JPH09244663A - 過渡応答信号生成方法、音響再生方法及び装置 - Google Patents

過渡応答信号生成方法、音響再生方法及び装置

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JPH09244663A
JPH09244663A JP8046109A JP4610996A JPH09244663A JP H09244663 A JPH09244663 A JP H09244663A JP 8046109 A JP8046109 A JP 8046109A JP 4610996 A JP4610996 A JP 4610996A JP H09244663 A JPH09244663 A JP H09244663A
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pulse
signal
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JP8046109A
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Hiroshi Asayama
宏 浅山
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TAIMUUEA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、空間内の基本的音響特性を維持しつ
つ簡易な方法で音響再生するための過渡応答信号生成方
法、更にはその方法により生成された過渡応答信号によ
る音響再生方法及び装置を提供する。 【課題を解決するための手段】音響を再生するために使
用される過渡応答信号の中から所定の過渡応答信号のパ
ルスのみを抽出して新たな過渡応答信号を生成する。抽
出は、振幅ピークの絶対値の大きさ順に、任意に設定し
た閾値を基準に、若しくは所定の群に分けられた中から
それぞれパルスを選択することにより、更には、抽出し
た正のパルスに続く負のパルスを共に選択する他、所定
の期間内の過渡応答信号についてのみ抽出を限定しても
良い。更に、前記過渡応答信号生成方法で生成された新
たな過渡応答信号の各パルスの遅延時間と、相対的な振
幅値とを設定し、順次入力される音響信号を前記遅延時
間毎に前記相対的な各振幅値に応じて夫々出力し、同時
刻に前記出力された信号を足し合わせて新たな音響信号
を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3次元空間で発生
し伝播する音響を再生するために使用する過渡応答信号
から抽出した新たな過渡応答信号を生成する方法、その
方法により生成された過渡応答信号による音響再生方法
及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】3次元空間の音響再生方法に関しては、
従来より数多く研究されている。たとえば古典的な幾何
音響学に基ずいた音線法や虚像法などが現在もっともー
般的な手法である。しかし、それらの手法は、波動性が
無視され、位相情報が入らないなどの理由で計算精度は
極めて低いため、音響再生において十分に実情に即した
ものではない。一方、波動性を考慮した計算方法とし
て、有限要素法、境界要素法などが見られるが、16K
Hzなどの高い周波数を含めた帯域を計算結果に含める
ためには大規模な計算量を必要とするため、現在開発さ
れているスーパーコンピュータでも計算結果を得る事が
極めて困難であるか、できたとしても長時間を要し実用
的ではなかった。
【0003】これに対し、本発明者は、3次元波動方程
式の積分表示形式として知られるキルヒホッフ積分方程
式を変形した基礎理論式とともに、波動性、位相等の音
響特性を再生する処理方法及び装置を出願番号平7−7
3658明細書及び図面で開示した。
【0004】この処理方法及び装置とは、デルタ近似関
数のような立ち上がりの鋭い過渡信号を音源として使用
することにより、この過渡信号が空間内を波動伝播し3
次元空間を仕切る境界に反射し、所定の観測点に影響す
る音響特性を過渡応答信号として求めるものであり、か
かる過渡応答信号を効率的にそして簡易に求めることが
できる処理方法及び装置である。
【0005】ここで過渡信号を使用して処理することの
利点は、連続した、あるいは不連続な音響発生を非常に
短い時間間隔に分割したとき、それぞれの分割した信号
はまさに過渡信号として捉えることができるため、空間
内で時間軸上に広がって観測点に及ぼす応答信号、すな
わち過度応答信号と過渡信号の関係が明らかとなれば、
それを一連の音響に適用して音響再生が可能となること
にある。
【0006】ここで、過渡応答信号を可聴域全体におい
て、しかも、周波数特性や位相特性を非常に現実感のあ
るように再現することは、過渡応答信号の精度を極めて
詳細に求めることを意味する。しかしながら、このこと
は、簡易で安価な装置で現実感を有する音響を再現する
という目的とは全く相反するものである。
【0007】すなわち、非常に短時間の過渡信号が様々
な空間を伝播し、周波数の変調や位相の遅れ等を有した
多数のパルスを含む過渡応答信号を忠実にデジタル的に
再生するには、その過渡応答信号が減衰収束して無視で
きるまでの間、非常に細かい時間間隔(いわゆるサンプ
リング間隔であって、その逆数がサンプリング周波数と
なる)で過渡応答信号を求め記憶する必要がある。さら
には、その記憶された過渡応答信号により連続した音楽
等を再生するには、実時間において、かかる非常に多く
の過渡応答信号の全てのデータをサンプリング間隔毎に
絶えず足し合わせなければならない。
【0008】例えば、20KHzの周波数を再生するた
めに48KHzのデジタルサンプリングを行い、再生す
る残響時間を1.3秒間とすると、65,536のサン
プリング数を必要とするため、音響再生をするには、2
0.8us(48Kの逆数)毎に65,536個の過渡
応答データを足し合わせてアナログ出力を行わなければ
ならない。このような高速の積和演算装置は非常に高価
格となり、実用的ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明は、か
かる高精度な過渡応答信号を利用し、空間内の基本的音
響特性を維持しつつ簡易な方法で音響再生するための新
たな過渡応答信号生成方法と、その方法により生成され
た過渡応答信号による音響再生方法及び装置を提供する
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、音響
を再生するために使用される過渡信号に対する過渡応答
信号のうち、所定の過渡応答信号のみを抽出して新たな
過渡応答信号を生成する過渡応答信号生成方法に関す
る。前記抽出は、前記過渡応答信号のうち、振幅ピーク
の絶対値の大きさ順に選択して行われる他、過渡応答信
号の各パルスが発生する遅延時間に対応した閾値を設定
し、前記時間に対応した過渡応答信号の振幅ピーク絶対
値が前記設定閾値を越えるパルスを選択することによっ
ても、又、前記過渡応答信号を所定の群に分け、前記所
定の群毎に少なくとも一つのパルスを選択することによ
っても行われ得る。前記抽出は更に、抽出した正のパル
スに続く負のパルスを共に選択することによっても行わ
れる他、所定の期間内の過渡応答信号についてのみ限定
しても良い。
【0011】更に、本発明は、前記過渡応答信号生成方
法のいずれかから生成された新たな過渡応答信号に基づ
き音響再生を行う音響再生方法及び装置に関する。より
具体的には、前記過渡応答信号生成方法で生成された新
たな過渡応答信号の各パルスの遅延時間と、相対的な振
幅値とを設定し、順次入力される音響信号を前記遅延時
間毎に前記相対的な各振幅値に応じて夫々出力し、同時
刻に前記出力された信号を足し合わせて新たな音響信号
を出力する音響再生方法及び装置に関する。更に前記新
たな音響信号に対して所定の周波数成分を減衰するフィ
ルター、あるいは前記新たな音響信号に対して残響を付
加するようにした音響再生方法及び装置に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、あらゆる音響再生をさ
せるためのあらゆる過渡応答信号についても適用できる
が、本発明の理解を容易にするために、本発明者による
出願番号平7−73658で開示された手段を引用して
本発明の過渡応答信号生成について説明する。
【0013】まず、図14を参照しながら、キルヒホッ
フ積分および近似境界積分法について説明をする。キル
ヒホッフ積分方程式(式2)とは、3次元波動方程式
(式1)の解法により得られる積分方程式(式2)であ
り、その変形した積分方程式(式3)を近似境界積分方
程式という。
【0014】
【式1】3次元波動方程式 ここで、φは速度ポテンシャル、cは音速、tは時間、
Fは波源、x,y,zは3次元座標、図14中のS2は
任意空間を作る表面、QはS2上の任意点、Pは過渡応
答を求める観測点、Vは観測点P近傍の領域V1を除い
た領域、ds2はS2上の微分面ベクトルである。
【0015】
【式2】キルヒホッフの3次元波動方程式の積分形であ
り、観測点Pにおける速度ポテンシャルを表す積分方程
ここで、φpは観測点における速度ポテンシャル、[]
tdは遅延時間t−r/c、Vは観測点Pを囲む任意空
間、S2はVの表面、QはS2上の任意点、rはQと観測
点Pの距離を示す。
【0016】
【式3】キルヒホッフの積分方程式を変形した近似境界
積分方程式 ここで、φpは観測点における速度ポテンシャル、[]
tdは遅延時間t−r/c、Vは観測点Pを囲む任意空
間、S2はVの表面、QはS2上の任意点、rはQと観測
点Pの距離、r0は波源からQまでの延べ伝播距離を示
す。又、f(t)とは、波源から発生する音の過渡信号
である。
【0017】次に上記式3の近似境界積分方程式に基づ
き過渡応答信号を生成する手段について説明する。尚、
ここで説明する手段は、この近似境界積分方程式に限ら
ず、波動特性を求めるものであればいかなるものであっ
ても適用できる。
【0018】図1、2、3および図4は過渡応答信号
(インパルス応答信号)を求めるための具体的なフロー
チャートを示したものである。
【0019】図1は、処理全体の手順を示したものであ
り、図中に示したように処理Aと処理Bとに大きく2つ
に分けることができる。図1中の「処理C(処理7)」
に対応する処理手順を図2に示し、図中の「処理D(処
理10)」に対応する処理手順を図3に示した。また図
3に記された処理Eに対応する処理手順を図4に示し
た。
【0020】図1の最初の処理である処理1[初期設
定]においては、処理を行うための前提条件である「計
算条件の設定」と「波源条件の設定」と「境界の設定」
および「波源放射ベクトルの設定」を行う。
【0021】「計算条件の設定」とは、波源の3次元座
標、観測点数、それぞれの観測点の3次元座標、空間内
の空気の温度と湿度、解析周波数(算出する過渡応答に
含める最も高い周波数)、算出する過渡応答の継続時間
T等を設定する。設定は、入力装置からの直接入力、ま
たは外部記憶装置から読み込んで行われる。
【0022】「波源条件の設定」では、波源からの音の
初期値である過渡信号としてインパルスに近いデルタ近
似関数とその導関数で与えるが、目的に合わせてこの初
期値を変更してもよい。
【0023】さらに初期設定で示された空気温度と湿度
から伝播速度を算出する。解析周波数からは、シャノン
の標本化定理にしたがって解析周波数の2倍以上の周波
数に対応する離散時間間隔を設定する。処理Bにおいて
用いられる算出する過渡応答を格納するための記憶領域
の大きさは、過渡応答の継続時間と離散時間間隔から決
定される。
【0024】「境界の設定」では、場を構成する境界に
関する情報の設定を行う。これは、波動伝播をシュミレ
ートする空間を数値で表すものであり、多数の多角形
(平面)により構築される。そしてここではこの多角形
1つ1つを境界と呼び、境界の数、各境界の法線ベクト
ル、境界の各頂点座標、境界の反射と吸収、などを設定
する。尚、以下の具体例での説明では、本発明の理解を
容易にするために、境界は全周波数帯域において全反射
か全吸収のみとする。
【0025】「波源放射音線ベクトルの設定」では、波
源から放射する音線ベクトルの数Nを算出する。これ
は、波源から伝播する波動をシュミレートして、波動が
境界で反射する場所と時刻を算出し、式3の積分方程式
を利用して観測点の音響特性である速度ポテンシャルφ
pを算出するためである。このときの波動伝播のシュミ
レートは、波源から空間に等立体角で放射する無数のベ
クトルで行う。これを音線ベクトルと定義する。放射す
る音線ベクトルの数Nは、波動伝播開始から継続時間T
を経過した時点において、隣合う音線ベクトルの距離
が、解析周波数の波長λの1/2以内、できれば1/4
以内となるように設定する。ただし、処理装置の能力ま
たは再生する近似の程度によっては、隣合う音線ベクト
ルの距離はλは1/2以上であってもよい。尚、空間を
進む波面を示すベクトルを総称して音線ベクトルという
が、特に波源から放射する音線ベクトルを放射音線ベク
トルという。
【0026】処理3では、波源から伝播する波動を音線
ベクトルによりシュミレートする処理を行う。まず、N
個の放射するベクトルの方向が波源から等立体角になる
ように、n番目の放射音線ベクトルの方向ベクトルDn
を算出する。
【0027】さらに処理4により、この波源から進む音
線ベクトルと交点を持つ境界Bを計算により選択する。
この時この音線ベクトルと交点を持つ境界が無い場合
は、次の放射音線ベクトルについて計算する(処理
5)。
【0028】ある境界との交点がある場合には、音線ベ
クトルはその境界Bで反射するが、その境界が音線ベク
トルに対して表か裏かを判定しなければならない。
【0029】表か裏かとの判断は、境界の法線ベクトル
と音線ベクトルとのベクトルの有す角度が0°〜180
°か否かで定められる。すなわち、仮に境界の法線ベク
トルを仮想した空間の外側方向に向くように定義した場
合は、音線ベクトルと放線ベクトルの相互の角度が0°
〜180°の場合(すなわち内積が正の場合)は境界は
表と定義され、180°〜360°の場合は境界が裏と
定義される。このようにするのは、音線ベクトルが境界
の内側(すなわち境界の表側)から向かっていて、音が
反射する境界なのか、それとも、音線ベクトルが境界の
外側(すなわち境界の裏側)から向かっていて、単に境
界が音線ベクトル方向に存在するだけで、音の反射に寄
与する境界とはならないかを計算機処理において判断で
きるようにするためである。
【0030】以上の定義に従って、処理6において、境
界が音線ベクトルに対し裏である場合には、他の境界で
交点を持つものを選択する。境界Bが音線ベクトルに対
して表にある場合には、処理Cへと進められる。
【0031】図2に示される処理Cでは、まず境界Bが
完全に波動を吸収するように初期設定において設定され
ている場合には処理Cは終了する(処理11)。そうで
ない場合には、波源から境界Bの交点Qまでの伝播距離
dを算出する(処理12)。伝播距離dを波動が伝わる
とき、継続時間Tを越える距離である場合には、処理1
は終了する。図2に示した処理11と12及び13は、
その処理の順序を図2と異にしても一連の期待する処理
結果が得られるため、いかようの順序でも良いが、処理
時間上図2に示した順序が最も効率が良い。
【0032】次に、処理14で境界Bに入射する音線ベ
クトルの入射角度αを計算する。式3における境界平面
の放線と音線ベクトルの入射角度を求めるためである。
入射音線ベクトルとは、n番目の放射音線ベクトルDn
の境界Bに到来してきた音線ベクトルを指し、r回目の
境界に入射する入射音線ベクトルをEn,rとする。よっ
てEn,1とは波源から境界Bに到達してきた放射音線ベ
クトルと等しい。
【0033】次にこの入射音線ベクトルの交点Qにおけ
る反射音線ベクトルの方向ベクトルを算出する。反射音
線ベクトルとは、n番目の放射音線ベクトルDnが境界
Bで反射した境界Bにおける音線ベクトルを指し、r回
目の境界で反射する反射音線ベクトルをFn,rとする。
よってFn,1とはn番目の音線ベクトルが初めて境界で
反射した音線ベクトルである。
【0034】処理16では、境界Bの整理番号B、波源
から交点Qへの延べ伝播距離d,交点Qの3次元座標、
入射音線ベクトルの方向ベクトルEn,r,反射音線ベク
トルの方向ベクトルFn,rをメモリまたは外部記憶装置
などに記憶する。この放射音線ベクトルDnが境界で反
転する度に計算されるデータの一連の記憶を、放射音線
ベクトルDnの伝播履歴と呼ぶ。伝播履歴を記憶する理
由は、図3の処理Dにおいて、音線ベクトルが式3に示
すS2上の任意点(ここでは各境界)で反射するごと
に、観測点Pに寄与する速度ポテンシャルを計算するた
めである。ここで延べ伝播距離dは式3でのr0に相当
する。
【0035】次に、方向Fn,rを持つ反射音線ベクトル
と交点を持つ他の境界Bを選択し、その時の交点を新し
くQとする。もし交点を持つ境界Bが無い場合は終了す
る(処理18)。また交点を持つが入射音線ベクトルが
境界Bに対して裏から入射している場合は、他の境界か
ら交点Qを持つものを探す。表面に入射している場合に
は処理を続ける(処理19)。
【0036】n番目の放射音線ベクトルについて処理C
が終了すると、図1に示すように、次の放射音線ベクト
ルについて計算を繰り返し行うが、全ての放射音線ベク
トルについて処理が終了した場合には処理Bを行う。
【0037】従って、図1の処理1から処理8までの一
連を示すの処理Aは、各音線ベクトルの伝播履歴をすべ
て算出し記憶するために行われる。
【0038】以上から、上記処理Aを達成する装置は、
初期設定を記憶する手段と、伝播記録データを算出する
処理手段、および伝播記録データを記憶する手段を有す
ものである。
【0039】処理Dは、図3に示すように、処理1で計
算されたn個の放射音線ベクトルの伝播履歴を基に計算
を行う。
【0040】まず、処理21で過渡応答を算出する最初
の観測点Pの座標をメモリなどから読み出す。そしてま
ず始めにn=0の放射音線ベクトルの伝播履歴に関する
データを記憶から読み出す(処理22)。読み出した伝
播履歴の始めの境界Bについて、観測点Pから見て境界
の裏側しか見えない場合は、連続する次の伝播履歴を読
み出し(処理32)処理を続ける。反対に、観測点Pか
ら見て境界Bが表面であれば、観測点Pから伝播履歴に
記された交点Qに向かう方向ベクトルRを算出し(処理
25)、そして観測点Pと交点Qの距離RDを算出する
(処理26)。ここで観測点Pと交点Qを結ぶ直線が他
の境界と交わる場合は、交点Qからの速度ポテンシャル
は観測点Pに影響を及ぼさないと判断して、連続する次
の伝播履歴(処理32)について処理を続ける。観測点
Pと交点Qを結ぶ直線が他の境界と交わらない場合は、
波動が時間T以内に観測点Pに到達するか否かを判断し
(処理28)、到達する場合は境界B上の速度ポテンシ
ャルが観測点P上に影響を及ぼすとして処理Eを行う。
尚、波動が時間T以内に観測点Pに到達するかしないか
は、波動が、交点Qまでの延べ伝播距離dと距離RDを
加算した距離を、初期設定した過渡応答の継続時間T以
内に伝播するか否かで判断される。
【0041】処理Eは、図4に示すように、式3に基づ
き交点Qが代表する境界上の微小面素が観測点Pに作る
速度ポテンシャルを算出し、観測点Pに影響を及ぼす時
刻を基に、過渡応答が配列に格納され記憶される。この
とき、格納位置にすでに値が存在する場合には加算され
る。具体的につぎのごとくである。ここで、微小面素と
は、音線ベクトルを定義した際の立体角によって交点Q
に作られる面をいう。図5(a)は複数の音線ベクトル
50が境界52に向かい、実線で示した1つの音線ベク
トルがつくる境界52上の微小面素54をあらわしたも
のであり、図5(b)は境界を側面から見た境界上の微
小面素54を示す。図から明らかなように、微小面素の
面積は、厳密には音線ベクトルと境界との角度によって
異なるが、処理においては、交点Qまでの延べ伝播距離
dと立体角によって作られる円錐の底面積56でもよ
い。この場合は、近似値は幾分精度は悪くなるが、実用
には十分耐え得るし、かつ微小面積は距離と立体角のみ
で定まるため処理速度も向上する。尚、この微小面素5
4の面積が式3のds2に相当する。
【0042】図4に戻ると、処理41は、式3の積分項
内の第1項を計算するものであり、処理42では、式3
の積分項内の第2項を計算するものである。ここで関数
f(t)は、本実施例では、境界における音の反射、吸
収は全反射また全吸収としているため、初期設定で設定
した波源の過渡関数を使用することができる。もし、反
射、吸収が部分的反射、吸収であるならば、境界に反射
するごとに伝播履歴のFn,rについて、境界の特性に応
じたf(t)を定めればよい。
【0043】処理43は、積分近似値を求めるために前
述した微小面素の面積を求めるものである。
【0044】処理44で、前記処理41で計算した結果
と、処理43で求めた微小面素の面積の積を求め、波源
の初期値とを畳み込む。
【0045】処理45で、処理42で計算した結果と、
処理43で求めた微小面素の面積の積を求め、波源初期
値の微分値と畳む込む。
【0046】処理46から48は、前記近似境界積分結
果から過渡応答を記憶する為の手法である。観測点Pで
の音響特性を再生するために、計算される過渡応答が格
納される数値配列が設けられる。この配列は処理Aでの
初期設定で設けてもよい。配列は波動が観測点Pに到来
する時刻Dtに対応して、過渡応答が記憶される配列位
置jが定められるため、観測点Pにおける時刻に応じた
過渡応答の結果が、対応した数値配列に加算し格納され
る。
【0047】まず、処理46において、音線ベクトルの
交点Qまでの延べ伝播距離dと距離RDとの加算した距
離から、波動が観測点Pに到来する時間Dtを求める。
【0048】つぎに、処理47において、前記到来時刻
Dtに対応する数値配列の位置jを求める。以上から、
処理48において、処理44と45で得られた時系列の
データを数値配列の対応した配列位置jに加算し格納す
る。加算し格納するとは、すでに配列位置jに値が格納
されていた場合は、その値に加算して格納することであ
り、これにより、近似積分したと同様の効果をうること
ができるのである。さらに、この時系列の配列化をする
ことにより、観測点Pにおける音場特性を、配列順位ご
とに読み出して音響再現をすることができるため、効率
の良い音響再現方法および手段を達成することができ
る。
【0049】処理Eが終了すると、次の放射音線ベクト
ルの伝播履歴について処理を続け、n番目の放射音線ベ
クトルについて、伝播履歴の全てのデータについて計算
が終わると、n+1番目の放射音線ベクトルについて同
様の処理を行う。そして全ての放射音線ベクトルについ
て計算が終わった場合には、図3に示すように次の観測
点について処理を行う。
【0050】従って、処理Dは、各音線ベクトルの全て
の伝播履歴から、音線ベクトルが境界で反射し、観測点
Pに寄与する速度ポテンシャルを積分計算し、観測点P
への過渡応答を求め記憶するものである。
【0051】以上から、処理Dを達成する手段は、記憶
された伝播履歴データを近似境界積分法に適用する手段
であればよく、ソフトウェアの一連のステップに応じて
演算していく演算処理装置や、コンピュータであっても
良く、あるいは、ハードウェアとしてあらかじめ近似境
界積分法の処理手順を構成した装置であっても可能であ
る。
【0052】上記処理Dが終了したら、図1の処理49
で示すように、音源の直接音が観測点Pに与える音響特
性を表すために、直接音の観測点Pに到達する時間に対
応する配列位置jの配列に過渡特性を加算し格納する。
【0053】図6は処理Bを行った場合の各音線ベクト
ルが反射する境界毎に観測点Pに与えるポテンシャルを
算出し時間別に加算し格納し、全体として観測点Pでの
過渡応答を求める手順をグラフ化して示したものであ
り、上記処理Dおよび直接音の加算が明かであろう。
【0054】図7(a)は、従来の手法の一つである虚
像法により得られた応答信号を示し、図7(b)は、上
記処理によって実際に求められた過渡応答信号の振幅波
形である。図7(b)の振幅波形は、従来の波形図7
(a)と比較すると、正の波形以外に負の波形も再現さ
れていることが明らかである。このように従来求めるこ
とが困難であり、あるいは求めるのに莫大な処理時間を
必要とした過渡応答振幅波形を再現することが可能とな
った。
【0055】次に、この波形に従い実際の音響を再現す
る方法について説明する。図8は、CDプレーヤーやレ
コード、あるいはカセット等の音響再生装置70により
再生されたアナログ音響信号がライン71より積和演算
装置(畳み込み装置ともいう)72に入力され、加工さ
れた音響信号がライン79へアナログ出力として出力さ
れ、増幅器80を経てスピーカ82から音響が再現され
る図を示したものである。畳み込み装置72は、実際に
積和計算(畳み込み)を行う中央演算装置76と、その
前後にそれぞれライン75、77で結ばれたA/Dコン
バータ73、D/Aコンバータ77を含んでいる。ただ
し、音響再生装置70がデジタル出力を有している場合
には当然ながらA/Dコンバータ73は必要ない。この
ような積和演算装置は、例えばLake DSP Pt
y. Ltdで製品化されているDigital Audio Convol
ution Processor FDP 1 plusがある。
【0056】次に、図9を参照して、A/Dコンバータ
73からのデジタル信号が中央演算装置76に入力さ
れ、加工されたデジタル信号がライン77に出力される
一連の処理の概念を示す。
【0057】図9の離散信号80は、図8のライン71
上に現れるアナログ信号を時間に対して離散的に示した
ものであり、実際には、この波形の時間及び振幅データ
はデジタル信号として中央演算装置76に入力される。
中央演算装置76は、上記した過渡応答信号生成処理に
より、あるいは他の手法で求められた過渡応答信号83
が記憶されている。実際に求めるべき離散デジタル信号
86を求めるには、リアルタイムに入力される離散信号
80のそれぞれの分割された離散時間毎のデータ全てに
対して過渡応答信号76に対応した応答信号を発生する
ように畳み込み部84で処理される。過渡応答信号の遅
延して発生してくる音響を全て再現する必要があるた
め、この処理は、離散時間間隔毎に過渡応答信号の時間
分割数分足し合わせる作業である。例えば、20KHz
の周波数成分までを再生するために、一秒あたり48,
000の時間分割した1.3秒継続する過渡応答信号を
使用すると、65,536個のタップを必要とするた
め、音響再生をするには、20.8us(1/48,0
00)毎に65,536タップのデータを足し合わせて
アナログ出力を行わなければならない。
【0058】この処理は、上記したLake DSP
Pty. LtdによるDigital Audio Convolution Pr
ocessor FDP 1 plusにとって好適である
が、反面、より簡易で安い方法で音響を再現する必要も
ある。従って、以下にその方法及び装置の実施態様につ
いて説明する。
【0059】図10は、図7(b)の過渡応答信号生成
の方法と同様の方法で生成された過渡応答信号の振幅
(図10(a))及びエネルギーの対数表示(図10
(b))の時間変化を示している。過渡応答信号の使用
離散時間間隔を、48KHzサンプリングに相当する2
0.8usとし、再生する継続時間を1.3秒間とする
ことで、過渡応答信号の時間軸上の全サンプリング数を
65,536とした。ここでは、そのサンプリング数の
0から65,536のそれぞれの番号をサンプリング番
号と定義する。
【0060】図10(a)は、音源としての過渡信号が
発生する時間をちょうどサンプリング番号0として、そ
の後に現れる過渡応答信号波形を示している。これから
明らかなように、主要なパルスは約4,000サンプリ
ング番号までの前半部分に集中している。又、図10
(b)から、過渡応答の減衰は、サンプリング番号6
5,536の時点で約60dBの減衰を示しており、使
用する空間の大きさや、壁面材料などにもよるが、この
場合、継続時間を1.3秒に設定すれば十分であること
が分かる。
【0061】次に、0から4,096サンプリング番号
までの図10(a)の波形を拡大したものを図11
(a)で示す。これによって、主要なパルスが存在する
約4,000サンプリング番号までの間でも、特に大き
い振幅を有する部分はさらに限られていることが明らか
となった。この結果から、図10(a)の特徴的なパル
スのみを抽出した別の新たな過渡応答信号(図11
(b))を作成した。更にこの抽出過渡応答信号を図9
の過渡応答信号83として使用し、音響を再現したとこ
ろ、空間的な音の広がりを認識できることが明らかとな
った。
【0062】以上のことから、時間を経て断続的に人間
の耳に到達する大きい振幅を有するパルスは、従来一般
的に空間残響を表すために使用されてきた単に指数的に
減衰するエコーのような残響と違って、人間の聴覚を刺
激し、3次元的な空間の特徴と固有の広がりを人間に認
識させることができるのである。従って、この特徴的な
部分を再現することによって、再現すべき空間で発生す
る音の空間内の所定の観測点(受聴点)で聞こえる主要
な特徴を再現することが可能となると考えられる。一
方、それ以外の部分のパルスは、人間の聴覚にとって、
先の特徴的なパルスの補完的な要素として捉えることが
できるため、特徴的なパルス部分ほど忠実に再現する必
要性が少ないと考えられる。
【0063】更には、図11(b)で示された負のパル
スをその前に現れる正のパルスと共に含んだ過渡応答信
号を使用することで、空間の実像を認識することができ
ることが明らかとなった。負のパルスを取り入れること
による効果は、その過渡応答の周波数成分が取り出せる
ことを意味すると同時に、空間の3次元形状を、そして
特に空間の不連続な境界を人間に認識させることができ
る点にある。なぜならば、先の数学的な論理式である式
2あるいは式3から論理的に導き出すことができるよう
に、負のパルスは、空間が不連続となる部分によって現
れることを意味しているからである。すなわち、この負
のパルスは、3次元空間を形成する壁面(境界)どうし
が凸で交わった部分の辺や、材料が大きく変わった部分
等によって作られてたものであり、聴覚的には空間の実
像として現れたものと考えられる。従って、正のパルス
と共に、負のパルスを再生することは、3次元空間の音
響を再生するうえで重要なことである。
【0064】このように、過渡応答信号の特徴的な部分
のパルスを抽出し、その抽出した過渡応答信号を使用し
て音響の特徴的な部分を再現すれば、基本的な空間内の
音響特性を認識できる。更には、非常に多くの過渡応答
信号データの中から新たな過渡応答信号となるべきデー
タを限定して抽出することによって、足し合わすべき過
渡応答信号データの数が飛躍的に減少し、その処理負担
を軽減することが可能となる。
【0065】過渡応答信号のうちの特徴的な部分の取り
出し方法については、(1)パルスの振幅の最大値(絶
対値)順に取り出していく方法が簡易である。これは、
人間の耳に及ぼす聴覚的な刺激をパルス振幅の大きさと
して捉えたものである。このように抽出する場合には、
抽出するパルス数が無制限に増えることを避けるため
に、数的に限定しても良いし、あるいはある閾値を設定
し、それ以上のパルス振幅のみ抽出することも可能であ
る。(2)ある閾値を設定し、その閾値以上のパルス振
幅(絶対値)のみを時間軸上の原点(一般には、音源が
発生した時点)から時間経過順に選択する。これは、音
源発生の最初の方が特に重要な場合であって、その閾値
以下のパルスは特に有用でない場合に効果がある。
(3)上記2において、所定の選択数に至った場合にそ
の抽出を終了する。これは、足し合わすべき数等の計算
処理能力に制限がある場合に特に効果がある。(4)信
号の一群と考えられる信号群のそれぞれについて、その
群のうちの最も強いパルス振幅を有するパルス、あるい
は最初のパルスを選択する。図12(a)を例とする
と、信号群90は、他の信号と異なり、一群の信号のよ
うに捉えることができる。この過渡応答信号を時間的に
拡大した図12(b)を見る限りでは、約1024から
2000サンプリング番号までの間に離散して点在した
ピークが見れるが、このようなパルスは、そのサンプリ
ング時間によっては、ピーク間の時間間隔が、人間の聴
覚の分解能力以下の短時間である場合もある。このよう
に、人間の聴覚分解能以下の時間間隔で点在するピーク
パルスは、全てを再現する(すなわち抽出する)必要が
なく、その一つを取り出すだけで、人間の聴覚に十分訴
えることが可能である。例えば、Haas効果として知
られるように、10msなどの短い時間間隔で連続して
いる信号は区別できないとされる。この場合の選択され
る一つのパルスは、一群の最初のピークパルスあるい
は、その一群の中の最大ピークパルスである場合もある
だろう。図12(c)は、この手段に基づき、パルス群
90のうちの最初のパルスのみを抽出した図である。
(5)前記それぞれの手段には、一定の期間を設定し、
その期間内についてのみ、前記手段を適用してもよい。
空間内の過渡応答信号は、様々な方向に広がる波源の直
接波あるいは反射波の重なりによって観測点に及ぼす音
波の振幅が決められるが、所定の時間以降は、波源のエ
ネルギーが減衰し、十分なピーク値をもたらすことがで
きない。例えば、図10にも明らかなように、6553
0サンプリング数の時点においては、観測点のエネルギ
ー量は約60dBの減衰を示しており、その期間以上の
抽出をする必要性に乏しい。これは、エネルギーの減衰
量で期間を区切ったものだが、振幅値で区切ることも可
能である。図10(a)及び図11(a)を参照する
と、振幅値が0.005以上存在する領域は、4096
サンプリング番号までであり、それ以降は存在しない。
従って、その期間までの間でピークパルスを選択しても
よい。(6)前記抽出するそれぞれの手段において、正
のピークパルスと対となってそのパルスに続く負のピー
クパルスをも共に抽出することも有効である。前述した
ように、負のピークパルスは、正のピークと合わさり、
その周波数成分を再現できるできるばかりでなく、空間
の実像をも3次元的に把握できるからである。
【0066】以上のように、幾つかのパルス抽出の手段
を提示したが、高機能な積和演算装置を使用しないで、
簡易な方法で前記抽出後の過渡応答信号に基づいて音響
を再生する装置を図13の概念図を参照しながら説明す
る。図13は、図8の畳み込み装置72の中央演算装置
76の代わりとして簡易型の畳み込み装置100を示し
たものである。簡易型畳み込み装置100は、マルチタ
ップ・ディレイ110とリバーブ部120及びイコライ
ザー部130とからなっている。
【0067】マルチタップ・ディレイ110は、ディレ
イ・ライン112、重み付け部114、そして加算部1
18とからなっており、ディレイ・ライン112から重
み付け部114を介して加算部118に複数のタップ信
号用の出力ライン115を有している。
【0068】マルチタップ・ディレイ110は、入力さ
れた音響信号に対して、前もって設定された遅延時間と
振幅に基づき処理を行い、信号出力をするものである。
図11の過渡応答信号を抽出した過渡応答信号を使用し
てマルチタップ・ディレイ110の機能を説明する。抽
出すべき信号としては、図11(b)のP1からP30
までの30個のパルスである。
【0069】まず複数のタップ出力115のうちの最初
のタップ出力用としてP1のパルス位置に相当する遅延
時間をディレイ・ライン112に設定する。P1は、こ
こでは観測点に到達した直接音を表しており、その時間
は、16.52msである(サンプリング番号として7
93番目であり、その発生時間は16.52ms=79
3x1/48,000))。この設定値を保持したディ
レイ・ライン112は、ライン75から入力された信号
をこの設定値の遅延時間後に最初の重み付け部114に
出力することが可能となる。
【0070】更に、再生すべき信号の大きさを重み付け
部114で調整するために設定する。この場合、再生す
べき過渡応答信号の各パルス振幅の大きさの各割合とし
て相対的に設定する。この例で言えば、最大振幅値を有
するパルスはP29であり、それを100%とするとP
1の設定値は約70%(0.7)である。よって、70
%と設定保持した最初の重み付け部114は、ディレイ
・ライン112から得られた信号の振幅を70%の重み
付け(一般には設定値の割合である0.7を掛ける)を
して、最初のタップ出力115に出力することが可能と
なる。
【0071】以上の設定により、ライン75から入力さ
れた信号は、16.52ms経過した後、P1のパルス
用として、複数のタップ出力115の最初のタップ出力
から入力信号の振幅の70%となるように出力されるこ
ととなり、音源が発生してから16.52ms経過後に
直接音として受聴者の耳に届くことができる。
【0072】次に、P2用の設定を次のタップ出力11
5について行う。設定すべきディレイ値は、22.16
ms(=1064/48,000)であり、振幅設定値
は63%である。この設定により、反射音のうちの最初
の特徴的な音が、音源が発生してから22.16ms後
に受聴者の耳に届くことができる。
【0073】同様の手順でP30まで設定するが、負の
パルスについては、振幅設定値を行う際に負のパルスで
あることを設定する。このように全ての設定が終了する
と、マルチタップ・ディレイ110は、各タップ出力1
15用に設定したディレイ値にあわせて、信号が各タッ
プ出力115に順次出力されていくのである。
【0074】ライン75に入力される信号は、一般には
一連に継続した音響信号であり、過去に入力された音響
信号が所定の遅延時間後に所定のあるタップ出力115
から出力されると同時に、その後に入力された音響信号
が所定の遅延時間後に別の所定のタップ出力115から
出力されるため、それら同時刻に各タップ出力115に
出力される信号全てを足し合わす為に加算器118が設
けられている。従ってP1からP30用の全ての同時刻
の信号は、加算部118で1サンプリング間隔毎(入力
信号のサンプリング周波数が48KHzである場合は1
/48,000秒)に足し合わされて、出力116にそ
の結果が送出されていくのである。
【0075】次に、上記ライン116に出力した信号を
使用して受聴者がより実際の音場を感ずるようにするた
めに、リバーブ部120により残響を付加することが望
ましい。リバーブ部は、市販されている残響装置で良
く、一般的には、マルチタップ・ディレイ110で発生
されたサンプリング周波数毎の信号が時間と共に指数的
に減衰するように音響を付加するものである。この場合
の残響時間、及び残響として減衰する特性はその使用す
る残響装置に応じて任意でよく、この残響付加によっ
て、新たに抽出された過渡応答信号のパルス間の隙間を
容易に埋めることが出来ると同時に、該抽出した特徴的
なパルスによる音像感も失われることがない。特に、こ
の残響の付加は前記抽出手段で示した(5)の一群の信
号群から一つのパルスを選択した場合に特に効果があ
る。
【0076】残響を付加された信号はライン117を経
てイコライザー部130に入力される。ライン116、
117上に現れた信号は、上記本願発明による抽出方法
によって過渡応答信号のうちのパルス状の特徴的な信号
のみを取り出したものであるため、高域の周波数成分が
非常に多く含まれている。イコライザー部130は、こ
の高周波分を取り除く為に設けられ、ローパスフィルタ
ーとして働き、ライン77への出力の周波数特性を変化
させる役割を有している。
【0077】以上のように、多数のうちの過渡応答信号
のうち、特徴的なパルスのみを選択抽出し、新たな簡易
の過渡応答信号を生成するようにした本願発明により、
限定された数の過渡応答信号のみを積和演算して3次元
空間の音響再生を行うことができるため、非常に簡易な
積和演算装置、あるいは一般に使用されているタップ数
の限定されたタップ・ディレイ装置を使用することが可
能となり、仮想的に構築された3次元空間内の音響を容
易に再現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 過渡応答信号を求めるためのフローチャート
【図2】 伝播履歴を求め、記憶する処理を示すフロー
チャート
【図3】 各音線ベクトルの伝播履歴から、近似境界積
分法により過渡応答を算出する処理のフローチャート
【図4】 近似境界積分法による過渡応答を算出し、加
算記憶する処理のフローチャート
【図5】 音線ベクトルが作る微小面素とその面積を示
【図6】 各音線ベクトルが反射する度に観測点にもた
らすポテンシャルを全音線ベクトルと直接音を時間軸に
沿って加算して得られる過渡応答
【図7】 図1の方法で得られた仮想空間のインパルス
応答と、従来からある古典的な計算手法である虚像法に
よる応答との比較
【図8】 過渡応答信号を使用して音響を再生する装置
のブロック図
【図9】 過渡応答信号を使用して音響を再生するため
の概念図
【図10】 得られた過渡応答信号の振幅及びエネルギ
ー減衰を示すグラフ
【図11】 得られた過渡応答信号と特徴的な過渡応答
信号を示す時間軸で拡大したグラフ
【図12】 図11と同様の他の過渡応答信号と特徴的
な過渡応答信号を示す時間軸で拡大したグラフ
【図13】 抽出した過渡応答信号を使用して音響を再
生するための簡易な装置を示すブロック図
【図14】 空間内で観測点に及ぼすポテンシャルを表
す図である。
【符号の説明】
50...音線ベクトル、 52...境界、 5
4...微小面素 56...微小面積、70...音響再生装置、 7
2...畳み込み装置 73...A/Dコンバータ、76...中央演算装置 78...D/Aコンバータ、80...増幅器 82...スピーカ 83...過渡応答信号、 84...畳み込み部 90...パルス群 100...簡易型畳み込み装置 110...マルチタップ・ディレイ、 112...
ディレイ・ライン 114...重み付け部 115...タップ出力、 118...加算部 120...リバーブ部、 130...イコライザー

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響を再生するために使用される過渡信
    号に対する過渡応答信号のうち、所定の過渡応答信号の
    みを抽出し、新たな過渡応答信号を生成する過渡応答信
    号生成方法。
  2. 【請求項2】 前記抽出は、時間軸上で変化する前記過
    渡応答信号の振幅のうち、振幅ピークの絶対値の大きさ
    順に選択するようにした、請求項1記載の過渡応答信号
    生成方法。
  3. 【請求項3】 前記抽出は、時間軸上で変化する前記過
    渡応答信号のパルスのうち、振幅ピークの正の大きさ順
    に選択するとともに、前記正のパルスに続く負のパルス
    についても選択するようにした、請求項1記載の過渡応
    答信号生成方法。
  4. 【請求項4】 前記抽出は、 過渡応答信号それぞれが発生する遅延時間に対応した閾
    値を設定し、 過渡応答信号の振幅ピーク絶対値が前記設定閾値を越え
    るパルスを選択するようにした、請求項1記載の過渡応
    答生成方法。
  5. 【請求項5】 前記抽出は、 前記過渡応答信号を所定の群に分け、 前記所定の群毎に少なくとも一つのパルスを選択するよ
    うにした、請求項1記載の過渡応答信号生成方法。
  6. 【請求項6】 前記抽出は、 前記過渡応答信号を所定の群に分け、 前記所定の群毎に少なくとも一つのパルスを選択すると
    ともに、前記選択したパルスに続く負のパルスについて
    も選択するようにした、請求項1記載の過渡応答信号生
    成方法。
  7. 【請求項7】 前記抽出は、所定の期間内の過渡応答信
    号についてのみ行われる、請求項1、2、3、4、5又
    は6記載のいずれかの過渡応答信号生成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7記載の過渡応答信号生成
    方法のいずれかから生成された新たな過渡応答信号に基
    づき音響再生を行う音響再生方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至7記載のいずれかの前記過
    渡応答信号生成方法で生成された新たな過渡応答信号の
    各パルスの遅延時間と、相対的な振幅値とを設定し、 順次入力される音響信号を前記遅延時間毎に前記相対的
    な各振幅値に応じて夫々出力し、 同時刻に前記出力された信号を足し合わせて新たな音響
    信号を出力する音響再生方法。
  10. 【請求項10】 前記新たな音響信号に対して所定の周
    波数成分を減衰するフィルターを介する、請求項9記載
    の音響再生方法。
  11. 【請求項11】 前記新たな音響信号に対して残響を付
    加するようにした、請求項9記載の音響再生方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至7記載のいずれかの前記
    過渡応答信号生成方法で生成された新たな過渡応答信号
    の各パルスの遅延時間と、相対的な振幅値とを記憶する
    記憶手段と、 順次入力される音響信号を前記遅延時間毎に前記相対的
    な各振幅値に応じて夫々出力する処理手段と、 同時刻に前記出力された信号を足し合わせて新たな音響
    信号を出力する加算手段と、からなる音響再生装置。
  13. 【請求項13】 前記新たな音響信号の所定の周波数成
    分を減衰するフィルターを更に有する、請求項12記載
    の音響再生装置。
  14. 【請求項14】 前記新たな音響信号に対して残響を付
    加するリバーブ部を更に有する、請求項12記載の音響
    再生方法。
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