JPH0927352A - 多孔性物質−高分子固体電解質複合体およびその製造方法ならびにそれを用いた光電変換素子 - Google Patents

多孔性物質−高分子固体電解質複合体およびその製造方法ならびにそれを用いた光電変換素子

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JPH0927352A
JPH0927352A JP7296242A JP29624295A JPH0927352A JP H0927352 A JPH0927352 A JP H0927352A JP 7296242 A JP7296242 A JP 7296242A JP 29624295 A JP29624295 A JP 29624295A JP H0927352 A JPH0927352 A JP H0927352A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分なイオン伝導性を有し、かつ多孔性物質
中でも電気的接続が良好な、高分子固体電解質を得るこ
と。 【解決手段】 本発明は、多孔性物質の細孔内に、少な
くとも高分子化合物と電解質とを構成成分とする高分子
固体電解質を存在させてなる複合体である。 【効果】 本発明は、電解質溶液を必要としないため、
機械的強度が大きく、しかも、液漏れの心配が全くない
ため、長期安定性および信頼性の高い、光電変換素子や
電池素子などに応用することができる。また、本発明
は、優れたイオン伝導性を有し、かつ電気的接続が良好
であるため、効率よくイオンを輸送することが必要な光
電変換素子に応用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔性物質の細孔内に
イオン伝導性を有する高分子固体電解質を存在させた物
質(以下、多孔性物質−高分子固体電解質複合体あるい
は単に複合体と称する)およびその製造方法ならびにそ
れを用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、化石燃料資源の枯渇への懸念や、
それらの使用による大気中の炭酸ガス濃度の上昇などが
問題となり、クリーンで、資源枯渇の心配のない太陽電
池への期待が高まっている。しかし、これまで研究され
てきたシリコンを用いた太陽電池は、原料である金属シ
リコンを製造するために多くのエネルギーを必要とする
ため、製造コストもさることながら、製造するために必
要なエネルギーを回収するに必要な期間、エネルギーペ
イバックタイムが長いという問題がある。この問題を解
決するため、テルル化カドミウムや、セレン化インジウ
ム銅といった、化合物半導体の研究が盛んになってい
る。NATURE(第353巻、第737〜740頁、
1991年)に掲載された酸化チタン太陽電池もそのひ
とつである。この技術は、ルテニウム錯体によって増感
された酸化チタン多孔質薄膜を電極とするもので、低コ
ストであり、しかも、多量のルテニウム錯体を担持でき
るため、高いエネルギー変換効率を示す。しかし、この
技術では、対電極との電気的接続を電解質溶液によって
行う湿式太陽電池であるため、液漏れなどの点で長期安
定性能に問題があり、さらに製造工程の複雑化を招いて
いる。このような問題点は、固体電解質を用いることで
解決される。従来より研究されている固体電解質とし
て、高分子固体電解質が挙げられる。これは、ポリエチ
レンオキサイド、ポリフォスファゼンなどの高分子化合
物中にアルカリ金属塩を溶解させたものであり特開平5-
25353 などに見られるように、架橋構造を導入すること
で、機械的強度や、安定性を改善させようとした試みも
行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の高分子固体電解質は、主として、リチウム電池などに
応用する目的で開発がなされている。このとき、イオン
伝導をになうのはリチウムイオンである。ところが、湿
式太陽電池への応用を考えたとき、必要とされるのはヨ
ウ素−ヨウ素三量体酸化還元系のような酸化還元物質の
イオンの伝導である。酸化還元系を含有する高分子固体
電解質として特開平5-295058などが挙げられるが、この
場合でもイオン伝導をになうのは酸化還元物質ではな
く、リチウムイオンである。また、高分子固体電解質を
太陽電池に応用した例として1992年日本化学会春季年会
に於けるワコム中研(講演番号2F725)の報告が挙
げられるが、このとき用いられた高分子固体電解質はあ
らかじめ重合した高分子化合物に酸化還元系を含有させ
た物である。これは、高分子化合物を溶媒に溶解させた
後、酸化還元系を溶解させる方法により作成されている
が、分子の嵩高さのために、酸化チタン多孔質体のよう
な微細な細孔を持った膜中に充分含浸させることは困難
であり、多孔質膜を電極に用いた場合、充分な電気的接
続を得ることが困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、充分なイオ
ン伝導性を有し、かつ多孔性物質中でも電気的接続が良
好な、高分子固体電解質を得るべく研究を行った結果、
(1)少なくとも高分子化合物と電解質とを構成成分と
する高分子固体電解質を多孔性物質の細孔内に存在させ
ることにより所望の多孔性物質−高分子固体電解質複合
体が得られること、(2)前記の複合体を製造する方法
としては、モノマーと電解質とを含む混合物を多孔性物
質に含浸させ、次いで、該モノマーを重合させて多孔性
物質の細孔内に高分子固体電解質を存在させる方法が好
ましいこと、(3)本発明の複合体は、太陽電池などの
光電変換素子として有用であることなどを見いだして本
発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は充分なイオン伝導性を
有し、かつ優れた電気的接続性を有する複合体を提供す
ることにある。また本発明は、前記の複合体を簡便かつ
容易に製造する方法を提供することにある。さらに本発
明は、前記の複合体を用いた、太陽電池などの光電変換
素子を提供することにある。
【0006】まず、本発明は、多孔性物質の細孔内に、
少なくとも高分子化合物と電解質とを構成成分とする高
分子固体電解質を存在させた複合体である。多孔性物質
の細孔内に高分子固体電解質を存在させると、高分子固
体電解質を密接かつ強固に接合することができ、優れた
電気的接続性を有することができる。本発明において、
多孔性物質とは、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属
硫化物などの無機化合物によって構成される固体、固体
膜あるいは支持体に固定化した固体膜であって、固体あ
るいは固体膜中に微細な細孔を有する物である。すなわ
ち、多孔性物質とは比表面積の大きな物質であり、多孔
性物質が固体の場合、その比表面積は1gあたり1m2
以上であり、多孔性物質が固体膜の場合、固体膜1m2
あたりの比表面積は10m2 以上、好ましくは100〜
10000m2 程度である。より具体的には、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸
バリウム、窒化チタン、硫化カドミウム、セレン化カド
ミウム、二セレン化インジウム銅、テルル化カドミウム
などが用いられるが、これらに限定される物ではない。
また本発明における多孔性物質は、増感色素などの有機
化合物、無機顔料、半導体などによって被覆あるいは、
修飾されていても良い。本発明においては、多孔性物質
として、良好な光半導体物性を有する酸化チタンを主た
る構成成分とする物質が好ましい。
【0007】本発明において、高分子固体電解質とは、
少なくとも高分子化合物と電解質とを構成成分とするも
のである。高分子化合物としては、高分子化合物自体が
電解質を溶解してイオン伝導性を示すもの、あるいは、
高分子化合物自体は電解質を溶解できないものであって
も、電解質を溶解することができる溶媒を用いて、高分
子化合物がイオン伝導性を示すようになるものを用いる
ことができる。前者の高分子化合物としては、ポリエチ
レングリコール、主鎖にポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリビニルアルコール、ポリフォスファゼン、ポリ
シランなどの構造を有し、側鎖にポリオキシエチレン構
造を有する高分子化合物などを用いることができる。こ
れらの電解質を溶解できる高分子化合物であっても、後
述するように、電解質を溶解することができる溶媒を併
用するのが好ましい。また、後者の高分子化合物として
は、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリレー
トなどを用いることができる。
【0008】本発明においては、高分子化合物としては
架橋構造を有するものが好ましい。架橋構造の無い高分
子化合物では、分子内にアルカリ金属塩のような吸水性
に富んだ分子があると、空気中の水分を吸収し高分子全
体が機械的強度を失いやすい。また、イオン伝導性を向
上させる目的で、有機溶媒を可塑剤として導入したとき
も同様に機械的強度を失いやすい。これに対して、架橋
構造を有する高分子化合物は、いわゆるゲル状の化合物
で、分子内に水分子や、有機溶媒のような可塑剤がある
ときにも、これらをネットワークの中に閉じこめる効果
があり、機械的強度に優れている。本発明において、架
橋構造を有する高分子化合物とは、高分子全体が架橋に
よりネットワークを構成しているものである。本発明で
は、架橋構造を有する高分子化合物を用いた高分子固体
電解質を架橋型高分子固体電解質と称する。高分子化合
物に架橋構造を持たせるためには、グリセリン、メチレ
ンビスアクリルアミド、オリゴエチレングリコールジア
クリレート、アルキルジアクリレートなどの多官能性基
を有する架橋剤を用いるのが一般的である。高分子化合
物としては、主鎖にポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
ポリビニルアルコール、ポリフォスファゼン、ポリシラ
ンなどの構造を有し、側鎖にポリオキシエチレン構造を
有する高分子化合物、もしくは、ポリ塩化ビニル、ポリ
アクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリアクリレートなどの高分子化合物を用
いることができるが、これらに限定されるものではな
い。本発明では、主鎖もしくは側鎖にポリオキシエチレ
ン構造を有する高分子化合物が好ましく、特に、一般式
(I);
【化3】 で表されるモノマーの少なくとも一種を重合して得られ
る高分子化合物が、イオン伝導性が良好なため好まし
い。
【0009】本発明において、電解質としては種々のも
のを用いることができるが、酸化還元系が特に好まし
い。本発明でいう酸化還元系とは、酸化還元反応におい
て、可逆的に酸化型および還元型の状態で存在する一対
の物質を意味し、例えばI2 とLiI、NaI、KI、
CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、あるいはI2
テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウム
ヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩又は
それらを側鎖に持つ高分子化合物などの組み合わせによ
り構成されるヨウ素−ヨウ素化合物酸化還元系、Br2
とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2
などの金属臭化物、あるいはBr2 とテトラアルキルア
ンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4
級アンモニウム化合物の臭素塩又はそれらを側鎖に持つ
高分子化合物などの組み合わせにより構成される臭素−
臭素化合物酸化還元系、フェロシアン酸塩−フェリシア
ン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属
錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキ
ルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、
ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。本発
明においては、酸化還元系としては、ヨウ素とヨウ素化
合物からなる一対の物質、あるいは臭素と臭素化合物か
らなる一対の物質が好ましい。
【0010】電解質の混合割合は、混合する高分子化合
物への溶解度を限度として任意に選択することができ
る。一般に混合量が多いほど高いイオン伝導度を示す高
分子固体電解質を得ることができるが、混合量が多すぎ
ると、電解質による高分子ネットワークの疑似架橋現象
が起こり、かえって伝導度が低下する場合がある。ま
た、酸化還元系の平衡電位が問題になる場合は、必要な
平衡電位が得られるよう混合量を調整することができ
る。
【0011】本発明においては、高分子固体電解質中に
電解質を溶解することができる溶媒を存在させると、高
分子固体電解質のイオン易動度および有効キャリアー濃
度が向上し、結果として優れたイオン伝導性を有する高
分子固体電解質が得られるため好ましい。本発明におけ
る電解質を溶解することができる溶媒とは、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート、N−メチルオキ
サゾリノンなどのカーボネート化合物、ジオキサン、ジ
エチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコ
ールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエー
テル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルな
どの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレ
ングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモ
ノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノア
ルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アル
コール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾ
ニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシ
ド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用
いることができるが、これらに限定される物ではない。
また高分子化合物と、電解質を溶解することができる溶
媒の混合割合はその重量比において任意に設定できる
が、0.5〜10倍が好ましい。
【0012】次に、本発明は、前記の複合体を製造する
方法であって、モノマーと電解質とを含む混合物を多孔
性物質に含浸させ、次いで、該モノマーを重合させて多
孔性物質の細孔内に高分子固体電解質を存在させる方法
が好ましい。電解質として、酸化還元系を用いる場合に
は、酸化還元系の一方、特に還元状態の化合物が重合禁
止剤として働き、モノマーの重合を阻害する場合があ
る。そこで本発明においては、酸化還元系の一方とモノ
マーとを多孔性物質中に含浸させ、次いで適当な方法で
重合させ、次いで、前記の酸化還元系の残る一方を吸収
させて、多孔性物質の細孔内に高分子固体電解質を存在
させる方法が好ましい。例えば、酸化還元系として、ヨ
ウ素とヨウ素化合物とを用いる場合、ヨウ素は、ラジカ
ル重合禁止剤として働くため、まずヨウ素化合物とモノ
マーとを含む混合物を多孔性物質中に含浸させ、次いで
該モノマー混合物を重合させる。次にこのようにして得
られたものをヨウ素と共に密閉容器中に置くと、容器中
に拡散したヨウ素が高分子化合物中に吸収され、あらか
じめ混合したヨウ素化合物と酸化還元系を形成して、本
発明の複合体を製造することができる。また、本発明の
複合体を光電変換素子に適用する場合には、光電変換素
子を構成する対電極に酸化還元系の残る一方を塗布ある
いは蒸着などの方法により担持させておくこともでき
る。本発明において、モノマーの重合法としては、加熱
重合法、光重合法、電気化学的重合法、電子線重合法な
どを用いることができるが、これらに限定されるもので
はない。
【0013】また、モノマーを重合させて得られる前記
の高分子化合物としては、一般式(I);
【化4】 で表されるモノマーの少なくとも一種を重合させたもの
を用いると、良好なイオン伝導性を示す架橋型高分子固
体電解質が得られるため好ましい。さらにまた、本発明
においては、電解質とモノマーとを含む混合物に、電解
質を溶解することができる溶媒を存在させ、その後重合
する方法が好ましい。
【0014】次に、本発明は、前記の複合体を用いてな
る光電変換素子である。本発明において光電変換素子と
は、電極間の電気化学反応を利用して、光エネルギーを
電気エネルギーに変換する素子である。例えば太陽電池
などに利用される本発明の光電変換素子とは、複合体を
一方の電極とし、対電極を備えて光電変換素子とする。
この光電変換素子に光を照射すると、複合体側の電極
で、電子が発生し、電極間に設けられた電線を通って対
電極に移動する。対電極に移動した電子は、高分子固体
電解質中の電解質を還元する。還元された電解質は、高
分子固体電解質中をイオンとして移動して、もとの電極
に戻り自らは酸化体に戻ることで、電子を複合体側の電
極に戻す。このようにして、本発明の光電変換素子は、
光エネルギーを電気エネルギーに変換できる。
【0015】光電変換素子に本発明の複合体、特に架橋
型高分子固体電解質を用いた複合体を用いると、優れた
イオン伝導性を有しかつ電気的接続が良好であるため、
電解質溶液を用いた場合と同様に良好な変換効率を有す
る光電変換素子を得ることができる。さらに、電解質が
固体であるため、液漏れなどの心配が無く長期安定性が
向上する。
【0016】
【実施例】さらに本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0017】実施例1 モノマーとして、ヘキサエチレングリコールメタクリル
酸エステル(日本油脂化学社製 ブレンマーPE35
0)1gと、電解質を溶解することができる溶媒とし
て、エチレングリコール1gと、重合開始剤として、2
−ヒドロキシ−2ーメチル−1−フェニループロパン−
1−オン(日本チバガイギー社製 ダロキュア117
3)20mgを含有した混合溶液に、ヨウ化リチウム5
00mgを溶解し10分間真空脱気して、溶存する気体
を追い出した後多孔性物質に塗布した。なお、使用した
多孔性物質は、透明導電性ガラスに酸化チタンの懸濁液
を塗布し、焼結することにより1m2 あたり1000m
2 の表面積を有する酸化チタン多孔性薄膜を形成した
後、増感色素としてRu(II)(2、2’−ビピリジン
−4、4’−ジカルボン酸)2 (イソチオシアン酸)2
で表されるルテニウム−ビピリジン錯体を、得られた酸
化チタン薄膜1cm2 当たり、40μg吸着させたもの
である。次に、前記の混合溶液を塗布した多孔性物質を
減圧下に置くことで、多孔性物質中の気泡を除きモノマ
ーの浸透を促した後、紫外光照射により重合して高分子
化合物の均一なゲルを多孔性物質の細孔内に存在させ
た。このようにして得られた物質をヨウ素雰囲気下に、
30分間曝して高分子化合物中にヨウ素を拡散させて本
発明の架橋型高分子固体電解質を用いた複合体を得た。
その後、対電極として透明導電性ガラスを圧着し、次い
で側面を樹脂で封止した後リード線を取り付けて本発明
の光電変換素子を得た。AM1.5のソーラーシミュレ
ーターを光源とし1000W/m2 の光を照射して、電
流・電圧特性を測定した。本発明の光電変換素子の特性
は、開放電圧が0.4Vであり、短絡電流が2.5mA
/cm2 であり、フィルファクター(曲線因子)が0.
6であり、変換効率が0.5%であった。
【0018】実施例2 実施例1において、エチレングリコール1gに代えて、
プロピオニトリル2gを用いること以外は、実施例1と
同様に処理して、本発明の複合体と光電変換素子を得
た。この光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュ
レーターを光源とし100W/m2 の光を照射して、電
流・電圧特性を測定した。本発明の光電変換素子の特性
は、開放電圧が0.56Vであり、短絡電流が0.17
8mA/cm2 であり、フィルファクター(曲線因子)
が0.71であり、変換効率が0.71%であった。
【0019】実施例3 実施例1において、エチレングリコール1gに代えてプ
ロピレンカーボネート2gを用いること、ヨウ化リチウ
ム500mgに代えてテトラプロピルアンモニウムヨー
ダイド400mgを用いること以外は、実施例1と同様
に処理して、本発明の複合体と光電変換素子を得た。こ
の光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレータ
ーを光源とし100W/m2 の光を照射して、電流・電
圧特性を測定した。本発明の光電変換素子の特性は、開
放電圧が0.44Vであり、短絡電流が0.36mA/
cm2 であり、フィルファクター(曲線因子)が0.6
8であり、変換効率が1.1%であった。また、この光
電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを
光源とし1000W/m2 の光を照射して、電流・電圧
特性を測定した。その結果、開放電圧が0.49Vであ
り、短絡電流が3.5mA/cm2 であり、フィルファ
クター(曲線因子)が0.55であり、変換効率が0.
95%であった。
【0020】実施例4 実施例1において、エチレングリコール1gに代えてプ
ロピレンカーボネート2.5gを用いること以外は、実
施例1と同様に処理して、本発明の複合体と光電変換素
子を得た。この光電変換素子に、AM1.5のソーラー
シミュレーターを光源とし100W/m2 の光を照射し
て、電流・電圧特性を測定した。本発明の光電変換素子
の特性は、開放電圧が0.50Vであり、短絡電流が
0.32mA/cm2 であり、フィルファクター(曲線
因子)が0.71であり、変換効率が1.1%であっ
た。
【0021】実施例5 実施例1に記載されたモノマーの混合溶液において、エ
チレングリコール1gに代えて、プロピレンカーボネー
ト3gを用いること、架橋剤としてテトラエチレングリ
コールジアクリレート100mgを添加すること以外
は、実施例1と同様に処理して、本発明の複合体と光電
変換素子を得た。この光電変換素子に、AM1.5のソ
ーラーシミュレーターを光源とし100W/m2 の光を
照射して、電流・電圧特性を測定した。本発明の光電変
換素子の特性は、開放電圧が0.43Vであり、短絡電
流が0.23mA/cm2 であり、フィルファクター
(曲線因子)が0.69であり、変換効率が0.69%
であった。
【0022】実施例6 モノマーとして、ヘキサエチレングリコールメタクリル
酸エステル(日本油脂化学社製 ブレンマーPE35
0)1gと、電解質を溶解することができる溶媒とし
て、プロピレンカーボネート2gと、重合開始剤とし
て、2−ヒドロキシ−2ーメチル−1−フェニループロ
パン−1−オン(日本チバガイギー社製 ダロキュア1
173)20mgを含有した混合溶液に、ヨウ化リチウ
ム500mgを溶解し10分間真空脱気して、溶存する
気体を追い出した後多孔性物質に塗布した。なお、使用
した多孔性物質は、増感色素を吸着させた酸化チタン薄
膜であり、実施例1と同様のものである。混合溶液を塗
布した多孔性物質を減圧下に置くことで、多孔性物質中
の気泡を除きモノマーの浸透を促した後、紫外光照射に
より重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性物質の
細孔内に存在させた。一方、酸化還元系の残る一方のヨ
ウ素は、溶媒中でラジカル重合したポリメタクリル酸ヘ
キサエチレングリコールエステル1gとともに、塩化メ
チレン5mlに溶解させた。この溶液を透明導電性ガラ
スに塗布し、乾燥して、対電極とした。このようにして
得られた対電極を前記の複合体上に圧着し、次いで側面
を樹脂で封止した後リード線を取り付けて本発明の光電
変換素子を得た。この光電変換素子に、AM1.5のソ
ーラーシミュレーターを光源とし100W/m2 の光を
照射して、電流・電圧特性を測定した。本発明の光電変
換素子の特性は、開放電圧が0.42Vであり、短絡電
流が0.20mA/cm2 であり、フィルファクター
(曲線因子)が0.74であり、変換効率が0.64%
であった。
【0023】比較例1 高分子化合物として、溶媒中でラジカル重合により予め
重合した、架橋構造を有さないポリメタクリル酸ヘキサ
エチレングリコールエステルを100mg、酸化還元系
として、ヨウ化リチウムを500mgとヨウ素を100
mgをメタノール5mlに溶解した。これを、実施例1
で用いた物と同じ酸化チタン電極上に塗布し減圧下室温
で2時間乾燥した後、対電極として透明導電性ガラスを
圧着し、次いで側面を樹脂で封止した後、リード線を取
り付けて、光電変換素子を得た。AM1.5のソーラー
シミュレーターを光源とし1000W/m2 の光を照射
して、電流・電圧特性を測定した。その結果、開放電圧
が0.27Vであり、短絡電流が0.8mA/cm2
あり、フィルファクター(曲線因子)が0.55であ
り、変換効率が0.12%であった。また、この光電変
換素子にAM1.5のソーラーシミュレーターを光源と
し100W/m2 の光を照射して、電流・電圧特性を測
定した。その結果、開放電圧が0.24Vであり、短絡
電流が0.09mA/cm2 であり、フィルファクター
(曲線因子)が0.58であり、変換効率が0.15%
であった。
【0024】比較例2 比較例2は多孔性物質と電解質溶液を用いた場合の例で
ある。実施例1で用いた物と同じ酸化チタン電極上に対
電極として透明導電性ガラスを圧着し、次いで側面を樹
脂で封止した後、アセトニトリルを8mlとエチレンカ
ーボネートを32mlの混合溶液にテトラプロピルアン
モニウムヨーダイドを5.7gとヨウ素を0.6gを溶
解したものを電解質溶液として、注入し、注入口を樹脂
により封止した。次いで、リード線を取り付けて、光電
変換素子を得た。AM1.5のソーラーシミュレーター
を光源とし1000W/m2 の光を照射して、電流・電
圧特性を測定した。開放電圧が0.5Vであり、短絡電
流が7mA/cm2 であり、フィルファクター(曲線因
子)が0.58であり、変換効率が2%であった。
【0025】以上のことから、本発明の複合体は、比較
例1のものと比較して、開放電圧が高く短絡電流も増加
していることがわかった。これは、本発明の複合体では
酸化チタン多孔膜の細孔内に高分子固体電解質が存在し
ているのに対して、比較例1のものでは高分子化合物分
子の嵩高さのために酸化チタン多孔膜の細孔内に高分子
固体電解質が充分浸透していないためである。また、本
発明の複合体は、多孔性物質と電解質溶液を用いる場合
に比較して、充分なイオン伝導性を有し、かつ、直流電
流を継続して流すことができることがわかった。さら
に、本発明の複合体および光電変換素子は簡便に作成す
ることができ、液漏れの心配がなく、しかも、機械的安
定性に優れているなど有用なものであることがわかっ
た。
【0026】
【発明の効果】本発明は、多孔性物質の細孔内に、少な
くとも高分子化合物と電解質とを構成成分とする高分子
固体電解質を存在させてなる複合体であって、電解質溶
液を必要としないため、機械的強度が大きく、しかも、
液漏れの心配が全くないため、長期安定性および信頼性
の高いものであって、光電変換素子や電池素子などに応
用することができるものである。また、本発明は、電解
質が酸化還元系である複合体であって、優れたイオン伝
導性を有しかつ電気的接続が良好であるため、効率よく
イオンを輸送することが必要な光電変換素子に応用する
ことができるものである。さらに、本発明は、電解質を
溶解することができる溶媒を存在させた複合体であっ
て、イオン易動度および有効キャリアー濃度が向上し、
より優れたイオン伝導性を有する複合体が得られるため
好ましい実施様態である。さらに好ましい実施様態とし
て、酸化還元系としては、ヨウ素とヨウ素化合物あるい
は臭素と臭素化合物からなる一対の物質を用いること、
高分子化合物としては、一般式(I);
【化5】 で表されるモノマーの少なくとも一種を重合させてなる
高分子化合物を用いること、また、多孔性物質として
は、酸化チタンを主たる構成成分としたものであること
が挙げられる。
【0027】次に、本発明は、前記の複合体の製造方法
であって、モノマーと電解質とを含む混合物を多孔性物
質に含浸させ、次いで、該モノマーを重合させて多孔性
物質の細孔内に高分子固体電解質を存在させることによ
って、本発明の複合体を簡便かつ効率よく製造すること
ができる。また、本発明は、複合体の製造方法であっ
て、酸化還元系の一方とモノマーとを含む混合物を多孔
性物質に含浸させ、次いで、該モノマーを重合させ、次
いで、前記の酸化還元系の残る一方を吸収させることに
よっても、本発明の複合体を簡便かつ効率よく製造する
ことができる。さらに、本発明は、前記の製造方法に用
いるモノマーとして、一般式(I);
【化6】 で表されるモノマーの少なくとも一種を用いると、より
優れた本発明の複合体を製造できるため好ましい実施様
態である。
【0028】次に、本発明は、前記の複合体を用いてな
ることを特徴とする光電変換素子であって、電解質溶液
を必要としないため、機械的強度が大きく、しかも、液
漏れの心配が全くないため、長期安定性および信頼性の
高い、太陽電池などの光電変換素子である。本発明の光
電変換素子は、多孔性物質と電解質溶液を用いた場合と
同様に良好な光電変換効率を有するものであり、しかも
電解質溶液を注入しこれを封止するという煩雑な工程を
回避できるなど簡便かつ効率よく製造することができ
る。また本発明の光電変換素子は、電解質溶液を使用し
ないため、素子設計上の制約が減少し、自由な形状の光
電変換素子を製造できる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性物質の細孔内に、少なくとも高分子
    化合物と電解質とを構成成分とする高分子固体電解質を
    存在させてなることを特徴とする複合体。
  2. 【請求項2】電解質が酸化還元系であることを特徴とす
    る請求項1に記載の複合体。
  3. 【請求項3】酸化還元系が、ヨウ素とヨウ素化合物ある
    いは臭素と臭素化合物からなる一対の物質であることを
    特徴とする請求項2に記載の複合体。
  4. 【請求項4】電解質を溶解することができる溶媒を存在
    させてなることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
  5. 【請求項5】高分子化合物が架橋構造を有するものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
  6. 【請求項6】架橋構造を有する高分子化合物が、一般式
    (I); 【化1】 で表されるモノマーの少なくとも一種を重合してなる高
    分子化合物であることを特徴とする請求項5に記載の複
    合体。
  7. 【請求項7】多孔性物質が酸化チタンを主たる構成成分
    とすることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
  8. 【請求項8】モノマーと電解質とを含む混合物を多孔性
    物質に含浸させ、次いで、該モノマーを重合させて多孔
    性物質の細孔内に高分子固体電解質を存在させることを
    特徴とする複合体の製造方法。
  9. 【請求項9】酸化還元系の一方とモノマーとを含む混合
    物を多孔性物質に含浸させ、次いで、該モノマーを重合
    させ、次いで、前記の酸化還元系の残る一方を吸収させ
    て、多孔性物質の細孔内に高分子固体電解質を存在させ
    ることを特徴とする複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】モノマーが、一般式(I); 【化2】 で表されるモノマーの少なくとも一種であることを特徴
    とする請求項8または9に記載の複合体の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1ないし7のいずれかひとつに記
    載の複合体を用いてなることを特徴とする光電変換素
    子。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の光電変換素子を用い
    てなることを特徴とする太陽電池。
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