JPH09313132A - 卵黄加工品およびそれを用いた冷菓 - Google Patents

卵黄加工品およびそれを用いた冷菓

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JPH09313132A
JPH09313132A JP9045811A JP4581197A JPH09313132A JP H09313132 A JPH09313132 A JP H09313132A JP 9045811 A JP9045811 A JP 9045811A JP 4581197 A JP4581197 A JP 4581197A JP H09313132 A JPH09313132 A JP H09313132A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に冷菓に用いた場合、冷菓の呈味を従来の
卵黄加工品に比して向上させる卵黄加工品およびそれを
含有する冷菓を提供する。 【解決手段】 卵黄を糖類および水とともに混合して得
られた液状物を100℃以上の温度で沸騰させて変性さ
せ、ついで所望により真空下で濃縮して得られた卵黄加
工品、およびこの卵黄加工品を卵黄固形分として0.1
〜10重量%含有する冷菓。糖類は0.01〜0.5重
量%のキシロースを含有することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は卵黄、糖類および水
からなる液状混合物を100℃以上の温度で沸騰させな
がら加熱変性してなる卵黄加工品およびこれを含有する
冷菓に関する。また、本発明は卵黄、キシロースを含有
する糖類および水の液状混合物を100℃以上の温度で
沸騰させながら加熱変性してなるカスタード風味を有す
る卵黄加工品およびこれを含む冷菓にも関する。
【0002】
【従来の技術】従来より卵黄は冷菓の乳化性、起泡性や
呈味を向上する目的で加えられてきた。近年は乳化性と
起泡性を向上するためにグリセリン脂肪酸エステルを主
とした合成の乳化剤を添加することが多くなり、卵黄は
その呈味や栄養を目的とする場合にのみ用いられること
が多い。しかし、一部のスーパープレミアムアイスクリ
ームと称されるものは合成化学的に得られた乳化剤を使
用しないことを特徴としており、この場合卵黄のもつ乳
化性や起泡性、ゲル化性といった機能が重要な意味をも
つこととなる。
【0003】ここで用いられる卵黄の形態には、割卵後
卵白と分離した液体卵黄やそれに10〜20%の糖類を
加えて低温殺菌後冷凍した凍結加糖卵黄、50%程度の
糖類を加えて低温殺菌した加糖卵黄などがある。凍結加
糖卵黄と加糖卵黄はいずれも液体卵黄のもつ乳化性、起
泡性、ゲル化性を長期間維持するために加工されたもの
であって、糖類の添加量により微生物の増殖性が異なる
ため貯蔵に必要な温度が異なっているものである。また
卵黄は豊かな風味をもち、冷菓の風味の向上に大きく寄
与するものではあるが、その独特の呈味を嫌う人がかな
り居ることも事実である。卵黄風味を強化した冷菓を製
造しようとしてもその生臭さが嫌われるため使用量が限
られてしまう場合が多い。また卵黄の風味を強調するた
め卵黄量を多くした場合、そのゲル化性によりミックス
が大幅に増粘、ゲル化してしまう欠点がある。
【0004】その他卵黄には濃縮卵黄、乾燥卵黄、酵素
処理卵黄といった加工品がある。いずれも用いる食品の
加工適性や流通コスト、風味、物性などを勘案して選択
されるものである。濃縮卵黄は加熱時の蛋白質の変性を
できるだけ少なくすることと保存中の微生物増殖を防止
する両方の目的のために砂糖を30%程度加え、70〜
85℃程度で殺菌後、減圧濃縮するものである。卵黄本
来の乳化性、起泡性、ゲル化性は液体卵黄や凍結加糖卵
黄と比べて劣るものの、蛋白質の変性は少なく卵黄本来
の物性に近いものといえる。呈味も液体卵黄と比べてや
や加熱臭が認められるものの、本来の卵黄に近いもので
ある。
【0005】乾燥卵黄には真空凍結乾燥によるものと噴
霧乾燥によるものがある。真空凍結乾燥品は水溶性が高
く、卵黄本来の乳化性、起泡性、ゲル化性、呈味を維持
している。噴霧乾燥品は真空凍結乾燥品よりやや加熱変
性の程度が高いが、上記した卵黄本来の物性をかなり維
持している。このものは、卵黄を粉末状に乾燥したもの
であり、加熱変性の程度も高くないものであるから、本
発明でいう卵黄加工品とは全く異なるものである。
【0006】酵素処理卵黄は卵黄を種々の酵素で処理し
たもので、加糖したり濃縮したものもある。蛋白質が部
分的に分解しているため、卵黄本来のゲル化性はかなり
失われているが完全に無くなっているわけではない。ま
た、ゲル化性を失う原因は酵素の作用によるもので、加
熱処理によりゲル化性を失った卵黄加工品とは全く異な
るものである。また、酵素処理により得られた加工品は
アミノ酸のうま味が強化されることにより卵黄風味が強
調されるので、加熱処理による卵黄加工品とは風味も異
なるものである。
【0007】特許出願公告昭59−23778号公報に
は卵黄を加熱変性させた状態で乳化含有または分散含有
している卵黄含有高濃度食品添加物、およびその製法と
して卵黄と糖類とを混合攪拌して乳化物または分散物と
し、ついでこれを70℃以上の温度に加熱して卵黄成分
を完全に熱変性させ、その後更に高温に加熱して殺菌す
るとともに濃縮して細菌の発育不能な高糖度なものにす
ることが開示されている。加熱変性の条件としては85
℃、30分が示されており、また加熱殺菌については9
5℃、20分の条件が示されている。しかしながら、こ
の卵黄含有高濃度食品添加物は、後記比較例および実施
例に示したとおり、ゲル化力をやや減じてはあるものの
実質上失ってはおらず、再加熱によりゲルとなり、さら
に冷菓に用いた場合、ミックス粘度を大きく増加させる
ものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した各種の卵黄加
工品はいずれも卵黄本来の乳化性、起泡性、ゲル化性を
それぞれ多少なりとも維持しているものである。また加
工中の加熱の程度による加熱臭や酵素処理によるうま味
の強弱の差はあるものの、実質的に卵黄本来の呈味を維
持している。所謂ゆで卵はゲル化性を失ってはいるが、
卵黄のみ単独で加熱されたものであって、ゲルが硬く冷
菓に用いた場合粉状、砂状の組織となり使用できない。
また加熱による硫化物由来の香気成分を含むため刺激的
な風味を持ち冷菓に適していない。
【0009】本発明の目的は、特に冷菓に適用した場
合、冷菓の呈味を従来の卵黄またはその加工品に比して
向上させる卵黄加工品およびそれを含有する冷菓を提供
することにある。
【0010】また本発明の目的は、特に冷菓に用いた場
合、卵黄本来の生臭みや加熱処理により発生する硫化物
由来の刺激臭を与えず、また冷菓ミックスの粘度を増加
させず、さらにゲル化を起こさず、実質的に冷菓ミック
スの物性を変化させず、かつ新規な風味を持つ卵黄加工
品およびそれを含有する冷菓を提供することにある。
【0011】さらに、本発明の目的は、キシロースを含
有する糖類を用いることにより、従来用いられた還元糖
によっては得られることのない、キシロースの褐変作用
によってのみ得られる色調およびカスタード風味を有す
る卵黄加工品およびそれを含有する冷菓を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
鋭意研究を続けた結果、卵黄をキシロースを含まない糖
類または0.01〜0.5重量%のキシロースを含む糖
類および水と共に混合して得られた液状物を100℃以
上の温度で沸騰させながら加熱変性し、所望により、そ
の後真空下で濃縮処理することにより、冷菓に卵黄本来
の生臭みや加熱処理により発生する硫化物由来の刺激臭
を与えず、かつ冷菓ミックスの粘度を増加させず、また
ゲル化も起こさない、実質的にミックスの物性を殆ど変
化させない、新規な風味を持つ卵黄加工品が得られるこ
とを見出して本発明をなすに至った。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、用いられる卵黄
としては、液体卵黄、凍結加糖卵黄、加糖卵黄などを挙
げることができるが、その他のもの、例えば濃縮卵黄、
乾燥卵黄を用いることもできる。用いられる卵黄は経済
性を考慮すると、なるべく加工度の低いものが好まし
い。酵素処理卵黄もその呈味を好むものであれば用いる
ことができる。これらの卵黄は2種以上を用いてもよ
い。
【0014】本発明で用いられる糖類としては、砂糖、
異性化糖、ぶどう糖、水飴などが例示される。砂糖を用
いることにより最も好ましい風味が得られるが、呈味や
微生物の増殖性、経済性などを考慮して糖類から適宜選
択して用いられる。糖類の2種以上を用いることもでき
る。
【0015】上記の糖類は0.01〜0.5重量%のキ
シロースを含有してもよい。キシロースの量が0.01
重量%未満であれば褐変反応が未熟に終わり、風味のあ
っさりとしたものが得られる。またキシロースの量が
0.5重量%を越えると褐変反応が進みすぎ、風味がカ
ラメル的になり、かつ色調も暗褐色となって目的の風味
と色調が得られない。
【0016】卵黄、糖類および水からなる液状混合(予
備混合ミックス)中のこれらの混合比は、液体卵黄、凍
結卵黄、加糖卵黄等から選択された1種以上の卵黄が固
形分として好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは
5〜15重量%、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、水飴等か
ら選択された1種以上の糖類が固形分として好ましくは
5〜40重量%、特に好ましくは8〜30重量%、糖類
がキシロースを含有するときはキシロースの量は、好ま
しくは糖類の0.01〜0.5重量%、特に好ましくは
糖類の0.03〜0.3重量%とし、残量に水を加えて
100重量%とする。卵黄と糖類の量がこの量を越える
と、工程中で粘度が著しく高くなるため加熱ムラが生
じ、焦げつきが発生して風味を損なう場合がある。ま
た、卵黄と糖類の量が上記の範囲より小さいと、風味が
淡白なものとなり、本発明の目的に合致しない。
【0017】卵黄、キシロースを含まない糖類またはキ
シロースを含んだ糖類および水を上記の混合比で混合
し、常温において撹拌して糖類を完全に溶解し、かつ、
卵黄を完全に混和せしめて予備混合ミックス(液状混合
物)を得る。
【0018】十分に混和された予備混合ミックスを撹拌
しながら加熱を開始する。容器は蒸気などで加熱可能な
ジャケット付きとし、撹拌機は容器の内壁を掻き取れる
形式のものと高速回転により変性物を微細に分散できる
もの、両方を兼備したものが好ましい。掻き取り式のも
のは伝熱効率を良くすると同時に容器内壁への変性物の
焦げつきを防止して均一な変性を可能にするために必要
である。また、生じた変性物の塊を小型のプロペラ状の
撹拌機を高速(1000〜5000rpm)に回転させ
ることにより分散すると、卵黄の変性の程度にばらつき
がなく、均一な風味のものが得られる。
【0019】加熱は撹拌しながらまず80〜95℃程度
に達するまで行い、そこで5〜15分程度この温度を保
持する。この保持工程により卵黄の持つ乳化性、起泡
性、ゲル化性の大部分は失われる。特に起泡性の低下は
容器内での泡立ちが殆どなくなることによりはっきりわ
かる。この段階で起泡性の殆どを失うことにより、後工
程の沸騰時の泡立ちが最小限に抑えられるため工程管理
上好ましい。
【0020】保持後、加熱を再開し100℃以上で沸騰
させる。沸騰時間は概ね20分〜2時間の範囲にある
が、これは容器の形状、容器中の予備混合ミックスの
量、ジャケット温度、当初の固形分量などにより異なる
ことは当然である。沸騰工程の終点は固形分管理、また
はブリックス(Bx)管理によって決定することが利便
である。予備混合ミックスの固形分、またはブリックス
度をAとし、沸騰工程の終点の固形分、またはブリック
ス度をBとすると、B=A÷0.7で表わされる数値が
目安となる。ここで0.7とした係数は求める風味によ
り0.6〜0.8までの範囲で加減できる。この範囲内
で0.8に近い係数で求められる終点により得られたも
のの風味はややあっさりしたカスタード風味を持つもの
となり、同様に、0.6に近い係数で求められる終点に
より得られたものの風味はこく味豊かなものとなる。
0.8を越える係数で求められる終点により得られたも
のは未熟な風味であって生臭みが残っている。反対に
0.6未満の係数で求められる終点により得られたもの
の風味はカラメル感が強く、加熱臭や焦げ臭も強いもの
となり好ましくない。
【0021】本発明において100℃以上の温度で沸騰
させる工程を必須とするのは次の理由による。
【0022】予備混合ミックスを85〜95℃の温度に
おいて加熱すると卵黄の持つ乳化性、起泡性、ゲル化性
の大部分は失われるが、卵黄の熱変性はなお、完全では
ない。その上、卵黄本来の生臭み、硫化物由来の刺激臭
(イオウ臭)が残る。100℃以上の温度に加熱して沸
騰させることによって卵黄の変性は実質的に完結し、ま
た、生臭み、刺激臭の香気成分が水蒸気蒸留により駆逐
される。さらに糖類がキシロースを含有する場合、10
0℃以上のの温度で加熱することにより卵が焼けた状態
となって製品にカスタード風味が付与され、かつキシロ
ースが褐変を促進して製品に好ましい色調を付与する。
【0023】沸騰を続け、所望の沸騰工程終点に達した
ところで操作を終了してもよい。しかし、沸騰終了後に
少々残存する硫化物由来の香気成分を除去する目的で真
空濃縮処理を行うことは自由である。真空度は容器とミ
ックス量の比率や固形分量、真空発生装置の能力などの
諸条件により変化するが、概ね400〜600mmHg
の範囲が好ましい。処理時間は5分〜30分間の範囲が
良いが、本工程の終点は沸騰工程と同様固形分またはブ
リックス度により決定する。沸騰工程終了時の固形分ま
たはブリックス度に好ましくは2〜10、特に好ましく
は4〜8の値を加えたものが真空濃縮工程の終点固形分
またはブリックス度となる。本工程での固形分またはブ
リックス度の上昇が2未満であれば、硫化物由来の香気
成分の除去が不十分であり、最終製品に特有の刺激風味
が残ってしまう。また、本工程での固形分またはブリッ
クス度の上昇が10を越すと、硫化物由来の香気成分の
除去は十分であるが、他の呈味成分も幾分か除去されて
しまうため最終製品の風味があっさりしたものとなって
しまう。
【0024】このようにして得られた卵黄加工品は、卵
黄を固形分として好ましくは5〜25重量%、糖類を固
形分として好ましくは10〜60重量%含有している。
【0025】上記のようにして得られた卵黄加工品は使
用する容器に充填し、冷却後貯蔵して使用に供される。
必要に応じて冷凍して保管しても使用に当たって解凍す
れば呈味に変化はない。
【0026】本発明による卵黄加工品は各種加工食品の
素原料として、また風味改良用として広く用いられる。
特に冷菓に用いれば、その呈味を向上させることができ
る。その他、プディング、デザート類、飲料、クリー
ム、発酵乳、スポンジケーキ等の焼成食品などに用いら
れる。
【0027】この卵黄加工品は従来から用いられている
生卵黄またはその加工品の一部もしくは全量の代わりと
して用いることができる。
【0028】本発明により得られた卵黄加工品を冷菓に
卵黄固形分として0.01〜10重量%含有させると、
従来より公知の卵黄を用いた場合に比べ、生臭みや硫化
物由来の刺激臭を含まず、さらに糖類がキシロースを含
有すると、卵黄を砂糖と共に焼成して得られるカスター
ド風味に富む、新規な好ましい風味のものとなる。さら
に公知の卵黄を冷菓に用いた場合、ミックス粘度の増加
やゲル化が生ずるが、本発明の卵黄加工品は卵黄本来の
乳化性、起泡性、ゲル化性が実質上失われているため、
ミックスの物性に大きな影響を与えない。ミックスの製
造に際しては定法により他の原料と混合加熱、殺菌、均
質、冷却して用いれば良い。
【0029】本来卵黄はミックスの粘度の増加、起泡性
の向上やフリージングでのオーバーラン安定性の改良、
硬化した製品の保形性や融解性の向上を期待して冷菓に
用いられるのである。所謂スーパープレミアムアイスク
リームのように合成化学的に得られた乳化剤や安定剤を
用いないものでは卵黄は極めて大きな機能を期待され
る。本発明により得られた卵黄加工品は優れた呈味を持
つことと卵黄本来の乳化性、起泡性、ゲル化性を実質上
失っていることの2点を特徴とするものであるから、上
記した本来の卵黄に期待する機能は冷菓中で発現しない
ことは当然である。そのような冷菓の物性改良には本来
の機能を有する卵黄や卵黄加工品を用いるか、公知の乳
化剤や安定剤、蛋白質素材などを目的に応じて選択し、
適当量使用する必要がある。
【0030】
【実施例】以下実施例に基づき詳細に説明する。以下の
実施例において、%は重量%である。
【0031】[実施例1]卵黄加工品の製造 配合と予備混合ミックスの調製 掻き取り式撹拌機と高速粉体溶解機を備えたジャケット
式加熱釜( 内容積60リットル)に以下の原料を入れ、
常温で掻き取り式撹拌機のみで20分間撹拌(30rp
m)した。 ・原料 生卵黄 9Kg 上白糖 13Kg キシロース 0.04Kg(東和化成社製) 清水 17.96Kg 撹拌後のブリックス度は44であった。
【0032】予備加熱工程 加熱釜の設定温度を90℃とし、蒸気による加熱を開始
した。撹拌は必要以上に泡立つことのないように当初は
掻き取り式のみとし、内容物の温度が70〜80℃とな
って蛋白質の変性が始まってから、高速粉体溶解機を運
転(3000rpm)した。90℃に達してから両方の
撹拌機を運転しながら温度を保持した。10分経過して
表面の泡立ちが殆ど無くなったとき予備加熱工程を終了
した。
【0033】沸騰工程 直ちに設定温度を103℃として加熱を再開した。撹拌
機は両方とも前記の条件で運転し続けた。沸騰が始ま
り、経時的にブリックス度を測定した。開始時のブリッ
クス度の44に対して本工程の終点をブリックス61°
とした。70分経過した時点でブリックス61°とな
り、本工程を終了した。
【0034】真空濃縮工程 直ちに容器の開放部を密閉し真空濃縮工程に入った。加
熱と撹拌の操作は引き続き同様に行った。目標のブリッ
クス度を65とし、真空圧を450〜550mmHgの
範囲となるよう維持した。4分経過した時点で目標のブ
リックス度となったため、全ての操作を終了した。
【0035】充填と貯蔵 得られた試作品を18リットルのポリ容器に充填し密閉
して、冷水に浸漬して冷却した。冷却後5℃の冷蔵庫に
貯蔵した。
【0036】最終製品の成分 得られた試作品1の成分は以下のようになる。
【0037】 卵黄含有量換算 33% 卵黄固形分 16.5% 砂糖 46% 全固形分 62.5% [比較例1]特許出願公告昭59−23778号公報に
示された卵黄含有高濃度添加物の製造 上記特許出願公告公報の製造例1に示された方法にて製
造した。蒸気による間接加熱ができる撹拌機付き容器に
生卵黄10Kgと蔗糖7.5Kgを撹拌しながら加え、
30分撹拌して蔗糖を完全に溶解した。撹拌を継続しな
がら徐々に85℃まで加温し、30分保持した。その後
95℃まで加温し、20分保持した。放冷して60℃に
なった時点で5Kg入りのプラスチック容器に充填し、
比較品1とした。
【0038】[実施例2]卵黄加工品の製造 配合と予備混合ミックスの調製 掻き取り式撹拌機と高速粉体溶解機を備えたジャケット
式加熱釜( 内容積60リットル)に表1に示した原料を
入れ、常温で掻き取り式撹拌機のみで20分間撹拌(3
0rpm)した。
【0039】
【表1】 攪拌後のブリックス度はいずれも44であった。
【0040】予備加熱工程 加熱釜の設定温度を90℃とし、蒸気による加熱を開始
した。撹拌は必要以上に泡立つことの無いように当初は
掻き取り式のみとし、内容物の温度が70〜80℃とな
って蛋白質の変性が始まってから、高速粉体溶解機を運
転(3000rpm)した。90℃に達してから、両方
の撹拌機を運転しながら温度を保持した。10分経過し
て表面の泡立ちが殆ど無くなったとき予備加熱工程を終
了した。
【0041】沸騰工程 直ちに設定温度を103℃として加熱を再開した。撹拌
機は両方とも前記の条件で運転しつづけた。沸騰が始ま
り、経時的にブリックス度を測定した。開始時のブリッ
クス度の44に対して本工程の終点をブリックス62°
とした。甲、乙いずれも70分経過した時点でブリック
ス62°となり、本工程を終了した。
【0042】真空濃縮工程 直ちに容器の開放部を密閉し真空濃縮工程に入った。加
熱と撹拌の操作は引き続き同様に行った。目標のブリッ
クス度を65とし、真空圧を450〜550mmHgの
範囲となるよう維持した。4 分経過した時点で目標のブ
リックス度となったため、全ての操作を終了した。
【0043】充填と貯蔵 得られた試作品を18リットルのポリ容器に充填し密閉
して、冷水に浸漬して冷却した。冷却後5℃の冷蔵庫に
貯蔵した。
【0044】最終製品の成分 得られた試作品2の甲、乙の成分は以下のようになる。
【0045】 配合甲 配合乙 卵黄含有量換算 33% 33% 卵黄固形分 16.5% 16.5% 糖質 46%(砂糖) 46%(ぶどう糖) 全固形分 62.5% 62.5% [実施例3] 他の卵黄加工品と試作品の風味とゲル化性
の比較 実施例1で得られた試作品1(D)を比較例1で得られ
た比較品1(E)及び実施例2で得られた試作品2の甲
(F)、乙(G)、および他の卵黄加工品(A〜C)と
比べた。他の卵黄加工品として比較したものは生卵黄、
凍結加糖卵黄(加糖20%)、濃縮卵黄( 卵黄固形分3
4%、砂糖42%)である。 比較サンプルの調製 上記の比較品4品と試作品をそれぞれ卵黄換算20%、
砂糖またはぶどう糖換算30%となるように水溶液を調
製した。各配合を表2に示す。
【0046】
【表2】 ※表中の数値はいずれも重量%、調製量はいずれも1k
g 7種の水溶液を常温で良く撹拌し、完全に溶解混和す
る。密閉容器にできるだけ空気が残らないように充填し
た。その後97℃の湯浴中に完全に浸し、20分保持し
た。冷水中で十分に冷却した後、開封し風味とゲル化性
を比較した。
【0047】比較結果 加熱処理後の7品の性状とゲルの強さ、風味の比較を行
った。性状は専門家による目視観察とし、ゲルの強さは
不動工業製レオメーターによる突き刺し応力で比較し
た。風味は男女19名による採点法とした。結果を表3
に示す。
【0048】
【表3】 ※風味の好ましさは7点法により、生臭みの全くないも
のを7点、生臭みのかなり強いものを1点、中間を4点
とし、またカスタード風味の最も強いものを7点、カス
タード風味の最も乏しいものを1点、中間を4点とした
ときの評価の合計を平均したものである。
【0049】以上の通り、試作品2甲(F)と試作品2
乙(G)、及び試作品1(D)は従来の卵黄とは全く物
性が異なり、ゲル化性を完全に失っていた。さらに試作
品2甲と試作品2乙は卵黄由来の生臭みのない新規なも
のであった。また、卵黄と砂糖を合わせて焼成した時に
得られるカスタード風味では、試作品1によるDはカス
タード感の極めて豊富な新規なものであった。
【0050】[実施例4]冷菓の調製 実施例1で得られた試作品1を冷菓に用い、比較例1で
得られた比較品1及び実施例2で得られた試作品2の
甲、乙、及び他の卵黄加工品と比べた。他の卵黄加工品
として比較したものは、生卵黄、凍結加糖卵黄(加糖2
0%)、濃縮卵黄(卵黄固形分34%、砂糖42%)で
ある。
【0051】比較ミックスの調製 表4に示す配合で、卵黄量を一定にして冷菓ミックスを
調製した。ミックスの調合は常法により、各原料を混和
して湯浴で85℃まで加熱殺菌し、150Kg/cm2
で均質し、直ちに冷水浴で5℃まで冷却し、5℃の冷蔵
庫で一夜エージングして用いた。
【0052】
【表4】 ※乳化剤はグリセリンモノステアレート、安定剤はロー
カストビーンガム、グアーガム、カラギ−ナンの5:
3:2の比率による混合物を用いた。
【0053】エージング後の粘度を表5に示す。
【0054】
【表5】 ※B 型粘度計による。30rpm、5℃、30秒。ロー
ターはA,B,C,EはNo.3、D,F,GはNo.
2にて測定した。
【0055】上記の通り、試作品1と試作品2甲、乙
を用いた冷菓ミックス( 順にD、F、G) は他の卵黄や
卵黄加工品を用いた場合に比べ粘度が低く、卵黄加工品
は実質上ゲル化力を失っているものであることがわかっ
た。
【0056】冷菓の調製と評価 調製した7種のミックスを源工業製のバッチフリーザー
でフリージングした。1.5リットルのミックスを注入
し、オーバーラン60%、温度−5.0℃で180ml
の紙カップに充填し、蓋をして−25℃に硬化した。硬
化した各試料を男女21名にて評価した。また、硬化し
た試料の容器を硬化したまま取り去り、室温に放置して
融解状態を観察した。結果を表6に示す。
【0057】
【表6】 ※風味の評価は7点法による各評価員の平均を示した。
各項目の最高点を7とし、最低点を1とした。中間を4
点とし、2、3、5、6はその数値に応じた程度とし
た。
【0058】以上に示した通り、生卵黄を用いたA、凍
結加糖卵黄を用いたB、濃縮卵黄を用いたCはミックス
粘度が非常に高いため保形性はあるものの、組織の滑ら
かさに欠け、さらに風味に卵黄特有の生臭みを持つ冷菓
であった。また特許出願公告昭59−23778号公報
に示された卵黄加工品( 比較品1)を用いた冷菓Eは卵
黄特有の生臭みはやや改善されているものの、前記A、
B、Cと類似した風味と組織を持つものであった。本発
明の卵黄加工品のうち、砂糖を用いた試作品2甲とぶど
う糖を用いた試作品2乙を使用した冷菓はいずれも組織
の滑らかさに優れ、かつ卵黄特有の生臭みを全く感じな
い卵風味の好ましい新規な冷菓であった。
【0059】この試作品2の甲、乙はカスタード感に欠
けたものであった。それに対し、実施例1による試作品
1を用いた冷菓Dは卵黄と砂糖を合わせて焼成したとき
に生じるカスタード風味が極めて豊富で好ましい風味を
持ち、かつ組織の滑らかな、均質に融解する新規な冷菓
であった。これは本発明の実施例1に述べた工程と配合
により、さらにはキシロースを用いることによってのみ
得られる作用である。試作品2に示したように砂糖をぶ
どう糖に置換すれば当然褐変作用は急激に増加すること
は公知であるが、本発明の目的である卵黄と砂糖を合わ
せて焼成することによって得られるカスタード感を冷菓
に与えることはできない。かえって冷菓中の単糖類が増
加することによって組織が僅かに荒くなる傾向がみられ
た。キシロースを用いることによってのみカスタード感
が発現し、かつキシロースの使用量が用いる冷菓に対し
て非常に微量であることによって冷菓の物性に悪影響を
与えないのである。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による卵黄加
工品は冷菓に用いた場合、卵黄本来の生臭みや加熱処理
により発生する硫化物由来の刺激臭を与えず、かつ冷菓
ミックスの粘度を増加させず、またゲル化も起こさなく
て、実質的にミックスの物性を殆ど変化させない新規な
風味を持つ卵黄加工品である。また、本発明のキシロー
スを含んだ卵黄加工品は卵黄本来の起泡性やゲル化性を
実質的に持たず、卵黄を砂糖と共に焼成したときに得ら
れるカスタード風味が豊富であり、かつ卵の生臭さや含
硫化合物由来の悪臭を発現しない新規な風味を持つ卵黄
加工品である。また、従来用いられてきた生卵黄、その
加工品に代えて、同様にして広く用いることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卵黄、糖類および水からなる液状混合物
    を100℃以上の温度で沸騰させて卵黄成分を熱変性す
    ることによって得られた卵黄加工品。
  2. 【請求項2】 該液状混合物を80〜95℃の温度にお
    いて加熱して卵黄成分を予備熱変性し、ついで100℃
    以上の温度において加熱して実質的に完全に熱変性する
    請求項1に記載の卵黄加工品。
  3. 【請求項3】 該熱変性工程の後に、真空下で濃縮処理
    する請求項1または2に記載の卵黄加工品。
  4. 【請求項4】 該糖類がキシロースを0.01〜0.5
    重量%含有するものである請求項1〜3のいずれかに記
    載の卵黄加工品。
  5. 【請求項5】 卵黄を固形分として5〜25重量%、糖
    類を固形分として10〜60重量%含有する請求項1〜
    4のいずれかに記載の卵黄加工品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の卵黄加
    工品を卵黄固形分として0.1〜10重量%含有する冷
    菓。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5498599A (en) * 1994-01-21 1996-03-12 Amgen Inc. Methods for stimulating platelet production
CN111053205A (zh) * 2019-11-15 2020-04-24 杭州耐雀生物科技有限公司 一种咸蛋黄萃取物、香精及其制备方法
JP2020150891A (ja) * 2019-03-22 2020-09-24 日清オイリオグループ株式会社 乳風味の強化方法
JP2023184070A (ja) * 2022-06-17 2023-12-28 森永乳業株式会社 冷菓及びその製造方法
JP2024507212A (ja) * 2021-12-29 2024-02-16 浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司 キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法

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