JPH09275005A - 異方性造粒粉の製造方法 - Google Patents

異方性造粒粉の製造方法

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JPH09275005A
JPH09275005A JP8110399A JP11039996A JPH09275005A JP H09275005 A JPH09275005 A JP H09275005A JP 8110399 A JP8110399 A JP 8110399A JP 11039996 A JP11039996 A JP 11039996A JP H09275005 A JPH09275005 A JP H09275005A
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JP
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powder
granulated powder
magnetic field
temperature
organic solvent
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JP8110399A
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Osamu Yamashita
治 山下
Akira Makita
顕 槇田
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造粒時の磁場配向により、磁気を帯びた異方
性造粒粉の消磁を行って成形に優れた粉体の流動性を有
する異方性の造粒粉の製造方法。 【解決手段】 スプレードライヤー装置を用いて磁場中
で造粒し、残留磁気を帯びた異方性造粒粉の流動性を上
げるため、凍結温度の高い有機溶剤を噴霧添加して、造
粒粉を固定した状態で交番振動磁場をかけて消磁するこ
とにより、充分に消磁でき、消磁後に造粒粉が壊れず造
粒粉の流動性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、R−Fe−B系合金
やR−Co系合金などの希土類含有合金からなる異方性
造粒粉の製造方法に係り、残磁を有する希土類異方性造
粒粉に比較的高い凍結温度を有する有機溶剤を噴霧添加
した後、凍結温度以下に該造粒粉の温度を下げて造粒粉
を冷凍固化、固定した状態で交番振動磁場をかけて該異
方性造粒粉の消磁を行うことにより、異方性造粒粉の粉
体の流動性を向上させ、かつ成形時に低磁場で配向させ
て磁気特性の優れた焼結体を製造できる異方性造粒粉の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピュータの周
辺機器や自動車等用途に用いられる小型モーターやアク
チュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化が
求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄肉
化が要求されている。現在の代表的な焼結永久磁石材料
としては、フェライト磁石、R−Co系磁石、そして、
出願人が先に提案したR−Fe−B系磁石(特公昭61
−34242号等)が挙げられる。
【0003】上記の中でも、特に、R−Co系磁石やR
−Fe−B系磁石などの希土類磁石は、他の磁石材料に
比べて磁気特性が格段にすぐれるために、各種用途に多
用されており、例えば、R−Fe−B系焼結永久磁石
は、最大エネルギー積((BH)max)が40MGO
eを超え、最大では50MGOeを超える極めて優れた
磁気特性を有するが、それを発現させるためには、所要
組成からなる合金を1〜10μm程度の平均粒度に粉砕
することが必要となる。
【0004】しかし、合金粉末の粒度を小さくすると、
成形時の粉末の流動性が悪くなり、成形体密度のバラツ
キや成形機の寿命を低下させるとともに、焼結後の寸法
精度にもバラツキを生じることとなり、特に薄肉形状や
小型形状の製品を得るのが困難であった。また、希土類
磁石は、大気中で酸化し易い希土類元素や鉄の化合物を
主成分として含有するため、合金粉末の粒度を小さくす
ると、酸化により磁気特性が劣化する問題もあった。
【0005】そのため、特に成形性を改良するために、
成形前の合金粉末に、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル等を添加したもの(特公平4−80961号)、そ
れらにさらにパラフィンやステアリン酸塩を添加したも
の(特公平4−80962号、特公平5−53842
号)、またオレイン酸を添加したもの(特公昭62−3
6365)等が提案された。
【0006】また、上記のバインダーや潤滑剤の添加と
ともに、さらに成形性を改良し、薄肉形状品や小型形状
品を製造する方法として、成形前の合金粉末に飽和脂肪
族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸にミリスチル酸
エチルやオレイン酸からなる滑剤を添加して混練した
後、造粒を行なって成形する方法(特開昭62−245
604号)、あるいはパラフィン混合物に飽和脂肪族カ
ルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸等添加、混練後、造
粒した後成形する方法(特開昭63−237402号)
も提案されている。
【0007】しかし、上記の方法では、粉末粒子の結合
力が十分でなく、造粒粉が壊れやすいために、十分な粉
末の流動性を実現することが困難であるとともに、上記
の方法にて得られる造粒粉はそれ自体が等方性であるこ
とから、高磁気特性を有する異方性の焼結磁石を得るこ
とができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、異方性造
粒粉を容易に製造できる製造方法と装置について検討し
た結果、回転ディスク型スプレードライヤー装置に着目
し、磁性粉末と所要のバインダーとを添加、混練してス
ラリー状となし、ディスクの一部あるいは全部が永久磁
石から構成された回転ディスクを用いたり、原料スラリ
ー供給用管あるいは回転ディスクの上部のスラリー供給
用シャフトの周囲に電磁石を設けたり、スラリー供給経
路から回転ディスクまでのいずれかに磁場をかけて、該
スラリーを噴霧、乾燥させることにより、該スラリー中
の磁性粉末粒子を配向させて異方化し、所要の平均粒径
の造粒粉となすことができることを提案(特開平8−2
0801号)した。
【0009】また、発明者らは、上記の製造方法におい
て、希土類含有合金粉末との反応を抑制でき、焼結体の
残留酸素量、残留炭素量を低減させるバインダーとし
て、少量のメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアルコールのうち少なくとも1種と水とからな
るバインダーを用いることにより、焼結前の工程におけ
る希土類含有合金粉末とバインダーとの反応を抑制する
ことができ、焼結後の焼結体の残留酸素量、残留炭素量
を大幅に低減できることを提案した。
【0010】上述のごとく磁気特性を向上させるため
に、磁場中で造粒する異方性の造粒粉の製造方法を提案
したが、磁気特性は大きく向上するものの異方性造粒粉
自体が残磁を有する、すなわち、残留磁気を帯びて磁気
を有するために、造粒粉同士が吸着し、造粒粉自体の流
動性を劣化させる現象が起こり、薄肉形状や小型形状、
さらに複雑形状の焼結磁石を作製するのが困難であっ
た。
【0011】この発明は、優れた磁気特性を有する希土
類系磁石を製造するのに必要な異方性造粒粉を容易に製
造できるとともに流動性に優れた異方性造粒粉の製造方
法の提供を目的とし、成形体の寸法精度の向上、生産性
の向上および磁気特性の向上を図るために、造粒時の酸
化と炭化を制御し、さらに造粒時の磁場配向により、磁
気を帯びた異方性造粒粉の消磁を行って成形に優れた粉
体の流動性を有する異方性の造粒粉の製造方法の提供を
目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、スプレード
ライヤー装置を用いて磁場中で造粒し、残留磁気を帯び
た異方性造粒粉の流動性を上げるために、この異方性造
粒粉の消磁方法を種々検討した結果、凍結温度の高い有
機溶剤を噴霧添加して、造粒粉を固定した状態で交番振
動磁場をかけて消磁することにより、充分に消磁できる
とともに消磁後に造粒粉が壊れず造粒粉の流動性が向上
することを知見し、この発明を完成した。
【0013】すなわち、この発明は、残磁を有する異方
性造粒粉末に、凍結温度0〜20℃の有機溶剤を噴霧添
加し、該添加粉末を凍結温度以下に冷凍固化した後、交
番振動磁場中で消磁し、その後昇温、乾燥して該固化粉
末中の有機溶剤を除去して流動性の高い造粒粉を得る異
方性造粒粉の製造方法である。
【0014】また、この発明は、上記の製造方法におい
て、残磁を有する異方性造粒粉末が、希土類含有合金か
らなりかつ該粉末をスプレードライヤー装置にて造粒し
た造粒粉であることを特徴とする異方性造粒粉の製造方
法を併せて提案する。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明において、最も好ましい
実施態様としては、希土類含有合金粉末に、メチルセル
ロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの
うち少なくとも1種と水とからなるバインダーを添加、
混練してスラリー状となし、該スラリーを、ディスクの
一部または全部が永久磁石あるいは電磁石によって磁化
された回転ディスクおよび/または回転ディスクまでの
スラリー供給経路の所要位置に磁場をかけるための永久
磁石または電磁石を有する回転ディスク型スプレードラ
イヤー装置により造粒粉となした後、有機溶剤により造
粒粉を凍結固定した状態で交番振動磁場により消磁した
後、凍結温度以上に昇温、乾燥して有機溶剤を除去する
ことにより高い流動性を有する異方性造粒粉を得る方法
である。
【0016】上記回転ディスク型スプレードライヤー装
置の回転ディスクには、ベーン型、ケスナー型、ピン型
等種々のタイプがあるが、原理的にはどのタイプでも上
下2枚のディスクから構成され、そのディスクが回転す
る構造となっている。ディスクは、通常ステンレス鋼等
の非磁性材で構成されているが、例えば、ディスクの一
部を永久磁石で構成する場合は、ディスクの所要面に永
久磁石を埋め込んだり、放射状に配置するなどの構成が
採用でき、さらに、ディスクの一部あるいは全部を電磁
石によって磁化する構成の場合は、非磁性材からなるデ
ィスクの所要位置に磁性材を埋め込むなどの構成が採用
できる。
【0017】この発明では、上記のディスクの一部また
は全部が永久磁石あるいは電磁石から構成された回転デ
ィスクを用いる構成の他、回転ディスクまでのスラリー
供給経路のうち、所要位置に磁場をかけるための永久磁
石または電磁石を設けた構成、回転ディスクと回転ディ
スクまでのスラリー供給経路の両方に磁場をかけるよう
にした構成を適宜採用できる。例えば、原料スラリー供
給用管または回転ディスクの上部のスラリー供給用シャ
フトの外周、あるいはその両方に永久磁石または電磁石
を配置することができる。
【0018】得られる造粒粉の粒度は、スプレードライ
ヤー装置へ供給するスラリーの濃度やその供給量、ある
いは回転ディスクの回転数によって制御することができ
るが、例えば、希土類含有合金粉末の平均粒径が20μ
m未満では、造粒粉の流動性がほとんど向上せず、ま
た、平均粒径が400μmを超えると、粒径が大きすぎ
て成形時の金型内への充填密度が低下するとともに成形
体密度も低下し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下
を来たすこととなるため好ましくなく、よって、造粒粉
の平均粒径は20〜400μmが好ましい。さらに好ま
しくは50〜200μmである。
【0019】上述したスプレードライヤー装置によって
得られ、所要の平均粒径を有し、配向した異方性の造粒
粉は、該装置によって着磁された状態となっているの
で、そのままでは、造粒粉同士が凝集して粉体の流動性
が低下している。従って、成形前に該造粒粉の磁気を消
磁する必要があるが、異方性の造粒粉を固定せずに、そ
のまま交番磁場中で消磁すると造粒粉が交番磁場によっ
て振動し、消磁が十分に行えず、またその時に造粒粉が
壊れる問題がある。
【0020】造粒粉を壊さずに消磁するためには、凍結
温度の比較的高い有機溶剤を噴霧して、凍結温度以下に
冷却して固形化した後、初期最大振幅磁場が2〜3kO
eの減衰振動磁場中に固形造粒粉体を入れることによっ
て簡単に行うことができる。なお、流動性をできる限り
向上させるために、消磁後の造粒粉の残留磁場は10G
以下にすることが望ましい。
【0021】また、消磁後の造粒粉を、ふるいによって
アンダーカット、オーバーカットすることにより、さら
に極めて流動性に富んだ造粒粉を得ることができる。さ
らに、得られた造粒粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等の潤滑剤を
少量添加すると、さらに流動性を向上させることができ
有効である。
【0022】造粒粉の異方化に必要な磁場の大きさは、
スラリーの粘度、材質、対象とする希土類含有合金粉末
の組成、装置において磁場を設定する箇所によって異な
るが、いずれの条件でも2kOe以上であれば、数十μ
m〜数百μm程度の液滴を異方化するには十分である。
すなわち、磁性粉末粒子のスラリー中の磁場強度と配向
度の関係をX線回折装置で調べた結果、Nd−Fe−B
系の粉末は2kOeで90%配向し、またSm−Co系
の粉末は2kOeで85%配向するので、これらのスラ
リーの配向には、2kOe以上の磁場で十分であった。
従って、ディスクを永久磁石で構成する場合は、2kO
e以上の磁場を有する磁石が好ましく、特に限定はしな
いが、高磁気特性を有する希土類磁石等が適している。
【0023】回転ディスク型スプレードライヤー装置全
体の構成としては、造粒する磁性粉末が、希土類含有合
金粉末は非常に酸化し易いために、装置のスラリー収納
部内あるいは造粒粉の回収部内を不活性ガスなどで置換
でき、かつその酸素濃度を常時3%以下に保持できる密
閉構造であることが好ましい。
【0024】また、スプレードライヤー装置の回収部内
の構成としては、上述した回転ディスクにより噴霧され
た液滴を瞬時に乾燥させるために、回転ディスクの近傍
に加熱された不活性ガスを噴射する噴射口を配置し、ま
た回収部内の下部に、噴射されたガスを回収部外へ排出
する排出口を設けるが、その際、予め装置外部あるいは
装置に付属された加熱器で所要温度に加熱された不活性
ガスの温度を低下させないように、上記噴射口を不活性
ガスの温度に応じた温度、例えば60〜150℃に保持
することが好ましい。
【0025】すなわち、不活性ガスの温度が低下する
と、噴霧された液滴を短時間で十分乾燥することができ
なくなるため、スラリーの供給量を減少させなければな
らず能率が低下してしまう。また、この発明における造
粒粉は、後述するバインダーによって被覆されているた
め、大気中において酸化し難いので、成形工程における
作業性が向上するという利点を有する。
【0026】この発明において、対象とする希土類含有
合金粉末は、基本的に異方性を有するものであれば何で
も適用可能であるが、中でもR−Fe−B系合金粉末
や、R−Co系合金粉末などが最も適している。特に、
希土類含有合金粉末としては、所要組成からなる単一の
合金を粉砕した粉末や、異なる組成の合金を粉砕した
後、混合して所要組成に調整した粉末、保磁力の向上や
製造性を改善するため添加元素を加えたものなど、公知
の希土類含有合金粉末を用いることができる。
【0027】また、合金粉末の製造方法も、溶解・粉化
法、超急冷法、直接還元拡散法、水素含有崩壊法、アト
マイズ法等の公知の方法を適宜選定することができ、そ
の粒度も特に限定しないが、合金粉末の平均粒径が1μ
m未満では大気中の酸素あるいはバインダー内の水と反
応して酸化し易くなり、焼結後の磁気特性を低下させる
恐れがあるため好ましくなく、また、10μmを超える
平均粒径では粒径が大きすぎて焼結密度が95%程度で
飽和し、該密度の向上が望めないため好ましくない。よ
って1〜10μmの平均粒度が好ましい範囲である。特
に好ましくは1〜6μmの範囲である。
【0028】この発明において、希土類含有合金粉末を
スラリー状にするために添加するバインダーとして、メ
チルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアル
コールのうち少なくとも1種と水とからなるものが好ま
しい。上記のメチルセルロース、ポリアクリルアミド、
ポリビニルアルコールは少量の添加でスラリーの粘度を
向上させることができると共に乾燥後においても高い結
合力を保持することができ、また、添加量が少量で十分
なため、粉末中の残留酸素量、炭素量を低減することが
できる。
【0029】バインダーとして、メチルセルロース、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルアルコールをそれぞれ単
独で用いる場合の含有量は、0.05wt%未満では造
粒粉内の粒子間の結合力が弱く、成形前の給粉時に造粒
粉が壊れるとともに粉体の流動性が著しく低下し、ま
た、0.5wt%を越えると、焼結体における残留炭素
量と酸素量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化す
るので、0.05wt%〜0.5wt%の含有量がこれ
らの点で好ましい。また、メチルセルロース、ポリアク
リルアミド、ポリビニルアルコールをそれぞれ複合して
用いる場合は、上記と同様な理由により、0.05wt
%〜0.4wt%が好ましい範囲である。
【0030】この発明において、メチルセルロース、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルアルコールのうち少なく
とも1種に加える水の含有量は、20wt%未満では合
金粉末とバインダーとを混練したスラリーの濃度が高く
なって、粘度が増加し過ぎるため、該スラリーを後述す
る撹拌機からスプレードライヤー装置まで供給すること
ができず、また、50wt%を越えるとスラリーの濃度
が低くなり過ぎ、撹拌機内及び撹拌機のスラリー供給パ
イプ内で沈殿が起こり、供給量が不安定になるとともに
スプレードライヤー装置によって得られる造粒粉の平均
粒度が小さくなりすぎ、さらに粒度にバラツキを生じる
ため、20〜50wt%が好ましい範囲である。水とし
ては、特に限定はしないが、希土類系合金粉末を対象と
する場合には希土類成分との反応を極力抑制するため
に、脱酸素処理した純水、あるいは窒素などの不活性ガ
スをバブリング処理した水を用いることが望ましい。
【0031】また、合金粉末へのバインダーの添加、撹
拌は、0℃〜15℃の温度範囲内で行うことが好まし
く、合金粉末と水との酸化反応をより抑制することがで
きる。逆に、15℃を超える温度での撹拌は合金粉末と
水との酸化反応を促進されるため好ましくない。0℃〜
15℃の温度範囲内に保持するには、予め該温度に冷却
した水を用いたり、撹拌容器を冷却水などによって冷却
する手段などを採用することができる。
【0032】また、上述したバインダーにグリセリン、
ワックスエマルジョン、ステアリン酸、フタール酸エス
テル、ペトリオール、グライコール等の分散剤 ・ 潤
滑剤のうち少なくとも1種を添加するか、あるいはさら
に、n−オクチルアルコール、ポリアルキレン誘導体、
ポリエーテル系誘導体等の消泡剤を添加すると、スラリ
ーの分散性、均一性の向上及びスプレードライヤー装置
中での粉化状態が良好になり、気泡が少なく、滑り性、
流動性にすぐれる球形の造粒粉を得ることが可能にな
る。なお、添加量は、0.03wt%未満の含有量では
造粒粉を成形後の離型性改善に効果がなく、また0.3
wt%を超えると焼結体における残留炭素量と酸素量が
増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、0.
03wt%〜0.3wt%の含有量が好ましい。
【0033】この発明による残磁のある異方性造粒粉の
消磁に使用する有機溶剤としては、特に限定しないが、
凍結温度が0〜20℃であるジオキサン(凍結温度11
℃)、ベンゼン(5℃)、シクロヘキサン(10℃)、
p−キシレン(13℃)、m−クレゾール(10℃)、
グリセリン(18℃)、ギ酸(8℃)等の有機溶剤が好
ましく、消磁後に造粒粉が壊れないようにするために
は、造粒粉に使用したバインダーを溶解しないような有
機溶剤を選択する必要があり、特に好ましい有機溶剤と
しては、ベンゼンがある。
【0034】また、凍結温度を0〜20℃に限定した理
由は、室温より僅かに温度を下げるだけで簡単に凍結す
るために取扱いが簡単であることと、消磁後の昇温、乾
燥が比較的簡単であるために乾燥時の酸化が抑制できる
ためである。また消磁後の乾燥は、乾燥時の造粒粉の酸
化を抑制するために、真空中または不活性ガス雰囲気中
が好ましい。
【0035】この発明による異方性造粒粉を用いて磁気
異方性焼結磁石を製造する工程、すなわち、成形、焼
結、熱処理など条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的
手段を採用することができる。以下に好ましい条件の一
例を示す。成形は、公知のいずれの成形方法も採用でき
るが、圧縮成形で行なうことが最も好ましく、その圧力
は、0.3〜2.0Ton/cm2が好ましい。また、
磁場を印加して成形する場合の磁場強度としては10〜
20kOeが好ましい範囲である。
【0036】焼結前には、真空中で加熱する一般的な方
法や、水素流気中で100〜200℃/時間で昇温し、
300〜600℃で1〜2時間程度保持する方法などに
より脱バインダー処理を行なうことが好ましい。脱バイ
ンダー処理を施すことにより、バインダー中のほぼ全炭
素が脱炭され、磁気特性の向上に繋がる。
【0037】なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸
蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後
には脱水素処理工程を行なうことが好ましい。脱水素処
理は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇
温し、500〜800℃で1〜2時間程度保持すること
により、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。
また、脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を
行うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度
は任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時
間など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用で
きる。
【0038】脱バインダー処理後の成形品の焼結並びに
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、焼結並びに焼結後の熱処理条件とし
ては、1000〜1180℃、1〜2時間保持する焼結
工程、450〜800℃、1〜8時間保持する時効処理
工程などが好ましい。
【0039】
【実施例】
実施例1 Nd13.3原子%、Pr0.31原子%、Dy0.2
8原子%、Co3.4原子%、B6.5原子%、残部F
e及び不可避的不純物からなる原料を、Arガス雰囲気
中で高周波溶解して、ボタン状溶製合金を得た。次に、
該合金を粗粉砕した後、ディスクミルなどにより平均粒
度約15μmに粉砕し、さらに、ジェットミルにより平
均粒度3μmの粉末を得た。
【0040】該粉末に表1に示す種類及び添加量のバイ
ンダー、水、滑剤等を添加して室温で混練してスラリー
状となし、該スラリーをスプレードライヤー装置を用い
て不活性ガスに窒素を使用し、熱風入口温度を100
℃、出口温度を40℃に設定して造粒を行ない、異方性
造粒粉を得た。なお、該装置の回転ディスクには、図1
に示す如く、全体がR−Fe−B系永久磁石からなり、
表面に保護用パーマロイ(Ni−Fe系合金)を設けた
ピン型回転ディスクを用いた。その際の回転ディスク
1,1間の磁場は3.5kOeであった。
【0041】次に、得られた造粒粉に表2に示す有機溶
剤を噴霧添加した後、4℃に冷凍して凍結した固形物を
初期最大振幅磁場3kOeの減衰振動磁場中に入れて消
磁を行った。消磁後、この固形物を真空中で3時間保持
して乾燥した。乾燥後の残留磁場はいずれも3G以下で
あった。
【0042】該造粒粉を磁場プレス機を用いて、磁場強
度15kOe、圧力1ton/cm2で10mm×15
mm×厚み10mmの形状に成形した後、水素雰囲気中
で室温から300℃までを昇温速度100℃/時で加熱
する脱バインダー処理を行ない、引き続いて真空中で1
100℃まで昇温し1時間保持する焼結を行ない、さら
に焼結完了後、Arガスを導入して7℃/分の速度で8
00℃まで冷却し、その後100℃/時の速度で冷却し
て550℃で2時間保持して時効処理を施して異方性の
焼結体を得た。得られた焼結体には、ワレ、ヒビ、変形
などは全く見られなかった。
【0043】消磁前後の造粒粉の流動性、焼結後の焼結
磁石の残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2に示
す。なお、流れ性は、内径8mmのロートの管を100
gの原料粉が自然落下し通過するまでに要した時間で測
定した。
【0044】比較例1 実施例1の造粒粉を有機溶剤で凍結せずに、そのまま初
期最大振幅磁場3kOeの減衰振動磁場中に入れて消磁
を行った時の消磁後の造粒粉の流動性、焼結後の焼結磁
石の残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2に示す。
【0045】実施例2 Sm11.9原子%、Cu8.8原子%、Fe12.6
原子%、Zr1.2原子%、残部Co及び不可避的不純
物からなる原料を、Arガス雰囲気中で高周波溶解し
て、ボタン状溶製合金を得た。次に、該合金を粗粉砕し
た後、ジョークラッシャーなどにより平均粒度約15μ
mに粉砕し、さらに、ジェットミルにより平均粒度3μ
mの粉末を得た。該粉末に表3に示す種類のバインダ
ー、潤滑剤を添加して室温で混練してスラリー状とな
し、該スラリーをこの発明による異方性造粒粉の製造装
置により、不活性ガスとして窒素を用い、熱風入口温度
を100℃、出口温度を40℃に設定して造粒を行っ
た。
【0046】なお、異方性造粒粉の製造装置における回
転ディスクには、図1に示す如く、全体がR−Fe−B
系永久磁石からなり、表面に保護用パーマロイ(Fe−
Ni系合金)を設けたピン型回転ディスクを用いた。そ
の際の回転ディスク1,1間の磁場は3.5kOeであ
った。
【0047】次に、得られた造粒粉に表3に示す有機溶
剤を噴霧添加した後、4℃に冷凍して凍結した固形物を
初期最大振幅磁場3kOeの減衰振動磁場中に入れて消
磁を行った。消磁後、この固形物を真空中で3時間保持
して乾燥した。乾燥後の残留磁場はいずれも5G以下で
あった。
【0048】上記造粒粉を磁場プレス機により、磁場強
度15kOe、圧力1ton/cm2で10mm×15
mm×厚み10mmの形状に成形した後、水素雰囲気中
で室温から300℃までを昇温速度100℃/時間で加
熱する脱バインダー処理を行い、引続き真空中で120
0℃まで昇温し1時間保持する焼結を行い、さらに焼結
完了後、1160℃にて溶体化処理を行い、その後Ar
ガスを導入して800℃から400℃までの多段時効処
理を施して、異方性の焼結体を得た。得られた焼結体に
はヒビ、ワレ、変形などは全く見られなかった。消磁前
後の造粒粉の流動性、焼結後の焼結磁石の残留酸素量、
残留炭素量、磁気特性を表3に示す。
【0049】比較例2 実施例2の造粒粉を有機溶剤で凍結せずに、そのまま初
期最大振幅磁場3kOeの減衰振動磁場中に入れて消磁
を行った時の消磁後の造粒粉の流動性、焼結後の焼結磁
石の残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表3に示す。
表1と表2の測定結果から明らかなように、この発明に
よる異方性造粒粉の消磁後の流動性は、消磁前のものに
比べて非常に優れていると同時に、焼結後の焼結磁石の
磁気特性も消磁せずに磁場中成形したものに比べて非常
に良好であることがわかる。したがって従来の圧粉成形
では成形が困難であった、薄物、小物また複雑形状品の
成形には非常に適しており、また焼結後の、磁気特性の
非常に優れた永久磁石が得られることがわかる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】この発明による異方性造粒粉の製造方法
は、希土類含有合金粉末をスラリー状に撹拌した後、ス
ラリーに磁場をかけて該粉末粒子を配向させた状態で、
スプレードライヤー装置のチャンバー内で噴霧して、配
向した液滴を作り、そのまま瞬時に乾燥固化させて異方
性の造粒粉となし、得られた残留磁気を帯びた異方性造
粒粉に凍結温度の高い有機溶剤を噴霧添加して、造粒粉
を固定した状態で交番振動磁場をかけて消磁することに
より、充分に消磁でき、消磁後に造粒粉が壊れず造粒粉
の流動性が向上し、圧縮成形時の粉体の流動性、潤滑性
を向上させて、成形サイクルの向上、成形体の寸法精度
を向上させ、かつ磁気特性の優れた粉末を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による異方性造粒粉の製造装置のディ
スクの全部が永久磁石から構成された回転ディスクの一
実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 回転ディスク 2 回転軸 3 ピン 4 ナット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 残磁を有する異方性造粒粉末に、凍結温
    度0〜20℃の有機溶剤を噴霧添加し、該添加粉末を凍
    結温度以下に冷凍固化した後、交番振動磁場中で消磁
    し、その後昇温、乾燥して該固化粉末中の有機溶剤を除
    去して流動性の高い造粒粉を得る異方性造粒粉の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、残磁を有する異方性
    造粒粉末が、希土類含有合金からなりかつ該粉末をスプ
    レードライヤー装置にて造粒した造粒粉である異方性造
    粒粉の製造方法。
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