JPH0924506A - 出土文化遺物及びその保存処理方法 - Google Patents

出土文化遺物及びその保存処理方法

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JPH0924506A
JPH0924506A JP17475495A JP17475495A JPH0924506A JP H0924506 A JPH0924506 A JP H0924506A JP 17475495 A JP17475495 A JP 17475495A JP 17475495 A JP17475495 A JP 17475495A JP H0924506 A JPH0924506 A JP H0924506A
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JP
Japan
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solution
glyoxal
catalyst
wooden article
water
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JP17475495A
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Hideo Yoshida
秀男 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設備や操作が簡単で、低コストで、常温下で
短期間に大量の遺物を保存処理できる出土文化遺物の保
存処理方法を提供することである。 【解決手段】 水洗、実測調査・写真撮影、水中に浸
漬、表面の水分奪取を行った遺物(木製品)を、グリオ
キサールに5酸化2燐、塩化アンモニウム及び塩化カル
シウムを加えた溶液に浸漬させて攪拌し、3〜10日間
放置した後、溶液中から取り出して水洗し、自然乾燥さ
せる。木製品に残存するセルロースとグリオキサール化
合物が化学反応により架橋結合し、固化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種古墳、遺跡等
から出土する遺物を変形・変色の少ない状態で長期保存
できるようにした出土文化遺物、並びにその保存処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】人類の文化遺産である出土文化遺物は、
往時の状態を知るための貴重な資料であり、出土時の状
態で永年保存することが望まれる。遺跡等から出土され
る遺物は、通常、粘土層に埋納され、水が過飽和状態に
含浸している。これは、木製品等が埋納されてから長い
時間経過の中で、セルロースやセルロースに含まれるリ
グニンやペクチンが崩壊流出し、それらに代わって水が
含浸してきたからである。このため、出土時は遺物はそ
の外観形状を含水により保持しているが、乾燥が進むに
従って収縮を起こし、ついには原形を留めない程に変形
するか、若しくは破砕する。それ故、遺物の原形を維持
するため、従来は水に代わる材料を用意して、脱水・置
換する方法を講じて変形を防いできた。
【0003】その従来の処理方法としては、水溶性樹
脂ポリエチレングリコールを含浸させる方法、第3級
ブチルアルコールとポリエチレングリコールを含浸さ
せ、その後に真空凍結乾燥させる方法、低級アルコー
ル(メタノール等)で脱水し、その後に高級アルコール
を含浸させる方法、等が一般的に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記処
理方法〜は、次のような欠点があり、改良が望まれ
ている。即ち、処理方法では、水の分子量18とポリ
エチレングリコールの分子量約4000との差が非常に
大きいため、処理後の遺物に変形・収縮が起こり易いば
かりか、含浸期間が小さい遺物で数ヵ月、大きい遺物で
は数年を要する。処理方法では、処理方法の欠点を
補い、変形が少なく、処理期間も短くなるが、強度が弱
く、設備にも多額の費用を必要とする。処理方法で
は、高級アルコールが難水溶性のため、事前処理として
低級アルコール等で完全に脱水を行わないと、高級アル
コールを含浸できない。
【0005】従って、本発明の目的は、上記問題点に鑑
み、常温状態でも湿度等の影響を受けずに長期にわたっ
て保存可能な出土文化遺物を提供することにある。本発
明の別の目的は、設備や操作が簡単で、低コストで、常
温下で短期間に大量の遺物を保存処理できる出土文化遺
物の保存処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前者の目的を達成するた
めに、本発明の出土文化遺物は、出土した文化遺物に、
グリオキサール(Glyoxal )に触媒を加えた溶液を含浸
・固化させてなることを特徴とする。後者の目的を達成
するために、本発明の出土文化遺物の保存処理方法は、
出土した文化遺物を、グリオキサールに触媒を加えた溶
液に浸漬させ、数日間放置した後、溶液から取り出して
水洗し、乾燥させることを特徴とする。
【0007】本発明の出土文化遺物は、グリオキサール
に触媒を加えた溶液を含浸・固化させてなるものである
から、常温状態でも変形・収縮を起こし難く、長期間に
わたって安定して保存することができる。又、本発明の
保存処理方法は、上記出土文化遺物を作製するものであ
るが、この処理方法によると、文化遺物中に残存するセ
ルロースとグリオキサールとが化学反応により架橋結合
して固化するため、即ちセルロースは溶液中の形状のま
まで固化・強化されるので、遺物が乾燥してもその原形
は長期間維持される。しかも、グリオキサールと触媒を
用いるのであるから、人体に対し無害であるだけでな
く、設備や処理操作が簡単で、低コストで、常温下で短
期間に大量の遺物を保存処理することが可能となる。
【0008】なお、本発明でいうところの文化遺物と
は、各種遺跡、古墳等から出土する木製品(木片、丸木
舟等)、金属製品(円鏡、銅鐸、刀剣、釣針、鉄器
等)、土製品(土器等)、動物製品(織物、人骨、獣骨
等)、動植物質出土品(木の葉、実、麻の織物等)の様
々な遺物を含むが、これらの中でも、特に木製品、竹製
品、布、紙、種子、漆加工品等が好適な対象物である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて説明する。但し、この実施形態では遺跡から発掘し
た文化遺物として木製品を例に説明する。図1は、その
木製品を保存処理する一連の工程をフロー図に示したも
のである。木製品をいきなりグリオキサールと触媒の溶
液に浸漬させて保存処理してもよいが、実際には保存を
より確実に行うために前処理を行った方が良い。
【0010】まず、ステップ(以下、STと略す)1に
おいて、木製品を水洗し、汚れや不純物等を洗い流し、
実測調査及び写真撮影を行う(ST2)。次いで、一
旦、木製品を水の中に浸漬し(ST3)、短期保存の形
態を取り、遺物中に染み込んでいるリグニンや土中の色
素を水中に溶出させる。このST1〜ST3までが前処
理工程となる。
【0011】その後、保存処理工程に移り、ST4にお
いて木製品の表面に付着した水分を取り、続いてグリオ
キサールに触媒を加えた溶液に木製品を浸漬させ攪拌す
る(ST5)。ここで、グリオキサールは、周知のよう
に、黄色の柱状結晶、融点15℃、沸点51℃で、水に
可溶である。使用する触媒は、リン化合物及び/又は塩
化化合物であり、リン化合物としては、燐酸、ピロリン
酸、ポリリン酸、ジアリン酸、5酸化2燐、第2燐酸ア
ンモン等が、塩化化合物としては、塩化アンモニウム、
塩化カルシウム等が適している。なお、グリオキサール
に上記の触媒を加えて生成されるグリオキサール化合物
は人体に無害であり、安心して処理作業を行える。
【0012】具体的には、グリオキサール100重量%
に対し、触媒の5酸化2燐約2重量%と、更に別の触媒
として塩化アンモニウム3重量%と、塩化カルシウム4
重量%を加え、この溶液に木製品を浸漬し攪拌する。そ
して、そのまま3〜10日間(この実施形態では4日
間)放置して、溶液を木製品に十分浸透させる(ST
6)。
【0013】この浸透期間では、グリオキサールと触媒
の溶液と木製品に含まれるセルロースとの間に化学反応
が起こり、架橋結合が起こる。土中での長期の時間経過
中に木質部を構成するリグニンやペクチンが流出して、
ポーラス状になった木質は非常に脆く、乾燥すれば激し
く収縮する。しかし、グリオキサール化合物と架橋結合
したセルロースは、溶液中の形状のまま固化し強化され
るので、溶液を浸透させた木製品は乾燥しても、その原
形を維持する。
【0014】ところで、出土遺物を保存する場合、遺物
は前述のように脆弱なものであるため、急激な化学反応
を起こさせると、変形や割れが生じる危険性があり、こ
れを回避するために溶液をゆっくり浸透させ、時間を掛
けて徐々に反応させることが望ましい。そのため、保存
処理する木製品に応じて触媒を選定し、その反応速度に
準じて処理期間を設定する。なお、浸透時の液温は常温
でよいが、液温を高めると反応時間が短縮され、架橋結
合が早く進む。
【0015】浸透期間が経過すると、溶液中から木製品
を取り出し、水洗して溶液を洗い流した(ST7)後、
自然乾燥させる(ST8)。自然乾燥過程では、木製品
の重量を一定時間毎(例えば毎時)に計測し、重量が平
衡状態に達すれば、木製品の保存処理が完了する。保存
処理した木製品は、前記したようにグリオキサール化合
物とセルロースが架橋結合しているため、常温状態でも
変形・収縮を起こし難く、長期間にわたって安定して保
存することができる。
【0016】このように、本発明の保存処理方法は、前
記従来の処理方法〜に比べて、処理工程が単純であ
り、設備も簡便なものでよい。しかも、処理に使用する
グリオキサール及び触媒は、有毒物質を含まず、反応す
るときも有害ガスを発生せず、保管・取扱いも簡単に行
える。処理期間は、処理する遺物の性質や大きさにより
異なるが、従来の処理方法と比べると1/6〜1/2程
度に短縮される。例えば、10×10×10cmの立方
体の木製品を保存処理するのに、従来のポリエチレング
リコールの含浸(前記従来の処理方法)では90日間
を要し、高級アルコールの含浸(前記従来の処理方法
,)では30日間を要するが、本発明では精精15
日間で済む。
【0017】又、文化遺物の保存で特に注意しなければ
ならない点は、保存処理中の形状変化と保存処理後の経
年変化であるが、本発明は前記したように溶液に浸漬さ
せて遺物に残存するセルロースを架橋結合で強化すると
いうだけの化学反応を利用するものであるため、変形は
無く、化学的性質も安定しており、ほぼ半永久的な保存
が可能である。
【0018】更に、乾燥後の重量は、本発明では比重が
0.6〜0.8となり、従来のポリエチレングリコール
の含浸の比重1.2、高級アルコールの含浸の比重0.
82より小さく、従来より軽量となる。加えて、上記実
施形態では木製品を中心に説明したが、触媒を適切に選
定することにより、遺物の布、紙等に柔軟性を付与する
ことも可能であり、風化・劣化した古代紙や古文書の保
存にも優れている。
【0019】なお、本発明の処理方法において、セルロ
ースを強化しようとしても、セルロースそのものが酸化
・炭化・圧力・腐食等により欠落している場合や、遺物
全体の強度をより高める場合には、セルロース間の間隙
を高級アルコール等で埋めて補強すると、より強固な固
化ができる。この高級アルコール等を含浸させる処理
は、図1ではST6とST7との間で行う。
【0020】
【発明の効果】本発明の出土文化遺物は、グリオキサー
ルに触媒を加えた溶液を含浸・固化させてなるものであ
るから、常温状態でも変形・収縮を起こし難く、長期間
にわたって安定して保存することができる。又、本発明
の保存処理方法は、上記文化遺物を効果的に作製でき
る。この保存処理方法によると、文化遺物中に残存する
セルロースとグリオキサールとが化学反応により架橋結
合して固化するため、即ちセルロースは溶液中の形状の
ままで固化・強化されるので、遺物が乾燥してもその原
形は長期間維持される。しかも、グリオキサールと触媒
を用いるのであるから、人体に対し無害であるだけでな
く、設備や処理操作が簡単で、低コストで、常温下で短
期間に大量の遺物を保存処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保存処理方法の手順を説明するための
工程図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】出土した文化遺物に、グリオキサールに触
    媒を加えた溶液を含浸・固化させてなることを特徴とす
    る出土文化遺物。
  2. 【請求項2】前記触媒は、リン化合物及び/又は塩化化
    合物であることを特徴とする請求項1記載の出土文化遺
    物。
  3. 【請求項3】出土した文化遺物を、グリオキサールに触
    媒を加えた溶液に浸漬させ、数日間放置した後、溶液か
    ら取り出して水洗し、乾燥させることを特徴とする出土
    文化遺物の保存処理方法。
  4. 【請求項4】前記触媒は、リン化合物及び/又は塩化化
    合物であることを特徴とする請求項3記載の出土文化遺
    物の保存処理方法。
JP17475495A 1995-07-11 1995-07-11 出土文化遺物及びその保存処理方法 Pending JPH0924506A (ja)

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