JPH09313183A - ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素発現ミエローマ株 - Google Patents

ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素発現ミエローマ株

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JPH09313183A
JPH09313183A JP9023668A JP2366897A JPH09313183A JP H09313183 A JPH09313183 A JP H09313183A JP 9023668 A JP9023668 A JP 9023668A JP 2366897 A JP2366897 A JP 2366897A JP H09313183 A JPH09313183 A JP H09313183A
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gad
glutamate decarboxylase
human glutamate
antibody
human
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JP9023668A
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Takao Matsuba
隆雄 松葉
Kiyoshi Yasukawa
清 保川
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大量のGAを生産し、抗GAD抗体の測定法を
提供する。 【解決手段】組換えGADを発現するミエローマ細胞株
SPG14を培養し、組換えGADを回収する。このG
ADを水不溶性担体に結合し分析検体と接触させ、GA
Dに結合した試料中の抗GAD抗体を特異的に検出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は組換えヒトグルタミ
ン酸脱炭酸酵素を発現するミエロ−マ細胞株、組換えヒ
トグルタミン酸脱炭酸酵素の製造方法、抗ヒトグルタミ
ン酸脱炭酸酵素抗体の測定方法及び抗ヒトグルタミン酸
脱炭酸酵素抗体測定用の試薬キットに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】グルタミン酸脱炭酸酵素(Glutam
ic Acid Decarboxylase;以下G
ADとする)は、抑制性神経伝達物質であるγアミノ酪
酸をグルタミンから合成する酵素で、脳や膵臓ランゲル
ハンス島に存在する。近年GADがインスリン依存型糖
尿病(IDDM)の主要自己抗原であることが発見され
た(Beakkeskovら、Nature,347,
p151,1990年参照)。現在、抗GAD自己抗体
はIDDMの血中に高率に存在し、IDDMの診断や発
症の予知マ−カ−として臨床の場で利用されており、放
射免疫測定法(RIA)のキットが市販されている(ヘ
キスト社、製品名はリップAnti−GADヘキス
ト)。しかしながら、これまでの測定法には2つの問題
点がある。
【0003】ひとつは、放射性物質を用いることであ
る。本来、放射性物質を用いるRIAより、用いない酵
素免疫測定法(EIA)の方が取扱いが容易であること
は自明である。しかしながら、測定系を構成する成分の
濃度が低い場合は、EIAでは十分な感度を得ることが
できず、RIAを用いざるを得ない。抗GAD自己抗体
と結合しうるGADは、天然型はブタの脳、組換え型は
組換えGAD発現CHO細胞から調製しうることが報告
されてきたが、いずれも生産性が低いことが知られてい
る。例えば、ブタの脳の場合は1匹の脳から20μgか
ら100μgのGADしか調製しえないと推測される。
一方、大腸菌等や昆虫細胞で組換えGADを大量に発現
させた例は報告されているが、抗GAD自己抗体との結
合性に問題があり、測定系を構成できなかった。即ち、
大腸菌や昆虫細胞で発現させた組換えGADは、発現量
は多いものの、リフォールディングを行っても天然型の
GADの構造を取りえないため、抗GAD自己抗体との
反応性に劣るという問題点があった。通常、容易な方法
で、患者血清中の抗GAD自己抗体と反応するのに必要
な最低約1mgのGADが得られなければ、十分な性能
をもつEIAを樹立することは不可能である。
【0004】もうひとつの問題点は、これまで入手でき
るGADが少量だったため、測定においてGADを水不
溶性担体に結合させる方法が用いられていないことであ
る。この方法が用いられれば、GADが結合した水不溶
性担体と分析検体とを接触させた後、非結合成分を除去
し、GADを介して水不溶性担体に結合した抗GAD自
己抗体を特異的に検出する方法が用いることができる。
該方法は、自動化が容易なことが知られており、また複
数の項目が測定できる免疫自動測定装置の1項目に組み
入れることが可能となる。一方、これまでの測定系で
は、放射性物質で標識したGADと分析検体を接触せし
めた後、分析検体中の抗体を、抗ヒト免疫グロブリン抗
体含有ヤギ血清、及び抗体と特異的に結合することが知
られているプロテインAが結合した樹脂と混合及び遠心
操作を行うことにより沈殿させ、沈殿中の放射能を測定
することで分析検体中の抗GAD自己抗体を測定してい
る。この方法では自動化がきわめて困難である。また一
方で、抗GAD自己抗体とGADの結合性が解析されて
おらず、組換えGADを用いた抗GAD抗体の測定が原
理上可能かどうか知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ひとつは、ミリグラム
レベルでのGADの生産が容易であるような製造法を提
供し、放射性物質を用いない抗GAD抗体測定法を提供
することである。もうひとつは、抗GAD自己抗体とG
ADの結合性を解析することにより、GADが結合した
水不溶性担体と分析検体とを接触せしめた後、GADを
介して水不溶性担体に結合した抗GAD自己抗体と、非
結合成分とを分離し、GADを介して水不溶性担体に結
合した抗GAD自己抗体を特異的に検出する方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
め、本発明者らは、GADの発現等について鋭意研究を
行った結果、効率的に細胞を培養し更に回収してGAD
を調製することが可能な組換えGADを発現するミエロ
−マ細胞株を樹立し、これを培養して細胞成分からGA
Dを精製し、併せて精製GADを用いる抗GAD抗体の
免疫化学測定法を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、組換えヒトグルタミン酸
脱炭酸酵素を発現することを特徴とするミエロ−マ細胞
株である。また本発明は、そのようなミエローマ細胞株
を培養し組換えヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を回収する
ことを特徴とする、組換えヒトグルタミン酸脱炭酸酵素
の製造方法である。さらに本発明は、このような方法に
より製造されたヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を分析検体
と接触させ、ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素と結合した抗
ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体を検出することを特徴
とする、抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体の測定方法
である。さらに本発明は、このような測定方法に用いる
ための、前述の方法により製造されたヒトグルタミン酸
脱炭酸酵素を含有することを特徴とする試薬キットであ
る。ところで本発明は、前述の方法で製造されたヒトグ
ルタミン酸脱炭酸酵素を動物種に免疫することを特徴と
する、抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体の製造法であ
る。
【0008】一方、本発明はヒトグルタミン酸脱炭酸酵
素を水不溶性担体に結合させ、分析検体と接触させた
後、ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素に結合した抗ヒトグル
タミン酸脱炭酸酵素抗体と非結合成分とを分離し、ヒト
グルタミン酸脱炭酸酵素に結合した抗ヒトグルタミン酸
脱炭酸酵素抗体を特異的に検出することを特徴とする、
抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体の測定方法である。
また本発明は、このような測定方法に用いるための、水
不溶性担体に結合させたヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を
含有することを特徴とする試薬キットである。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0009】1.組換えGAD発現ミエロ−マ細胞株 本発明の組換えヒトGAD発現ミエロ−マ細胞株は、遺
伝子工学を用いた通常の方法、即ちミエロ−マ細胞株に
以下のような発現ベクタ−を導入することにより作製す
ることができる。
【0010】本発明で用いるGADをコ−ドするDNA
配列を発現する、即ちGADを生産しうる複製可能な発
現ベクタ−は、既に報告されているGADをコ−ドする
DNA配列に加え、該DNA配列を発現させるためのD
NA配列や宿主中でベクタ−DNAを複製するための複
製起点等を有し、選択した宿主を形質転換できるもので
あればよく、適宜選択して使用できる。該DNA配列を
発現させるためのDNA配列としては、プロモ−タ−系
が重要であり、SV40プロモ−タ−系やサイトメガロ
ウイルスプロモ−タ−系などが例示できるが、宿主との
関係において適宜選択すればよい。
【0011】GADにはGAD65とGAD67などの
分子種があり、いずれをも用いる事ができるが、IDD
Mに関する抗GAD抗体を検出するためには、本発明で
用いるGADをコ−ドするDNA配列としては、ヒトG
AD65をコ−ドするDNA配列が望ましく、公知文献
(例えばKarlsen, A.E. et.al.,
Proc,Natl.Acad,Sci.USA
,8337(1991))などを参照して調製すれば
よい。
【0012】本発明で用いるミエロ−マ細胞株として、
実施例に示したマウスミエロ−マ細胞株SP2/0(免
疫グロブリン非分泌マウスミエロ−マ、CRL158
1;ATCC)ばかりでなく、P3U1,NS1などを
好ましく例示できる。
【0013】発現ベクタ−によるミエロ−マ細胞株の形
質転換は、例えばエレクトロポ−ション法等の通常の方
法に従えば良く、特に限定はない。
【0014】ミエロ−マ細胞株の培養は、通常の方法に
より行うことができる。より具体的には、例えば通常の
培養器具を用いた静置培養、適当な細胞培養装置を用い
た大量培養を例示できる。細胞培養装置としては、ホロ
ファイバ−型やタンク型のものが例示できるが、細胞を
担体から剥がす操作を必要としない等の観点からタンク
型のものが好ましい。
【0015】ミエロ−マ細胞に導入されたGADをコ−
ドするDNA配列は、プロモ−タ−系の働きにより発現
され、細胞内にGADが発現したミエロ−マ細胞が出現
する。ミエロ−マ細胞からGADを調製するには、例え
ば細胞に緩衝液を加え、ホモジナイザ−でホモジネ−ト
した後、遠心分離した後、上清を回収する。その後、上
清を抗GAD抗体を用いたアフィニティ−クロマトグラ
フィ−にかけ、GADを精製すればよい。このような目
的に用いる抗体としては、実施例で示すGAD1抗体が
例示できる。本願ではこのようにして組換えヒトGAD
を発現するミエローマSPG12、SPG14、SPG
19、SPG111、SPG35、SPG311、SP
G46、SPG59、SPG68、SPG610、SP
G72、SPG73、SPG713、SPG86、SP
G87及びSPG88が得られ、特にSPG14は発現
量が最大であった。
【0016】2.GADを発現するミエロ−マ細胞株に
より製造されたGADを分析検体と接触させ、GADと
結合した抗GAD抗体を検出する、抗GAD抗体の測定
法 この測定法では、組換えGADを発現するミエロ−マ細
胞株より製造されたGADを分析検体と接触させ、抗G
AD抗体を測定するが、特にヒト血清に含まれる抗GA
D自己抗体の生理的濃度を正確かつ迅速に測定すること
ができる。
【0017】例えば、すでに市販されているリップAn
ti−GADヘキスト(ヘキスト社)で用いられている
方法、すなわち放射性物質で標識したGADと分析検体
を接触せしめた後、分析検体中の抗体を、抗ヒト免疫グ
ロブリン抗体含有ヤギ血清、及び抗体と特異的に結合す
ることが知られているプロテインAが結合した樹脂と混
合・遠心操作を行うことにより沈殿させ、沈殿中の放射
能を測定することで分析検体中の抗GAD自己抗体を測
定する方法において、標識されるGADに本願のミエロ
ーマ細胞株が発現した組換えGADを用いることができ
る。
【0018】3.GADを水不溶性担体に結合させ、分
析検体と接触させた後、GADに結合した抗GAD抗体
と非結合成分とを分離し、GADに結合した抗GAD抗
体を特異的に検出する、抗GAD抗体の測定法 本発明では、水不溶性担体に結合したGADに、分析検
体中の抗GAD抗体を結合させ、この結合した抗GAD
抗体を測定することが例示でき、特にヒト血清に含まれ
る抗GAD自己抗体の濃度を測定することができる。
【0019】この方法では、水不溶性担体としては例え
ばマイクロタイタ−プレ−ト等の板状のものの他、例え
ばポリスチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製、
金属セラミックス等の無機物質等のビ−ズ状の支持体も
用いることができる。
【0020】GADの固相化、即ち前記水不溶性担体と
の結合には、GADを直接結合させる方法や、他の物質
を介して結合させる方法の2通りが考えられる。直接結
合させる方法としては、蛋白質濃度で例えば10μg/
mlのGADをプレ−トのウエルに適当量(例えば10
0μl程度)加え、一晩静置させる方法が例示できる。
【0021】他の物質を介して結合させる方法として
は、例えば架橋剤や抗GAD抗体を介して結合させる方
法があり、具体的にはPBS溶液に抗GAD抗体を適当
濃度(例えば2μg/ml)となるように溶解し、プレ
−トのウエル等に適当量(例えば100μl程度)加え
て一晩静置し、続いて蛋白質濃度で例えば10μg/m
lのGADをプレ−トのウエルに適当量(例えば100
μl程度)加え、一晩静置させる方法が例示できる。
【0022】このような水不溶性担体にGADを介して
結合した抗GAD抗体は、サンドイッチ法又は競合法な
どの方法で測定することができる。例えばサンドイッチ
法の場合は、標識抗ヒト免疫グロブリン抗体を用い、固
体支持体にGADを介して結合した抗GAD自己抗体に
当該標識抗ヒト免疫グロブリン抗体を特異的に結合さ
せ、標識を検出すれば良い。
【0023】一方、競合法の場合には、標識抗GAD抗
体を用いればよい。この場合、標識抗GAD抗体と、検
体中の抗GAD抗体の間でGADへの競合が生じる。
【0024】本発明で用いる標識としては、例えば通常
使用されている放射性物質、蛍光性物質、発光物質、ア
ルカリ性ホスファタ−ゼや西洋ワサビペルオキシタ−ゼ
等の酵素、更にはビオチン等が例示できるが、取扱いの
容易性等の観点から、アルカリ性ホスファタ−ゼや西洋
ワサビペルオキシタ−ゼ等の酵素が特に好ましい。
【0025】4.試薬キット 本発明により提供される試薬キットは、本願の抗GAD
抗体の測定に用いるために使用される。このキットには
先に説明した様なGAD発現ミエロ−マ細胞株を培養し
て製造した組換GADを用いることが望ましいが、測定
方法によっては従来から知られている方法で調製したG
ADを用いても構わない。また、サンドイッチ法か又は
競合法かによって必要となる他の試薬を含んでいても良
い。
【0026】5.抗GAD抗体の作製法 本発明の抗GAD抗体の作製法は、これまで説明してき
た本発明のGAD発現ミエロ−マ細胞株から製造したG
ADを免疫原として、ヒト以外の動物種に免疫すること
を特徴とする。
【0027】モノクロ−ナル抗体を作製するときには免
疫原はマウスが、ポリクロ−ナル抗体を作製するときに
は免疫原はウサギが例示できるが、その限りではない。
【0028】調製された抗GAD抗体は、前記した抗G
AD自己抗体の免疫化学的測定法において使用すること
が可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、糖尿病の診断に効果的
な組換えGAD、特に組換えヒトGAD65をミリグラ
ム単位で大量に製造することが可能となる。しかも、本
発明のようにミエロ−マ細胞においてGADをコ−ドす
るDNA配列を発現させることによって、種々の効果が
達成させる。即ちミエロ−マ細胞を使用することで、大
量のGADを製造することが可能となる。また、ミエロ
−マ細胞は付着性の細胞ではないため、比較的容易に浮
遊培養が可能で、簡便な装置等を用いて培養操作を行う
ことができる。しかもこの培養操作においては特別な熟
練は必要とされず、付着細胞と比較してより大量の培養
が可能である。更にミエローマから得れるGADは、既
に天然型と同じ構造を有しているため、リフォールディ
ングが不要なばかりでなく、抗GAD抗体と反応性を有
するGADを確実に得ることができる。
【0030】また、本発明によれば、糖尿病の診断の対
象である血清中の抗GAD自己抗体は、水不溶性の固体
担体に結合したGADを介して結合し、最終的には標識
抗ヒト免疫グロブリン抗体により検出されうるだけの、
GADとの結合性を有していることが明らかになった。
このことは、抗GAD自己抗体測定において、一般的に
BF分離と呼ばれている操作(GADと抗GAD抗体と
が結合した物と結合していない物とを分離する操作)が
可能となり、それを用いてサンドイッチ法を行うことが
できるという大きな利点がある。
【0031】上記2つの発明は、組み合わせることによ
り、より効果的に活用することができる。
【0032】更に、本発明で提供される大量の組換えG
ADは、基礎研究にも広く応用することができる。この
ような基礎研究としては、GADの立体構造の解明、G
ADと抗GAD自己抗体の結合様式の解明、抗GAD自
己抗体産生Bリンパの樹立、GAD反応性Tリンパ球の
樹立等があげられる。これらの研究成果は、新規糖尿病
治療薬の開発に有効に活用されることが期待できる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を更に詳細に説明するために実
施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0034】実施例1 ヒトGAD65遺伝子の取得 ヒトすい臓のcDNAライブラリ−(clone te
ch社)から配列番号1及び配列番号2のオリゴヌクレ
オチドを用いて市販のキット(PCR amplifi
cation kit,宝酒造(株))を用い、ヒトG
AD65の遺伝子を増幅させた。得られたPCR反応物
から、市販のキット(TA cloning kit,
Invitrogen社)を用いて、ヒトGAD65遺
伝子をクロ−ニングした。
【0035】実施例2 ヒトGAD65発現プラスミド
の構築 実施例1で得られたGAD65遺伝子を出発材料とし
て、組換えGAD65発現ベクタ−の構築を行った。
【0036】実施例1で得られたベクタ−をSalI、
NotIで切り出し,得られた断片(約1.8k塩基
対)をまず市販のベクタ−(pBluescript,
東洋紡(株)製)に導入した後、xhoI,NotIで
切り出した断片を動物細胞発現プラスミドBCMGSn
eo(Eur.J.Immunol.、18巻、97−
104頁、1988年及びJ.Exp.Med.,16
9巻、13−25頁、1989年参照)に挿入し、ヒト
GAD65発現プラスミドBCMGS−GADを得た。
当該ベクタ−の構成を図1に示す。
【0037】図中、CMV−Pはサイトメガロウイルス
プロモ−タ−を示し、GADはヒトグルタミン酸脱炭酸
酵素65を、BPVはウシパピロ−マウイルスを、Am
pはβ−ラクタマ−ゼをコ−ドするDNA配列をそれぞ
れ示し、polyAはポリアデニレ−トアタッチメント
シグナルを示す。図中、Neoはネオマイシン耐性遺伝
子を示す。
【0038】実施例3 ヒトGAD65発現ミエロ−マ
細胞株の樹立 実施例2で得られたBCMGS−GAD(10μg)を
2×107個のSP2/0細胞(免疫グロブリン非分泌
マウスミエロ−マ、CRL1581;ATCC)にエレ
クトロポ−ション法で導入した(Gene Pluse
r,BIORAD社製、900V,25μF)。氷上で
10分間放置後細胞を集め、E−RDF培地(10%F
CSを含む)で24時間培養した。その後、選択培地
(E−RDF培地、10%FCS、600μg/mlの
G418を含む)中で1日培養後、限界希釈法によりモ
ノクロ−ナル化し、16クローンを得た。
【0039】それぞれのクロ−ンのGAD65発現の程
度は、ウエスタンブロット法により解析した。すなわ
ち、それぞれのクロ−ンの細胞破砕液を10%アクリル
アミドゲル電気泳動により分離した後、ニトロセルロ−
ス膜に転写した。その後転写膜を、抗GADモノクロ−
ナル抗体と反応させた後に、膜に結合した抗体を酵素標
識された抗マウス抗体(GAD6;Developme
ntal Studies Hybridoma Ba
nk)と反応させた。その後、市販のキット(ECL−
detection kit,Amersham)を用
いて、発色させた。結果を図2に示す。
【0040】図中、SP2/0はホスト細胞、GAD−
CHOはすでに報告されているGAD発現CHO細胞
(1995年日本糖尿病学会参照)を、SPG12、S
PG14、SPG19、SPG111、SPG35、S
PG311、SPG46、SPG59、SPG68、S
PG610、SPG72、SPG73、SPG713、
SPG86、SPG87及びSPG88はクロ−ンの番
号を示す。また、各クロ−ンに対し、右側の列は左側の
列の4分の1相当の細胞破砕液を用いている。図中矢印
がGAD65である。その結果、発現量が最大であるク
ロ−ンをGAD65発現ミエロ−マ細胞株(SPG1
4)として樹立した。
【0041】実施例4 ヒトGAD65発現ミエロ−マ
細胞株の大量培養 タンク型大量培養装置(Axellon,キリンビ−ル
(株)社製)を用いて、SPG14の大量培養を試み
た。3×107個のSPG14をE−RDF培地(10
%FCS、600μg/mlのG418を含む)3Lに
接種した(1×105個/ml)。3日間培養し、細胞
数が1×106個/mlに到達したところで培地のかん
流を開始した。更に3日間かん流培養を続けることで、
細胞数は1.6×107個/mlに到達した。なお培養
の間、温度は37℃、pHは7.0、溶存酸素は5pp
mになるようにコントロ−ルした。
【0042】培養終了後、細胞を遠心分離して培地から
分離した。最終的に、3Lの培養タンクから4.8×1
10個の細胞が回収できた。PBSで1度細胞をリンス
した後、−80℃で凍結保存した。
【0043】実施例5 組換えヒトGAD65の精製 HiTrap NHS−activated(1ml;
ファルマシア社製)と抗ヒトGAD抗体GAD1(HB
184;ATCC)10mgを使用して、添付されたプ
ロトコ−ルに従い、GAD1結合抗体カラムを作製し
た。
【0044】実施例4に記載した方法で培養して得た細
胞の50分の1に当たる細胞(8.4×108)に、破
砕緩衝液(25mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0)、0.2mM pyridoxal phosph
ate(PLP),1mM 2−aminoethyl
isothiouronium bromide(AE
T),1mM benzamidine hydroc
hloride)5mlを加えて、テフロンホモジナイ
ザ−でホモジナイズした。得られたホモジネ−トを遠心
分離し上清を得、SPG14細胞破砕液とした。
【0045】平衡化緩衝液(50mMリン酸カリウム緩
衝液(pH7.2)、0.2mMPLP,1mM AE
T)で平衡化した抗体カラムに、上記SPG14細胞破
砕液をロ−ドした。その後、同緩衝液(5ml)でカラ
ムを洗浄後、溶出緩衝液(50mMリン酸カリウム緩衝
液(pH7.2)、0.2mM PLP,1mMAE
T,20mMグルタミン酸、10mMジエタノ−ルアミ
ン)で溶出させた。その後、溶出フラクションは0.1
N HClで中和した。以上の操作を数回行い、溶出フ
ラクションを集め、分画分子量1万の限外濾過膜で濃縮
した。
【0046】濃縮後のサンプルの電気泳動のパタ−ンを
図3に示す。レ−ン1は濃縮後のサンプルを泳動したも
のであり、レ−ン8から2はそれぞれ1、2-1、2-2
-3、2-4、2-5、2-6mg/mlの標準たんぱく質
(BSA)を泳動したものである。この結果から明らか
なように、レ−ン1の組換えヒトGAD65は十分に精
製されていることがわかる。また泳動の結果から、レ−
ン1の組換えヒトGAD65はレ−ン6のBSAと同タ
ンパク質量であると判断し、精製GAD65の濃度を決
定した。
【0047】次に、細胞破砕液中に含まれるGADの濃
度を、表面プラズマ共鳴測定装置であるBIAcore
(ファルマシア社製)を用いて求めた。結果を図4に示
す。図4は、種々の濃度のGADを含む溶液をBIAc
oreで測定したときに得られたレゾナンスユニット
を、GADの濃度でプロットした結果を示す。
【0048】実施例4に記載した方法で培養して得た細
胞の50分の1に当たる細胞(8.4×108)に、上
記破砕緩衝液5mlを加えてホモジナイズした。得られ
たホモジネ−トを遠心分離し、得た上清を上清1とし
た。沈殿には破砕緩衝液5mlを加えてホモジナイズ後
遠心分離し、得た上清を上清2とした。さらに沈殿に破
砕緩衝液5mlを加えてホモジナイズ後遠心分離し、得
た上清を上清3とした。その結果、上清1、上清2、上
清3にはそれぞれ、145.5μg、39μg、13.
5μg、のGAD65が含まれていると算出された。こ
の結果は、1回の培養で得た細胞の50分の1に当たる
細胞(8.4×108個)中に200μgのGAD65
(145.5μg+39μg+13.5μg)が含まれ
ていることを示す。すなわち、1回の培養で得られた細
胞中に合計10mg(200μg×50)のGAD65
が発現されていることを示し、本製造法の生産性が非常
に高いことを意味する。
【0049】実施例6 組換えヒトGAD65の、患者
血清中の抗GAD自己抗体との結合性 リップAnti−GADヘキスト(ヘキスト社)で12
5U/mlの抗GAD自己抗体が測定された血清に、コ
ントロ−ル細胞(SP2/0)または各種濃度のSPG
14の細胞破砕液を共存させ、リップAnti−GAD
ヘキストを用いて125I−GADと混合し、免疫グロブ
リンを沈殿させたときの沈殿中の放射能を測定した。細
胞破砕液の調製方法は実施例5で示した方法で行った。
結果を図5に示す。図5は、得られた放射能を、共存さ
せる細胞破砕液の希釈率でプロットした。図中、黒丸は
SPG14の細胞破砕液の結果を、白丸はSP2/0の
細胞破砕液の結果を示す。それによれば、SPG14の
細胞破砕液が、患者血清中の抗GAD自己抗体と上記キ
ット中のブタ由来GADの結合を阻害することが示され
た。すなわち、組換えヒトGAD65は、患者血清中の
抗GAD自己抗体と結合することを示す。
【0050】実施例7 抗GAD自己抗体のサンドイッ
チ酵素免疫測定法 今回精製したGADを用いて、抗GAD自己抗体のサン
ドイッチ酵素免疫測定法による測定を行い検量線を引い
た。
【0051】実施例5で精製したGADを10μg/m
lの濃度に調整しマイクロタイタ−プレ−トに100μ
lを固定化した。その後、10倍に希釈したリップAn
ti−GADヘキストに添付された4,8,32,12
5,256U/mlの標準血清を100μl加え、標準
血清中に存在する抗GAD自己抗体をプレ−トに固定化
したGADと反応させた。次にGADと結合した抗GA
D自己抗体を、酵素標識された抗ヒトIgGと反応させ
た後に、発色試薬で発色させた。
【0052】結果を図6に示す。それによれば、GAD
を固定化したウエルに標準血清を加えた場合の発色(白
丸)は、GADを固定化していないウエルに標準血清を
加えた場合の発色(黒丸)と比較して明らかに高く、さ
らに抗体価の増加にともない発色も増加することが示さ
れた。
【0053】実施例8 サンドイッチ酵素免疫測定法 実施例7で構築した抗GAD自己抗体のサンドイッチ酵
素免疫測定法を用いて、IDDM患者血清(63例)と
健常人血清(45例)中の抗GAD自己抗体を測定し
た。結果を図7に示す。図中、IDDMはインスリン依
存型糖尿病を、NCは健常人を示す。図中破線は健常人
血清で得られた値の平均+2SDを示す。それによれ
ば、健常人血清よりも明らかに高い値がIDDM患者血
清で観測された。すなわち、患者血清中の抗GAD自己
抗体をサンドイッチ酵素免疫測定法で測定できることが
示された。
【0054】実施例9 実施例7で構築した抗GAD自己抗体のサンドイッチ酵
素免疫測定法を用いて、IDDM患者血清(35検体)
と健常人(45例)中の抗GAD自己抗体を測定した。
結果を図8に示す。図中、IDDMはインスリン依存型
糖尿病を、NCは健常人を示す。図中、破線は健常人血
清で得られた値の平均+2SDを示す。それによれば、
IDDM患者血清35検体中、60%に相当する21検
体が、健常人血清で得られた値の平均+2SDより高値
を示すことが観測された。即ち、患者血清中の抗GAD
自己抗体をサンドイッチ酵素免疫測定法で測定できるこ
とが示された。
【0055】更に、このIDDM患者血清35検体をリ
ップAnti−GADヘキスト(ヘキスト社)で測定
し、前述のサンドイッチ酵素免疫測定法による測定値と
の相関を調べた。結果を図9に示す。図中、縦軸はリッ
プAnti−GADヘキストによる測定値(抗GAD自
己抗体量;U/ml)を、横軸はサンドイッチ酵素免疫
測定法による測定値(405nmでの吸光度)を示す。
それによれば、実施例7で構築した抗GAD自己抗体の
サンドイッチ酵素免疫測定法とリップAnti−GAD
ヘキストとの間に高い相関が確認された。即ち、本サン
ドイッチ酵素免疫測定法が、IDDMの識別に十分な感
度をもっていることが示された。
【0056】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 TTGTCGACAT GGCATCTCCG GGCTCTGGC 29。
【0057】配列番号:2 配列の長さ:35 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 GGGCGGCCGC TCTAGAAATC TTGTCCTAGG CGTTC 35。
【図面の簡単な説明】
【図1】GAD発現ベクタ−BCMGS−GADの構造
を示す図である。
【図2】実施例3で行ったウエスタンブロッディングの
結果を示す図である。
【図3】精製したGADをSDS−PAGEにかけた結
果を示す図である。
【図4】精製したGAD65を使用して作成した検量線
を示す図である。
【図5】実施例6で行った、沈殿中の放射能とSPG1
4細胞破砕液の濃度の関係を示す図である。
【図6】実施例7で行った標準血清濃度と吸光度の関係
を示す図である。
【図7】実施例8で行ったIDDM患者血清及び健常人
血清と、吸光度との関係を示す図である。
【図8】実施例9で行ったIDDM患者血清及び健常人
血清と、吸光度との関係を示す図である。
【図9】実施例9で行ったIDDM患者血清の、サンド
イッチ酵素免疫測定法での測定値とリップAnti−G
ADヘキストでの測定値との相関を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組換えヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を発現
    することを特徴とするミエロ−マ細胞株。
  2. 【請求項2】SPG14細胞株である請求項1に記載の
    細胞株。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の細胞株を培養し組換えヒ
    トグルタミン酸脱炭酸酵素を回収することを特徴とす
    る、組換えヒトグルタミン酸脱炭酸酵素の製造方法。
  4. 【請求項4】ミエロ−マ細胞株がSPG14細胞株であ
    る請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項3又は4に記載の方法により製造さ
    れたヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を分析検体と接触さ
    せ、ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素と結合した抗ヒトグル
    タミン酸脱炭酸酵素抗体を検出することを特徴とする、
    抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体の測定方法。
  6. 【請求項6】ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を水不溶性担
    体に結合させ、分析検体と接触させた後、ヒトグルタミ
    ン酸脱炭酸酵素に結合した抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵
    素抗体と非結合成分とを分離し、ヒトグルタミン酸脱炭
    酸酵素に結合した抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体を
    特異的に検出することを特徴とする、抗ヒトグルタミン
    酸脱炭酸酵素抗体の測定方法。
  7. 【請求項7】請求項3又は4に記載の方法により製造さ
    れたヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を含有することを特徴
    とする、請求項5に記載の測定方法に用いる試薬キッ
    ト。
  8. 【請求項8】水不溶性担体に結合させたヒトグルタミン
    酸脱炭酸酵素を含有することを特徴とする、請求項6に
    記載の測定方法に用いる試薬キット。
  9. 【請求項9】請求項3または4に記載の方法で製造され
    たヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を動物種に免疫すること
    を特徴とする、抗ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素抗体の製
    造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN120944975A (zh) * 2025-10-17 2025-11-14 美康生物科技股份有限公司 一种用于表达谷氨酸脱羧酶65的重组质粒和重组细胞、其构建方法与应用

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