JPH09241821A - 浸炭歯車 - Google Patents
浸炭歯車Info
- Publication number
- JPH09241821A JPH09241821A JP4854896A JP4854896A JPH09241821A JP H09241821 A JPH09241821 A JP H09241821A JP 4854896 A JP4854896 A JP 4854896A JP 4854896 A JP4854896 A JP 4854896A JP H09241821 A JPH09241821 A JP H09241821A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carburized
- gear
- steel
- content
- tooth
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Gears, Cams (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Abstract
力抑えた廉価な鋼を母材とし、耐剥離性と曲げ疲労強度
に優れた浸炭歯車を提供すること。 【解決手段】母材が、重量%で、C:0.1〜0.3
%、Mn:0.2〜1.4%、Cr:0.1〜1.5
%、B:0.001〜0.005%、Al:0.01〜
0.1%、Mo:0〜0.15%、Nb:0〜0.05
%、Ti:0〜0.05%、N:0〜0.015%、S
i:0.4%以下、Ni:0.5%以下、P:0.03
%以下、S:0.03%以下、残部Fe及び不純物の化
学組成の鋼であって、浸炭硬化層の表面C量が0.6〜
1.1重量%で、且つその浸炭硬化層の表面から深さ
0.5mmまでの領域におけるトルースタイトの面積分
率が歯面部では5%以下で、歯元部では5%以上である
ことを特徴とする浸炭歯車。
Description
より詳しくは疲労による剥離に対する抵抗性と曲げ疲労
強度に優れた浸炭歯車に関する。
用の歯車には、歯面に繰り返しの高い応力が作用する。
このため、歯車の互いに噛み合う歯の接触部となる歯面
においては疲労による剥離(スポーリングやピッチン
グ)に対する寿命の長いことが、又、非接触部となる歯
元においては曲げ疲労に対する寿命の長いことが要求さ
れる。ここで、繰り返しの面圧が負荷されることによっ
て歯面が剥離する疲労現象のうち、剥離が比較的大きな
ものは「スポーリング」、又、剥離が比較的小さいもの
は「ピッチング」と呼ばれることもある。この歯面の剥
離(以下、単に「剥離」ともいう)は、歯車回転時の騒
音の原因や、歯の部分欠損の原因となる。
ンの出力向上や構造部品の小型化、軽量化が求められる
ようになってきた。このため、歯車への負荷はますます
大きくなり、前記の「剥離」や「曲げ疲労」に対する対
策が重要になっている。
0、SCM420やSNCM420などを母材(素材
鋼)として所望形状に加工した後、これに浸炭処理を施
して製造されてきた。しかし、前記のJIS規格鋼を母
材とした場合には、上記の剥離や曲げ疲労に対しては充
分な寿命が得られない。そこで、上記の疲労に対する抵
抗性を高めるために、ガス浸炭処理を前提とした種々の
鋼が提案されている。
開昭62−63653号の各公報には、SiやMn、C
rの含有量を制限し、NiやMoを積極的に添加した鋼
が開示されている。しかしながら、NiやMoといった
高価な合金元素の添加は、鋼材コストを高めることにな
るため、歯車製造コストは大幅に上昇してしまう。又、
Niの添加は、歯車製造工程である機械加工時の被削性
を劣化させてしまう。更に、上記の各公報に提案された
鋼を母材として用いても、前記の疲労に対する抵抗性は
必ずしも充分ではなかった。
やMoといった高価な合金元素の添加を極力抑えた廉価
な鋼を母材とし、疲労による剥離に対する抵抗性と曲げ
疲労強度に優れた浸炭歯車を提供することにある。
題を解決するため、浸炭歯車の母材となる廉価な歯車用
鋼の化学組成及び浸炭後の組織、並びに浸炭歯車の破壊
の状態などについて研究を行った結果、下記の知見を得
た。
られているが、浸炭層のようにC含有量が高い場合に
は、焼入れ性向上効果は殆ど生じない。したがって、B
添加鋼を浸炭焼入れすれば母材(素材鋼)の硬度だけを
高めることができる。
を制御した廉価な鋼に適正量のBを添加して浸炭焼入れ
すると、浸炭硬化層にマルテンサイトと残留オ−ステナ
イトに加えてトルースタイトを生成させることができ
る。
は、通常のガス浸炭を行った場合に鋼材表面部に見られ
る「不完全焼入れ層」とは異なったものである。すなわ
ち、所謂「不完全焼入れ層」は、浸炭焼入れ時に鋼材表
面部のCr、MnやSiなどの合金元素が酸化され、そ
の周辺部で前記の合金元素(Cr、MnやSiなど)が
欠乏し、焼入れ性が不足することが原因で生じた組織で
ある。この組織は鋼材の表面に対して層状、あるいは粒
界の酸化物に沿った形状で現出する。一方、上記の「ト
ルースタイト」は、マルテンサイトと残留オ−ステナイ
トの中に粒状に観察されるもので、前記の所謂「不完全
焼入れ層」とは明らかに形態が異なった組織である。こ
の両者は、500倍程度の倍率で光学顕微鏡観察すれば
容易に識別できる。
と、曲げ疲労に対する抵抗性(曲げ疲労強度)は大きく
なる。しかし、トルースタイトの面積分率が大きくなる
と剥離に対する抵抗性が劣化する。
の発生と、歯元における曲げ疲労発生の問題を同時に解
決するには、浸炭硬化層の組織に関して、歯車歯面の組
織は主としてマルテンサイトと残留オ−ステナイトから
なるものとなし、歯元組織はマルテンサイトと残留オ−
ステナイト及び曲げ疲労特性に優れたトルースタイトと
の混合組織となせば良い。
わせで互いの歯同士が接触する部分のことをいう。又、
「歯元」とは、互いの歯が接触しない部分のことをい
い、歯車の歯底を含む部分のことである。
る。したがって、剥離に対する抵抗性を高めるには浸炭
歯車の歯面部浸炭硬化層の組織を制御すれば良い。この
場合、特に表面から深さ0.5mmまでの領域における
組織を制御することが、剥離の進展を抑制するのに極め
て効果的である。
入れ後の母材の強度を高めると共に、浸炭歯車の歯元部
浸炭硬化層の組織、なかでも表面から深さ0.5mmま
での領域における組織を制御すれば良い。
表面C量は、曲げ疲労強度と剥離に対する抵抗性に影響
を及ぼす。すなわち、浸炭硬化層の表面C量が重量%で
0.6%を下回ると、耐剥離性が劣化する。一方、重量
%で1.1%を超えると、曲げ疲労強度が低下してしま
う。
mmまでの領域における基地のC濃度(重量%)のこ
と」をいい、「表面C量が0.6%を下回る」というこ
とは、「前記領域でのC濃度分布が一部でも0.6%を
下回る」ことをいう。同様に、「表面C量が1.1%を
超える」ということは、「前記領域でのC濃度分布が一
部でも1.1%を超える」ことをいう。
長分散型EPMAなどの装置を用いて検量線により測定
すれば良い。
題から、試料のマウントなどが影響して正確な分析を行
い難い場合があるが、このような時には最も表面に近く
てマウントなどの影響が無い点から外挿して表面C量を
読み取れば良い。
車を要旨とする。
%、Mn:0.2〜1.4%、Cr:0.1〜1.5
%、B:0.001〜0.005%、Al:0.01〜
0.1%、Mo:0〜0.15%、Nb:0〜0.05
%、Ti:0〜0.05%、N:0〜0.015%、S
i:0.4%以下、Ni:0.5%以下、P:0.03
%以下、S:0.03%以下、残部Fe及び不可避不純
物の化学組成の鋼であって、浸炭硬化層の表面C量が重
量%で0.6〜1.1%で、且つその浸炭硬化層の表面
から深さ0.5mmまでの領域におけるトルースタイト
の面積分率が歯面部では5%以下で、歯元部では5%以
上であることを特徴とする浸炭歯車。」ここで、「トル
ースタイトの面積分率」は、「表面から深さ0.5mm
までの領域における平均面積分率」のことを指す。
しく説明する。なお、成分含有量の「%」は「重量%」
を意味する。
させて、歯車の曲げ強度や疲労強度を向上させる作用を
有する。しかし、C含有量が0.1%未満では、母材強
度が低下して歯車における曲げ強度や疲労強度が大きく
低下してしまう。一方、0.3%を超えると、歯車の製
造工程である切削加工時に切削性が劣化して工具寿命を
縮めてしまう。したがって、Cの含有量を0.1〜0.
3%とした。なお、C含有量は0.15〜0.25%と
することが好ましい。
で、浸炭焼入れ後の歯車の浸炭硬化層及び母材を硬化さ
せる作用がある。しかし、その含有量が0.2%未満で
は上記の作用が期待できない。一方、1.4%を超えて
含有させると、焼入れ性が大きくなりすぎるので歯元の
トル−スタイト生成が困難となり、トルースタイトを生
成させて歯元の曲げ疲労強度を高めたいとする本発明の
目的が達成できない。したがって、Mnの含有量を0.
2〜1.4%とした。なお、Mnの含有量は0.4〜
1.2%とすることが望ましい。
で、浸炭焼入れ後の歯車の浸炭硬化層及び母材を硬化さ
せる作用がある。しかし、その含有量が0.1%未満で
は上記の作用が期待できない。一方、1.5%を超えて
含有させると、焼入れ性が大きくなりすぎるので歯元の
トル−スタイト生成が困難となり、トルースタイトを生
成させて歯元の曲げ疲労強度を高めたいとする本発明の
目的が達成できない。したがって、Crの含有量を0.
1〜1.5%とした。なお、Crの好ましい含有量は
0.2〜1.2%である。
る。Bには、浸炭後に焼入れされる浸炭層の焼入れ性は
上昇させずに、母材の焼入れ性だけを高める作用があ
る。このため、浸炭焼入れ後の母材硬度は高めても、浸
炭硬化層、なかでも歯元部の浸炭硬化層におけるトルー
スタイトの生成を抑制することがない。したがって、浸
炭焼入れ後に、母材の高い硬度と歯元部における適正量
のトルースタイトとの相乗効果によって、浸炭歯車の歯
元折損寿命(曲げ疲労寿命)を高めるのに極めて有効な
元素である。しかし、Bの含有量が0.001%未満で
は添加効果に乏しく、0.005%を超えて含有させて
も前記効果は飽和してコストの上昇をきたすことに加え
て、熱間加工性の劣化を招く。したがって、Bの含有量
を0.001〜0.005%とした。なお、Bの含有量
は0.001〜0.003%とすることが好ましい。
ト粒の粗大化を抑制して、浸炭焼入れ後の硬化層及び母
材部の結晶粒を微細化する作用がある。しかし、その含
有量が0.01%未満では前記作用は期待できない。一
方、0.1%を超えると前記作用が飽和する。したがっ
て、Alの含有量を0.01〜0.1%とした。なお、
Alの望ましい含有量は0.02〜0.06%である。
れば鋼の焼入れ性を高める作用を有する。特に、前記し
たMnやCrの場合とは異なり、微量の添加によって母
材部に対して浸炭層の焼入れ性を相対的に高める作用が
あるので、浸炭硬化層におけるトルースタイト生成量を
調整するのに好適な元素である。この効果を確実に得る
には、Moは0.05%以上の含有量とすることが好ま
しい。しかし、その含有量が0.15%を超えると浸炭
歯車の歯元浸炭硬化層におけるトルースタイトの生成が
困難となり、トルースタイトを生成させて歯元の曲げ疲
労強度を高めたいとする本発明の目的が達成できない。
したがって、Moの含有量を0〜0.15%とした。
れば浸炭処理時のオ−ステナイト結晶粒の粗大化を抑制
し、浸炭焼入れ後の硬化層及び母材部の結晶粒を微細化
する作用がある。この効果を確実に得るには、Nbは
0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.05%を超えると前記作用が飽和
し、コストが嵩むばかりである。したがって、Nbの含
有量を0〜0.05%とした。
れば浸炭処理時のオ−ステナイト結晶粒の粗大化を抑制
し、浸炭焼入れ後の硬化層及び母材部の結晶粒を微細化
する作用がある。この効果を確実に得るには、Tiは
0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.05%を超えると前記作用が飽和
し、コストが嵩むばかりである。したがって、Tiの含
有量を0〜0.05%とした。
れば、窒化物を生成して浸炭処理時のオ−ステナイト結
晶粒の粗大化を抑制し、浸炭焼入れ後の硬化層及び母材
部の結晶粒を微細化する作用がある。この効果を確実に
得るには、Nは0.003%以上の含有量とすることが
好ましい。しかし、その含有量が0.015%を超える
と前記作用が飽和し、更には前記したB添加の効果が失
われてしまう。したがって、Nの含有量を0〜0.01
5%とした。なお、N含有量の上限は0.012%とす
ることが好ましい。
鍛造時の変形抵抗を大きくしたり、切削加工時の切削性
を低下させてしまう。特に0.4%を超えて含有する
と、冷間鍛造性と切削性の著しい劣化をきたす。したが
って、Siの含有量の上限を0.4%とした。なお、S
i含有量は0.3%以下とすることが望ましい。
加工時の被削性を低下させてしまう。特に0.5%を超
えて含有すると、被削性の著しい劣化をきたす。したが
って、Niの含有量の上限を0.5%とした。なお、N
i含有量は0.3%以下とすることが望ましい。
ナイト粒界に偏析して浸炭硬化層を脆化し、歯元の曲げ
疲労強度を低下させてしまう。特に、その含有量が0.
03%を超えると、歯元の曲げ疲労強度の低下が著し
い。したがって、P含有量の上限を0.03%とした。
なお、Pの含有量は0.02%以下とすることが好まし
い。
化して歯元の曲げ疲労強度を低下させてしまう。特に、
その含有量が0.03%を超えると、歯元の曲げ疲労強
度の低下が著しい。したがって、S含有量の上限を0.
03%とした。なお、Sの含有量は0.02%以下とす
ることが望ましい。
げ疲労強度と歯面の耐剥離性に影響を及ぼす。すなわ
ち、浸炭硬化層の表面C量が0.6%未満であると、歯
面の耐剥離性が劣化する。一方、1.1%を超えると、
歯元の曲げ疲労強度が低下してしまう。したがって、浸
炭硬化層の表面C量を0.6〜1.1%とした。なお、
浸炭硬化層の表面C量は0.7〜1.0%とすることが
好ましい。
疲労による剥離に対する抵抗性を高めるには、浸炭歯車
の歯面部浸炭硬化層の組織を制御すれば良い。この場
合、特に表面から深さ0.5mmまでの領域における組
織を制御することが、剥離の進展を抑制するのに極めて
効果的である。
と共に、浸炭歯車の歯元浸炭硬化層の組織、なかでも表
面から深さ0.5mmまでの領域における組織を制御す
ることが、歯元の曲げ疲労強度を高めるのに効果的であ
る。
生と、歯元における曲げ疲労発生の問題を同時に解決し
ようとする本発明においては、浸炭硬化層の組織とし
て、表面から深さ0.5mmまでの領域における組織を
規定する。
炭硬化層の表面から深さ0.5mmまでの領域における
主組織は、マルテンサイトと残留オ−ステナイトから構
成される。しかし、C、Mn及びCr量を厳密に制御し
た上で適正量のBを添加した、本発明の対象鋼を母材
(素材鋼)とした歯車の場合には、浸炭焼入れで、前記
の領域にマルテンサイトと残留オ−ステナイトに加えて
トルースタイトが生成する。このトルースタイトの面積
分率は、浸炭焼入れ時の冷却速度の大きな歯面部では小
さく、冷却速度が遅くなる歯元部では逆に大きくなる。
表面から深さ0.5mmまでの領域に生成したトルース
タイトは、曲げ疲労に対する抵抗性(曲げ疲労強度)と
耐剥離性に影響する。詳しく述べれば、前記の領域にお
けるトルースタイトは、歯元の曲げ疲労寿命(歯元の折
損寿命)を高めるが、歯面の剥離寿命を低下させる。
タイトが面積分率(平均面積分率)で5%を超えると、
剥離寿命の低下をきたす。したがって、前記領域におけ
るトルースタイトの面積分率を5%以下とした。なお、
トルースタイト分率の下限値は特に定める必要はない
が、トルースタイトが剥離に対しては抵抗性のない組織
であるため、なるべく少なくした方が良い。すなわち、
歯車歯面部の組織はマルテンサイトと残留オ−ステナイ
トからなる通常の浸炭焼入れ組織であっても構わない。
タイトが面積分率(平均面積分率)で5%を下回ると、
曲げ疲労寿命(折損寿命)の低下をきたす。したがっ
て、前記領域におけるトルースタイトの面積分率を5%
以上とした。なお、前記領域におけるトルースタイトの
面積分率は10%以上とすることが好ましい。トルース
タイトは、歯元の曲げ疲労強度には影響を及ぼさない。
したがって、その分率の上限は特に定める必要はない
が、製造面からして、現実には80%程度が上限になっ
てしまうと考えられる。但し、前記領域におけるトルー
スタイトの面積分率が80%を超えても勿論構わない。
は、通常の浸炭焼入れを施すだけで、上記の歯面部組織
と歯元部組織とを両立させることができる。しかし、よ
り大きな耐剥離性と曲げ疲労強度とを得るためには、既
に述べたように、歯面部ではトルースタイトの面積分率
をできるだけ小さくし、歯元部ではトルースタイト分率
が5%、特に10%を超えるようにすることが重要とな
る。
には、浸炭焼入れ時の質量効果を考えて、対象とする歯
車は、外径で約20mmから約250mmまでのサイズ
とすることが好ましい。一方、対象とする歯車のサイズ
に関係なく容易に所望の組織とするためには、浸炭焼入
れ時の歯元部と歯面部での冷却の調整が可能な、ドブ漬
け処理を行うことが望ましい。なお、「ドブ漬け」とは
冷却媒体(焼入れ剤)に浸漬する方法をいう。冷却の媒
体については、特に制限はなく、歯車のサイズに応じて
水、油、塩(ソルト)などを適当な温度で用いれば良
い。
組成を有する母材(素材鋼)を、例えば通常の方法で溶
製した後、熱間で圧延又は鍛造し、更に必要に応じて熱
処理を行い、次いで切削や圧造などで所望の歯車形状と
した後、浸炭焼入れを行い、必要に応じて低温での焼戻
しや研削、研磨をして製造される。
よって150kg真空溶製した。表1における鋼 A〜 J
は本発明対象鋼(以下、本発明鋼という)、表2におけ
る鋼 K〜 Uは成分のいずれかが本発明で規定する範囲か
ら外れた比較鋼である。比較鋼のうち鋼 S及び Tはそれ
ぞれJIS規格のSCM420及びSNCM420に相
当するものである。又、鋼 Uは高強度歯車用鋼として知
られている高Mo−高Niの従来鋼である。
鋼片となした後、1200℃に加熱してから、1200
〜1000℃の温度で熱間鍛造して直径85mmの丸棒
とし、更に、925℃で焼準した。
の方法で熱間鍛造して歯車素形材を作製し、その後切削
加工(ホブ切りとシェービング加工)して、表3に示す
諸元の「はすば歯車」を切り出した。
する前記のはすば歯車に対して、浸炭条件を表4のa〜
eと変えて、図1に示すヒートパターンで浸炭焼入れを
施し、その後180℃で2時間の焼戻しを行った。な
お、浸炭条件a〜eのすべてにおいて、浸炭後の歯車は
120℃の油中に焼入れした。
た歯車を供試材として、図2に概要を示す試験機によ
り、動力循環歯車試験を行った。
ようにして製作した大歯車 2と小歯車 3を装着し、ウエ
イトレバ− 4とストッパー 5により負荷トルク(トルク
検出機 6に表示される)を一定値(200N・m)に調
整して、小歯車 3を3123rpmで回転させた。この
条件で動力循環歯車試験を行うと、小歯車 3の歯元が曲
げ疲労によって折損するか、あるいは小歯車 3の歯面に
剥離が生じる。小歯車3 の歯元における折損、あるいは
歯面の剥離(以下、これらを単に「損傷」ともいう)の
発生は、供試ギアボックス 1に取り付けられた振動計 7
とトルク変動により検知できる。ここでは、上記のいず
れかの損傷が発生した時点における「相手歯車の歯と噛
み合った回数」をその歯車対の疲労寿命(以下、単に疲
労寿命という)と判定した。なお、動力循環歯車試験の
n数は各5である。
し、EPMAによる浸炭硬化層の表面C量測定と、光学
顕微鏡による歯面部及び歯元部における浸炭硬化層の、
表面から深さ0.5mmまでの領域の組織観察を行っ
た。
の疲労寿命に及ぼす浸炭硬化層の表面C量の影響を示す
ものである。なお、表5において「歯面トルースタイト
量」及び「歯元トルースタイト量」とあるのは、それぞ
れ歯面部及び歯元部における浸炭硬化層の、表面から深
さ0.5mmまでの領域におけるトルースタイトの平均
面積分率のことを指し、トルースタイト以外の部分(面
積分率)はマルテンサイトと残留オ−ステナイトである
ことを意味する。
で規定する範囲から外れた浸炭条件dとeの比較例で
は、本発明例の浸炭条件a〜cに比べて疲労寿命が短い
ことが明らかである。比較例のうち浸炭条件dでは、浸
炭硬化層の表面C量が0.54%と低いために表面硬度
が不足し、剥離によって短時間で破損する。一方、浸炭
条件eでは、表面C量が1.15%と高すぎるために浸
炭硬化層が脆化し、曲げ疲労による折損が生じて短時間
で破壊する。
比較鋼である鋼 K〜 Uを母材とする前記のはすば歯車に
対して、表4のbの浸炭条件で、図1に示すヒートパタ
ーンの浸炭焼入れを施し、その後180℃で2時間の焼
戻しを行った。なお、本実施例においても浸炭後の歯車
は120℃の油中に焼入れした。
車を供試材として、上記の実施例1の場合と同じ条件
で、動力循環歯車試験を行った。又、実施例1の場合と
同様に小歯車に関し、EPMAによる浸炭硬化層の表面
C量測定と、光学顕微鏡による歯面部及び歯元部におけ
る浸炭硬化層の、表面から深さ0.5mmまでの領域の
組織観察を行った。
「歯面トルースタイト量」及び「歯元トルースタイト
量」とあるのは、上記表5におけると同様に、それぞれ
歯面部及び歯元部における浸炭硬化層の、表面から0.
5mmまでの領域におけるトルースタイトの平均面積分
率のことを指し、トルースタイト以外の部分(面積分
率)はマルテンサイトと残留オ−ステナイトであること
を意味する。
のbの浸炭条件による浸炭焼入れによって、本発明で規
定する範囲の浸炭硬化層における表面C量と組織が得ら
れている。そして、いずれの場合も浸炭歯車は2×10
6 以上の疲労寿命を有している。この本発明鋼を母材と
した歯車の疲労寿命は、JIS規格鋼(鋼 S、T )や高
Mo−高Niの従来鋼(鋼 U)を母材とした浸炭歯車の
疲労寿命より2倍以上長く、極めて良好である。
面部浸炭硬化層の表面から深さ0.5mmまでの領域に
おけるトル−スタイトの面積分率が他のものに比べてや
や高いもの(鋼C と Hを母材としたもの)だけが、剥離
により破損した。その他は、曲げ疲労による歯元の折損
を生じていた。
とした浸炭歯車の疲労寿命は、いずれも1×106 未満
の短いものである。
規定する値よりも高い。このため、鋼 Kを母材とする浸
炭歯車では、浸炭硬化層の焼入れ性が高くなって歯元部
にトル−スタイトが生成せず、曲げ疲労による歯元折損
が生じ、疲労寿命が短い。
が高い。このため、鋼 Lを素材鋼とした浸炭歯車は、浸
炭硬化層が脆化して曲げ疲労による歯元折損が生じ、疲
労寿命が短い。
よりも高い。このため、鋼 Mを母材とする浸炭歯車で
は、B添加の効果が失われるため母材の硬度が低く、曲
げ疲労による歯元折損が生じ、疲労寿命が短い。ちなみ
に、鋼 Mの母材硬度はHv290であった。一方、Al
とNを除いた他の成分元素量が鋼 Mとほぼ同じである本
発明鋼 Aの場合、母材硬度はHv380であった。
値よりも高い。このため、鋼 Nを素材鋼とする浸炭歯車
は、浸炭硬化層の焼入れ性が高くなって歯元部にトル−
スタイトが生成せず、曲げ疲労による歯元折損が生じて
疲労寿命が短い。
る値より低い。このため、鋼 O及びP を母材とする浸炭
歯車では、母材の硬度が低く、曲げ疲労による歯元折損
が生じ、疲労寿命が短い。ちなみに、鋼 O及び Pの母材
硬度はそれぞれHv275とHv295であった。
値より低く、Mn含有量が規定の下限値に近い。このた
め、鋼 Qを素材鋼とする浸炭歯車では、焼入れ性が不足
して歯面部に多量のトルースタイトが生成して剥離によ
り破損し、疲労寿命が短い。
する値より低い。このため、鋼 Rを母材とする浸炭歯車
は、焼入れ性が不足して歯面部に多量のトルースタイト
が生成して剥離により破損し、疲労寿命が短い。
(素材鋼)とし、疲労による剥離に対する抵抗性(耐剥
離性)と曲げ疲労強度に優れることから、自動車や産業
機械に使用される動力伝達用の安価な歯車として利用す
ることができる。
示す図である。
す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】母材が、重量%で、C:0.1〜0.3
%、Mn:0.2〜1.4%、Cr:0.1〜1.5
%、B:0.001〜0.005%、Al:0.01〜
0.1%、Mo:0〜0.15%、Nb:0〜0.05
%、Ti:0〜0.05%、N:0〜0.015%、S
i:0.4%以下、Ni:0.5%以下、P:0.03
%以下、S:0.03%以下、残部Fe及び不可避不純
物の化学組成の鋼であって、浸炭硬化層の表面C量が重
量%で0.6〜1.1%で、且つその浸炭硬化層の表面
から深さ0.5mmまでの領域におけるトルースタイト
の面積分率が歯面部では5%以下で、歯元部では5%以
上であることを特徴とする浸炭歯車。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04854896A JP3269374B2 (ja) | 1996-03-06 | 1996-03-06 | 浸炭歯車 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04854896A JP3269374B2 (ja) | 1996-03-06 | 1996-03-06 | 浸炭歯車 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09241821A true JPH09241821A (ja) | 1997-09-16 |
| JP3269374B2 JP3269374B2 (ja) | 2002-03-25 |
Family
ID=12806437
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP04854896A Expired - Fee Related JP3269374B2 (ja) | 1996-03-06 | 1996-03-06 | 浸炭歯車 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3269374B2 (ja) |
Cited By (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003183773A (ja) * | 2001-12-14 | 2003-07-03 | Honda Motor Co Ltd | 冷間加工性および焼入れ性に優れた肌焼鋼,肌焼鋼鋼材および機械構造部品 |
| KR20030097233A (ko) * | 2002-06-20 | 2003-12-31 | 현대자동차주식회사 | 기어용 크롬-몰리브덴 합금강 |
| JP2010001527A (ja) * | 2008-06-20 | 2010-01-07 | Daido Steel Co Ltd | 歯車部品 |
| JP2011026688A (ja) * | 2009-07-29 | 2011-02-10 | Aichi Steel Works Ltd | Mo無添加で強度の優れた浸炭用鋼及びこれを用いた浸炭部品 |
| WO2011093070A1 (ja) * | 2010-01-27 | 2011-08-04 | Jfeスチール株式会社 | 肌焼鋼および浸炭材 |
| WO2015029308A1 (ja) * | 2013-08-30 | 2015-03-05 | Jfeスチール株式会社 | 機械構造部品およびその製造方法 |
| JP2016023360A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | Jfeスチール株式会社 | 冷間加工品の製造方法 |
| EP2505684A4 (en) * | 2010-03-30 | 2016-12-21 | Aisin Aw Co | GEARBOX AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR |
| CN109321712A (zh) * | 2018-11-08 | 2019-02-12 | 江阴兴澄特种钢铁有限公司 | 一种高淬透性渗碳齿轮用20CrNiB钢 |
-
1996
- 1996-03-06 JP JP04854896A patent/JP3269374B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003183773A (ja) * | 2001-12-14 | 2003-07-03 | Honda Motor Co Ltd | 冷間加工性および焼入れ性に優れた肌焼鋼,肌焼鋼鋼材および機械構造部品 |
| KR20030097233A (ko) * | 2002-06-20 | 2003-12-31 | 현대자동차주식회사 | 기어용 크롬-몰리브덴 합금강 |
| JP2010001527A (ja) * | 2008-06-20 | 2010-01-07 | Daido Steel Co Ltd | 歯車部品 |
| JP2011026688A (ja) * | 2009-07-29 | 2011-02-10 | Aichi Steel Works Ltd | Mo無添加で強度の優れた浸炭用鋼及びこれを用いた浸炭部品 |
| JP2015096657A (ja) * | 2010-01-27 | 2015-05-21 | Jfeスチール株式会社 | 肌焼鋼および浸炭材 |
| WO2011093070A1 (ja) * | 2010-01-27 | 2011-08-04 | Jfeスチール株式会社 | 肌焼鋼および浸炭材 |
| JP2011174176A (ja) * | 2010-01-27 | 2011-09-08 | Jfe Steel Corp | 肌焼鋼および浸炭材 |
| EP2505684A4 (en) * | 2010-03-30 | 2016-12-21 | Aisin Aw Co | GEARBOX AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR |
| EP2546381A4 (en) * | 2010-03-30 | 2016-12-21 | Aisin Aw Co | CARBON STEEL ELEMENT AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF |
| WO2015029308A1 (ja) * | 2013-08-30 | 2015-03-05 | Jfeスチール株式会社 | 機械構造部品およびその製造方法 |
| US10618101B2 (en) | 2013-08-30 | 2020-04-14 | Jfe Steel Corporation | Mechanical structural component and method for manufacturing same |
| JP2016023360A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | Jfeスチール株式会社 | 冷間加工品の製造方法 |
| CN109321712A (zh) * | 2018-11-08 | 2019-02-12 | 江阴兴澄特种钢铁有限公司 | 一种高淬透性渗碳齿轮用20CrNiB钢 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3269374B2 (ja) | 2002-03-25 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP5018586B2 (ja) | 高強度浸炭高周波焼入れ部品 | |
| JP3308377B2 (ja) | 歯面強度の優れた歯車およびその製造方法 | |
| EP3088550A1 (en) | Carburized-steel-component production method, and carburized steel component | |
| EP0769566A1 (en) | Case hardening steel for gears | |
| JP6741060B2 (ja) | 歯車部品およびその製造方法 | |
| JP3543557B2 (ja) | 浸炭歯車 | |
| JP4102866B2 (ja) | 歯車の製造方法 | |
| JP3269374B2 (ja) | 浸炭歯車 | |
| EP3467133B1 (en) | Case-hardened steel and manufacturing method therefor as well as gear component manufacturing method | |
| JP4938475B2 (ja) | 耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車 | |
| JP3915710B2 (ja) | 耐低サイクル衝撃疲労特性に優れた浸炭差動歯車 | |
| JP3932102B2 (ja) | 肌焼鋼及びこれを用いた浸炭部品 | |
| JPH11131176A (ja) | 高周波焼入部品およびその製造方法 | |
| CN112984071B (zh) | 差速器准双曲面齿轮、小齿轮以及将它们组合而成的准双曲面齿轮对 | |
| JP2002212672A (ja) | 鋼部材 | |
| JP4687616B2 (ja) | 鋼製の浸炭部品又は浸炭窒化部品 | |
| US20040182480A1 (en) | High-strength carburized part and a method of the same | |
| JP7623411B2 (ja) | 冷鍛性と窒化性に優れる窒化用鋼および冷間鍛造窒化部品 | |
| JP3623313B2 (ja) | 浸炭歯車部品 | |
| JP2011032537A (ja) | 窒化用鋼および窒化部品 | |
| JP4136656B2 (ja) | 浸炭用鋼及び浸炭歯車 | |
| JPH08260039A (ja) | 浸炭肌焼鋼の製造方法 | |
| JP6263390B2 (ja) | 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車 | |
| JPS62196322A (ja) | 機械構造用部品の製造方法 | |
| JP3240627B2 (ja) | 等速ジョイント部品の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080118 Year of fee payment: 6 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090118 Year of fee payment: 7 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100118 Year of fee payment: 8 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118 Year of fee payment: 9 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118 Year of fee payment: 11 |
|
| S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118 Year of fee payment: 11 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140118 Year of fee payment: 12 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |