JPH09264A - ニトリルヒドラターゼ遺伝子発現を調節する遺伝子 - Google Patents

ニトリルヒドラターゼ遺伝子発現を調節する遺伝子

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JPH09264A
JPH09264A JP7155680A JP15568095A JPH09264A JP H09264 A JPH09264 A JP H09264A JP 7155680 A JP7155680 A JP 7155680A JP 15568095 A JP15568095 A JP 15568095A JP H09264 A JPH09264 A JP H09264A
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JP
Japan
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gene
nitrile hydratase
plasmid
dna
recombinant
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JP7155680A
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Akira Shimizu
昌 清水
Tatsuhiko Kobayashi
達彦 小林
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を実質的
に含み、ニトリルヒドラターゼ遺伝子プロモーターを調
節する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子D
NA、該DNAとプロモーター領域を含むニトリルヒド
ラターゼ遺伝子とをベクターに組み込んだ組換え体DN
A及び該組換え体DNAにより形質転換させて得られた
形質転換体。 【効果】 本発明により、ニトリルヒドラターゼ遺伝子
プロモーターを調節する機能を有するポリペプチドをコ
ードする遺伝子が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はロドコッカス属細菌に由
来し、ニトリルヒドラターゼ遺伝子プロモーターを調節
する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子DN
A、このDNAを含む組換え体DNAおよび該組換え体
DNAにより形質転換された形質転換体に関する。
【0002】
【従来の技術】ロドコッカス属に属する微生物は、その
物理的強度が強い点や酵素等を細胞内に多量蓄積する能
力から、産業的に有用な微生物触媒として知られ、例え
ば、ニトリル類の酵素的水和または加水分解によるアミ
ドまたは酸の生産等に利用されている(特開平2-470号
公報、特開平3-251192号公報)。ロドコッカス属に属す
る微生物を、遺伝子組換えの方法によりさらに有用なも
のに改良していく試みもなされており、例えば、宿主-
ベクター系の開発などが進められている(特開平5-6458
9号公報)。一方、ロドコッカス属に属する微生物の遺
伝子の発現系についてはまだ情報量は少なく、ロドコッ
カス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1株
のH型ニトリルヒドラターゼの調節遺伝子およびプロモ
ーターが明らかになっているに過ぎない(日本生物工学
会誌)。
【0003】組換え体において異種遺伝子を発現させる
場合には、生産されるポリペプチドが宿主菌にとってし
ばしば有害であることがある。このため、増殖初期から
該ポリペプチドが生産されると、宿主菌の増殖が阻害さ
れ、結果的には生産性が低下することが考えられる。従
って、ロドコッカス属に属する微生物の遺伝子の発現系
において、宿主菌の増殖初期においては負の制御を行
い、増殖中期以降に誘導物質の添加により負の制御を解
除できる、より優れた遺伝子の発現系が強く望まれてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ニトリルヒ
ドラターゼ遺伝子発現を調節する遺伝子及び該遺伝子を
組み込んだ組換え体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に基づいて鋭意研究を行い、ロドコッカス・ロドクロウ
スJ1株L型ニトリルヒドラターゼ遺伝子の発現を調節
する遺伝子を探索した結果、ニトリルヒドラターゼ遺伝
子の上流にその存在を見いだし、さらに該遺伝子が負の
調節遺伝子であることを確認し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は配列番号1で表されるアミノ
酸配列を実質的に含み、ニトリルヒドラターゼ遺伝子プ
ロモーターを調節する機能を有するポリペプチドをコー
ドする遺伝子DNAである。かかる遺伝子としては、例
えば、配列番号2で表される塩基配列を有するものが挙
げられる。
【0006】ここで、アミノ酸配列を「実質的に含
み、」とあるのは、このペプチドがニトリルヒドラター
ゼ遺伝子プロモーターを調節する機能を有する限り、ア
ミノ酸のいくつかについて欠失、置換、付加等があって
もよいことを示すものである。従って、配列番号1で表
されるアミノ酸配列のうち、第1番目のアミノ酸である
メチオニン(Met)が欠失しているものなどもこのアミノ
酸配列の変化によるポリペプチドに包含される。さら
に、ポリペプチドをコードする本発明のDNAは、配列
番号2で表される塩基配列を有するものの他、縮重コド
ンにおいてのみ異なる同一のポリペプチドをコードする
縮重異性体をも包含するものである。また、「プロモー
ターを調節する」とは、例えば、誘導物質の存在の有無
によってプロモーターの発現レベルを変化させることを
意味する。
【0007】さらに、本発明は、前記遺伝子DNAとプ
ロモーター領域を含むニトリルヒドラターゼ遺伝子とを
ベクターに組み込んだ組換え体DNAである。さらに、
本発明は、前記組換え体DNAにより形質転換させて得
られた形質転換体である。以下、本発明を詳細に説明す
る。本発明のDNA、該DNAを組み込んだ組換え体及
び該組換え体により形質転換された形質転換体は、下記
の工程により提供される。
【0008】(1) 染色体DNAの調製:ロドコッカス・
ロドクロウスJ1株(以下「J1株」ということもあ
る)より染色体DNAを分離、調製する。染色体DNA
の分離及び調製は、公知の方法のいずれをも用いること
ができる。例えば、Saito and Miura の方法(Biochim.
Biophys. Acta, 72, 619 (1963))が挙げられる。
【0009】(2) DNAライブラリーの作製:J1株L
型ニトリルヒドラターゼ遺伝子を有するプラスミドに適
当な制限酵素を作用させてJ1株由来の遺伝子部分を切
り出し、これを放射線同位元素でラベルしプローブとす
る。工程(1)で調製した染色体DNAを制限酵素で切断
後、サザーンハイブリダイゼーション法(Southern E.
M., J. Mol. Biol. 98, 503 (1975))により、目的遺伝
子を含有するDNA断片画分を上記プローブを用いて検
出する。この画分をプラスミドベクター、例えば、pUC1
8、pUC19等に挿入し、DNAライブラリーとする。
【0010】(3) 形質転換体の作製および組換え体DN
Aの選別:工程(2)で作製された組換え体DNAのライ
ブラリーによる形質転換体を作製し、その中から工程
(2)で作製したプローブを用いてコロニーハイブリダイ
ゼーション法(R. Bruce Wallace. et al. Nuc. Acids
Res. 9, 879 (1981))により目的の組換え体DNAを含
む形質転換体を選別する。更にサザーンハイブリダイゼ
ーション法により目的の組換え体DNAの再確認を行
う。
【0011】(4) 組換え体プラスミドの精製と制限酵素
地図の作製:工程(3)で得られた組換え体よりプラスミ
ドを調製する。調製は、Birnboim and Doly の方法(Nu
cleic Acid Res., 7, 1513-1523 (1979))により行うこ
とができる。こうして得られたプラスミドをpNLU10と称
する。これを種々の制限酵素を用いて切断したものにつ
いて電気泳動で分析し、制限酵素地図を作成する。
【0012】(5) 調節遺伝子およびニトリルヒドラター
ゼ遺伝子を含む領域並びにロドコッカス属において複製
可能なベクタープラスミドからなる組換え体プラスミド
の作製:工程(4)で得られたプラスミドpNLU10、J1株
L型ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むプラスミドpNHJ
20Lおよび複合プラスミドベクターpK4より、調節遺伝子
およびニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む領域並びにロ
ドコッカス属において複製可能なベクタープラスミドか
らなる組換え体プラスミドpLJK10を作製する。
【0013】(6) ロドコッカス属細菌の形質転換および
形質転換体を用いたニトリルヒドラターゼの生産:工程
(5)で得られたプラスミドpLJK10によりロドコッカス属
細菌を形質転換し、J1株由来のニトリルヒドラターゼ
が発現することを確認する。形質転換及び遺伝子の発現
の確認は、公知の方法により行うことができる。例え
ば、形質転換についてはエレクトロポレーション法、プ
ロトプラスト法等により行う。また、遺伝子の発現の確
認についてはニトリルヒドラターゼ活性を測定する。例
えば、ベンゾニトリルを基質としてニトリルヒドラター
ゼを作用させ、生成するベンズアミドを適当なクロマト
グラフィー法(例えば、HPLC)により定量すればよ
い。
【0014】(7) 欠失プラスミドとニトリルヒドラター
ゼ活性:工程(5)で得られたプラスミドpLJK10から種々
の領域を除いたプラスミドpLJK20〜pLJK60を作製し、ど
の領域がニトリルヒドラターゼの発現調節に関与してい
るかを調べる。すなわち、種々の領域を除いたプラスミ
ドを有する組換え体について工程(6)と同様にベンゾニ
トリルを基質として反応させ、生成するベンズアミドを
定量することにより、ニトリルヒドラターゼの発現調節
に関与する領域を特定する。
【0015】(8) 塩基配列の決定:工程(7)で特定され
た領域について塩基配列を決定する。塩基配列の決定
は、公知の方法、例えば、放射標識又は蛍光標識を用い
るジデオキシ法、マキサム−ギルバート法等により行う
ことができる。なお、ロドコッカス・ロドクロウスJ1
株は、Rhodococcus rhodochrous J-1(FERM BP-1478)と
して工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されてい
る。また、ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むプラスミ
ドpNHJ20Lは、これを含有する形質転換体TG1/pNHJ20L
(FERM BP-2778)として、複合プラスミドベクターpK4
はこれを含有する形質転換体 R.rhodochrous ATCC 1267
4/pK4(FERM BP-3731) として、プラスミドpNLU10はこ
れを含有する形質転換体 E.coli JM109/pNLU10(FERM P
-14993)として、それぞれ工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託されている。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により限定
されるものではない。なお、本実施例では、緩衝液及び
培地について下記の略語を用いた。 TE:10 mM Tris-HCl (pH7.8)-1 mM EDTA (pH8.0) TNE: 50 mM Tris-HCl (pH8.0)-1 mM EDTA (pH8.0)-
50 mM NaCl STE: 50 mM Tris-HCl (pH8.0)-1 mM EDTA (pH8.0)-
35 mM シュークロース 2xYT培地:1.6 %トリプトン、1%酵母エキス、0.
5% NaCl MY培地:1%ポリペプトン、0.3%酵母エキス、0.3
%麦芽エキス、1%グルコース
【0017】〔実施例1〕 (1) 染色体DNAの調製 ロドコッカス・ロドクロウスJ1株を100mLの培地(グ
ルコース、KH2PO4、K2HPO4、MgSO4・7H2O、酵母エキ
ス、ペプトン、CoCl2、尿素、水1L、pH7.2)で培養後、
集菌した。TENで洗浄後、10mLのTEに懸濁し、0.25
M EDTA 4mL、リゾチーム10〜20mg、アクロモプロテア
ーゼ10〜20mgおよび10%SDS10 mL を加え、37℃で3
時間放置後、遠心し、上清を得た。2.5M酢酸ナトリウム
溶液0.7 mL、ジエチルエーテルを加え遠心し、上層を捨
て、下層に2倍溶のエタノールを加えガラス棒でDNA
を巻き取った。これをTE:エタノール(容積比)2:
1、1:9、0:10の各溶液に5分間ずつ浸した後、2
〜4mLのTEに溶かし、RNaseAとT1の混合物10μLを
加え37℃で処理した。次に、TEで飽和されたフェノー
ルを等量加え、遠心後の上層に等量以上のエーテルを加
え、下層を得た。これをクロロホルムを少量添加した2
L のTEで一晩透析し、2回目の透析を3〜4時間行
い、染色体DNA標品4mlを得た。
【0018】(2) DNAライブラリーの作製 J1株L型ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む9.4kb D
NA断片がpUC19ベクターに組み込まれたプラスミドpNH
J20L(特開平4-211379号公報、Biochim. Biophys. Acta
1129, 23-33 (1991))を制限酵素SacIとEcoRIで切断
後、1kbのSacI-EcoRI断片を1%アガロースゲル電気泳
動により分離し、ゲルより切り出して回収した。制限酵
素による切断は以下のように行った。pNHJ20L 10μLに
対し、制限酵素用緩衝液(10倍濃度)3μL、制限酵素S
acIおよびEcoRIをそれぞれ2μL、滅菌水13μLを加え、
37℃にて2時間反応させた。
【0019】J1株染色体DNAをEcoRIにより切断し
た標品についてアガロースゲル電気泳動を行った。上記
1.35 kb のSacI-EcoRI断片を放射性同位元素32Pでラベ
ルし、これをプローブとしてサザーンハイブリダイゼー
ション法により上流域を含む約7.5 kbのDNA断片を検
出した。プローブによりハイブリダイズした7.5 kb断片
を含むDNA断片画分をアガロースゲルより切り出し、
EcoRIで切断したプラスミドベクターpUC18に挿入した。
【0020】pUC18の切断は以下のように行った。pUC18
10μLに対し、制限酵素用緩衝液(10倍濃度)3μL、
制限酵素EcoRIをそれぞれ2μL、滅菌水13μLを加え、3
0℃にて2時間反応させた。反応液に等量のTE飽和フ
ェノールを加え、撹拌後遠心し、上層(水層)と下層に
分離させた。上層についてこの操作を2回繰り返した
後、同量のクロロホルムを加え同様の抽出操作を2回繰
り返した。上層に3μLの3M酢酸ナトリウムと90μLのエ
タノールを加え、-80℃にて30分間放置後遠心し、乾燥
してTEに溶解した。7.5 kb EcoRI断片を含むDNA断
片画分3μLを、上記のようにして調製したEcoRI切断pU
C18 1μLとTAKARAライゲーションキットを用いて4℃
で一晩反応させることによりpUC18への挿入を行い、D
NAライブラリーとした。
【0021】(3) 形質転換体の作製および組換え体DN
Aの選別 大腸菌JM109株を2xYT培地10mLに37℃で12時間培
養後、新規な同培地に1%植菌し、2時間培養した。遠
心により集菌した後、冷50 mM CaCl2溶液を5mL加え、
0℃で40分間放置後、再度遠心し、冷50 mM CaCl2溶液
0.25 mLに懸濁した。これに工程(2) で作製した組換え
体プラスミドを含有する溶液(DNAライブラリー)を
60μL加え、0℃で40分間放置後、42℃で2分間ヒート
ショックを与え、2xYT培地1mLを加え、37℃にて60
分間振盪培養した。これを100 μLずつアンピシリン50
μg/mL含有2xYT寒天培地にまき、37℃で培養した。
寒天培地上に生育した形質転換体コロニーについてコロ
ニーハイブリダイゼーションを行い、ニトリルヒドラタ
ーゼ遺伝子上流域を含む形質転換体を選別した。すなわ
ち、寒天培地上に生育させたコロニーをニトロセルロー
スフィルター上に移し、菌体を溶かしてDNAを固定し
た後、これを工程(2) で作製したプローブ(1.35kb断
片)で処理し、オートラジオグラフ法で目的の組換え体
DNAを含むコロニーを選択した。更に、この選択した
コロニーから組換え体プラスミドを抽出し、サザンハイ
ブリダイゼーション法によって上述のプローブとハイブ
リダイズさせ、選抜したコロニーが目的遺伝子を含む形
質転換体であることを再確認した。
【0022】(4) 組換え体プラスミドの精製と制限酵素
地図の作製 工程(3) で選択した形質転換体を100 mLの2xYT培地
にて37℃一晩培養し、集菌後、TNEにより洗浄し、S
TEを8mL、リゾチームを10mg加え、0℃で5分間放置
した。0.25 M EDTA を4mL加え、さらに室温で10%SD
S2ml、5 M NaCl 5mLを加え、0〜4℃で3時間放置
した。これを超遠心し、その上澄みに30% PEG6000を1/
2当量加え、0〜4℃で一晩放置し、遠心後TNEに溶
解して7.5mLとした。CsClを加えた後遠心により除タン
パクを行い、臭化エチジウム溶液を300〜500 mg/mL加え
シールチューブに移し、熱シールし超遠心を行った。c
ccDNAを回収し、水飽和イソプロピルアルコールを
当量以上加えて臭化エチジウムを除き、TEで透析し、
精製した組換え体プラスミド約3mLを得た。これをpNLU
10と命名した。この組換え体プラスミドを数種の制限酵
素を用いて切断し、図1に示される制限酵素地図を作製
した。
【0023】(5) 調節遺伝子およびNHase遺伝子を含む
領域並びにロドコッカス属において複製可能なベクター
プラスミドからなる組換え体プラスミドの作製 工程(4) で得られたプラスミドpNLU10は、ニトリルヒド
ラターゼ遺伝子を含むpNHJ20Lに含まれるJ1株由来の
DNA断片と1.35 kbオーバーラップし、更に6.15 kb上
流までを含んでいる。pNLU10より6.15 kbのEcoRI-SacI
断片を切り出し、プラスミドpBluescript SK+に挿入し
てプラスミドpNLU20を作製した。次に、pNHJ20Lより9.4
kbのSacI断片を切り出し、pNLU20に正しい向きになる
ように挿入してプラスミドpNLU30を作製した。更にpNLU
30より14.55 kbのHindIII断片を切り出し、大腸菌-ロド
コッカス属細菌用複合プラスミドベクターpK4に挿入
し、プラスミドpLJK10を作製した。pLJK10の作製過程を
図2に示す。
【0024】(6) ロドコッカス属細菌の形質転換および
形質転換体を用いたニトリルヒドラターゼの生産 ロドコッカス・ロドクロウス ATCC12674株の対数増殖期
の細胞を遠心分離により集菌し、氷冷した滅菌水にて3
回洗浄し、15% PEG6000(ポリエチレングリコール600
0)溶液に懸濁した(菌体濃度109 細胞 /mL以上)。工
程(5)で作製したプラスミドDNAまたはベクターDN
A1μgと菌体懸濁液100μLを混合し、氷冷した。ジー
ンパルサー用のチャンバーにDNAと菌体の混合液を入
れ、氷冷した後、静電容量25μF、抵抗 400オーム、電
場強度20 kV/cmで電気パルス処理を行った。
【0025】電気パルス処理液を氷冷下10分間静置し、
37℃、5分間熱処理後、MY培地1mlを加え、25℃で3
時間振とうした。50μg/mlカナマイシン入りMY寒天培
地に塗布し、28℃で2日間培養した。出現したコロニー
が明らかにカナマイシン耐性であることを、別に作成し
たカナマイシン入りMY寒天培地に塗布することにより
確認した。
【0026】こうして作製したロドコッカス属細菌組換
え体を、誘導物質としてクロトンアミド(2g/L)を含む
培地(グリセロール 10g、ポリペプトン 5g 、酵母エキ
ス 3g 、麦芽エキス 3g 、KH2PO4 1g 、K2HPO4 1g 、Co
Cl2・6H2O 0.01 g、(pH7.0)/ L)にて28℃で2日間培養
し、ニトリルヒドラターゼの活性測定を行った。培養液
より遠心分離により集菌し、150 mM NaClで洗浄後、0.3
5%n−酪酸を含む0.1 M HEPES-KOH(pH7.2)に菌体を懸
濁した。活性測定は以下のように行った。適当に水で希
釈した菌体懸濁液0.25 mLに100 mMリン酸カリウム緩衝
液(pH7.0)を0.25 mL、12 mMのベンゾニトリルを0.5 mL
加え、20℃にて10分間反応後、1N HClを0.1 mL加える
ことにより反応を停止させた。生成するベンズアミドの
定量をHPLCにより行った。
【0027】ATCC12674/pLJK10では、誘導物質を含まな
い培地で培養した場合にはベンズアミドの生成が0.016
mMと低かったのに対して、クロトンアミドを添加した場
合には1.1 mMのベンズアミドが生成していた。ATCC1267
4/pK4では、いずれの場合もベンズアミドの生成は認め
られなかった。
【0028】(7) 欠失プラスミドとニトリルヒドラター
ゼ活性 pLJK10より、その欠失プラスミドpLJK20〜60を作製し
た。プラスミドpLJK20からプラスミドpLJK60までの作製
にあたっては、図3に示したように、pNLU30より8.3 kb
のKpnI断片、11.8 kbのEcoRV-HindIII断片、5.45 kbのP
stI断片、3.2 kbのKpnI断片をそれぞれ切り出し、pK4に
挿入することにより作製した。ただし、pLJK10、pLJK2
0、pLJK30については、切断断片の末端をTAKARAのBlunt
ing Kitを用いて平滑化してからライゲーションを行っ
た。これらの欠失プラスミドを有する組換え体のニトリ
ルヒドラターゼ活性を調べたところ、表1に示す結果が
得られた。
【0029】
【表1】
【0030】表1の結果より、本発明の遺伝子を含む欠
失プラスミド(例えば、pLJK20及びpLJK30)を有する組
換え体では、クロトンアミド添加によりニトリルヒドラ
ターゼ活性が上昇し、ベンズアミドの生成量が増加する
ことがわかった。これに対し、本発明の遺伝子を含まな
い欠失プラスミド(例えば、pLJK50及びpLJK60)を有す
る組換え体では、クロトンアミドの添加、無添加にかか
わらず、高いニトリルヒドラターゼ活性を示すことがわ
かった。従って、ニトリルヒドラターゼ遺伝子の上流に
本発明の負の調節遺伝子が存在することがわかった。
【0031】(8) 塩基配列の決定 図3に示した領域(図3最下欄に枠で記載した領域)の
DNA塩基配列を決定した結果、配列番号3に示す塩基
配列が得られ、配列番号1に示されるアミノ酸配列を持
つ、唯一の長いオープンリーディングフレーム(配列番
号3に記載された塩基配列のうち第118 〜1191番目に存
在)が見いだされた。塩基配列の決定はTth DNA polyme
raseを用いたチェーンターミネーション法(Sanger F.
Science214, 1205-1210 (1980))により行った。この
オープンリーディングフレームの塩基配列を配列番号2
に示した。
【0032】
【発明の効果】本発明により、ニトリルヒドラターゼ遺
伝子プロモーターを調節する機能を有するポリペプチド
をコードする遺伝子が提供される。本調節遺伝子と、ニ
トリルヒドラターゼ遺伝子プロモーター下流に導入した
異種遺伝子を同一菌体内に共存させることにより、ニト
リルヒドラターゼ発現にかかわる誘導物質による異種タ
ンパク質発現の調節が可能となる。
【0033】
【配列表】
配列番号1: 配列の長さ:357 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 起源 生物名:ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rh
odochrous) 株名:J1 配列: MetArgArgArgGlyPheProThrSerArgAsnAlaSerSerHis 15 ProArgLeuGlyLeuLeuThrSerLysSerGlyProGlySerLeu 30 PheAlaThrSerIleAspAsnAlaAlaMetLeuAlaLeuGluGlu 45 IleAsnAlaGluGlyGlyIleHisGlySerProValGluLeuIle 60 ValGlyAspAspAlaThrAspProGlnThrGlyValMetGluAla 75 ArgArgLeuValGlnAlaGlyCysArgThrIleLeuValAlaAla 90 ThrSerAlaThrTyrThrAlaValAlaGluAlaLeuSerAspAla 105 ProValLeuLeuValGlnProValMetAsnGluGlyGlyArgGly 120 AspArgLeuArgLeuGlnLeuGlyGluArgProAspAspGlnLeu 135 AlaAlaAlaValLysProLeuMetArgMetGluGlyValArgArg 150 TrpPheLeuAlaGlyAspAspTyrCysTrpProArgThrThrHis 165 GlyLeuAlaArgGlnLeuLeuProArgTyrGlyAlaGlyValVal 180 GlyGluGluPheAlaSerLeuGlyThrArgAspPheAlaProIle 195 IleGluSerIleGlnLysSerGlyAlaAspIleValLeuSerThr 210 PheValGlyAlaAspAlaValAlaPheGluArgGlnCysTyrAla 225 MetGlyLeuArgAspGlnCysIleThrLeuAlaProAlaLeuGlu 240 GluSerThrLeuThrTyrIleGlyAspGluAlaAlaArgGlyLeu 255 TyrSerValSerGlyTyrPheGlnGlyLeuGlnThrGluGlyAsn 270 AlaSerLeuLeuLysArgTyrArgAlaGlnPheGlyProTrpAla 285 ProProLeuSerThrLeuSerGluSerValPheGluAlaValHis 300 IleTrpTrpGlnAlaAlaArgLysAlaGluAspSerGluArgIle 315 AlaAlaAlaMetArgHisGlyGluPheGlnLeuProArgGlyThr 330 ValThrLeuSerGluAspArgLeuArgGlnGlnLeuHisLeuThr 345 LysAlaThrGlyThrGluLeuTyrProAlaLeuGly 357
【0034】配列番号2: 配列の長さ:1074 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源 生物名:ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rh
odochrous) 株名:J1 配列: ATG CGG CGT CGA GGG TTC CCT ACC TCT CGA AAC GCC TCT TCC CAT 45 CCC CGT CTG GGA TTG TTG ACG TCG AAA TCC GGA CCC GGC AGC CTC 90 TTC GCC ACC TCG ATT GAC AAC GCC GCC ATG CTG GCA CTG GAG GAA 135 ATC AAT GCC GAG GGC GGT ATC CAC GGC AGT CCA GTC GAG TTG ATC 180 GTG GGT GAT GAC GCC ACA GAC CCG CAG ACC GGC GTC ATG GAA GCG 225 CGA CGA CTC GTC CAG GCA GGC TGC CGG ACC ATT CTG GTC GCC GCC 270 ACA TCG GCT ACC TAC ACC GCC GTT GCC GAG GCG CTC AGT GAT GCA 315 CCC GTG CTG CTG GTA CAG CCG GTC ATG AAC GAA GGA GGG CGC GGC 360 GAT CGT CTC CGC CTC CAG CTC GGT GAG CGG CCG GAC GAC CAG TTG 405 GCA GCA GCC GTG AAA CCA CTC ATG CGG ATG GAG GGG GTG CGA CGA 450 TGG TTT CTG GCC GGC GAC GAT TAT TGT TGG CCC CGT ACG ACA CAC 495 GGC CTG GCA CGC CAA CTG TTG CCT CGG TAC GGC GCC GGA GTC GTC 540 GGG GAA GAG TTC GCG TCT CTG GGA ACT CGT GAC TTC GCC CCG ATC 585 ATC GAA TCG ATC CAG AAA TCG GGT GCC GAC ATC GTA CTG TCG ACC 630 TTC GTC GGA GCT GAT GCT GTT GCG TTC GAG CGG CAA TGC TAT GCA 675 ATG GGA TTG CGG GAT CAG TGC ATC ACT CTG GCG CCC GCC TTG GAG 720 GAG TCC ACG CTG ACG TAC ATC GGC GAC GAA GCG GCC CGT GGC CTC 765 TAC TCC GTC TCG GGG TAC TTC CAA GGA TTA CAA ACG GAA GGT AAC 810 GCC TCG CTT CTG AAG AGG TAC CGG GCG CAA TTC GGT CCT TGG GCA 855 CCG CCG CTG TCG ACG TTG AGC GAG TCT GTG TTC GAG GCA GTT CAC 900 ATA TGG TGG CAA GCG GCC CGG AAA GCC GAG GAT AGC GAG CGG ATC 945 GCC GCG GCA ATG CGT CAC GGC GAG TTT CAG CTA CCG CGG GGC ACC 990 GTC ACC TTG AGC GAG GAC CGA CTC AGG CAG CAG CTC CAT TTG ACG 1035 AAA GCG ACC GGC ACA GAA CTG TAT CCT GCC CTC GGA TGA 1074
【0035】配列番号3: 配列の長さ:1911 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源 生物名:ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rh
odochrous) 株名:J1 配列: GATATCGTGC ACGACCAGCC CTGGCGAGGG CGTATCAAAC TCCGTTTCGA 50 AGCCGCAAAC GGTGGTACGA GGGTTCGGCT CATCGCCGAA CTCGACCAGC 100 CCGGATTGGA ATGGTTGATG CGGCGTCGAG GGTTCCCTAC CTCTCGAAAC 150 GCCTCTTCCC ATCCCCGTCT GGGATTGTTG ACGTCGAAAT CCGGACCCGG 200 CAGCCTCTTC GCCACCTCGA TTGACAACGC CGCCATGCTG GCACTGGAGG 250 AAATCAATGC CGAGGGCGGT ATCCACGGCA GTCCAGTCGA GTTGATCGTG 300 GGTGATGACG CCACAGACCC GCAGACCGGC GTCATGGAAG CGCGACGACT 350 CGTCCAGGCA GGCTGCCGGA CCATTCTGGT CGCCGCCACA TCGGCTACCT 400 ACACCGCCGT TGCCGAGGCG CTCAGTGATG CACCCGTGCT GCTGGTACAG 450 CCGGTCATGA ACGAAGGAGG GCGCGGCGAT CGTCTCCGCC TCCAGCTCGG 500 TGAGCGGCCG GACGACCAGT TGGCAGCAGC CGTGAAACCA CTCATGCGGA 550 TGGAGGGGGT GCGACGATGG TTTCTGGCCG GCGACGATTA TTGTTGGCCC 600 CGTACGACAC ACGGCCTGGC ACGCCAACTG TTGCCTCGGT ACGGCGCCGG 650 AGTCGTCGGG GAAGAGTTCG CGTCTCTGGG AACTCGTGAC TTCGCCCCGA 700 TCATCGAATC GATCCAGAAA TCGGGTGCCG ACATCGTACT GTCGACCTTC 750 GTCGGAGCTG ATGCTGTTGC GTTCGAGCGG CAATGCTATG CAATGGGATT 800 GCGGGATCAG TGCATCACTC TGGCGCCCGC CTTGGAGGAG TCCACGCTGA 850 CGTACATCGG CGACGAAGCG GCCCGTGGCC TCTACTCCGT CTCGGGGTAC 900 TTCCAAGGAT TACAAACGGA AGGTAACGCC TCGCTTCTGA AGAGGTACCG 950 GGCGCAATTC GGTCCTTGGG CACCGCCGCT GTCGACGTTG AGCGAGTCTG 1000 TGTTCGAGGC AGTTCACATA TGGTGGCAAG CGGCCCGGAA AGCCGAGGAT 1050 AGCGAGCGGA TCGCCGCGGC AATGCGTCAC GGCGAGTTTC AGCTACCGCG 1100 GGGCACCGTC ACCTTGAGCG AGGACCGACT CAGGCAGCAG CTCCATTTGA 1150 CGAAAGCGAC CGGCACAGAA CTGTATCCTG CCCTCGGATG AGTTGAGACC 1200 TCGCTTGCTG ATACCGAAGA CCAGGGCATA TGCCTGGTCA TATCGGCGTG 1250 CTCGCTCCGT CTGCAGTTTC GTTCCCGGCC GGACGGATGC GCAACCACCG 1300 AGCGCAACTC GGGGTCGTCT GTGCATCAGC GTCGCCAGGA TTGCTTCCGG 1350 CTACGCTCGG GTCCCGCGTT ACCGCCATTC GACGCGATGT CGATCCCGGT 1400 CAAGGCGACA ATGACAGCTG CCAGATCCTC CTCTGTGGGA TCGGGACCGG 1450 TCGCGGAGGT CGAGGCTTTC TGCGAGATCT GCTTCCCTCT CGGGGGTCGT 1500 TCTGACTTCA TTCTTCGCCT TCCTTTGTGA ACGTCTCTCT GCGACACTTC 1550 CGGCCACAGT CAGCATCTTT TGAGATAGCT CCGAATGCAG ACGGTTCACG 1600 ATTCGTTCCG GGGGCTCGAC GAACGTCTTC CAGTCTCCGA AACAAACAGC 1650 AGTGTGGTCG AATTTGTGGC CGTCAGCGCG GTTGAGCCAC AGAGTGAATG 1700 CGCGGCAATC GAACTCAGAT TATCGGGCCA TTGCCCCACT GTCCACAGCG 1750 CGTGAGCGCG ATACACGTGG CAATAAAGAA TGACTACCAG TACGCTCGTG 1800 CCGACACAGG CGAGTGCGGC GCTCTATTGC AGGCAACCCA CACACCGGAT 1850 AGGTCTCCAC GATCGTACCT CCAGACGGAT GGTGGGGATG TTCACTTTCT 1900 CTCTGGAGCT C 1911
【図面の簡単な説明】
【図1】組換え体プラスミドpNLU10の制限酵素地図。
【図2】組換え体プラスミドpLJK10の作製工程図。
【図3】組換え体欠失プラスミドを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01) (C12N 1/21 C12R 1:01) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/88 C12R 1:01)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を実
    質的に含み、ニトリルヒドラターゼ遺伝子プロモーター
    を調節する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝
    子DNA。
  2. 【請求項2】 ニトリルヒドラターゼ遺伝子プロモータ
    ーを調節する機能を有するポリペプチドをコードする遺
    伝子が、配列番号2で表される塩基配列を有するもので
    ある請求項1記載の遺伝子DNA。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の遺伝子DNAと
    プロモーター領域を含むニトリルヒドラターゼ遺伝子と
    をベクターに組み込んだ組換え体DNA。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の組換え体DNAにより形
    質転換させて得られた形質転換体。
JP7155680A 1995-06-22 1995-06-22 ニトリルヒドラターゼ遺伝子発現を調節する遺伝子 Pending JPH09264A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007053994A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Tatsuhiko Kobayashi ストレプトマイセス属微生物における遺伝子高発現系

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JP2007053994A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Tatsuhiko Kobayashi ストレプトマイセス属微生物における遺伝子高発現系

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