JPH09268348A - 電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法 - Google Patents
電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法Info
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- JPH09268348A JPH09268348A JP8081309A JP8130996A JPH09268348A JP H09268348 A JPH09268348 A JP H09268348A JP 8081309 A JP8081309 A JP 8081309A JP 8130996 A JP8130996 A JP 8130996A JP H09268348 A JPH09268348 A JP H09268348A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 強度およびプレス打抜き加工性に優れた電子
部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法の提
供。 【解決手段】 重量%にて、Ni30〜55%、Si
1.2%以下、Mn1.5%以下であり、残部は不純物
を除き実質的にFeであって、不純物のうち、C0.0
2%以下である合金、あるいはさらにCoを12%以下
含む合金を、二次加工硬化領域に対応する圧延率で最終
冷間圧延を施す。好ましい対象合金は、さらに重量%に
て、W、Mo、V、Al、Ti、Nbの1種もしくは2
種以上を合計で1.0〜3.0%、またはZr、Beの
1種もしくは2種を合計で0.05〜1.0%含有す
る。
部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法の提
供。 【解決手段】 重量%にて、Ni30〜55%、Si
1.2%以下、Mn1.5%以下であり、残部は不純物
を除き実質的にFeであって、不純物のうち、C0.0
2%以下である合金、あるいはさらにCoを12%以下
含む合金を、二次加工硬化領域に対応する圧延率で最終
冷間圧延を施す。好ましい対象合金は、さらに重量%に
て、W、Mo、V、Al、Ti、Nbの1種もしくは2
種以上を合計で1.0〜3.0%、またはZr、Beの
1種もしくは2種を合計で0.05〜1.0%含有す
る。
Description
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、強度およびプレス
打抜き加工性に優れ、リードフレーム等の電子部品材料
として使用するのに適したFe−Ni系合金薄板に関す
るものである。
打抜き加工性に優れ、リードフレーム等の電子部品材料
として使用するのに適したFe−Ni系合金薄板に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】低熱膨張特性を持ち、加工性、耐食性に
優れているFe−Ni系合金は、電子部品用材料として
広く使用されている。例えば集積回路用素子のリードフ
レームにはFe−42Ni、Fe−29Ni−17Co
が、また特に低熱膨張特性を利用する部材にはFe−3
6Ni(インバー)、Fe−31Ni−5Co(スーパ
ーインバー)等のFe−Ni系合金が使用されている。
優れているFe−Ni系合金は、電子部品用材料として
広く使用されている。例えば集積回路用素子のリードフ
レームにはFe−42Ni、Fe−29Ni−17Co
が、また特に低熱膨張特性を利用する部材にはFe−3
6Ni(インバー)、Fe−31Ni−5Co(スーパ
ーインバー)等のFe−Ni系合金が使用されている。
【0003】上述したようなFe−Ni系合金を電子部
品用途に適用する場合において、電子部品用Fe−Ni
系合金には、例えばプレス打抜き加工やフォトエッチン
グ加工のような微細な加工が施され、リードフレームを
代表とする電子部品用Fe−Ni系合金においては、半
導体装置の高集積化に伴う薄板化および微細加工化がい
っそう求められている。このようなFe−Ni系合金薄
板は強度不足のため、搬送、実装などの際に反り、曲が
りなどが起こり易く、また微細加工を施した電子部品に
おいては、組み立てや使用中の衝撃で座屈するなどの問
題がある。
品用途に適用する場合において、電子部品用Fe−Ni
系合金には、例えばプレス打抜き加工やフォトエッチン
グ加工のような微細な加工が施され、リードフレームを
代表とする電子部品用Fe−Ni系合金においては、半
導体装置の高集積化に伴う薄板化および微細加工化がい
っそう求められている。このようなFe−Ni系合金薄
板は強度不足のため、搬送、実装などの際に反り、曲が
りなどが起こり易く、また微細加工を施した電子部品に
おいては、組み立てや使用中の衝撃で座屈するなどの問
題がある。
【0004】さらに、Fe−Ni系合金薄板にプレス打
抜き加工を施した際には、材料の破断性が劣ることに起
因するバリが発生することがあり、よって、薄板化した
場合には微細加工における精度を維持することが困難で
あった。このため電子部品用Fe−Ni系合金薄板に対
して、従来の高強度材料よりもさらに強度が高く、また
微細加工が容易な材料が強く求められている。
抜き加工を施した際には、材料の破断性が劣ることに起
因するバリが発生することがあり、よって、薄板化した
場合には微細加工における精度を維持することが困難で
あった。このため電子部品用Fe−Ni系合金薄板に対
して、従来の高強度材料よりもさらに強度が高く、また
微細加工が容易な材料が強く求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような要求に対
し、Fe−Ni系合金薄板の強度および微細加工性の改
良について次の提案がなされている。例えばCu、M
n、Nb、Mo等の添加による高強度化の提案(特開平
3−197641号)がある。しかし、強化元素の添加
のみでビッカース硬さ240HV以上という高強度化を
図ろうとすると多量の強化元素の添加が必要であり、エ
ッチング加工性、ハンダ性、メッキ性の劣化が起こる。
し、Fe−Ni系合金薄板の強度および微細加工性の改
良について次の提案がなされている。例えばCu、M
n、Nb、Mo等の添加による高強度化の提案(特開平
3−197641号)がある。しかし、強化元素の添加
のみでビッカース硬さ240HV以上という高強度化を
図ろうとすると多量の強化元素の添加が必要であり、エ
ッチング加工性、ハンダ性、メッキ性の劣化が起こる。
【0006】また、多量に添加した強化元素が介在物を
形成すると、その粒度、密度のばらつきによってプレス
打抜き面が粗面となる場合があり、同時にプレス打抜き
工具の破損を生じる場合がある。さらに、これらの元素
は熱膨張係数を増大させるため、Fe−Ni合金の特長
の一つである低熱膨張特性が阻害される。逆に、これら
の問題が起こらない程度の少量の添加では、高強度材料
としては強度が不十分となる。
形成すると、その粒度、密度のばらつきによってプレス
打抜き面が粗面となる場合があり、同時にプレス打抜き
工具の破損を生じる場合がある。さらに、これらの元素
は熱膨張係数を増大させるため、Fe−Ni合金の特長
の一つである低熱膨張特性が阻害される。逆に、これら
の問題が起こらない程度の少量の添加では、高強度材料
としては強度が不十分となる。
【0007】また、合金元素を添加する以外の強化機構
を用いるものとしては、本出願人が先に提案したFe−
Ni−Coの二相組織強化によるもの(特開平3−16
6340号)があるが、2相組織の制御には高度な製造
技術が必要である。また、最終冷間圧延前の焼鈍による
結晶粒の制御と高い圧延率での最終冷間圧延によって高
強度化を行う提案(特開昭59−33857号、特開平
4−160112号)がある。この方法は加工硬化を利
用するものであるが、これも上述したさらなる高強度化
を十分に満足するものとは言えない。
を用いるものとしては、本出願人が先に提案したFe−
Ni−Coの二相組織強化によるもの(特開平3−16
6340号)があるが、2相組織の制御には高度な製造
技術が必要である。また、最終冷間圧延前の焼鈍による
結晶粒の制御と高い圧延率での最終冷間圧延によって高
強度化を行う提案(特開昭59−33857号、特開平
4−160112号)がある。この方法は加工硬化を利
用するものであるが、これも上述したさらなる高強度化
を十分に満足するものとは言えない。
【0008】Fe−Ni系合金のプレス打抜き加工性の
改善については、Sを含有させて硫化物を分散させる提
案(特開昭60−255954号)がある。しかし、硫
化物は表面欠陥やハンダ、メッキ不良の原因となるた
め、電子部品材料として使用するのに必ずしも好ましく
ない。本発明は以上の点に鑑み、コストを大きく上げる
ことなく、またエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性
を害することなく、十分な高強度と良好なプレス打抜き
性を備えた電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその
製造方法を提供することを目的とする。
改善については、Sを含有させて硫化物を分散させる提
案(特開昭60−255954号)がある。しかし、硫
化物は表面欠陥やハンダ、メッキ不良の原因となるた
め、電子部品材料として使用するのに必ずしも好ましく
ない。本発明は以上の点に鑑み、コストを大きく上げる
ことなく、またエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性
を害することなく、十分な高強度と良好なプレス打抜き
性を備えた電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、強度上昇
に効果のある強化元素の検討に加え、Fe−Ni系合金
の圧延工程の強度とプレス打抜き加工性への影響につい
て、詳細な検討を行った。その結果、冷間圧延において
圧延率を高くしていくと、急激に硬さが高くなり強度が
高まる二次加工硬化領域が存在することを突きとめた。
最終冷間圧延にこの領域を適用すれば、材料の破断性が
大きく向上し、プレス打抜き加工性が改善されると共
に、強化元素の添加量を減じても高い強度が得られるた
め、エッチング加工性も向上できるという新規な効果を
見いだした。
に効果のある強化元素の検討に加え、Fe−Ni系合金
の圧延工程の強度とプレス打抜き加工性への影響につい
て、詳細な検討を行った。その結果、冷間圧延において
圧延率を高くしていくと、急激に硬さが高くなり強度が
高まる二次加工硬化領域が存在することを突きとめた。
最終冷間圧延にこの領域を適用すれば、材料の破断性が
大きく向上し、プレス打抜き加工性が改善されると共
に、強化元素の添加量を減じても高い強度が得られるた
め、エッチング加工性も向上できるという新規な効果を
見いだした。
【0010】また、二次加工硬化領域での最終冷間圧延
と強化元素の添加を組み合わせ、最適な添加量に制御す
ることで、さらに高い強度とプレス打抜き加工性を両立
させて向上することができることを見いだした。さらに
本発明者らは、特定成分のFe−Ni系合金薄板に二次
加工硬化領域に対応する圧延率を適用すると、材料の強
度異方性が小さくなるという新しい作用を見いだし本発
明に到達した。
と強化元素の添加を組み合わせ、最適な添加量に制御す
ることで、さらに高い強度とプレス打抜き加工性を両立
させて向上することができることを見いだした。さらに
本発明者らは、特定成分のFe−Ni系合金薄板に二次
加工硬化領域に対応する圧延率を適用すると、材料の強
度異方性が小さくなるという新しい作用を見いだし本発
明に到達した。
【0011】すなわち本発明の電子部品用Fe−Ni系
合金薄板の製造方法は、重量%にて、Ni30〜55
%、Si1.2%以下、Mn1.5%以下であり、残部
は不純物を除き実質的にFeであって、不純物のうちC
0.02%以下である合金、あるいはさらにCoを12
%以下含む合金を、熱間圧延後少なくとも1回以上の冷
間圧延と焼鈍を施した後に、二次加工硬化領域に対応す
る圧延率で最終冷間圧延を施すものである。
合金薄板の製造方法は、重量%にて、Ni30〜55
%、Si1.2%以下、Mn1.5%以下であり、残部
は不純物を除き実質的にFeであって、不純物のうちC
0.02%以下である合金、あるいはさらにCoを12
%以下含む合金を、熱間圧延後少なくとも1回以上の冷
間圧延と焼鈍を施した後に、二次加工硬化領域に対応す
る圧延率で最終冷間圧延を施すものである。
【0012】本発明の電子部品用Fe−Ni系合金薄板
の製造方法の好ましい対象合金は、さらに重量%にて、
W、Mo、V、Al、Ti、Nbの1種もしくは2種以
上を合計で1.0〜3.0%、またはZr、Beの1種
もしくは2種を合計で0.05〜1.0%含有するもの
である。さらに本発明においては、最終冷間圧延前の合
金薄板の硬さをビッカース硬さ145HV以上に調整す
ることにより、上述した二次加工硬化領域を容易に達成
することができる。
の製造方法の好ましい対象合金は、さらに重量%にて、
W、Mo、V、Al、Ti、Nbの1種もしくは2種以
上を合計で1.0〜3.0%、またはZr、Beの1種
もしくは2種を合計で0.05〜1.0%含有するもの
である。さらに本発明においては、最終冷間圧延前の合
金薄板の硬さをビッカース硬さ145HV以上に調整す
ることにより、上述した二次加工硬化領域を容易に達成
することができる。
【0013】上述した本発明の製造方法により得られる
本発明の電子部品用Fe−Ni系合金薄板は、重量%に
て、Ni30〜55%、Si1.2%以下、Mn1.5
%以下であり、残部は不純物を除き実質的にFeであっ
て、不純物のうち、C0.02%以下である組成を有
し、あるいはさらにCoを12%以下含有する組成を有
し、二次加工硬化領域に対応する圧延率の最終冷間圧延
を経て結晶粒が展伸された組織であることを特徴とする
電子部品用Fe−Ni系合金薄板である。
本発明の電子部品用Fe−Ni系合金薄板は、重量%に
て、Ni30〜55%、Si1.2%以下、Mn1.5
%以下であり、残部は不純物を除き実質的にFeであっ
て、不純物のうち、C0.02%以下である組成を有
し、あるいはさらにCoを12%以下含有する組成を有
し、二次加工硬化領域に対応する圧延率の最終冷間圧延
を経て結晶粒が展伸された組織であることを特徴とする
電子部品用Fe−Ni系合金薄板である。
【0014】好ましくは、重量%にて、W、Mo、V、
Al、Ti、Nbの1種もしくは2種以上を合計で1.
0〜3.0%、またはZr、Beの1種もしくは2種を
合計で0.05〜1.0%含有する電子部品用Fe−N
i系合金薄板である。
Al、Ti、Nbの1種もしくは2種以上を合計で1.
0〜3.0%、またはZr、Beの1種もしくは2種を
合計で0.05〜1.0%含有する電子部品用Fe−N
i系合金薄板である。
【0015】本発明のFe−Ni系合金薄板のミクロ組
織的な特徴は、二次加工硬化領域での最終冷間圧延を経
て結晶粒が展伸されていることである。従来のFe−N
i系合金薄板は結晶粒が展伸されてはいるが、その展伸
は二次加工硬化領域によるものではないため、十分な強
度を有する結晶粒ではなかった。しかし本発明のFe−
Ni系合金薄板は、最終冷間圧延率に二次加工硬化領域
を適用することによって、結晶粒が急激な強度の上昇を
伴って展伸されるため、その結果、材料の強度が著しく
向上する。
織的な特徴は、二次加工硬化領域での最終冷間圧延を経
て結晶粒が展伸されていることである。従来のFe−N
i系合金薄板は結晶粒が展伸されてはいるが、その展伸
は二次加工硬化領域によるものではないため、十分な強
度を有する結晶粒ではなかった。しかし本発明のFe−
Ni系合金薄板は、最終冷間圧延率に二次加工硬化領域
を適用することによって、結晶粒が急激な強度の上昇を
伴って展伸されるため、その結果、材料の強度が著しく
向上する。
【0016】また、材料の高強度化によって材料の破断
性が大きく向上し、さらには強化元素の減量によって破
断面の清浄度が増すことから、プレス打抜き加工の際、
バリが生じ難い。すなわち、本発明の電子部品用Fe−
Ni系合金薄板は、高い硬さと良好なプレス打抜き加工
性を兼ね備えたものである。好ましくは、ビッカース硬
さで240HV以上、さらに好ましくは、270HV以
上の硬さを持つ電子部品用Fe−Ni系合金薄板であ
る。
性が大きく向上し、さらには強化元素の減量によって破
断面の清浄度が増すことから、プレス打抜き加工の際、
バリが生じ難い。すなわち、本発明の電子部品用Fe−
Ni系合金薄板は、高い硬さと良好なプレス打抜き加工
性を兼ね備えたものである。好ましくは、ビッカース硬
さで240HV以上、さらに好ましくは、270HV以
上の硬さを持つ電子部品用Fe−Ni系合金薄板であ
る。
【0017】また本発明の製造方法による電子部品用F
e−Ni系合金薄板は、二次加工硬化領域の適用によ
り、1000℃で15分間加熱したときに、X線回折に
よる結晶面の相対X線強度において(200)面の強度
が80%以上となる特性を有し、これによって本発明の
材料のより好ましい特徴がを特定できる。
e−Ni系合金薄板は、二次加工硬化領域の適用によ
り、1000℃で15分間加熱したときに、X線回折に
よる結晶面の相対X線強度において(200)面の強度
が80%以上となる特性を有し、これによって本発明の
材料のより好ましい特徴がを特定できる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の特徴の一つは、圧延率に
対して硬さが急激に上昇する二次加工硬化領域で最終冷
間圧延を施すことである。従来のように強化元素の添加
のみで高強度化を図ろうとすると、強化元素の多量添加
によるエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性、さらに
はプレス加工性の劣化が生じるため、これらの劣化防止
を考慮すると、せいぜいビッカース硬さ240HV程度
が限度であった。
対して硬さが急激に上昇する二次加工硬化領域で最終冷
間圧延を施すことである。従来のように強化元素の添加
のみで高強度化を図ろうとすると、強化元素の多量添加
によるエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性、さらに
はプレス加工性の劣化が生じるため、これらの劣化防止
を考慮すると、せいぜいビッカース硬さ240HV程度
が限度であった。
【0019】しかし上述のように、最終冷間圧延に二次
加工硬化領域での圧延率を適用すれば、強化元素の添加
を減じても材料強度を著しく高めることが可能であり、
その結果、ビッカース硬さ240HV以上の材料を得る
ことができるのである。また、二次加工硬化領域で最終
冷間圧延を施した材料は、材料の破断性に優れることか
らプレス打抜き加工時のバリの発生を従来に比べて抑え
ることができ、多量の強化元素を添加せずに高強度を得
ることができるので、エッチング加工性にも優れたもの
である。
加工硬化領域での圧延率を適用すれば、強化元素の添加
を減じても材料強度を著しく高めることが可能であり、
その結果、ビッカース硬さ240HV以上の材料を得る
ことができるのである。また、二次加工硬化領域で最終
冷間圧延を施した材料は、材料の破断性に優れることか
らプレス打抜き加工時のバリの発生を従来に比べて抑え
ることができ、多量の強化元素を添加せずに高強度を得
ることができるので、エッチング加工性にも優れたもの
である。
【0020】すなわち本発明は、二次加工硬化領域での
最終冷間圧延によって、材料の強度とプレス打抜き加工
性を同時に改善することができ、よって、高強度かつ微
細加工が容易に行えるFe−Ni系合金薄板を得ること
ができるのである。
最終冷間圧延によって、材料の強度とプレス打抜き加工
性を同時に改善することができ、よって、高強度かつ微
細加工が容易に行えるFe−Ni系合金薄板を得ること
ができるのである。
【0021】本発明が最終冷間圧延を行う二次加工硬化
領域の一例を図1に示して具体的に説明する。図1はF
e−42Niの冷間圧延率と硬さの関係を示すものであ
り、材料は冷間圧延前の硬さを予めビッカース硬さ15
2HVと高く設定したものである。図1に示すこの加工
硬化曲線は、大きく3つの領域に分けることができる。
すなわち、低圧延率領域においては圧延率にほぼ比例し
て硬さが高くなっている(領域I)。そして圧延率が高
くなると、圧延率を高めても硬さがあまり高くならない
鈍化領域となる(領域II)。そしてさらに圧延率を高く
すると、硬さが著しく高まる二次加工硬化領域となる
(領域III)。
領域の一例を図1に示して具体的に説明する。図1はF
e−42Niの冷間圧延率と硬さの関係を示すものであ
り、材料は冷間圧延前の硬さを予めビッカース硬さ15
2HVと高く設定したものである。図1に示すこの加工
硬化曲線は、大きく3つの領域に分けることができる。
すなわち、低圧延率領域においては圧延率にほぼ比例し
て硬さが高くなっている(領域I)。そして圧延率が高
くなると、圧延率を高めても硬さがあまり高くならない
鈍化領域となる(領域II)。そしてさらに圧延率を高く
すると、硬さが著しく高まる二次加工硬化領域となる
(領域III)。
【0022】二次加工硬化領域は、図1に示す如き圧延
率と硬さの関係を示す加工硬化曲線を作成した場合に、
硬さの増加率が低下から上昇に転じる点すなわちその材
料の加工硬化曲線の変曲点以上として特定できるもので
あり、本発明で利用するのは上述した図1の例で言えば
領域IIIに対応する二次加工硬化領域である。
率と硬さの関係を示す加工硬化曲線を作成した場合に、
硬さの増加率が低下から上昇に転じる点すなわちその材
料の加工硬化曲線の変曲点以上として特定できるもので
あり、本発明で利用するのは上述した図1の例で言えば
領域IIIに対応する二次加工硬化領域である。
【0023】図1は加工硬化曲線の一例を示すもので、
組成、冷間圧延開始時の硬さ等によって加工硬化曲線の
形状は異なる。従って、二次加工硬化が始まる最終冷間
圧延率は図1では約77%であるが、その値は一定では
なく、上下に変化し得るものであり、このような加工硬
化曲線は最終冷間圧延率と硬さとの関係を調査すること
で容易に得られる。ただし、本発明の組成領域を満たす
材料の二次加工硬化領域は、冷間圧延前の硬さがビッカ
ース硬さ125〜165HVの場合、最終冷間圧延率が
70〜85%で始まる。
組成、冷間圧延開始時の硬さ等によって加工硬化曲線の
形状は異なる。従って、二次加工硬化が始まる最終冷間
圧延率は図1では約77%であるが、その値は一定では
なく、上下に変化し得るものであり、このような加工硬
化曲線は最終冷間圧延率と硬さとの関係を調査すること
で容易に得られる。ただし、本発明の組成領域を満たす
材料の二次加工硬化領域は、冷間圧延前の硬さがビッカ
ース硬さ125〜165HVの場合、最終冷間圧延率が
70〜85%で始まる。
【0024】さらに本発明者らは、組成が同一であれば
最終冷間圧延前の硬さが高い程、低い圧延率で二次加工
硬化領域に入ることを見いだした。すなわち、最終冷間
圧延前の硬さを高く制御することによって、より容易に
高強度とプレス打抜き加工性の向上を達成することがで
きるのである。よって最終冷間圧延の前においては、硬
さができるだけ高いことが望ましく、具体的には、最終
冷間圧延前の硬さが145HV以上を満足する材料が本
発明の実施に望ましい。
最終冷間圧延前の硬さが高い程、低い圧延率で二次加工
硬化領域に入ることを見いだした。すなわち、最終冷間
圧延前の硬さを高く制御することによって、より容易に
高強度とプレス打抜き加工性の向上を達成することがで
きるのである。よって最終冷間圧延の前においては、硬
さができるだけ高いことが望ましく、具体的には、最終
冷間圧延前の硬さが145HV以上を満足する材料が本
発明の実施に望ましい。
【0025】例えば図2はFe−40Ni−2Moの加
工硬化曲線であるが、冷間圧延前のビッカース硬さが1
61HVの場合は(a)のような曲線になり、二次加工硬
化が開始する最終冷間圧延率は70%となる。また、冷
間圧延前のビッカース硬さが126HVの場合は(b)の
ような曲線になり、二次加工硬化が開始する最終冷間圧
延率は78%となる。なお、望ましくは変曲点、すなわ
ち二次加工硬化の開始圧延率より5%以上高い最終冷間
圧延率を利用する。
工硬化曲線であるが、冷間圧延前のビッカース硬さが1
61HVの場合は(a)のような曲線になり、二次加工硬
化が開始する最終冷間圧延率は70%となる。また、冷
間圧延前のビッカース硬さが126HVの場合は(b)の
ような曲線になり、二次加工硬化が開始する最終冷間圧
延率は78%となる。なお、望ましくは変曲点、すなわ
ち二次加工硬化の開始圧延率より5%以上高い最終冷間
圧延率を利用する。
【0026】以上のように、最終冷間圧延に二次加工硬
化領域での圧延率を利用すれば、強化元素の添加量を大
幅に減じることができるので、強化元素の添加に起因す
るエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性を劣化させず
に高強度と良好なプレス打抜き性を得ることができ、ま
た添加元素の節約によってコストを大きく下げることも
できる。
化領域での圧延率を利用すれば、強化元素の添加量を大
幅に減じることができるので、強化元素の添加に起因す
るエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性を劣化させず
に高強度と良好なプレス打抜き性を得ることができ、ま
た添加元素の節約によってコストを大きく下げることも
できる。
【0027】さらに、二次加工硬化領域での圧延率を利
用することで、従来問題であった冷間加工による歪の付
与によって生ずる圧延方向と圧延直角方向との強度の
差、すなわち強度異方性を低減することができ、圧延方
向の強度差に起因する加工ムラが抑えられる。
用することで、従来問題であった冷間加工による歪の付
与によって生ずる圧延方向と圧延直角方向との強度の
差、すなわち強度異方性を低減することができ、圧延方
向の強度差に起因する加工ムラが抑えられる。
【0028】本発明で利用する二次加工硬化領域におい
て強度異方性が大きくならないのは、二次加工硬化領域
以下の圧延率では冷間圧延方向の影響で分布が偏ってい
た転位密度が、二次加工硬化領域では圧延方向と圧延直
角方向のいずれもが飽和するためと考えられる。また、
二次加工硬化領域での圧延によってもなお材料に残され
た強度異方性は、再結晶温度以下の適当な条件で歪取り
焼鈍を施すことによって、強度を大きく低下させること
なくさらに低減させることができる。
て強度異方性が大きくならないのは、二次加工硬化領域
以下の圧延率では冷間圧延方向の影響で分布が偏ってい
た転位密度が、二次加工硬化領域では圧延方向と圧延直
角方向のいずれもが飽和するためと考えられる。また、
二次加工硬化領域での圧延によってもなお材料に残され
た強度異方性は、再結晶温度以下の適当な条件で歪取り
焼鈍を施すことによって、強度を大きく低下させること
なくさらに低減させることができる。
【0029】電子部品用Fe−Ni系合金には、プレス
打抜き加工やフォトエッチング加工といった微細な加工
が施され、リードフレームを代表とする電子部品用Fe
−Ni系合金薄板においては、いっそうの微細加工化が
求められている。また、Fe−Ni系電子部品は回路の
発熱の影響を受けるため、熱膨張係数が小さいことが望
ましく、例えばリードフレーム材では、熱膨張整合性の
点からシリコンチップ(α30-200=4〜5×10マイナ
ス6乗/℃)並みの低熱膨張特性が要求されている。
打抜き加工やフォトエッチング加工といった微細な加工
が施され、リードフレームを代表とする電子部品用Fe
−Ni系合金薄板においては、いっそうの微細加工化が
求められている。また、Fe−Ni系電子部品は回路の
発熱の影響を受けるため、熱膨張係数が小さいことが望
ましく、例えばリードフレーム材では、熱膨張整合性の
点からシリコンチップ(α30-200=4〜5×10マイナ
ス6乗/℃)並みの低熱膨張特性が要求されている。
【0030】多量の強化元素の添加は、プレス打抜き加
工性やエッチング加工性、熱膨張係数の特性を劣化さ
せ、また上述の強度異方性にも悪影響を及ぼすため、こ
の点からも二次加工硬化領域での最終冷間圧延による強
化を最大限に利用することが望ましい。
工性やエッチング加工性、熱膨張係数の特性を劣化さ
せ、また上述の強度異方性にも悪影響を及ぼすため、こ
の点からも二次加工硬化領域での最終冷間圧延による強
化を最大限に利用することが望ましい。
【0031】上述に加えて、本発明者らは二次加工硬化
領域による最終冷間圧延に強化元素の添加を組み合わせ
ることでビッカース硬さ270HV以上というさらなる
高強度を達成できることを見いだした。また、材料のさ
らなる高強度化によって材料の破断性がより大きく向上
し、プレス打抜き加工時に発生するバリを十分に抑える
ことができることを見いだした。
領域による最終冷間圧延に強化元素の添加を組み合わせ
ることでビッカース硬さ270HV以上というさらなる
高強度を達成できることを見いだした。また、材料のさ
らなる高強度化によって材料の破断性がより大きく向上
し、プレス打抜き加工時に発生するバリを十分に抑える
ことができることを見いだした。
【0032】さらに、添加する強化元素として微細な析
出物を生成するものを選ぶことで、微細な析出物がプレ
ス打抜き加工時の破断の起点となり、プレス打抜き加工
性を大幅に向上することができる。すなわち、上述の効
果を達成するためには、強化元素の添加が有効であり、
この添加量を適格に制御することで、強化元素の添加に
起因するエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性を劣化
させずにさらに高強度と良好なプレス打抜き性を得るこ
とができるのである。
出物を生成するものを選ぶことで、微細な析出物がプレ
ス打抜き加工時の破断の起点となり、プレス打抜き加工
性を大幅に向上することができる。すなわち、上述の効
果を達成するためには、強化元素の添加が有効であり、
この添加量を適格に制御することで、強化元素の添加に
起因するエッチング加工性、ハンダ性、メッキ性を劣化
させずにさらに高強度と良好なプレス打抜き性を得るこ
とができるのである。
【0033】上述の効果を達成するにあたって、本発明
のFe−Ni系合金薄板の組成を以下のように定めた。
Ni含有量は、その材料を用いて製造される電子部品の
熱膨張係数を調整するものであり、その36%付近で熱
膨張係数を極小化する。Niは30%より少ないか52
%より多いと熱膨張係数が大きくなり過ぎ、Fe−Ni
合金の特長の一つである低熱膨張のメリットがなくな
る。このためNi含有量は30〜55%に限定する。
のFe−Ni系合金薄板の組成を以下のように定めた。
Ni含有量は、その材料を用いて製造される電子部品の
熱膨張係数を調整するものであり、その36%付近で熱
膨張係数を極小化する。Niは30%より少ないか52
%より多いと熱膨張係数が大きくなり過ぎ、Fe−Ni
合金の特長の一つである低熱膨張のメリットがなくな
る。このためNi含有量は30〜55%に限定する。
【0034】Coは熱膨張の点でNiとの置換が可能で
ある。CoをNiと置換するとキュリー点が上昇し、よ
り高温まで熱膨張係数を低く抑えることができる。また
Coは他の元素のようにハンダ性、メッキ性を害するこ
とはなく、Fe−Ni合金に固溶して焼鈍時の硬さを上
昇させる効果があり、これによって最終冷間圧延後の硬
さも上昇させる。しかし12%以上の添加ではさらなる
効果は見られない。このためCo含有量は12%以下に
限定する。また、特に低熱膨張が必要とされる場合は、
Ni含有量とCo含有量の合計が33〜45%であるこ
とが望ましい。
ある。CoをNiと置換するとキュリー点が上昇し、よ
り高温まで熱膨張係数を低く抑えることができる。また
Coは他の元素のようにハンダ性、メッキ性を害するこ
とはなく、Fe−Ni合金に固溶して焼鈍時の硬さを上
昇させる効果があり、これによって最終冷間圧延後の硬
さも上昇させる。しかし12%以上の添加ではさらなる
効果は見られない。このためCo含有量は12%以下に
限定する。また、特に低熱膨張が必要とされる場合は、
Ni含有量とCo含有量の合計が33〜45%であるこ
とが望ましい。
【0035】Cは製鋼上は添加してもよいが、合金組成
としては0.02%以下の不純物として管理される。C
が0.02%を超えると素材のエッチング加工性を著し
く劣化させ、さらに炭化物の過剰析出によりハンダ性、
メッキ性を著しく害することもあるため、0.02%以
下とする。エッチング性にとってCの望ましい範囲は
0.005%以下である。Si、Mnは脱酸剤として添
加され、強度の上昇にも効果がある。しかしSiは1.
2%、Mnは1.5%を超えると熱膨張係数の上昇や、
ハンダ、メッキ性の劣化が生じるため、Siは1.2%
以下、Mn1.5%以下とする。Si、Mnで強度を上
昇させる必要がない場合には、エッチング性の点からは
Si0.2%以下、Mn0.5%以下が望ましい。
としては0.02%以下の不純物として管理される。C
が0.02%を超えると素材のエッチング加工性を著し
く劣化させ、さらに炭化物の過剰析出によりハンダ性、
メッキ性を著しく害することもあるため、0.02%以
下とする。エッチング性にとってCの望ましい範囲は
0.005%以下である。Si、Mnは脱酸剤として添
加され、強度の上昇にも効果がある。しかしSiは1.
2%、Mnは1.5%を超えると熱膨張係数の上昇や、
ハンダ、メッキ性の劣化が生じるため、Siは1.2%
以下、Mn1.5%以下とする。Si、Mnで強度を上
昇させる必要がない場合には、エッチング性の点からは
Si0.2%以下、Mn0.5%以下が望ましい。
【0036】W、Mo、V、Al、Ti、Nb、Zr、
Beは本発明の規定の下限以上でいずれもFe−Ni合
金の強度をさらに上昇させる効果がある。また、特にT
i、Nb、Zr、Beは、プレス打抜き加工時の破断の
起点となるような微細な析出物を生成し、加工性を大幅
に向上させるものとして有効な元素であり、よってこれ
らを添加することが望ましい。しかし添加量が多すぎる
と他の特性を害するため、それぞれ以下のように規定す
る。
Beは本発明の規定の下限以上でいずれもFe−Ni合
金の強度をさらに上昇させる効果がある。また、特にT
i、Nb、Zr、Beは、プレス打抜き加工時の破断の
起点となるような微細な析出物を生成し、加工性を大幅
に向上させるものとして有効な元素であり、よってこれ
らを添加することが望ましい。しかし添加量が多すぎる
と他の特性を害するため、それぞれ以下のように規定す
る。
【0037】W、Mo、V、Al、Ti、Nbはその合
計が3.0%を超えるとハンダ性、メッキ性および強度
異方性を著しく害し、また熱膨張係数を増大させるた
め、添加する場合には合計1.0〜3.0%とする。Z
r、Beは少量で強化効果があるが、1.0%を超える
と素材の清浄度を著しく劣化させ、ひいては強度異方性
を害するため、添加する場合には合計0.05〜1.0
%とする。
計が3.0%を超えるとハンダ性、メッキ性および強度
異方性を著しく害し、また熱膨張係数を増大させるた
め、添加する場合には合計1.0〜3.0%とする。Z
r、Beは少量で強化効果があるが、1.0%を超える
と素材の清浄度を著しく劣化させ、ひいては強度異方性
を害するため、添加する場合には合計0.05〜1.0
%とする。
【0038】上述した方法により、エッチング加工性、
ハンダ性、メッキ性を損なわずに、ビッカース硬さで2
70HV以上という高い硬さのFe−Ni系合金薄板を
得ることができ、同時にプレス打抜き加工性にも極めて
優れた材料となる。
ハンダ性、メッキ性を損なわずに、ビッカース硬さで2
70HV以上という高い硬さのFe−Ni系合金薄板を
得ることができ、同時にプレス打抜き加工性にも極めて
優れた材料となる。
【0039】本発明の材料は、上述した極めて高い硬さ
だけではなく、その材料を再結晶化熱処理した再結晶集
合組織によってその材料特性と製造方法を特定すること
が可能である。実際の電子部品材料としてはこのような
処理は行わないのであるが、本発明の材料を特定する上
では極めて有効である。すなわち、本発明のように二次
加工硬化領域で最終冷間圧延された材料においては、こ
れを再結晶化熱処理を行うと、(200)面が従来にな
いほど強く集合した再結晶集合組織となる。
だけではなく、その材料を再結晶化熱処理した再結晶集
合組織によってその材料特性と製造方法を特定すること
が可能である。実際の電子部品材料としてはこのような
処理は行わないのであるが、本発明の材料を特定する上
では極めて有効である。すなわち、本発明のように二次
加工硬化領域で最終冷間圧延された材料においては、こ
れを再結晶化熱処理を行うと、(200)面が従来にな
いほど強く集合した再結晶集合組織となる。
【0040】なお、再結晶化熱処理の条件が異なると、
(200)面の集合度も異なってくるため、本発明者
は、1000℃で15分間加熱した時にX線回折による
結晶面の相対X線強度において(200)面の強度が8
0%以上と規定した。好ましくは90%以上である。本
発明において相対X線強度とは、X線回折によって(1
11)、(200)、(220)、(311)各面の回
折X線強度が得られ、その総和に対する各面の比によっ
て定義される。
(200)面の集合度も異なってくるため、本発明者
は、1000℃で15分間加熱した時にX線回折による
結晶面の相対X線強度において(200)面の強度が8
0%以上と規定した。好ましくは90%以上である。本
発明において相対X線強度とは、X線回折によって(1
11)、(200)、(220)、(311)各面の回
折X線強度が得られ、その総和に対する各面の比によっ
て定義される。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。Fe
−Ni合金に本発明中の各種元素を添加した表1に示す
組成の合金を真空高周波誘導炉にて溶解、鋳造した後、
鍛造、熱間圧延を厚さ4mmまで行い、表面のスケール
除去により厚さ3.5mmとした。
−Ni合金に本発明中の各種元素を添加した表1に示す
組成の合金を真空高周波誘導炉にて溶解、鋳造した後、
鍛造、熱間圧延を厚さ4mmまで行い、表面のスケール
除去により厚さ3.5mmとした。
【0042】
【表1】
【0043】熱間圧延後、冷間圧延を施し、次に中間焼
鈍を表2に示す硬さになるように施した後、表2に示す
ような圧延率で最終冷間圧延を施し、厚さ0.2mmの
板材とした。
鈍を表2に示す硬さになるように施した後、表2に示す
ような圧延率で最終冷間圧延を施し、厚さ0.2mmの
板材とした。
【0044】表2に、上述した最終冷間圧延の圧延率、
図1と同様に評価した最終冷間圧延の領域、最終冷間圧
延前のビッカース硬さに加えて、最終冷間圧延で得られ
た最終ビッカース硬さ、エッチング加工性、ハンダ性、
メッキ性、プレス打抜き加工時のバリ、平均熱膨張率、
強度異方性ならびに得られた材料を1000℃で15分
間加熱した時の(200)面の相対X線強度を示す。前
述したように、本発明材料は二次加工硬化領域を適用し
たものである。
図1と同様に評価した最終冷間圧延の領域、最終冷間圧
延前のビッカース硬さに加えて、最終冷間圧延で得られ
た最終ビッカース硬さ、エッチング加工性、ハンダ性、
メッキ性、プレス打抜き加工時のバリ、平均熱膨張率、
強度異方性ならびに得られた材料を1000℃で15分
間加熱した時の(200)面の相対X線強度を示す。前
述したように、本発明材料は二次加工硬化領域を適用し
たものである。
【0045】
【表2】
【0046】エッチング加工性は、板材に濃度47ボー
メの塩化第二鉄溶液をスプレー圧2kg/cm2で吹き
付けエッチングした際に、エッチング面に荒れが生じな
かったものを○で評価した。ハンダ性はフラックス処理
後、235℃×5秒ハンダ浴中に浸漬し、ハンダ濡れ面
積が95%以上のものを○、95%未満のものを×で評
価した。メッキ性は脱脂、酸処理後、厚さ0.5μmの
Niストライクメッキを施し、その上に厚さ3μmのA
gメッキを施した後、450℃で3分間大気中で加熱
し、メッキ膨れおよび90度曲げて剥がれの無いものを
○で評価した。
メの塩化第二鉄溶液をスプレー圧2kg/cm2で吹き
付けエッチングした際に、エッチング面に荒れが生じな
かったものを○で評価した。ハンダ性はフラックス処理
後、235℃×5秒ハンダ浴中に浸漬し、ハンダ濡れ面
積が95%以上のものを○、95%未満のものを×で評
価した。メッキ性は脱脂、酸処理後、厚さ0.5μmの
Niストライクメッキを施し、その上に厚さ3μmのA
gメッキを施した後、450℃で3分間大気中で加熱
し、メッキ膨れおよび90度曲げて剥がれの無いものを
○で評価した。
【0047】プレス打抜き加工時のバリは、金型のクリ
アランスを10μmに設定して直径2mmの円形孔を打
抜いた部分のバリの高さを測定した。硬さはマイクロビ
ッカース硬さ試験機で、荷重500gで測定した。強度
異方性は、圧延直角方向0.2%耐力を“T”とし、そ
れに対する圧延方向の0.2%耐力を“L”とした時の
100×(L−T)/L(%)の値である。
アランスを10μmに設定して直径2mmの円形孔を打
抜いた部分のバリの高さを測定した。硬さはマイクロビ
ッカース硬さ試験機で、荷重500gで測定した。強度
異方性は、圧延直角方向0.2%耐力を“T”とし、そ
れに対する圧延方向の0.2%耐力を“L”とした時の
100×(L−T)/L(%)の値である。
【0048】表2において、強化元素を本発明の規定内
で添加し、最終冷間圧延率を二次加工硬化領域で施した
本発明中の試料(A〜X)は、いずれも最終の硬さがビ
ッカース硬さ240HV以上の優れた強度を示す。また
プレス打抜き加工性やエッチング加工性をはじめ他の特
性も満足するものである。
で添加し、最終冷間圧延率を二次加工硬化領域で施した
本発明中の試料(A〜X)は、いずれも最終の硬さがビ
ッカース硬さ240HV以上の優れた強度を示す。また
プレス打抜き加工性やエッチング加工性をはじめ他の特
性も満足するものである。
【0049】強化元素を本発明の規定以上に含有した試
料(Y、Z)は、強度、プレス打抜き加工性には優れて
いるが、エッチング加工性、ハンダ性、メッキ性および
熱膨張特性に劣っている。二次加工硬化領域を適用しな
いで強化元素の添加のみを適用した試料(H’、I’)
は、エッチング加工性、ハンダ性、メッキ性および熱膨
張特性には優れているが、強度に劣っている。
料(Y、Z)は、強度、プレス打抜き加工性には優れて
いるが、エッチング加工性、ハンダ性、メッキ性および
熱膨張特性に劣っている。二次加工硬化領域を適用しな
いで強化元素の添加のみを適用した試料(H’、I’)
は、エッチング加工性、ハンダ性、メッキ性および熱膨
張特性には優れているが、強度に劣っている。
【0050】また表2のうち二次加工硬化領域で圧延し
た試料は、1000℃で15分間加熱後の(200)面
の相対X線強度がいずれも80%以上と高いが、二次加
工硬化を利用しなかった試料(H’、I’)はいずれも
80%より低くなっており、加熱後の相対X線強度によ
って本発明材料の特定が可能であることがわかる。
た試料は、1000℃で15分間加熱後の(200)面
の相対X線強度がいずれも80%以上と高いが、二次加
工硬化を利用しなかった試料(H’、I’)はいずれも
80%より低くなっており、加熱後の相対X線強度によ
って本発明材料の特定が可能であることがわかる。
【0051】さらに、強化元素の添加量を本発明の規定
以内に抑え、二次加工硬化領域で圧延した試料(A〜
X)は強度異方性が低く、よって本発明の二次加工硬化
領域での圧延率を利用することで、強度異方性を低減す
ることができることがわかる。
以内に抑え、二次加工硬化領域で圧延した試料(A〜
X)は強度異方性が低く、よって本発明の二次加工硬化
領域での圧延率を利用することで、強度異方性を低減す
ることができることがわかる。
【0052】
【発明の効果】以上に述べたように本発明は、Fe−N
i系合金において、強化元素を添加し、加工硬化率が顕
著となるような圧延率で最終冷間圧延を施し、あるいは
最終冷間圧延前の硬さの制御を組み合わせることによっ
て、エッチング加工性、ハンダ性、メッキ性の劣化を最
小限にし、極めて高い強度と同時に、より優れたプレス
打抜き加工性を兼ね備えた電子部品用Fe−Ni系合金
薄板を得ることが可能となる。したがって本発明の電子
部品用Fe−Ni系合金薄板は、リードフレーム等の電
子部品材料の微細加工化に対応が可能であり、工業上の
効果は極めて大きい。
i系合金において、強化元素を添加し、加工硬化率が顕
著となるような圧延率で最終冷間圧延を施し、あるいは
最終冷間圧延前の硬さの制御を組み合わせることによっ
て、エッチング加工性、ハンダ性、メッキ性の劣化を最
小限にし、極めて高い強度と同時に、より優れたプレス
打抜き加工性を兼ね備えた電子部品用Fe−Ni系合金
薄板を得ることが可能となる。したがって本発明の電子
部品用Fe−Ni系合金薄板は、リードフレーム等の電
子部品材料の微細加工化に対応が可能であり、工業上の
効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−42Ni合金の最終冷間圧延率と硬さの
関係を示す図である。
関係を示す図である。
【図2】Fe−40Ni−2Mo合金の最終冷間圧延率
と硬さの関係を示す図である。
と硬さの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/14 C22C 38/14 H01L 23/50 H01L 23/50 V
Claims (9)
- 【請求項1】 重量%にて、Ni30〜55%、Si
1.2%以下、Mn1.5%以下であり、残部は不純物
を除き実質的にFeであって、不純物のうち、C0.0
2%以下である組成を有し、二次加工硬化領域に対応す
る圧延率の最終冷間圧延を経て結晶粒が展伸された組織
であることを特徴とする電子部品用Fe−Ni系合金薄
板。 - 【請求項2】 重量%にて、Ni30〜55%、Co1
2%以下、Si1.2%以下、Mn1.5%以下であ
り、残部は不純物を除き実質的にFeであって、不純物
のうち、C0.02%以下である組成を有し、二次加工
硬化領域に対応する圧延率の最終冷間圧延を経て結晶粒
が展伸された組織であることを特徴とする電子部品用F
e−Ni系合金薄板。 - 【請求項3】 重量%にて、W、Mo、V、Al、T
i、Nbの1種もしくは2種以上を合計で1.0〜3.
0%、またはZr、Beの1種もしくは2種を合計で
0.05〜1.0%含有することを特徴とする請求項1
あるいは2に記載の電子部品用Fe−Ni系合金薄板。 - 【請求項4】 最終冷間圧延後の硬さがビッカース硬さ
で240HV以上であることを特徴とする請求項1ない
し3に記載の電子部品用Fe−Ni系合金薄板。 - 【請求項5】 最終冷間圧延後の硬さがビッカース硬さ
で270HV以上であることを特徴とする請求項3に記
載の電子部品用Fe−Ni系合金薄板。 - 【請求項6】 1000℃で15分間加熱したときに、
X線回折による結晶面の相対X線強度において(20
0)面の強度が80%以上となるものであることを特徴
とする請求項1ないし5に記載の電子部品用Fe−Ni
系合金薄板。 - 【請求項7】 重量%にて、Ni30〜55%、Si
1.2%以下、Mn1.5%以下であり、残部は不純物
を除き実質的にFeであって、不純物のうち、C0.0
2%以下である合金、あるいはさらにCoを12%以下
含有する合金を、熱間圧延後少なくとも1回以上の冷間
圧延と焼鈍を施した後、二次加工硬化領域に対応する圧
延率で最終冷間圧延を施すことを特徴とする電子部品用
Fe−Ni系合金薄板の製造方法。 - 【請求項8】 重量%にて、W、Mo、V、Al、T
i、Nbの1種もしくは2種以上を合計で1.0〜3.
0%、またはZr、Beの1種もしくは2種を合計で
0.05〜1.0%含有することを特徴とする請求項7
に記載の電子部品用Fe−Ni系合金薄板の製造方法。 - 【請求項9】 最終冷間圧延前の焼鈍を、ビッカース硬
さ145HV以上となるように施すことを特徴とする請
求項7および8に記載の電子部品用Fe−Ni系合金薄
板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8081309A JPH09268348A (ja) | 1996-04-03 | 1996-04-03 | 電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8081309A JPH09268348A (ja) | 1996-04-03 | 1996-04-03 | 電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09268348A true JPH09268348A (ja) | 1997-10-14 |
Family
ID=13742807
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8081309A Abandoned JPH09268348A (ja) | 1996-04-03 | 1996-04-03 | 電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09268348A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2001007673A1 (de) * | 1999-07-22 | 2001-02-01 | Krupp Vdm Gmbh | Kriechbeständige wärmeausdehnungsarme eisen-nickel-legierung |
| JP2014101543A (ja) * | 2012-11-20 | 2014-06-05 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | メタルマスク材料及びメタルマスク |
| JP2016188399A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-04 | 日立金属株式会社 | 固溶強化型オーステナイト鋼薄板 |
| WO2018061530A1 (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | 日立金属株式会社 | Fe-Ni系合金薄板の製造方法及びFe-Ni系合金薄板 |
| CN116555675A (zh) * | 2023-03-13 | 2023-08-08 | 清华大学 | 一种低热膨胀高磁性能因瓦合金及其制备方法 |
-
1996
- 1996-04-03 JP JP8081309A patent/JPH09268348A/ja not_active Abandoned
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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