JPH0928372A - 電位制御による化学独立栄養細菌の培養方法 - Google Patents
電位制御による化学独立栄養細菌の培養方法Info
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- JPH0928372A JPH0928372A JP7205256A JP20525695A JPH0928372A JP H0928372 A JPH0928372 A JP H0928372A JP 7205256 A JP7205256 A JP 7205256A JP 20525695 A JP20525695 A JP 20525695A JP H0928372 A JPH0928372 A JP H0928372A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】化学独立栄養細菌に電気エネルギーを直接また
は間接的に供給でき、増殖促進が可能である培養系の提
供。 【解決手段】化学独立栄養細菌(鉄酸化菌等)の培養を
電子供与体含有培地中に前記細菌の増殖に適した範囲の
電位を印加して行う培養法。鉄酸化細菌〔例,チオバチ
ルス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidan
s) 〕の培養をFe2+含有培地中に0.5〜−0.4V
vs.Ag/AgClまたは−0.4〜−1.0V
vs.Ag/AgClの電位を印加して行う培養法。化
学独立栄養細菌(硫黄酸化菌,脱窒菌等)の培養を電子
供与体含有培地中に前記細菌の増殖に適した範囲の電位
を印加して行い、培地に加えられた電気エネルギーを前
記細菌の生体エネルギーとして直接利用させる培養法。
は間接的に供給でき、増殖促進が可能である培養系の提
供。 【解決手段】化学独立栄養細菌(鉄酸化菌等)の培養を
電子供与体含有培地中に前記細菌の増殖に適した範囲の
電位を印加して行う培養法。鉄酸化細菌〔例,チオバチ
ルス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidan
s) 〕の培養をFe2+含有培地中に0.5〜−0.4V
vs.Ag/AgClまたは−0.4〜−1.0V
vs.Ag/AgClの電位を印加して行う培養法。化
学独立栄養細菌(硫黄酸化菌,脱窒菌等)の培養を電子
供与体含有培地中に前記細菌の増殖に適した範囲の電位
を印加して行い、培地に加えられた電気エネルギーを前
記細菌の生体エネルギーとして直接利用させる培養法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電位制御による化学
独立栄養細菌の培養方法に関するものである。より詳し
くは、本発明は、鉄酸化細菌等の化学独立栄養細菌に電
気エネルギーを直接または間接的に供給することにより
前記細菌の増殖を促進させる培養方法に関するものであ
る。
独立栄養細菌の培養方法に関するものである。より詳し
くは、本発明は、鉄酸化細菌等の化学独立栄養細菌に電
気エネルギーを直接または間接的に供給することにより
前記細菌の増殖を促進させる培養方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】細菌等の微生物による物質生産は発酵法
として医薬品工業、食品工業、発酵工業等のさまざまな
分野に利用されている。しかし、この目的に主として使
用されるのは、植物由来の有機物をエネルギー源として
物質生産を行う従属栄養微生物であり、これらの微生物
のエネルギー利用効率は太陽光を最初のエネルギー源と
して換算すると1%以下であり、非常に低い。一方、独
立栄養微生物は光や還元性の化合物等からエネルギーを
直接取りだし、微量元素と二酸化炭素とを利用して生育
することができる。
として医薬品工業、食品工業、発酵工業等のさまざまな
分野に利用されている。しかし、この目的に主として使
用されるのは、植物由来の有機物をエネルギー源として
物質生産を行う従属栄養微生物であり、これらの微生物
のエネルギー利用効率は太陽光を最初のエネルギー源と
して換算すると1%以下であり、非常に低い。一方、独
立栄養微生物は光や還元性の化合物等からエネルギーを
直接取りだし、微量元素と二酸化炭素とを利用して生育
することができる。
【0003】太陽光を直接利用できる光独立栄養微生物
(光合成微生物)はエネルギー利用効率が約5%と比較
的高い。しかし、光合成微生物は増殖が遅く、光エネル
ギーの効率の良い供給が難しいため、物質生産に用いら
れることはほとんどない。また、人工的な培養の場合、
夜間は電気エネルギーから光エネルギーを作り出して供
給しなければならないため、光合成微生物を用いた物質
生産全体のエネルギー利用効率は低下する。
(光合成微生物)はエネルギー利用効率が約5%と比較
的高い。しかし、光合成微生物は増殖が遅く、光エネル
ギーの効率の良い供給が難しいため、物質生産に用いら
れることはほとんどない。また、人工的な培養の場合、
夜間は電気エネルギーから光エネルギーを作り出して供
給しなければならないため、光合成微生物を用いた物質
生産全体のエネルギー利用効率は低下する。
【0004】太陽電池を用いた場合、太陽光を電気エネ
ルギーに変換する際のエネルギー効率は15〜20%に
なる。従って、電気エネルギーを直接または間接的に微
生物に供給でき、そして微生物がそれを利用できれば、
エネルギー利用効率の高い微生物培養系または物質生産
系が構築できる。ここで、化学独立栄養細菌と呼称され
る一群の細菌は、無機物である硫化水素やその他の還元
状態の硫黄化合物、アンモニア、亜硝酸、一酸化炭素、
水素分子、第一鉄イオン等の酸化により生育できるもの
である。すなわち、化学独立栄養細菌は電子供与体と呼
ばれる上記物質から電子を得てATPおよびNADH等
の高エネルギー物質に変換し、生体エネルギーとして用
いることにより二酸化炭素を還元し生育している。その
ため、上記還元状態の無機物を電気化学的に生成させ
て、該還元状態の無機物を介して電気エネルギーを間接
的に細菌に供給することが考えられる。また、そのよう
な還元状態の無機物を介さずに電気エネルギーを直接菌
体に供給できれば、エネルギー利用効率はより向上する
ものと考えられる。これら電気エネルギーを利用した細
菌培養系または物質生産系が確立されれば、従来の発酵
法に代わる新しい細菌培養技術または物質生産技術とす
ることができる。
ルギーに変換する際のエネルギー効率は15〜20%に
なる。従って、電気エネルギーを直接または間接的に微
生物に供給でき、そして微生物がそれを利用できれば、
エネルギー利用効率の高い微生物培養系または物質生産
系が構築できる。ここで、化学独立栄養細菌と呼称され
る一群の細菌は、無機物である硫化水素やその他の還元
状態の硫黄化合物、アンモニア、亜硝酸、一酸化炭素、
水素分子、第一鉄イオン等の酸化により生育できるもの
である。すなわち、化学独立栄養細菌は電子供与体と呼
ばれる上記物質から電子を得てATPおよびNADH等
の高エネルギー物質に変換し、生体エネルギーとして用
いることにより二酸化炭素を還元し生育している。その
ため、上記還元状態の無機物を電気化学的に生成させ
て、該還元状態の無機物を介して電気エネルギーを間接
的に細菌に供給することが考えられる。また、そのよう
な還元状態の無機物を介さずに電気エネルギーを直接菌
体に供給できれば、エネルギー利用効率はより向上する
ものと考えられる。これら電気エネルギーを利用した細
菌培養系または物質生産系が確立されれば、従来の発酵
法に代わる新しい細菌培養技術または物質生産技術とす
ることができる。
【0005】これまでに、電気エネルギーを使用して培
養できる微生物として、水素細菌や鉄酸化細菌等の化学
独立栄養細菌の培養が検討されてきた。水素細菌は、そ
の菌体中のタンパク質含量が高いことから宇宙での長期
間にわたる食糧供給源の候補として、米国航空宇宙局
(NASA)によりその培養に関する研究が始められた
ものであり、水素ガスをエネルギー源として増殖できる
ため、水素ガスを電気化学的に生成させることにより培
養できる〔Schlegel, H. G. 等, Nature, 205: 308-309
(1965) 〕。しかし、培養時にスーパーオキシドや過酸
化水素が発生し、細菌の増殖を妨げる等、解決しなけれ
ばならない問題が多い。また、爆発の危険性の高い水素
ガスの発生を必要とするため、電気的エネルギーを供給
することによる大量培養については検討されていないの
が現状である。
養できる微生物として、水素細菌や鉄酸化細菌等の化学
独立栄養細菌の培養が検討されてきた。水素細菌は、そ
の菌体中のタンパク質含量が高いことから宇宙での長期
間にわたる食糧供給源の候補として、米国航空宇宙局
(NASA)によりその培養に関する研究が始められた
ものであり、水素ガスをエネルギー源として増殖できる
ため、水素ガスを電気化学的に生成させることにより培
養できる〔Schlegel, H. G. 等, Nature, 205: 308-309
(1965) 〕。しかし、培養時にスーパーオキシドや過酸
化水素が発生し、細菌の増殖を妨げる等、解決しなけれ
ばならない問題が多い。また、爆発の危険性の高い水素
ガスの発生を必要とするため、電気的エネルギーを供給
することによる大量培養については検討されていないの
が現状である。
【0006】一方、鉄酸化細菌は、石炭脱硫や金、ウラ
ン等の稀少金属の回収に使用される有用な微生物であ
る。この鉄酸化細菌はFe2+をエネルギー源として用い
て生育するが、これはFe2+をFe3+に酸化する際の電
子(e- )をエネルギーとして取り出しているものであ
る。しかし、酸化後に生じるFe3+により培地中に沈澱
が生成されるため、培地中のFe2+濃度を高めることが
できないことにより、大量培養が妨げられていた。そこ
で、従来、Fe3+をFe2+に電気化学的に再生すること
による培養が検討されてきた。このような電気化学的方
法による鉄酸化細菌の従来の培養は、定電流電解法〔例
えば、Yunker, S. B. 等, Biotechnol. Bioeng., 28: 1
867-1875 (1985) 〕または定電圧電解法〔例えば、Deni
sov, G. B., Microbiologiya, 50: 919-923 (1981)〕に
基づいたものであったため、電気化学的還元反応が細菌
の増殖にどのように関与しているのかは全く不明であっ
た。
ン等の稀少金属の回収に使用される有用な微生物であ
る。この鉄酸化細菌はFe2+をエネルギー源として用い
て生育するが、これはFe2+をFe3+に酸化する際の電
子(e- )をエネルギーとして取り出しているものであ
る。しかし、酸化後に生じるFe3+により培地中に沈澱
が生成されるため、培地中のFe2+濃度を高めることが
できないことにより、大量培養が妨げられていた。そこ
で、従来、Fe3+をFe2+に電気化学的に再生すること
による培養が検討されてきた。このような電気化学的方
法による鉄酸化細菌の従来の培養は、定電流電解法〔例
えば、Yunker, S. B. 等, Biotechnol. Bioeng., 28: 1
867-1875 (1985) 〕または定電圧電解法〔例えば、Deni
sov, G. B., Microbiologiya, 50: 919-923 (1981)〕に
基づいたものであったため、電気化学的還元反応が細菌
の増殖にどのように関与しているのかは全く不明であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況を考慮してなされたものであり、化学独立栄養細菌
に電気エネルギーを直接または間接的に供給し、利用可
能とする培養方法、電気エネルギーを利用して前記細菌
の増殖を促進する培養方法、さらに、増殖が促進された
前記細菌を有用物質生産や物質変換素子に使用する方法
の提供を課題とする。
状況を考慮してなされたものであり、化学独立栄養細菌
に電気エネルギーを直接または間接的に供給し、利用可
能とする培養方法、電気エネルギーを利用して前記細菌
の増殖を促進する培養方法、さらに、増殖が促進された
前記細菌を有用物質生産や物質変換素子に使用する方法
の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電気化学
的還元反応が化学独立栄養細菌の増殖にどのように関与
しているのかについて調べるために、各細菌のためのそ
れぞれの電子供与体の存在下で、電極の電位を制御し
て、電極反応と細菌の増殖との間の関係を検討したとこ
ろ、高いエネルギー利用効率で細菌培養が可能である条
件を見出し、さらに鋭意検討の末、本発明を完成させ
た。
的還元反応が化学独立栄養細菌の増殖にどのように関与
しているのかについて調べるために、各細菌のためのそ
れぞれの電子供与体の存在下で、電極の電位を制御し
て、電極反応と細菌の増殖との間の関係を検討したとこ
ろ、高いエネルギー利用効率で細菌培養が可能である条
件を見出し、さらに鋭意検討の末、本発明を完成させ
た。
【0009】すなわち、本発明は、化学独立栄養細菌の
培養を該細菌の電子供与体を含有する培地中に前記細菌
の増殖に適した範囲の電位を印加して行うことを特徴と
する化学独立栄養細菌の培養方法に関する。
培養を該細菌の電子供与体を含有する培地中に前記細菌
の増殖に適した範囲の電位を印加して行うことを特徴と
する化学独立栄養細菌の培養方法に関する。
【0010】本発明において化学独立栄養細菌とは、化
学的暗反応により電子供与体を酸化してエネルギーを得
るものであり、例えば鉄酸化細菌〔代表菌チオバチルス
(Thiobacillus)〕、硫黄酸化細菌〔代表菌チオバチル
ス〕、脱窒細菌〔代表菌パラコッカス(Paracoccus)〕、
水素細菌〔代表菌アルカリゲネス(Alcaligenes) 〕、ア
ンモニア酸化細菌〔代表菌ニトロソモナス(Nitrosomona
s)〕、亜硝酸酸化細菌〔代表菌ニトロバクター(Nitroba
cter) 〕等を包含する。
学的暗反応により電子供与体を酸化してエネルギーを得
るものであり、例えば鉄酸化細菌〔代表菌チオバチルス
(Thiobacillus)〕、硫黄酸化細菌〔代表菌チオバチル
ス〕、脱窒細菌〔代表菌パラコッカス(Paracoccus)〕、
水素細菌〔代表菌アルカリゲネス(Alcaligenes) 〕、ア
ンモニア酸化細菌〔代表菌ニトロソモナス(Nitrosomona
s)〕、亜硝酸酸化細菌〔代表菌ニトロバクター(Nitroba
cter) 〕等を包含する。
【0011】また、本発明において電子供与体とは、化
学独立栄養細菌がエネルギー源として使用し得、それを
酸化してエネルギーを獲得するための物質で、電気化学
的に再生可能でなければならず、それぞれの化学独立栄
養細菌により異なる。例えば、鉄酸化細菌や硫黄酸化細
菌にとっては第一鉄イオン(Fe2+)および/または還
元性の硫黄分子であり、脱窒細菌や水素細菌にとっては
水素分子(H2 )であり、アンモニア酸化細菌にとって
はアンモニウムイオン(NH4 + )であり、亜硝酸酸化
細菌にとっては亜硝酸イオン(NO2 - )である。な
お、上記以外の化学独立栄養細菌のための電子供与体は
当該分野の文献等に容易に見出すことができる。
学独立栄養細菌がエネルギー源として使用し得、それを
酸化してエネルギーを獲得するための物質で、電気化学
的に再生可能でなければならず、それぞれの化学独立栄
養細菌により異なる。例えば、鉄酸化細菌や硫黄酸化細
菌にとっては第一鉄イオン(Fe2+)および/または還
元性の硫黄分子であり、脱窒細菌や水素細菌にとっては
水素分子(H2 )であり、アンモニア酸化細菌にとって
はアンモニウムイオン(NH4 + )であり、亜硝酸酸化
細菌にとっては亜硝酸イオン(NO2 - )である。な
お、上記以外の化学独立栄養細菌のための電子供与体は
当該分野の文献等に容易に見出すことができる。
【0012】本発明において使用される培地は、化学独
立栄養細菌のための上記それぞれの電気供与体を含有し
ていれば、その他の成分は特に制限されず、培養する化
学独立栄養細菌の増殖に必要であり、かつ上記電気供与
体の酸化・還元を阻害する等の悪影響を与えないもので
あれば、含有し得ることはいうまでもない。なお、上記
培地は通常液体であるが、培地中の電位制御が可能であ
り、培地中の電子供与体の自由な移動が妨げられないな
らば、固体と液体の混合状態でも、固体状のものであっ
てもよい。
立栄養細菌のための上記それぞれの電気供与体を含有し
ていれば、その他の成分は特に制限されず、培養する化
学独立栄養細菌の増殖に必要であり、かつ上記電気供与
体の酸化・還元を阻害する等の悪影響を与えないもので
あれば、含有し得ることはいうまでもない。なお、上記
培地は通常液体であるが、培地中の電位制御が可能であ
り、培地中の電子供与体の自由な移動が妨げられないな
らば、固体と液体の混合状態でも、固体状のものであっ
てもよい。
【0013】また、本発明における化学独立栄養細菌の
培養の際の電位は、該細菌の増殖に適した範囲に制御さ
れることが必要である。通常、電位の制御は、培地中に
作用極、対極および参照極を配置し、作用極に特定の電
位を印加して行われる。このとき、電子供与体の再酸化
を防止するために、作用極と対極とはイオン交換膜で隔
てて配置することが好ましい。また、上記各電極、特に
作用極の材質等は培養する細菌に応じて、所望の電子移
動が行われ得るように選択されることが好ましい。印加
される電位は、それぞれの化学独立栄養細菌および使用
する電極によって適当な範囲を容易に決定し得るが、通
常1.0〜−1.0V vs.Ag/AgClの範囲で
ある。
培養の際の電位は、該細菌の増殖に適した範囲に制御さ
れることが必要である。通常、電位の制御は、培地中に
作用極、対極および参照極を配置し、作用極に特定の電
位を印加して行われる。このとき、電子供与体の再酸化
を防止するために、作用極と対極とはイオン交換膜で隔
てて配置することが好ましい。また、上記各電極、特に
作用極の材質等は培養する細菌に応じて、所望の電子移
動が行われ得るように選択されることが好ましい。印加
される電位は、それぞれの化学独立栄養細菌および使用
する電極によって適当な範囲を容易に決定し得るが、通
常1.0〜−1.0V vs.Ag/AgClの範囲で
ある。
【0014】また、本発明に係る培養は、上記のように
印加電位を制御する以外、適当なpHおよび温度の下、
好ましくは上記細菌の至適条件下、上記細菌に応じて通
気下または空気を遮断し、適宜不活性ガスを注入して、
一般の化学独立栄養細菌の培養と同様に上記培地中で行
われ得る。また、上記の条件を満足するものであれば、
培養は回分式で行っても、連続式で行ってもよい。
印加電位を制御する以外、適当なpHおよび温度の下、
好ましくは上記細菌の至適条件下、上記細菌に応じて通
気下または空気を遮断し、適宜不活性ガスを注入して、
一般の化学独立栄養細菌の培養と同様に上記培地中で行
われ得る。また、上記の条件を満足するものであれば、
培養は回分式で行っても、連続式で行ってもよい。
【0015】本発明はまた、鉄酸化細菌の培養を第一鉄
イオン(Fe2+)を含有する培地中に0.5ないし−
0.4V vs.Ag/AgClまたは−0.4ないし
−1.0V vs.Ag/AgClの電位を印加して行
うことを特徴とする鉄酸化細菌の培養方法に関する。
イオン(Fe2+)を含有する培地中に0.5ないし−
0.4V vs.Ag/AgClまたは−0.4ないし
−1.0V vs.Ag/AgClの電位を印加して行
うことを特徴とする鉄酸化細菌の培養方法に関する。
【0016】ここで、鉄酸化細菌は上記のようにチオバ
チルス、例えばチオバチルス・フェロオキシダンス(Thi
obacillus ferrooxidans) 等の他、シデロカプサ(Sider
ocapsa) 、シデロコッカス(Siderococcus)等が代表的な
ものである。
チルス、例えばチオバチルス・フェロオキシダンス(Thi
obacillus ferrooxidans) 等の他、シデロカプサ(Sider
ocapsa) 、シデロコッカス(Siderococcus)等が代表的な
ものである。
【0017】さらに、本発明は、化学独立栄養細菌の培
養を該細菌の電子供与体を含有する培地中に前記細菌の
増殖に適した範囲の電位を印加して行い、培地に加えら
れた電気エネルギーを前記細菌の生体エネルギーとして
直接利用させることを特徴とする化学独立栄養細菌の培
養方法に関する。
養を該細菌の電子供与体を含有する培地中に前記細菌の
増殖に適した範囲の電位を印加して行い、培地に加えら
れた電気エネルギーを前記細菌の生体エネルギーとして
直接利用させることを特徴とする化学独立栄養細菌の培
養方法に関する。
【0018】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1:電子運搬体を介する細菌への電子移動 最初に本実施例で使用される材料および行われる試験の
方法について説明し、次にその試験の結果について説明
する。 A.材料および方法 (1)鉄酸化細菌の培養 鉄酸化細菌はチオバチルス・フェロオキシダンス(Thiob
acillus ferrooxidans) ATCC23270を用いた。
培養には、m9K+CaMg培地〔(NH4 )2 S
O4 ;3.0g/l,KH2 PO4 ;0.05g/l,
MgSO4 ・7H2O;0.5g/l,Ca(NO3 )
2 ・4H2 O;0.01g/l〕にFeSO4 ・7H2
Oを22.2g/l添加したものを用いた。培地のpH
は硫酸を用いて1.5に調整した。この培地をオートク
レーブで滅菌した後、培養に用いた。培養は温度27±
5℃、通気下で行った。培養3〜4日後の菌体を以下の
試験に供した。また、水は純水製造器(ミリポア社製,
商品名Milli−Q)により製造したものを以下の試
験に使用した。
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1:電子運搬体を介する細菌への電子移動 最初に本実施例で使用される材料および行われる試験の
方法について説明し、次にその試験の結果について説明
する。 A.材料および方法 (1)鉄酸化細菌の培養 鉄酸化細菌はチオバチルス・フェロオキシダンス(Thiob
acillus ferrooxidans) ATCC23270を用いた。
培養には、m9K+CaMg培地〔(NH4 )2 S
O4 ;3.0g/l,KH2 PO4 ;0.05g/l,
MgSO4 ・7H2O;0.5g/l,Ca(NO3 )
2 ・4H2 O;0.01g/l〕にFeSO4 ・7H2
Oを22.2g/l添加したものを用いた。培地のpH
は硫酸を用いて1.5に調整した。この培地をオートク
レーブで滅菌した後、培養に用いた。培養は温度27±
5℃、通気下で行った。培養3〜4日後の菌体を以下の
試験に供した。また、水は純水製造器(ミリポア社製,
商品名Milli−Q)により製造したものを以下の試
験に使用した。
【0019】(2)鉄酸化細菌の増殖に対する培地中の
Fe2+濃度の影響 培地中のFe2+濃度が0〜700mMとなるようにFe
SO4 ・7H2 Oを添加し、鉄酸化細菌を培養した。植
菌量は10%に設定した。他の培養条件は前項(1)と
同様にした。培養を4日間行った後、バクテリア計数盤
を用いて菌濃度を測定した。培地のpHはガラス電極
(コーニング社製,商品名pHメーター220)を用い
て測定した。
Fe2+濃度の影響 培地中のFe2+濃度が0〜700mMとなるようにFe
SO4 ・7H2 Oを添加し、鉄酸化細菌を培養した。植
菌量は10%に設定した。他の培養条件は前項(1)と
同様にした。培養を4日間行った後、バクテリア計数盤
を用いて菌濃度を測定した。培地のpHはガラス電極
(コーニング社製,商品名pHメーター220)を用い
て測定した。
【0020】(3)培地交換による鉄酸化細菌の培養 80mMのFe2+を含有するm9K+CaMg培地を用
い、鉄酸化細菌を培養した。培養3〜4日後の菌体を、
10000rpmで遠心集菌し、80mMのFe2+を含
有する新しい培地に植え継ぐことにより培地を交換し
た。2回目以降の培地交換は、同様の手順で約1日毎に
行った。
い、鉄酸化細菌を培養した。培養3〜4日後の菌体を、
10000rpmで遠心集菌し、80mMのFe2+を含
有する新しい培地に植え継ぐことにより培地を交換し
た。2回目以降の培地交換は、同様の手順で約1日毎に
行った。
【0021】(4)電気化学測定(サイクリックボルタ
ンメトリー) サイクリックボルタンメトリーは、電気化学測定器(B
AS社製,商品名BAS100B/W)を用いて行っ
た。作用極には、白金電極(直径1.6mm,BAS社
製,商品名11−2013)、対極には白金線(BAS
社製,商品名51−2233)、参照極は銀塩化銀電極
(Ag/AgCl,BAS社製,商品名11−202
0)を用いた。電解液にはm9K+CaMg培地(pH
1.5)を用いた。Fe2+濃度は80mMとした。菌体
を懸濁させた電解液のサイクリックボルタンメトリーで
は、上記の電解液に上記鉄酸化細菌を濃度が1011細胞
/mlとなるように添加したものを用いた。
ンメトリー) サイクリックボルタンメトリーは、電気化学測定器(B
AS社製,商品名BAS100B/W)を用いて行っ
た。作用極には、白金電極(直径1.6mm,BAS社
製,商品名11−2013)、対極には白金線(BAS
社製,商品名51−2233)、参照極は銀塩化銀電極
(Ag/AgCl,BAS社製,商品名11−202
0)を用いた。電解液にはm9K+CaMg培地(pH
1.5)を用いた。Fe2+濃度は80mMとした。菌体
を懸濁させた電解液のサイクリックボルタンメトリーで
は、上記の電解液に上記鉄酸化細菌を濃度が1011細胞
/mlとなるように添加したものを用いた。
【0022】(5)電位制御による鉄酸化細菌の培養
(電気培養) 電気培養は図1に示す電気培養装置1を用い、培地(培
養液)3を充填した培養槽2中に供試細菌を所定濃度で
懸濁して行った。ここで前記培養装置1には作用極4と
して白金網電極(50×100mm,80メッシュ)、
対極5としてカーボンファイバー、そして参照極6とし
て銀塩化銀電極(Ag/AgCl,東亜電波社製,商品
名HS−205C)を備えてあり、いずれの電極も電位
制御装置7に連結されている。作用極4と対極5は陰イ
オン交換膜(旭化成社製,商品名A−202)8で隔て
られ、対極5でのFe2+の再酸化が防止されている。ま
た、送気管9からは矢印方向に空気が送られて培地3中
に通気され、攪拌子10により培地3が攪拌される。電
気培養は、Fe2+を80mM含有する培地中で鉄酸化細
菌を2日間培養した後、培地中に浸してある作用極4に
定電位を印加することにより行った。
(電気培養) 電気培養は図1に示す電気培養装置1を用い、培地(培
養液)3を充填した培養槽2中に供試細菌を所定濃度で
懸濁して行った。ここで前記培養装置1には作用極4と
して白金網電極(50×100mm,80メッシュ)、
対極5としてカーボンファイバー、そして参照極6とし
て銀塩化銀電極(Ag/AgCl,東亜電波社製,商品
名HS−205C)を備えてあり、いずれの電極も電位
制御装置7に連結されている。作用極4と対極5は陰イ
オン交換膜(旭化成社製,商品名A−202)8で隔て
られ、対極5でのFe2+の再酸化が防止されている。ま
た、送気管9からは矢印方向に空気が送られて培地3中
に通気され、攪拌子10により培地3が攪拌される。電
気培養は、Fe2+を80mM含有する培地中で鉄酸化細
菌を2日間培養した後、培地中に浸してある作用極4に
定電位を印加することにより行った。
【0023】(6)回転リングディスク電極(RRD
E)による鉄酸化細菌培地の還元 RRDEによる測定は、回転電極装置(北斗電工社製,
商品名HR−103A)、デュアルポテンショスタット
(北斗電工社製,商品名HR−101B)および関数発
生器(北斗電工社製,商品名HB−104)を用いて行
った。作用極(リング電極およびディスク電極)は、い
ずれも白金のRRDEを用いた。対極には白金線、参照
極には銀塩化銀電極(Ag/AgCl,東亜電波社製,
商品名HS−205C)を用いた。ディスク電極の電位
掃引は1.0V vs.Ag/AgClから開始し、マ
イナス側に10mV/秒の速度で行った。リング電極の
電位はFe2+を検出するために0.8V vs.Ag/
AgClの定電位を印加した。試験には、鉄酸化細菌培
養後の上澄み液、すなわち、約80mMのFe2+を含む
培地中で上記鉄酸化細菌を3日間培養した定常期の培養
液を10000rpmで遠心分離した上澄み液を用い
た。
E)による鉄酸化細菌培地の還元 RRDEによる測定は、回転電極装置(北斗電工社製,
商品名HR−103A)、デュアルポテンショスタット
(北斗電工社製,商品名HR−101B)および関数発
生器(北斗電工社製,商品名HB−104)を用いて行
った。作用極(リング電極およびディスク電極)は、い
ずれも白金のRRDEを用いた。対極には白金線、参照
極には銀塩化銀電極(Ag/AgCl,東亜電波社製,
商品名HS−205C)を用いた。ディスク電極の電位
掃引は1.0V vs.Ag/AgClから開始し、マ
イナス側に10mV/秒の速度で行った。リング電極の
電位はFe2+を検出するために0.8V vs.Ag/
AgClの定電位を印加した。試験には、鉄酸化細菌培
養後の上澄み液、すなわち、約80mMのFe2+を含む
培地中で上記鉄酸化細菌を3日間培養した定常期の培養
液を10000rpmで遠心分離した上澄み液を用い
た。
【0024】B.結果 (1)鉄酸化細菌の増殖に及ぼす培地中のFe2+濃度の
影響 供試鉄酸化細菌の増殖に対する培地中のFe2+濃度の影
響について検討した。その結果、図2に示すように〔図
2の黒丸(●)〕、360mMまではFe2+濃度の上昇
に伴って菌体濃度が上昇した。このことから、360m
Mまでは、Fe2+の供給、すなわちエネルギー供給が増
殖の律速要因であることがわかる。さらに、Fe2+濃度
を720mMに上げたところ、菌体濃度が減少した。こ
のことから、高すぎるFe2+濃度では、何らかの増殖阻
害作用が起きていることがわかる。このような阻害作用
は、例えばBarron, J. L. A.等, Appl. Environ. Micro
biol., 56: 2801-2806 (1990) 等にも報告されている。
影響 供試鉄酸化細菌の増殖に対する培地中のFe2+濃度の影
響について検討した。その結果、図2に示すように〔図
2の黒丸(●)〕、360mMまではFe2+濃度の上昇
に伴って菌体濃度が上昇した。このことから、360m
Mまでは、Fe2+の供給、すなわちエネルギー供給が増
殖の律速要因であることがわかる。さらに、Fe2+濃度
を720mMに上げたところ、菌体濃度が減少した。こ
のことから、高すぎるFe2+濃度では、何らかの増殖阻
害作用が起きていることがわかる。このような阻害作用
は、例えばBarron, J. L. A.等, Appl. Environ. Micro
biol., 56: 2801-2806 (1990) 等にも報告されている。
【0025】増殖阻害要因として鉄酸化細菌の増殖に伴
った培地のpH上昇が考えられる。そこで培地中のpH
を測定した〔図2の白丸(○)〕。180mMまではF
e2+濃度の上昇に伴ってpHが上昇した。このとき、菌
体の増殖に伴い、培地の色がFe2+由来の薄い青色から
Fe3+由来の橙色へと変化した。これは、エネルギー源
であるFe2+が消費され、Fe3+が生成する下式(1)
のような反応が細菌により触媒されたため、pHが上昇
したものである。 4Fe2++O2 +4H+ →4Fe3++2H2 O+(ATP) ……(1) しかし、180mM以上では、培地中のFe3+濃度が上
昇するにもかかわらず、pHは変化しなかった。また、
180mM以上では、培地中に沈澱が生じていたことか
ら、pHが上昇すると、次式(2): Fe3++3OH- →Fe(OH)3 ……(2) の反応が進行し、pH上昇が停止するものである。18
0〜720mMではいずれもpH2.2程度であったこ
とから、720mMにおける増殖阻害効果はpHの上昇
によるものではなく、過剰のFe2+による基質阻害また
はFe3+による生成物阻害によるものと考えられる。以
上の結果から、鉄酸化細菌の大量生産は高濃度のFe2+
供給による培養では困難であることが判明した。
った培地のpH上昇が考えられる。そこで培地中のpH
を測定した〔図2の白丸(○)〕。180mMまではF
e2+濃度の上昇に伴ってpHが上昇した。このとき、菌
体の増殖に伴い、培地の色がFe2+由来の薄い青色から
Fe3+由来の橙色へと変化した。これは、エネルギー源
であるFe2+が消費され、Fe3+が生成する下式(1)
のような反応が細菌により触媒されたため、pHが上昇
したものである。 4Fe2++O2 +4H+ →4Fe3++2H2 O+(ATP) ……(1) しかし、180mM以上では、培地中のFe3+濃度が上
昇するにもかかわらず、pHは変化しなかった。また、
180mM以上では、培地中に沈澱が生じていたことか
ら、pHが上昇すると、次式(2): Fe3++3OH- →Fe(OH)3 ……(2) の反応が進行し、pH上昇が停止するものである。18
0〜720mMではいずれもpH2.2程度であったこ
とから、720mMにおける増殖阻害効果はpHの上昇
によるものではなく、過剰のFe2+による基質阻害また
はFe3+による生成物阻害によるものと考えられる。以
上の結果から、鉄酸化細菌の大量生産は高濃度のFe2+
供給による培養では困難であることが判明した。
【0026】(2)培地交換による鉄酸化細菌の培養 低濃度のFe2+で鉄酸化細菌を培養したとき、効率よく
鉄酸化細菌を培養できるか否かを検討した。すなわち、
80mMのFe2+を含有する培地で植え継いだときの、
菌体濃度を測定し増殖阻害作用の発生の有無を試験し
た。その結果、図3に示すように、図中矢印で示す時期
に培地を替える毎に菌体濃度が上昇した。この図3に示
す結果を、全鉄供給量と菌体濃度の関係に変換したとこ
ろ〔図4の黒丸(●)〕、供給したFe2+の濃度が全体
として700mMを越えた場合でも、菌体濃度は8.0
×108 細胞/mlまで上昇し、増殖阻害は認められな
かった。比較のために、一度にFe2+を供給した場合も
同じグラフに示した〔図4の白丸(○)〕。要するに、
鉄酸化細菌は低濃度のFe2+を少しずつ供給した方が、
効率よくエネルギー源として利用され得ることが明らか
になった。
鉄酸化細菌を培養できるか否かを検討した。すなわち、
80mMのFe2+を含有する培地で植え継いだときの、
菌体濃度を測定し増殖阻害作用の発生の有無を試験し
た。その結果、図3に示すように、図中矢印で示す時期
に培地を替える毎に菌体濃度が上昇した。この図3に示
す結果を、全鉄供給量と菌体濃度の関係に変換したとこ
ろ〔図4の黒丸(●)〕、供給したFe2+の濃度が全体
として700mMを越えた場合でも、菌体濃度は8.0
×108 細胞/mlまで上昇し、増殖阻害は認められな
かった。比較のために、一度にFe2+を供給した場合も
同じグラフに示した〔図4の白丸(○)〕。要するに、
鉄酸化細菌は低濃度のFe2+を少しずつ供給した方が、
効率よくエネルギー源として利用され得ることが明らか
になった。
【0027】(3)サイクリックボルタンメトリーによ
る菌体への電子移動反応の解析 Fe2+を電子運搬体として電極から電子が鉄酸化細菌に
供給されているか否かをサイクリックボルタンメトリー
により検討した結果を図5に示す。この結果から、菌体
を含まない場合(図5A)、鉄イオンの可逆的な酸化還
元応答を示し、一方、鉄酸化細菌を添加すると(図5
B)、酸化電流の消失と還元電流の上昇という不可逆的
な応答を示すことがわかった。この現象を概念的に図6
に示すが、その(B)にあるとおり、電気化学的な還元
反応により生成したFe2+が鉄酸化細菌により生化学的
に酸化されてしまうことから、電極表面のFe2+の濃度
が低くなり酸化電流(Fe2+→Fe3++e- )が減少
し、また、同様の機構により電極表面のFe3+濃度が高
くなるため、還元電流(Fe3++e- →Fe2+)が増加
したものである。すなわち、図6Bの上方の図に示して
あるように、Fe2+を電子運搬体として電極からの電子
を菌体へ供給できることが示された。また、この電子移
動反応は、Fe3+がFe2+に還元される0.5V v
s.Ag/AgCl以下で起きることが明らかとなっ
た。
る菌体への電子移動反応の解析 Fe2+を電子運搬体として電極から電子が鉄酸化細菌に
供給されているか否かをサイクリックボルタンメトリー
により検討した結果を図5に示す。この結果から、菌体
を含まない場合(図5A)、鉄イオンの可逆的な酸化還
元応答を示し、一方、鉄酸化細菌を添加すると(図5
B)、酸化電流の消失と還元電流の上昇という不可逆的
な応答を示すことがわかった。この現象を概念的に図6
に示すが、その(B)にあるとおり、電気化学的な還元
反応により生成したFe2+が鉄酸化細菌により生化学的
に酸化されてしまうことから、電極表面のFe2+の濃度
が低くなり酸化電流(Fe2+→Fe3++e- )が減少
し、また、同様の機構により電極表面のFe3+濃度が高
くなるため、還元電流(Fe3++e- →Fe2+)が増加
したものである。すなわち、図6Bの上方の図に示して
あるように、Fe2+を電子運搬体として電極からの電子
を菌体へ供給できることが示された。また、この電子移
動反応は、Fe3+がFe2+に還元される0.5V v
s.Ag/AgCl以下で起きることが明らかとなっ
た。
【0028】(4)RRDEによる鉄酸化細菌培地の還
元反応の解析 定常期の培養液の上澄み液を用い、RRDE測定を行っ
たところ、図7に示すように、ディスク電極において
0.5V vs.Ag/AgCl以下で還元電流が観察
された。還元電流は−0.2V vs.Ag/AgCl
まで徐々に増加し、−0.2〜−0.6V vs.Ag
/AgClでほぼ一定となった。この時のディスク電極
上でのFe2+の生成量は還元電流の増加に伴い増加し
た。このことから、ディスク電極での還元電流は、主と
してFe2+の生成に使われていることが判明した。一
方、−0.6V vs.Ag/AgCl以下では、さら
に還元電流が増加したにもかかわらず、ディスク電極上
でのFe2+の生成量は減少した。電極表面に水素ガスの
発生は認められなかったことから、ここで観察された還
元電流の増加は主として金属鉄の生成によるものである
と考えられる。
元反応の解析 定常期の培養液の上澄み液を用い、RRDE測定を行っ
たところ、図7に示すように、ディスク電極において
0.5V vs.Ag/AgCl以下で還元電流が観察
された。還元電流は−0.2V vs.Ag/AgCl
まで徐々に増加し、−0.2〜−0.6V vs.Ag
/AgClでほぼ一定となった。この時のディスク電極
上でのFe2+の生成量は還元電流の増加に伴い増加し
た。このことから、ディスク電極での還元電流は、主と
してFe2+の生成に使われていることが判明した。一
方、−0.6V vs.Ag/AgCl以下では、さら
に還元電流が増加したにもかかわらず、ディスク電極上
でのFe2+の生成量は減少した。電極表面に水素ガスの
発生は認められなかったことから、ここで観察された還
元電流の増加は主として金属鉄の生成によるものである
と考えられる。
【0029】(5)電位印加による鉄酸化細菌の増殖 Fe2+を電子運搬体として用い、電極からの電子を菌体
へ供給することによる鉄酸化細菌の増殖の有無を確認し
た。すなわち、Fe2+が生成する0.3V vs.Ag
/AgClの電位を印加し、鉄酸化細菌が増殖するか否
かを検討した(操作条件は上記電気培養の項で説明した
ものと同様とした)。図8に示すように、電位を印加し
ない場合、添加したFe2+の消費に伴って菌体濃度が約
1.5×108 細胞/mlまで上昇し、それ以降は増殖
の増加は停滞した〔図8の白丸(○)〕。これは、エネ
ルギー源である培地中のFe2+が消尽されたためと考え
られる。この状態で、培地に浸した作用極に0.3V
vs.Ag/AgClの電位を印加することにより(図
8の矢印)、菌体濃度がさらに上昇することが示された
〔図8の黒丸(●)〕。これは、0.3V vs.Ag
/AgClの電位印加により菌体のエネルギー源となる
Fe2+が培地中に再び生成されたためである。すなわ
ち、図6Bに示したように、鉄イオンを電子運搬体とし
て用い、電極から電子を菌体に供給することにより鉄酸
化細菌を培養でき、しかも増殖を促進できることが証明
された。
へ供給することによる鉄酸化細菌の増殖の有無を確認し
た。すなわち、Fe2+が生成する0.3V vs.Ag
/AgClの電位を印加し、鉄酸化細菌が増殖するか否
かを検討した(操作条件は上記電気培養の項で説明した
ものと同様とした)。図8に示すように、電位を印加し
ない場合、添加したFe2+の消費に伴って菌体濃度が約
1.5×108 細胞/mlまで上昇し、それ以降は増殖
の増加は停滞した〔図8の白丸(○)〕。これは、エネ
ルギー源である培地中のFe2+が消尽されたためと考え
られる。この状態で、培地に浸した作用極に0.3V
vs.Ag/AgClの電位を印加することにより(図
8の矢印)、菌体濃度がさらに上昇することが示された
〔図8の黒丸(●)〕。これは、0.3V vs.Ag
/AgClの電位印加により菌体のエネルギー源となる
Fe2+が培地中に再び生成されたためである。すなわ
ち、図6Bに示したように、鉄イオンを電子運搬体とし
て用い、電極から電子を菌体に供給することにより鉄酸
化細菌を培養でき、しかも増殖を促進できることが証明
された。
【0030】(6)菌体濃度に及ぼす印加電位の影響 鉄酸化細菌の増殖に及ぼす印加電位の大きさの影響につ
いて検討した。0.5V vs.Ag/AgClの電位
を印加した場合には、菌体濃度は約2.8×108 細胞
/mlであったが、これは電位を印加しない場合と同様
のレベルであった。さらに低い電位を印加した場合、図
9に示されるように、印加電位の違いにより2段階の増
殖促進効果が観察された。まず、1段階目の促進効果は
0.5〜−0.4V vs.Ag/AgClの電位で認
められた。この電位範囲は、Fe2+が電気化学的に再生
され、菌体に利用されるため、印加電位の低下に伴い、
菌体濃度が上昇したものである。一方、2段階目の促進
効果は−0.4V vs.Ag/AgCl以下の電位で
認められた。RRDEを用いた電極反応生成物の解析か
ら電子運搬体として作用するFe2+の生成量が変化して
いないにもかかわらず(図7参照)、促進効果が認めら
れることから(図9)、この促進効果はFe2+の電気化
学的再生のみに起因するものではないと考えられる。な
お、前掲のYunker等の文献において、−0.4V v
s.Ag/AgCl以下で見られるような電子移動によ
らない増殖促進効果の存在が示唆されていた他、生体へ
の電気的効果として植物培養細胞に対する生育促進効
果、動物細胞の膜タンパク質の移動等による促進効果の
可能性が従来提示されていた。しかしながら、実際に鉄
酸化細菌において、どのような機構による促進効果であ
るかについては全く言及されておらず、その他の可能性
についても考察されていなかった。
いて検討した。0.5V vs.Ag/AgClの電位
を印加した場合には、菌体濃度は約2.8×108 細胞
/mlであったが、これは電位を印加しない場合と同様
のレベルであった。さらに低い電位を印加した場合、図
9に示されるように、印加電位の違いにより2段階の増
殖促進効果が観察された。まず、1段階目の促進効果は
0.5〜−0.4V vs.Ag/AgClの電位で認
められた。この電位範囲は、Fe2+が電気化学的に再生
され、菌体に利用されるため、印加電位の低下に伴い、
菌体濃度が上昇したものである。一方、2段階目の促進
効果は−0.4V vs.Ag/AgCl以下の電位で
認められた。RRDEを用いた電極反応生成物の解析か
ら電子運搬体として作用するFe2+の生成量が変化して
いないにもかかわらず(図7参照)、促進効果が認めら
れることから(図9)、この促進効果はFe2+の電気化
学的再生のみに起因するものではないと考えられる。な
お、前掲のYunker等の文献において、−0.4V v
s.Ag/AgCl以下で見られるような電子移動によ
らない増殖促進効果の存在が示唆されていた他、生体へ
の電気的効果として植物培養細胞に対する生育促進効
果、動物細胞の膜タンパク質の移動等による促進効果の
可能性が従来提示されていた。しかしながら、実際に鉄
酸化細菌において、どのような機構による促進効果であ
るかについては全く言及されておらず、その他の可能性
についても考察されていなかった。
【0031】そこで、本発明者は、他の物質からの電子
移動について調べるため、鉄イオンを含まない培地で−
0.6V vs.Ag/AgClの電位を印加し、電気
培養を行ったところ、菌体の増殖が認められなかったこ
とから、鉄イオン以外の物質からのエネルギー供与はな
いと結論づけることができた。鉄酸化細菌は、Fe2+か
らエネルギーを得るときに鉄酸化酵素を用いているが、
ある種の酸化酵素が電極近傍に存在するとき、電極電位
によってその酵素の活性が制御できることや、この促進
効果には鉄イオンが必要であることから、鉄酸化細菌が
Fe2+から電子を受け取るときの効率に対し、電位印加
による何らかの電気的促進効果が存在するものと考えら
れる(図10)。
移動について調べるため、鉄イオンを含まない培地で−
0.6V vs.Ag/AgClの電位を印加し、電気
培養を行ったところ、菌体の増殖が認められなかったこ
とから、鉄イオン以外の物質からのエネルギー供与はな
いと結論づけることができた。鉄酸化細菌は、Fe2+か
らエネルギーを得るときに鉄酸化酵素を用いているが、
ある種の酸化酵素が電極近傍に存在するとき、電極電位
によってその酵素の活性が制御できることや、この促進
効果には鉄イオンが必要であることから、鉄酸化細菌が
Fe2+から電子を受け取るときの効率に対し、電位印加
による何らかの電気的促進効果が存在するものと考えら
れる(図10)。
【0032】実施例2:細菌への直接電子移動 A.材料および方法 供試菌株にはチオバチルス・フェロオキシダンス(Thiob
acillus ferrooxidans) ATCC23270、パラコッ
カス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)
JCM6892およびチオバチルス・チオオキシダンス
(Thiobacillusthiooxidans)ATCC8085を用い、
それぞれを以下の手順に従って培養した: (a)チオバチルス・フェロオキシダンスATCC23
270:Fe2+または単体硫黄をそれぞれ80mMまた
は10g/l含有するm9K+CaMg培地中4日間培
養した。 (b)パラコッカス・デニトリフィカンスJCM689
2:水素ガスを80%含有する気相中、水素細菌用培地
中で12時間培養した。 (c)チオバチルス・チオオキシダンスATCC808
5:単体硫黄を10g/l含有する9K培地中7日間培
養した。
acillus ferrooxidans) ATCC23270、パラコッ
カス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)
JCM6892およびチオバチルス・チオオキシダンス
(Thiobacillusthiooxidans)ATCC8085を用い、
それぞれを以下の手順に従って培養した: (a)チオバチルス・フェロオキシダンスATCC23
270:Fe2+または単体硫黄をそれぞれ80mMまた
は10g/l含有するm9K+CaMg培地中4日間培
養した。 (b)パラコッカス・デニトリフィカンスJCM689
2:水素ガスを80%含有する気相中、水素細菌用培地
中で12時間培養した。 (c)チオバチルス・チオオキシダンスATCC808
5:単体硫黄を10g/l含有する9K培地中7日間培
養した。
【0033】培養後のそれぞれの供試菌株に関するサイ
クリックボルタンメトリーは、電気化学測定器(BAS
社製,商品名BAS100B/W)を用いて行った。作
用極には、炭素電極(GC,BPG−Edge,BPG
−Basal,GC−BPG)、対極には白金線(BA
S社製,商品名51−2233)、参照極は銀塩化銀電
極(Ag/AgCl,BAS社製,商品名11−202
0)を用いた。電解液にはm9K+CaMg培地(pH
1.5)を用いた。菌体が懸濁した電解液のサイクリッ
クボルタンメトリーでは、上記の電解液に上記供試菌株
を濃度が1011細胞/mlとなるように添加したものを
用いた。
クリックボルタンメトリーは、電気化学測定器(BAS
社製,商品名BAS100B/W)を用いて行った。作
用極には、炭素電極(GC,BPG−Edge,BPG
−Basal,GC−BPG)、対極には白金線(BA
S社製,商品名51−2233)、参照極は銀塩化銀電
極(Ag/AgCl,BAS社製,商品名11−202
0)を用いた。電解液にはm9K+CaMg培地(pH
1.5)を用いた。菌体が懸濁した電解液のサイクリッ
クボルタンメトリーでは、上記の電解液に上記供試菌株
を濃度が1011細胞/mlとなるように添加したものを
用いた。
【0034】B.結果 それぞれの供試菌株に関するサイクリックボルタンメト
リーの測定結果を図11ないし図13に示した。それら
の各図においてaが細菌を添加したものであり、その他
は細菌を添加しなかったものである。細菌を添加しない
場合に見られなかったピークが、細菌を添加することに
より新たに出現した。また、酸素ガスがない場合には、
細菌が存在してもこのようなピークが見られなかった
(データは示していない)。これらの結果から、いずれ
の供試菌株においても、炭素電極から細菌の呼吸鎖(電
子伝達系)への直接電子移動が行われていることが明ら
かとなった。この現象を図14に概念的に示したが、上
記直接電子移動により、電極から細菌中に、該細菌の外
膜内の未知物質Xを介して直接電子(e- )が取り込ま
れ、該電子が細菌の電子伝達系において処理されて生体
エネルギーが生成されるものである。また、上記供試菌
株において、様々な呼吸阻害剤を用いて反応の解析を行
ったところ、直接移動した電子は呼吸鎖の一部〔cyt
c→cyt aa3(cyt cオキシダーゼ,cyt
c oxidase )→O2 〕を通っていることが予測された。
このことは、直接電子移動反応に伴ったプロトン濃度勾
配の生成とそれによるATP生産が行われることを示唆
している。このように、電極と細菌の電子伝達系との間
で直接電子移動反応が行われるということは、細菌の細
胞外膜にペリプラズム空間内へ電子伝達を行う新規なタ
ンパク質が存在することを示すものである。すなわち、
直接電子移動反応により、細菌は電気エネルギーから生
体エネルギーを生成することができるものである。従っ
て、本発明に係る電位制御による細菌への直接電子移動
を起こす系を応用することにより、ナノメカトロニクス
分野で問題となっているエネルギー供給システムが構築
できる可能性がある。
リーの測定結果を図11ないし図13に示した。それら
の各図においてaが細菌を添加したものであり、その他
は細菌を添加しなかったものである。細菌を添加しない
場合に見られなかったピークが、細菌を添加することに
より新たに出現した。また、酸素ガスがない場合には、
細菌が存在してもこのようなピークが見られなかった
(データは示していない)。これらの結果から、いずれ
の供試菌株においても、炭素電極から細菌の呼吸鎖(電
子伝達系)への直接電子移動が行われていることが明ら
かとなった。この現象を図14に概念的に示したが、上
記直接電子移動により、電極から細菌中に、該細菌の外
膜内の未知物質Xを介して直接電子(e- )が取り込ま
れ、該電子が細菌の電子伝達系において処理されて生体
エネルギーが生成されるものである。また、上記供試菌
株において、様々な呼吸阻害剤を用いて反応の解析を行
ったところ、直接移動した電子は呼吸鎖の一部〔cyt
c→cyt aa3(cyt cオキシダーゼ,cyt
c oxidase )→O2 〕を通っていることが予測された。
このことは、直接電子移動反応に伴ったプロトン濃度勾
配の生成とそれによるATP生産が行われることを示唆
している。このように、電極と細菌の電子伝達系との間
で直接電子移動反応が行われるということは、細菌の細
胞外膜にペリプラズム空間内へ電子伝達を行う新規なタ
ンパク質が存在することを示すものである。すなわち、
直接電子移動反応により、細菌は電気エネルギーから生
体エネルギーを生成することができるものである。従っ
て、本発明に係る電位制御による細菌への直接電子移動
を起こす系を応用することにより、ナノメカトロニクス
分野で問題となっているエネルギー供給システムが構築
できる可能性がある。
【0035】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の化
学独立栄養細菌の培養方法は、電気エネルギーを効率よ
く菌体に供給し、該菌体の増殖にその電気エネルギーを
利用させ得るものであるため、電気エネルギーを高い効
率で利用する前記化学独立栄養細菌の増殖が可能となっ
た。このように、本発明の方法は、電気エネルギーの生
体エネルギーへの高い効率での変換を可能にする、従来
報告されたことのない、化学独立栄養細菌の培養系であ
り、電気エネルギーを効率よく利用して前記細菌の大量
培養を可能とするものである。また、本発明は、化学独
立栄養細菌の一種である鉄酸化細菌が、低濃度の第一鉄
イオン(Fe2+)の存在下であっても、電気エネルギー
を高い効率で利用して培養され得ることを可能にした。
さらに、電極の電位を制御することにより、2段階の増
殖促進が認められることを初めて見出した。このため、
電位の制御により鉄酸化細菌をより良好な効率で培養が
できるようになった。さらに、本発明は、化学独立栄養
細菌に電子運搬体を介在させることなしに直接電子移動
反応を行う、すなわち、電極からの電子(e- )を菌体
に直接取り込ませることを可能にしたものである。これ
により、電気エネルギーの利用効率はさらに高まり、よ
り効率の高い化学独立栄養細菌の培養が可能となり、該
細菌の培養系をより単純にすることができる。また、こ
の直接電子移動反応は、細菌が電気エネルギーから生体
エネルギーを直接生成し得ることを意味し、ナノメカト
ロニクス分野におけるエネルギー供給システム構築に大
きく寄与するものである。
学独立栄養細菌の培養方法は、電気エネルギーを効率よ
く菌体に供給し、該菌体の増殖にその電気エネルギーを
利用させ得るものであるため、電気エネルギーを高い効
率で利用する前記化学独立栄養細菌の増殖が可能となっ
た。このように、本発明の方法は、電気エネルギーの生
体エネルギーへの高い効率での変換を可能にする、従来
報告されたことのない、化学独立栄養細菌の培養系であ
り、電気エネルギーを効率よく利用して前記細菌の大量
培養を可能とするものである。また、本発明は、化学独
立栄養細菌の一種である鉄酸化細菌が、低濃度の第一鉄
イオン(Fe2+)の存在下であっても、電気エネルギー
を高い効率で利用して培養され得ることを可能にした。
さらに、電極の電位を制御することにより、2段階の増
殖促進が認められることを初めて見出した。このため、
電位の制御により鉄酸化細菌をより良好な効率で培養が
できるようになった。さらに、本発明は、化学独立栄養
細菌に電子運搬体を介在させることなしに直接電子移動
反応を行う、すなわち、電極からの電子(e- )を菌体
に直接取り込ませることを可能にしたものである。これ
により、電気エネルギーの利用効率はさらに高まり、よ
り効率の高い化学独立栄養細菌の培養が可能となり、該
細菌の培養系をより単純にすることができる。また、こ
の直接電子移動反応は、細菌が電気エネルギーから生体
エネルギーを直接生成し得ることを意味し、ナノメカト
ロニクス分野におけるエネルギー供給システム構築に大
きく寄与するものである。
【0036】上記したように、本発明は、鉄酸化細菌や
水素細菌等の化学独立栄養細菌に電気エネルギーを供給
することにより、高いエネルギー効率での前記細菌の大
量培養を可能とするものである。このため、本発明の培
養方法によれば、菌体そのものを食糧として利用し得る
水素細菌を電気エネルギーの利用により大量に供給する
ことができ、また、石炭脱硫や稀少金属回収に有用な鉄
酸化細菌を高いエネルギー効率で大量に提供することが
できる。さらには、化学独立栄養細菌に慣用の遺伝子操
作技術を適用して有用物質産生遺伝子を導入した後に、
本発明の高効率の培養を行うことにより、二酸化炭素を
原料として酵素や医薬品等の有用物質をエネルギー効率
良く、低コストで製造することが可能となる。
水素細菌等の化学独立栄養細菌に電気エネルギーを供給
することにより、高いエネルギー効率での前記細菌の大
量培養を可能とするものである。このため、本発明の培
養方法によれば、菌体そのものを食糧として利用し得る
水素細菌を電気エネルギーの利用により大量に供給する
ことができ、また、石炭脱硫や稀少金属回収に有用な鉄
酸化細菌を高いエネルギー効率で大量に提供することが
できる。さらには、化学独立栄養細菌に慣用の遺伝子操
作技術を適用して有用物質産生遺伝子を導入した後に、
本発明の高効率の培養を行うことにより、二酸化炭素を
原料として酵素や医薬品等の有用物質をエネルギー効率
良く、低コストで製造することが可能となる。
【図1】本発明の実施例において使用される電気培養装
置を模式的に示す図面である。
置を模式的に示す図面である。
【図2】鉄酸化細菌の増殖およびpHに及ぼすFe2+濃
度の影響を示すグラフである。(●);鉄酸化細菌の濃
度,(○);pH。
度の影響を示すグラフである。(●);鉄酸化細菌の濃
度,(○);pH。
【図3】鉄酸化細菌の増殖に及ぼす培地交換の影響を示
すグラフである。グラフ中の矢印は培地交換を行った時
期を示す。
すグラフである。グラフ中の矢印は培地交換を行った時
期を示す。
【図4】鉄酸化細菌の増殖に及ぼす全供給Fe2+濃度の
影響を示すグラフである。(○);一度にFe2+を供給
した場合,(●);80mMのFe2+を含有する培地で
植え継いだ場合。
影響を示すグラフである。(○);一度にFe2+を供給
した場合,(●);80mMのFe2+を含有する培地で
植え継いだ場合。
【図5】鉄イオンのサイクリックボルタンメトリーに及
ぼす鉄酸化細菌添加による効果を示すグラフである。
ぼす鉄酸化細菌添加による効果を示すグラフである。
【図6】図5に示すサイクリックボルタンメトリーにお
ける反応機構を概念的に示す図面である。(A)は細菌
を添加しなかった場合、そして(B)は細菌を添加した
場合のものである。
ける反応機構を概念的に示す図面である。(A)は細菌
を添加しなかった場合、そして(B)は細菌を添加した
場合のものである。
【図7】回転リングディスク電極による培地中の酸化還
元物質を電気化学的に検討した結果を示すグラフであ
る。
元物質を電気化学的に検討した結果を示すグラフであ
る。
【図8】還元電位の印加による鉄酸化細菌の増殖の変化
を示すグラフである。グラフ中、矢印は電位を印加した
時期を示す。(●);還元電位を印加した場合,
(○);還元電位を印加しなかった場合。
を示すグラフである。グラフ中、矢印は電位を印加した
時期を示す。(●);還元電位を印加した場合,
(○);還元電位を印加しなかった場合。
【図9】鉄酸化細菌の増殖における印加電位の大きさの
影響を示すグラフである。
影響を示すグラフである。
【図10】電位印加による鉄酸化細菌の増殖促進効果の
機構を概念的に示す図面である。(A)および(B)は
それぞれ印加電圧0.5ないし−0.4V vs.Ag
/AgClまたは−0.4〜−1.0V vs.Ag/
AgClにおける増殖促進効果の機構を示す。
機構を概念的に示す図面である。(A)および(B)は
それぞれ印加電圧0.5ないし−0.4V vs.Ag
/AgClまたは−0.4〜−1.0V vs.Ag/
AgClにおける増殖促進効果の機構を示す。
【図11】鉄イオンおよび硫黄のサイクリックボルタン
メトリーに及ぼす鉄酸化細菌(チオバチルス・フェロオ
キシダンス)添加による効果を示すグラフである。aが
細菌を添加した場合を示す。
メトリーに及ぼす鉄酸化細菌(チオバチルス・フェロオ
キシダンス)添加による効果を示すグラフである。aが
細菌を添加した場合を示す。
【図12】水素のサイクリックボルタンメトリーに及ぼ
す脱窒細菌(パラコッカス・デニトリフィカンス)添加
による効果を示すグラフである。aが細菌を添加した場
合を示す。
す脱窒細菌(パラコッカス・デニトリフィカンス)添加
による効果を示すグラフである。aが細菌を添加した場
合を示す。
【図13】硫黄のサイクリックボルタンメトリーに及ぼ
す硫黄酸化細菌(チオバチルス・チオオキシダンス)添
加による効果を示すグラフである。aが細菌を添加した
場合を示す。
す硫黄酸化細菌(チオバチルス・チオオキシダンス)添
加による効果を示すグラフである。aが細菌を添加した
場合を示す。
【図14】印加による化学独立栄養細菌への直接電子移
動を概念的に示す図である。
動を概念的に示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 化学独立栄養細菌の培養を該細菌の電子
供与体を含有する培地中に前記細菌の増殖に適した範囲
の電位を印加して行うことを特徴とする化学独立栄養細
菌の培養方法。 - 【請求項2】 鉄酸化細菌の培養を第一鉄イオン(Fe
2+)を含有する培地中に0.5ないし−0.4V v
s.Ag/AgClまたは−0.4ないし−1.0V
vs.Ag/AgClの電位を印加して行うことを特徴
とする鉄酸化細菌の培養方法。 - 【請求項3】 化学独立栄養細菌の培養を該細菌の電子
供与体を含有する培地中に前記細菌の増殖に適した範囲
の電位を印加して行い、培地に加えられた電気エネルギ
ーを前記細菌の生体エネルギーとして直接利用させるこ
とを特徴とする化学独立栄養細菌の培養方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7205256A JPH0928372A (ja) | 1995-07-19 | 1995-07-19 | 電位制御による化学独立栄養細菌の培養方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7205256A JPH0928372A (ja) | 1995-07-19 | 1995-07-19 | 電位制御による化学独立栄養細菌の培養方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0928372A true JPH0928372A (ja) | 1997-02-04 |
Family
ID=16503981
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7205256A Pending JPH0928372A (ja) | 1995-07-19 | 1995-07-19 | 電位制御による化学独立栄養細菌の培養方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0928372A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009065940A (ja) * | 2007-09-14 | 2009-04-02 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 微生物の培養方法及び微生物の培養装置 |
| JP2010091394A (ja) * | 2008-10-08 | 2010-04-22 | Fujitsu Ltd | 電解溶液中の作用電極電位印加方法および作用電極の電位制御装置 |
| US9446406B2 (en) | 2012-06-29 | 2016-09-20 | Biocontrol Systems, Inc. | Sample collection and bioluminescent analysis system |
| JP2017018078A (ja) * | 2015-07-08 | 2017-01-26 | Jx金属株式会社 | 耐砒素性に優れた鉄酸化細菌、該細菌の製造方法、該細菌用の培地、及び該細菌を用いたスコロダイトの製造方法 |
| JP2019154435A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | 株式会社熊谷組 | エチレン生産方法およびエチレン製造装置 |
| JP2022146325A (ja) * | 2021-03-22 | 2022-10-05 | 株式会社熊谷組 | エチレン生産方法 |
| CN116239213A (zh) * | 2023-02-23 | 2023-06-09 | 北京工业大学 | 一种电化学-厌氧氨氧化装置及其运行方法 |
-
1995
- 1995-07-19 JP JP7205256A patent/JPH0928372A/ja active Pending
Cited By (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009065940A (ja) * | 2007-09-14 | 2009-04-02 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 微生物の培養方法及び微生物の培養装置 |
| JP2010091394A (ja) * | 2008-10-08 | 2010-04-22 | Fujitsu Ltd | 電解溶液中の作用電極電位印加方法および作用電極の電位制御装置 |
| US9446406B2 (en) | 2012-06-29 | 2016-09-20 | Biocontrol Systems, Inc. | Sample collection and bioluminescent analysis system |
| US10684232B2 (en) | 2012-06-29 | 2020-06-16 | Biocontrol Systems, Inc. | Sample collection and bioluminescent analysis system |
| JP2017018078A (ja) * | 2015-07-08 | 2017-01-26 | Jx金属株式会社 | 耐砒素性に優れた鉄酸化細菌、該細菌の製造方法、該細菌用の培地、及び該細菌を用いたスコロダイトの製造方法 |
| JP2019154435A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | 株式会社熊谷組 | エチレン生産方法およびエチレン製造装置 |
| JP2022146325A (ja) * | 2021-03-22 | 2022-10-05 | 株式会社熊谷組 | エチレン生産方法 |
| CN116239213A (zh) * | 2023-02-23 | 2023-06-09 | 北京工业大学 | 一种电化学-厌氧氨氧化装置及其运行方法 |
| CN116239213B (zh) * | 2023-02-23 | 2023-10-24 | 北京工业大学 | 一种电化学-厌氧氨氧化装置及其运行方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050525 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050928 |