JPH09302411A - 無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法 - Google Patents

無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法

Info

Publication number
JPH09302411A
JPH09302411A JP11990596A JP11990596A JPH09302411A JP H09302411 A JPH09302411 A JP H09302411A JP 11990596 A JP11990596 A JP 11990596A JP 11990596 A JP11990596 A JP 11990596A JP H09302411 A JPH09302411 A JP H09302411A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cast iron
spheroidal graphite
graphite cast
heat treatment
iron casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11990596A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Takahashi
雅寛 高橋
Akitoshi Nakamura
彰利 中村
Eiji Nakano
英治 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP11990596A priority Critical patent/JPH09302411A/ja
Publication of JPH09302411A publication Critical patent/JPH09302411A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層部に脱炭層の生成がなく、かつ表層部か
ら内部に至るまで耐摩耗性を有する球状黒鉛鋳鉄鋳物部
品の製造方法を提供することである。 【解決手段】 本発明の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄
鋳物部品の製造方法は、真空雰囲気を有する熱処理炉内
で、または減圧RXガス雰囲気を有する熱処理炉内で球
状黒鉛鋳鉄鋳物部品を800〜950°Cのオーステナ
イト温度領域に0.5〜3時間保持均熱した後、前記熱
熱処理炉から取り出し、パーライト組織を生じない冷却
速度でソルトバス中に浸漬し、続いて該ソルトバス中で
恒温変態処理を施し、その後放冷する。真空雰囲気は最
も好ましくは2×10-2torr以上。熱処理炉から取
り出しソルトバスに浸漬するまでの時間は最も好ましく
は45秒以内。恒温変態処理温度は250〜400°
C。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表層部に脱炭層の
生成がなく、かつ耐摩耗性を有する球状黒鉛鋳鉄鋳物部
品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼や鋳鉄製の部材や部品は、その用途目
的に応じて、種々の温度で熱処理を施される場合が多
い。例えば、工具鋼の焼入や耐熱鋼の溶体化その他拡散
を目的とした熱処理のための加熱は、1200〜130
0℃もの高温度となる。この場合、化学組成の変化があ
ってはならないので、高温度の加熱の際には鋼表面で酸
化、脱炭等が起こらぬようにせねばならない。そのため
には、なるべく熱処理部品を大気中で高温度に加熱する
ことは避けた方がよいとされている。例えば、光沢ある
鋼の表面の酸化、脱炭を防止しながら行なう熱処理は、
総称して光輝熱処理として知られている。光輝熱処理
は、適当な還元性または中性雰囲気炉もしくは真空炉中
で加熱、冷却することによって行なわれている。
【0003】また、加熱雰囲気の例としては、メタン
(CH4 )、エタン(C26 )、プロパン(C38
等に空気を混合し、Ni触媒を用いて分解し、生じたH
2Oを除去したCO約20%、H2約40%、N2約40
%の組成の吸熱型ガス(エンドガスまたはRXガスとよ
ばれる。)中で処理品を加熱する。このガスにCH4
どを添加することがあり、これはエンリッチガスとよば
れる。更に、一種またはそれ以上の塩類を溶かしてお
き、その中に熱処理部品を浸漬する塩浴も用いられる。
熱処理温度や滲炭、窒化等の表面硬化を行なうか否かで
塩の種類が選定される。例えば、鋼の焼戻し等の200
〜500℃の低温度のところは硝酸塩や亜硝酸塩を単独
または混合物として用いられる。また、500〜100
0℃の中温度用塩浴には、NaCl(融点:803
℃)、CaCl2 (融点:770℃)、Na2 CO
3 (融点:856℃)の混合塩が通常用いられる。
【0004】鋳鉄の鋳造品や部材に通常の熱処理を施し
た場合、その表層部には脱炭層(フェライト層)が生成
するので、この脱炭層(フェライト層)を機械加工によ
り通常除去せざるをえない。特開昭55−158249
号公報においては、「C:3.3〜3.6%、Si:
1.6〜2.1%、Mn:0.5〜1.0%、残留M
g:0.03〜0.06%、Cu:0.8〜1.2%、
Cr:0.1〜0.6%、残部Feよりなり、鋳物表面
における脱炭層(フェライト層)の生成を防止した鋳放
しパーライト球状黒鉛鋳鉄鋳物。」を提案している。
【0005】上記特開昭55−158249号公報にお
ける提案は、パーライト系球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで安
定して80%以上のパーライト化率を有することが難し
いため、通常は鋳造後900℃前後に加熱、続いて空冷
するいわゆる焼ならし熱処理によって製作されている。
この場合、鋳物表面に脱炭層(フェライト層)が生成さ
れる。鋳物表面にフェライト層が生成された場合、パー
ライト地に比べて機械的性質、疲労強度が低下し、更に
構造用部品などの表面に亀裂が発生して疲労破壊の原因
となる等の課題があった。
【0006】そこで、この提案においては、化学組成特
にCr量を0.1〜0.6%と数値限定することによ
り、鋳物表面に脱炭層(フェライト層)の生成を防止す
るとするもので、熱処理炉の加熱雰囲気等を含めた熱処
理条件については何等記載なく、また示唆もされていな
い。
【0007】また、特開昭56−9354号公報におい
ては、「C3.1〜4.1%、Si2.1〜3.5%、
Mn1%以下、P0.15%以下、S0.03%以下、
Cu1.5%以下、Ni2.5%以下、黒鉛球状化処理
元素Mg、Ca、Ce、Yのうちの1つまたは2つ以上
を0.1%以下含有し、基地組織がフェライト20〜7
0%の混在する針状微細組織である耐摩耗部品用強靱球
状黒鉛鋳鉄。」を開示している。このような組織を得る
方法として、通常の化学組成の、或いはNi、Cu、M
o等を含有する球状黒鉛鋳鉄を鋳造のままで或いは熱処
理によって予めマルテンサイト組織の基地とし、次に急
熱してA1変態域まで温度を上げて保持したのち、空冷
または水冷の急冷または急冷・焼戻によっている。上述
の如く、この提案は、鋳造のままで或いは熱処理によっ
て予めマルテンサイト組織の基地とし、次に所定の熱処
理を施すことにより針状微細組織を有する耐摩耗部品用
強靱球状黒鉛鋳鉄を得るものである。
【0008】また、特開昭64−56819号公報に開
示の「高耐摩耗ダクタイル鋳鉄の製造方法」は、C:
3.0〜4.0wt%、Si:2.0〜3.5wt%、
Mn:0.1〜0.9wt%、Cu:2.0wt%以
下、Ni:2.0wt%以下、を基本合金成分とし、さ
らにMo:0.2〜2.0wt%、Cr:0.2〜2.
0wt%、V:0.2〜2.0wt%、W:0.2〜
2.0wt%のうち1種またはそれ以上を含有させ、残
部が実質的にFe及び微量不純物からなり、基地組織に
炭化物を分散析出させたダクタイル鋳鉄を、820〜9
50°Cに0.5〜5時間保持した後、直ちに220〜
400°Cに急冷し、その温度で0.5時間以上保持す
るオーステンパー処理を施すもので、基地組織を高硬度
の炭化物と高強度、高靱性のベーナイトとの複合組織と
することにより従来のオーステンパー処理したダクタイ
ル鋳鉄に比較して耐摩耗性を著しく向上させ、合金工具
鋼等の特殊鋼に匹敵する高耐摩耗性を有し、さらに衝撃
値も同等あるいはそれ以上であり、冷間プレス用パン
チ、ダイス等の他、各種摺動部品に使用できる高耐摩耗
性ダクタイル鋳鉄の製造方法を提供せんとするものであ
る。
【0009】また、特公平4−61047号公報に開示
の「強靱性を有する球状黒鉛鋳鉄部品の製造方法」は、
C:3.0〜4.0重量%、Si:2.0〜4.0重量
%、Mg:0.02〜0.1重量%と、Mn:0.5〜
2.0重量%と、Ni:0.5〜3.0重量%またはC
u:0.3〜2.0重量%の少なくとも一方とを有し、
かつ残部が実質的にFeとされた組成の球状黒鉛鋳鉄
を、830〜1000°Cに5時間以内加熱保持したの
ち170〜210°Cに急冷し、しかる後220〜42
0°Cに5分間以上加熱保持するオーステンパー処理を
施すもので、表面にマルテンサイト組織を生成させるこ
となく均一なベーナイト組織を生成して、強靱性の球状
黒鉛鋳鉄部品を得ることを目的とし、得られた球状黒鉛
鋳鉄部品は、例えばステアリングナックルやコンロッド
等の自動車用部品等の強度部品として用いられる、とす
るものである。
【0010】以上述べたように、各種各様の提案がなさ
れているが、後述する本発明のように、鋳物部品の表層
部が無脱炭(フェライト層が存在しない状態)で、かつ
該鋳物部品の表層部から内部まで均一なベーナイト組織
を有する耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品に関するもので
はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】自動車用ギヤーケース
等には耐摩耗性を付与するために、浸炭処理や窒化(軟
窒化)された鍛造品が使用されているが、鍛造品は鋳
造品よりコスト高である。鍛造品では振動音を軽減で
きないので、騒音上課題を有する。一方、鋳鉄鋳造品
は鍛造品に比べて安価に製造できること。鋳鉄では振
動のエネルギーが組織中の黒鉛に吸収されるため減衰能
が高く、部材相互のかみあい音、振動音を軽減できる等
の利点がある。従来部品の製作は、まず鋳物品を粗加工
した後、オーステンパー処理を施し、次いで仕上げ加工
を行っていた。該オーステンパー処理は大気雰囲気を有
する熱処理炉中で加熱後、ソルトバス中に浸漬して恒温
変態処理が施されていた。このため、鋳物品の表層部に
硬度が低く、耐摩耗性に劣る脱炭層(フェライト層)が
生成し、オーステンパー処理後に、機械加工により脱炭
層(フェライト層)の削除を余儀なくされていた。な
お、鋳物品の表層部の脱炭を防止または軽減するため
に、鋳物品の表面に前もって脱炭防止剤を塗布した後、
大気雰囲気を有する熱処理炉中で加熱したとしても、熱
処理後に脱炭防止剤の除去工程を必要とする課題もあっ
た。
【0012】本発明者等は、鋳物品の表層部に生成する
数10ミクロン厚さの脱炭層が大気雰囲気を有する熱処
理炉内での鋳物品の加熱中に生ずることをつきとめ、鋳
物品を真空中で加熱処理すれば、表層部での脱炭層の生
成を未然に防止することができること、そして該鋳物品
の表層部にパーライト組織を生じさせない冷却速度でソ
ルトバス中に浸漬して、ベーナイト変態させることによ
り該鋳物品の表層部から内部まで均一なベーナイト組織
を確保できることに想到し、本発明をなした。本発明の
目的は、球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を予め所定寸法に加工し
た後、該鋳物部品を真空雰囲気を有する熱処理炉内で、
あるいはRXガス雰囲気を有する熱処理炉内で保持均熱
してオーステナイト化処理を施し、しかる後に該鋳物部
品の表層部にパーライト組織を生じさせない冷却速度
で、該熱処理炉に近接して配置したソルトバス中に浸漬
し、恒温変態を施すことにより該鋳物部品の表層部から
内部まで均一なベーナイト組織を確保できる無脱炭・耐
摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法を提供すること
にある。なお、本発明における「表層部」とは、球状黒
鉛鋳鉄鋳物部品の表面を含み約20〜30μm深部まで
の領域を意味する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の無脱炭・耐摩耗
性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法は、真空雰囲気を有
する熱処理炉内で、球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を800〜9
50°Cのオーステナイト温度領域に0.5〜3時間保
持均熱した後、前記熱処理炉から取り出し、パーライト
組織を生じない冷却速度でソルトバス中に浸漬し、続い
て該ソルトバス中で恒温変態処理を施し、その後放冷す
ることを特徴とする。本発明においては、真空雰囲気を
有する熱処理炉内の真空度が10-1torr以上、最も
好ましくは2×10-2torr以上、であることを特徴
とする。また、本発明においては、球状黒鉛鋳鉄鋳物部
品が予め所定寸法に機械加工されている。また、本発明
における、パーライト組織を生じない冷却速度を達成す
る手段としては、真空雰囲気を有する熱処理炉の扉を開
いて、球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を取り出してからソルトバ
ス中に浸漬するまでの時間を55秒以内、最も好ましく
は45秒以内、とすることを特徴とする。そして、恒温
変態処理を、250〜400°Cに溶融したソルトバス
中で所定時間浸漬して行う。この製造方法により、球状
黒鉛鋳鉄鋳物部品の表層部は無脱炭で、かつ該表層部か
ら内部に至るまで均一なベーナイト組織を確保すること
ができる。
【0014】次に、本発明における他の製造方法は、R
Xガス雰囲気を有する熱処理炉内で、球状黒鉛鋳鉄鋳物
部品を800〜950°Cのオーステナイト温度領域に
0.5〜3時間保持均熱した後、前記熱処理炉から取り
出し、パーライト組織を生じない冷却速度でソルトバス
中に浸漬し、続いて該ソルトバス中で恒温変態処理を施
し、その後放冷することを特徴とする。球状黒鉛鋳鉄鋳
物部品が、予め所定寸法に機械加工されていること、パ
ーライト組織を生じない冷却速度を達成する手段、およ
び恒温変態処理の条件については、前述の真空雰囲気を
有する熱処理炉を用いて行う製造方法の場合と同様であ
る。
【0015】オーステナイト化温度については、800
°C未満の温度では均一なオーステナイトが得られず、
950°Cを越える温度ではオーステナイト結晶粒の粗
大化を招くので、800〜950°Cに設定する。次
に、球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の表層部にパーライト組織を
生じないようにする手段として、熱処理炉の扉を開い
て、該鋳物部品を取り出し、ソルトバスに浸漬するまで
の時間を55秒以内、最も好ましくは45秒以内、とす
るのは、これ以上の時間を要した場合には連続冷却曲線
(CCT曲線)におけるパーライトノーズにかかるか、
またはパーライト生成開始線と交差する冷却となり、該
鋳物部品の表層部にパーライト組織が生成することにな
るため、パーライトノーズを避けた冷却速度を確保する
ためである。このために、55秒以内、最も好ましくは
45秒以内、にソルトバス中に浸漬する。また、恒温変
態処理のためのソルトバス温度については、250°C
未満の温度ではマルテンサイト変態を伴い靱性が低下
し、400°Cを越える温度では均一なベーナイト基地
が得られないため、250〜400°Cに溶融ソルトバ
スの温度を設定する。なお、恒温変態処理での保持時間
については、熱処理する部材の大きさによって適宜設定
する必要があるが、大略0.5〜3時間である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て実施例に基づいて比較例と共に説明する。本発明にお
いては、予め所定寸法に機械加工をした球状黒鉛鋳鉄鋳
物部品の表層部での脱炭層の生成を防止するために、真
空雰囲気を有する熱処理炉内で、あるいはRXガス雰囲
気を有する熱処理炉内でオーステナイト化処理を施し、
前記熱処理炉の開扉からソルトバス中に該鋳物部品を浸
漬するまでの時間を55秒以内、最も好ましくは45秒
以内、とすることにより、該鋳物部品の表層部の冷却速
度が連続冷却曲線(CCT曲線)におけるパーライトノ
ーズを避けることができ、表層部でのパーライト生成を
防止できるものである。このことにより、熱処理炉内で
の該鋳物部品の表層部の無脱炭の状態を、表層部にパー
ライト組織が生じることなく、そのままソルトバス中に
移動せしめることができ、ソルトバス中における恒温変
態処理によって該鋳物部品の表層部から内部に至るまで
均一なベーナイト組織を確保できるものである。そして
恒温変態処理後は放冷を行う。この一連の熱処理を施す
ことにより、該鋳物部品の表層部には脱炭層(フェライ
ト層)の生成はなく、ソルトバス中における恒温変態処
理によって該部材の表層部から内部に至るまで均一なベ
ーナイト組織を確保できるため、従来のように熱処理後
の機械加工による脱炭層(フェライト層)の削除の必要
がない。
【0017】
【実施例1】重量比率で、C3.6%、Si2.4%、
Mn0.4%、Cu0.5%、Mg0.041%、残部
実質的にFeよりなる組成の球状黒鉛鋳鉄のテストピー
ス(図1に示す熱処理炉1内に装入したテストピース5
で、その寸法は20mm×20mm×100mm)に以
下の(1)〜(4)の工程で熱処理を施した。テストピ
ース5の表面処理状態は、脱脂なし、脱炭防止剤なしと
した。 (1)図1に示す熱処理炉1を真空ポンプで真空にしな
がら、テストピース5を熱処理炉1内に装入し、600
°Cまで昇温した。 (2)熱処理炉1の真空度が2×10-2torrとな
り、炉内温度が875°Cにおいて60分間保持均熱し
てオーステナイト化処理を施した。 (3)次いで、熱処理炉1の扉2を扉開閉装置3により
開き、テストピース5を熱処理炉1から取り出し、直ち
に380°Cの溶融ソルトバスに搬送装置7を用いて搬
送トレイ8とともに浸漬し、60分間浸漬保持の恒温変
態処理を施した。ソルトは、NaNO2(50%)とK
NO3(50%)の共晶組成のもので、融点が138〜
142°Cの硝酸塩系のものを使用した。恒温変態処理
は攪拌装置(図示せず)により攪拌を行いながら実施し
た。なお、熱処理炉1の扉2を開いてからテストピース
5を搬送トレイ8にいれたまま取り出して搬送装置7で
搬送し、ソルトバス6に浸漬するまでの時間は45秒と
した。 (4)その後、テストピース5を放冷した。
【0018】以上の熱処理を施したテストピース5から
20mm×20mm×20mmの試験片を採取し、組織
写真を調査した。その結果は、表層部の組織写真を示す
図2(倍率:100倍)と図3(倍率:400倍)にみ
るように、均一なベーナイト組織を得ることができた。
また、中心部の組織写真を示す図4(倍率:100倍)
と図5(倍率:400倍)でも同様にベーナイト組織を
確保できた。なお、図中の球状のものは球状黒鉛であ
る。なお、表層部での脱炭層の生成は確認できなっかっ
た。本実施例では、鋳鉄のうち球状黒鉛鋳鉄について述
べたが、ネズミ鋳鉄や合金元素を含有する合金鋳鉄等に
ついても本発明を適用できることは当然である。
【0019】
【実施例2】熱処理炉の雰囲気をRXガス雰囲気とし、
真空ポンプで減圧しながらあるいは減圧して熱処理を施
した以外は、前述の実施例1と同様の条件で熱処理を施
した。減圧による真空度は10-1torrであった。ま
たRXガスは通常のRXガスを使用した。なお、熱処理
炉1の開扉からテストピース5を取り出して搬送し、ソ
ルトバス6の溶融ソルト9に浸漬するまでの時間は47
秒とした。熱処理炉の雰囲気をRXガス雰囲気とする場
合には、ソルトの分解、場合によってはRXガスの分
解、により熱処理炉内雰囲気が汚染されるので、真空ポ
ンプにより減圧した。搬送トレイ8は、ステンレス鋼や
耐熱鋼で製作されているが、繰り返し使用による加熱冷
却のために溶接部等の微細クラック部にソルトがしみこ
んでおり、洗浄してもソルトを完全に除去することは実
際不可能である。熱処理作業毎に新しく製作した搬送ト
レイを使用することは、不経済であり、また現実的でな
いと考えられる。実施例1と同様に、組織写真(図示し
ないが)を確認した結果、表層部、中心部ともに均一な
ベーナイト組織が確保できていた。なお、実施例1と同
様に表層部での脱炭層(フェライト層)の生成は確認で
きなかった。
【0020】
【比較例】熱処理炉の雰囲気をRXガス雰囲気とし、真
空ポンプによる減圧なしとした以外は、前述の実施例1
と同様の条件で熱処理を施した。なお、熱処理炉1の開
扉からテストピース5を取り出して搬送し、ソルトバス
6の溶融ソルト9に浸漬するまでの時間は45秒を要し
た。実施例と同様に組織写真(図示しないが)を調査し
た結果、実施例よりも短時間でソルトバスに浸漬したに
もかかわらず、表層部での脱炭層の生成が確認された。
このことは、熱処理炉内で既に脱炭が生じていたものと
考えられる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、球状黒鉛鋳鉄鋳物
部品のオーステナイト化処理を真空雰囲気または減圧R
Xガス雰囲気を有する熱処理炉内で行い、パーライト組
織が生じない冷却速度でソルトバスに浸漬し、恒温処
理、放冷とすることにより、該鋳物部品の表層部には脱
炭層がなく、表層部から内部まで均一なベーナイト組織
を有する無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を得る
ことがでる。このために、熱処理前に該鋳物部品を予め
所定寸法に機械加工しておけば、熱処理後の機械加工を
必要とせず、工数低減にも寄与する。また熱処理後の該
鋳物部品は耐摩耗性に優れるため、鋳鉄本来の特性を発
揮する各種部品や用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空雰囲気(減圧RXガス雰囲気
も含む)を有する熱処理炉とソルトバスの概略縦断面図
である。
【図2】本発明の実施例の熱処理後の表層部断面の組織
写真(倍率:100倍)である。
【図3】本発明の実施例の熱処理後の表層部断面の組織
写真(倍率:400倍)である。
【図4】本発明の実施例の熱処理後の中心部断面の組織
写真(倍率:100倍)である。
【図5】本発明の実施例の熱処理後の中心部断面の組織
写真(倍率:400倍)である。
【符号の説明】
1 熱処理炉 2 熱処理炉の扉 3 扉開閉装置 4 扉懸架ワイヤ 5 テストピース(熱処理鋳物部品) 6 ソルトバス 7 搬送装置 8 搬送トレイ 9 溶融ソルト

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空雰囲気を有する熱処理炉内で、球状
    黒鉛鋳鉄鋳物部品を800〜950°Cのオーステナイ
    ト温度領域に0.5〜3時間保持均熱した後、前記熱処
    理炉から取り出し、パーライト組織を生じない冷却速度
    でソルトバス中に浸漬し、続いて該ソルトバス中で恒温
    変態処理を施し、その後放冷することを特徴とする無脱
    炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の真空雰囲気を有する熱
    処理炉内の真空度が10-1torr以上であることを特
    徴とする請求項1記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄
    鋳物部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄鋳物部品
    が予め所定寸法に機械加工されていることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒
    鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のパーライト組織を生じ
    ない冷却速度を達成する手段が、前記真空雰囲気を有す
    る熱処理炉の扉を開いて、前記球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を
    取りだしてからソルトバス中に浸漬するまでの時間を5
    5秒以内とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3
    に記記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 真空雰囲気を有する熱処理炉内の真空度
    を2×10-2torr以上とし、該真空雰囲気内で球状
    黒鉛鋳鉄鋳物部品を800〜950°Cのオーステナイ
    ト温度領域に0.5〜3時間保持均熱した後、前記熱処
    理炉から取り出し、パーライト組織を生じない冷却速度
    でソルトバス中に浸漬するまでの時間を45秒以内と
    し、続いて該ソルトバス中で恒温変態処理を施し、その
    後放冷することを特徴とする無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛
    鋳鉄鋳物部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記恒温変態処理が、250〜400°
    Cに溶融したソルトバス中で前記球状黒鉛鋳鉄鋳物部品
    を所定時間浸漬して行うことを特徴とする請求項1乃至
    請求項5に記記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物
    部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 RXガス雰囲気を有する熱処理炉内で、
    球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を800〜950°Cのオーステ
    ナイト温度領域に0.5〜3時間保持均熱した後、前記
    熱処理炉から取り出し、パーライト組織を生じない冷却
    速度でソルトバス中に浸漬し、続いて該ソルトバス中で
    恒温変態処理を施し、その後放冷することを特徴とする
    無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の球状黒鉛鋳鉄鋳物部品
    が、予め所定寸法に機械加工されていることを特徴とす
    る請求項7に記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物
    部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載のパーライト組織を生じ
    ない冷却速度を達成する手段が、前記RXガス雰囲気を
    有する熱処理炉の扉を開いて、前記球状黒鉛鋳鉄鋳物部
    品を取りだしてからソルトバス中に浸漬するまでの時間
    を55秒以内とすることを特徴とする請求項7又は請求
    項8に記記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 RXガス雰囲気を有する熱処理炉内
    で、球状黒鉛鋳鉄鋳物部品を800〜950°Cのオー
    ステナイト温度領域に0.5〜3時間保持均熱した後、
    前記熱処理炉から取り出し、パーライト組織を生じない
    冷却速度でソルトバス中に浸漬するまでの時間を45秒
    以内とし、続いて該ソルトバス中で恒温変態処理を施
    し、その後放冷することを特徴とする無脱炭・耐摩耗性
    球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記恒温変態処理が、250〜400
    °Cに溶融したソルトバス中で前記球状黒鉛鋳鉄鋳物部
    品を所定時間浸漬して行うことを特徴とする請求項7乃
    至請求項10に記記載の無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄
    鋳物部品の製造方法。
JP11990596A 1996-05-15 1996-05-15 無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法 Pending JPH09302411A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11990596A JPH09302411A (ja) 1996-05-15 1996-05-15 無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11990596A JPH09302411A (ja) 1996-05-15 1996-05-15 無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09302411A true JPH09302411A (ja) 1997-11-25

Family

ID=14773116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11990596A Pending JPH09302411A (ja) 1996-05-15 1996-05-15 無脱炭・耐摩耗性球状黒鉛鋳鉄鋳物部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09302411A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013503975A (ja) * 2009-10-05 2013-02-04 バイエリッシュ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフト 鋳鉄鋳造部品およびその製造方法
JP2015232151A (ja) * 2014-06-09 2015-12-24 日野自動車株式会社 鋳鉄部材の製造方法
CN108559903A (zh) * 2018-05-29 2018-09-21 河南工程学院 一种控制冷却贝氏体球墨铸铁气缸套及其制备方法
CN112267059A (zh) * 2020-10-17 2021-01-26 安徽军明机械制造有限公司 一种增强球墨铸铁力学性能的处理工艺
CN115341080A (zh) * 2022-08-24 2022-11-15 唐山鑫业科技有限公司 一种白心可锻铸铁脱碳工艺

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013503975A (ja) * 2009-10-05 2013-02-04 バイエリッシュ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフト 鋳鉄鋳造部品およびその製造方法
JP2015232151A (ja) * 2014-06-09 2015-12-24 日野自動車株式会社 鋳鉄部材の製造方法
CN108559903A (zh) * 2018-05-29 2018-09-21 河南工程学院 一种控制冷却贝氏体球墨铸铁气缸套及其制备方法
CN108559903B (zh) * 2018-05-29 2020-04-10 河南工程学院 一种控制冷却贝氏体球墨铸铁气缸套及其制备方法
CN112267059A (zh) * 2020-10-17 2021-01-26 安徽军明机械制造有限公司 一种增强球墨铸铁力学性能的处理工艺
CN115341080A (zh) * 2022-08-24 2022-11-15 唐山鑫业科技有限公司 一种白心可锻铸铁脱碳工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101784681A (zh) 二次硬化齿轮钢
JP2004285474A (ja) 転動部材およびその製造方法
JPWO2011030827A1 (ja) 浸炭窒化部材の製造方法
JPH0234766A (ja) 浸炭焼入方法
JP3792341B2 (ja) 冷間鍛造性及び耐ピッチング性に優れた軟窒化用鋼
US4202710A (en) Carburization of ferrous alloys
JP4912385B2 (ja) 転動部材の製造方法
JP2549039B2 (ja) 歪の小さい高強度歯車の浸炭窒化熱処理方法
CN112501396B (zh) 一种第三代轴承钢的等温淬火热处理工艺方法
JP2000204464A (ja) 表面処理歯車とその製造方法、製造装置
Dossett Introduction to cast iron heat treatment
JP4737601B2 (ja) 高温窒化処理用鋼
JPH10147814A (ja) 熱処理歪みの少ない肌焼鋼製品の製法
JPH0770646A (ja) 歯車の製造方法
JPH05140726A (ja) 疲労強度の高い駆動系機械部品の製造方法
JPH09209034A (ja) 無脱炭オーステンパー処理鋳鉄およびその製造方法
JP2796386B2 (ja) 浸炭された低シリコン鋼物品および製造方法
JPH02294462A (ja) 鋼部材の浸炭焼入方法
JPH10204534A (ja) 履帯ブッシュおよびその製造方法
Hayrynen Heat Treating and Properties of Ductile Iron
JPS6383245A (ja) 黒鉛鋳鉄部材およびその製造方法
JP7532846B2 (ja) 鋼部品の製造方法
JPH0227408B2 (ja)
Dossett et al. Heat treating of gray irons
JPH0116886B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061006

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070223

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02