JPH09310141A - 押出し性に優れた構造材料用高強度Al−Zn−Mg系合金押出し形材及びその製造方法 - Google Patents

押出し性に優れた構造材料用高強度Al−Zn−Mg系合金押出し形材及びその製造方法

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JPH09310141A
JPH09310141A JP8146597A JP14659796A JPH09310141A JP H09310141 A JPH09310141 A JP H09310141A JP 8146597 A JP8146597 A JP 8146597A JP 14659796 A JP14659796 A JP 14659796A JP H09310141 A JPH09310141 A JP H09310141A
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extrusion
weight
strength
temperature
profile
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JP8146597A
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English (en)
Inventor
Masahito Yatsukura
政仁 谷津倉
Takayuki Tsuchida
孝之 土田
Hajime Kamio
一 神尾
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 同じ形状で鋼材に替えて使用できる高強度ア
ルミ合金製の押出し形材を得る。 【解決手段】 このAl−Zn−Mg系合金押出し形材
は、Zn,Mg,Cu,Si,Fe,Zr,Ti,Bを
含み、T(℃)=651−4.5×%Zn−17×%M
g−18×%Cuで定義される溶融開始温度Tが595
℃以上となるように成分設計された組成をもつ。微細化
剤添加後120分以内にDC鋳造し、加熱速度200℃
/時以下,高温保持420〜520℃×1〜24時間、
冷却速度100℃/時以上の均質化処理を施し、加熱速
度200℃/分以上,予熱430〜520℃×1分〜1
時間,押出し直後の形材表面温度500〜565℃,プ
レス端焼入れの形材冷却速度50℃/分以上の条件下で
押出し、次いで80〜110℃×2〜12時間及び14
0〜180℃×4〜12時間の二段時効を施すことによ
り製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材,車両等の構造材
として使用され、押出し性に優れた高強度Al−Zn−
Mg系合金押出し形材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軽量化を図るため、従来の鋼材に替えて
アルミ材を構造材料に使用する傾向が強まっている。ア
ルミ材を構造材として使用するためには、押出し加工に
よって複雑な断面形状が得られ、且つ剛性を考慮した設
計が可能となるアルミ合金が必要とされる。一般的な構
造材料用の押出しアルミ合金であるA7003,7NO
1等では、強度設計の基準となるF値(建材に関する基
準法で規定されている設計基準強度:引張強さ×0.8
又は耐力の小さい方の値)がSS490に比較して劣る
ため、十分な軽量化が図られていないのが現状である。
【0003】強度,靭性等を改善するため、従来から種
々の提案がされている。たとえば、特開昭62−636
41号公報では、Siを低減しFeを積極的に添加する
ことにより押出し材の集合組織を抑制し、強度,靭性等
を改善している。特開平3−122243号公報では、
Zn−Mg系の微細析出物によって強度を向上させると
共に、Fe添加により材料組織を微細化して耐応力腐食
割れ性を向上させている。特開平6−212338号公
報では、時効処理後に押出し方向に揃った繊維状組織が
形成されるように、合金成分,均質化処理,押し出し,
時効処理等を特定することにより、強度及び成形性を改
善している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の高強度
を示すA7075系を初めとするアルミニウム合金は、
押出し時の押出し速度が約1m/分と非常に低く、生産
性が悪い。その結果、製造コストを上昇させる原因とな
る。本発明は、このような問題を解消すべく案出された
ものであり、従来の高強度アルミニウム合金では得られ
ていない高い押出し速度で押し出すことができ、しかも
鋼材SS490の構造設計値以上の強度を示すアルミニ
ウム合金押出し形材を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の構造材料用高強
度Al−Zn−Mg系合金押出し形材は、その目的を達
成するため、Zn:6.0〜7.0重量%,Mg:0.
9〜1.3重量%,Cu:0.1〜0.4重量%,S
i:0.05〜0.2重量%,Fe:0.1〜0.4重
量%,Zr:0.05〜0.25重量%,Ti:0.0
05〜0.1重量%,B:0.001〜0.01重量%
を含み、T(℃)=651−4.5×%Zn−17×%
Mg−18×%Cuで定義される溶融開始温度Tが59
5℃以上となるように成分設計された組成をもち、鋳塊
の均質化処理中に析出するAl−Zr系化合物が0.0
5μm以下のサイズに規制されていることを特徴とす
る。この押出し形材は、前述した組成をもつAl−Zn
−Mg系合金を微細化剤添加後120分以内にDC鋳造
し、加熱速度200℃/時以下,高温保持420〜52
0℃×1〜24時間、冷却速度100℃/時以上の均質
化処理を施し、加熱速度200℃/分以上,予熱430
〜520℃×1分〜1時間,押出し直後の形材表面温度
500〜565℃,プレス端焼入れの形材冷却速度50
℃/分以上の条件下で押出し、次いで80〜110℃×
2〜12時間及び140〜180℃×4〜12時間の二
段時効を施すことにより製造される。
【0006】
【作用】一般構造用圧延鋼材SS490の設計強度値を
満足するためには、最低保証値として360N/mm2
以上の引張強さ且つ285N/mm2 以上の0.2%耐
力が必要である。更に、製造コストの面から、7000
系の合金であっても、押出し性の良好な6000系の6
061合金に匹敵する押出し性をもつことが要求され
る。このような前提で、本発明者等は、SS490と同
じ形状でアルミニウム合金押出し材の時効処理材と置き
替えるべく、時効処理後の強度が引張強さ430N/m
2 以上,0.2%耐力380N/mm2 以上で、且つ
6061合金と同等の押出し速度で押し出すことができ
る材料を調査・研究した。その結果、合金成分を特定す
ると共に、T(℃)=651−4.5×%Zn−17×
%Mg−18×%Cuで定義される溶融開始温度Tが5
95℃以上となるように成分調整するとき、強度及び押
出し性の双方に優れたアルミニウム合金押出し形材が得
られることを見い出した。押出し性については、ピック
アップ,肌荒れ,テアリング等の欠陥が表面に発生しな
い押出し形材が得られる限界押出し速度を判定基準とし
た。因みに、6061合金と同等以上の押出し速度と
は、形材の形状によっても異なるが、たとえば高さ15
0mm,幅50mm,肉厚2mmの中空矩形状ホロー材
では8m/分以上の押出し速度である。
【0007】以下、本発明のアルミニウム合金押出し形
材の合金成分,含有量,製造条件等について説明する。 Zn:6.0〜7.0重量% 主としてMgと結合し、二段時効で析出するη’−Mg
Zn2 化合物及びAl,Mgと結合し時効析出するAl
−Mg−Zn系化合物による析出硬化作用で材料強度を
向上させる。このような作用は、6.0重量%以上のZ
n含有量で顕著になる。しかし、7.0重量%を超える
多量のZnが含まれると、耐応力腐食割れ性及び耐食性
が劣化する。しかも、押出し時にビレットの溶融開始温
度の低下を招き、押出し材に肌荒れ等の欠陥が発生し、
製品品質を低下させる。 Mg:0.9〜1.3重量% 固溶体を強化すると共に、二段時効時にMg−Zn系又
はAl−Mg−Zn系化合物として析出し、析出硬化に
より強度が向上する。Mgによる析出硬化作用は、0.
9重量%以上のMg含有量で顕著になる。しかし、1.
3重量%を超える多量のMg含有量では、熱間変形抵抗
値が上昇し、押出し時のビレット溶融開始温度の低下を
招き、良好な製品を得るためには押出し速度を遅くせざ
るを得ない。
【0008】Cu:0.1〜0.4重量% 強度の向上及び耐食性の改善に有効な合金元素であり、
二段時効時にS’−CuMgAl又はAl−Cu系の化
合物を形成し、析出硬化によって強度が向上する。この
ような作用は、0.1重量%以上のCu含有量で顕著に
なる。しかし、0.4重量%を超えるCu含有量では、
押出し時のビレットの溶融開始温度の低下及び熱間変形
抵抗値の上昇を招き、良品を得るために押出し速度を遅
くすることが要求される。また、Cu含有量の増加に伴
って、耐食性も低下する。 Si:0.05〜0.2重量% Feと結合し、微細なAl−Fe−Si系化合物を形成
することによって、押出し材の再結晶粒の粗大化を抑制
し、強度を向上させる合金元素である。このような作用
は、0.05重量%以上のSi含有量で顕著になる。し
かし、0.2重量%を超える多量のSiが含まれると、
MgZn2 のMgがMg2 Siとして消費される。Mg
Zn2 に比較してMg2 Siによる強度上昇が小さいた
め、多量のSi含有は却って強度を低下させる原因とな
る。
【0009】Fe:0.1〜0.4重量% 微細なAl−Fe系化合物やAl−Fe−Si系化合物
を形成し、押出し加工中に生じる再結晶粒界の移動をピ
ンニングし、再結晶粒の粗大化を防止することによって
強度を向上させる。Feの作用は0.1重量%以上の含
有量で顕著になるが、0.4重量%を超える多量のFe
が含まれると粗大なAl−Fe−Si系化合物が生成
し、押出し材の表面に肌荒れ等が発生し易くなる。 Zr:0.05〜0.25重量% ビレットを均質化処理するときの昇温速度は、Al−Z
r系化合物を微細均一に析出させるため200℃/時以
下とする。そして、420〜520℃×1〜24時間の
高温保持中に核が成長し、サブミクロンサイズ(0.0
5μm以下)のAl−Zr系化合物(Al3 Zr)がで
きる。このAl−Zr系化合物が押出し中の再結晶化を
防止することにより、押出し材に繊維状の組織を形成さ
せ、強度及び耐応力腐食割れ性を向上させる。このよう
な作用は、0.05重量%以上のZrが含まれると顕著
になる。しかし、0.25重量%を超える多量のZrが
含まれると、粗大なAl−Zr系化合物の生成により押
出し材に表面欠陥が発生し易くなる。Zrと同様に押出
し時の再結晶化を抑制する作用を呈する合金元素とし
て、Mn及びCrがある。しかし、MnやCrによりZ
rと同等の再結晶抑制効果を得ようとすると押出し圧力
が上昇し、高い押出し速度が得られない。また、Mn,
Cr添加は、Zrに比較してプレス端焼入れ感受性が高
くなり、焼入れ効果が薄められる。このようなことか
ら、本発明では、Mn及びCrを添加することなく、Z
r添加によって押出し中の再結晶化を抑制している。
【0010】Ti:0.005〜0.1重量% 鋳塊の結晶粒微細化に有効な合金成分であり、鋳造割れ
を防止し、熱間変形抵抗値を下げ、押出し速度を高める
作用を呈する。このような作用は、0.005重量%以
上のTi含有量で顕著になる。しかし、0.1重量%を
超える多量のTiが含まれると、Al−Ti系の粗大な
粒子が生成され、押出し時に形材の表面欠陥が発生し易
くなる。Tiの作用は、Bとの複合添加によって更に高
められる。 B:0.001〜0.01重量% Tiと同様に鋳塊の結晶粒を微細化し、鋳造割れを防止
する作用を呈する。このような作用は、0.001重量
%以上のB含有量で顕著になる。しかし、0.1重量%
を超える多量のBが含まれると、Al−B系やTi−B
系の粗大な粒子を生成し、押出し時に形材の表面欠陥が
発生し易くなる。
【0011】溶融開始温度:T≧595℃ 一般的には、素材温度が高くなるほど押出し速度を高く
設定できる。しかし、素材温度が高いとき、押出し中に
発生した加工熱で更に昇温した素材の表面が部分的に溶
融することがある。この状態で押出された形材には、ピ
ックアップ,肌荒れ,テアリング等の表面欠陥が発生し
易い。そこで、本発明者等は、これら表面欠陥を抑制す
べく、且つ高強度が得られるAl−Zn−Mg合金系で
合金設計を検討した結果、T(℃)=651−4.5×
%Zn−17×%Mg−18×%Cuで定義される溶融
開始温度Tを595℃以上に調整するとき、表面性状が
良好な押出し形材が大きな押出し速度で得られることを
見い出した。本発明では、溶融開始温度の式を次のよう
に定めた。表1に示す12種類のAl合金ビレット及び
これ以外に8種類のビレットを鋳造し、サンプルを切り
出した。各サンプルの溶融開始温度を、示差走査熱量計
(DSC)で測定したDCS曲線から求めた。そして、
直線回帰式により、得られた溶融開始温度と添加元素及
びその添加量との関係を求めた。回帰分析の結果、Y
軸、すなわち温度軸の切片は651℃であり、X軸の各
成分に対する係数はZnが−4.5,Mgが−1.7,
Cuが−18であった。このように変数をZn,Cu,
Mgに特定することにより、相関係数の高い回帰式が得
られる。各成分は、析出強化及び組織強化の作用を呈す
る。組織強化は、Zrの添加によって行われ、押出し材
に安定して繊維状組織が形成される値に添加量が定めら
れる。一方、析出強化を狙ってMg,Zn,Cuを増量
すると、合金の溶融開始温度が低下する。試験の結果、
溶融開始温度の低い合金ほど限界の押出し速度が低下
し、押出し生産性も劣る傾向にあることを把握した。そ
こで、高強度及び優れた押出し性を呈する合金は、成分
設計する際に溶融開始温度に注目し、表1に示す実験結
果からCu,Zn,Mg量に依存している計算上の溶融
開始温度を595℃以上に規定する。溶融開始温度が5
95℃に達しないと、表面性状の良好な押出し材を得る
ためには、一般的な押出し用合金である6061合金に
比較して押出し速度を著しく下げなければならず、製造
コストが上昇することになる。一方、本発明で規定した
溶融開始温度の計算式をCu,Zn,Mg量が満足する
とき、溶融開始温度が595℃以上の合金となり、60
61合金と同等又はそれ以上の押出し速度で押し出すこ
とができる。Zn,Mg,Cuは、マトリックス中に固
溶する元素であることから、添加量の増加に従ってマト
リックスの溶融開始温度を降下させる方向に働く。すな
わち、溶融開始温度の計算式で係数がマイナスとなる。
一方、Fe,Zr,Ti,Bは、マトリックス中に析出
する元素であることから、添加量の如何は溶融開始温度
に影響を及ぼさない。マトリックスに固溶する合金成分
であるSiは、溶融開始温度を低下する方向に作用する
ものの、本発明の合金系では添加量が少なく且つFeと
化合物を生成してしまうので、溶融開始温度に実質的な
影響を及ぼさない。
【0012】鋳造:微細化剤添加後120分以内にDC
鋳造 以上のように成分調整されたアルミニウム合金は、脱ガ
ス,脱滓後、常法に従ってDC鋳造される。DC鋳造
は、十分な微細化作用を得るためTi,B,Ti−B等
の微細化剤添加から120分までの期間に実施される。
120分以上経過した時点で鋳造すると、結晶核の沈降
や化学的変化に起因して所与の微細化効果が十分発揮さ
れず、鋳造割れが発生し易くなる。
【0013】均質化処理:DC鋳造で得られたビレット
の均質化処理は、ビレット中の主添加成分であるMg,
Zn,Cuの偏析を均質化し、押出し中に肌荒れが発生
することを防止する。均質化処理によりMg,Zn,C
u等が適正なサイズに析出するので、押出し後のプレス
端焼入れも容易になる。また、均質化処理は、Al−Z
r系化合物を再結晶の抑制に有効なサブミクロンサイズ
(0.05ミクロン以下)で析出させるように条件設定
される。すなわち、ビレットの昇温速度を200℃/時
以下とすることにより、Zrの析出核の分布がコントロ
ールされ、Al−Zr系化合物(Al3 Zr)がサブミ
クロンサイズで均質に析出する。Mg,Zn,Cuの偏
析の均質化及びサブミクロンサイズでのAl−Zr系化
合物の析出のためには、420〜520℃×1〜12時
間の均質化処理が好適である。420℃未満の均質化温
度や1時間に達しない保持時間では、主溶質成分の均質
化が十分でなく、押出し中の肌荒れが発生し易く、強度
不足の原因ともなる。他方、保持温度が520℃を超え
ると、Al−Zr系の析出物が粗大化し、再結晶抑制の
効果を得ることができない。また、24時間を超える保
持時間では、生産性に支障を来し、コスト的に問題があ
る。均質化処理の保持を終了したビレットは冷却され
る。この冷却過程でAl−Cu系,Zn−Mg系,Al
−Zn−Mg系等の化合物を押出し加工時に再固溶させ
ることが可能な約1μm以下のサイズに析出させるた
め、100℃/時以上の冷却速度で強制空冷する。この
とき、冷却速度が100℃/時未満であると析出物が粗
大になり、押出し中に肌荒れを発生し易い。
【0014】押出し加工:押出しに際して、ビレット
は、昇温速度200℃/分以上で予熱温度430〜52
0℃に加熱される。このときの加熱手段には、たとえば
インダクションヒーティングを使用した急速加熱が採用
される。昇温速度が200℃/分未満であると、組織内
でサブミクロンサイズに析出したAl−Zr系化合物が
粗大化し、再結晶化抑制作用が小さくなる。微細に析出
したAl−Zr系化合物が分散している状態で押し出す
ためには、比較的低温で短時間の予熱処理、すなわち4
30〜520℃×1分〜1時間の予熱処理を施すことが
好ましい。520℃を超える予熱温度では、押出し時の
素材温度が高くなりすぎ、Al−Zr系化合物が粗大化
し、押出し時の再結晶抑制効果が損なわれる。また、加
工熱によって素材温度が押出し中に565℃を超える虞
れもあり、肌荒れが発生し易くなる。しかし、430℃
に達しない予熱温度では押出し圧力が上昇し、押出しが
困難になる。また、押出し中にZn−Mg系化合物を十
分に固溶させることが重要である。この点、保持時間が
1分に達しない場合や、430℃未満の温度では形材の
温度が十分に上がらず、ビレットの冷却時に析出したZ
n−Mg系化合物が固溶し切れず、時効処理による強度
向上効果が小さくなる。また、1時間を超える予熱処理
は、経済的でない。
【0015】押出し直後の形材は、Mg,Zn,Cuを
固溶状態で保持するために500〜565℃の温度範囲
に制御することが好ましい。このときの形材温度が50
0℃未満であると、押出し圧力が上昇し、十分な押出し
速度が得られない。また、本発明に従ったアルミニウム
合金では溶融開始温度を595℃以上に設定しているの
で、通常の7000系合金よりも高温で押し出せる。そ
の分、熱間変形抵抗が小さくなり、押出し速度が上昇す
る。しかし、本発明者等による実験結果から、溶融開始
温度よりも30℃以下で押し出さないと、押出し形材の
表面が荒れる傾向が顕在化することが解明された。した
がって、押出し直後の形材表面温度の上限を565℃に
設定した。500〜565℃の表面温度をもって押し出
されてくる形材は、押出しダイスの出口付近ですぐに強
制冷却され、焼入れされる。このとき、Zn,Mg,C
u等を過飽和固溶体とするため、強制空冷,水−空気の
混合吹付け,水の吹付け等によって50℃/分以上の速
度で冷却する。固溶したZn,Mg,Cu等は、後続す
る時効処理工程で析出し部材強度を向上させる。50℃
/分未満の冷却速度では、時効処理前にMg−Zn系化
合物等の析出が開始され、後の時効処理時に粗大析出物
となり、部材の強度が低下する。このプレス端焼入れ
は、押出し材のT6処理における溶体化→水焼入れの効
果を兼ねている。そのため、本発明に従うとき溶体化→
水焼入れの処理が不要になり、押し出された形材をその
まま時効処理することができる。
【0016】時効処理:80〜110℃×2〜12時間
及び140〜180℃×4〜12時間の二段時効 時効処理では、押出し加工後のプレス端焼入れ処理で得
た過飽和固溶体にMg−Zn系化合物を析出硬化させる
ことにより部材強度を向上させる。本発明においては、
1段目で均一微細に析出させ、二段目で強度向上に有効
な中間相に成長させる二段時効によって硬化性を高め
る。時効処理における加熱速度及び冷却速度は、特に制
限されるものではなく、通常の方法で加熱又は冷却され
る。1段目の加熱温度が80℃未満又は保持時間が2時
間未満では、核生成が不十分となり、二段目の時効で十
分に成長しない。逆に110℃を超える加熱温度では、
Mg−Zn系化合物が粗大に析出し、二段時効による十
分な硬化が得られない。二段目の加熱温度が130℃に
達しないと、12時間を超える時効処理時間が必要にな
り、生産性が悪くなる。しかし、180℃を超える加熱
温度では、析出物が粗大に成長し、時効硬化性が低下す
る。
【0017】
【実施例】表1に示す組成をもつ溶湯を脱ガス・脱滓
し、Ti−B系の微細化材を添加した後、1時間経過し
た時点で直径254mmのビレットに鋳造した。このビ
レットを100℃/時の加熱速度で昇温し、470℃×
12時間の均質化処理を施し、冷却速度200℃/時で
強制空冷した。ビレットからサンプルを採取し、溶融開
始温度を示差走査熱量計で測定した。本発明に従ってT
(℃)=651−4.5×%Zn−17×%Mg−18
×%Cuで算出した溶融開始温度の計算値を、実測値と
比較して表1に併せ示す。表1にみられるように、計算
値と実測値との差は0〜2℃であり、回帰分析で求めた
設計上の計算値が実測値と高い一致性を示していること
が判る。
【0018】
【0019】得られたビレットを600mmの長さに切
断し、インダクションヒータで480℃に加熱した。こ
のときの加熱速度は、240℃/分であった。ビレット
を480℃に3分保持した後、図1に示す高さ50m
m,幅150mm,肉厚2mmの中空矩形状のホロー材
を押し出した。押出し直後の形材は、表面温度が520
〜560℃であった。表面温度の変動は、限界押出し速
度が異なることに起因し、押出し速度が大きなものほど
表面温度が高くなっていた。押し出された形材に対し、
押出しダイスの出口付近でファンにより冷気を吹き付け
強制空冷した。このときの冷却速度は、約70℃/分で
あった。得られた押出し形材に90℃×8時間+150
℃×8時間の二段時効処理を施した。時効処理後の形材
から材料試験用サンプルを切り出し、引張強さ,0.2
%耐力,伸び等の機械的性質を測定した。また、表面肌
荒れが発生するまで押出し速度を上昇し、その最高速度
を限界押出し速度として測定した。調査結果を表2に示
す。
【0020】
【0021】表2にみられるように、本発明に従った試
験番号1〜4では、引張強さが430N/mm2 以上,
0.2%耐力が380N/mm2 以上と機械的特性に優
れ、且つ限界押出し速度8m/分以上の高速押出しが可
能であった。これに対し、試験番号5ではZn含有量が
少ないことから強度が不足し、試験番号6ではMg含有
量が少ないことから強度が不足していた。試験番号7で
は、Cr,Mn添加で押出し圧力が上り、押出し速度を
上げることができず、途中で押出しを中止した。試験番
号8は、Mg含有量が多いため溶融開始温度が低く、表
面肌荒れが発生し易く、また押出し圧力も増加した。そ
のため。押出し速度を上げることができなかった。試験
番号9は、Zn含有量が多いため溶融開始温度が低く、
表面肌荒れとなるため押出し速度が不十分であった。試
験番号10は、Zr無添加のため押出し時に再結晶が発
達し、強度が不足していた。試験番号11は、Cu含有
量が多いため溶融開始温度が低く、形材表面が肌荒れ
し、十分な押出し速度が得られなかった。試験番号12
は、Cr,Mnが添加されていることから押出し圧力が
高く、押出し速度を上げることができず、途中で押出し
を中止した。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のAl−
Zn−Mg系合金押出し形材は、各合金成分の組成を調
整すると共に、T(℃)=651−4.5×%Zn−1
7×%Mg−18×%Cuで定義される溶融開始温度T
が595℃以上となるように合金設計し、鋳造条件,ビ
レットの均質化処理条件,押出し条件及び時効条件を適
切に調整することにより、鋼材SS490並の構造材が
得られる。そのため、同じ形状で鋼材に替えてアルミ材
を使用でき、各種機器,構造体の大幅な軽量化が可能と
なる。また、押出し直後にプレス端焼入れすることによ
り、押出し材の溶体化及びその後の水焼入れ工程が省略
され、製造コストの低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例で得られた押出し形材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神尾 一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn:6.0〜7.0重量%,Mg:
    0.9〜1.3重量%,Cu:0.1〜0.4重量%,
    Si:0.05〜0.2重量%,Fe:0.1〜0.4
    重量%,Zr:0.05〜0.25重量%,Ti:0.
    005〜0.1重量%,B:0.001〜0.01重量
    %を含み、T(℃)=651−4.5×%Zn−17×
    %Mg−18×%Cuで定義される溶融開始温度Tが5
    95℃以上となるように成分設計された組成をもち、鋳
    塊の均質化処理中に析出するAl−Zr系化合物が0.
    05μm以下のサイズに規制されている押出し性に優れ
    た構造材料用高強度Al−Zn−Mg系合金押出し形
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成をもつAl−Zn−
    Mg系合金を微細化剤添加後120分以内にDC鋳造
    し、加熱速度200℃/時以下,高温保持420〜52
    0℃×1〜24時間、冷却速度100℃/時以上の均質
    化処理を施し、加熱速度200℃/分以上,予熱430
    〜520℃×1分〜1時間,押出し直後の形材表面温度
    500〜565℃,プレス端焼入れの形材冷却速度50
    ℃/分以上の条件下で押出し、次いで80〜110℃×
    2〜12時間及び140〜180℃×4〜12時間の二
    段時効を施す構造材料用高強度Al−Zn−Mg系合金
    押出し形材の製造方法。
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