JPH09252159A - モード同期半導体レーザ及び繰返し周波数の可変方法 - Google Patents

モード同期半導体レーザ及び繰返し周波数の可変方法

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JPH09252159A
JPH09252159A JP5972296A JP5972296A JPH09252159A JP H09252159 A JPH09252159 A JP H09252159A JP 5972296 A JP5972296 A JP 5972296A JP 5972296 A JP5972296 A JP 5972296A JP H09252159 A JPH09252159 A JP H09252159A
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JP5972296A
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Shin Arataira
慎 荒平
Yasuhiro Matsui
康浩 松井
Hiroshi Ogawa
洋 小川
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モード同期半導体レーザの発生する光パルス
列の繰返し周波数を容易に変化させる。 【解決手段】 p−InPクラッド層16、受動導波路
(i−InGaAsP)12およびn−InPクラッド
層10で以てダブルヘテロ構造の受動導波路領域26を
構成しており、この受動導波路領域26の等価屈折率が
注入される電流に応じて変化することによりモード同期
光の繰返し周波数を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光計測や光通信
用の光源として用いられ、超短光パルス列を発生するモ
ード同期半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超短光パルス列を発生させるレー
ザ発振方法のひとつとして、モード同期法がある。モー
ド同期法は、縦多モード発振している各レーザ光の位相
を同期させることにより光パルス列を得る方法である。
各縦モード発振しているレーザ光の位相を同期させてモ
ード同期を行わせしめるには、共振器内の利得あるいは
損失を、縦モード間隔と一致した周波数(以下、周回周
波数と称する。)またはこの整数倍の周波数で変調する
必要がある。
【0003】モード同期法を大別した場合、能動モード
同期法と受動モード同期法とに分類される。能動モード
同期法は、レーザ共振器内の利得あるいは損失を、周回
周波数またはこの整数倍の周波数で外部から変調する方
法である。従来、この能動モード同期法を用いた半導体
レーザとして、文献1「IEEE Photon.Technol.Lett.4,2
15(1992)」に開示されている例がある。
【0004】また、受動モード同期法は、共振器内に可
飽和吸収体を挿入することにより外部からの変調を必要
とせずに周回周波数と一致した周波数の光パルス列を発
生させる方法である。可飽和吸収体は、強度の強い光に
対しては透明体であり、強度の弱い光に対しては吸収体
として働くという性質を具えており、共振器内の損失が
自発的に変調を受けることになり、モード同期を生じさ
せる。この受動モード同期法の場合、発生するモード同
期光の光パルス幅が小さく、変換リミットの光パルスが
得られ易いといった利点を有している。例えば、文献2
「IEEE Photon.Technol.Lett.5,1362(1993) 」に開示さ
れている受動モード同期法を用いた半導体レーザの場合
には、繰返し周波数が40.8GHz、パルス幅3.5
psの変換リミットパルスを得ている。
【0005】以上説明したように、モード同期法によっ
て、数ピコ秒オーダーのパルス幅の光パルスを得ること
が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モード
同期レーザの場合、発生する光パルス列(以下、モード
同期光または出射光と称する場合がある。)の繰返し周
波数は周回周波数によって決められてしまい、この繰返
し周波数を変えるには共振器の長さを変える必要があっ
た。このため、従来、モード同期半導体レーザの出射光
の繰返し周波数を変化させるには、外部共振器を設けた
構成(例えば、文献3「abstracts of FST'95,p.51,199
5 」に開示されている。)にしなくてはならず、この外
部共振器の長さ(共振器長)を変える度に光軸の調整を
行わなければならないので、非常に手間がかかってい
た。
【0007】従って、従来より、発生する光パルス列の
繰返し周波数を容易に変えることができるモード同期半
導体レーザ及び繰返し周波数の可変方法の出現が望まれ
ていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明のモード同期半
導体レーザによれば、単一の半導体基板内で利得領域お
よび受動導波路領域を集積化した構造を具えており、モ
ード同期光を発生するモード同期半導体レーザにおい
て、前記受動導波路領域に、注入電流に応じて等価屈折
率が変化することにより前記モード同期光の繰返し周波
数が変化する、ダブルヘテロ構造を具えることを特徴と
する。
【0009】このように、注入電流に応じて等価屈折率
が変化する受動導波路領域を共振器の一部として設ける
ことにより、注入される電流量にしたがい共振器の実効
的な長さ(光学距離)を変化させることができ、従っ
て、発生するモード同期光の繰返し周波数を容易に変化
させることができる。ここで、等価屈折率とは、光導波
路内を伝搬する光の伝搬定数と波数の関係を規格化して
表した数値のことである(規格化伝搬定数ともい
う。)。ここでは、受動導波路領域中を伝播する光の位
相速度を決める量であり、受動導波路領域を構成するコ
アおよびクラッド層の両材料の屈折率と導波路構造によ
って決まる量である。
【0010】また、この発明のモード同期半導体レーザ
の好適な構成例によれば、前記注入電流を0〜18mA
の範囲で変化させたとき、この注入電流に応じて前記モ
ード同期光の繰返し周波数を17.57〜17.45G
Hzの範囲で変化させるp−InP層、i−InGaA
sP層およびn−InP層で構成された前記受動導波路
領域を具えることを特徴とする。
【0011】ここで記号p−およびn−は、それぞれ導
電型がp型およびn型であることを表し、また、記号i
−はノンドープであることを表している。
【0012】このように、受動導波路領域を、p−In
P層、i−InGaAsP層およびn−InP層で構成
されたダブルヘテロ構造として構成することにより、こ
の受動導波路領域に注入される電流が0〜18mAの範
囲で上昇変化するときには、モード同期光の繰り返し周
波数を17.57GHzから17.45GHzにまで減
少させることができる。
【0013】また、この発明の繰返し周波数の可変方法
によれば、単一の半導体基板内で利得領域および受動導
波路領域を集積化した構造を具えており、モード同期光
を発生するモード同期半導体レーザのこのモード同期光
の繰返し周波数を変化させるに当たり、前記受動導波路
領域に電流を注入させ該受動導波路領域の等価屈折率を
変化させることにより前記モード同期光の繰返し周波数
を変化させることを特徴とする。
【0014】このように、共振器を構成する受動導波路
領域に電流を注入することにより、この受動導波路領域
の等価屈折率がプラズマ効果により変化し、よって共振
器の長さが実効的に変化し、発生するモード同期光の繰
返し周波数を容易に変化させることができる。
【0015】また、この発明の繰返し周波数の可変方法
の好適な実施例によれば、p−InP層、i−InGa
AsP層およびn−InP層で構成された前記受動導波
路領域に電流を0〜18mAの範囲で注入させて前記モ
ード同期光の繰返し周波数を17.57〜17.45G
Hzの範囲で変化させることを特徴とする。
【0016】このように、p−InP層、i−InGa
AsP層およびn−InP層で構成された受動導波路領
域に注入される電流を0〜18mAの範囲で上昇変化さ
せることにより、モード同期光の繰り返し周波数を1
7.57GHzから17.45GHzにまで減少させる
ことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
き図を参照して説明する。尚、図は、この発明の大き
さ、形状および配置関係が理解できる程度に概略的であ
り、また、以下に記載される数値条件等は単なる一例で
あり、従ってこの発明は、この実施の形態に何ら限定さ
れることはない。
【0018】図1は、実施の形態の構造を示す断面図で
ある。この構成例は受動モード同期半導体レーザの例で
あり、利得領域および受動導波路領域に加えて可飽和吸
収領域を単一の半導体基板内で集積化したものである。
この構成例は、n−InPクラッド層10を半導体基板
として設けており、このn−InPクラッド層10の上
側に、受動導波路12および活性導波路14を光の導波
方向(図の矢印aで示される方向。)に沿って設けてい
る。これら受動導波路12および活性導波路14の上側
にはp−InPクラッド層16が設けられ、受動導波路
12および活性導波路14の両側方には図には示されて
いないブロック層が設けられていて、受動導波路12お
よび活性導波路14は、n−InPクラッド層10、p
−InPクラッド層16およびブロック層によって囲ま
れて共振器38を構成している。尚、n−InPクラッ
ド層10の膜厚を150μm、p−InPクラッド層1
6の膜厚を2μmとして形成している。
【0019】n−InPクラッド層10の下側の全面に
はn側電極18が設けてあり、また、p−InPクラッ
ド層16の上面には3つのp側電極20、22および2
4が設けてある。p側電極20は、n側電極18との間
にある受動導波路12に電流を注入できるようにp−I
nPクラッド層16の上面の位置に設けられている。p
側電極22および24はそれぞれn側電極18との間に
ある活性導波路14に対して電流の注入および電圧の印
加を行えるようにp−InPクラッド層16の上面の位
置に設けられている。
【0020】ここで、p側電極20およびn側電極18
間には順方向に電流が注入されるようにして順バイアス
電流源32が接続されており、電流が注入される領域を
受動導波路領域26と称している。また、p側電極22
およびn側電極18間にも同様に順方向に電流を注入で
きるように順バイアス電流源34が接続されていて、電
流が注入される領域が利得領域28である。この利得領
域28は電流が注入されることで利得媒体として働き、
光の発生および発生した光に対してレーザ発振に必要な
増幅作用を及ぼす領域である。
【0021】p側電極24およびn側電極18間には逆
バイアス電圧が印加されるようにして逆バイアス電圧源
36が接続されている。逆バイアスが印加される領域は
可飽和吸収領域30である。この可飽和吸収領域30
は、逆バイアス電圧が印加されることで共振器30内を
導波されている光に対して光スイッチとして働く領域で
ある。
【0022】この実施の形態では、n側電極18、p側
電極20、22および24をオーミック電極として形成
している。p側電極20、22および24は、Auをp
−InPクラッド層16の上側の全面に蒸着して化学エ
ッチングで分離部分を形成することにより得た。
【0023】受動導波路12は、バンドギャップ波長が
1.2μmのi−InGaAsP層で構成されており、
上下に設けられているn−InPクラッド層10および
p−InPクラッド層16と相俟ってダブルヘテロ構造
の受動導波路領域26を構成している。
【0024】活性導波路14は、InGaAsPガイド
層40および42間にバンドギャップ波長が1.56μ
m近傍の半導体量子井戸構造44を有した構造となって
いる。この半導体量子井戸構造44は、ウエルが膜厚7
0ÅのInGaAs(バンドギャップ波長1.67μ
m)であり、バリアが膜厚140ÅのInGaAsP
(バンドギャップ波長1.2μm)であり、これらを3
層づつ交互に積層することにより、全6層から構成され
ている。尚、半導体量子井戸構造44の上側に設けられ
ているInGaAsPガイド層40の膜厚は1200Å
とし、半導体量子井戸構造44の下側に設けられている
InGaAsPガイド層42の膜厚は600Åとしてい
る。
【0025】また、この実施の形態の共振器38の導波
方向に沿った長さ(共振器長)は2.45mmである。
この共振器38を構成する各領域の導波方向に沿った長
さは、受動導波路領域26の長さが1460μm、利得
領域28の長さが940μm、および可飽和吸収領域3
0の長さが50μmとして構成してある。
【0026】このように、この実施の形態のモード同期
半導体レーザを構成している受動導波路12は、活性導
波路14のバンドギャップ波長よりも十分に短いバンド
ギャップ波長を示す材料で以て構成されており、また、
活性導波路14内で発生した光を低い損失で伝播する材
料が用いられている。さらに、後述するように、受動導
波路12の材料は、電流の注入に応じて屈折率が変化す
る材料でもある。
【0027】また、上述の各領域(受動導波路領域2
6、利得領域28および可飽和吸収領域30)間は電気
的なアイソレーションが保たれており、電気的な干渉効
果が十分に抑えられている。
【0028】次に、この実施の形態のモード同期半導体
レーザの動作につき説明する。先ず、受動モード同期に
ついて説明する。受動モード同期は、前述した可飽和吸
収領域30による光スイッチ作用と、利得領域28の光
増幅作用とが相俟って機能することにより発生する。可
飽和吸収領域30の光吸収係数は入射光強度に応じて変
化し、光強度の増加に対しては吸収係数が減少するよう
な特性を示す。従って、可飽和吸収領域30は、入力さ
れる光信号のうちの光強度が比較的大きい光のみを選択
的に透過させて、光強度が比較的小さい光は透過させな
い、といった自発的なスイッチとして働く。このスイッ
チ作用が、共振器38内を導波される光に対して繰り返
して働くから、光信号は急峻化(波形のパルス化)され
て受動モード同期が発生する。以上説明した動作過程に
おいて、利得領域28は、共振器38内の損失を補い、
レーザ発振を実現するための利得を与える機能を果たし
ている。
【0029】この受動モード同期作用においては、受動
導波路領域26は本質的には寄与していない。受動導波
路領域26は、共振器38の共振器長を決定し、発生す
る光パルス列の繰返し周波数を決定する役割を果たして
いる。次に、この繰返し周波数および共振器長の関係に
つき説明する。
【0030】発生する光パルス列(モード同期光)の繰
返し周波数frtは実効的な共振器長によって決まり、お
おむね次式(1)と一致する。
【0031】 frt=c/{2(nalal+npcpc)} ・・・(1) ここで、cは真空中での光速、nalは利得領域28およ
び可飽和吸収領域30の等価屈折率を表しており、npc
は受動導波路領域26の等価屈折率を表す。また、Lal
は利得領域28および可飽和吸収領域30の光導波方向
aに沿う方向の長さであり、Lpcは受動導波路領域26
の光導波方向aに沿う方向の長さである。LalとLpc
の和が共振器38の実際の長さであり、長さ(nalal
+npcpc)は媒質の屈折率を考慮した共振器の実効的
な長さである。
【0032】このように、実質的な受動導波路領域26
の長さを表すnpcpcを変化させれば、共振器38の実
質的な長さを変化させることになり、繰返し周波数frt
の可変特性が得られることが理解される。このような方
法によれば、電気的な手段のみにより繰返し周波数を変
化させることができ、煩雑な手段を必要としないことが
理解される。
【0033】この実施の形態のモード同期半導体レーザ
は、受動導波路領域26に、注入電流に応じて等価屈折
率npcが変化することによりモード同期光(出射光)の
繰返し周波数frtが変化する、ダブルヘテロ構造を具え
ている。前述したようにこの受動導波路領域26は、n
−InPクラッド層10、受動導波路(i−InGaA
sP層)12およびp−InPクラッド層16で以てダ
ブルヘテロ構造を形成している。このダブルヘテロ構造
には、p側電極20、n側電極18および順バイアス電
流源32によってキャリア(電子および正孔)が注入さ
れる。それぞれの層が接合されている部分ではエネルギ
バンド構造に不連続性が現れており、この不連続性によ
ってi−InGaAsP層12には効率良くキャリアが
閉じ込められる。そして、注入されたキャリアはプラズ
マ状態となり、いわゆるプラズマ効果を介してi−In
GaAsP層12の屈折率を変え、その結果、受動導波
路領域26の等価屈折率npcを変化させる。
【0034】このように、受動導波路領域26の等価屈
折率npcは注入電流の増加に応じて増大し、結果とし
て、繰返し周波数frtを連続的に変化させることが可能
になる(繰返し周波数frtは注入電流の増加に応じて減
少する)。従って、この実施の形態のモード同期半導体
レーザは、繰返し周波数を注入電流の大きさを変えるだ
けで簡単に調節することができ、また、この繰返し周波
数を変化させるに当たっては電気的な手段のみを用いる
から、他の電気回路との集積化を行って用いることも可
能である。
【0035】次に、この実施の形態の特性の実測結果に
つき説明する。先ず、作成した素子(この実施の形態の
モード同期半導体レーザ)の可飽和吸収領域30と利得
領域28とに対して、電流を均一に注入した場合の素子
のしきい値は40mA程度であった。そして、可飽和吸
収領域30に約0.7Vの逆バイアス電圧を加えて、利
得領域28に約240mAの電流を注入したところ、光
パルス列が発生することが確認された。
【0036】図2は、この実施の形態のSHG相関波形
の実測結果を示すグラフである。横軸に遅延時間を8.
47psごとに目盛って取り、縦軸にSHG強度を任意
強度(a.u.)で取って示した。この測定されたパル
ス波形の包絡線としてsechの2乗型を仮定して解析
した結果、パルス幅は4.65psと見積もられた。ま
た、マイクロ波スペクトラムアナライザで調べた結果、
パルス繰返し周波数は17.5727GHzであり、共
振器長が2.45mmである場合の周回周波数と良好な
一致を示している。従って、受動モード同期によって光
パルス列が発生していることが確認された。
【0037】図3は、この実施の形態の受動導波路領域
26に注入した電流と、発生する光のパルス繰返し周波
数との関係の実測結果を示すグラフである。横軸に注入
電流を0〜20mAの範囲で取り、縦軸にパルス繰返し
周波数を17.4〜17.6GHzの範囲で取って示し
た。測定は、注入電流を0mAから2mAごとに18m
Aまで変えて行った。注入電流に対する繰返し周波数の
測定データは記号○でグラフ上に示されている。
【0038】また、図3の同一グラフ上には、注入電流
に対するパルス幅の変化の実測結果も示してある。別の
縦軸にパルス幅を3〜6psの範囲で取って示した。測
定は注入電流を0mAから16mAまで4mAごとに変
えて行った。注入電流に対するパルス幅の測定データは
記号△でグラフ上に示されている。
【0039】さらに、図3に示された各測定データの値
は表1に示されている。
【0040】
【表1】
【0041】図3および表1から明らかなように、注入
電流を0mAから18mAまで増加させたとき、モード
同期光の繰返し周波数が17.5727GHzから1
7.4454GHzまで減少することが分かる。このよ
うに、約130MHzの繰返し周波数の変化量(チュー
ニング帯域幅)が得られた。また、注入電流を0mAか
ら16mAまで増加させたときのパルス幅の変化は0.
2ps程度であり、ほとんど変化しないことが分かっ
た。つまり、発生したパルス光の特性に影響を与えるこ
となく、繰返し周波数のチューニングが可能であること
が確認された。
【0042】この実施の形態のモード同期半導体レーザ
の繰返し周波数のチューニング帯域を制限する要素とし
て、以下の2点が挙げられる。一つは、受動導波路領域
26のダブルヘテロ構造に閉じ込められるキャリアの最
大密度である。電流注入量を増加させてゆくと、i−I
nGaAsP層に注入されるキャリアの密度は最初は増
加するが、このキャリアの密度の増加に伴ってi−In
GaAsP層とクラッド層10および16との間のバン
ド不連続量(前述した、エネルギバンドの不連続性の度
合いを示す量。)が小さくなってゆくので、i−InG
aAsP層に注入されて閉じ込められていたキャリアが
クラッド層10および16の方へ漏れ出してしまい、i
−InGaAsP層にキャリアを有効に閉じ込められな
くなってしまう。
【0043】従って、電流の注入を増加させてゆくと、
i−InGaAsP層に閉じ込められるキャリアの密度
の増加率は次第に小さくなり、ついには飽和に至ってし
まう。前述したように、i−InGaAsP層の等価屈
折率の変化は、キャリアのプラズマ効果によって生じる
ものであり、その値はキャリアの密度の増大に伴って大
きくなるものであった。このように、キャリア密度の変
化率が飽和してしまうので、等価屈折率の変化率も飽和
してしまい、そのため受動導波路12の実効長npcpc
の可変範囲が有限となり、結局、繰返し周波数frtの可
変範囲も制限されてしまう。
【0044】上述のチューニング帯域幅の制限を低減さ
せるには、予めバンド不連続量を大きくしておけばよ
く、受動導波路領域26のダブルヘテロ構造を構成する
材料を、バンド不連続量が大きい材料とすればよい。こ
のように、キャリア注入前のバンド不連続量を予め大き
くしておけば、キャリア密度の飽和レベルをより高くす
ることができ、繰返し周波数のより広帯域な可変特性が
得られるようになる。この実施の形態では、ダブルヘテ
ロ構造をp−InP、i−InGaAsPおよびn−I
nPで構成したが、他に、例えば、InAl(Ga)A
s、InGaAsPおよびInAl(Ga)Asが順次
に積層された量子井戸構造を用いてもよい。
【0045】チューニング帯域を制限する二つ目の要因
として、キャリア密度の増加に伴う受動導波路(i−I
nGaAsP層)12の損失の増加といった要因があ
る。電流の注入の増加に伴い、受動導波路12内の自由
キャリアによる吸収が増加するので、受動導波路12の
損失は増加する。よって、共振器38内を導波されてい
る光の強度は減少し、可飽和吸収領域30の透明化に必
要な強度の光を得ることができなくなり(従って、可飽
和吸収領域30は光スイッチ機能を果たさなくなり、)
受動モード同期を生じさせることができなくなってしま
う。従って、キャリア密度を大きくできれば繰返し周波
数の可変範囲を大きくできるのであるが、同時に、受動
モード同期の状態に保つことができなくなるから、キャ
リア密度をある程度以上の大きさにすることができな
い。
【0046】このような問題に対処するには、受動導波
路12の初期損失を低減させることが有効である。自由
キャリア損失に対しては、ダブルヘテロ構造におけるp
型ドーパントが支配的であり、結局、i−InGaAs
P層およびp−InPクラッド層のp型ドーパントの濃
度を減少させるのが有効な手段となる。また、例えば、
この実施の形態のp−InPクラッド層16およびi−
InGaAsP層12との間に薄いi−InP層を挿入
することによってドーパント濃度を低減させることが可
能である。
【0047】以上の説明から明らかなように、この実施
の形態のモード同期半導体レーザ及び繰返し周波数の可
変方法によれば、容易に繰返し周波数を変化させること
が可能であることが理解される。
【0048】
【発明の効果】この発明のモード同期半導体レーザによ
れば、注入電流に応じて等価屈折率が変化する受動導波
路領域を共振器の一部として設けることにより、発生す
る光パルス列の繰返し周波数を注入電流にしたがい変化
させることができる。このように、注入する電流の大き
さを変化させるという電気的手段だけで繰返し周波数を
変化させることができるから、光軸の調整等の煩雑な手
順が必要ない。また、繰返し周波数を変化させるための
手段としては電気的手段のみであるから、他の電気回路
と集積化して用いることも可能である。
【0049】また、この発明の繰返し周波数の可変方法
によれば、注入電流に応じて受動導波路の等価屈折率を
変化させることにより、発生する光パルス列の繰返し周
波数を変化させることができるから、繰返し周波数の変
化を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の構成を示す図である。
【図2】実施の形態のSHG相関波形を示す図である。
【図3】実施の形態の注入電流および繰返し周波数の関
係を示す図である。
【符号の説明】
10:n−InPクラッド層 12:受動導波路 14:活性導波路 16:p−InPクラッド層 18:n側電極 20、22、24:p側電極 26:受動導波路領域 28:利得領域 30:可飽和吸収領域 32、34:順バイアス電流源 36:逆バイアス電圧源 38:共振器 40、42:InGaAsPガイド層 44:半導体量子井戸構造

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の半導体基板内で利得領域および受
    動導波路領域を集積化した構造を具えており、モード同
    期光を発生するモード同期半導体レーザにおいて、 前記受動導波路領域に、注入電流に応じて等価屈折率が
    変化することにより前記モード同期光の繰返し周波数が
    変化する、ダブルヘテロ構造を具えることを特徴とする
    モード同期半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のモード同期半導体レー
    ザにおいて、 前記注入電流を0〜18mAの範囲で変化させたとき、
    該注入電流に応じて前記モード同期光の繰返し周波数を
    17.57〜17.45GHzの範囲で変化させるp−
    InP層、i−InGaAsP層およびn−InP層で
    構成された前記受動導波路領域を具えることを特徴とす
    るモード同期半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 単一の半導体基板内で利得領域および受
    動導波路領域を集積化した構造を具えており、モード同
    期光を発生するモード同期半導体レーザの該モード同期
    光の繰返し周波数を変化させるに当たり、 前記受動導波路領域に電流を注入させ該受動導波路領域
    の等価屈折率を変化させることにより前記モード同期光
    の繰返し周波数を変化させることを特徴とする繰返し周
    波数の可変方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の繰返し周波数の可変方
    法において、 p−InP層、i−InGaAsP層およびn−InP
    層で構成された前記受動導波路領域に電流を0〜18m
    Aの範囲で注入させて前記モード同期光の繰返し周波数
    を17.57〜17.45GHzの範囲で変化させるこ
    とを特徴とする繰返し周波数の可変方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007165608A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Oki Electric Ind Co Ltd 受動モード同期半導体レーザ及び光クロック信号抽出装置

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