JPH09302493A - ソーダ電解用ガス拡散陰極、その製造方法及び該陰極を使用するソーダ電解用電解槽 - Google Patents

ソーダ電解用ガス拡散陰極、その製造方法及び該陰極を使用するソーダ電解用電解槽

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JPH09302493A
JPH09302493A JP8143763A JP14376396A JPH09302493A JP H09302493 A JPH09302493 A JP H09302493A JP 8143763 A JP8143763 A JP 8143763A JP 14376396 A JP14376396 A JP 14376396A JP H09302493 A JPH09302493 A JP H09302493A
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electrolysis
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孝之 島宗
Takahiro Ashida
高弘 芦田
Masashi Tanaka
正志 田中
Shuhei Wakita
修平 脇田
Yoshinori Nishiki
善則 錦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生成する苛性ソーダがその表面から容易に離
脱し貫通孔の閉塞等を生じさせないガス拡散陰極、その
製造方法及び該陰極を使用するソーダ電解用電解槽を提
供する。 【構成】 イオン交換膜2に密着させたガス拡散陰極6
の陰極室4側表面に、撥水性で表面に凹凸が形成された
金属層8を形成する。前記イオン交換膜近傍で生成する
苛性ソーダは前記ガス拡散陰極を透過して前記金属層に
達し、その撥水性及び表面に形成された凹凸の相乗効果
により容易にガス拡散陰極表面から離脱し槽外に導か
れ、ガス拡散陰極の貫通孔の閉塞等による電解条件の不
安定化が回避できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ソーダ電解に使用する
ガス拡散陰極、その製造方法及び該ガス拡散陰極を使用
するソーダ電解用電解槽に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】クロルアルカリ電解を代表と
する電解工業は素材産業として重要な役割を果たしてい
る。このような重要な役割を持つもののクロルアルカリ
電解に要する消費エネルギーが大きく、日本のようにエ
ネルギーコストが高い国ではその省エネルギー化が大き
な問題となる。例えばクロルアルカリ電解では環境問題
の解決とともに省エネルギー化を達成するために、水銀
法から隔膜法を経てイオン交換膜法へと転換され、約25
年で約40%の省エネルギー化を達成してきた。しかしこ
の省エネルギー化でも不十分で、エネルギーである電力
コストが全製造費の50%を占めているが、現行の方法を
使用する限りこれ以上の電力節約は不可能なところまで
来ている。より以上の省エネルギー化を達成するために
は電極反応を修正する等の抜本的な変化を行なわなけれ
ばならない。その例として燃料電池等で採用されている
ガス拡散電極の使用は現在考えられる中で最も可能性が
高く、電力節約が大きい手段である。
【0003】従来の金属電極を使用する陽極反応が、
陽極としてガス拡散電極を使用すると陽極反応に変換
される。 2NaCl+2H2 0→Cl2 +2NaOH+H2
EO =2.21V 2NaCl+ 1/2O2 +H2 O→Cl2 +2NaO
H EO =0.96V つまり金属電極をガス拡散電極に変換することにより、
電位が2.21Vから0.96Vに減少し、理論的には約65%の
省エネルギー化が可能になる。従ってこのガス拡散電極
の使用によるクロルアルカリの実用化に向けて種々の検
討が成されている。ガス拡散電極の構造は一般に半疎水
(撥水)型と言われるもので、表面に白金等の触媒が担
持された親水性の反応層と撥水性のガス拡散層を接合し
た構造を有している。反応層及びガス拡散層ともバイン
ダーとして撥水性のポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)樹脂を使用し、このPTFE樹脂の特性を利用し
てガス拡散層ではその割合を多くし、反応層では少なく
して両層を構成している。
【0004】このようなガス拡散電極をクロルアルカリ
電解に使用すると幾つかの問題点が生ずる。例えば高濃
度の苛性ソーダ中では撥水材であるPTFE樹脂が親水
化して撥水性を失い易くなる。これを防止するために前
記ガス拡散層のガス室側に薄い多孔性のPTFEシート
を貼ることが試みられている。又このガス拡散電極に酸
素や空気を供給しながら電解を進行させるが、副反応と
して一部過酸化水素が生成しそれが構成材料である炭素
を腐食して炭酸ソーダを生成することがある。アルカリ
溶液中では前記炭酸ソーダは沈澱してガス拡散層を閉塞
したり表面を親水化したりしてガス拡散電極の機能を劣
化させることがある。この炭酸ソーダが生成しなくても
炭素表面に触媒を担持するのみで該触媒による炭素腐食
が生ずることも観察されている。
【0005】このような欠点を解消するために従来は、
使用する炭素の選択やその作製法及び炭素と樹脂との混
合比をコントロールすることが検討されている。しかし
ながらこれらの方法は根本的な解決法とはならず、炭素
の腐食を遅らせることはできても、腐食を停止すること
はできない。炭素を使用しなければこのような腐食の問
題は起きないため、炭素の代わりに金属である銀を使用
することが試みられている。ところがこの金属を使用す
るガス拡散電極は炭素を構成材料とするガス拡散電極と
異なり焼結法で製造され、その製造方法が極めて複雑に
なり、更に金属を使用するガス拡散電極では親水性部分
と疎水性部分を制御しにくいという問題点がある。
【0006】これらの問題点の解決法としてかつ更に電
解電圧を低下させる方法として、ガス拡散電極をイオン
交換膜に密着又は接着して実質的に陰極室をなくしてし
まう、換言すると陰極室をガス室として構成する方法が
提案されている。この方法を採用した電解槽を使用して
クロルアルカリ電解を行なうと、生成する苛性ソーダは
反応層及びガス拡散層を通って陰極室であるガス室に到
達する。生成する苛性ソーダがガス拡散電極を通ること
になるので、反応層、ガス拡散層はあるものの、それ自
身厳密な意味を持たなくなるため、親水、疎水の問題の
制御が極めて容易になる。この方法は陰極液が存在しな
いためガス室の高さ方向の圧力差の影響がなくなり大型
化しても圧力分布を考える必要がないこと、陰極液が実
質的に存在しないため電気抵抗が最小になり電解電圧を
最小に維持できるという利点を有する一方、前記した生
成する苛性ソーダのガス室方向への透過を促進するため
にガス拡散層の貫通孔を大きさ及び分布を制御しなけれ
ばならない。しかもガス室側に取り出された苛性ソーダ
が前記ガス拡散層の貫通孔を閉塞し易く、閉塞が生ずる
と電解の円滑な進行に支障を来たし、実験室レベルでは
さほど問題にはならないが、実用槽などの大型電解槽で
は前記閉塞による電流分布の不均一や電解電圧の上昇と
いった問題が起こり易く、前記貫通孔の閉塞が電解槽の
大型化を達成するための最大に障害となっている。又通
常の食塩電解以外にも芒硝電解等のソーダ電解でも同様
の問題点が指摘されている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の問題点、つ
まりガス拡散電極を食塩電解や芒硝電解に実用的なレベ
ルで使用できないという欠点を解消し、アルカリ中でも
長期間安定で食塩電解等に実質的に使用可能なガス拡散
陰極及びその製造方法と、該陰極を使用するソーダ電解
用電解槽を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明に係わるガス拡
散陰極は、反応層とガス拡散層を接合して成り、そのガ
ス拡散層側表面に撥水性で表面に凹凸が形成された金属
層を有することを特徴とするソーダ電解用ガス拡散陰極
であり、該ガス拡散陰極は、反応層とガス拡散層を接合
して成るガス拡散電極用基材の前記ガス拡散層側表面
に、撥水材及び金属粉を分散させた金属めっき浴中で金
属めっきを行なって製造することができ、更に該ガス拡
散陰極を、イオン交換膜により、陽極室と陰極室に区画
され、又は陽極室、中間室及び陰極室に区画されたソー
ダ電解用電解槽の前記イオン交換膜に接触させてソーダ
電解用電解槽を構成することができる。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明で
は、ガス拡散陰極を使用する食塩電解や芒硝電解等のソ
ーダ電解においてガス室を構成する陰極室側に取り出さ
れる苛性ソーダを前記ガス拡散陰極のガス拡散層表面か
ら迅速に除去してガス拡散層の閉塞や親水性化に起因す
る電解条件の不安定化を抑制し、長期間使用しても安定
した条件でソーダ電解を行ない得るガス拡散陰極等を提
供できる。ガス拡散陰極の表面から得られる苛性ソーダ
溶液を離脱させることは、前記ガス拡散陰極表面を撥水
化することによりつまり液の濡れ性を悪くすることによ
り円滑に行ない得ると考えられる。
【0010】しかし単にガス拡散陰極の表面を撥水化す
るのみでは表面の濡れ性の低下は達成できるものの、ガ
ス拡散層を透過してガス室側に達する溶液が水玉状の液
滴としてガス拡散層表面に残り、この液滴はかなり大き
くならないと表面から離脱しない。本発明者らの経験に
よるとこの液滴は表面が平坦であればあるほど離脱しに
くく、逆に表面に凹凸を形成すると液滴が大きく成長し
ないうちに表面を容易に離脱して電極表面を覆うことが
なくなることが判り、本発明に到達したものである。ガ
ス拡散電極表面を物理的に粗化して凹凸を形成すること
は、電極自体を破壊する恐れがあるため困難である。従
って電極表面に不均一に物質を付着すれば良く、本発明
のガス拡散陰極はそのガス拡散層表面をめっき処理して
凹凸を有する金属層を生成し製造することができる。
【0011】金属めっきを行なう場合の金属は苛性ソー
ダに対して耐性のある金属から選択され、代表的な金属
としては、銀、ニッケル及び銅がある。これらの合金も
使用可能であるが、合金の場合のめっき条件の制御が困
難であり、更に特に表面粗化のための特殊めっきには適
していないため、金属を使用することが望ましい。陰極
としての安定性、特にガス拡散陰極として使用される場
合の電位が殆ど零である際の安定性を考えると、銀が最
も合目的である。この銀の特性を更に生かすために、予
めニッケルや銅で粗化したガス拡散層表面を形成し、そ
の上に撥水材と銀を含む複合物から成る層を形成しても
良い。次に前記した3種類のめっきに関して説明する
が、勿論本発明で使用可能な金属はこれらに限定される
ものではない。従来のニッケルめっきは通常装飾めっき
に代表される光沢めっきを行ない、該光沢めっきでは硫
酸ニッケルと塩化ニッケルの混合液を使用しこれに光沢
材としてニカワやクマリン等の有機物を添加してめっき
浴を構成している。しかしこの際にニッケル原料を塩化
ニッケルのみとし光沢材を添加しないとめっき表面にデ
ンドライドが生成し、光沢表面ではなく荒れたつまり粗
化された表面が形成される。本発明方法ではこの現象を
利用して表面粗化を行なうとともに表面の撥水化を行な
うと、目的とするガス拡散陰極が得られる。従って前記
めっき浴に撥水材を懸濁してめっきを行なうとガス拡散
層表面が撥水化されかつ該表面に凹凸が形成されたガス
拡散陰極が得られる。
【0012】代表的な撥水材としてはPTFE等のフッ
素樹脂があり、このフッ素樹脂は水懸濁材として市販さ
れているので、これを界面活性剤とともにめっき浴中に
混合懸濁しめっきを進行させるとともにめっき金属中に
分散させる方法が最も簡単かつ効果的である。他の撥水
材としては水との接触角が最も大きいと言われるフッ化
グラファイトがあり、このフッ化グラファイトをめっき
浴中に懸濁してめっきを行なえば良いが、懸濁が困難な
場合はめっき表面にフッ化グラファイトを塗布し更にめ
っき操作を数回繰り返すことにより目的が達成される。
又この操作によりめっき部分に僅かではあるが偏在が起
こるのでより粗化された表面となるという予想外の効果
も得られる。めっきされるニッケル表面がめっき条件を
変えても十分に粗化された表面にならないときは、フッ
素樹脂のような粒子を分散していわゆる分散めっきを行
なっても良い。使用可能な分散剤は耐蝕性を有すること
が必要で、代表的な分散剤としては、めっき金属と同じ
金属があり、例えばニッケルめっきならばニッケル粒子
をニッケル浴中に分散すれば良く、この他にグラファイ
トに代表される炭素粒子を分散することも可能である。
【0013】次に銅めっきの場合を説明する。代表的な
銅めっき浴はピロリン酸銅又は硫酸銅浴であり、ニッケ
ル浴で述べた添加剤(光沢剤)を添加しなくてもめっき
表面は比較的平坦になるので、分散めっきを行なうこと
が望ましい。前記光沢剤を添加しても表面の凹凸形成に
は殆ど影響はないので添加しても差し支えない。銀めっ
きの場合は主としてシアン化銀めっき浴であり、浴の安
定性の問題もあり、めっき条件を変えての表面粗化は比
較的困難である。銅の場合と同様に分散めっきを行なう
ことが望ましい。これらの金属の分散めっきに使用する
分散剤粒子の粒径は特に限定されないが、表面凹凸を50
μmとすることが望ましく、できるだけ鋭い角を有して
いる方が好ましいことから、金属スポンジを破砕した粒
径が30〜50μmである粒子を使用することが望ましい。
【0014】これまでガス拡散層の表面に凹凸を形成す
る方法として金属めっき層の形成のみを述べてきたが、
この他にガス拡散層の成型を表面に凹凸のある型を使用
して行ないガス拡散層の表面に直接凹凸を形成すること
もできる。この方法によると金属めっきが必須でなくな
るため、ガス拡散層表面を金属層で被覆する必要がなく
なり、又金属層を被覆する場合でもめっき法での被覆以
外に蒸着法や熱分解法等により金属層を形成でき、更に
金属以外の撥水性材料から成る層を形成することもでき
る。前述の金属めっき層が形成されるガス拡散陰極は従
来法に従って作製すれば良く、例えば該ガス拡散陰極を
構成する反応層及びガス拡散層はフッ素樹脂粉末とカー
ボンブラック粉末を混合し焼成したものとし、撥水性の
フッ素樹脂含有量を反応層側で少なくすることにより、
両層を構成することができる。又凹凸を有する型を使用
してガス拡散層を成型する場合は、この工程の焼成の際
に所望の型を使用すれば良い。本発明では前述した通
り、反応層やガス拡散層の構成材料として炭素の使用が
可能であるが、炭素を使用すると炭酸ソーダに起因する
腐食の問題が多少なりとも伴うため、炭素の代わりに金
属を使用することが望ましい。この金属としては銀やニ
ッケルが最適である。金属を炭素の代わりに使用する態
様では、前述した銀、ニッケル及び銅等の金属触媒はフ
ッ素樹脂やフッ化グラファイト等のフッ素含有物質を介
して金属基体に担持され、従来の金属触媒ほどの分散度
は得にくい。従って本態様では前記金属触媒を例えば10
〜1000Å程度の粒径の超微粒子として従来のカーボンブ
ラック担体触媒と同等の分散度を得るようにすることが
好ましい。
【0015】この触媒がフッ素含有物質を介して担持さ
れる金属基材は、全体がアルカリ溶液中での長期間の電
解に対する耐性を有する銀やニッケル等の材料で構成さ
れるか、あるいは少なくともそのアルカリ溶液との接液
面を前記銀やニッケル等の材料で形成するかあるいはめ
っき等で被覆することが望ましい。めっきの場合前記基
材の孔径は0.01〜5mm、厚さは0.05〜0.5 mm,空孔
率40〜90%が好ましい。前記基材は液透過性であること
が必要なため多孔性として成形しなければならず、例え
ば銀製のネットや三次元網状体を基材として用いるか、
樹脂や他の金属製の多孔性基材上に銀等をめっきする。
銀製ネットは例えば発泡性樹脂を骨格として銀を無電解
又は電解めっきした後、焼成により骨格の発泡体を除去
し銀製の多孔性シートつまり金属ネットとして作製する
(厚さは0.5 〜1mm程度が好ましい)か、あるいは直
径0.01〜0.5 mm程度の銀繊維を焼成して前記銀製のネ
ットや三次元網状体を構成してもよい。コスト面からは
銀で実質的に接液面が被覆されていれば他の材料を使用
しても良い。
【0016】次いでこの基材中に、フッ素樹脂や金属を
含むペーストやスラリーを含浸させその後乾燥及び焼成
等の操作を経て、ガス拡散陰極が形成される。この際に
使用する金属は、可能な限り均一な粒径を有するよう調
製し、粒度分布を無くしておくことが望ましい。例えば
銀としてはカルボニル銀の名称で市販されている粒度の
揃った50〜1000Å程度の粒径の銀超微粒子を使用するこ
とが好ましい。ガス拡散陰極の反応層やガス拡散層は、
これらの金属微粒子と前記フッ素含有物質を混練し、前
記基材上に塗布しかつホットプレス法等により例えば15
0 〜380 ℃で焼結して形成され、あるいはカルボニル銀
とフッ化グラファイト及び界面活性剤を水で十分に混合
したペーストを前記基材上に塗布し、水素ガスと窒素ガ
スの混合ガスやアルゴンガスを流した還元雰囲気や不活
性雰囲気下、350 〜600℃で焼結して形成できる。これ
らにより所謂ルーズシンタリングという粒子間の空間を
潰すことなく接触部のみが焼結される手法により多孔質
層が形成でき、ガス流通の優れた反応層又はガス拡散層
となる。
【0017】このように反応層及びガス拡散層を形成し
た前記液透過性基材には、気液透過性の集電体を接合し
てガス拡散陰極とすることができる。該集電体は孔径1
〜5mm、厚さ1〜5mm、空孔率30〜70%の気液透過
性部材から成ることが好ましい。該集電体が電導性ある
いは強度に乏しい場合は、強度の大きい支持部材を使用
しても良い。この支持部材は、気液透過性を付与するた
めに開孔部を有しており、かつ開孔面はフッ化グラファ
イトやフッ素樹脂を用いて撥水化してあることが望まし
い。開孔部径は1〜10mm、厚さは0.5 〜5mmで、表
面はアルカリ溶液中で酸素還元を行なう場合に化学的に
安定で不活性な銀、金あるいはそれらの合金の被覆が形
成され、実質的に電解液に露出していないことが好まし
い。このように作製したガス拡散陰極を食塩電解や芒硝
電解用の酸素陰極として適用するには、陽極室と陰極室
を区画する食塩電解用イオン交換膜の陰極面や中間室と
陰極室を区画する芒硝電解用イオン交換膜の陰極面に密
着させた状態で電解を行なう。このように配置して苛性
ソーダ生成用電解を行なうと、膜を移行する水分及び生
成する苛性ソーダを電極裏面に送り出す貫通孔が形成さ
れるが,該貫通孔が化学的に安定であるためガス供給及
び取出しを抑制する汚染や目詰まりが生じない。しかも
ガス拡散層の陰極室(ガス室)側には撥水性で凹凸を有
する金属めっき層が形成されているため、ガス拡散陰極
のガス拡散層表面に達した苛性ソーダ水溶液等は直ちに
表面から離脱して前記貫通孔等の閉塞を更に抑制して安
定な電解を可能にする。
【0018】添付図面は、本発明に係わる2室型ソーダ
電解用電解槽を例示するもので、図1はその概略縦断面
図、図2は図1の要部拡大図である。電解槽本体1は、
イオン交換膜2により陽極室3と陰極室(ガス室)4に
区画され、前記イオン交換膜2の陽極室3側にはメッシ
ュ状の不溶性陽極5が密着し、該イオン交換膜2の陰極
室4側には反応層とガス拡散層が接合して形成されたガ
ス拡散陰極6が密着している。該ガス拡散陰極6の陰極
室4側には、表面に凹部7が形成され凹凸状とされた撥
水性の金属めっき層8が被覆され、かつ該金属めっき層
8には陰極集電体9が接続されている。なお10は陽極室
底板に形成された陽極液導入口、11は陽極室天板に形成
された陽極液及びガス取出口、12は陰極室天板に形成さ
れた酸素含有ガス導入口、13は陰極室底板に形成された
苛性ソーダ取出口である。この電解槽本体1の陽極室3
に陽極液例えば食塩水を供給しかつ陰極室4に酸素含有
ガスを供給しながら両電極5、6間に通電すると、イオ
ン交換膜2の陰極室4側表面で苛性ソーダが生成し、こ
の苛性ソーダはガス拡散陰極6を透過して金属めっき層
8に達する。この金属めっき層は撥水性でかつ凹凸が形
成されているため、前記苛性ソーダは液滴となって容易
に金属めっき層から離脱し、苛性ソーダ取出口13から系
外に取り出される。
【0019】
【実施例】次に本発明に係わるガス拡散陰極及び該電極
を使用する電解の実施例を記載するが、該実施例は本発
明を限定するものではない。
【0020】
【実施例1】厚さ1mmのエルテック社製の空孔率90%の
ニッケルフォームをプレスにより0.2 mm厚に潰しこれを
基体とした。平均粒径30μmのニッケル粉と、フッ素樹
脂の水分散剤であるデュポン社製のPTFE分散剤J30
をニッケルとPTFEが体積比で1:1となるように混
合したスラリーを前記基体に含浸させた。この基体の片
面に、平均粒径0.1 μmの銀粉末を前述のPTFE分散
剤J30に銀:PTFE=9:1となるように分散して調
製したペーストを銀が20g/m2となるように塗布し、こ
れを0.2 kg/cm2の圧力下で300 ℃、15分間加熱焼結し
て、液透過性のガス拡散陰極本体とした。
【0021】平均粒径60μmのニッケル粉とPTFE樹
脂(J30)を分散した塩化ニッケル200 g/リットルの
水溶液から成るめっき浴を使用し、該めっき浴に前記本
体の銀塗布と反対面を浸漬し、十分に攪拌しながら温度
40℃、電流密度5A/dm2 で見掛け厚さ20μmとなるよう
にニッケルめっき層を形成した。このように作製された
ガス拡散陰極のニッケルめっき側の表面粗度はJIS Rmax
=150 〜200 μmであり、見掛けの接触角は140 度であ
った。このガス拡散陰極を10cm×10cmの大きさに切出
し、デュポン社製のイオン交換膜ナフィオン90209 の陰
極室側に密着させ、前記ガス拡散陰極のイオン交換膜の
反対側にはニッケル製のエクスパンドメッシュを陰極集
電体として接続した。前記イオン交換膜の陽極室側には
チタンメッシュに酸化ルテニウムと酸化チタンから成る
混合物を被覆した不溶性陽極を密着させ、陰極集電体と
不溶性陽極間に圧力を掛けて固定し、ソーダ電解用電解
槽を構成した。
【0022】この電解槽の陽極室側に150 g/リットル
で食塩水を循環しかつ陰極側に酸素濃度を90%とした酸
素富化空気を理論量の120 %供給し、温度90℃、電流密
度30A/dm2 で電解を行なった。この電解により電解電圧
1.98Vで、陰極側から濃度33%の苛性ソーダが得られ、
ガス拡散陰極の集電体側裏面には苛性ソーダの液滴は殆
ど見られず十分迅速に液がガス拡散陰極表面から離脱し
たことが判った。
【0023】
【比較例1】ニッケルめっき操作を行なわなかったこと
以外は実施例1と同一条件でガス拡散陰極を作製し、同
一条件で電解を行なった。ガス拡散陰極の裏面側の表面
粗度はJIS Rmax=30μmであり、見掛けの接触角は実施
例1と同じ140 度であった。電解電圧は2.40Vであり、
集電体側から見ると陰極裏面一面に陰極液、苛性ソーダ
の液滴の付着が見られた。液の離脱が円滑に行なわれ
ず、これにより電解電圧が実施例1より高くなっている
ものと推測された。
【0024】
【実施例2】直径0.2 mmの銀線を編んで作製した目開き
4mmのメッシュを基材とし、その全面にカルボニル銀を
水とデキストリンをバインダーとして調製したペースト
を塗布し、室温で乾燥後、水素雰囲気中450 ℃で20分間
焼結を行なった。この基材をデュポン社製のPTFE分
散剤J30を純水で3倍に希釈した液に浸漬し、取り出し
て乾燥後、その片面に電極物質として実施例1と同じ平
均粒径0.1 μmの銀粒子を分散した液を塗布した。室温
で乾燥後、350 ℃で15分間空気中で焼結し、陰極とし
た。
【0025】この陰極の電極物質と反対面をサンドペー
パーで軽く磨いて表面に付着しているフッ素樹脂を除去
した後、フッ化グラファイトの粉末と平均粒径80μmの
銀粒子を分散しためっき液を使用して分散めっきを行な
った。得られためっき層の見掛け厚は20μm、表面粗度
はJIS Rmax=180 〜200 μm、見掛け接触角は160 度で
あった。このガス拡散陰極を使用し、電流密度を40A/dm
2 、陽極液を200 g/リットルの食塩水としたこと以外
は実施例1と同様にして電解を行なった。これにより陰
極側から40〜42%の苛性ソーダ水溶液が得られ、電解電
圧は2.1 Vであった。電解を100 日継続した後にも変化
は見られなかった。電極の粗化した面、つまり電解面の
反対面には液滴が見られず、液離れが良好であったこと
が判った。
【0026】
【比較例2】分散めっき浴に銀粒子を入れなかったこと
以外は実施例2と同一条件でガス拡散陰極を作製した。
この電極のフッ化グラファイト側の接触角は実施例2と
同じ160 度であったが、表面粗度はJIS Rmax=25〜30μ
mであった。この電極を使用して実施例2と同一条件で
電解を行なったところ電解電圧は2.5 V±0.1 Vで安定
しなかった。電解終了後、電極の裏側を観察したとこ
ろ、直径1mm程度の多数の液滴が付着していた。液滴の
形成によりガス流路が確保できず、ガスの供給が不安定
となったため、電圧が高く安定しなかったものと推測さ
れた。
【0027】
【発明の効果】本発明のガス拡散陰極は、反応層とガス
拡散層を接合して成り、そのガス拡散層側表面に撥水性
で表面に凹凸が形成された金属層を有することを特徴と
するソーダ電解用ガス拡散陰極である。このガス拡散陰
極は、反応層表面で生成しガス拡散層側に透過する苛性
ソーダが撥水化した前記ガス拡散層表面を濡らさずに液
滴となり、更に該液滴は前記表面に形成された凹凸によ
り該表面に留まることなく、該表面から離脱して、前記
ガス拡散陰極のガス拡散層の貫通孔を閉塞し電解条件を
不安定にすることがない。従って従来のガス拡散陰極を
使用するソーダ電解と異なり、長期間運転を継続しても
ガス拡散陰極のガス拡散層表面が液滴で濡れることが殆
どなく、生成した苛性ソーダが直ちに陰極室側から取り
出せる。
【0028】本発明に係わるガス拡散陰極は、ガス拡散
層側表面に、撥水材及び金属粉を分散させた金属めっき
浴中で金属めっきを行なうことにより製造でき、撥水材
と金属粉を併用することにより、めっき表面に凹凸が形
成されて表面が粗化されて金属めっき層が形成される。
撥水材としてはフッ素樹脂の使用が望ましく、金属粉と
しては銀、ニッケル及び銅から選択されるものの使用が
好ましい。この他に前記ガス拡散陰極は、ガス拡散層の
成型を表面に凹凸のある型を使用して行なうことにより
製造することもできる。この方法ではガス拡散層の表面
に直接凹凸が形成されるため、ガス拡散層の表面に金属
層を形成することが必須でなくなり、工程が簡略化でき
る。更にこの凹凸が形成されたガス拡散層表面に金属層
を被覆することも可能であるが、この際にも該金属層の
形成はめっきを初めとして蒸着法や熱分解法等の各種方
法が採用できるため、状況に応じた最適な手法の選択が
可能になる。又金属以外の撥水性材料を被覆することも
できる。前記ガス拡散陰極は、2室型又は3室型のイオ
ン交換膜型電解槽のイオン交換膜に接触させ、かつその
ガス室側面に撥水性で表面に凹凸の有する金属層を形成
してソーダ電解用電解槽を構成することができ、該電解
槽を使用して食塩や芒硝の電解を行なうと、撥水性で表
面に凹凸が形成された金属層により生成する苛性ソーダ
溶液の離脱が円滑になり、ガス拡散層の貫通孔を閉塞す
ることなく、安定な運転を長期間行なうことが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるソーダ電解用電解槽を例示する
概略縦断面図。
【図2】図2は図1の要部拡大図。
【符号の説明】
1・・・電解槽本体 2・・・イオン交換膜 3・・・
陽極室 4・・・陰極室(ガス室) 5・・・不溶性陽
極 6・・・ガス拡散陰極 7・・・凹部 8・・・金
属めっき層 9・・・陰極集電体 10・・・陽極液導入
口 11・・・陽極液及びガス取出口 12・・・酸素含有
ガス導入口 13・・・苛性ソーダ取出口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応層とガス拡散層を接合して成り、そ
    のガス拡散層側表面に撥水性で表面に凹凸が形成された
    金属層を有することを特徴とするソーダ電解用ガス拡散
    陰極。
  2. 【請求項2】 反応層とガス拡散層を接合して成るガス
    拡散電極用基材の前記ガス拡散層側表面に、撥水材及び
    金属粉を分散させた金属めっき浴中で金属めっきを行な
    うことを特徴とするソーダ電解用ガス拡散陰極の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 撥水材がフッ素樹脂であり、金属が銀、
    ニッケル及び銅から選択される請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応層とガス拡散層を接合して成り、そ
    のガス拡散層側表面に凹凸が形成されたソーダ電解用ガ
    ス拡散陰極の製造方法において、ガス拡散層の成型を表
    面に凹凸のある型を使用して行ない、該ガス拡散層表面
    に凹凸を形成することを特徴とするソーダ電解用ガス拡
    散陰極の製造方法。
  5. 【請求項5】 イオン交換膜により、陽極液が満たされ
    たかつ陽極を有する陽極室と、実質的にガス室であり反
    応層とガス拡散層を接合して成るガス拡散陰極を有する
    陰極室に区画されたソーダ電解用電解槽において、前記
    ガス拡散陰極を前記イオン交換膜に接触させかつ前記ガ
    ス拡散陰極のガス室側面に撥水性で表面に凹凸を有する
    金属層を形成したことを特徴とするソーダ電解用電解
    槽。
  6. 【請求項6】 2枚のイオン交換膜により、陽極を有す
    る陽極室と中間室、及び該中間室と実質的にガス室であ
    り反応層とガス拡散層を接合して成るガス拡散陰極を有
    する陰極室に区画されたソーダ電解用電解槽において、
    前記ガス拡散陰極を前記イオン交換膜に接触させかつ前
    記ガス拡散陰極のガス室側面に撥水性で表面に凹凸を有
    する金属層を形成したことを特徴とするソーダ電解用電
    解槽。
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