JPH09215111A - 電気自動車の電力制御装置 - Google Patents

電気自動車の電力制御装置

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JPH09215111A
JPH09215111A JP8024280A JP2428096A JPH09215111A JP H09215111 A JPH09215111 A JP H09215111A JP 8024280 A JP8024280 A JP 8024280A JP 2428096 A JP2428096 A JP 2428096A JP H09215111 A JPH09215111 A JP H09215111A
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battery
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Tadashi Tsuji
匡 辻
Tsuyoshi Sodeno
強 袖野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池の充放電電力を最適に制御する。 【解決手段】 測定された放電電流増加時の電圧Vと電
流Iに基づいて電池11の最大放電電力を演算し、電池
11の電圧Vが第1の電圧より低下した時に最大放電電
力を制限し、制限後の最大放電電力にしたがって電池1
1の放電を制御する。また、測定された放電電流増加時
の電圧Vと電流Iに基づいて電池112の最大充電電力
を演算し、電池11の電圧Vが第2の電圧を超過した時
に最大充電電力を制限し、制限後の最大充電電力にした
がって電池の充電を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車に搭載
される電池の放電電力と回生充電電力を制御する装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車のエネルギー源となる電池
は、放電反応あるいは充電反応の時間経過につれて放電
または充電可能な電力が変動するという特性を有してい
る。一方、電気自動車において、走行負荷に応じて必要
な充放電電力は走行パターンに応じて時々刻々変化す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電気自動車の走行パタ
ーンに応じて必要な電力を常に電池から供給できれば問
題はないが、電池の放電深度、充放電電流、充放電時間
などの条件によっては走行パターンに応じた電力を供給
できないことがある。このような場合には、電池の端子
電圧が許容最大電圧Vmaxを越えたり、放電終止電圧Vm
inより低くならないように、充放電電力を制御する必要
がある。
【0004】本発明の目的は、電池の充放電電力を最適
に制御する電気自動車の電力制御装置を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 発明の一実施の形態を示す図1に対応づけて請
求項1および請求項2の発明を説明すると、請求項1の
発明は、電池11の電圧Vを測定する電圧測定手段14
と、電池11に流れる電流Iを測定する電流測定手段1
5と、電圧測定手段14と電流測定手段15により測定
された放電電流増加時の電圧Vと電流Iに基づいて電池
11の最大放電電力を演算する電力演算手段16と、電
圧測定手段14により測定された電池11の電圧Vが第
1の電圧より低下した時に電力演算手段16により演算
された最大放電電力を制限する電力制限手段16と、電
力制限手段16により制限された最大放電電力にしたが
って電池11の放電を制御する制御手段16とを備え
る。測定された放電電流増加時の電圧と電流に基づいて
電池の最大放電電力を演算し、電池の電圧が第1の電圧
より低下した時に最大放電電力を制限し、制限後の最大
放電電力にしたがって電池の放電を制御する。なお、第
1の電圧は電池の放電終止電圧またはそれ以上の電圧と
するのが望ましい。 (2) 請求項2の電気自動車の電力制御装置は、電力
演算手段16によって、電圧測定手段14と電流測定手
段15により測定された放電電流増加時の電圧Vと電流
Iに基づいて電池11の最大充電電力を演算し、電力制
限手段16によって、電圧測定手段14により測定され
た電池11の電圧が第2の電圧を超過した時に電力演算
手段16により演算された最大充電電力を制限し、制御
手段16によって、電力制限手段16により制限された
最大充電電力にしたがって電池11の充電を制御するよ
うにしたものである。測定された放電電流増加時の電圧
と電流に基づいて電池の最大充電電力を演算し、電池の
電圧が第2の電圧を超過した時に最大充電電力を制限
し、制限後の最大充電電力にしたがって電池の充電を制
御する。なお、第2の電圧は電池の許容最大電圧または
それ以下の電圧とするのが望ましい。 (3) 発明の実施の形態の変形例を示す図19に対応
づけて請求項3および請求項4の発明を説明すると、請
求項3の発明は、複数の単セル111〜11nが直列に
接続された電池11Aにおける各単セル111〜11n
の電圧を測定するセル電圧測定手段141〜14nと、
電池11Aに流れる電流を測定する電流測定手段15
と、セル電圧測定手段141〜14nと電流測定手段1
5により測定された放電電流増加時の電圧と電流に基づ
いて電池11Aの最大放電電力を演算する電力演算手段
16Aと、セル電圧測定手段141〜14nにより測定
された複数の単セル111〜11nの電圧の内の最小電
圧が第3の電圧より低下した時に、電力演算手段16A
により演算された最大放電電力を制限する電力制限手段
16Aと、電力制限手段16Aにより制限された最大放
電電力にしたがって電池11Aの放電を制御する制御手
段16Aとを備える。測定された放電電流増加時の各単
セル電圧と電流に基づいて電池の最大放電電力を演算
し、電池の最小単セル電圧が第3の電圧より低下した時
に最大放電電力を制限し、制限後の最大放電電力にした
がって電池の放電を制御する。なお、第3の電圧は電池
の単セルの放電終止電圧またはそれ以上の電圧とするの
が望ましい。 (4) 請求項4の電気自動車の電力制御装置は、電力
演算手段16Aによって、セル電圧測定手段141〜1
4nと電流測定手段15により測定された放電電流増加
時の電圧と電流に基づいて電池11Aの最大充電電力を
演算し、電力制限手段16Aによって、セル電圧測定手
段141〜14nにより測定された複数の単セル111
〜11nの電圧の内の最大電圧が第4の電圧を超過した
時に、電力演算手段16Aにより演算された最大充電電
力を制限し、制御手段16Aによって、電力制限手段1
6Aにより制限された最大充電電力にしたがって電池1
1Aの充電を制御するようにしたものである。測定され
た放電電流増加時の各単セル電圧と電流に基づいて電池
の最大充電電力を演算し、電池の最大単セル電圧が第4
の電圧を超過した時に最大充電電力を制限し、制限後の
最大充電電力にしたがって電池の充電を制御する。な
お、第4の電圧は電池の単セルの許容最大電圧またはそ
れ以下の電圧とするのが望ましい。 (5) 発明の実施の形態の他の変形例を示す図20に
対応づけて請求項5〜8の発明を説明すると、請求項5
の発明は、複数の単セル111〜11nが直列に接続さ
れた電池11Aの端子電圧を測定する端子電圧測定手段
14と、電池11Aに流れる電流を測定する電流測定手
段15と、端子電圧測定手段14と電流測定手段15に
より測定された放電電流増加時の端子電圧と電流に基づ
いて電池11Aの最大放電電力を演算する電力演算手段
16Bと、電池11Aの各単セル111〜11nの電圧
を測定するセル電圧測定手段141〜14nと、セル電
圧測定手段141〜14nにより測定された複数の単セ
ルの電圧の内の最小電圧が第3の電圧より低下した時
に、電力演算手段16Bにより演算された最大放電電力
を制限する電力制限手段16Bと、電力制限手段16B
により制限された最大放電電力にしたがって電池11A
の放電を制御する制御手段16Bとを備える。電池の放
電電流増加時の端子電圧と電流を測定して電池の最大放
電電力を演算し、電池の最小セル電圧が第3の電圧より
低下した時に最大放電電力を制限し、制限後の最大放電
電力にしたがって電池の放電を制御する。 (6) 請求項6の電気自動車の電力制御装置は、電力
演算手段16Bによって、端子電圧測定手段14と電流
測定手段15により測定された放電電流増加時の端子電
圧と電流に基づいて電池11Aの最大充電電力を演算
し、電力制限手段16Bによって、セル電圧測定手段1
41〜14nにより測定された複数の単セルの電圧の内
の最大電圧が第4の電圧を超過した時に、電力演算手段
16Bにより演算された最大充電電力を制限し、制御手
段16Bによって、電力制限手段16Bにより制限され
た最大充電電力にしたがって電池11Aの充電を制御す
るようにしたものである。測定された電池の放電電流増
加時の端子電圧と電流に基づいて最大充電電力を演算
し、電池の最大セル電圧が第4の電圧を超過した時に最
大充電電力を制限し、制限後の最大充電電力にしたがっ
て電池の充電を制御する。 (7) 請求項7の発明は、複数の単セルが直列に接続
された電池11Aの端子電圧を測定する端子電圧測定手
段14と、電池11Aに流れる電流を測定する電流測定
手段15と、端子電圧測定手段14と電流測定手段15
により測定された放電電流増加時の端子電圧と電流に基
づいて電池11Aの最大放電電力を演算する電力演算手
段16Bと、電池11Aの各単セルの電圧を測定するセ
ル電圧測定手段141〜14nと、端子電圧測定手段1
4により測定された端子電圧が第1の電圧より低下した
時、またはセル電圧測定手段141〜14nにより測定
された複数の単セルの電圧の内の最小電圧が第3の電圧
より低下した時に、電力演算手段16Bにより演算され
た最大放電電力を制限する電力制限手段16Bと、電力
制限手段16Bにより制限された最大放電電力にしたが
って電池11Aの放電を制御する制御手段16Bとを備
える。放電電流増加時の電池の端子電圧と電流を測定し
て電池の最大放電電力を演算し、電池の端子電圧が第1
の電圧より低下した時または最小セル電圧が第3の電圧
より低下した時に最大放電電力を制限し、制限後の最大
放電電力にしたがって電池の放電を制御する。 (8) 請求項8の電気自動車の電力制御装置は、電力
演算手段16Bによって、端子電圧測定手段14と電流
測定手段15により測定された放電電流増加時の端子電
圧と電流に基づいて前記電池の最大充電電力を演算し、
電力制限手段16Bによって、端子電圧測定手段14に
より測定された端子電圧が第2の電圧を超過した時、ま
たはセル電圧測定手段141〜14nにより測定された
複数の単セルの電圧の内の最大電圧が第4の電圧を超過
した時に、電力演算手段16Bにより演算された最大充
電電力を制限し、制御手段16Bによって、電力制限手
段16Bにより制限された最大充電電力にしたがって電
池11Aの充電を制御するようにしたものである。測定
された放電電流増加時の電池の端子電圧と電流に基づい
て最大充電電力を演算し、電池の端子電圧が第2の電圧
を超過した時または最小セル電圧が第4の電圧を超過し
た時に最大充電電力を制限し、制限後の最大充電電力に
したがって電池の充電を制御する。
【0006】
【発明の効果】
(1) 以上説明したように請求項1の発明によれば、
測定された放電電流増加時の電圧と電流に基づいて電池
の最大放電電力を演算し、電池の電圧が第1の電圧より
低下した時に最大放電電力を制限し、制限後の最大放電
電力にしたがって電池の放電を制御するようにしたの
で、最大放電電力の演算誤差や長時間の放電による過電
圧を速やかに収束させることができ、放電終止電圧など
の電池の過電圧管理における信頼性を向上させることが
できる。 (2) 請求項2の発明によれば、測定された放電電流
増加時の電圧と電流に基づいて電池の最大充電電力を演
算し、電池の電圧が第2の電圧を超過した時に最大充電
電力を制限し、制限後の最大充電電力にしたがって電池
の充電を制御するようにしたので、最大充電電力の演算
誤差や長時間の充電による過電圧を速やかに収束させる
ことができ、許容最大電圧などの電池の過電圧管理にお
ける信頼性を向上させることができる。 (3) 請求項3の発明によれば、測定された放電電流
増加時の各単セル電圧と電流に基づいて電池の最大放電
電力を演算し、電池の最小単セル電圧が第3の電圧より
低下した時に最大放電電力を制限し、制限後の最大放電
電力にしたがって電池の放電を制御するようにしたの
で、請求項1の効果に加え、各単セル間の電圧のばらつ
きを補償できる。 (4) 請求項4の発明によれば、測定された放電電流
増加時の各単セル電圧と電流に基づいて電池の最大充電
電力を演算し、電池の最大単セル電圧が第4の電圧を超
過した時に最大充電電力を制限し、制限後の最大充電電
力にしたがって電池の充電を制御するようにしたので、
請求項2の効果に加え、各単セル間の電圧のばらつきを
補償できる。 (5) 請求項5の発明によれば、電池の放電電流増加
時の端子電圧と電流を測定して電池の最大放電電力を演
算し、電池の最小セル電圧が第3の電圧より低下した時
に最大放電電力を制限し、制限後の最大放電電力にした
がって電池の放電を制御するようにしたので、請求項3
と同様な効果が得られる。 (6) 請求項6の発明によれば、測定された電池の放
電電流増加時の端子電圧と電流に基づいて最大充電電力
を演算し、電池の最大セル電圧が第4の電圧を超過した
時に最大充電電力を制限し、制限後の最大充電電力にし
たがって電池の充電を制御するようにしたので、請求項
4と同様な効果が得られる。 (7) 請求項7の発明によれば、放電電流増加時の電
池の端子電圧と電流を測定して電池の最大放電電力を演
算し、電池の端子電圧が第1の電圧より低下した時また
は最小セル電圧が第3の電圧より低下した時に最大放電
電力を制限し、制限後の最大放電電力にしたがって電池
の放電を制御するようにしたので、請求項3と同様な効
果が得られる。 (8) 請求項8の発明によれば、測定された放電電流
増加時の電池の端子電圧と電流に基づいて最大充電電力
を演算し、電池の端子電圧が第2の電圧を超過した時ま
たは最小セル電圧が第4の電圧を超過した時に最大充電
電力を制限し、制限後の最大充電電力にしたがって電池
の充電を制御するようにしたので、請求項4と同様な効
果が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は、一実施形態の電気自動車
の走行駆動機構の構成を示すブロック図である。力行時
には、電池11が放電してインバータ12に直流電力を
供給し、インバータ12は直流電力を交流電力に変換し
てモータ13に印加する。これにより、モータ13が走
行エネルギーを発生して車両が走行する。一方、回生時
には、車両の走行エネルギーがモータ13およびインバ
ータ12を介して電気エネルギーに逆変換され、電池1
1が充電されるとともに、車両に回生ブレーキがかか
る。電圧センサー14は電池11の両端電圧Vを検出
し、電流センサー15は電池11に流れる電流Iを検出
する。なお、電流Iは、モータ駆動時に電池11からイ
ンバータ12へ流れる方向を正とし、回生充電時にイン
バータ12から電池11へ流れる方向を負とする。コン
トローラ16は、電圧センサー14および電流センサー
15により検出された電圧Vと電流Iとに基づいて、電
池11の最大放電電力と最大充電電力を演算し、演算結
果に基づいてインバータ12の出力制御および回生制御
を行なう。
【0008】《電池の特性について》ここで、電池の特
性について説明する。ある種類の電池、例えばリチウム
イオン電池やニッケル水素電池は次のような特性を有し
ている。 (1) 図2に示すように、電池の放電深度(以下、D
OD(Depth of Discharge)と呼ぶ)が低い状態(〜60
%)では充電時と放電時の内部抵抗がほぼ一致する。 (2) 充放電時の電圧V−電流I特性の直線性がよ
い。 この種の電池のこのような特性を利用すれば、DODや
温度などの電池の状態に応じた正確な最大放電電力と最
大充電電力を演算することが可能である。なお、電池は
リチウムイオン電池やニッケル水素電池に限定されず、
上記特性を有する電池であればよい。
【0009】一般に、電池は、一定電流で放電した時に
放電反応の時間経過につれて電圧が低下し、一定電流で
充電した時に充電反応の時間経過につれて電圧が上昇す
るという特性を有している。図3は一定電流で放電した
時の電池の端子電圧Vの変化を示す。時刻t1からt3
までの期間、一定電流I1で放電を行なうと端子電圧V
は図のように変化する。放電開始時刻t1において、端
子電圧VはV0からV1まで0.1mS以下の瞬時に低下
する。この過渡電圧VXは電池の液抵抗や接触抵抗など
による電圧降下である。次に、時刻t1からt2までの
期間T1において、端子電圧VはV1からV2まで急激に
低下する。この低下時間は100mS以下であり、過渡
電圧VYは電池の電荷移動抵抗による電圧降下である。
さらに、時刻t2からt3までの期間T2において、端
子電圧VはV2からV3まで緩やかに低下する。この過渡
電圧VZは電解液の濃度分極による電圧降下であり、一
般にこの領域は拡散領域と呼ばれる。その後、放電停止
時刻t3を過ぎると、端子電圧Vは急激に回復する。期
間T1とT3は短時間に推移する過渡状態であり、期間
T2は電池の通常の使用状態である。このように、電池
の端子電圧は、放電電流に応じて変化するとともに、放
電反応の時間経過にともなって変化する。したがって、
放電反応の過渡状態における端子電圧に基づいて電池の
最大放電電力を演算すると誤差を生じ、場合によっては
放電時の端子電圧が電池の放電終止電圧以下に低下する
おそれがある。なお、放電終止電圧とは、これ以上放電
を継続できない電池の許容最小電圧である。
【0010】《最大充放電電力の演算方法》次に、電池
の最大放電電力と最大充電電力の演算方法を説明する。
まず、放電中の電池のV−I特性をサンプリングし、図
4に示すように、サンプリング結果をV−Iグラフにプ
ロットする(図中に×印で示す)。上述したように、こ
の種の電池では充放電時の内部抵抗がほぼ一致し、且つ
V−I特性の直線性がよいので、サンプリング結果のV
−I特性を直線回帰することができ、さらに回帰直線を
充電側および放電側に延長することができる。図におい
て、回帰直線のV軸切片Eoは電池の開放電圧を表わ
し、回帰直線の傾きは電池の内部抵抗Rを表わす。回帰
直線は、
【数1】V=Eo−I・R と表わすことができる。
【0011】回帰直線と充電時の許容最大電圧Vmaxと
の交点Aの電流ICmaxは充電許容値を与え、交点Aでは
次式が成立する。
【数2】Vmax=Eo−ICmax・R 同様に、回帰直線と放電時の放電終止電圧Vminとの交
点Bの電流IDmaxは放電許容値を与え、交点Bでは次式
が成立する。
【数3】Vmin=Eo−IDmax・R
【0012】最大充電電力PCは、上記数式2により、
【数4】 PC=Vmax・ICmax=Vmax・(Eo−Vmax)/R また、最大放電電力PDは、数式3により、
【数5】 PD=Vmin・IDmax=Vmin・(Eo−Vmin)/R となる。放電中のV−I特性のサンプリング値は、電池
のDODや温度などの電池の状態に応じた値であり、こ
のようなサンプリング値を直線回帰して求められる最大
充電電力PCと最大放電電力PDは、当然ながらDODや
温度などの電池の状態に応じた電力である。
【0013】ところで、電気自動車に搭載される電池の
放電終止電圧Vminは、通常、
【数6】Vmin≧Eo/2 の関係にある。一方、一般に電池の最大出力P、すなわ
ち最大放電電力Pは、
【数7】V=Eo/2 にて得られることが知られている。このため、電気自動
車用電池の放電終止電圧Vminが、
【数8】Vmin>Eo/2 の範囲に設定されると、上述した方法で演算された最大
放電電力PDは、一般の電池の最大放電電力よりも小さ
くなる。この明細書では、放電終止電圧Vminを数式6
の範囲内で設定し、設定した放電終止電圧Vminに対し
て演算された放電電力を電池の最大放電電力とする。
【0014】《電池のV−I特性のサンプリング方法》
次に、電池のV−I特性のサンプリング方法を説明す
る。電池の電圧Vと電流Iとの関係は上記数式1により
表わされる。ところが、上述したように、電池の端子電
圧Vは放電反応の時間経過につれて変化し、同一の放電
電流において電圧をサンプリングしても反応段階が違え
ば同一の電圧が得られない。逆に、同一の電圧において
電流をサンプリングしても反応段階が違えば同一の電流
は得られない。つまり、電池自体の化学反応の段階によ
って端子電圧Vと放電電流Iが変化するので、時々刻々
の電池の能力を正確に推定するためには、電池の反応段
階を考慮してV−I特性のサンプリングを行なう必要が
ある。
【0015】図5は、放電中の端子電圧Vと放電電流I
のサンプリングタイミングを説明する図である。一般
に、電池は、放電電流の減少時には電流の変化に対して
電圧の変化が遅れるという性質がある。そのため、端子
電圧Vと放電電流Iのサンプリングに際しては放電反応
から充電反応、放電反応から放電停止、あるいは平衡状
態から放電反応または充電反応というような、異なる反
応形態間の過渡現象と放電電流の減少時とを除くため
に、放電電流の立ち上がりを検出し、放電電流増加時の
端子電圧Vと放電電流Iをサンプリングする。また、過
渡領域(図3の過度電圧VX,VYを生じる期間T1)に
おける不安定な端子電圧Vと放電電流Iのサンプリング
を避けるために、放電電流の立ち上がりから所定時間Δ
t後の端子電圧Vと放電電流Iをサンプリングする。
【0016】ここで、放電電流の立ち上がりは電流Iと
その変化率dI/dtが共に正となった時点とする。な
お、この放電電流の立ち上がり点は電池の放電反応の開
始点である。図5の例では、t1,t3,t5が放電電
流の立ち上がり点になり、それらの時点から所定時間Δ
t後のt2,t4,t6時点においてそれぞれ、端子電
圧V1,V2,V3と放電電流I1,I2,I3をサン
プリングする。これにより、電池の状態が急激に変化す
る不安定な過渡領域における測定が避けられ、安定な拡
散領域における電池の端子電圧Vと放電電流Iを測定す
ることができる。なお、V−I特性のサンプリングに際
しては、放電電流の立ち上がりから所定時間内に新たに
放電電流の立ち上がりがあった場合には、その時点から
改めて計時を開始し、所定時間後に端子電圧Vと放電電
流Iをサンプリングする。
【0017】ところで、V−I特性のサンプリングタイ
ミングを放電電流の立ち上がりから所定時間後の1点だ
けにすると、次のような問題が生じる。図6は、放電電
流の立ち上がりから所定時間Δt後に放電電流Iと端子
電圧Vをサンプリングした時の様子を示す。また、図7
はサンプリング結果をV−Iグラフにプロットし、直線
回帰したものである。この電池の最大放電電力PDは、
上述した数式5により求められる。演算された最大放電
電力PDは、放電電流の立ち上がりから所定時間Δt後
のサンプリング結果に基づいて得られたものであるか
ら、所定時間Δtだけ放電可能な最大電力である。とこ
ろが、この最大放電電力PDでΔt時間を越える放電を
行なうと、図7に直線Cで示すように、放電途中で端子
電圧Vが放電終止電圧Vmin以下になってしまう。
【0018】つまり、電池の放電可能な電力は反応段階
により異なるので、必要な放電時間に応じたV−Iデー
タのサンプリングを行なう必要がある。そこで、放電電
流の立ち上がり後、複数の時点でV−I特性のサンプリ
ングを行なうことにする。図8は、放電電流の立ち上が
りから所定時間Δt1後とΔt2後に放電電流Iと端子
電圧Vをサンプリングした時の様子を示す。また、図9
はサンプリング結果をV−Iグラフにプロットし、直線
回帰したものである。図9において、直線Dは放電電流
の立ち上がりから所定時間Δt1後のサンプリングデー
タ(×印)に基づく回帰直線であり、直線Eは放電電流
の立ち上がりから所定時間Δt2後のサンプリングデー
タ(○印)に基づく回帰直線である。また、直線Fは、
放電電流の立ち上がりから所定時間Δt1後とΔt2後
のサンプリングデータ(×と○の両方)に基づく回帰直
線である。この回帰直線Fにより最大放電電力PDを求
めれば、放電電流と放電時間が異なる種々の放電形態に
対する平均的な最大電力を得ることができる。
【0019】図10は、電気自動車の通常の走行パター
ンにおいて複数の時点でV−I特性のサンプリングをし
た例を示す。この例では、放電電流の立ち上がりから1
秒後と3秒後にサンプリングを行なう。また、図11は
サンプリング結果をV−Iグラフにプロットし、直線回
帰したものである。図11において、直線Gは放電電流
の立ち上がりから1秒後のサンプリングデータ(×印)
に基づく回帰直線であり、直線Hは放電電流の立ち上が
りから3秒後のサンプリングデータ(○印)に基づく回
帰直線である。また、直線Jは、放電電流の立ち上がり
から1秒後と3秒後のサンプリングデータ(×と○の両
方)に基づく回帰直線である。
【0020】図12は、図10と図11に示すサンプリ
ングデータをサンプリングタイミングΔtと放電電流I
により分類したものである。1秒後のサンプリングでは
5個のデータが採取され、3秒後のサンプリングでは3
個のデータが採取された。しかし、図11に示すよう
に、Δtが小さい1秒後のサンプリングデータは低電流
領域に集中しやすく、したがってこれらのデータによる
回帰演算精度は低い。一方、Δtが大きい3秒後のサン
プリングデータは広い電流範囲に分布するものの、デー
タ数が少なくなりやすく、やはり回帰演算精度が低い。
ところが、放電電流の立ち上がりから複数の時点、すな
わち1秒後と3秒後のサンプリングデータは当然データ
数が多く、また電流Iと電圧Vの広い範囲に分布してい
るので、回帰演算精度が高くなる。したがって、これら
のデータによる回帰直線Jから最大放電電力PDを演算
すれば、放電電流と放電時間が異なる種々の放電形態に
対する理想的な平均最大電力を得ることができる。ま
た、複数の時点のサンプリングデータに基づいて回帰演
算精度が向上すれば、図4に示すように、算出された回
帰直線を充電側に延長して正確な最大充電電力PCを求
めることができる。
【0021】なお、図8〜図11に示すサンプリング例
では、放電電流の立ち上がり後の2時点でサンプリング
を行なう例を示したが、サンプリングタイミングは3つ
以上としてもよい。また、V−I特性のサンプリングに
際しては、放電電流の立ち上がりから所定時間内に新た
に放電電流の立ち上がりがあった場合には、その時点か
ら改めて計時を開始し、所定時間後に端子電圧Vと放電
電流Iをサンプリングする。
【0022】《V−I特性のサンプリングデータの記憶
方法》上述した複数のタイミングでサンプリングしたデ
ータは、次の方法でストックする。放電電流Iの範囲を
複数の領域に分割し、各領域ごとに所定個数のストック
メモリを用意する。例えば図13に示すように、放電電
流の範囲を5つの領域に分割し、各領域ごとに3個ずつ
ストックメモリを用意する。そして、所定のサンプリン
グ時間中に、上述したタイミングで電流inと電圧vn
(nはサンプリング順位を示す)とをサンプリングし、
電流領域ごとに分類してストックする。電流領域におけ
るデータが所定個数に達したら、最も古いデータを消去
して最新のデータをストックする。例えば図13の例に
おいて、(i8,v8)のデータがサンプリングされ、そ
のデータがI2〜I3領域に含まれる場合には、その領域
の最も古いデータ(i3,v3)を消去し、代りに最新の
データ(i8,v8)を記憶する。このサンプリングデー
タのストック方法によれば、各分割電流領域ごとに一次
回帰するのに充分な所定個数のデータしかストックしな
いので、特定の分割電流領域に集中したサンプリングデ
ータに基づくV−I特性の直線回帰が避けられ、端子電
圧と放電電流の広い範囲のサンプリングデータに基づい
て正確な直線回帰が可能となり、正確な最大充放電電力
PD,PCを推定できる。また、分割電流領域ごとに所定
個数のサンプリングデータをストックするので、放電電
流範囲内の広い範囲のサンプリングデータを用いて正確
な直線回帰を行なうことができ、正確な最大充放電電力
PD,PCを推定できる上に、コントローラに膨大なメモ
リ容量を確保する必要もなくなる。
【0023】V−I特性のサンプリングは所定時間内ま
たは所定の放電電気量ごとに行ない、上記方法でストッ
クしたデータに基づいて最大放電電力PDと最大充電電
力PCを演算する。最大放電電力PDと最大充電電力PC
の演算を終了したらメモリにストックされているサンプ
リングデータをすべて消去し、次のサンプリング時間に
は改めてデータをストックする。これにより、電池の最
新の状態における端子電圧Vと放電電流Iをサンプリン
グすることができ、最新の電池状態におけるサンプリン
グデータに基づいて正確な最大放電電力PDと最大充電
電力PCを演算できる。
【0024】《充放電電力の演算処理》図14は、コン
トローラ16の電力演算処理を示すフローチャートであ
る。コントローラ16は、電気自動車の運行中はこの処
理を繰り返し実行する。ステップ1において、放電電流
増加時の複数の時点で電圧Vと電流Iをサンプリング
し、上述した方法でサンプリングデータをストックす
る。このサンプリングは所定時間内、または所定の放電
電気量ごとに行なう。サンプリングが終了したら、ステ
ップ2で狭い電流範囲における回帰演算を防止して演算
精度を上げるため、3つ以上の分割電流領域にサンプリ
ングデータがストックされているか否かを確認する。3
つ以上の領域にデータがストックされていればステップ
3へ進み、ストックデータによりV−I特性を直線回帰
する。一方、ステップ2において3つ以上の分割電流領
域にサンプリングデータがストックされていなかった時
は、最大充放電電力PD,PCの演算は行なわない。ステ
ップ4において、回帰直線により放電終止電圧Vminに
おける電流IDmaxを求め、上記数式5により最大放電電
力PDを演算するとともに、許容最大電圧Vmaxにおける
電流ICmaxを求め、上記数式4により最大充電電力PC
を演算する。
【0025】《出力制限処理》力行時の車両の走行パタ
ーンによっては、最大放電電力PDを越える走行負荷が
かかることがある。最大放電電力PDは、放電電流の立
ち上がりから比較的、短時間の間にサンプリングされた
データに基づいて演算された電力であり、短時間に放電
可能な電力ということができる。例えば、電力演算時の
サンプリング間隔よりも長い時間、大電流の放電が行な
われると、最大放電電力PDを越えてしまい、端子電圧
Vが放電終止電圧Vmin以下になる。また、放電深度D
ODが増加すれば最大放電電力PDは低下するので、最
大放電電力PDの演算間隔よりも長い時間、大電流の放
電が行なわれた時も同様な結果になる。なお、放電電流
の立ち上がりから所定時間後、長時間にわたって複数の
時点でV−I特性をサンプリングし、そのようなサンプ
リング結果に基づいて最大放電電力PDを演算すれば、
長時間の放電に対する最大放電電力PDを演算すること
ができる。しかし、長時間の放電が行なわれることは少
ないので、放電電流の立ち上がりから長時間後のデータ
の数は少なくなり、そのようなデータを含めて回帰直線
の演算を行なうと回帰直線の精度を低下させるおそれが
あり、好ましくない。一方、演算された最大放電電力P
Dは多少の誤差を含むことがある。車両の走行パターン
に応じて最大出力が要求され、最大放電電力PDまで放
電を行なった時に、最大放電電力PDに誤差があるとそ
の分だけ端子電圧Vが放電終止電圧Vminを下回ってし
まう。
【0026】そこで、図15に示すように、端子電圧V
が基準電圧V1以下になった時に制限係数Kにより最大
放電電力PDを補正し、出力制限を行なう。この出力制
限は所定時間T2ごとに繰り返し、端子電圧Vが基準電
圧V1以上になるまで行なう。図15において、時刻t
1で放電を開始し、放電電力が最大放電電力PDを越え
たとする。端子電圧Vが基準電圧V1以下になった時刻
t2で、制限係数Kを1からkに更新する。制御遅延時
間T1後の時刻t3で、最大放電電力はk・PDに制限
される。この結果、放電電流Iが減少し、端子電圧Vが
増加する。時刻t2からT2時間後の時刻t4におい
て、端子電圧Vと基準電圧V1を比較し、V<V1であれ
ば制限係数Kを更新して出力を制限し、V≧V1であれ
ば制限係数Kおよび最大放電電力PDを変更しない。こ
の例では、時刻t4でV<V1であるから、制限係数K
をk2とする。制御遅延時間T1後の時刻t5で、最大
放電電力がk2・PDに制限され、放電電流Iが減少し、
端子電圧Vが増加する。次に、時刻t4からT2時間後
の時刻t6においても、V<V1であるから制限係数K
をk3に更新する。制御遅延時間T1後の時刻t7で、
最大放電電力がk3・PDに制限される。その結果、放電
電流Iが減少し、端子電圧Vが増加する。時刻t6から
T2時間後の時刻t8では、端子電圧Vが基準電圧V1
よりも高く、したがって制限係数Kを更新しない。
【0027】放電開始直後の時刻t1からt8までの期
間は、放電電力がオーバーシュートし、最大放電電力P
DがT2時間ごとに頻繁に制限されている。上述したよ
うに、この放電開始直後の放電電力のオーバーシュート
は最大放電電力PDの演算誤差に起因するものである。
一方、定常状態になった時刻t9において、ふたたびV
<V1が検出され、制限係数Kがk4に更新される。制御
遅延時間T1後の時刻t10で、最大放電電力PD’が
4・PDに制限され、放電電流Iが減少し、端子電圧V
が増加する。この定常状態における放電電力の超過は、
上述したように長時間にわたって放電が継続したためで
ある。時刻t12において放電モードから回生充電モー
ドに切り換わると、端子電圧Vは急激に上昇し、この時
点において制限係数Kを1にリセットする。
【0028】なお、基準電圧V1は、
【数9】V1≧Vmin を満たす任意の値を選択することができる。また、出力
制限処理の繰り返し時間T2は制御遅延時間T1よりも
長い時間とし、定数kは放電電力のオーバーシュートが
所定の収束時間内に0になる最適な値を設定する。制限
係数Kの最小値を0.1とし、それ以下は0と見なす。
例えば収束時間を3Sとする。k=0.8とした場合、
n=10でKが0.1よりも小さくなるから、繰り返し
時間T2を300mSに選べば3Sで制限係数Kが0と
なり、出力電力が0となる。
【0029】図16は出力制限処理を示すフローチャー
トである。コントローラ16は放電が開始されるとこの
処理を実行する。ステップ11において、端子電圧Vを
基準電圧V1と比較し、V<V1であればステップ12へ
進み、V≧V1であればステップ18へ進む。V≧V1の
時は、ステップ18で電流Iが負か、すなわち放電モー
ドから回生充電モードに切り換わったかどうかを確認す
る。放電モードのままであればステップ11へ戻り、回
生充電モードに切り換わるとステップ17へ進む。ステ
ップ17では、出力制限回数を示す変数nに0を設定し
て処理を終了する。一方、V<V1の時は、ステップ1
2で出力制限回数を示す変数nをインクリメントする。
なお、変数nの初期値は0である。ステップ13で制限
係数Kを設定する。第1回目の出力制限時にはn=1で
あるから、制限係数Kはkである。ステップ14で、演
算された最大放電電力PDに制限係数Kを乗じて補正す
る。ステップ15では、タイマーにT2時間を設定して
スタートさせる。このT2時間は、図15で説明した出
力制限処理の繰り返し時間である。ステップ16で、電
流Iが負か、すなわち放電モードから回生充電モードに
切り換わったかどうかを確認し、回生充電モードに切り
換わったらステップ17へ進み、変数nに0を設定して
処理を終了する。一方、放電モードが継続している時は
ステップ19へ進み、タイマーがタイムアップしてT2
時間が経過したかどうかを確認する。T2時間が経過し
たらステップ11へ戻り、上記処理を繰り返す。
【0030】《回生制限処理》力行時と同様に回生充電
時においても、車両の走行パターンによっては最大充電
電力PCを越える回生電力が発生することがある。最大
充電電力PCは、放電電流の立ち上がりから比較的、短
時間の間にサンプリングされたデータに基づいて演算さ
れた電力であり、短時間に回生充電可能な電力というこ
とができる。例えば、電力演算時のサンプリング間隔よ
りも長い時間、大電流の回生充電が行なわれると、最大
充電電力PCを越えてしまい、端子電圧Vが許容最大電
圧Vmaxを越える。また、演算された最大充電電力PCは
多少の誤差を含むことがある。車両の走行パターンに応
じて最大回生ブレーキ力が要求され、最大充電電力PC
で充電を行なった時に、最大充電電力PCに誤差がある
とその分だけ端子電圧Vが許容最大電圧Vmaxを越えて
しまう。
【0031】そこで、図17に示すように、端子電圧V
が基準電圧V2を越えた時に制限係数Kにより最大充電
電力PCを補正し、回生制限を行なう。この回生制限は
所定時間T2ごとに繰り返し、端子電圧Vが基準電圧V
2以下になるまで行なう。図17において、時刻t1で
回生充電を開始し、充電電力が最大充電電力PCを越え
たとする。端子電圧Vが基準電圧V2を越えた時刻t2
で、制限係数Kを1からkに更新する。制御遅延時間T
1後の時刻t3で、最大充電電力PCがk・PCに制限さ
れる。この結果、充電電流Iおよび端子電圧Vが減少す
る。時刻t2からT2時間後の時刻t4において、端子
電圧Vと基準電圧V2を比較し、V>V2であれば制限係
数Kを更新して出力を制限し、V≦V2であれば制限係
数Kおよび最大充電電力PCを変更しない。この例で
は、時刻t4でV>V2であるから、制限係数Kをk2
する。制御遅延時間T1後の時刻t5で、最大充電電力
がk2・PCに制限され、充電電流Iおよび端子電圧Vが
減少する。次に、時刻t4からT2時間後の時刻t6に
おいても、V>V2であるから制限係数Kをk3に更新す
る。遅延時間T1後の時刻t7で最大充電電力がk3
PCに制限され、放電電流Iおよび端子電圧Bが減少す
る。時刻t6からT2時間後の時刻t8では、端子電圧
Vが基準電圧V2よりも低く、したがって制限係数Kを
更新しない。
【0032】回生充電開始直後の時刻t1からt8まで
の期間は、充電電力がオーバーシュートし、最大充電電
力PCがT2時間ごとに頻繁に制限されている。上述し
たように、この回生充電開始直後の充電電力のオーバー
シュートは最大充電電力PCの演算誤差に起因するもの
である。一方、定常状態になった時刻t9において、ふ
たたびV>V2が検出され、制限係数Kがk4に更新され
る。制御遅延時間T1後の時刻t10で、最大充電電力
がk4・PCに制限され、充電電流Iおよび端子電圧Vが
減少する。この定常状態における充電電力の超過は、上
述したように長時間にわたって充電が継続したためであ
る。時刻t12において回生充電モードから放電モード
に切り換わると、端子電圧Vは急激に低下し、この時点
において制限係数Kを1にリセットする。
【0033】なお、基準電圧V2は、
【数10】V2≦Vmax を満たす任意の値を選択することができる。また、回生
制限処理の繰り返し時間T2は制御遅延時間T1よりも
長い時間とし、定数kは充電電力のオーバーシュートが
所定の収束時間内に0になる最適な値を設定する。制限
係数Kの最小値を0.1とし、それ以下は0と見なす。
例えば、収束時間を3Sとする。k=0.8とした場
合、n=10でKが0.1よりも小さくなるから、繰り
返し時間T2を300mSに選べば3Sで制限係数Kが
0となり、回生電力が0となる。上述した出力制限処理
と回生制限処理では、同一の時間間隔T2で制限処理を
行なう例を示したが、出力制限と回生制限においてそれ
ぞれ別個の時間間隔でそれぞれの制限処理を行なうよう
にしてもよい。
【0034】図18は回生制限処理を示すフローチャー
トである。コントローラ16は回生充電が開始されると
この処理を実行する。ステップ21において、端子電圧
Vを基準電圧V2と比較し、V>V2であればステップ2
2へ進み、V≦V2であればステップ28へ進む。V≦
V2の時は、ステップ28で電流Iが正か、すなわち回
生充電モードから放電モードに切り換わったかどうかを
確認する。回生充電モードのままであればステップ21
へ戻り、放電モードに切り換わるとステップ27へ進
む。ステップ27では、回生制限回数を示す変数nに0
を設定して処理を終了する。一方、V>V2の時は、ス
テップ22で回生制限回数を示す変数nをインクリメン
トする。なお、変数nの初期値は0である。ステップ2
3で制限係数Kを設定する。第1回目の出力制限時には
n=1であるから、制限係数Kはkである。ステップ2
4で、演算された最大充電電力PCに制限係数Kを乗じ
て補正する。ステップ25では、タイマーにT2時間を
設定してスタートさせる。このT2時間は、図17で説
明した回生制限処理の繰り返し時間である。ステップ2
6で、電流Iが負か、すなわち回生充電モードから放電
モードに切り換わったかどうかを確認し、放電モードに
切り換わったらステップ27へ進み、変数nに0を設定
して処理を終了する。一方、回生充電モードが継続して
いる時はステップ29へ進み、タイマーがタイムアップ
してT2時間が経過したかどうかを確認する。T2時間
が経過したらステップ21へ戻り、上記処理を繰り返
す。
【0035】なお、図2に示すように、DODが60%
を越えると、放電時の内部抵抗Rと充電時の内部抵抗R
の差が大きくなり、演算される最大充電電力PCは大き
な誤差を含む。しかし、DODが60%を越える状態で
は、電池の真の最大充電電力がインバーター12から回
生される最大電力よりも十分に大きいため、最大充電電
力の演算値PCに大きな誤差があっても問題にならな
い。
【0036】−発明の実施の形態の変形例− 上述した実施形態では、電圧センサー14により電池1
1の両端の端子電圧Vを測定し、電力演算、出力制限お
よび回生制限を行なう例を示した。通常、電気自動車に
は複数の単セルを直列に接続した組電池が用いられるの
で、各単セルの両端電圧(以下、セル電圧と呼ぶ)を測
定し、セル電圧に基づいて電力演算、出力制限および回
生制限を行なうようにしてもよい。図19は、セル電圧
に基づいて充放電電力の演算と出力制限および回生制限
を行なう場合の変形例の構成を示す。電池11Aはn個
の単セル111〜11nが直列に接続されており、各単
セルには電圧センサー141〜14nが並列に接続され
る。これらの電圧センサー141〜14nの出力はコン
トローラ16Aに接続される。その他の構成は図1に示
す構成と同様である。
【0037】最大充放電電力PD,PCの演算に際して
は、各電圧センサー141〜14nの検出電圧を加算し
て電池11Aの両端の端子電圧Vとし、上述した方法で
最大充放電電力PD,PCを演算する。出力制限処理に際
しては、上述した基準電圧V1に相当する単セルの基準
電圧V1’を設定し、電圧センサー141〜14nで検
出される最小のセル電圧と基準電圧V1’を比較しなが
ら上述した方法で出力制限を行なう。また、回生制限処
理に際しては、上述した基準電圧V2に相当する単セル
の基準電圧V2’を設定し、電圧センサー141〜14
nで検出される最大のセル電圧と基準電圧V2’を比較
しながら上述した方法で回生制限を行なう。
【0038】−発明の実施の形態の他の変形例− 上述した図19に示す変形例では、電池のセル電圧と電
流に基づいて最大充放電電力の演算と出力/回生制限を
行なう例を示したが、電池のセル電圧、端子電圧および
電流に基づいて最大充放電電力の演算と出力/回生制限
を行なう他の変形例を説明する。この変形例では、図2
0に示すように、上述した図19に示す変形例の構成に
電池11Aの端子電圧Vを測定する電圧センサー14を
付加する。最大充放電電力PD,PCの演算に際しては、
端子電圧センサー14により測定した端子電圧Vと放電
電流Iとに基づいて上述した方法で最大充放電電力P
D,PCを演算する。また、出力制限処理に際しては、基
準電圧V1に相当する単セルの基準電圧V1’を設定し、
セル電圧センサー141〜14nで検出される最小のセ
ル電圧と基準電圧V1’を比較しながら上述した方法で
出力制限を行なう。回生制限処理に際しては、基準電圧
V2に相当する単セルの基準電圧V2’を設定し、セル電
圧センサー141〜14nで検出される最大のセル電圧
と基準電圧V2’を比較しながら上述した方法で回生制
限を行なう。
【0039】なお、端子電圧センサー14により測定し
た端子電圧に基づいて最大充放電電力PD,PCを演算し
た後、セル電圧センサー141〜14nで検出される最
小のセル電圧と端子電圧センサー14により測定した端
子電圧の内のいずれかが基準電圧(V1またはV1’)以
下になった時に出力制限を行なうとともに、端子電圧ま
たは最大のセル電圧が基準電圧(V2またはV2’)以上
になった時に回生制限を行なうようにしてもよい。
【0040】以上の一実施形態の構成において、電圧セ
ンサー14が電圧測定手段および端子電圧測定手段を、
電圧センサー141〜14nがセル電圧測定手段を、電
流センサー15が電流測定手段を、コントローラ16,
16Aが電力演算手段、電力制限手段および制御手段を
それぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態の電気自動車の構成を示すブロッ
ク図。
【図2】 電池の放電深度(DOD)と内部抵抗との関
係を示す図。
【図3】 一定電流で放電した時の電池の端子電圧の変
化を示す図
【図4】 放電時の端子電圧と放電電流のサンプリング
データによる回帰直線を示す図。
【図5】 放電中の端子電圧と放電電流のサンプリング
タイミングを説明する図。
【図6】 放電電流の立ち上がりから所定時間後に放電
電流と端子電圧をサンプリングした場合を示す図。
【図7】 図6に示すサンプリングデータをV−Iグラ
フにプロットし、直線回帰した図。
【図8】 放電電流の立ち上がりから所定時間Δt1後
とΔt2後に放電電流と端子電圧をサンプリングした場
合を示す図。
【図9】 図8に示すサンプリングデータをV−Iグラ
フにプロットし、直線回帰した図。
【図10】 電気自動車の通常の走行パターンにおいて
複数の時点でV−I特性のサンプリングをした例を示す
図。
【図11】 図10に示すサンプリングデータをV−I
グラフにプロットし、直線回帰した図。
【図12】 図10に示すサンプリングデータをサンプ
リングタイミングと放電電流により分類した図。
【図13】 サンプリングデータのストック方法を説明
する図。
【図14】 電力演算処理を示すフローチャート。
【図15】 出力制限を説明する図。
【図16】 出力制限処理を示すフローチャート。
【図17】 回生制限処理を示す図。
【図18】 回生制限処理を示すフローチャート。
【図19】 電池のセル電圧と電流を測定し、最大充放
電電力の演算と、出力制限および回生制限を行なう変形
例の構成を示す図。
【図20】 電池のセル電圧、端子電圧および電流を測
定し、最大充放電電力の演算と、出力制限および回生制
限を行なう他の変形例の構成を示す図。
【符号の説明】
11,11A 電池 12 インバータ 13 モータ 14,141〜14n 電圧センサー 15 電流センサー 16,16A,16B コントローラ 111〜11n 単セル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池の電圧を測定する電圧測定手段と、 前記電池に流れる電流を測定する電流測定手段と、 前記電圧測定手段と前記電流測定手段により測定された
    放電電流増加時の電圧と電流に基づいて前記電池の最大
    放電電力を演算する電力演算手段と、 前記電圧測定手段により測定された前記電池の電圧が第
    1の電圧より低下した時に前記電力演算手段により演算
    された最大放電電力を制限する電力制限手段と、 前記電力制限手段により制限された最大放電電力にした
    がって前記電池の放電を制御する制御手段とを備えるこ
    とを特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電気自動車の電力制御
    装置において、 前記電力演算手段は、前記電圧測定手段と前記電流測定
    手段により測定された放電電流増加時の電圧と電流に基
    づいて前記電池の最大充電電力を演算し、 前記電力制限手段は、前記電圧測定手段により測定され
    た前記電池の電圧が第2の電圧を超過した時に前記電力
    演算手段により演算された最大充電電力を制限し、 前記制御手段は、前記電力制限手段により制限された最
    大充電電力にしたがって前記電池の充電を制御すること
    を特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  3. 【請求項3】 複数の単セルが直列に接続された電池に
    おける各単セルの電圧を測定するセル電圧測定手段と、 前記電池に流れる電流を測定する電流測定手段と、 前記セル電圧測定手段と前記電流測定手段により測定さ
    れた放電電流増加時の電圧と電流に基づいて前記電池の
    最大放電電力を演算する電力演算手段と、 前記セル電圧測定手段により測定された前記複数の単セ
    ルの電圧の内の最小電圧が第3の電圧より低下した時
    に、前記電力演算手段により演算された最大放電電力を
    制限する電力制限手段と、 前記電力制限手段により制限された最大放電電力にした
    がって前記電池の放電を制御する制御手段とを備えるこ
    とを特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の電気自動車の電力制御
    装置において、 前記電力演算手段は、前記セル電圧測定手段と前記電流
    測定手段により測定された放電電流増加時の電圧と電流
    に基づいて前記電池の最大充電電力を演算し、 前記電力制限手段は、前記セル電圧測定手段により測定
    された前記複数の単セルの電圧の内の最大電圧が第4の
    電圧を超過した時に、前記電力演算手段により演算され
    た最大充電電力を制限し、 前記制御手段は、前記電力制限手段により制限された最
    大充電電力にしたがって前記電池の充電を制御すること
    を特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  5. 【請求項5】 複数の単セルが直列に接続された電池の
    端子電圧を測定する端子電圧測定手段と、 前記電池に流れる電流を測定する電流測定手段と、 前記端子電圧測定手段と前記電流測定手段により測定さ
    れた放電電流増加時の端子電圧と電流に基づいて前記電
    池の最大放電電力を演算する電力演算手段と、 前記電池の各単セルの電圧を測定するセル電圧測定手段
    と、 前記セル電圧測定手段により測定された前記複数の単セ
    ルの電圧の内の最小電圧が第3の電圧より低下した時
    に、前記電力演算手段により演算された最大放電電力を
    制限する電力制限手段と、 前記電力制限手段により制限された最大放電電力にした
    がって前記電池の放電を制御する制御手段とを備えるこ
    とを特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の電気自動車の電力制御
    装置において、 前記電力演算手段は、前記端子電圧測定手段と前記電流
    測定手段により測定された放電電流増加時の端子電圧と
    電流に基づいて前記電池の最大充電電力を演算し、 前記電力制限手段は、前記セル電圧測定手段により測定
    された前記複数の単セルの電圧の内の最大電圧が第4の
    電圧を超過した時に、前記電力演算手段により演算され
    た最大充電電力を制限し、 前記制御手段は、前記電力制限手段により制限された最
    大充電電力にしたがって前記電池の充電を制御すること
    を特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  7. 【請求項7】 複数の単セルが直列に接続された電池の
    端子電圧を測定する端子電圧測定手段と、 前記電池に流れる電流を測定する電流測定手段と、 前記端子電圧測定手段と前記電流測定手段により測定さ
    れた放電電流増加時の端子電圧と電流に基づいて前記電
    池の最大放電電力を演算する電力演算手段と、 前記電池の各単セルの電圧を測定するセル電圧測定手段
    と、 前記端子電圧測定手段により測定された端子電圧が第1
    の電圧より低下した時、または前記セル電圧測定手段に
    より測定された前記複数の単セルの電圧の内の最小電圧
    が第3の電圧より低下した時に、前記電力演算手段によ
    り演算された最大放電電力を制限する電力制限手段と、 前記電力制限手段により制限された最大放電電力にした
    がって前記電池の放電を制御する制御手段とを備えるこ
    とを特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の電気自動車の電力制御
    装置において、 前記電力演算手段は、前記端子電圧測定手段と前記電流
    測定手段により測定された放電電流増加時の端子電圧と
    電流に基づいて前記電池の最大充電電力を演算し、 前記電力制限手段は、前記端子電圧測定手段により測定
    された端子電圧が第2の電圧を超過した時、または前記
    セル電圧測定手段により測定された前記複数の単セルの
    電圧の内の最大電圧が第4の電圧を超過した時に、前記
    電力演算手段により演算された最大充電電力を制限し、 前記制御手段は、前記電力制限手段により制限された最
    大充電電力にしたがって前記電池の充電を制御すること
    を特徴とする電気自動車の電力制御装置。
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