導帯のポテンシャルに影響を与える。
S濃度の高い方が価電帯のポテンシャルが低く、Ga濃
度の高い方が伝導帯のポテンシャルが高くなることか
ら、得られたCu(In,Ga)(Se,S)2膜の禁制帯幅
分布は、図2(b)のような構造になることがわかる。
従って、この膜を太陽電池の光吸収層に用いると高い開
放端電圧と多くの短絡光電流が得られる。
n−Sの蒸着速度と膜温度(基板温度)で制御すること
により、高効率太陽電池に適した禁制帯幅の変化を実現
することができる。また、In−Sの蒸着速度と膜温度
の制御または再現は比較的容易であることから、禁制帯
幅の分布の再現性も優れていることがわかる。
の製造方法の他の実施例について述べる。図5において
基体1としてはMo膜を被覆したガラス基板を用い、そ
の上にCu(In,Ga)Se2膜4を形成した。Cu(I
n,Ga)Se2膜は、まず基体上にIn−Ga−Se膜を
基板温度350℃で堆積した後に、その上にCuとSe
を供給しながら基板温度を550℃に上昇してCu(I
n,Ga)Se2膜を形成した。この時、Cu過剰組成
(Cu/(In+Ga)>1)に変化したことを放射赤外
線の変化や基板温度の変動等の測定から実時間に観測
し、Cu過剰組成となった時点でCuとSeの供給を停
止した。その後、すぐにInとSとSe(図5の中の
5)を同時に供給し、膜がIII族元素過剰組成(Cu/
(In+Ga)<1)に変化することを前記の放射赤外
線の変化や基板温度の変動で観測し、III族元素過剰組
成となった時点で基板温度の冷却を開始し、その後基板
温度が約350℃に低下するまでInとSとSeを供給
した。以上の工程によりCu(In,Ga)(Se,S)2膜
を作製した。ここで、InとSとSeの供給法として、
In2S 3とSe金属の各々独立した蒸着源を用いて同時
に蒸着する方法を用いた。蒸着中はIn2S3とSeの蒸
着速度の比が一定となるように制御した。なお、In−
Ga−Se膜の作製は、InとGaとSeの同時蒸着や
In2Se3とGa2Se3を蒸着源とした同時蒸着や前2
つの方法を混合した方法等が用いられる。また、Cuと
Seの供給法としては、CuとSeの同時蒸着やCu−
Se系化合物を蒸着源とした蒸着や前2つの方法を混合
した方法等が用いられる。また、ここでは、InとSと
Seの供給法として、In2Se3とSe金属の各々独立
した蒸着源を用いて蒸着する方法を用いたが、InとS
とSeの3源独立した蒸着源による同時蒸着等のInと
SとSeの原子または化合物を膜表面に供給できる方法
なら適用できる。
組成分布は図6に示す分布と同様な結果が得られた。こ
こでは、In2S3とSeをCu(In,Ga)Se2膜表面
に同時に供給しているが、Seの蒸着速度(蒸着量)は
小さいため、Seの膜表面での過剰な蓄積等の組成分布
変化は観測されなかった。従って、得られた膜の禁制帯
幅分布は図2(b)に示すような構造となっていること
がわかる。
n,Ga)(Se,S)2膜が形成できるため製造工程の簡素
化を図ることができる。さらに、同一真空中であるた
め、不純物の混入や大気暴露による酸化等の膜の変質を
防ぐことが可能であり、高品質で低欠陥密度となるCu
(In,Ga)(Se,S)2膜を提供できる。
の製造方法の他の実施例について述べる。実施例2と同
様な基体と製造工程によりCu(In,Ga)Se2膜を形
成した。ただし、ここでは、Inの膜厚を0.45μm
とし、Cu(In,Ga)Se2膜の組成比がIII族元素過
剰となるようにした。得られたCu(In,Ga)Se2膜
のCu/(In+Ga)の平均組成比は0.9であった。こ
の膜を10%volのH2Sを含むArガス雰囲気・1気圧
下で550℃にて熱処理しCu(In,Ga)(Se,S)2
膜を作製した。ここでは、熱処理時間が5分、15分、
30分、1時間の4種類の膜を作製し、そのSとSeの
組成比S/Seの深さ方向の変化を測定した。図7に熱
処理時間によるS/Seの変化を示す。深さの値の定義
は図4、図6と同様である。熱処理時間5分の膜では、
Sが膜表面付近に集中していることがわかる。熱処理時
間の延長とともにSの濃度が膜内に広がっている様子が
わかる。また、熱処理時間1時間の膜では膜中のSeが
ほとんどSに置換されたことがわかる。従って、熱処理
時間によりS/Seの分布、つまり禁制帯幅の変化を制
御することが可能となる。
う工程を用いていることから、大量の膜を処理すること
が可能である。従って、太陽電池の量産化に適してい
る。なお、本実施例ではSを含む雰囲気としてH2Sを
含むガスを用いたが、S蒸気、CS2または(CH3)2
Sまたは(C2H5)2Sを含むガス雰囲気でも同様な結
果が得られる。
u(In,Ga)(Se,S)2膜を光吸収層に用いた太陽電
池の構成断面図を示す。基体6上に裏面電極となるMo
膜7を形成し、その上に実施例3の方法でCu(In,G
a)(Se,S)2膜8を作製した。Cu(In,Ga)(Se,
S)2膜上にn型半導体としてCdS膜9を形成し、その
上に透明導電膜としてZnO/ITOの2層膜10を形
成した。さらに、取り出し電極として膜10の上の一部
にAl膜11を形成した。また、比較のため、実施例3
と同様な工程でCu過剰組成となるCu(In,Ga)S
e2膜を形成した後にInとGaとSeを同時に膜面上
に供給し反応させIII族過剰となるように作製したCu
(In,Ga)Se2膜を光吸収層に用いた図8と同様な構
成の太陽電池を形成した。このCu(In,Ga)Se2膜
の禁制帯幅の分布は図1(b)に示すような構造とな
る。
光を照射した時の2つの太陽電池の性能を比較すると、
本実施例の太陽電池の開放端電圧、短絡光電流は比較例
の太陽電池の値よりそれぞれ1.1倍、1.2倍に増加し
た。ここで、開放端電圧が高い、つまり禁制帯幅が広い
場合は吸収できる光の波長が少なくなるため短絡光電流
は減少する。しかし、本実施例の太陽電池は比較例の太
陽電池より開放端電圧が高いにも関わらず短絡光電流が
増加している。これは、図1(b)と図2(b)の禁制
帯幅分布の違いに生じるキャリアの再結合確率の減少に
起因していると考えられる。このことは、本発明の製造
方法により実現できる禁制帯幅の分布が太陽電池の効率
向上に有効であることを示している。
e,S)2膜やCu(In,Ga)(Se,S)2膜を用いた太陽
電池においても、従来の製造方法で作製したCuInS
e2膜Cu(In,Ga)Se2膜を用いた太陽電池より高
い変換効率が得られた。
2膜またはCu(In,Ga)Se2膜の膜表面にSを含む
化合物を堆積するか、またはSを含む蒸発物質を供給す
るか、またはSを含む雰囲気中で熱処理することによ
り、CuInSe2膜またはCu(In,Ga)Se2膜と
Sが反応し、CuIn(Se,S)2膜またはCu(In,G
a)(Se,S)2膜が製造できる。前記製造方法により、
S濃度が膜表面で高く、膜の深さ方向に徐々に減少し、
かつSe濃度が膜表面で少なく膜の深さ方向に徐々に増
加する分布を有するCuIn(Se,S)2膜またはCu
(In,Ga)(Se,S)2膜を製造することが可能とな
る。本製造方法は膜中の前記SとSeの分布の制御性と
再現性に優れた方法である。前記SとSeの組成分布に
より膜表面から膜裏面へと価電子帯ポテンシャルが高く
なる禁制帯幅の変化が生じる。このような分布を有する
CuIn(Se,S)2膜の膜表面にn型半導体を堆積しp
n接合を形成し、膜裏面には電極を形成して太陽電池を
構成すると、高い開放端電圧が得られ、エネルギー変換
効率が向上する。さらに、GaとInの拡散速度の違い
を利用して形成した、In濃度が膜表面で高く、膜の深
さ方向に徐々に減少し、かつGa濃度が膜表面で少なく
膜の深さ方向に徐々に増加する分布を有するCu(In,
Ga)Se2膜を用いて本発明により作製したCu(In,
Ga)(Se,S)2膜では、価電子帯ポテンシャルの変化
だけでなく、伝導帯ポテンシャルが膜表面から膜裏面へ
と高くなる禁制帯幅の変化が生じる。この膜の膜表面に
n型半導体を堆積しpn接合を形成し、膜裏面には電極
を形成して太陽電池を構成すると、開放端電圧だけでな
く、短絡光電流も増加し、エネルギー変換効率がより向
上する。従って、本発明によりエネルギー変換効率が高
い太陽電池を提供できる。
を示す図。
を示す図。
膜形成用の前駆体の構成を示す図。
分布を示す図。
e,S)2膜の製造工程の概念図。
の組成比分布を示す図。
eの膜深さ方向の分布の熱処理時間による変化を示す
図。
を示す図。
Claims (8)
- 【請求項1】 CuInSe2 またはCu(In,Ga)
Se2 半導体薄膜上にSを含む化合物を堆積し、反応さ
せることによりCuIn(Se,S)2 またはCu(In,
Ga)(Se,S)2 薄膜を形成する半導体薄膜の製造方
法。(ここで、Cu(In,Ga)Se2 はIb族元素Cu
とIIIa族元素とVIa族元素Seの化合物であって、III
a族元素であるInとGaが固溶しており、前記元素の
固溶率が一定でなく結晶中で変化している場合も含む。
同様に、CuIn(Se,S)2 はIb族元素CuとIIIa
族元素InとVIa族元素の化合物であって、VIa族元素
であるSeとSが固溶しており、前記元素の固溶率が結
晶中で一定でなく変化している場合も含む。同様に、C
u(In,Ga)(Se,S)2 はIb族元素CuとIIIa族元
素とVIa族元素の化合物であって、IIIa族元素である
InとGa及びVIa族元素であるSeとSが固溶してお
り、前記元素の固溶率が結晶中で一定でなく変化してい
る場合も含む。) - 【請求項2】 Sを含む化合物が、In、Ga、Seか
ら選ばれる少なくとも一つの元素とSの化合物である請
求項1記載の半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項3】 CuInSe2 またはCu(In,Ga)
Se2 半導体薄膜上に、Sの単一元素、またはIn、G
a、Seから選ばれる少なくとも一つとSを同時に堆積
しながら反応させることによりCuIn(Se,S)2 ま
たはCu(In,Ga)(Se,S)2 薄膜を形成する半導体
薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 基体上に、InとGaから選ばれる少な
くとも一つの元素とSeの化合物薄膜を形成した後に、
前記化合物薄膜上にCuとSeを同時に堆積して形成し
たCuInSe2 またはCu(In,Ga)Se2 半導体
薄膜を用いる請求項3記載の半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項5】 Cu過剰組成(元素比Cu/In>1ま
たはCu/(In+Ga)>1)のCuInSe2 また
はCu(In,Ga)Se2 半導体薄膜を用いる請求項1
〜4のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項6】 CuInSe2 またはCu(In,Ga)
Se2 半導体薄膜をSを含む雰囲気中で熱処理して、C
uIn(Se,S)2 またはCu(In,Ga)(Se,S)2
薄膜を形成する半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項7】 Sを含む雰囲気として、S原子、S分
子、H2S、CS2、(CH3)2S及び(C2H5)2Sから選
ばれる少なくとも一つを含む雰囲気である請求項6記載
の半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項8】 半導体薄膜を太陽電池の光吸収層として
用いる請求項1〜7のいずれかに記載の半導体薄膜の製
造方法。
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|---|---|---|---|
| JP01284096A JP3468328B2 (ja) | 1996-01-29 | 1996-01-29 | 半導体薄膜の製造方法 |
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1996
- 1996-01-29 JP JP01284096A patent/JP3468328B2/ja not_active Expired - Lifetime
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