JPH09223825A - 圧電応用素子 - Google Patents

圧電応用素子

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JPH09223825A
JPH09223825A JP3038596A JP3038596A JPH09223825A JP H09223825 A JPH09223825 A JP H09223825A JP 3038596 A JP3038596 A JP 3038596A JP 3038596 A JP3038596 A JP 3038596A JP H09223825 A JPH09223825 A JP H09223825A
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JP
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piezoelectric
elastic body
layer
electrode
electromechanical conversion
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JP3038596A
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English (en)
Inventor
Kenichi Muramatsu
研一 村松
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜形成技術により圧電素子を形成した圧電
応用素子では、成膜過程で高温の成膜又は熱処理を行う
と、圧電素子の圧電性低下や剥離が発生してしまう。 【解決手段】 圧電応用素子の弾性体と電気機械変換素
子との間に、高融点であって酸化し難い金属,高融点の
貴金属又はこれらの合金からなる電極を、薄膜形成技術
により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機械変換素子
が表面に形成された弾性体を備える圧電応用素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、振動アクチュエータ等のアクチュ
エータ,メカニカルフィルターさらにはジャイロといっ
た圧電効果を利用した圧電応用素子を構成する弾性体の
表面に、例えば圧電素子,磁歪素子さらには電歪素子と
いった電気機械変換素子を形成するには、電気機械変換
素子を、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からな
る別部品により薄板状に形成しておき、形成した電気機
械変換素子を弾性体の表面に例えば接着により貼付して
いた。
【0003】しかし、このように電気機械変換素子を弾
性体の表面に貼付する場合、製造技術上の制約から、電
気機械変換素子の厚さをある所定値以下に小さくするこ
とができない。そのため、前述の圧電応用素子の出力を
所望の値に確保するためには、高い駆動電圧を印加する
必要があり、このために装置全体の小型化を計ることが
難しかった。
【0004】そこで、例えば特開昭63−28279号
公報には、チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電素子を、
蒸着,スパッタリング等の薄膜形成技術により弾性体表
面に薄膜状に成膜した振動アクチュエータが提案されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、弾性体の表
面に薄膜形成技術により薄膜状に成膜された電気機械変
換素子が圧電特性を有するためには、チタン酸ジルコン
酸鉛を用いて圧電素子を構成する場合には、チタン酸ジ
ルコン酸鉛の結晶構造をペロブスカイト型とする必要が
ある。
【0006】すなわち、薄膜形成技術により電気機械変
換素子を形成するには、通常は、高温域で薄膜を成膜す
るか、又は低温域で非晶質の薄膜を成膜した後に熱処理
を行うが、この際の成膜温度や熱処理温度の高低によっ
て、得られる結晶構造が著しく異なる。
【0007】図12には、成膜温度又は熱処理温度の違
いに基づく結晶構造の違いをグラフで示す。同図に示す
ように、熱処理温度が(室温〜300℃)程度又は熱処
理しないままでは殆どが非晶質となり、熱処理温度が4
00℃程度になると主にパイロクロア型となり、熱処理
温度が500℃程度になるとパイロクロア型とペロブス
カイト型の混在となり、さらに、熱処理温度が600℃
以上になると主にペロブスカイト型となる。
【0008】このように、成膜又は熱処理が高温域で行
われ結晶相が600℃以上の高温で形成された場合に
は、圧電性を有するペロブスカイト相だけが生成するも
のの、熱処理が低温域で行われ結晶相の形成が充分に高
い温度でなされなかった場合には、ペロブスカイト相と
ともに、圧電性を全く有さないパイロクロア相も生成し
てしまう。
【0009】そのため、薄膜形成技術によって形成され
た電気機械変換素子が圧電性を有するためには、圧電体
層の形成を、例えば600℃以上の高温域で行うか、低
温で成膜された薄膜層に、例えば600℃以上の高温域
で熱処理を施すことが必要となる。
【0010】また、使われている電気機械変換素子の殆
どのものが、印加電界当たりの変位量が大きいことか
ら、チタン酸ジルコン酸鉛に代表されるように鉛系の酸
化物材料であり、陽イオンの半分近くが還元され易い鉛
イオンである。そのため、例えば600℃以上の高温域
で相の形成がなされた後に熱処理を行う場合にも、雰囲
気は酸素に富んだ状態である。
【0011】そのため、弾性体にステンレス鋼等の鉄系
の合金を用いる場合には、例えば600℃以上の高温域
で成膜や熱処理を行うことは、弾性体表面が酸化された
り、電気機械変換素子と弾性体との間で酸素原子や鉛原
子の拡散等の物質移動に代表される化学反応が起こる可
能性が高い。このような化学反応により、弾性体の表面
に酸化層が形成されたり、弾性体や電気機械変換素子の
界面付近での化学組成が変化することにより、圧電特性
が低下したり、電気機械変換素子と弾性体との密着強度
が著しく低下してしまうおそれがあった。
【0012】さらに、弾性体に生じる2つの固有振動数
を一致させるために、電気機械変換素子の弾性率や密
度,さらには形状を正確に把握して計算を行う必要があ
る。しかし、電気機械変換素子を別部品として貼付する
ことによる従来の技術では、弾性体と電気機械変換素子
との間に不可避的に存在してしまう接着層の影響を受け
るため、前述の計算値に誤差を生じてしまい、正確に周
波数を一致させることができなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、薄膜形成技術
により電気機械変換素子が表面に形成された弾性体を備
える圧電応用素子であって、前記弾性体と前記圧電応用
素子との間に、高融点であって酸化し難い金属,高融点
の貴金属又はこれらの合金からなる電極を配置したこと
を特徴とする。
【0014】上記の本発明における「薄膜形成技術」と
は、蒸着,スパッタリング,CVDさらにはゾルゲル法
等の機能性薄膜の形成技術をいう。形成される薄膜の厚
さは、1μm程度であり、従来の電気機械変換素子の厚
さに比較すると1/100以下である。
【0015】本発明における「電気機械変換素子」と
は、圧電素子,磁歪素子さらには電歪素子等を包含す
る。さらに、本発明における「高融点で酸化し難い金
属」とはニッケル,クロム,コバルト等をいい、「高融
点の貴金属」とは白金,レニウム,ロジウム,パラジウ
ム等をいう。
【0016】すなわち、鉄,アルミニウムさらには銅等
の低融点の金属原子は、高温環境下では、極めて酸素原
子と結合して酸化し易い。しかも、これらの原子は低融
点であるためにペロブスカイト相が安定に生成するよう
な高温域では、極めて容易に原子の拡散が起こり易い。
【0017】したがって、これらの金属、又はこれらの
金属を多く含有する合金により電極を構成し、その表面
にペロブスカイト型のように高温で安定な電気機械変換
素子を形成することは、特にそれがチタン酸ジルコン酸
鉛のような鉛系酸化物である場合には、還元環境下での
処理が不可能であり、しかも電気機械変換素子自体も酸
化物であるために電極の酸化を避けることができないた
め、極めて難しい。
【0018】さらに、熱処理時には、電極の原子は極め
て拡散し易い状態にあり、しかも電気機械変換素子中の
鉛原子も極めて低融点であるため、電気機械変換素子か
ら弾性体への鉛原子の拡散も避けることができない。
【0019】弾性体表面,又は弾性体と電気機械変換素
子との界面における酸化膜の生成は、電気機械変換素子
と弾性体との付着強度を低下させ、電気機械変換素子を
剥離させ易くするものであり、特に高温域での生成で
は、酸化した弾性体表面上には電気機械変換素子は殆ど
付着しない。
【0020】また、弾性体と電気機械変換素子との界面
における弾性体酸化層の形成,弾性体中への鉛原子の拡
散による拡散層の形成、さらには前述の拡散層の形成に
よる界面近傍での電気機械変換素子中の鉛欠乏層の形成
等といったように、弾性体と電気機械変換素子との間
に、電極以外の低誘電率の誘電体層が形成されること
は、結果的に圧電効果を著しく阻害することになる。
【0021】これに対し、電極がニッケル,クロム,コ
バルト等の高融点で酸化し難い金属,又は白金,レニウ
ム,ロジウム,パラジウム等の融点の高い貴金属、さら
にそれらの合金からなる場合には、高温での成膜でも表
面に酸化層ができ難いため、弾性体と電気機械変換素子
との間に拡散層等が形成され難く、また熱処理時にも弾
性体と圧電素子との間で物質拡散が起こり難いため、そ
れにより圧電効果が阻害されるおそれもない。
【0022】このように、本発明にかかる圧電応用素子
では、弾性体と電気機械変換素子との間に配置される電
極が、高融点であって酸化し難い金属,高融点の貴金属
又はこれらの合金により形成されるため、熱処理による
電極の酸化量が抑制されて弾性体と電気機械変換素子と
の間に酸化膜が形成され難くなる。
【0023】また、熱処理により弾性体から電気機械変
換素子へ電極構成原子が本発明の電極に遮断されて、拡
散する量が少なくなって、弾性体と電気機械変換素子と
の間に拡散層が形成され難くなる。
【0024】さらに、従来の電気機械変換素子の厚さの
1/100以下になるとともに接着層を介在しないた
め、接着層による振動吸収層が存在せず、固有振動数の
計算の際の誤差分が低減される。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、本発明を添付図面を参照しなが
ら、さらに詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明を振動アクチュエータの一
例である超音波アクチュエータに適用した第1実施形態
を示す分解斜視図であり、図2は、第1実施形態におい
て、上部電極が形成された弾性体を示す平面図である。
図1に示すように、一方の平面側の縁部に多数の凸部3
aが連設された円環状の弾性体3について、他方の平面
側に、Ta層及びPt層からなる下部電極5aがスパッ
タリングにより形成され、この下部電極5aの上に、チ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電体層4がスパッタ
リングにより形成される。
【0027】この圧電体層4の表面には、図2に示すよ
うに、円周方向に多数分割されたTa層及びPt層から
なるからなる上部電極5bがスパッタリングにより形成
される。
【0028】なお、Ta層は、Pt層と基板との付着強
度を充分に確保するために形成する。Ta層自体も基板
との反応が発生し難い物質であり、電極の構成材料にな
り得る。しかし、酸化し易いためにTa層の上に直接的
にPZTからなる圧電体層4を設けると、PZTからな
る圧電体層4中の酸素を吸い取るおそれがある。
【0029】弾性体3の一方の平面に、スパッタリング
法によりTa層及びPt層からなる下部電極5aを形成
する条件を以下に列記する。 (Ta層)Taターゲットを用い、RFスパッタ法によ
り以下の条件でスパッタリングを行った。
【0030】RFパワー:1.5W/cm2 スパッタガス:Arガス 1Pa スパッタ時間:10分間 基板温度:200℃
【0031】(Pt層)Ptターゲットを用い、RFス
パッタ法により以下の条件でスパッタリングを行った。
【0032】RFパワー:1.5W/cm2 スパッタガス:Arガス 1Pa スパッタ時間:30分間 基板温度:200℃
【0033】この下部電極5aの膜厚は、約1μm程度
である。次に、下部電極5aの表面への圧電体層4につ
いて述べる。圧電体層4を形成する条件を以下に列記す
る。
【0034】(PZT層)PbO:ZrO2 :TiO2
=1:0.5:0.5(モル比)からなるターゲットを
用い、RFスパッタ法により以下の条件でスパッタリン
グを行った。
【0035】RFパワー:2W/cm2 スパッタガス:Ar/O2 =90/10,1Pa スパッタ時間:4時間 基板温度:600℃
【0036】さらに、この圧電体層4の表面に矩形の平
面形状のTa層及びPt層からなる上部電極5bを、ス
パッタリングにより成膜した。また、この上部電極5b
はスパッタリングの際にマスキングを行って、図2に示
すように円周方向に多数分割された形で形成した。
【0037】弾性体3は、圧電体層4に図示しない駆動
電圧装置から上部電極5a及び上部電極5bを介して、
駆動電圧を印加されることにより、前述の凸部3aに進
行性振動波が発生する。
【0038】このような弾性体3の前述した凸部3aに
対して、図示しない支持機構により回転自在に支持され
た円環状のロータ部材1がその一方の平面に貼付された
摺動材2を介して、加圧接触する。
【0039】さらに、スパッタリングに伴う弾性体3の
変形を修正するため、弾性体3に対して研削加工及び研
磨加工を施した。この後、成膜した圧電体層4を完全な
ペロブスカイト層とするとともに加工歪を除去するた
め、650℃に5時間保持する熱処理を行った。
【0040】なお、薄膜状に形成された下部電極5aの
縁部と上部電極5bとに、配線用の銅箔をそれぞれ接合
し、図示しない駆動電圧発生装置に接続した。その後
に、下部電極5a及び上部電極5bに、図2に示すよう
に隣接する電極同士で符号が逆になるように電圧を印加
することにより、圧電体層4の分極処理を大気中で行っ
た。
【0041】このように構成された超音波アクチュエー
タにおいて、分極処理を施した圧電体層4に前述の駆動
電圧装置から入力A相と入力B相とで、π/2の位相差
を設けて交流電界を駆動電圧として印加すると、弾性体
3表面に進行波が発生して凸部3aに楕円運動が発生
し、この楕円運動によりロータ部材1が回転・駆動され
ることが確認された。
【0042】このようなロータ部材1の回転の際、圧電
体を貼付することにより形成される従来の超音波アクチ
ュエータに比較して、圧電特性が低下したり、電気機械
変換素子4と弾性体3との密着強度が低下することはな
かった。
【0043】さらに、従来の超音波アクチュエータに比
較すると、同一の駆動トルクを発生するには、圧電体層
4が約1/500に薄膜化されたために、90%程度駆
動電圧を低下することができた。
【0044】(第2実施形態)図3は、本発明を振動ア
クチュエータの一例である超音波アクチュエータに適用
した第2実施形態を示す斜視図である。
【0045】本実施形態は、略述すれば、矩形平板状の
弾性体(板厚:3mm)の表面に形成された圧電素子に
駆動電圧を印加することにより、弾性体を励振して、弾
性体に縦1次振動モードと屈曲4次振動モードとを調和
的に発生させること(縮退)により、接触する固定部材
に対して弾性体を自走させるか、もしくは弾性体に接触
する移動体を駆動する超音波アクチュエータに適用した
実施形態である。
【0046】図3において、矩形平板状の弾性体101
の表面に、スパッタリングによりTa層及びPt層から
なる下部電極103aを薄膜状に形成する。この厚さは
約10μm程度である。
【0047】さらに、下部電極103aの表面には圧電
体層102がスパッタリングにより形成され、さらに圧
電体層102の表面には、Ta層及びPt層からなる上
部電極103b,103cが形成される。圧電体層10
2の形成条件は、前述した第1実施形態と全く同様であ
り、上部電極103b,103cの厚さは0.1μm程
度である。
【0048】本実施形態では、圧電体層102の形成に
伴って、弾性体101の縦振動1次モードと屈曲振動4
次モードとの関係(共振周波数及び反共振周波数)にず
れが発生するため、二つの振動モードの共振周波数及び
反共振周波数を一致させるように、圧電体層102の形
成後に、弾性体101の長手方向の両端面に研削加工を
行って、前述のずれの調整を行った。
【0049】さらに、この研削加工による加工歪を除去
するとともに、圧電体層102の完全なペロブスカイト
化を図るため、第1実施形態と全く同様に、650℃に
5時間保持する熱処理を行った。
【0050】このようにして形成された下部電極103
a及び上部電極103b,103cに対して、配線用の
銅箔を接合するため、各電極103a,103b及び1
03cにはんだ箔を接合した。ポーリングは第1実施形
態と同様の条件で大気中で行った。
【0051】このような構成を有する超音波アクチュエ
ータにおいて、上部電極103bに交流電圧A相,上部
電極103bにA相と位相が90°異なる交流電圧B相
を印加すると、弾性体101の下面に突起状に形成され
た二つの駆動力取出部101a,101bの先端に楕円
運動が発生し、加圧接触される相対運動部材(不図示)
との間で相対運動を生じることができた。
【0052】この回転の際、圧電体を貼付することによ
り形成される従来の超音波アクチュエータに比較して、
圧電特性が低下したり、電気機械変換素子と弾性体との
密着強度が低下することはなかった。
【0053】さらに、従来の超音波アクチュエータに比
較すると、同一の駆動トルクを発生するには、圧電体層
4が約1/500に薄膜化されたために、90%駆動電
圧を低下することができた。
【0054】(第3実施形態)図4は、本発明の第3実
施形態の構成を示す斜視図である。本実施形態は、第2
実施形態と同様に構成される超音波アクチュエータにお
いて、高温環境下で使用するタイプに応用する例であ
る。
【0055】すなわち、本実施形態では、弾性体励振用
の圧電体層203として、キューリー温度Tcが490
℃にあり、高温環境下で使用しても分極処理の劣化が起
こり難いチタン酸鉛(PT)を選択した。
【0056】弾性体201の一方の平面に、Ta層及び
Pt層からなる下部電極202がスパッタリングにより
形成されており、この下部電極202の表面にチタン酸
鉛からなる圧電素子相203が形成されており、さらに
その表面にTa層及びPt層からなる上部電極204
a,204bが形成される。上部電極204a,204
bはスパッタリングにより成膜される。
【0057】本実施形態でも、チタン酸鉛からなる圧電
素子層203の形成に伴い、弾性体の縦1次振動モード
と屈曲4次振動モードとの関係にずれが生じるため、両
振動モードの共振周波数又は反共振周波数を一致させる
ように、圧電素子層203の形成後に弾性体201の加
工を行った。
【0058】さらに、この加工による加工歪を除去する
とともに、チタン酸鉛層の完全なペロブスカイト化を図
るため、第1実施形態と同様に650℃に5時間保持す
る熱処理を行った。また、上部電極204a,204
b,下部電極202に対し、配線用の銅箔を接合するた
めに、電極にはんだ箔を接合し、リフロー式はんだ付け
炉中で400℃の熱処理を行った。ポーリングは第1実
施形態及び第2実施形態と同様に、大気中で行った。
【0059】本実施形態の超音波アクチュエータにおい
ても、上部電極204aに交流電圧A相,上部電極20
4bにA相と位相が90度異なる交流電圧B相を実効電
圧で±10V印加したところ、弾性体201の突起部2
01a,201bの先端に楕円運動を発生し、駆動する
ことが確認された。
【0060】この駆動の際、圧電体を貼付することによ
り形成される従来の超音波アクチュエータに比較して、
圧電特性が低下したり、電気機械変換素子と弾性体との
密着強度が著しく低下することはなかった。
【0061】さらに、従来の超音波アクチュエータに比
較すると、同一の駆動トルクを発生するには、圧電体層
203が約1/500に薄膜化されたために、90%程
度駆動電圧を低下することができた。
【0062】(第4実施形態)図5は、本発明の第4実
施形態の構成を示す説明図であり、図5(A)は斜視
図,図5(B)は図5(A)のa−a断面図,図5
(C)は図5(A)のb−b断面図である。
【0063】本実施形態は、円柱状の弾性体の両端もし
くは一端を、圧電素子によって二次元的に加振すること
により、弾性体上に駆動面が回転しながら進行する進行
性振動波を発生させ、それによって弾性体に加圧接触し
ている移動子に直進運動と回転運動との両方を同時に与
える超音波アクチュエータに適用したものである。
【0064】図5に示すように、弾性体301の両端で
励振を行う円筒状の圧電素子においてスパッタリングに
より圧電素子の形成を行った。この超音波アクチュエー
タは、弾性体301の両端に圧電素子302,303が
形成されており、さらにそれらの圧電素子302,30
3はそれぞれ固定子304,305に固定される。弾性
体301の外周面には、円筒状の移動子306が加圧接
触する。
【0065】ここで、円筒形の弾性体301の両端部3
01a,301bの表面には、Ta層及びPt層からな
る下部電極302a,302bがスパッタリングにより
薄膜状に形成され、下部電極302a,302bの表面
には、チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電素子層303
a,303bが形成され、さらに圧電素子層303a,
303bの上には円周方向に4分割された上部銀電極3
04a1,304a2,304a3,304a4及び3
04b1,304b2,304b3,304b4が形成
される。
【0066】チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電素子層
303a,303bの形成条件は、第1実施形態と同様
である。また、上部銀電極304a1〜304a4,3
04b1〜304b4の形成については、スクリーン印
刷により行った。
【0067】各電極への配線処理は、はんだ付けにより
行った。さらに、分極処理は大気中で行った。このよう
な構成を有する超音波アクチュエータにおいて、一方の
圧電素子303aの電極304a1,304a2,30
4a3,304a4に、左記の順番で隣合う電極間の位
相差がπ/2になるように実効電圧で±5Vの交流電界
を駆動電圧として印加したところ、圧電素子303aは
首振り運動を行うことが確認された。
【0068】このような首振り運動で、しかも圧電素子
303aのそれに対してπ/2の位相差を有する運動を
圧電素子303bにおいても行ったところ、弾性体30
1に振動面を回転させながら進行する進行性振動波が発
生し、これにより移動子306が回転しながら直進する
ことが確認された。
【0069】また、本実施形態において、電極304a
1,304a3及び304b1,304b3のみに入力
電圧を印加した場合、もしくは電極304a2,304
a4及び304b2,304b4にのみ電圧を印加した
場合には、弾性体301上には振動面を回転させないで
進行する通常の進行性振動波が発生し、移動子306は
直進運動のみを行うことが確認された。さらに、圧電素
子302aのみで弾性体を励振し、圧電素子302bで
進行波を吸収するようにしたところ、同様の運動が認め
られた。
【0070】この回転の際、圧電体を貼付することによ
り形成される従来の超音波アクチュエータに比較して、
圧電特性が低下したり、電気機械変換素子と弾性体との
密着強度が著しく低下することはなかった。
【0071】さらに、従来の超音波アクチュエータに比
較すると、同一の駆動トルクを発生するには、圧電体層
302a,302bが約1/500に薄膜化されたため
に、90%駆動電圧を低下することができた。
【0072】(第5実施形態)図6は、本発明の第5実
施形態を示す分解斜視図である。本実施形態は、円環状
の弾性体の面内屈曲振動のうちの非軸対称屈曲振動を発
生し、内周縁部にテーパを有する振動子401と,この
振動子401の内周縁部のテーパを介して接触する回転
子402とを備える超音波アクチュエータである。
【0073】ここで、振動子401は、円環型の弾性体
401aの両面にスパッタリングにより形成されたTa
層及びPt層からなる下部電極401bと,この下部電
極401bの表面にスパッタリングにより形成されたチ
タン酸ジルコン酸鉛からなる圧電素子層401c,40
1dと,さらにそのそれぞれの表面にスパッタリングに
より円周方向に4分割されて形成されたTa層及びPt
層からなる上部電極401e1,401e2,401e
3,401e4及び401f1,401f2,401f
3,401f4という構成からなる。各圧電素子層の形
成条件は、第1実施形態と同様である。
【0074】このようにして形成された電極401e1
〜401e4及び401f1〜401f4に対し、配線
用の銅箔を接合するために、電極と銅箔との間にはんだ
箔を挟み、加圧した状態で高周波炉中で400℃の熱処
理を行った。
【0075】その後、上部電極401e1〜401e
4,401f1〜401f4及び下部電極401bに、
図2に示すように隣接する電極同士で符号が逆向きにな
るように駆動電圧を印加することにより、圧電素子の分
極処理を大気中で行った。
【0076】ここで、上部電極401e1,401e
2,401e3,401e4及び401f1,401f
2,401f3,401f4の2グループの電極群に、
左記の順番で隣合う電極間の位相差がπ/2になるよう
に実効電圧で±5Vの交流電界を駆動電圧として印加し
たところ、振動子401の内周面及び外周面に面内方向
に駆動面を有する進行性振動波が発生し、内周面に接触
する回転子が回転運動を行うことが確認された。
【0077】この回転の際、圧電素子を貼付することに
より形成される従来の超音波アクチュエータに比較し
て、圧電特性が低下したり、電気機械変換素子と弾性体
との密着強度が著しく低下することはなかった。
【0078】さらに、従来の超音波アクチュエータに比
較すると、同一の駆動トルクを発生するには、圧電体層
4が約1/500に薄膜化されたために、90%程度駆
動電圧を低下することができた。
【0079】(第6実施形態)図7は、本発明の第6実
施形態を示す斜視図である。本実施形態は、圧電体の電
界印加方向の垂直方向の変位を利用したアクチュエータ
である。
【0080】このアクチュエータは、弾性体501と,
弾性体501の表面にスパッタリングにより形成された
Ta層及びPt層からなる下部電極502と,下部電極
502上にスパッタリングにより形成されたチタン酸ジ
ルコン酸鉛からなる圧電素子503,及びその表面にス
パッタリングにより形成されたTa層及びPt層からな
る上部電極504という構成からなる。チタン酸ジルコ
ン酸鉛からなる圧電素子層の形成条件は、第1の実施形
態と同様である。なお、図中符号505は圧電素子50
3を保持する固定体である。
【0081】また、下部電極502及び上部電極504
に対して配線用の銅箔を接合するために、はんだ箔を接
合し、加圧した状態でリフロー式はんだ付け炉中で40
0℃の熱処理を行った。ポーリングは、第1の実施形態
と同様に大気中で行った。
【0082】ここで、上部電極504に電界を駆動電圧
として印加したところ、圧電素子層503の両方向の変
位により弾性体501の板状の部分が上下に変位するこ
とが確認された。
【0083】この回転の際、圧電素子を貼付することに
より形成される従来のアクチュエータに比較して、圧電
特性が低下したり、電気機械変換素子と弾性体との密着
強度が低下することはなかった。
【0084】さらに、従来のアクチュエータに比較する
と、同一の駆動トルクを発生するには、圧電素子4が約
1/500に薄膜化されたために、90%程度駆動電圧
を低下することができた。
【0085】(第7実施形態)図8は、本発明の第7実
施形態を示す斜視図である。本実施形態は、圧電体の電
界印加方向の垂直方向についての変位を利用したメカニ
カルフィルタ用振動子である。
【0086】本振動子は、弾性体601と,弾性体60
1の表面にスパッタリングにより形成されたTa層及び
Pt層からなる下部電極602と,下部電極602上に
スパッタリングにより形成されたチタン酸ジルコン酸鉛
からなる圧電素子層603及びその表面にスパッタリン
グにより形成されたTa層及びPt層からなる上部電極
604a,604bという構成からなる。
【0087】チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電素子層
の形成条件は、第1の実施形態と同様である。また、上
部電極604a,上部電極604b,下部電極604
に、配線用の銅箔を接合し、加圧した状態でリフロー式
はんだ付け炉中で400℃の熱処理を行った。ポーリン
グは、第1実施形態と同様に大気中で行った。
【0088】ここで、上部電極604a,604bに交
流電界を駆動電圧として印加したところ、圧電素子層6
03の面方向の変位により弾性体601の板状の部分に
片持ち梁の共振が励振された。さらに、この片持ち梁の
共振振動により圧電素子層603の表面に誘起電荷が発
生することを利用して、上部電極604a,604bと
弾性体601から発生信号を検出したところ、信号は片
持ち梁の共振周波数に等しい周波数のサイン波であっ
た。このことから本振動子が、入力信号からある一定の
周波数の出力信号のみを取り出す周波数フィルタ(メカ
ニカルフィルタ用振動子)として機能することが確認さ
れた。
【0089】この振動の際、圧電素子を貼付することに
より形成される従来の周波数フィルタに比較して、圧電
特性が低下したり、電気機械変換素子と弾性体との密着
強度が低下することはなかった。
【0090】さらに、従来の周波数フィルタに比較する
と、同一の駆動トルクを発生するには、圧電素子層4が
約1/500に薄膜化されたために、90%程度駆動電
圧を低下することができた。
【0091】(第8実施形態)図9は、本発明の第8実
施形態を示す斜視図であり、本発明を振動角速度計に適
用した一例の基本構成を示す。
【0092】Ni−Cr合金からなる直方体振動子70
1の一つの側面に、Ta層及びPt層からなる下部電極
702をスパッタリングにより形成し、この下部電極7
02の表面に、チタン酸ジルコン酸鉛からなる薄膜70
3を電気機械変換素子として形成する。振動子701自
体をグランド電極として使い、チタン酸ジルコン酸鉛膜
703上にスパッタリング法により、振動子軸方向に三
分割された上部電極703を形成する。中央の電極70
3bが駆動用に、両側の電極703a,703cが検出
用に使用される。
【0093】振動子701の振動子軸方向に垂直な断面
は、駆動方向とコリオリ力方向の共振周波数を合わせる
ために略正方形となっている。圧電素子703の形成条
件は第1の実施形態と同様である。また、電極702に
対して、配線用の銅箔を接合するために、電極と銅箔と
の間にはんだ箔を挟み、加圧した状態でリフロー式はん
だ付け炉中で400℃の熱処理を行った。ポーリング
は、第1実施形態と同様に大気中で行った。
【0094】図10は、図9に示した圧電振動角速度計
の動作原理を示すものである。駆動用電極703aに振
動子701の共振周波数に近い交流電圧を印加すると、
図10−1に示すように、振動子701は無拘束条件で
振動し、振動の節点701を境に振動子の中央部分と端
部は反対向きの速度を有する。このとき、振動子701
軸回りに回転が生じると、図10−2に示すように、速
度の方向が反対であるため、振動の接点を境に反対の向
きにコリオリ力を生じる。この力により、図10−3に
示すように、振動子701は電極面内方向で屈曲する。
【0095】外側の二つの検出用電極703a,703
cには、駆動信号(10−1)に起因する圧電信号とコ
リオリ力による変形(10−3)に起因する圧電信号と
が同時に発生する。このうち、コリオリ力に起因する圧
電信号は、二つの電極間で略位相が反対になる。これ
は、例えば、図10−3に示した変形状態では、電極7
03a側には圧縮応力が、電極703b側には引張応力
が作用することになり、二つの電極間で常に応力の符号
が異なるからである。
【0096】一方、駆動に起因する圧電信号は、両電極
間でほぼ同じであるため、両電極から差動信号をとれ
ば、ほぼコリオリ力に起因する圧電信号のみを得ること
ができる。振動子701の断面を正方形として、コリオ
リ力方向と駆動方向の共振周波数を合わせてあるため、
検出用電極703a,703cからの出力を帰還すれ
ば、簡単な発振回路で振動子701を共振周波数付近で
駆動することができる。
【0097】したがって、コリオリ力に基づく振動も共
振状態となり、検出感度が向上する。このように、二方
向の共振周波数を合わせるためには振動子701の形状
精度に対する要求は極めて高く、したがってここでも第
2実施形態及び第3実施形態と同様に圧電素子の形成後
に共振合わせのための加工を行っており、さらにそれに
よる加工歪を取るための熱処理を650℃で行った。
【0098】ところで、振動子701は必ずしも駆動方
向とコリオリ力方向の共振周波数が一致している必要は
なく、例えば、駆動には共振状態でなくとも変位の大き
いユニモルフ型振動を使い、検出のみコリオリ力方向の
共振を使うことができる。このためには、コリオリ力方
向の共振周波数で振動子をユニモルフ駆動させればよ
い。
【0099】図11は、図9に示した振動子の無拘束振
動条件を実現するための振動子の支持方法の一例を示し
たものである。振動の節点に当たる部分でシリコン系接
着剤を用いて支持台705に固定してある。また、簡便
な固定方法として、振動子全体を比較的弾性定数の低い
接着剤に埋め込むことも可能である。
【0100】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明で
は、弾性体と圧電応用素子との間に、高融点であって酸
化し難い金属,高融点の貴金属又はこれらの合金からな
る電極を配置するように構成したため、電極を高温で成
膜したり、電極を低温で成膜した後に低温で熱処理して
も、電極と圧電体層との間での物質拡散を抑制すること
ができ、圧電効果の低下や圧電素子の剥離を恐れずに充
分な熱処理を施すことが可能となった。
【0101】また、電極と圧電体層との間における物質
拡散の抑制により、圧電に必要な結晶層の生成を充分に
図ることが可能となり、圧電効果を最大限に引き出すこ
とができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる圧電応用素子を超音波アクチュ
エータに適用した第1実施形態を示す分解斜視図であ
る。
【図2】第1実施形態の超音波アクチュエータの平面図
である。
【図3】本発明にかかる圧電応用素子を超音波アクチュ
エータに適用した第2実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態の構成を示す斜視図であ
る。
【図5】本発明の第4実施形態の構成を示す説明図であ
る。
【図6】本発明の第5実施形態を示す分解斜視図であ
る。
【図7】本発明の第6実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第7実施形態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第8実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9に示した圧電振動角速度計の動作原理を
示すものである。
【図11】図9に示した振動子の無拘束振動条件を実現
するための振動子の支持方法の一例を示したものであ
る。
【図12】成膜温度又は熱処理温度の違いに基づいた結
晶構造の違いの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ロータ部材 2 摺動材 3 弾性体 3a 凸部 4 圧電素子層 5a 下部電極 5b 上部電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜形成技術により電気機械変換素子が
    表面に形成された弾性体を備える圧電応用素子であっ
    て、 前記弾性体と前記電気機械変換素子との間に、高融点で
    あって酸化し難い金属,高融点の貴金属又はこれらの合
    金からなる電極を配置したことを特徴とする圧電応用素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された圧電応用素子にお
    いて、 前記圧電応用素子は、振動アクチュエータであることを
    特徴とする圧電応用素子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された圧電応用素子にお
    いて、 前記圧電応用素子は、圧電アクチュエータであることを
    特徴とする圧電応用素子。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載された圧電応用素子にお
    いて、 前記圧電応用素子は、メカニカルフィルタであることを
    特徴とする圧電応用素子。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載された圧電応用素子にお
    いて、 前記圧電応用素子は、ジャイロであることを特徴とする
    圧電応用素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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