JPH0928361A - 乳酸菌類の制御方法 - Google Patents

乳酸菌類の制御方法

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JPH0928361A
JPH0928361A JP7212298A JP21229895A JPH0928361A JP H0928361 A JPH0928361 A JP H0928361A JP 7212298 A JP7212298 A JP 7212298A JP 21229895 A JP21229895 A JP 21229895A JP H0928361 A JPH0928361 A JP H0928361A
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bacteria
acid bacteria
sodium
foods
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Toshio Matsuda
敏生 松田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】最近の食品の変敗の大きい原因微生物となって
いる乳酸菌類を、安全な食品成分ないしは安全な食品添
加物によって効果的に抑制すること。 【構成】クエン酸ないしはクエン酸の可食性の塩類とピ
ロリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩あるいはウル
トラリンサン塩の一種または2種以上と組み合わせて使
用することによる乳酸菌類の抑制方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として飲食品の分野
における乳酸菌類の制御ないし抑制方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】乳酸菌類は、広く天然の動植物体、人間
を始めとする動物や家禽の体内、消化管内、排泄物、食
品類、食用とする筋肉、乳、乳製品、漬物などの醗酵製
品、味噌や醤油などの調味食品など極めて広く分布し、
その主な特徴は、糖から乳酸を作ることであり、空気が
あっても発育するが、特に空気即ち酸素の無い状態でよ
りよく発育する特徴を持っている。そして、糖から乳酸
のみを作る型のものをホモ型の乳酸菌と呼び、糖から乳
酸を作る他に炭酸ガスや場合には酢酸などを作るもの
を、ヘテロ型の乳酸菌と称している。
【0003】乳酸菌は、糖から乳酸を作る性質から、多
くの醗酵製品の製造に利用されており、醗酵乳、ヨーグ
ルト、チーズ、多く漬物類、醗酵ソーセージ、多くの種
類の馴れ寿司などは、乳酸菌を利用して製造する代表的
な食品類であり、これらの食品に特徴ある風味を与える
と共に、これらの食品中における腐敗細菌や食中毒細菌
を殺菌ないし静菌し、長期間の保存性を付与している。
【0004】さらに乳酸菌は、その腸管内の腐敗細菌を
始めとする有害細菌を抑制することにより、整腸作用を
もたらすために、有用な乳酸菌を含む食品や飲料とし
て、あるいは薬剤的な錠剤やタブレットとして、経口的
に摂取ることにより広く利用されている。
【0005】しかしながら、乳酸菌はその余りにも広い
生活範囲から、多数の飲食品にも汚染し、その内部や表
面で生育し、多かれ少なかれ生産された乳酸によりその
飲食品の風味を害し、商品価値を低下させ、またそれら
の飲食品の生菌数を測定すると、見た目にそれほど腐敗
していないように見える食品にもかかわらず、著しく多
い生菌数を計測することになり、生菌数の上からは、食
品として流通させることが許されない事態となってしま
う。そればかりか、ヘテロ型の乳酸菌が食品中で生育す
ると、乳酸以外に炭酸ガスなどを生産するために、包装
食品では、包装内部にガスが充満し、包装が膨張し所謂
膨れ等と称される典型的な腐敗を起こすにいたるのであ
る。
【0006】このような乳酸菌による食品の汚染と変敗
は、さらに最近にいたって著しく増加する傾向を示して
いる。この原因は、最近の飲食品の製造方法、包装方
法、保存流通温度、使用する食品添加物の変化などによ
る所が大きい。すなわち、最近の飲食品は、消費者や需
要家の自然食品指向や健康指向に対応して、従来高濃度
使用していた食塩濃度を著しく低下させ、例えばイカの
塩辛では15ないし17%使用していたものを、3ない
し5%程度に、漬物ではたくわん漬けや醤油漬けに12
ないし13%使用していたものを、4ないし7%程度に
低下させている。この程度の食塩濃度は、乳酸菌の生育
にはより適した濃度となっている。
【0007】また、包装方法の進歩は、真空包装やガス
置換包装などの包装方法が食品に対して開発されたが、
これらの包装方法は、包装内部の空気あるいは酸素濃度
を低下させたり、殆ど無酸素の状態で食品を包装するこ
とになり、好気的な条件よりも、嫌気的条件で発育の良
い乳酸菌にとっては、むしろ生育に都合の良い条件を提
供したことになっている。
【0008】最近の食品の保存と流通は、10゜C以下
の低温、特に5゜C前後の温度で行われることが多くな
ってきている。この温度における保存と流通は、普通の
中温細菌の生育は非常に抑制され、殆ど発育出来ない
か、あるいは非常に遅い速度でしか増殖出来ないので、
食品に衛生的な状態の維持ないし腐敗の進行は、極めて
効率的に抑制される。しかし、このような低温に食品を
維持した場合、次第に低温を好む細菌や酵母などの微生
物が生育してくる。これらは例えば食中毒細菌として
は、イェルシニア エンテロコリチカ(Yersini
a enterocolitica)、リステリア モ
ノチトゲネス(Listeria monocytog
enes)、クロストリヂウム ボツリナム(Clos
tridium botulinum)E型菌などであ
り、この他一部のタンパク質非分解性のクロストリヂウ
ム ボツリナム(Clostridium botul
inum)菌も含まれる。一方低温を好む腐敗ないし食
品の変敗微生物としては、シウドモナス(Pseudo
−monas)属細菌、フラボバクテリウム(Flav
obacterium)属細菌、アシネトバクター(A
cinetobacter)属細菌などとともに、酵母
や低温を好む一部の乳酸菌が増殖する。
【0009】さらに、最近の食品は、その自然指向や健
康指向から、化学的合成品の保存料や殺菌料の使用を避
け、天然物や天然物に近い性質を持つ例えば、有機酸や
アミノ酸、あるいは脂肪酸やそのエステル類、植物の種
子や精油や抽出物を利用して食品の保存を計る傾向にあ
るが、これらの成分は概して乳酸菌に対しては抗菌性が
弱く、これらを使用したために却って乳酸菌が選択的に
食品に残留するような事態を招いている。例えば食品の
保存の目的で最も広く利用されているのは、酢酸ないし
酢酸ナトリウムであるが、通常乳酸菌を培養するための
代表的な培地であるMRS培地では、酢酸ナトリウムを
乳酸菌培養の主成分の一つとして配合し、これによって
乳酸菌の盛んな生育を保証している。食品中に酢酸ナト
リウムが添加使用された場合、乳酸菌はその発育を促進
されることになるのである。これと同じような例として
は、グリシンがあり、グリシンは好気性の芽胞形成細菌
のバシルス属細菌の抑制に効果的であるため、多くの食
品に利用されているが、グリシンは乳酸菌に対して全く
抗菌作用を示さず、結果として、グリシンによって乳酸
菌以外の細菌が抑制された結果、乳酸菌が選択的に残存
することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、飲食品な
どにおいては、乳酸菌による変敗は、最近特に著しい状
態を呈するようになってきており、多くの飲食品の流通
と保存においては、乳酸菌による変敗を如何にして防ぐ
かは、大きい課題となって来ているのである。しかしな
がら、乳酸菌の抑制は非常に困難であることが次第に明
らかになってきている。
【0011】乳酸菌は、加熱には弱い細菌であり、適切
な加熱を行うことが出来たら、そして加熱後に無菌的に
包装するか、包装後に包装の外部から熱を加えるかすれ
ば、比較的容易に死滅させることが出来る。しかし、無
菌的に包装するのは、包装する部屋、包装する人、環境
の機器や大気、包装材そのものなど全てが無菌的に保た
れることが必要であり、実際に無菌化包装も実施されて
いるとは言っても、相当付加価値の高い飲食品でなけれ
ば、コスト上成り立たないのが普通である。また、包装
後に加熱するのは、そもそも包装内部に空気を始めとし
て、気体を含ませてはならず、真空包装のための機械
と、それに適した包装材を必要とする。これもまた相当
コストを要し、かなり付加価値の高い飲食品でなければ
利用することは困難である。また包装後の加熱は、可能
な食品と余り好ましくない食品とがあり、例えばハムの
ようなものは、加熱によって変色し、また形が縮み変形
してしまう。
【0012】乳酸菌を抑制するために、天然物や化学合
成による各種の化学成分による抑制も試みられている
が、乳酸菌は殆どの化学物質に対して抵抗性である。例
えば食品保存や食中毒細菌野抑制には、有機酸が使用さ
れているが、先に示したように最も汎用される酢酸は殆
ど効果がないし、酢酸に続くプロピオン酸や乳酸も場合
によっては効果がある時もあるが、非常に大量の2ない
し3%に達するような量を必要とする。汎用されている
日持ち向上剤のグリシンも先に述べたように乳酸菌には
全く無効である。天然物のホップ成分は乳酸菌に抗菌性
を示すが、食品中では、食品成分によって抗菌力が阻害
されて、事実上効果が期待出来ない。同じ天然物の白子
タンパク質は培地の上では非常に有効であるが、タンパ
ク質の多い食品、例えばソーセージや蒲鉾のようなもの
の中では、事実上無効である。グリセリン脂肪酸エステ
ル類も、培地上では効果的な場合もあるが、タンパク質
の多い食品の中では、殆ど有効ではない。
【0013】多くの細菌は高濃度の食塩の存在下には、
死滅するか増殖できないが、乳酸菌は、食塩が無い場合
よりもある程度は存在した方が生育が良く、一般の細菌
が発育困難な時に、先に優先的に増殖してしまう。アル
コールは、通常消毒剤として使用されるが、乳酸菌は、
普通の細菌と比較すると非常に抵抗性であり、一般細菌
が死滅するアルコール濃度の3ないし4倍の濃度が必要
である。
【0014】このように乳酸菌による飲食品の変敗は、
食中毒細菌の生育による食品の変化のように危険ではな
いものの、飲食品の商品価値を失い、飲食品を無駄に廃
棄するにいたるので、いずれにせよ何らかの防止方法の
確立が必要である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、クエン酸もし
くはクエン酸イオンと重合リン酸塩が存在すれば、乳酸
菌の発育が著しく抑制され、しかもその作用はpHが中
性ないしアルカリ性の条件下で特に有効であることを発
見してこの発明を完成した。
【0016】普通常識的には、有機酸には微生物を殺菌
したり、静菌したりする作用があるとされている。その
効果は、普通有機酸の三種の作用によって得られるもの
とされており、それらは(1)有機酸の添加によってp
Hが低下し、そのために微生物が殺菌されるかあるいは
生育出来なくなる。(2)有機酸が微生物の菌体内部に
入り込むことによって、微生物内部のpHが下がり、微
生物が生育できなくなる。そして有機酸の非解離分子の
ほうが、微生物菌体へ入り込み易く、従って、酢酸など
の弱酸の方が一定のpH値では、非解離分子の割合が高
いので抗菌性は強くなとされている。(3)有機酸それ
ぞれに独自の抗菌作用があり、それによって特徴のある
抗菌作用を示している。例えば酢酸は、乳酸菌を除け
ば、細菌、黴、酵母に広い抗菌作用を示すが、乳酸は細
菌類には広い抗菌作用を示すが、黴と酵母にはほとんど
抗菌作用を示さない。有機酸の抗菌作用は上記の三種の
作用が総合的に現れたものと言われている。
【0017】そして、一般的には有機酸の抗菌作用は、
培地のpHが低い時には、非解離型の酸の濃度が増し、
従って有機酸の微生物菌体への進入する割合が増し、低
い濃度で有効になる、つまり良く効くようになるとされ
ていて、事実あらゆる学会誌における有機酸などの抗菌
作用の報告においても、自明の有機酸の抗菌作用の性質
として述べられている。
【0018】クエン酸は、有機酸の一つであり、その抗
菌作用も通常の有機酸と同じような性質を示すものと考
えられてきていた。つまりその抗菌作用は、クエン酸の
ままで培地あるいは食品類に添加すると、pHが低下す
るので微生物が抑えられる、また、低いpHの培地や食
品では、非解離分子の割合が増えるので、強い抗菌作用
が得られるなどの性質であり、事実クエン酸の普通の微
生物に対する作用は、大体上記のような性質である。
【0019】しかるに、クエン酸の通常の細菌類と乳酸
菌に対する抗菌作用を、普通寒天培地の上で、pH4.
0からpH7.0の範囲で調べてみると、全く予期しな
いような抗菌作用を、特に乳酸菌に対してクエン酸は示
すことが認められた。すなわち、クエン酸はpHの如何
にかかわらず、グラム陰性細菌に対しては、殆ど抗菌作
用を示さない。また、乳酸菌を除くグラム陽性細菌に対
しては、抗菌力はpHに影響され、4.0ないし5.0
のように低いpH域では、比較的強い抗菌作用を示す
が、pH7.0のように中性のpH域では、殆ど抗菌作
用を示さない。これに対して、乳酸菌に対してはpHが
中性域では大体1ないし2%で全ての乳酸菌に対して発
育抑制を示し、むしろpH4.0ないし5.0の酸性域
ではあまり抗菌作用を示さないと言う結果であった。
【0020】更にこの作用を確認するため、21株の野
外分離の乳酸菌に対し、pH5.0からpH9.0の範
囲でクエン酸の作用を調べた所、この傾向は、野外の分
離株に対しても全く同じように認められ、中性ないしア
ルカリ性では、1.0%ないし2.0%でクエン酸は乳
酸菌の発育を阻止するが、酸性になると作用は弱くなる
という結果であった。さらにまた興味あることに、培地
中に食塩を存在させると、0.5%程度以上の濃度で
は、クエン酸の乳酸菌抑制作用は明らかに強められると
いうことが、認められた。
【0021】この様なクエン酸の乳酸菌に対する作用
は、普通の有機酸の微生物に対する抗菌作用の常識に反
するものであり、クエン酸の乳酸菌に対する作用は、例
えばクエン酸の金属に対するキレート作用のようなもの
が関係しているのかも知れないが、今のところ作用機作
については明らかではない。しかし、このようなクエン
酸の乳酸菌に対する作用は、特に中性ないしアルカリ性
で有効であることから、クエン酸特有の酸味を食品に与
えることなく利用出来る利点が得られ、非常に利用範囲
も大きい。
【0022】さらに、このクエン酸およびクエン酸塩の
乳酸菌に対する作用は、重合リン酸塩類と併用すると、
著しく強くなり、必要量もは低いものでよいことが明ら
かになった。クエン酸ないしその塩類による乳酸菌の抑
制は、効果的ではあるものの、それのみで乳酸菌抑制に
必要とする量は1ないし2%であり、食品の品質や風味
に対する影響は少ないものの、経済性などから見てもよ
り少ない量であることが望ましく、従ってこのような重
合リン酸塩類との組合せによって効果が増大し、使用量
が低下することは非常に有用である。
【0023】効果を確認するための予備的な実験とし
て、先ず、培地上における、一般細菌および乳酸菌に対
するクエン酸および比較のための酢酸の最小発育阻止濃
度とそれに対するpHの影響の検討を、実験1として、
以下のように実施した。標準寒天培地にクエン酸もしく
は酢酸を添加し、カセイソーダによってpHを調整し、
pH4.0からpH7.0までの培地とした。培地中の
クエン酸および酢酸の濃度は、最高4.0から2倍希釈
により順次低い濃度のものを設定し、最低の濃度は0.
015%とした。培地はオートクレーブで殺菌し、寒天
が十分固化したのち、予めブイヨン中で37゜Cで24
時間培養した乳酸菌10株、一般細菌10株の被検菌
を、東洋測器株式会社製のミクロプランターで接種し、
37゜Cで48時間培養して、発育の有無によって、阻
止濃度を判定した。この実験は、クエン酸単独の乳酸菌
抑制効果の性質を知るためのもので、 結果は、表1に
示した通りである。
【0023】
【表1】
【0024】表1に明らかなように、クエン酸の乳酸菌
に対する作用は、酢酸とは対象的に非常に特異なもの
で、低い酸性のpH域よりも中性域で強くなった。しか
し、乳酸菌以外の細菌に対しては、やはり酸性側で強く
なる抗菌作用を示し、特にグラム陽性細菌には、その傾
向が認められた。またグラム陰性細菌にはほとんど効果
が無かった。酢酸は、これに対して通常の有機酸の一般
的な作用の性質を示し、酸性側で強く、アルカリ側で弱
くなる抗菌作用をグラム陽性および陰性の細菌に対して
示している。また、クエン酸をカセイソーダで中和して
実験したが、この結果から明らかなように、要するに中
性ではクエン酸は大部分解離してクエン酸イオンとなっ
ており、解離した状態で有効であるということは、クエ
ン酸のナトリウムやカリウムのような塩の形で使用して
もよいことを意味している。従って、本発明では、クエ
ン酸の使用はクエン酸の可食性の塩類を使用してもよい
とが明らかである。
【0025】さらにクエン酸の効果の性質の確認のた
め、食品などから分離された多数の乳酸菌に対して、中
性ないしアルカリ性におけるクエン酸の作用を見るた
め、また同時に空気の影響を調べるため、好気的条件下
と嫌気的条件下の両方で、実験2として、培地上でテス
トした。培地は、さきの実験1の条件と同じ普通寒天培
地、被検菌の培養も同じようにブイヨン中で24時間培
養し、ミクロプランターで接種した。培地へのクエン酸
の添加とpHの調整方法は、実験1と同じで、ただし培
地のpHは、pH5.0からpH9.0まで変化させ
た。培地はオートクレーブにより高圧殺菌した。細菌の
培養温度は、乳酸菌に適した27゜Cとし、効果の判定
は培養5日後の発育の有無によった。結果は、表2に示
した。
【0025】
【表2】
【0026】表2に見られるように、食品等から分離さ
れた野外株の乳酸菌に対しても、クエン酸は同じように
効果を示し、またpH領域が酸性域よりも中性ないしア
ルカリ性域で効果的に乳酸菌類を抑制することが認めら
れた。
【0027】
【実施例1】クエン酸の乳酸菌に対する作用に対して、
重合リン酸塩類の効果を調べるために、実験2と同様な
条件下に、培地中に先ず0.5%の各種の重合リン酸塩
類を濾過滅菌によって無菌化したのち添加し、各種濃度
にクエン酸を含ませたpH7.2の標準寒天培地上に、
先の実験2で使用した野外より分離の乳酸菌をミクロプ
ランターで接種し、27゜Cで5日間培養して、発育の
有無によって抗菌作用を判定した。結果は表3に示し
た。
【0028】
【表3】
【0029】この結果に明らかなように、全ての重合リ
ン酸塩が有効であるが、重合リン酸塩類の中で、ピロ酸
ナトリウムよりトリポリリン酸ナトリウムの方が効果的
であり、さらにメタリン酸ナトリウムが最も効果的であ
る。
【実施例2】重合リン酸塩類の種類や濃度による効果の
違いを調べるため、ピロリン酸ナトリウム、同カリウ
ム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、同カリウム、ウルト
ラリン酸ナトリウムを、0.25%および0.5%を実
施例1と同様に濾過滅菌して、別途に種々の濃度のクエ
ン酸を含む予めオートクレーブで殺菌したpH7.2の
標準寒天培地に添加し、実施例1と同じ野外分離株を主
体とした乳酸菌株をミクロプラン−により接種し、27
゜Cで5日間培養して発育の有無により効果を判定し
た。結果は表4に示した。
【0030】
【表4】 表4に明らかなように、重合リン酸塩類の中では、ピロ
リン酸塩では0.25%以下の濃度では、効果がはっき
りしない傾向があるが、ヘキサメタリン酸ナトリウムや
ウルトラリン酸ナトリウムでは、明らかに0.25%以
下の濃度でも効果的であることが分かる。実際これらの
リン酸塩類を食品中に使用するときは、0.05ないし
0.5%の範囲で使用し、通常は0.2ないし0.3%
程度の使用頻度が最も多いが、これらの濃度では、本発
明のクエン酸との共同作用が、いずれの場合も期待され
る。本発明の範囲は、クエン酸との間で共同作用の認め
られる濃度であれば、それぞれのリン酸塩類において、
それぞれが該当する濃度範囲である。
【0031】
【実施例3】ポークミンチ肉2kg,豚脂0.2kg,
食塩40g,馬鈴薯澱粉50g,亜硝酸ナトリウム45
0mg,アスコルビン酸ナトリウム2.5g,氷水10
0gおよび香辛料混合物20gからなる基本組成のソー
セージ用の肉スラリーを、3区用意した。第一区は基本
組成以外の物はなにも加えず、対照区とした。第二区
は、乳酸菌には殆ど効果がないが、一般の細菌類には広
く効果のあるグリシンを1%(25g)添加し、比較区
とした。第三区には、基本組成に対しグリシン1%(2
5g)とピロリン酸ナトリウムとトリポリリン酸ナトリ
ウムの1:1混合物を0.3%(7.5g)添加した比
較区とした。第四区には、基本組成にグリシン1%(2
5g)、ピロリン酸ナトリウムとトリポリリン酸ナトリ
ウムの1:1混合物を0.3%、更にクエン酸ナトリウ
ム1%(25g)を添加した発明区とした。これらの各
区は、サイレントカッターで、2分間混合し、最後の段
階で氷水と馬鈴薯澱粉を配合したのち1分間混合して、
ソーセージ用スラリーとし、豚腸に充填し、75゜Cの
温湯中で17分間加熱し、次いで清潔な部屋で冷却後、
真空包装し、10゜Cに保存して、一般生菌数、乳酸菌
数、大腸菌群数を測定した。その結果は表5に示した。
【0032】
【表5】
【0033】
【実施例4】強力粉1kg,水120g,かんすい粉1
0gを配合した基本組成に、 第一区:食塩 5g, 第二区:酢酸ナトリウム 5g, 第三区:酢酸ナトリウム 5g、クエン酸ナトリウム8
g, 第四区:酢酸ナトリウム 5g、クエン酸ナトリウム8
g、ピロリン酸ナトリウム2g、ヘキサメタリン酸ナト
リウム2g を添加し、十分混合したのち、小型製麺機により麺線を
作り、沸騰水中で3.5分間茹で、ついで冷却水中で水
冷し、水切り後ポリエチレン袋に入れて密封し、一試験
区当たり15袋の麺を用意し、25゜Cの恒温器中で保
存し、好気性細菌数、カビ、乳酸菌数および麺のpHを
測定して、各区の保存性を比較した。その結果は、表6
に示した。
【0034】
【表6】
【0035】
【実施例5】加塩冷凍すり身を原料として、包装蒲鉾を
製造した。加塩冷凍すり身は市販品を購入し、冷凍すり
身5kgに対して、澱粉3%、グルタミン酸ソーダ1
%、氷水10%を基本組成として、これに対して各種の
本発明に関する添加物を添加し次のような各試験区の蒲
鉾を製造した。 第一区:無添加 第二区:グリシン1%添加 第三区:グリシン1%、クエン酸ナトリウム2%添加 第四区:グリシン1%、クエン酸ナトリウム1.0%、
ピロリン酸ナトリウム0.2%、ヘキサメタリン酸ナト
リウム0.2%添加 第五区:グリシン1%、クエン酸ナトリウム0.5%、
ピロリン酸ナトリウム0.2%、ウルトラリン酸ナトリ
ウム0.2%添加 上記の各処方のすり身は、十分冷却したサイレントカッ
ター中に、氷水と澱粉を除いて投入し、約5分間カッテ
イング混合した。次いで澱粉と氷水を加え更に5分間カ
ッテイング混合した。これを成形機によって板の上に成
形し、直ちに蒸気中で30分間蒸し上げ、蒸し蒲鉾と
し、これを直ちに無菌クリーンルーム中で真空包装し
た。この蒲鉾を、20゜Cの恒温室で保存し、蒲鉾包装
内部の膨れの発生、斑点の形成、粘ばい液体の分離、乳
酸菌数の測定を行った。この結果は、表7に示した。
【0036】
【表7】
【0037】
【本発明の効果】本発明の効果は、クエン酸ないしはク
エン酸の可食性塩類と、重合リン酸塩類を併用すること
により、比較的低い濃度のクエン酸ないしはその塩類に
より、効果的に乳酸菌の生育を抑制ないし制御すること
が明らかに認められ、且つその作用は、リン酸塩の種類
によって異なり、ピロリン酸塩では通常濃度において、
トリリン酸塩では、少し効果がピロリン酸塩より強く、
またヘキサメタリン酸塩やウルトラリン酸塩では、著し
く低い濃度から効果的に、併用することにより乳酸菌類
を抑制する。そしてこの作用は、食品中でも有効に乳酸
菌類の生育を抑制することが明らかにされた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23L 1/317 A23L 1/317 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クエン酸もしくはクエン酸の可食性塩類
    と、重合リン酸塩類の一種または二種以上とをを併用す
    ることによる乳酸菌類の抑制方法。
  2. 【請求項2】重合リン酸塩が、ピロリン酸ナトリウムお
    よびカリウム塩、酸性ピロリン酸ナトリウムおよびカリ
    ウム塩、トリポリリン酸ナトリウムおよびカリウム塩、
    メタリン酸ナトリウムおよびカリウム塩ならびにウルト
    ラリン酸ナトリウムおよびカリウム塩である請求項1の
    乳酸菌類の制御方法
JP7212298A 1995-07-19 1995-07-19 乳酸菌類の制御方法 Pending JPH0928361A (ja)

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JP7212298A JPH0928361A (ja) 1995-07-19 1995-07-19 乳酸菌類の制御方法

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JP7212298A JPH0928361A (ja) 1995-07-19 1995-07-19 乳酸菌類の制御方法

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