JPH09299876A - 耐アルカリ性に優れた有機被膜処理金属帯の製造方法 - Google Patents

耐アルカリ性に優れた有機被膜処理金属帯の製造方法

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JPH09299876A
JPH09299876A JP8121911A JP12191196A JPH09299876A JP H09299876 A JPH09299876 A JP H09299876A JP 8121911 A JP8121911 A JP 8121911A JP 12191196 A JP12191196 A JP 12191196A JP H09299876 A JPH09299876 A JP H09299876A
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和久 小川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ脱脂の条件が苛酷な場合でも、有機
被膜処理鋼帯の合成樹脂被膜の剥離を防止する。 【解決手段】 クロメート処理が施され、表面粗度が中
心線平均粗さRaで0.5μm以上である電気亜鉛めっ
き鋼帯13の表面に、酸価3〜20KOHmg/g、分
子量10000以上、ガラス転移温度0〜30℃の水分
散性アクリル樹脂のエマルジョン溶液を塗布し、引続き
電気亜鉛めっき鋼帯13の温度を160〜230℃の範
囲の値になるように加熱乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属帯の表面に薄
い合成樹脂被膜を被覆した有機被膜処理金属帯の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属帯、たとえば電気亜鉛めっき鋼帯は
表面外観、加工性および耐食性の優れた材料として電機
機器のハウジングなどに広く使用されている。一般に前
記ハウジングの製造は、電気亜鉛めっき鋼帯から、素板
を打抜いた後、プレス油を塗布して成形加工し、引き続
きアルカリ脱脂によってプレス油の除去を行い、さらに
粉体塗装を施すことによって行われている。しかしなが
ら、前記電気亜鉛めっき鋼帯には取扱い中に指紋等の汚
れが付着しやすいという問題があり、それによって粉体
塗装後の外観不良や塗膜密着性の低下などの不具合の発
生を招くことがしばしばあった。
【0003】前記汚れ対策として、現在最も広く行われ
ているのは、有機被膜処理と呼ばれる薄い合成樹脂被膜
を電気亜鉛めっき鋼帯の表面に被覆する方法である。前
記有機被膜処理電気亜鉛めっき鋼帯(以後、有機処理め
っき鋼帯と略称することがある)の製造は、合成樹脂を
水に分散させたエマルジョン溶液を電気亜鉛めっき鋼帯
の表面に塗布ロールによって塗布し、引き続きエマルジ
ョン溶液が塗布された電気亜鉛めっき鋼帯の温度を10
0〜130℃の範囲の値になるように加熱して、被膜を
乾燥することによって行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、有機処
理めっき鋼帯の表面には、薄い合成樹脂被膜が形成され
ているので、耐指紋性が良好であり、汚れの付着を効果
的に防止することができる。このため、前記電気亜鉛め
っき鋼帯の代わりに有機処理めっき鋼帯を用いることに
よって、指紋等の汚れに起因する不具合の発生を効果的
に防止することができる。
【0005】しかしながら、前記有機処理めっき鋼帯に
は、アルカリ脱脂時の脱脂条件が苛酷な場合に有機被膜
の密着強度が低下し、被膜が剥離しやすくなるという問
題がある。有機被膜の密着強度の低下は、その表層に形
成される粉体塗装被膜の密着強度の低下を招くので、前
記問題は早急に解決すべき課題である。なお前記苛酷な
アルカリ脱脂条件とは、脱脂剤の濃度(PH)が高く、
かつ脱脂時間が長時間の場合であり、たとえば脱脂剤で
あるケイ酸ソーダ濃度;30g/l、PH;11、脱脂
時間12分の条件などがそれに該当する。
【0006】本発明者らは、前記問題について詳細な研
究を重ねた結果、合成樹脂被膜の酸価、分子量およびガ
ラス転移温度を適正範囲の値とし、かつ素材である電気
亜鉛めっき鋼帯の表面粗さを適正範囲の値とし、さらに
前記合成樹脂被膜の乾燥加熱温度を適正範囲の値とする
ことによって苛酷なアルカリ脱脂条件下でも被膜の剥離
を防止することができることを見いだした。
【0007】本発明は、前記知見に基づいて成されたも
のであり、その目的は、アルカリ脱脂の条件が苛酷な場
合でも合成樹脂被膜の密着強度の低下を防止し、被膜の
剥離を確実に防止することができる有機被膜処理金属帯
の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、乾燥後に酸価
が3〜20KOHmg/gであり、分子量が10000
以上であり、ガラス転移温度が0〜30℃である水分散
性合成樹脂のエマルジョン溶液を、クロメート処理が施
され、表面粗度が中心線平均粗さRaで0.5μm以上
である金属帯の表面に塗布し、引続き金属帯の温度を1
60〜230℃の範囲の値になるように加熱することを
特徴とする耐アルカリ性に優れた有機被膜処理金属帯の
製造方法である。本発明に従えば、合成樹脂被膜中の遊
離脂肪酸の含有量を表す酸価が適正範囲の値に設定され
ている。酸価の上限値が適正に設定されているので、有
機被膜処理金属帯を成形加工後、アルカリ脱脂を行う際
に、脱脂剤のアルカリ分と遊離脂肪酸との中和反応生成
物の生成量が抑制される。前記中和反応生成物は、合成
樹脂被膜中に生成して、被膜の密着強度を低下させるの
で、中和反応生成物の生成量の抑制は、結果的に被膜の
密着力を向上させる。また、酸価の下限値が適正に設定
されているので、合成樹脂被膜とクロメート被膜との水
素結合が促進され、合成樹脂被膜の密着力が向上する。
さらに、合成樹脂被膜の分子量の下限値が適正に設定さ
れているので、合成樹脂被膜の耐アルカリ性が向上す
る。さらにまたガラス転移温度の下限値が適正に設定さ
れているので、合成樹脂被膜の硬度の過度な軟化が回避
され、コイル巻取時の合成樹脂被膜同志の接着が確実に
防止される。また、ガラス転移温度の上限値が適正に設
定されているので、合成樹脂被膜の硬度の過度な硬化が
防止され、合成樹脂被膜の加工密着性が向上する。さら
にまた、金属帯の表面粗度の下限値が適正に設定されて
いるので、そのアンカー効果によって合成樹脂被膜の密
着性が向上する。さらにまた、合成樹脂を塗布した金属
帯の加熱温度の下限値が適正に設定されているので、合
成樹脂被膜とクロメート被膜との水素結合が促進され、
合成樹脂被膜の密着力が向上する。また、金属帯の加熱
温度の上限値が適正に設定されているので、金属帯の加
熱温度が過大であるときに発生しやすい合成樹脂被膜の
変色が確実に防止される。このように、本発明では適正
条件の設定によって、合成樹脂被膜の密着力を向上させ
ることができるので、アルカリ脱脂条件が苛酷であって
も、合成樹脂被膜の剥離の発生を確実に防止することが
できる。このため、耐アルカリ性に優れた有機被膜処理
金属帯を効率的に製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明にかかわる有機被膜
処理電気亜鉛めっき鋼帯(以後、有機処理めっき鋼帯と
略称することがある)の構成を簡略化して示す断面図で
あり、図2は図1に示す有機処理めっき鋼帯を好適に製
造することのできる有機被膜処理装置の構成を簡略化し
て示す概要図であり、図3は合成樹脂被膜(以後、有機
被膜と略称することがある)の酸価と被膜剥離面積率と
の関係を示すグラフであり、図4は有機処理めっき鋼帯
の板温と被膜剥離面積率との関係を示すグラフであり、
図5は有機処理めっき鋼帯の板温と有機被膜の黄色度b
値との関係を示すグラフである。
【0010】図1を参照して、有機処理めっき鋼帯1
は、素地材料である電気亜鉛めっき鋼帯13と、その表
面に形成される有機被膜5とを含んで構成され、電気亜
鉛めっき鋼帯13は、母材鋼帯3と、母材鋼帯3の表面
に形成される亜鉛めっき層4と、亜鉛めっき層4の表面
に形成されるクロメート被膜2とを含んで構成される。
電気亜鉛めっき鋼帯13を構成する母材鋼帯3は、たと
えば低炭素アルミニウムキルド鋼であり、その金属組織
は冷間圧延後、焼なましされた再結晶組織である。低炭
素アルミニウムキルド鋼は、優れた加工性を有してお
り、複雑な成形加工を行うことができる。母材鋼帯3の
寸法は、たとえば板厚;0.5〜1.6mm、板幅;6
00〜1300mmである。なお、母材鋼帯3の材質と
しては、低炭素アルミニウムキルド鋼に限定されるもの
ではなく、低炭素鋼やステンレス鋼などでもよく、さら
に鋼でなく他の金属であってもよい。
【0011】亜鉛めっき層4は、電気亜鉛めっきによっ
て形成されるめっき層であり、その材質は、たとえば純
亜鉛である。亜鉛めっき層4の付着量は、たとえば5〜
30g/m2 (片面)である。なお亜鉛めっき層4の材
質としては、純亜鉛に限定されるものではなく、亜鉛ニ
ッケル合金などでもよい。クロメート被膜2は、亜鉛め
っき層4の耐食性を向上させる被膜であり、クロメート
処理によって形成される。クロメート処理は、クロメー
ト処理液を亜鉛めっき層4の表面に塗布または噴射する
ことによって行われる。クロメート処理液は、クロム
酸、クロム酸塩、鉱酸を主剤とする水溶液であり、クロ
メート被膜2は、クロムを主とする塩、酸化物、水和物
などから構成される。なお、クロメート被膜2の付着量
は、たとえば10〜30mg/m2 である。
【0012】電気亜鉛めっき鋼帯13の表面粗度は、中
心線平均粗さRaで0.5μm以上とすることが好まし
い。これは、表面粗度が大きくなるにつれてアンカー効
果が大きくなり、電気亜鉛めっき鋼帯13とその表面に
形成される有機被膜5との機械的な密着力が向上するか
らである。
【0013】有機被膜5は、たとえばアクリル樹脂から
成る被膜である。アクリル樹脂は、無色透明な樹脂であ
り、多くの種類がある。有機被膜5として用いられるア
クリル樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または
共重合体が挙げられる。また、アクリル酸エステルとし
ては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレートなどがある。本実施の形態では、アクリ
ル樹脂として水分散性であり、かつ汚れの付着しにくい
アクリル酸、ブチルアクリレート、メチルアクリレート
の重合体または共重合体を用いている。有機被膜5は、
前記アクリル樹脂を水に分散させたエマルジョン溶液
を、電気亜鉛めっき鋼帯13に塗布して加熱乾燥するこ
とによって形成される。
【0014】前記有機被膜5は、その酸価を3〜20K
OHmg/gに、その分子量を10000以上に、その
ガラス転移温度を0〜30℃に、その膜厚を0.5〜
5.0μmにすることが好ましい。有機被膜5の膜厚を
前記範囲に限定したのは、0.5μm未満の膜厚では指
紋などの汚れ付着防止効果が充分でないからであり、
5.0μmを越える膜厚では前記汚れ付着防止効果が飽
和するからである。有機被膜5の酸価を前記範囲に限定
した理由については、図3を参照して以下に説明する。
【0015】図3の横軸には、有機被膜5の酸価が表さ
れており、縦軸には被膜剥離面積率が表されている。前
記酸価は、樹脂中の遊離酸の含有量を表す値であり、樹
脂1g中に含まれる遊離酸を中和するのに要する水酸化
カリウム(KOH)のミリグラム数で表される。前記被
膜剥離面積率は、アルカリ脱脂による有機被膜の耐剥離
性を表す値であり、その値は有機処理めっき鋼帯をPH
11、温度40℃に調整したアルカリ脱脂溶液中に12
分間浸漬し、取出して乾燥した後、セロハンテープを貼
付け、さらにそれを剥取り、セロハンテープに付着して
剥取られた有機被膜剥離面積のセロハンテープ貼付け総
面積に対する割合を算出することによって求められる。
図3から、有機被膜の酸価が3〜20KOHmg/gの
範囲では、被膜剥離面積率が非常に小さく、被膜の剥離
がほとんど生じないこと、前記酸価が20KOHmg/
gを超えるか、または3KOHmg/g未満では、被膜
剥離面積率が急激に増大して被膜の密着性および耐剥離
性が著しく低下することなどが判る。
【0016】このように、有機被膜5の酸価が適正範囲
の値である場合に、アルカリ脱脂を前記苛酷な条件で行
っても被膜の剥離が生じないのは、次のように理解する
ことができる。前述のように酸価は、樹脂中の遊離脂肪
酸の含有量を表すので、樹脂の酸価が適正値であること
は樹脂中の遊離脂肪酸の含有量が適正値であり、過剰な
遊離脂肪酸が存在しないことを意味する。前記遊離脂肪
酸は酸性を示すので、アルカリ脱脂中、脱脂剤のアルカ
リ分と中和反応を生じて有機被膜中に反応生成物を生成
する。前記中和反応生成物は、生成量の増大につれて被
膜の密着力を低下させるので、過剰な遊離脂肪酸が存在
する場合には被膜の密着力が大幅に低下する。これに対
して、有機被膜5の酸価が適正値である場合には、前記
中和反応生成物の過剰な生成が防止されるので、有機被
膜5の密着力の低下が回避され、被膜剥離が防止され
る。また、有機被膜5の酸価の下限値が適正に設定され
ているので、有機被膜5とクロメート被膜2との水素結
合が促進され、両者の結合力が増大する。その結果、有
機被膜5の密着力が向上し、有機被膜5の剥離が防止さ
れる。
【0017】前記被膜被膜5のガラス転移温度が0〜3
0℃に限定されているのは、次のような理由によるもの
である。ガラス転移温度が0℃未満のときには、有機被
膜5の硬度が過小となり、有機処理めっき鋼帯1をコイ
ル状に巻取るときに有機被膜5が相互に接着するという
不具合が発生する。ガラス転移温度が30℃を超えると
きには、有機被膜5の硬度が過大となり、被膜の加工密
着性が低下するという不具合が発生する。これに対し
て、ガラス転移温度が0〜30℃のときには、有機被膜
5の硬度が適正であるので、前記不具合の発生を回避す
ることができる。また、前記有機被膜5の分子量が10
000以上に限定されているのは、その範囲において有
機被膜5の耐アルカリ性が大幅に向上するからである。
【0018】以上述べたように、本実施の形態の有機処
理めっき鋼帯1には、酸価3〜20KOHmg/g、ガ
ラス転移温度0〜30℃、分子量10000以上、厚さ
0.5〜5.0μmの有機被膜5が表面に形成されてい
るので、苛酷な条件でアルカリ脱脂を施しても、有機被
膜5の密着力の低下が回避され、有機被膜の剥離の発生
が確実に防止される。また、有機被膜の厚さが適正範囲
の値に形成されているので、指紋など汚れの付着を確実
に防止することができる。このため、本実施の形態の有
機処理めっき鋼帯1は優れた耐アルカリ性および耐指紋
性を有している。
【0019】図2を参照して、有機被膜処理装置7は第
1冷却手段8と、塗布手段9と、乾燥炉10と、加熱手
段21と、第2冷却手段12とを含んで構成される。本
実施の形態の有機被膜処理装置7は、電気亜鉛めっき装
置6の下流側に配置されている。第1冷却手段である第
1冷却装置8は、電気亜鉛めっき鋼帯13(以後、めっ
き鋼帯と略称することがある)の温度を調節するための
装置であり、ファン(図示せず)からの冷却用空気をめ
っき鋼帯13に吹付けてその温度を調節する。
【0020】塗布手段であるロールコータ装置9は、水
分散性アクリル樹脂を水に分散させたエマルジョン溶液
をめっき鋼帯13の表面に塗布するための装置であり、
塗布ロール14と、持上げロール15と、中間ロール1
6と、トレイ17と、冷凍機18とを含んで構成され
る。塗布ロール14、持上げロール15および中間ロー
ル16は相互に所定の隙間を隔てて配置されており、各
ロールの軸線は互いに平行で、かつめっき鋼帯13の表
面に対して平行である。
【0021】持上げロール15は、前記エマルジョン溶
液が満たされたトレイ17に浸漬されており、持上げロ
ール15の回転により前記エマルジョン溶液の一部が持
上げられ、中間ロール16を介して、塗布ロール14に
移送され、めっき鋼帯13の表面に塗布される。塗布ロ
ール14、持上げロール15および中間ロール16は、
ともに駆動されており、これら各ロールの隙間はめっき
鋼帯13に塗布されるべき前記エマルジョン溶液の厚み
を決定する。前記エマルジョン溶液の厚みは、たとえば
5〜12μmであり、前記エマルジョン溶液のアクリル
樹脂濃度は、たとえば35%である。また、塗布ロール
14とめっき鋼帯13との隙間は、塗布ロール14に移
送された前記エマルジョン溶液がすべてめっき鋼帯13
に塗布されるように設定される。前記エマルジョン溶液
は、冷凍機18によって所定温度に冷却された状態でト
レイ17内に貯留される。なお、ロールコータ装置9を
構成する各構成要素は、めっき鋼帯13を挟んで上下に
同一構成で配置されている。
【0022】前記乾燥炉10は、めっき鋼帯13の表面
に塗布された前記エマルジョン溶液を乾燥させるための
炉であり、上流側から第1乾燥帯10a、第2乾燥帯1
0b、第3乾燥帯10cおよび第4乾燥帯10dがこの
順序で配置されている。各乾燥帯10a〜10dには、
炉内温度を検出する熱電対19がそれぞれ設けられてお
り、乾燥炉10の出側には有機処理めっき鋼帯1の温度
を検出する放射温度計20が設けられている。
【0023】前記加熱手段であるガスバーナ21は、前
記各乾燥帯10a〜10dにそれぞれ設けられ、天然ガ
スと空気とを混合して燃焼し、炉内温度を昇温させる。
ガスバーナ21の設置位置は、実際にはめっき鋼帯13
の板幅端面を臨む側壁であるけれども、図2では図解の
便宜のためガスバーナ21を炉壁下部に記載している。
天然ガスは、ガスタンク23からガス供給管路24を経
てガスバーナ21に供給される。ガス供給管路24に
は、減圧弁25および流量調整弁26が設けられてお
り、それらは天然ガスの圧力および流量を調節する。燃
焼用空気は、空気圧縮機27から空気供給管路28を経
てガスバーナ21に供給される。空気供給管路28に
は、減圧弁29および流量調整弁30が設けられてお
り、それらは燃焼用空気の圧力および流量を調節する。
なおこの構成は、前記各乾燥帯10a〜10dとも全く
同一である。前記第2冷却手段である第2冷却装置12
は、有機処理めっき鋼帯1を冷却するための装置であ
り、ファン(図示せず)からの冷却用空気を有機処理め
っき鋼帯1に吹付けて冷却する。
【0024】電気亜鉛めっき鋼帯13は、第1冷却装置
8においてその温度を所定温度に調節された後、支持ロ
ール34を経てロールコータ装置9に搬送される。ロー
ルコータ装置9に搬送されためっき鋼帯13は、所定温
度に調節された前記エマルジョン溶液を所定厚みになる
ように塗布され、乾燥炉10に搬入される。乾燥炉10
に搬入された有機処理めっき鋼帯1は、第1乾燥帯10
a、支持ロール35、第2〜第4乾燥帯10b〜10d
を順次通過しながら加熱され、加熱温度が所定温度にな
るように制御される。乾燥炉10から搬出された有機処
理めっき鋼帯1は、支持ロール36を経て第2冷却装置
12に搬送され、その温度を所定温度になるように冷却
される。第2冷却装置12から搬送された有機処理めっ
き鋼帯1は、支持ロール37を経てさらに下流側に搬送
される。
【0025】前記乾燥炉10における有機処理めっき鋼
帯1の温度制御は、前記放射温度計20の検出温度が所
定温度範囲の値となるように、第1〜第4乾燥帯10a
〜10dの炉内温度を制御することによって行われる。
また、前記炉内温度の制御は、炉内温度が予め定める設
定温度と一致するように、ガスバーナ21の燃焼発熱量
を制御することによって行われ、ガスバーナ21の燃焼
発熱量の制御は、ガスバーナ21に供給される天然ガス
および空気の流量を調節することによって行われる。
【0026】前記炉内温度の設定値は、有機処理めっき
鋼帯1の目標加熱温度毎に操業実績値に基づいて予め定
められる。前記目標加熱温度が180℃の場合における
炉内温度の設定値の一例を表1に示す。表1には、前記
炉内温度の設定値が有機処理めっき鋼帯1の板厚および
搬送速度によって層別されて示されている。表1から、
板厚および搬送速度の少なくとも一方が大きくなるにつ
れて炉内温度の設定値が高温になるように設定されてい
ること、板厚が厚くなるほど搬送速度が小さくなるよう
に設定されていることなどが判る。
【0027】
【表1】
【0028】前記有機処理めっき鋼帯1の製造は、前記
エマルジョン溶液をめっき鋼帯13の表面に塗布する塗
布工程と、前記エマルジョン溶液を塗布しためっき鋼帯
13を加熱して乾燥させる乾燥工程と、加熱して乾燥さ
せた有機処理めっき鋼帯1を冷却する冷却工程とをこの
順序で順次実施することによって行われる。
【0029】前記塗布工程では、前述のようにロールコ
ータ装置9の塗布ロール14とめっき鋼帯13との間隔
が所定値になるように調節されて前記エマルジョン溶液
の塗布が行われる。
【0030】前記乾燥工程では、前述のように前記エマ
ルジョン溶液を塗布しためっき鋼帯13が所定温度にな
るように加熱され乾燥される。本実施の形態では、前記
エマルジョン溶液を塗布しためっき鋼帯13の板温(以
後、板温と略称することがある)を160〜230℃の
範囲の値になるように加熱することが好ましい。前記板
温を前記温度範囲に限定した理由については、図4およ
び図5を参照して以下に説明する。
【0031】図4の横軸は前記板温を表しており、図4
の縦軸は被膜剥離面積率を表している。図4に示す被膜
剥離面積率の測定方法は、前記図3に示すそれと全く同
一である。図4から、前記板温が高くなるにつれて被膜
剥離面積率が小さくなること、前記板温が160℃以上
では被膜剥離面積率が非常に小さく、被膜の剥離がほと
んど生じないことが判る。これは、前記板温の上昇に伴
い、有機被膜5と下地のクロメート被膜2との水素結合
反応が促進され、両者の結合力が増大することによるも
のと理解される。
【0032】前記図5の横軸は前記板温を表しており、
図5の縦軸は有機被膜5の黄色度b値を表している。b
値は、有機被膜5の黄色の度合を表す指標であり、b値
が高くなるほど黄味が強くなることを意味している。図
5から、前記板温が230℃を超えるとb値が急激に大
きくなっており、変色の生じていることが判る。
【0033】本実施の形態において前記板温を160〜
230℃に限定したのは、この理由によるものである。
なお前記板温は、160〜200℃の範囲の値にするこ
とが省エネルギの観点から特に好ましい。このように、
本実施の形態では耐被膜剥離性および耐被膜変色性に優
れた有機処理めっき鋼帯を効率的に製造することができ
る。
【0034】前記冷却工程では、有機処理めっき鋼帯1
が50℃以下の温度になるように冷却される。これによ
って、有機処理めっき鋼帯1の有機被膜5は後続配置さ
れるブライドルロール(図示せず)に巻掛けられて搬送
されてもロール表面に付着するおそれがなくなる。
【0035】なお、有機処理被膜が被覆される金属帯の
材質としては、電気亜鉛めっき鋼帯に限定されるもので
はなく、他のめっき鋼帯およびステンレス鋼帯ならびに
他の金属帯でもよい。
【0036】
【実施例】クロメート処理を施した電気亜鉛めっき鋼板
13にアクリル樹脂エマルジョンを塗布し、加熱乾燥し
て有機処理めっき鋼帯1を製造した。素材である電気亜
鉛めっき鋼板13の板厚は0.8mmであり、亜鉛めっ
き付着量(片面)は20g/m2であり、表面粗度は中
心線平均粗さRaで2.0μmである。また、クロメー
ト処理後の電気亜鉛めっき鋼板13のクロム付着量は1
5mg/m2であり、乾燥後の有機処理めっき鋼帯1の
有機被膜5の膜厚は2.0μmである。表2に有機被膜
5の酸価、分子量、ガラス転移温度および乾燥温度を本
発明の条件を全て満たす実施例と本発明の条件からはず
れている比較例についてそれぞれ示す。
【0037】
【表2】
【0038】また、表3に前記実施例および比較例の性
能評価結果を耐アルカリ性、耐ブロッキング性、加工密
着性、耐変色性についてそれぞれ示す。なお、前記各性
能評価は有機処理めっき鋼帯1から採取したサンプルを
用いて次のような方法でそれぞれ行った。(1)耐アル
カリ性 液温50℃、pH12.8に調整した珪酸ソーダ系アル
カリ脱脂剤中にサンプルを3分間浸漬し、取出して乾燥
した後、セロハンテープを貼付け、セロハンテープ剥取
後の有機被膜残存率を求め、下記基準に基づいて評価し
た。 ○:被膜残存率 100%、△:被膜残存率70%以上
100%未満、×:被膜残存率 70%未満 (2)耐ブロッキング性 サンプルを積層して温度40℃、加圧力150kgf/
cm2 で24時間押圧し、押圧後に有機被膜が相互に接
着してブロッキング(塊状化)しているか否かによって
評価した。 ○:有機被膜の接着なし、×:有機被膜の接着有り (3)加工密着性 デュポン衝撃試験機を用いて重量500gfの重錘を5
0cmの高さからサンプル上に落下させてサンプルを加
工し、加工部にセロハンテープを貼付け、セロハンテー
プ剥取後における有機被膜の剥離の有無により評価し
た。 ○:剥離なし、×:剥離有 (4)耐変色性 有機被膜表面の黄色度b値を測定して評価した。 ○:b値2以下、変色なし、×:b値2超、変色(黄
変)有
【0039】
【表3】
【0040】表3から、実施例については全ての性能の
評価結果が良好であること、比較例については評価結果
の悪い性能が存在することなどが判る。このように本発
明に基づく有機処理めっき鋼帯1は、有機被膜5の密着
性が良好であり、アルカリ脱脂条件が苛酷であっても有
機被膜の剥離を確実に防止することができる。また、耐
ブロッキング性、加工密着性および耐変色性についても
優れた性能を有している。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、合成樹脂
被膜の酸価、分子量、ガラス転移温度および金属帯の表
面粗度、加熱温度が適正に設定されているので、耐アル
カリ性、耐ブロッキング性、加工密着性、耐変色性に優
れた有機被膜処理金属帯を効率的に製造することができ
る。このため、有機被膜処理金属帯の出荷先でのアルカ
リ脱脂条件が苛酷である場合でも、有機被膜の剥離の発
生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる有機被膜処理電気亜鉛めっき
鋼帯の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】図1に示す有機処理めっき鋼帯を好適に製造す
ることのできる有機被膜処理装置の構成を簡略化して示
す概要図である。
【図3】有機被膜の酸価と被膜剥離面積率との関係を示
すグラフである。
【図4】有機処理めっき鋼帯の板温と被膜剥離面積率と
の関係を示すグラフである。
【図5】有機処理めっき鋼帯の板温と有機被膜の黄色度
b値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 有機被膜処理電気亜鉛めっき鋼帯 2 クロメート被膜 3 母材鋼帯 4 亜鉛めっき層 5 有機被膜 7 有機被膜処理装置 8 第1冷却手段 9 塗布手段 10 乾燥炉 12 第2冷却手段 13 電気亜鉛めっき鋼帯 21 加熱手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 靖隆 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社堺製造所内 (72)発明者 小川 和久 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社堺製造所内 (72)発明者 武津 博文 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥後に酸価が3〜20KOHmg/g
    であり、分子量が10000以上であり、ガラス転移温
    度が0〜30℃である水分散性合成樹脂のエマルジョン
    溶液を、クロメート処理が施され、表面粗度が中心線平
    均粗さRaで0.5μm以上である金属帯の表面に塗布
    し、引続き金属帯の温度を160〜230℃の範囲の値
    になるように加熱することを特徴とする耐アルカリ性に
    優れた有機被膜処理金属帯の製造方法。
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