JPH09300207A - 研磨布ドレッシング方法およびその装置 - Google Patents

研磨布ドレッシング方法およびその装置

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JPH09300207A
JPH09300207A JP12598496A JP12598496A JPH09300207A JP H09300207 A JPH09300207 A JP H09300207A JP 12598496 A JP12598496 A JP 12598496A JP 12598496 A JP12598496 A JP 12598496A JP H09300207 A JPH09300207 A JP H09300207A
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dresser
dressing
grindstone
rotation speed
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Hideo Saito
藤 日出夫 齊
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨布とドレッサ砥石の回転数比等の最良の
条件を見出し、ドレッシングした後の研磨布の平坦性を
向上させることを可能とする研磨布ドレッシング方法お
よびその装置を提供する。 【解決手段】 研磨布の円環状の使用領域の幅以上の内
径を有するリング状のドレッサ砥石を回転定盤上に固定
した前記研磨布に回転させながら押し付け、前記研磨布
に前記ドレッサ砥石と同一の方向で所定の回転数の回転
運動を与えながら、前記研磨布の使用領域内の半径方向
各位置における前記ドレッサ砥石の摺動距離分布が均一
となるように研磨布のドレッシングを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転定盤上に取り
付けた研磨布に工作物を押し付けながら研磨して工作物
に平面を創成する加工を行なうための研磨加工に用いる
研磨布のドレッシング方法およびその装置に係り、特
に、平面度を維持するために、リング状の砥石を用いて
研磨布を形状修正する研磨布ドレッシング方法およびそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近では、たとえば、半導体ウェハのポ
リッシングプロセスをはじめとして、高度な平坦性を保
ってウェーハのポリッシング加工を実施することが特に
要求されるようになってきている。このような超精密研
磨加工に用いられる研磨装置によって、加工物に平面を
創成する場合、加工物の加工面に平行に対向する定盤の
平面度が優れていることが、工作物の平面精度を高める
ために必要である。
【0003】この種の研磨加工では、定盤自身も研磨材
により研磨作用を受けるために、定盤の平面度も徐々に
劣化することになる。このため、定盤の平面度を維持す
るため、適宜に砥石を用いて形状修正を行なう必要があ
る。
【0004】定盤の平面度を修正するドレッシングの重
要性は、従来から認識されていながら、この定盤の形状
修正は経験的な方法によっているのが現状である。例え
ば、研磨加工の一種であるラップ加工に用いる定盤につ
いては、その形状劣化に対処するため、定盤上に工作物
を入れた修正リングを載せて、この修正リングをラップ
の摩耗の状態によって、定盤の半径方向に適切に移動し
ながら取り付け、ラップの平面度を加工しがら矯正する
ことが行なわれている(「精密仕上げと特殊加工」明現
社 1987年、98頁〜90頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】研磨装置のなかでも、
エラストマ、軟質プラスチック、繊維を規則的に編み込
んだ織物、または、不織布などからなる研磨布を定盤上
に張り付けて研磨を行なう研磨装置では、研磨布につい
てもドレッシングを適宜行ない、形状を修正する必要が
ある。ところが、現在のところ、この種の研磨布につい
ては、形状修正の条件を試行錯誤を重ねて見出している
段階であり、現在のところ、形状修正の方法についての
確立した技術がないのが現状である。
【0006】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の
有する問題点を解消し、研磨布とドレッサ砥石の回転数
比等の最良の条件を見出し、ドレッシングした後の研磨
布の平坦性を向上させることを可能とする研磨布ドレッ
シング方法およびその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるドレッシン
グ方法のように、リング状の砥石に回転を与え、回転定
盤上の研磨布にも砥石と同一方向の回転運動を与えなが
ら、研磨布をドレッシングする加工では、その加工のメ
カニズムは、同じように砥石を使用する金属・硬脆材料
の研削加工とは基本的に異なるものと考えられる。金属
・硬脆材料の研削加工では、砥石の切り込み量により加
工量や加工形状が決まるのに対して、研磨布の場合は柔
らかく、砥石が押し付けられることにより弾性変形して
しまうため、砥石の切り込み量に加工量・加工形状が対
応しないためである。
【0008】従来、研磨布のドレッシングに関しては、
試行錯誤により経験的に加工条件を決定せざるを得なか
ったのは、この研磨布加工の特質に基づくものと考えら
れる。
【0009】本発明による研磨布のドレッシング方法
は、従来のドレッシング加工とは基本的な着眼点を異に
し、研削加工よりむしろ研磨加工に類似の加工特性をも
つものと想定して、最適な加工条件を見出したものであ
る。
【0010】一般に研磨加工では、加工量と強い相関関
係があるとされているのは、加工物と研磨定盤との面圧
および研磨布の表面を砥石が摺動する距離である。実際
には、研磨材の破砕や劣化のために面圧・摺動距離と加
工量とは、通常、比例しないものとされているが、本発
明のように砥石を適用する研磨布のドレッシングでは、
加工作用が研磨材と比較して、破砕や劣化の生じにくい
砥石により与えられるため、面圧と加工量、および摺動
距離と加工量は、それぞれほぼ比例することが予測され
る。さらに本発明では、砥石が一定の面圧で研磨布に押
し付けられていると仮定できるので、ドレッシング後の
研磨布の形状は、主に、研磨布各点におけるドレッサの
摺動距離分布により決まるものと考えられる。
【0011】ここで、図4は、リング状の砥石に回転を
与え、回転定盤上の研磨布にも砥石と同一方向の回転運
動を与えながら、研磨布をドレッシングするときの、運
動の位置関係を表わした模式説明図である。この図で、
1は研磨布、2は、砥石である。研磨布1は、その回転
中心がO1 で、定盤上に貼着されて回転数N1 で回転す
る。砥石2はその回転中心をO2 として回転数N2 で同
一方向に回転させる。
【0012】研磨布1は、その半径がRで、そのうち、
図4で網目で示した領域が実際に研磨で使用される領域
であり、幅Wの同心領域である。本発明のドレッシング
では、この使用領域を整形する。Aは、研磨布1の中心
O1 から使用領域の中心位置までの距離である。なお、
Do はドレッサの外径で、Di はドレッサの内径であ
り、研磨布1の使用領域をこの寸法のドレッサで整形す
る場合、 W≦Di <Do ≦R、A≧Do /2 の関係がある。
【0013】次に、図5は、研磨布1の各点における砥
石2の摺動距離分布を計算機シミュレーションによって
求めた例を表わした図である。
【0014】加工条件としては、研磨布1とドレッサ砥
石2の回転数を同一として、研磨布1とドレッサ砥石2
がドレッシング開始時と同一の位置関係に戻るまでの1
周期分について、回転中心O1 回りの0゜、+90゜、
+180゜、−90゜の4方向の断面について、摺動距
離分布をシミュレーションした結果を示す。この場合、
ドレッシング時間が研磨布1とドレッサ砥石2の位置関
係の変化の周期に対して整数倍となるときに、上記の4
方向で代表されるような研磨布回転中心回りの各断面に
おける摺動距離分布は同一となる。
【0015】この摺動距離分布からドレッシング後の研
磨布1の形状を予測評価することができる。これを示す
のが図6である。図5の研磨布1の断面のうち、研磨布
1の使用領域の部分について、最大摺動距離を1とし
て、横軸に使用領域の半径方向の各位置をとり、各位置
での摺動距離の比をグラフ化したものである。この図6
では、縦軸を上下反転させて表わすことによって、摺動
距離がドレッシング量に比例すると仮定して、摺動距離
の分布がドレッシング後の研磨布の断面形状に対応する
ようにしている。実際の研磨装置を用いて、同等の条件
下で研磨布のドレッシングを行なった結果、ドレッシン
グ後の実際の研磨布の形状は、図6のグラフの形状と特
徴がよく一致することが確認され、ドレッシング形状の
予測評価において、摺動距離分布を求めることが有効で
あることがわかった。なお、実際のドレッシング量は、
面圧の効果を考慮して摺動距離から変換する必要があ
り、実験の結果、研磨布の各点でのドレッシング量の差
は、摺動距離分布の差よりも緩和されることがわかっ
た。
【0016】本発明による研磨布ドレッシング方法は、
以上のような知見を基礎として、摺動距離分布の均一性
および対称性が良好となる条件を求めることにより、ド
レッシング形状の平坦性を向上させて最適な研磨布形状
を得ようとするもので、研磨布の円環状の使用領域の幅
以上の内径を有するリング状のドレッサ砥石を前記研磨
布に回転させながら押し付け、回転定盤上に固定した前
記研磨布に前記ドレッサ砥石と同一の方向で所定の回転
数の回転運動を与えながら、前記研磨布の使用領域内の
半径方向各位置における前記ドレッサ砥石の摺動距離分
布が均一となるように研磨布のドレッシングを行なうこ
とを特徴とするものである。
【0017】本発明の研磨布ドレッシング方法の好適な
実施形態によれば、前記研磨布の回転数と、ドレッサの
回転数との比が1.5〜4の範囲の回転数比にて研磨布
のドレッシングが行なわれることが好ましく、また、前
記研磨布の使用領域幅に対する前記ドレッサ砥石の内径
の比または前記ドレッサ砥石の内径に対する外径の比を
大きく設定するようにして、ドレッサ砥石の摺動距離分
布が均一となるようにしてもよい。
【0018】また、研磨布あるいは装置の大きさに制限
がある場合は、ドレッサ砥石の外径が研磨布の使用領域
幅の1.5〜1.8倍の範囲内にあるドレッサ砥石を用
いて研磨布のドレッシングを行なうようにすると、研磨
布の使用率の低下を招くことなく、研磨布のドレッシン
グ形状の平坦性を向上させることができる。
【0019】さらに、前記研磨布の中心と研磨布の円環
状の使用領域の中心位置との距離を前記ドレッサ砥石の
外径の0.5倍の値から、ドレッサ外径の0.5倍の値
に使用領域の幅の0.5倍の値を加えた値までの範囲内
に設定することが望ましい。
【0020】このような本発明の研磨布ドレッシング方
法を実施するための装置は、ドレッシング対象の研磨布
が取り付けられ一定の回転数で自転する回転定盤と、前
記研磨布の円環状の使用領域の幅以上の内径を有するリ
ング状のドレッサ砥石と、前記ドレッサ砥石を保持する
とともに所定の回転数で回転運動を与えるドレッサ回転
手段と、前記ドレッサ砥石を前記研磨布上の任意の位置
に位置決めをするとともに、所定の面圧で前記研磨布に
押し付けるドレッサ移動手段と、前記研磨布の回転数
と、ドレッサ砥石の回転数の比を任意の値に制御する回
転数制御手段とを具備することを特徴とするものであ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、添付の図面を参照して説明する。
【0022】図1は、本発明による研磨布ドレッシング
方法を実施するための装置を示す。この図1において、
1は研磨布、2はドレッサ砥石を表わしている。
【0023】研磨布1は、例えば、エラストマ、軟質プ
ラスチック、繊維を規則的に編み込んだ織物あるいは不
織布からなる研磨布で、回転定盤3の上面の同心的な位
置に接着剤等を用いて貼り付けられるものである。回転
定盤3は、機台4に組み込まれている図示しない回転駆
動機構に連結されている。
【0024】一方、劣化した研磨布1の形状修正を行な
うためのドレッサ砥石2は、リング状の砥石を用いたも
ので、ドレッサ回転手段を構成するドレッサ回転ヘッド
5に保持されている。この場合、回転定盤1とドレッサ
砥石2の回転数は、図示されない制御装置によって任意
の回転数に設定・制御することができるようになってい
る。
【0025】ドレッサ回転ヘッド5は、アーム6の一端
に取り付けられるもので、このアーム6の他端で旋回用
のモータを内蔵するドレッサ移動機構部7に連結されて
いる。従って、研磨布1のドレッシング時には、ドレッ
サ回転ヘッド5がドレッサ砥石2を保持したまま旋回し
て、ドレッサ砥石2を、研磨布1の使用領域の直上に位
置決めするとともに、適当な面圧を持って研磨布1に押
し付けることができるように構成されている。ドレッサ
砥石2は、ドレッサ回転ヘッド5により回転運動を与え
られながら、研磨布1上を摺動し、その上面を研磨する
ことができる。
【0026】ドレッシング時には、通常、研磨布1にド
レッサ砥石2と同方向の回転運動が与えられる。また、
ドレッサ移動機構部7は、ドレッサ砥石2を使用してい
ない間は、アーム6を回転定盤2から離れる方向に旋回
させて、ドレッサ砥石2が研磨布1に接触しないように
これを退避させるようになっている。
【0027】図2、図3は、ドレッサ砥石2を示すもの
で、本実施形態では、図2(a)、図3(a)に示すよ
うなドレッサ砥石が用いられる。このリング状のドレッ
サ砥石2は、取り付け板8を介してドレッサ回転機構部
7の回転軸9に連結されている。このようなドレッサ砥
石2は、その内径Di は、研磨布1の使用領域(図5に
網目で示す領域)の幅Wよりも大きい大径のドレッサを
対象としている。
【0028】なお、ドレッサ砥石2としては、図2
(b)、図3(b)に示すように、微小な間隙10を置
くようにして複数の円弧状砥石11をリング状に配した
ものを用いてもよい。このような砥石によれば、間隙1
0からドレッシング液を供給したり、切屑を排除するこ
とができる。
【0029】次に、本発明のドレッシング方法の実施形
態として、以上のような装置により、種々の加工条件を
いろいろと変えて、研磨布をドレッシングした場合につ
いてシミュレーションした結果を挙げ、本発明をより詳
細に説明する。
【0030】研磨布のドレッシング形状の平坦性に影響
を与える加工条件としては、次のようなものがある。
【0031】
【表1】 次に、加工条件を変えてシミュレーションしたデータか
ら摺動距離分布を評価するための指標となるものとして
は、均一性指数δと対称性指数λがある。
【0032】ここで、図7は、摺動距離分布の特徴的な
パターンを示す図で、この図7において、 L ; 最大摺動距離 S ; 最小摺動距離 Li; 内側最大摺動距離 Lo; 外側最大摺動距離 とする。なお、本発明におけるように内径が使用領域幅
よりも大きなリング状砥石2を用いた場合は、 L = Li または、 L = Lo である。
【0033】均一性指数δは、 δ =(L−S)/L …(1) で算出されるもので、摺動距離の最大値と最小値の差の
比率を表わしている。摺動距離とドレッシング量とがほ
ぼ比例するものとすれば、この均一性指数δの値が小さ
いほど、均一にドレッシングされていることを示す。
【0034】研磨布の場合、使用領域の内側と外側で均
一にドレッシングされなければ、ドレッシングされた結
果が平坦であるとはいえないため、その評価のための指
標として対称性指数λを λ =|Li−Lo|/Lo …(2) として、使用領域内の内側摺動距離Liと、外側摺動距
離Loの差の絶対値の比率によって定義する。従って、
均一性指数δとともに、対称性指数λの値が小さいほ
ど、研磨布のドレッシング形状は良好であることを示し
ている。
【0035】以下、表1に挙げた加工条件について、シ
ミュレーションして解析した実施例の結果を図8乃至図
13に示す。図8は、研磨布の回転数N1 と砥石の回転
数N2 の比κ(以下、回転数比κという)が摺動距離分
布の均一性指数δに与える影響を示し、図9は、回転数
比κが摺動距離分布の対称性指数λに与える影響を示
す。この場合、使用するドレッサ砥石について、その内
径・使用領域幅の比αと、ドレッサ砥石の外径・内径の
比βを種々組み合わせ、各組合せについて、回転数比κ
を変化させてシミュレーションを行なっている。
【0036】まず、図8からはっきりと見て取れるよう
に、回転数比κの増加(κ>1)とともに、均一性指数
δの減少が始まり、これは言い換えれば、均一性の向上
がはっきりとしてくる。均一性指数δの値は、κが1.
5から4の範囲で小さい値になり、特に、2≦κ≦3の
範囲が、内径・使用領域幅比α、外径・内径比βの各組
合せともに小さくなっている。
【0037】回転数比κの変化が対称性に及ぼす影響に
ついても、図9からわかるように、均一性の場合と同様
に、回転数比κにして1.5から4の範囲で対称性指数
λが低くなって対称性の向上が見られる範囲であり、特
に、2≦κ≦3の範囲では、各α・βの組合せとも、対
称性が最も良好な範囲であることがわかる。
【0038】したがって、ドレッシング条件としては、
研磨布をドレッサ回転数N2 の1.5倍から4倍の範囲
の回転数N1 で同方向に回転することにより、ドレッシ
ング形状の均一性、対称性をともに向上できること、特
に、回転数比の望ましい範囲として2倍から3倍とする
ことでドレッシング形状を最適とすることができる。
【0039】また、図9からは、対称性指数λは回転数
比κの増加とともに0まで減少し、その後増加するパタ
ーンを示すことがわかる。図9では、対称性指数λの定
義式で絶対値をもって表わしているため図には現われて
いないが、実際は、このパターンの変化は、回転数比κ
が小さい場合に研磨布の内周側の摺動距離が大きくな
り、回転数比κが大きい場合には、逆に、外周側の摺動
距離が大きくなることを示している。従って、実際に行
なったドレッシング形状が内周側、外周側のどちらかに
偏っている場合には、回転数比κの値を微調整すること
により、研磨布形状の対称性を向上させることができ
る。
【0040】例えば、研磨布の内周側が深くドレッシン
グされる場合には、回転数比κを大きくするように、研
磨布およびドレッサ砥石の回転数を調整することによ
り、研磨布内周でのドレッシング量を小さくするように
すればよい。
【0041】以上は、回転数比κがドレッシング形状の
均一性、対称性に与える影響であるが、次に、ドレッサ
砥石の内径・使用領域幅の比αと、ドレッサ砥石の外径
・内径の比βとドレッシング形状の均一性、対称性との
関係について説明する。
【0042】図8、図9において、ドレッサ砥石の内径
・使用領域幅比α、外径・内径の比βの各組合せのシミ
ュレーション結果から、α、βの値が大きくなるに従っ
て、摺動距離分布の均一性指数δ、対称性指数λともに
値が小さくなる傾向にあることがわかり、従って、α、
βともにその値が大きいほど摺動距離分布の均一性、対
称性の向上に寄与することが定性的にわかる。
【0043】そこで、さらに、回転数比κが2である場
合について、外径・内径比βが1.1、1.2、1.
4、1.6の各ドレッサ砥石について内径・使用領域幅
比αを1.0から2.0の範囲で変化させたシミュレー
ションによって解析した結果を図10に、内径・使用領
域幅比αが1.2、1.4、1.6、1.8の各ドレッ
サ砥石について、外径・内径比βを1.0から2.0の
範囲で変化させたシミュレーションによって解析した結
果を図11に示す。
【0044】この図10および図11からはっきりと、
α、βともにその値が大きいほど摺動距離分布の均一
性、対称性が向上することがわかる。
【0045】しかしながら、実際問題としては、表1の
α、βの定義、図4から明らかなように、研磨布の半径
R、研磨布の使用領域幅Wとα、βとの間には、 R ≧ Do = α・β・W …(3) の関係が成り立つので、α、βの値を大きくするという
ことは、同一の使用領域幅Wに対してドレッサ砥石の外
径Doが大きくなり、それとともに、研磨布自体をより
大きな半径のものにしなければならなくなる。言い換え
れば、装置自体が大きくなることになり、設置面積や装
置重量の増加を招来し、この観点からは望ましい条件と
はなりえない。
【0046】そこで、ドレッサ砥石の大きさを適正な大
きさに抑えるとともに、ドレッシング形状の均一性、対
称性の向上に寄与するα、βの条件を探るには、実質的
に有効なドレッシングという観点から、研磨布の大きさ
に加えて、実際のドレッシング作用を行なう使用領域幅
と研磨布半径の比である研磨布利用率γが関係してく
る。
【0047】そこで、図12に、研磨布の半径Rが最小
であるR=Doの場合に、ドレッサ砥石の外径・内径比
βを変化させながら、研磨布の利用率γと、摺動距離分
布の均一性指数δとがどう変るかについてシミュレーシ
ョンした結果を示す。
【0048】この図12では、内径・使用領域幅比αが
1.2、1.4、1.6、1.8の各ドレッサ砥石につ
いて、外径・内径比βを変化させて、摺動距離分布の均
一性指数δの向上率Δδと、と研磨布利用率γの減少率
Δγとの比をグラフに表わしたものである。グラフの縦
軸をΔδ/Δγとしているので、縦軸の値が1以上の時
は、研磨布の利用率低下よりも、摺動距離分布の均一性
向上の効果の方が大きいことを示しており、この値が1
未満のときは、研磨布の利用率が低下する反面で、摺動
距離分布の均一性向上の効果が小さいことを示してい
る。
【0049】各曲線がΔδ/Δγ=1と交わる点A、
B、Cを考えると、これらの点A、B、Cの近傍では、
均一性向上効果と、利用率向上効果とが均衡しているも
のと考えられる。各点A、B、Cについて、αとβの値
の積(α・β)を計算すると、それぞれ1.76、1.
65、1.56である。図12から、α、βの値が増加
すると、均一性向上の効果が働かなくなる傾向にあるこ
とがみてとれるから、(α・β)は、最大でも1.8程
度で、おおよそ1.5から1.8の範囲にあれば、均一
性向上効果と、利用率向上効果とが均衡するとしてよ
い。
【0050】そうすると、(α・β)がこの範囲にある
ときには、(3)式の関係から、ドレッサ外径Doは、
使用領域幅Wの1.8倍以下で、好ましくは1.5以上
で1.8倍以下の範囲にあることになる。従って、ドレ
ッサ外径Doがこの範囲にあれば、研磨布の利用率の極
端な低下を招くことなく、研磨布のドレッシング形状の
平坦性を向上させることが期待できる。
【0051】以上のことから、半径Rのあまり大きくな
い研磨布のドレッシングに関しては、ドレッサ砥石の外
径Doを使用領域幅Wの1.8倍以下、特に、望ましい
範囲としては使用領域幅Wに対して1.5〜1.8倍と
なるように設定し、これに応じた半径Rをもつ研磨布を
用いることにより、研磨装置の大型化を防止しつつ、ド
レッシングについて最良の効果をあげることができる。
【0052】なお、研磨布あるいは装置本体の大きさに
余裕がある場合は、このようなドレッサ砥石の外径Do
と、使用領域幅Wとの関係にとらわれることなく、可能
な限り大きな外径を有するドレッサ砥石を用いてドレッ
シングを行なうことで、摺動距離分布の均一性を向上さ
せ、かつ、研磨布のドレッシング形状の平坦性を最適化
することができる。
【0053】ところで、研磨布の使用領域が研磨布の内
側かあるいは外側にどの程度偏っている位置にあるかど
うかによっても、ドレッシング形状の均一性、平坦性に
影響してくるものと考えられる。
【0054】そこで、次に、表1のドレッシング条件の
うち、使用領域中心位置の偏差量εとの関係をシミュレ
ーションした結果を図13に示す。この場合、使用領域
中心位置の偏差量εは、図4において、ドレッサ砥石の
回転中心であるとともに、研磨布の使用領域の中心でも
あるO2 をもっとも半径方向内側に配置した場合を0と
して、使用領域をこの位置から外側にずらして設定した
場合の外側への偏差量を使用領域幅Wに対する比として
表わしたものである。このシミュレーションでは、ドレ
ッサ砥石の寸法比α、βの異なる3種類のドレッサにつ
いて、偏差量εに応じた摺動距離分布の変化を調べたも
のである。
【0055】この図12からは、偏差量εが約0.2ま
では均一性指数δがはっきりと減少して、均一性向上の
効果が大きいが、偏差量εの値が0.2から0.5の範
囲では、均一性指数δは漸減し、0.5を越えると、均
一性の改善は認められないことがわかる。
【0056】従って、ドレッシング形状の均一性向上の
ために最も好ましい使用領域中心位置の偏差量εの範囲
は、0.2以下である。よって、研磨布の使用領域を、
最も内側に配した位置から外側に向って使用領域幅の
0.2倍程度、最大でも0.5倍程度に偏らせて設定し
ておくことにより、研磨布のドレッシング形状をより均
一化させることができる。
【0057】なお、偏差量εが0.2から0.5の範囲
では、均一性改善効果の度合いが少ないため、むしろ、
ドレッサ砥石の内径・使用領域幅比αまたは外径・内径
の比βを大きくする方が効果的であることもわかる。
【0058】以上、本発明について、研磨布が円板形状
で、ドレッサ砥石の外径以上の半径をもったものを実施
形態および実施例として挙げて説明したが、ドレッサ機
構により発生する研磨布・ドレッサ砥石間の面圧を著し
く不均一にしない範囲において、使用領域以外の部分を
切り詰めた寸法、形状を有する研磨布でも同様の効果を
得ることができる。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、研磨布の最終形状の平坦性を向上させるよう
に最良の条件の下で研磨布にドレッシングを行なえるの
で、超精密研磨加工の精度向上に大いに寄与するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による研磨布ドレッシング装置の一実施
形態を示す斜視図である。
【図2】本発明によるドレッシング方法に用いるドレッ
サ砥石を示す側面図。
【図3】同ドレッサ砥石の底面図
【図4】ドレッサ砥石と、研磨布の運動の相対関係を示
す模式図。
【図5】研磨布におけるドレッサ砥石の摺動距離分布を
シミュレーションした結果を示す図。
【図6】摺動距離分布からドレッシング後の研磨布の形
状を予測する図。
【図7】摺動距離分布のパターンの特徴を表わした図。
【図8】研磨布とドレッサ砥石の回転数比が摺動距離分
布の均一性に与える影響をシミュレーションした結果を
示す図。
【図9】研磨布とドレッサ砥石の回転数比が摺動距離分
布の対称性指数に与える影響をシミュレーションした結
果を示す図。
【図10】ドレッサ砥石の内径・使用領域比が摺動距離
分布の均一性に与える影響をシミュレーションした結果
を示す図。
【図11】ドレッサ砥石の外径・内径比が摺動距離分布
の均一性に与える影響をシミュレーションした結果を示
す図。
【図12】ドレッサ砥石の外径・内径比を変化させた場
合に、摺動距離分布の均一性の向上と、研磨布利用率の
減少との関係をシミュレーションした結果を示す図。
【図13】研磨布の使用領域の中心位置の偏差量を変化
させて摺動距離分布の均一性向上についてシミュレーシ
ョンした結果を示す図。
【符号の説明】
1 研磨布 2 ドレッサ砥石 3 回転定盤 5 ドレッサ回転ヘッド(ドレッサ回転手段) 6 アーム 7 ドレッサ移動機構部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】研磨布の円環状の使用領域の幅以上の内径
    を有するリング状のドレッサ砥石を回転定盤上に固定し
    た前記研磨布に回転させながら押し付け、前記研磨布に
    前記ドレッサ砥石と同一の方向で所定の回転数の回転運
    動を与えながら、前記研磨布の使用領域内の半径方向各
    位置における前記ドレッサ砥石の摺動距離分布が均一と
    なるように研磨布のドレッシングを行なうことを特徴と
    する研磨布ドレッシング方法。
  2. 【請求項2】前記研磨布の回転数とドレッサの回転数と
    の比が1.5〜4の範囲の回転数比にて研磨布のドレッ
    シングを行なうことを特徴とする請求項1に記載の研磨
    布ドレッシング方法。
  3. 【請求項3】前記研磨布の使用領域幅に対する前記ドレ
    ッサ砥石の内径の比または前記ドレッサ砥石の内径に対
    する外径の比を大きく設定することにより、ドレッサ砥
    石の摺動距離分布が均一となるように研磨布のドレッシ
    ングを行なうことを特徴とする請求項2に記載の研磨布
    ドレッシング方法。
  4. 【請求項4】外径が使用領域幅の1.5〜1.8倍の範
    囲内にあるドレッサ砥石を用いて研磨布のドレッシング
    を行なうことを特徴とする請求項2に記載の研磨布ドレ
    ッシング方法。
  5. 【請求項5】前記研磨布の中心と研磨布の円環状の使用
    領域の中心位置との距離を前記ドレッサ砥石の外径の
    0.5倍の値から、ドレッサ外径の0.5倍の値に使用
    領域の幅の0.5倍の値を加えた値までの範囲内に設定
    し、研磨布のドレッシングを行なうことを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかの項に記載の研磨布ドレッシン
    グ方法。
  6. 【請求項6】ドレッシング対象の研磨布が取り付けられ
    一定の回転数で自転する回転定盤と、 前記研磨布の円環状の使用領域の幅以上の内径を有する
    リング状のドレッサ砥石と、 前記ドレッサ砥石を保持するとともに所定の回転数で回
    転運動を与えるドレッサ回転手段と、 前記ドレッサ砥石を前記研磨布上の任意の位置に位置決
    めをするとともに、所定の面圧で前記研磨布に押し付け
    るドレッサ移動手段と、 前記研磨布の回転数と、ドレッサ砥石の回転数の比を任
    意の値に制御する回転数制御手段とを具備することを特
    徴とする研磨布ドレッシング装置。
  7. 【請求項7】前記研磨布は、エラストマ、軟質プラスチ
    ック、繊維を規則的に編み込んだ織物、または不織布か
    らなる研磨布であることを特徴とする請求項6に記載の
    研磨布ドレッシング装置。
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