JPH09278802A - 耐老化性澱粉の製造法 - Google Patents
耐老化性澱粉の製造法Info
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- JPH09278802A JPH09278802A JP8117184A JP11718496A JPH09278802A JP H09278802 A JPH09278802 A JP H09278802A JP 8117184 A JP8117184 A JP 8117184A JP 11718496 A JP11718496 A JP 11718496A JP H09278802 A JPH09278802 A JP H09278802A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐老化性のみならず、食感や安全性にも優
れ、製造時並びに保存時に品質安定性を要求される食品
工業分野、とりわけ、冷蔵、冷凍、あるいは電子レンジ
耐性を必要とする加工食品の分野において有用な澱粉の
製造法を提供すること。 【解決手段】 酸の存在下に、澱粉を果糖あるいは果糖
を主成分とする糖質と乾式条件で60〜200℃にて1
0分〜5時間加熱処理することを特徴とする耐老化性澱
粉の製造法。
れ、製造時並びに保存時に品質安定性を要求される食品
工業分野、とりわけ、冷蔵、冷凍、あるいは電子レンジ
耐性を必要とする加工食品の分野において有用な澱粉の
製造法を提供すること。 【解決手段】 酸の存在下に、澱粉を果糖あるいは果糖
を主成分とする糖質と乾式条件で60〜200℃にて1
0分〜5時間加熱処理することを特徴とする耐老化性澱
粉の製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐老化性澱粉の製
造法に関し、耐老化性のみならず、食感や安全性にも優
れ、製造時並びに保存時に品質安定性を要求される食品
工業分野、とりわけ、冷蔵、冷凍、あるいは電子レンジ
耐性を必要とする加工食品の分野において有用な澱粉の
製造法に関する。
造法に関し、耐老化性のみならず、食感や安全性にも優
れ、製造時並びに保存時に品質安定性を要求される食品
工業分野、とりわけ、冷蔵、冷凍、あるいは電子レンジ
耐性を必要とする加工食品の分野において有用な澱粉の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、核家族化、勤労女性の増加など生
活環境の多様化に伴い家庭内食のインスタント化傾向が
高まり、総菜類等の持ち帰り食品市場が急速に拡大して
いる。その結果として、調理済み食品あるいは調理工程
の簡略化された食品への要求が増大している。このよう
な動向を反映して冷蔵、冷凍および電子レンジ耐性を備
えた加工食品の製造に適した澱粉の開発が強く要望され
ている。これらの要求に応えるため、従来から耐老化性
澱粉としてリン酸架橋澱粉が使用されてきた。しかし、
天然指向の健康食品ム−ドに加え、リン酸架橋澱粉を多
量に摂取すると、体内からカルシウムが排出するなど、
健康に対する危険性が指摘されている。そのため、加工
食品の保存安定性の向上に寄与し、しかも人の健康にや
さしい食品素材としての澱粉に対する要望は、わが国の
みならず欧米各国においても高まっている。
活環境の多様化に伴い家庭内食のインスタント化傾向が
高まり、総菜類等の持ち帰り食品市場が急速に拡大して
いる。その結果として、調理済み食品あるいは調理工程
の簡略化された食品への要求が増大している。このよう
な動向を反映して冷蔵、冷凍および電子レンジ耐性を備
えた加工食品の製造に適した澱粉の開発が強く要望され
ている。これらの要求に応えるため、従来から耐老化性
澱粉としてリン酸架橋澱粉が使用されてきた。しかし、
天然指向の健康食品ム−ドに加え、リン酸架橋澱粉を多
量に摂取すると、体内からカルシウムが排出するなど、
健康に対する危険性が指摘されている。そのため、加工
食品の保存安定性の向上に寄与し、しかも人の健康にや
さしい食品素材としての澱粉に対する要望は、わが国の
みならず欧米各国においても高まっている。
【0003】加工食品は、製造後数日以内に消費される
場合には、素材として使用した澱粉の種類に関係なく、
いずれも品質上ほとんど問題はない。しかし、加工食品
の製造後、−25℃で1か月以上の冷凍保存において、
テクスチャーに変化なく、特に離水が認められないこと
が要求される加工食品においては、通常の澱粉を使用し
た場合、数日で澱粉が老化し、離水が起こるため、この
ような要求を満足させることができない。他方、リン酸
架橋澱粉を使用すれば、加工食品は数か月の保存にも耐
えられるが、不自然な食感と異臭並びに人間の健康に対
する危惧の念がある。
場合には、素材として使用した澱粉の種類に関係なく、
いずれも品質上ほとんど問題はない。しかし、加工食品
の製造後、−25℃で1か月以上の冷凍保存において、
テクスチャーに変化なく、特に離水が認められないこと
が要求される加工食品においては、通常の澱粉を使用し
た場合、数日で澱粉が老化し、離水が起こるため、この
ような要求を満足させることができない。他方、リン酸
架橋澱粉を使用すれば、加工食品は数か月の保存にも耐
えられるが、不自然な食感と異臭並びに人間の健康に対
する危惧の念がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常の澱粉は、数ミク
ロンから数十ミクロン程度の大きさの粒子を形成し、そ
の水懸濁液を加熱すると、温度の上昇に伴い粒子は水を
吸収し膨潤をはじめる。更に加熱を続けると、90℃前
後で粒子は崩壊し、澱粉分子は水中に分散し、いわゆる
糊液を形成する。糊液中の澱粉分子は、冷却と共に再会
合、あるいは再結晶をはじめる。その結果、糊液粘度は
上昇し、遂にはゲルを形成する。このような現象を老化
と呼んでいる。
ロンから数十ミクロン程度の大きさの粒子を形成し、そ
の水懸濁液を加熱すると、温度の上昇に伴い粒子は水を
吸収し膨潤をはじめる。更に加熱を続けると、90℃前
後で粒子は崩壊し、澱粉分子は水中に分散し、いわゆる
糊液を形成する。糊液中の澱粉分子は、冷却と共に再会
合、あるいは再結晶をはじめる。その結果、糊液粘度は
上昇し、遂にはゲルを形成する。このような現象を老化
と呼んでいる。
【0005】低濃度の澱粉糊液は老化すると、粘度の上
昇や微結晶の析出が起こる。高濃度糊液では、老化が進
行すると完全に流動性を失い、弾性固体あるいは脆い固
体を形成する。この現象が食品の品質低下をもたらす原
因になる。老化現象は、通常、低温ほど起こりやすく、
特に0〜5℃付近で最も起こり易いとされている。この
ように、細菌の増殖を抑制する温度と老化を促進する温
度が一致するため、低温流通及び低温保存食品におい
て、特に澱粉の老化は解決すべき重要な課題となってい
る。
昇や微結晶の析出が起こる。高濃度糊液では、老化が進
行すると完全に流動性を失い、弾性固体あるいは脆い固
体を形成する。この現象が食品の品質低下をもたらす原
因になる。老化現象は、通常、低温ほど起こりやすく、
特に0〜5℃付近で最も起こり易いとされている。この
ように、細菌の増殖を抑制する温度と老化を促進する温
度が一致するため、低温流通及び低温保存食品におい
て、特に澱粉の老化は解決すべき重要な課題となってい
る。
【0006】老化を抑制する方法の一つとして、従来よ
り澱粉の構成単位であるグルコースの水酸基に、酢酸
基、リン酸基、あるいはヒドロキシエチル基などを導入
する方法が採られている。これら置換基の存在により、
澱粉分子鎖の再配列を立体的に邪魔し、老化を防止しよ
うとするものである。これまでも、老化耐性を改良する
ため、エステル化澱粉(例えば、酢酸化、ステアリン酸
化澱粉など)並びにエーテル化澱粉(例えば、ヒドロキ
シエチル化、ヒドロキシプロピル化澱粉など)が製造さ
れているが、わが国では、食品添加物として、老化耐性
を改良する物質は食品に対し2%以上の添加は認められ
ていないものが多い。更に、その老化耐性もリン酸架橋
澱粉を除いては満足するものがないのが実情である。
り澱粉の構成単位であるグルコースの水酸基に、酢酸
基、リン酸基、あるいはヒドロキシエチル基などを導入
する方法が採られている。これら置換基の存在により、
澱粉分子鎖の再配列を立体的に邪魔し、老化を防止しよ
うとするものである。これまでも、老化耐性を改良する
ため、エステル化澱粉(例えば、酢酸化、ステアリン酸
化澱粉など)並びにエーテル化澱粉(例えば、ヒドロキ
シエチル化、ヒドロキシプロピル化澱粉など)が製造さ
れているが、わが国では、食品添加物として、老化耐性
を改良する物質は食品に対し2%以上の添加は認められ
ていないものが多い。更に、その老化耐性もリン酸架橋
澱粉を除いては満足するものがないのが実情である。
【0007】澱粉の老化を抑制する他の方法として、澱
粉を加熱・焙焼する方法が知られている(二国二郎監
修、「澱粉科学ハンドブック」p.496-500(1982)朝倉書
店)。焙焼デキストリンは、澱粉を酸の存在下または非
存在下に加熱して得られるものである。その加熱処理条
件は、酸を添加することなく焙焼して得られるブリティ
シュ・ガムでは、135〜220℃で10〜20時間で
ある。また、鉱酸を添加する白色デキストリンでは、8
0〜120℃で3〜8時間、黄色デキストリンでは、1
50〜220℃で6〜18時間である。
粉を加熱・焙焼する方法が知られている(二国二郎監
修、「澱粉科学ハンドブック」p.496-500(1982)朝倉書
店)。焙焼デキストリンは、澱粉を酸の存在下または非
存在下に加熱して得られるものである。その加熱処理条
件は、酸を添加することなく焙焼して得られるブリティ
シュ・ガムでは、135〜220℃で10〜20時間で
ある。また、鉱酸を添加する白色デキストリンでは、8
0〜120℃で3〜8時間、黄色デキストリンでは、1
50〜220℃で6〜18時間である。
【0008】この反応は、水分が存在し、温度の低い初
期には、澱粉の主鎖及び枝を構成するグルコースの1→
4および1→6グリコシド結合が分解を受け、低分子化
し、粘度の低下と還元値の増加が起こる。一方、160
℃を越す高温段階では、冷水溶解性は上昇し、還元値が
逆に低下する。すなわち、初期の段階で切れた分子が転
移/再会合し、新たな分岐度の高い構造を持つようにな
る。その構造としては、澱粉の構成成分であるグルコー
スが1→4、1→6グリコシド結合したものを主体とし
て、微量の1→3、1→2グリコシド結合も存在してい
る。このような高い枝別れ構造が澱粉の再結晶を妨げ、
老化を防止する。
期には、澱粉の主鎖及び枝を構成するグルコースの1→
4および1→6グリコシド結合が分解を受け、低分子化
し、粘度の低下と還元値の増加が起こる。一方、160
℃を越す高温段階では、冷水溶解性は上昇し、還元値が
逆に低下する。すなわち、初期の段階で切れた分子が転
移/再会合し、新たな分岐度の高い構造を持つようにな
る。その構造としては、澱粉の構成成分であるグルコー
スが1→4、1→6グリコシド結合したものを主体とし
て、微量の1→3、1→2グリコシド結合も存在してい
る。このような高い枝別れ構造が澱粉の再結晶を妨げ、
老化を防止する。
【0009】このようにして得られる焙焼デキストリン
の粘度は、低分子化の影響を受け、ブリティシュ・ガム
及び黄色デキストリンの10%溶液では、27℃で、い
ずれも10cps以下と低い値を示す。これに対して、
原料コーンスターチの粘度は、デキストリンに比較して
極めて高く、同一測定条件では、粘度計の測定範囲を越
えるため、測れない。そのため、濃度を低くした5%溶
液を99℃で測定した場合、500cps以上を示す。
このように、焙焼デキストリンの粘度は極めて低いた
め、澱粉としての通常の粘度が要求される用途には用い
られない。したがって、耐老化性に優れたリン酸架橋澱
粉を代替できるものではない。このような状況から、健
康にやさしく、耐老化性に優れ、原料澱粉と同等の粘度
を持ち、その上、工業生産が容易な澱粉の開発が待たれ
ている。
の粘度は、低分子化の影響を受け、ブリティシュ・ガム
及び黄色デキストリンの10%溶液では、27℃で、い
ずれも10cps以下と低い値を示す。これに対して、
原料コーンスターチの粘度は、デキストリンに比較して
極めて高く、同一測定条件では、粘度計の測定範囲を越
えるため、測れない。そのため、濃度を低くした5%溶
液を99℃で測定した場合、500cps以上を示す。
このように、焙焼デキストリンの粘度は極めて低いた
め、澱粉としての通常の粘度が要求される用途には用い
られない。したがって、耐老化性に優れたリン酸架橋澱
粉を代替できるものではない。このような状況から、健
康にやさしく、耐老化性に優れ、原料澱粉と同等の粘度
を持ち、その上、工業生産が容易な澱粉の開発が待たれ
ている。
【0010】ところで、デキストリンの生成過程で起こ
る転移・再会合と同様の反応が、澱粉をガラクトース、
キシロースなどの単糖と共に、酸の存在下で加熱すると
起こり、これらの単糖が澱粉分子鎖の中に取り込まれる
ことが、従来より知られている(中村道徳、貝沼圭二
編、「澱粉・関連糖質実験法」p.282-283(1986)学会出
版センター)。例えば、ワキシートウモロコシ澱粉26
gとD−キシロースを2.4N塩酸1.2mlと共に、
140℃で3時間加熱すると、グルコース分子100個
当りキシロース分子0.19個が結合した澱粉が生成す
る。しかし、得られた澱粉は冷水可溶性である。すなわ
ち、過剰の塩酸の存在下に、140℃、3時間という過
酷な条件での加熱処理では、通常の焙焼デキストリンと
同様の分解・転移反応が起こり、分子量の低下が激し
く、低分子量、低粘度の製品しか得られない。無機酸量
を低下することにより粘度の低下は防げるが、単糖の取
り込み反応も低下し、耐老化性が著しく劣るものにな
る。
る転移・再会合と同様の反応が、澱粉をガラクトース、
キシロースなどの単糖と共に、酸の存在下で加熱すると
起こり、これらの単糖が澱粉分子鎖の中に取り込まれる
ことが、従来より知られている(中村道徳、貝沼圭二
編、「澱粉・関連糖質実験法」p.282-283(1986)学会出
版センター)。例えば、ワキシートウモロコシ澱粉26
gとD−キシロースを2.4N塩酸1.2mlと共に、
140℃で3時間加熱すると、グルコース分子100個
当りキシロース分子0.19個が結合した澱粉が生成す
る。しかし、得られた澱粉は冷水可溶性である。すなわ
ち、過剰の塩酸の存在下に、140℃、3時間という過
酷な条件での加熱処理では、通常の焙焼デキストリンと
同様の分解・転移反応が起こり、分子量の低下が激し
く、低分子量、低粘度の製品しか得られない。無機酸量
を低下することにより粘度の低下は防げるが、単糖の取
り込み反応も低下し、耐老化性が著しく劣るものにな
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記のような状況に鑑
み、本発明者らは、澱粉の耐老化性を改善する方法につ
いて鋭意検討を重ねた結果、澱粉を果糖あるい果糖を主
成分とする糖質と従来の焙焼方法と同様の酸、好ましく
は有機酸の存在下に、60〜200℃で10分〜5時間
加熱処理することにより、粘度低下を抑え、糖質を澱粉
に効率よく結合させることに成功した。かくして、耐老
化性(特に、冷蔵、冷凍あるいは電子レンジ耐性)に優
れた澱粉が効率よく得られることを見出し、本発明に到
達した。
み、本発明者らは、澱粉の耐老化性を改善する方法につ
いて鋭意検討を重ねた結果、澱粉を果糖あるい果糖を主
成分とする糖質と従来の焙焼方法と同様の酸、好ましく
は有機酸の存在下に、60〜200℃で10分〜5時間
加熱処理することにより、粘度低下を抑え、糖質を澱粉
に効率よく結合させることに成功した。かくして、耐老
化性(特に、冷蔵、冷凍あるいは電子レンジ耐性)に優
れた澱粉が効率よく得られることを見出し、本発明に到
達した。
【0012】本発明は、酸の存在下に、澱粉を果糖ある
いは果糖を主成分とする糖質と乾式条件で60〜200
℃にて10分〜5時間加熱処理することを特徴とする耐
老化性澱粉の製造法に関する。
いは果糖を主成分とする糖質と乾式条件で60〜200
℃にて10分〜5時間加熱処理することを特徴とする耐
老化性澱粉の製造法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】酸、特に微量の有機酸の存在下
に、澱粉を果糖と加熱処理することよりなる、本発明の
方法は、次のような利点を有している。すなわち、使用
する澱粉、果糖及び酸の何れもが天然物又は食品もしく
は食品添加物として広く認められている物質であり、こ
れらの成分を混合し、100℃前後の温度で数時間加熱
する条件は、通常の食品調理工程においてしばしば用い
らている条件であり、健康に対する心配がない。しか
も、この方法は、混合した原料を静置状態または混合し
ながら所定時間加熱するのみであり、その他の繁雑な操
作を必要としない。更に、果糖並びに有機酸等の酸量を
適切に設定すれば、冷却後は後処理をすることなく、そ
のまますべてを製品として使用することも可能であり、
経済的かつ効率的である。以下に、本発明を詳しく説明
する。
に、澱粉を果糖と加熱処理することよりなる、本発明の
方法は、次のような利点を有している。すなわち、使用
する澱粉、果糖及び酸の何れもが天然物又は食品もしく
は食品添加物として広く認められている物質であり、こ
れらの成分を混合し、100℃前後の温度で数時間加熱
する条件は、通常の食品調理工程においてしばしば用い
らている条件であり、健康に対する心配がない。しか
も、この方法は、混合した原料を静置状態または混合し
ながら所定時間加熱するのみであり、その他の繁雑な操
作を必要としない。更に、果糖並びに有機酸等の酸量を
適切に設定すれば、冷却後は後処理をすることなく、そ
のまますべてを製品として使用することも可能であり、
経済的かつ効率的である。以下に、本発明を詳しく説明
する。
【0014】本発明に使用する澱粉の種類に制限はない
が、例えばトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、タピオカ、小
麦、米などの澱粉もしくはフラワーおよびエステル化澱
粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉などの加工澱粉があり、
これらの1種または2種以上が挙げられる。本発明で
は、澱粉の耐老化性を改善するために、果糖あるいは果
糖を主成分とする糖質を使用する。果糖が、水溶液中で
のフラクトシド結合生成反応などにおいて、他の糖類に
比較して高い反応性を示すことは知られていた。しか
し、果糖が酸、とりわけ微量の有機酸の存在下に澱粉と
共に、60〜200℃で10分〜5時間、好ましくは7
0〜150℃で30分〜3時間程度の焙焼条件として
は、比較的低温度、かつ短時間の加熱処理で、予想し得
ないほどの反応性を示し、澱粉の性質を画期的に変化さ
せ、極めて高い耐老化性を示す澱粉を与えることは、こ
れ迄は全く予想できないことであった。
が、例えばトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、タピオカ、小
麦、米などの澱粉もしくはフラワーおよびエステル化澱
粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉などの加工澱粉があり、
これらの1種または2種以上が挙げられる。本発明で
は、澱粉の耐老化性を改善するために、果糖あるいは果
糖を主成分とする糖質を使用する。果糖が、水溶液中で
のフラクトシド結合生成反応などにおいて、他の糖類に
比較して高い反応性を示すことは知られていた。しか
し、果糖が酸、とりわけ微量の有機酸の存在下に澱粉と
共に、60〜200℃で10分〜5時間、好ましくは7
0〜150℃で30分〜3時間程度の焙焼条件として
は、比較的低温度、かつ短時間の加熱処理で、予想し得
ないほどの反応性を示し、澱粉の性質を画期的に変化さ
せ、極めて高い耐老化性を示す澱粉を与えることは、こ
れ迄は全く予想できないことであった。
【0015】グルコース、ガラクトース、キシロース、
シュクロースなどの糖質を用い、同様の条件で加熱処理
しても、果糖の場合と同様の高い耐老化性を示す澱粉を
与えることはできなかった。このように、果糖以外の糖
質の反応性は、果糖に比較して大幅に劣っていた。果糖
を使用することにより初めて、酸の存在下に効率よく、
経済的に所望の粘度を有し、耐老化性の高い澱粉を得る
ことができた。果糖を用いることの利点は、反応性が高
いため、低い処理温度、短い処理時間で酸、特により少
ない量の有機酸で、所望の澱粉を製造できることであ
る。そのため、澱粉の分子量を低下させることなく、原
料澱粉より高い粘度から低い粘度まで、所望の耐老化性
澱粉が得られる。これに反し、通常のデキストリンは、
焙焼温度を上昇させると、老化性は改善されるが、澱粉
の分解が進み、粘度が低下するという欠点を持ってい
る。澱粉と果糖の間にどのような相互作用が生じたか
は、明白でないが、果糖が澱粉を構成するグルコースと
結合を形成し、澱粉分子の中に取り込まれた可能性が考
えられる。これら反応機構については明白でないが、果
糖あるいは果糖を主成分とする糖質を使用した場合のみ
本発明の耐老化性澱粉を効率よく製造することができる
ことは確かである。
シュクロースなどの糖質を用い、同様の条件で加熱処理
しても、果糖の場合と同様の高い耐老化性を示す澱粉を
与えることはできなかった。このように、果糖以外の糖
質の反応性は、果糖に比較して大幅に劣っていた。果糖
を使用することにより初めて、酸の存在下に効率よく、
経済的に所望の粘度を有し、耐老化性の高い澱粉を得る
ことができた。果糖を用いることの利点は、反応性が高
いため、低い処理温度、短い処理時間で酸、特により少
ない量の有機酸で、所望の澱粉を製造できることであ
る。そのため、澱粉の分子量を低下させることなく、原
料澱粉より高い粘度から低い粘度まで、所望の耐老化性
澱粉が得られる。これに反し、通常のデキストリンは、
焙焼温度を上昇させると、老化性は改善されるが、澱粉
の分解が進み、粘度が低下するという欠点を持ってい
る。澱粉と果糖の間にどのような相互作用が生じたか
は、明白でないが、果糖が澱粉を構成するグルコースと
結合を形成し、澱粉分子の中に取り込まれた可能性が考
えられる。これら反応機構については明白でないが、果
糖あるいは果糖を主成分とする糖質を使用した場合のみ
本発明の耐老化性澱粉を効率よく製造することができる
ことは確かである。
【0016】果糖は、澱粉の改質に従来用いられていた
酢酸、リン酸、エチレンオキシド、あるいはプロピレン
オキシドなどと異なり、化学構造及び性状においてグル
コースに極めて類似しているため、自然な食感を澱粉に
付与できる。更に、大きな利点の一つは、酢酸、リン
酸、エチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシドな
どのような化学薬品ではなく、食品そのものであること
が挙げられる。しかも、澱粉の老化性を改良する効果
は、これらの薬品に比較し極めて大きい。
酢酸、リン酸、エチレンオキシド、あるいはプロピレン
オキシドなどと異なり、化学構造及び性状においてグル
コースに極めて類似しているため、自然な食感を澱粉に
付与できる。更に、大きな利点の一つは、酢酸、リン
酸、エチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシドな
どのような化学薬品ではなく、食品そのものであること
が挙げられる。しかも、澱粉の老化性を改良する効果
は、これらの薬品に比較し極めて大きい。
【0017】本発明に用いる果糖としては、結晶、粉
末、シロップまたは溶液のいずれでもよい。更に、果糖
を主成分とする糖質であれば、他の糖質が存在していて
もかまわない。この場合、やや反応効率は低下するが使
用することができる。例えば、ハイフラクトース・コー
ンシロップ(フラクトース含有量:95%、他は主とし
てグルコース)の使用は、経済性の観点からも好まし
い。
末、シロップまたは溶液のいずれでもよい。更に、果糖
を主成分とする糖質であれば、他の糖質が存在していて
もかまわない。この場合、やや反応効率は低下するが使
用することができる。例えば、ハイフラクトース・コー
ンシロップ(フラクトース含有量:95%、他は主とし
てグルコース)の使用は、経済性の観点からも好まし
い。
【0018】本発明の方法により澱粉に組み込まれる果
糖量は添加量に比例する。所望の耐老化性を得るために
は、通常、澱粉100重量部に対し3〜50重量部の範
囲で果糖の量を選択する。果糖量が3重量部より低い場
合には、加熱処理後の澱粉は耐老化性が劣ったものとな
り、また50重量部を越えると、未反応の果糖量が増加
し、製品に甘味が付くため、洗浄などの後処理を必要と
することがあり、不利である。
糖量は添加量に比例する。所望の耐老化性を得るために
は、通常、澱粉100重量部に対し3〜50重量部の範
囲で果糖の量を選択する。果糖量が3重量部より低い場
合には、加熱処理後の澱粉は耐老化性が劣ったものとな
り、また50重量部を越えると、未反応の果糖量が増加
し、製品に甘味が付くため、洗浄などの後処理を必要と
することがあり、不利である。
【0019】次に、酸としては、特に制限はなく、例え
ば塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸及び蓚酸、酢酸、コハ
ク酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸などの有機酸が使
用できる。しかし、装置の腐食、澱粉の副反応などを考
慮すると、有機酸の方が好ましい。とりわけ、法律で食
品添加物として認められている酢酸、コハク酸、クエン
酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、乳
酸、フマル酸、アスコルビン酸などの有機酸は、食品用
途に使用される澱粉の改質に用いる場合に推奨される。
有機酸を用いることの利点は、酸の使用量が多い場合
も、粘度低下などの副反応を引き起こす割合が少なく、
また少量使用の場合も、触媒効果を十分に発揮すること
である。その理由は明白ではないが、有機酸の酸解離度
が低いため、澱粉分子の切断が抑えられ、さらに揮発・
蒸散性が少ないため、反応系内に最後まで留り、触媒作
用が緩やかに持続するためと推定される。
ば塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸及び蓚酸、酢酸、コハ
ク酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸などの有機酸が使
用できる。しかし、装置の腐食、澱粉の副反応などを考
慮すると、有機酸の方が好ましい。とりわけ、法律で食
品添加物として認められている酢酸、コハク酸、クエン
酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、乳
酸、フマル酸、アスコルビン酸などの有機酸は、食品用
途に使用される澱粉の改質に用いる場合に推奨される。
有機酸を用いることの利点は、酸の使用量が多い場合
も、粘度低下などの副反応を引き起こす割合が少なく、
また少量使用の場合も、触媒効果を十分に発揮すること
である。その理由は明白ではないが、有機酸の酸解離度
が低いため、澱粉分子の切断が抑えられ、さらに揮発・
蒸散性が少ないため、反応系内に最後まで留り、触媒作
用が緩やかに持続するためと推定される。
【0020】反応系における酸量については、有機酸の
場合は、特に限定されるものでないが、反応系に有機酸
を過剰に添加すると、反応後の中和に多量のアルカリを
必要とし、一方、添加量が少ないと、果糖の取り込み量
が低下する。したがって、通常は澱粉100重量部に対
し0.01〜5重量部の範囲で選択すべきである。一
方、無機酸を用いる場合、製品の所望粘度並びに焙焼条
件にも依存するが、通常の焙焼デキストリン製造時に使
用する量(例えば澱粉100重量部に対し、1%塩酸1
〜10ml)程度が好ましい。
場合は、特に限定されるものでないが、反応系に有機酸
を過剰に添加すると、反応後の中和に多量のアルカリを
必要とし、一方、添加量が少ないと、果糖の取り込み量
が低下する。したがって、通常は澱粉100重量部に対
し0.01〜5重量部の範囲で選択すべきである。一
方、無機酸を用いる場合、製品の所望粘度並びに焙焼条
件にも依存するが、通常の焙焼デキストリン製造時に使
用する量(例えば澱粉100重量部に対し、1%塩酸1
〜10ml)程度が好ましい。
【0021】次に、加熱処理の際の温度の選定は、触媒
の酸量、果糖量、反応時間などに関係するものである
が、通常は60〜200℃、好ましくは70〜150℃
である。60℃より低温では、反応速度が遅く、工業的
製造法として非効率的であり、また200℃以上になる
と、澱粉分子の分解・転移・再会合が起こり、分枝度の
高い低分子化デキストリンが生成する。更に、澱粉に着
色が見られ、製品の外観という点において好ましくな
い。
の酸量、果糖量、反応時間などに関係するものである
が、通常は60〜200℃、好ましくは70〜150℃
である。60℃より低温では、反応速度が遅く、工業的
製造法として非効率的であり、また200℃以上になる
と、澱粉分子の分解・転移・再会合が起こり、分枝度の
高い低分子化デキストリンが生成する。更に、澱粉に着
色が見られ、製品の外観という点において好ましくな
い。
【0022】また、加熱処理の時間は、処理温度の選定
と同様に、他の処理条件に依存するが、処理温度が高い
条件では、短時間とし、低い条件では長時間とするのが
好ましい。具体的には、10分から5時間、好ましくは
30分から3時間である。処理時間が短いと、反応率が
低く、長過ぎると、着色及び粘度の低下が起こる。この
加熱処理は、通常の方法を用いることができ、特に限定
されるものではないが、乾式法での実施が好ましい。即
ち、粉末澱粉に果糖と酸を添加、混合した後、水分を3
0%以下に調整したのち、所定温度で所定時間、静置ま
たは混合下に加熱処理する方法が好ましい。
と同様に、他の処理条件に依存するが、処理温度が高い
条件では、短時間とし、低い条件では長時間とするのが
好ましい。具体的には、10分から5時間、好ましくは
30分から3時間である。処理時間が短いと、反応率が
低く、長過ぎると、着色及び粘度の低下が起こる。この
加熱処理は、通常の方法を用いることができ、特に限定
されるものではないが、乾式法での実施が好ましい。即
ち、粉末澱粉に果糖と酸を添加、混合した後、水分を3
0%以下に調整したのち、所定温度で所定時間、静置ま
たは混合下に加熱処理する方法が好ましい。
【0023】上記のように処理した澱粉は水、その他の
溶媒で洗浄、濾過後、乾燥して製品とする場合もある
が、好ましくは、洗浄工程を必要としないような果糖量
と中和反応を必要としない微量の有機酸を使用し、処理
澱粉をそのまま製品とする反応条件の選択が望ましい。
溶媒で洗浄、濾過後、乾燥して製品とする場合もある
が、好ましくは、洗浄工程を必要としないような果糖量
と中和反応を必要としない微量の有機酸を使用し、処理
澱粉をそのまま製品とする反応条件の選択が望ましい。
【0024】本発明の処理澱粉を使用して製造すること
のできる食品類としては、例えば魚肉ハム、ソーセー
ジ、かまぼこ等の水産練り製品、うどん、そば、スパゲ
ティー、マカロニ等の生又は半生タイプの製品、ゆで冷
凍めん類、食パン、カステラ、ケーキ、クッキー類の洋
菓子類、フラワーペースト等のペースト類、ようかん、
ういろう、団子、練りあん等の和菓子類、包装餅、切り
餅、大福餅等の餅類、餃子、春巻の皮、白飯、赤飯、お
こわ等の米飯類等が例示される。
のできる食品類としては、例えば魚肉ハム、ソーセー
ジ、かまぼこ等の水産練り製品、うどん、そば、スパゲ
ティー、マカロニ等の生又は半生タイプの製品、ゆで冷
凍めん類、食パン、カステラ、ケーキ、クッキー類の洋
菓子類、フラワーペースト等のペースト類、ようかん、
ういろう、団子、練りあん等の和菓子類、包装餅、切り
餅、大福餅等の餅類、餃子、春巻の皮、白飯、赤飯、お
こわ等の米飯類等が例示される。
【0025】本発明の方法により、澱粉の老化耐性を大
幅に改善することができる。例えばコーンスターチ10
0重量部を果糖20重量部、クエン酸0.1重量部と共
に100℃で2時間処理して得た本発明の澱粉は、95
℃で20%糊液とし、温度4℃で、1か月保存しても、
ゲル化及びその粘度変化は起こらず、離水も認められな
かった。更に、糊液の濁度の経時変化の測定において
も、良好な耐老化性が認められた。一方、原料コーンス
ターチの同様条件での糊液は、糊化後直ちにゲル化し
た。
幅に改善することができる。例えばコーンスターチ10
0重量部を果糖20重量部、クエン酸0.1重量部と共
に100℃で2時間処理して得た本発明の澱粉は、95
℃で20%糊液とし、温度4℃で、1か月保存しても、
ゲル化及びその粘度変化は起こらず、離水も認められな
かった。更に、糊液の濁度の経時変化の測定において
も、良好な耐老化性が認められた。一方、原料コーンス
ターチの同様条件での糊液は、糊化後直ちにゲル化し
た。
【0026】本発明の方法により得られた澱粉のアミロ
グラム粘度は、原料澱粉に比較し、一般に糊化開始温度
の低下と最高粘度の変化が認められる。糊化開始温度の
低下は、澱粉分子鎖へ果糖分子が組み込まれた結果、澱
粉粒子内の澱粉分子の構造が変化し、膨潤し易くなった
結果である。通常、7%濃度の処理澱粉溶液の糊化開始
温度の低下は、数℃から10数℃の範囲である。最高粘
度は、処理条件の選択により、上昇あるいは低下いずれ
も可能である。即ち、澱粉の分子鎖の切断を抑制しなが
ら果糖を導入した場合には、導入した果糖量の増加と共
に粘度は増大する。他方、酸量を増やし、加水分解反応
を促進すると、分子量の低下と共に最高粘度は低下す
る。したがって、果糖分子の澱粉内への取り込みによる
最高粘度の上昇と、酸による最高粘度の低下とを適当に
調整することにより、処理澱粉の最高粘度を、原料澱粉
より数百BU高くすること、あるいはベース・ライン上
を這うような低粘度にすることが可能である。焙焼デキ
ストリン程度の粘度まで低下させた場合でも、焙焼デキ
ストリンに比較して穏やかな処理条件で、老化性を改良
することができ、本発明の方法は工業的に優れた方法と
言える。
グラム粘度は、原料澱粉に比較し、一般に糊化開始温度
の低下と最高粘度の変化が認められる。糊化開始温度の
低下は、澱粉分子鎖へ果糖分子が組み込まれた結果、澱
粉粒子内の澱粉分子の構造が変化し、膨潤し易くなった
結果である。通常、7%濃度の処理澱粉溶液の糊化開始
温度の低下は、数℃から10数℃の範囲である。最高粘
度は、処理条件の選択により、上昇あるいは低下いずれ
も可能である。即ち、澱粉の分子鎖の切断を抑制しなが
ら果糖を導入した場合には、導入した果糖量の増加と共
に粘度は増大する。他方、酸量を増やし、加水分解反応
を促進すると、分子量の低下と共に最高粘度は低下す
る。したがって、果糖分子の澱粉内への取り込みによる
最高粘度の上昇と、酸による最高粘度の低下とを適当に
調整することにより、処理澱粉の最高粘度を、原料澱粉
より数百BU高くすること、あるいはベース・ライン上
を這うような低粘度にすることが可能である。焙焼デキ
ストリン程度の粘度まで低下させた場合でも、焙焼デキ
ストリンに比較して穏やかな処理条件で、老化性を改良
することができ、本発明の方法は工業的に優れた方法と
言える。
【0027】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例により制限されるもので
はない。 参考例1 アミログラフ曲線 図1は、澱粉の懸濁液を一定速度(1.5℃/分)で昇
温したときの粘度と温度の関係を示す曲線である。粘度
が急上昇し始めて、その曲線に接する接線がベースライ
ンに対し45°の角度をなす温度を糊化開始温度とす
る。上昇した粘度は、最高粘度を経て低下する。また、
糊化開始温度は、澱粉粒子が膨潤を始める温度である。
即ち、低い糊化開始温度は、低温で膨潤することを意味
する。最高粘度は、膨潤を始めた澱粉粒子の膨潤が最大
になったときの粘度である。したがって、最高粘度が高
い澱粉ほど粒子の膨潤が大きい。最大膨潤(即ち、最高
粘度)を経て澱粉粒子は崩壊し糊液を形成する。本発明
においては、特に記載したものを除き、澱粉を7%の懸
濁液とし、アミログラフ曲線を測定した。
るが、本発明はこれらの実施例により制限されるもので
はない。 参考例1 アミログラフ曲線 図1は、澱粉の懸濁液を一定速度(1.5℃/分)で昇
温したときの粘度と温度の関係を示す曲線である。粘度
が急上昇し始めて、その曲線に接する接線がベースライ
ンに対し45°の角度をなす温度を糊化開始温度とす
る。上昇した粘度は、最高粘度を経て低下する。また、
糊化開始温度は、澱粉粒子が膨潤を始める温度である。
即ち、低い糊化開始温度は、低温で膨潤することを意味
する。最高粘度は、膨潤を始めた澱粉粒子の膨潤が最大
になったときの粘度である。したがって、最高粘度が高
い澱粉ほど粒子の膨潤が大きい。最大膨潤(即ち、最高
粘度)を経て澱粉粒子は崩壊し糊液を形成する。本発明
においては、特に記載したものを除き、澱粉を7%の懸
濁液とし、アミログラフ曲線を測定した。
【0028】参考例2 老化防止効果の測定法 試料澱粉の2%懸濁液を95℃で30分間、撹拌下に加
熱糊化後、室温に冷却し、500nmの可視光線を用い
て測定した吸光度と、5℃で65時間保存後に測定した
吸光度の差を老化度とし、原料澱粉糊液の吸光度の差を
100%として表した。例えば、原料コーンスターチの
初期吸光度である0.654と65時間後の1.014
の差0.360を100%として表した。
熱糊化後、室温に冷却し、500nmの可視光線を用い
て測定した吸光度と、5℃で65時間保存後に測定した
吸光度の差を老化度とし、原料澱粉糊液の吸光度の差を
100%として表した。例えば、原料コーンスターチの
初期吸光度である0.654と65時間後の1.014
の差0.360を100%として表した。
【0029】参考例3 コーンスターチのアミログラフ
曲線 コーンスターチは糊化開始温度80℃、最高粘度460
BUを示した。アミログラフ曲線測定後の糊液は冷却
後、直ちにゲル化した。
曲線 コーンスターチは糊化開始温度80℃、最高粘度460
BUを示した。アミログラフ曲線測定後の糊液は冷却
後、直ちにゲル化した。
【0030】参考例4 馬鈴薯澱粉のアミログラフ曲線 馬鈴薯澱粉は粘度が高いので4%懸濁液を用いた。糊化
開始温度64℃、最高粘度840BUを示した。アミロ
グラフ曲線測定後の糊液は冷却後、増粘しゲル化した。
開始温度64℃、最高粘度840BUを示した。アミロ
グラフ曲線測定後の糊液は冷却後、増粘しゲル化した。
【0031】実施例1 コーンスターチ200g(乾物)、果糖30g(乾物)
とクエン酸0.4gの混合物を水分20%に調整後、擂
潰機でよく混合し、バットに広げ、熱風乾燥器内にて1
30℃で1時間加熱処理し、水で洗浄、濾過、乾燥後、
処理澱粉210gを得た。この処理澱粉の糊化開始温度
は69℃で、コーンスターチよりも11℃低下した。こ
れは、果糖の澱粉分子内への取り込み量がかなり多く、
澱粉の内部構造が大きく変化したためと考えられる。ま
た、最高粘度は660BUで、コーンスターチよりも2
00BU上昇した。これは、果糖の澱粉分子内への取り
込みによる最高粘度の上昇が、加水分解反応による低下
を上回った結果と考えられる。
とクエン酸0.4gの混合物を水分20%に調整後、擂
潰機でよく混合し、バットに広げ、熱風乾燥器内にて1
30℃で1時間加熱処理し、水で洗浄、濾過、乾燥後、
処理澱粉210gを得た。この処理澱粉の糊化開始温度
は69℃で、コーンスターチよりも11℃低下した。こ
れは、果糖の澱粉分子内への取り込み量がかなり多く、
澱粉の内部構造が大きく変化したためと考えられる。ま
た、最高粘度は660BUで、コーンスターチよりも2
00BU上昇した。これは、果糖の澱粉分子内への取り
込みによる最高粘度の上昇が、加水分解反応による低下
を上回った結果と考えられる。
【0032】アミログラフ曲線測定後の糊液を5℃で3
0日保存後、ゲル化は発生せず、老化を示す離水も認め
られず、糊液は滑らかな感触を示した。濁度の比から見
た老化率は3.6%であった。また、処理澱粉の構造
と、糊化させた糊液を4℃で3日間保存した後の構造変
化をX線回折(理学電気製、X線回折装置RAD−1
A)にて調べた結果を図2、図3に示した。図2から明
らかなように、未処理のコーンスターチと本発明による
果糖処理コーンスターチでは、X線回折上変化がなく、
果糖処理による澱粉本来の構造に変化がないことが分か
った。また、図3から明らかなように、4℃で3日間保
存すると、未処理澱粉は結晶性を示すピークが2θ=1
7.5°付近にあり、B図形を示すのに対し、処理澱粉
は糊化直後のA図形から変化がなく、このことからも、
低温処理をしても結晶化せず老化しない澱粉であること
が分かった。
0日保存後、ゲル化は発生せず、老化を示す離水も認め
られず、糊液は滑らかな感触を示した。濁度の比から見
た老化率は3.6%であった。また、処理澱粉の構造
と、糊化させた糊液を4℃で3日間保存した後の構造変
化をX線回折(理学電気製、X線回折装置RAD−1
A)にて調べた結果を図2、図3に示した。図2から明
らかなように、未処理のコーンスターチと本発明による
果糖処理コーンスターチでは、X線回折上変化がなく、
果糖処理による澱粉本来の構造に変化がないことが分か
った。また、図3から明らかなように、4℃で3日間保
存すると、未処理澱粉は結晶性を示すピークが2θ=1
7.5°付近にあり、B図形を示すのに対し、処理澱粉
は糊化直後のA図形から変化がなく、このことからも、
低温処理をしても結晶化せず老化しない澱粉であること
が分かった。
【0033】実施例2 処理時間を2時間、クエン酸量を0.1gとしたこと以
外は、実施例1と同様に処理して処理澱粉210gを得
た。この処理澱粉の糊化開始温度は69℃で、コーンス
ターチより11℃低下した。また、最高粘度は300B
Uで、コーンスターチより160BU低下している。更
に、最高粘度を示した後も時間と共に粘度は徐々に上昇
し、95℃、30分後には600BUに達した。アミロ
グラム曲線の最高粘度の低下とその後の上昇は、架橋反
応が長時間、高温加熱により、一部生じたものと考えら
れる。しかし、アミログラフ曲線測定後の糊液を5℃で
30日保存後、老化を示す離水は認められず、糊液は滑
らかな感触を示した。アミログラム粘度挙動の変化にも
かかわらず、良好な耐老化性を与える処理澱粉が得られ
た。老化率は5.0%であった。
外は、実施例1と同様に処理して処理澱粉210gを得
た。この処理澱粉の糊化開始温度は69℃で、コーンス
ターチより11℃低下した。また、最高粘度は300B
Uで、コーンスターチより160BU低下している。更
に、最高粘度を示した後も時間と共に粘度は徐々に上昇
し、95℃、30分後には600BUに達した。アミロ
グラム曲線の最高粘度の低下とその後の上昇は、架橋反
応が長時間、高温加熱により、一部生じたものと考えら
れる。しかし、アミログラフ曲線測定後の糊液を5℃で
30日保存後、老化を示す離水は認められず、糊液は滑
らかな感触を示した。アミログラム粘度挙動の変化にも
かかわらず、良好な耐老化性を与える処理澱粉が得られ
た。老化率は5.0%であった。
【0034】実施例3 コーンスターチ200g(乾物)、ハイフラクトース
(果糖95%、グルコース5%)20g(乾物)とコハ
ク酸0.4gの混合物を水分20%に調整後、擂潰機で
よく混合し、広いバットに広げ、熱風乾燥器内で80℃
で3時間加熱処理した。次いで、水で洗浄後、濾過、乾
燥して処理澱粉204gを得た。この処理澱粉の糊化開
始温度は72℃で、コーンスターチより8℃低下した。
最高粘度は570BUで、コーンスターチより110B
U上昇した。また、アミログラフ曲線測定後の糊液を5
℃で30日保存後、老化を示す離水は認められず、糊液
は滑らかな感触を示した。老化率は7.2%であった。
(果糖95%、グルコース5%)20g(乾物)とコハ
ク酸0.4gの混合物を水分20%に調整後、擂潰機で
よく混合し、広いバットに広げ、熱風乾燥器内で80℃
で3時間加熱処理した。次いで、水で洗浄後、濾過、乾
燥して処理澱粉204gを得た。この処理澱粉の糊化開
始温度は72℃で、コーンスターチより8℃低下した。
最高粘度は570BUで、コーンスターチより110B
U上昇した。また、アミログラフ曲線測定後の糊液を5
℃で30日保存後、老化を示す離水は認められず、糊液
は滑らかな感触を示した。老化率は7.2%であった。
【0035】実施例4 0.2N塩酸3mlを使用し、1時間加熱処理した他は
実施例1と同様に処理し、処理澱粉210gを得た。得
られた処理澱粉の糊化開始温度は70℃で、コーンスタ
ーチより10℃低下した。最高粘度は600BUで、コ
ーンスターチより140BU上昇した。アミログラフ曲
線測定後の糊液を5℃で30日保存後、老化を示す離水
は認められず、糊液は滑らかな感触を示した。なお、老
化率は4.5%であった。
実施例1と同様に処理し、処理澱粉210gを得た。得
られた処理澱粉の糊化開始温度は70℃で、コーンスタ
ーチより10℃低下した。最高粘度は600BUで、コ
ーンスターチより140BU上昇した。アミログラフ曲
線測定後の糊液を5℃で30日保存後、老化を示す離水
は認められず、糊液は滑らかな感触を示した。なお、老
化率は4.5%であった。
【0036】実施例5 馬鈴薯澱粉20kg(乾物)、果糖3kg(乾物)とクエン
酸40gの混合物を水分15%に調整後、スピードミキ
サーで撹拌、混合した。パドルドライヤー(奈良機械
製)にて135℃で2時間撹拌下に加熱処理をしたの
ち、水で洗浄、濾過、乾燥して処理澱粉22kg(乾
物)を得た。この処理澱粉の糊化開始温度は52℃で、
馬鈴薯澱粉より12℃低下した。また、最高粘度は95
0BUで、馬鈴薯澱粉より110BU上昇した。アミロ
グラフ曲線測定後の糊液を5℃で30日保存後、老化を
示す離水は認められず、糊液は滑らかな感触を示した。
老化率は3.5%であった。
酸40gの混合物を水分15%に調整後、スピードミキ
サーで撹拌、混合した。パドルドライヤー(奈良機械
製)にて135℃で2時間撹拌下に加熱処理をしたの
ち、水で洗浄、濾過、乾燥して処理澱粉22kg(乾
物)を得た。この処理澱粉の糊化開始温度は52℃で、
馬鈴薯澱粉より12℃低下した。また、最高粘度は95
0BUで、馬鈴薯澱粉より110BU上昇した。アミロ
グラフ曲線測定後の糊液を5℃で30日保存後、老化を
示す離水は認められず、糊液は滑らかな感触を示した。
老化率は3.5%であった。
【0037】比較例1 コーンスターチ200g(乾物)と果糖30g(乾物)
の混合物を、クエン酸を用いずに、実施例1と同様に処
理した。処理澱粉の糊化開始温度は80℃でコーンスタ
ーチと変わらなかったが、最高粘度は420BUで、コ
ーンスターチより40BU低下した。すなわち、糊化開
始温度は、原料コーンスターチと差がなく果糖の澱粉分
子内への取り込みが少ないことを示している。最高粘度
は、果糖の澱粉分子内への取り込みによる上昇がほとん
どなく、クエン酸を触媒とする澱粉分子の加水分解反応
による粘度低下もないが、何らかの熱分解反応の結果、
やや低下したものの、原料コーンスターチと比較してほ
とんど差のない結果に終わった。アミログラム測定後の
糊液は冷却後、ゲル化した。なお、老化率は85.2%
であった。
の混合物を、クエン酸を用いずに、実施例1と同様に処
理した。処理澱粉の糊化開始温度は80℃でコーンスタ
ーチと変わらなかったが、最高粘度は420BUで、コ
ーンスターチより40BU低下した。すなわち、糊化開
始温度は、原料コーンスターチと差がなく果糖の澱粉分
子内への取り込みが少ないことを示している。最高粘度
は、果糖の澱粉分子内への取り込みによる上昇がほとん
どなく、クエン酸を触媒とする澱粉分子の加水分解反応
による粘度低下もないが、何らかの熱分解反応の結果、
やや低下したものの、原料コーンスターチと比較してほ
とんど差のない結果に終わった。アミログラム測定後の
糊液は冷却後、ゲル化した。なお、老化率は85.2%
であった。
【0038】比較例2 コーンスターチ200g(乾物)とクエン酸0.4gの
混合物を果糖30g加えずに、実施例1と同様に処理し
た。得られた処理澱粉の糊化開始温度は80℃で、コー
ンスターチと変わらなかったが、最高粘度は110BU
であり、コーンスターチより350BU低下した。果糖
の澱粉分子内への取り込みによる上昇がなく、クエン酸
を触媒とする澱粉分子の加水分解反応が単独で起こった
ために、著しい粘度低下が起こった。また、アミログラ
ム測定後の糊液は冷却後、ゲル化した。老化率は95.
6%であった。
混合物を果糖30g加えずに、実施例1と同様に処理し
た。得られた処理澱粉の糊化開始温度は80℃で、コー
ンスターチと変わらなかったが、最高粘度は110BU
であり、コーンスターチより350BU低下した。果糖
の澱粉分子内への取り込みによる上昇がなく、クエン酸
を触媒とする澱粉分子の加水分解反応が単独で起こった
ために、著しい粘度低下が起こった。また、アミログラ
ム測定後の糊液は冷却後、ゲル化した。老化率は95.
6%であった。
【0039】比較例3 コーンスターチ200g(乾物)、グルコ−ス30g
(乾物)とクエン酸0.4gの混合物を用いて実施例1
と同様に処理した。処理澱粉の糊化開始温度は78℃
で、コーンスターチより僅か2℃の低下にとどまった。
また、最高粘度は210BUで、コーンスターチより2
50BU低下した。糊化開始温度は、ほとんど原料コー
ンスターチと差がなくグルコースの澱粉分子内への取り
込みが少ないことを示している。また、最高粘度の低下
は、グルコースの澱粉分子内への取り込みによる上昇が
ほとんどないために、クエン酸を触媒とする澱粉分子の
加水分解反応による粘度低下が大きく影響したためであ
る。アミログラム測定後の糊液は5℃で30日間保存
後、ゲル化し、激しく離水を起こした。なお、老化率は
52.2%であった。
(乾物)とクエン酸0.4gの混合物を用いて実施例1
と同様に処理した。処理澱粉の糊化開始温度は78℃
で、コーンスターチより僅か2℃の低下にとどまった。
また、最高粘度は210BUで、コーンスターチより2
50BU低下した。糊化開始温度は、ほとんど原料コー
ンスターチと差がなくグルコースの澱粉分子内への取り
込みが少ないことを示している。また、最高粘度の低下
は、グルコースの澱粉分子内への取り込みによる上昇が
ほとんどないために、クエン酸を触媒とする澱粉分子の
加水分解反応による粘度低下が大きく影響したためであ
る。アミログラム測定後の糊液は5℃で30日間保存
後、ゲル化し、激しく離水を起こした。なお、老化率は
52.2%であった。
【0040】比較例4 コーンスターチ200g(乾物)、砂糖30g(乾物)
とクエン酸0.4gの混合物を用い、実施例1と同様に
処理した。その結果、処理澱粉の糊化開始温度は78℃
で、コーンスターチより僅か2℃の低下にとどまった。
最高粘度は153BUでコーンスターチより307BU
低下した。糊化開始温度は、ほとんど原料コーンスター
チと差がなく砂糖の澱粉分子内への取り込みが少ないこ
とを示している。また、最高粘度の低下は、砂糖の澱粉
分子内への取り込みによる上昇がほとんどないために、
クエン酸を触媒とする澱粉分子の加水分解反応による粘
度低下が大きく影響したためである。アミログラム測定
後の糊液は、5℃で30日間保存後、ゲル化し、激しく
離水を起こした。老化率は55.6%であった。
とクエン酸0.4gの混合物を用い、実施例1と同様に
処理した。その結果、処理澱粉の糊化開始温度は78℃
で、コーンスターチより僅か2℃の低下にとどまった。
最高粘度は153BUでコーンスターチより307BU
低下した。糊化開始温度は、ほとんど原料コーンスター
チと差がなく砂糖の澱粉分子内への取り込みが少ないこ
とを示している。また、最高粘度の低下は、砂糖の澱粉
分子内への取り込みによる上昇がほとんどないために、
クエン酸を触媒とする澱粉分子の加水分解反応による粘
度低下が大きく影響したためである。アミログラム測定
後の糊液は、5℃で30日間保存後、ゲル化し、激しく
離水を起こした。老化率は55.6%であった。
【0041】比較例5 コーンスターチ200g(乾物)、キシロース30g
(乾物)とクエン酸0.4gの混合物を用い、実施例1
と同様に処理した。得られた処理澱粉の糊化開始温度は
77℃で、コーンスターチより僅か3℃の低下にとどま
った。最高粘度は220BUで、コーンスターチより2
40BU低下した。糊化開始温度は、ほとんど原料コー
ンスターチと差がなくキシロースの澱粉分子内への取り
込みが少ないことを示している。また、最高粘度の低下
は、キシロースの澱粉分子内への取り込みによる上昇が
ほとんどないために、クエン酸を触媒とする澱粉分子の
加水分解反応による粘度低下が大きく影響したためであ
る。アミログラム測定後の糊液は、5℃で30日間保存
後、ゲル化し、激しく離水を起こした。なお、老化率は
65.0%であった。
(乾物)とクエン酸0.4gの混合物を用い、実施例1
と同様に処理した。得られた処理澱粉の糊化開始温度は
77℃で、コーンスターチより僅か3℃の低下にとどま
った。最高粘度は220BUで、コーンスターチより2
40BU低下した。糊化開始温度は、ほとんど原料コー
ンスターチと差がなくキシロースの澱粉分子内への取り
込みが少ないことを示している。また、最高粘度の低下
は、キシロースの澱粉分子内への取り込みによる上昇が
ほとんどないために、クエン酸を触媒とする澱粉分子の
加水分解反応による粘度低下が大きく影響したためであ
る。アミログラム測定後の糊液は、5℃で30日間保存
後、ゲル化し、激しく離水を起こした。なお、老化率は
65.0%であった。
【0042】比較例6 コーンスターチ200g(乾物)、果糖30g(乾物)
とクエン酸0.4gの混合物を用い、処理温度を50℃
としたこと以外は、実施例1と同様に処理した。得られ
た処理澱粉の糊化開始温度は79℃で、コーンスターチ
より僅か1℃の低下にとどまった。最高粘度は430B
Uで、コーンスターチより60BU低下した。即ち、糊
化開始温度は、ほとんど原料コーンスターチと差がなく
果糖の澱粉分子内への取り込みが少ないことを示してい
る。また、最高粘度は、果糖の澱粉分子内への取り込み
による上昇がほとんどなく、クエン酸を触媒とする澱粉
分子の加水分解反応による粘度低下もない。原料コーン
スターチと比較してほとんど差のない結果に終わった。
アミログラム測定後の糊液は冷却後、ゲル化した。老化
率は100%であった。以上の実施例及び比較例の結果
は第1表にまとめて示した。
とクエン酸0.4gの混合物を用い、処理温度を50℃
としたこと以外は、実施例1と同様に処理した。得られ
た処理澱粉の糊化開始温度は79℃で、コーンスターチ
より僅か1℃の低下にとどまった。最高粘度は430B
Uで、コーンスターチより60BU低下した。即ち、糊
化開始温度は、ほとんど原料コーンスターチと差がなく
果糖の澱粉分子内への取り込みが少ないことを示してい
る。また、最高粘度は、果糖の澱粉分子内への取り込み
による上昇がほとんどなく、クエン酸を触媒とする澱粉
分子の加水分解反応による粘度低下もない。原料コーン
スターチと比較してほとんど差のない結果に終わった。
アミログラム測定後の糊液は冷却後、ゲル化した。老化
率は100%であった。以上の実施例及び比較例の結果
は第1表にまとめて示した。
【0043】
【表1】
【0044】実施例6 柏餅の製造 上新粉180g、果糖処理澱粉20gと水170mlを混
ぜ合わせた後、良くこね、沸騰中の蒸し器の中で20分
間蒸したのち、5分間練った。生地を水に漬けて生地の
中が冷たくなるまで冷やし、片栗粉20gを水40gで
溶いて生地に加え、こね混ぜた。1個20gになるよう
に分け、丸め、高さが2cmになるように形を調えた。
これを蒸し器の中に並べ、強火で8分間蒸した。次い
で、冷蔵庫中(5℃)に2日間保存して老化度を測定し
た。なお、老化度はレオロメーターによる硬度の増加と
官能検査により評価した。また、本発明による処理澱粉
に代えて、無添加のものと、コーンスターチ添加のもの
を作り、老化性を比較した。その結果を第2表に示し
た。
ぜ合わせた後、良くこね、沸騰中の蒸し器の中で20分
間蒸したのち、5分間練った。生地を水に漬けて生地の
中が冷たくなるまで冷やし、片栗粉20gを水40gで
溶いて生地に加え、こね混ぜた。1個20gになるよう
に分け、丸め、高さが2cmになるように形を調えた。
これを蒸し器の中に並べ、強火で8分間蒸した。次い
で、冷蔵庫中(5℃)に2日間保存して老化度を測定し
た。なお、老化度はレオロメーターによる硬度の増加と
官能検査により評価した。また、本発明による処理澱粉
に代えて、無添加のものと、コーンスターチ添加のもの
を作り、老化性を比較した。その結果を第2表に示し
た。
【0045】
【表2】 注)○:パサパサせず、食味・食感良好 △:ややパサつくが、食味良好 ×:パサパサして食感悪い
【0046】表から明らかなように、処理澱粉を添加す
ることにより硬くなりにくく、老化が抑制され、柏餅の
食感が長時間保持された。
ることにより硬くなりにくく、老化が抑制され、柏餅の
食感が長時間保持された。
【0047】実施例7 ういろうの製造 葛粉25gと水150gを混ぜてよく溶かした後、上新
粉90gと果糖処理澱粉10gを入れ、良く混ぜた。一
方、水150gに上白糖100gを混ぜ、加熱し完全溶
解した後、前記材料にこの蜜を入れて混ぜ、弱火にか
け、50℃位まで熱した。次いで、流し缶に生地を流
し、蒸し器で20分間蒸した後、室温で放冷した。これ
を2日間冷蔵保存(5℃)した後、老化度を測定した。
なお、老化度はレオロメーターによる硬度の増加と官能
検査により測定した。また、本発明による処理澱粉に代
えて、無添加のものと、コーンスターチ添加のものを作
り、老化性を比較した。結果を第3表に示す。
粉90gと果糖処理澱粉10gを入れ、良く混ぜた。一
方、水150gに上白糖100gを混ぜ、加熱し完全溶
解した後、前記材料にこの蜜を入れて混ぜ、弱火にか
け、50℃位まで熱した。次いで、流し缶に生地を流
し、蒸し器で20分間蒸した後、室温で放冷した。これ
を2日間冷蔵保存(5℃)した後、老化度を測定した。
なお、老化度はレオロメーターによる硬度の増加と官能
検査により測定した。また、本発明による処理澱粉に代
えて、無添加のものと、コーンスターチ添加のものを作
り、老化性を比較した。結果を第3表に示す。
【0048】
【表3】 注)○:パサパサせず、食味・食感良好 △:ややパサつくが、食味良好 ×:パサパサして食感悪い
【0049】表から明らかなように、処理澱粉を添加す
ることにより、硬くなりにくく、老化が抑制され、うい
ろうの食感が長時間保持された。
ることにより、硬くなりにくく、老化が抑制され、うい
ろうの食感が長時間保持された。
【0050】実施例8 カスタードクリームの製造 全卵100g、澱粉20gおよび上白糖100gを良く
すり混ぜた後、牛乳500gを加えて分散させ、裏ごし
した。加熱しながら90℃で練り上げ、最終的に重量が
最初の8割になるように練り込んだ。流水中で撹拌しな
がら40℃まで冷却し、室温で放冷したのち、−20℃
の冷凍温度にて1週間保存した後、室温にて自然解凍
後、老化度を測定した。老化度はレオロメーターによる
硬度の増加と官能検査により評価した。結果を第4表に
示す。
すり混ぜた後、牛乳500gを加えて分散させ、裏ごし
した。加熱しながら90℃で練り上げ、最終的に重量が
最初の8割になるように練り込んだ。流水中で撹拌しな
がら40℃まで冷却し、室温で放冷したのち、−20℃
の冷凍温度にて1週間保存した後、室温にて自然解凍
後、老化度を測定した。老化度はレオロメーターによる
硬度の増加と官能検査により評価した。結果を第4表に
示す。
【0051】
【表4】 注)○:キメ細かく、口溶けが良好 ×:キメが粗く、ぼそぼそし、口溶けが悪い
【0052】表から明らかなように、処理澱粉を添加す
ることにより、カスタードクリームは冷凍解凍後も硬く
ならず、老化が抑制され、冷凍前と同様のなめらかな食
感を有していた。
ることにより、カスタードクリームは冷凍解凍後も硬く
ならず、老化が抑制され、冷凍前と同様のなめらかな食
感を有していた。
【0053】
【発明の効果】本発明の耐老化性澱粉は、澱粉分子中に
果糖分子を組み込んで、澱粉糊液中での澱粉分子の再配
列を妨げるため、老化が抑制される。しかも、従来から
使用されている化学薬品を使用した加工澱粉等と異な
り、本発明の耐老化性澱粉は、人体に対する安全性も高
い上に、食味に優れているので、加工食品用の原材料と
して高く評価されるものである。特に、この耐老化性澱
粉は、冷蔵、冷凍、電子レンジ対応の用途に適してい
る。
果糖分子を組み込んで、澱粉糊液中での澱粉分子の再配
列を妨げるため、老化が抑制される。しかも、従来から
使用されている化学薬品を使用した加工澱粉等と異な
り、本発明の耐老化性澱粉は、人体に対する安全性も高
い上に、食味に優れているので、加工食品用の原材料と
して高く評価されるものである。特に、この耐老化性澱
粉は、冷蔵、冷凍、電子レンジ対応の用途に適してい
る。
【図1】 アミログラフ曲線の説明図である。
【図2】 未処理コーンスターチと本発明の果糖処理コ
ーンスターチのX線回折図である。
ーンスターチのX線回折図である。
【図3】 未処理コーンスターチと本発明の果糖処理コ
ーンスターチを低温で保存した後の構造変化を示すX線
回折図である。
ーンスターチを低温で保存した後の構造変化を示すX線
回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒木 都 愛知県半田市天王町2−27−11 ハイツみ その203
Claims (4)
- 【請求項1】 酸の存在下に、澱粉を果糖あるいは果糖
を主成分とする糖質と乾式条件で60〜200℃にて1
0分〜5時間加熱処理することを特徴とする耐老化性澱
粉の製造法。 - 【請求項2】 酸が、有機酸である請求項1記載の製造
法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の方法で製造され
た耐老化性澱粉。 - 【請求項4】 請求項3記載の耐老化性澱粉を添加する
ことを特徴とする澱粉含有食品の老化防止方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8117184A JPH09278802A (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 耐老化性澱粉の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8117184A JPH09278802A (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 耐老化性澱粉の製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09278802A true JPH09278802A (ja) | 1997-10-28 |
Family
ID=14705501
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8117184A Pending JPH09278802A (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 耐老化性澱粉の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09278802A (ja) |
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003501494A (ja) * | 1999-06-01 | 2003-01-14 | ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション | オリゴ糖により製造される熱的に抑制されたデンプン |
| JP2010011756A (ja) * | 2008-07-01 | 2010-01-21 | Shoichi Kobayashi | 有機酸を用いた澱粉系素材の改質方法及び改質澱粉素材 |
| KR101066688B1 (ko) * | 2009-03-03 | 2011-09-21 | 주식회사한국야쿠르트 | 유기산을 이용한 저 지아이 소맥분의 제조방법 및 그 방법에 의해 제조된 저 지아이 소맥분 |
| JP2013243995A (ja) * | 2012-05-29 | 2013-12-09 | Nissin Frozen Foods Co Ltd | 冷凍麺 |
| JP2016070860A (ja) * | 2014-10-01 | 2016-05-09 | 大阪瓦斯株式会社 | でんぷん系食品老化判定方法およびでんぷん系食品評価方法 |
| CN106723058A (zh) * | 2016-11-25 | 2017-05-31 | 山东省农业科学院农产品研究所 | 制备具有增抗性和易消化性淀粉的方法 |
| US10479840B2 (en) | 2016-01-27 | 2019-11-19 | Shandong Bailong Chuangyuan Bio-Tech Co., Ltd | Resistant dextrin and method for preparing the same |
| WO2020090997A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | 三和澱粉工業株式会社 | 耐性澱粉およびその製造方法 |
-
1996
- 1996-04-16 JP JP8117184A patent/JPH09278802A/ja active Pending
Cited By (15)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003501494A (ja) * | 1999-06-01 | 2003-01-14 | ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション | オリゴ糖により製造される熱的に抑制されたデンプン |
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| KR101066688B1 (ko) * | 2009-03-03 | 2011-09-21 | 주식회사한국야쿠르트 | 유기산을 이용한 저 지아이 소맥분의 제조방법 및 그 방법에 의해 제조된 저 지아이 소맥분 |
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| CN106723058A (zh) * | 2016-11-25 | 2017-05-31 | 山东省农业科学院农产品研究所 | 制备具有增抗性和易消化性淀粉的方法 |
| CN106723058B (zh) * | 2016-11-25 | 2020-04-28 | 山东省农业科学院农产品研究所 | 制备具有增抗性和易消化性淀粉的方法 |
| WO2020090997A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | 三和澱粉工業株式会社 | 耐性澱粉およびその製造方法 |
| WO2020090994A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | 三和澱粉工業株式会社 | 耐性澱粉およびその製造方法 |
| CN112996394A (zh) * | 2018-11-01 | 2021-06-18 | 三和淀粉工业株式会社 | 抗性淀粉及其制造方法 |
| JPWO2020090994A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2021-09-02 | 三和澱粉工業株式会社 | 耐性澱粉およびその製造方法 |
| JPWO2020090997A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2021-09-02 | 三和澱粉工業株式会社 | 耐性澱粉およびその製造方法 |
| JP2022137180A (ja) * | 2018-11-01 | 2022-09-21 | 三和澱粉工業株式会社 | 耐性澱粉およびその製造方法 |
| TWI822894B (zh) * | 2018-11-01 | 2023-11-21 | 日商三和澱粉工業股份有限公司 | 耐性澱粉之製造方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20070219 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070515 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070918 |