JPH09314298A - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

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JPH09314298A
JPH09314298A JP13223096A JP13223096A JPH09314298A JP H09314298 A JPH09314298 A JP H09314298A JP 13223096 A JP13223096 A JP 13223096A JP 13223096 A JP13223096 A JP 13223096A JP H09314298 A JPH09314298 A JP H09314298A
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Yoshinori Tanizawa
好徳 谷澤
Tadao Watabe
忠男 渡部
Akihiro Yamanaka
章裕 山中
Kozo Ota
晃三 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中心偏析を軽減するための連続鋳造方法を提供
する。 【解決手段】次の〜の手段を用いる鋼鋳片の連続鋳
造方法。 バルジングゾーン(BZ)内に配列されたガイドロールの
鋳片厚方向の間隔を段階的に増加させる。 上記で、液相線クレータエンドとBZ終端との間で、
又は凝固シェル厚が70mm以上の位置で鋳片にバルジング
を生じさせる。 上記で、鋳片最大厚を鋳型短辺長さの10〜50%分厚
くする。 BZ終端から凝固完了点までの間で、少なくとも1対の
圧下ロールで鋳片厚方向にその1対あたり、鋳型短辺長
さの10%以上の圧下を与えるか、又は60mm/min以上の圧
下速度で圧下を与える。 【効果】未凝固部に大圧下を効果的に作用させること
で、負偏析帯を生じさせることなく、中心偏析を軽減さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼鋳片の中心偏析
を軽減することができる連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法で鋼鋳片を製造する場合に
は、しばしば中心偏析と呼ばれる内部欠陥が問題とな
る。この中心偏析は、鋳片の厚み方向中心部(最終凝固
部)でC、S、PおよびMnなどの溶鋼成分が正偏析す
る現象である。この現象は、厚板素材において特に深刻
な問題であり、偏析部分における靱性の低下や水素誘起
割れの原因となることが知られている。
【0003】このような中心偏析の発生原因は、凝固末
期におけるデンドライト(樹枝状晶)間の残溶鋼が、溶
鋼の凝固収縮あるいは凝固シェルのバルジングなどの原
因により、最終凝固部の凝固完了点に向かってマクロ的
に移動すること、および濃化溶鋼が局部的に集積するこ
とにある。
【0004】したがって、中心偏析防止対策としては、
凝固完了点近傍をロールまたは金型などを用いる何らか
の方法で圧下することにより、残溶鋼の移動や濃化溶鋼
の集積を阻止する方法があり、種々の思想に基づく方法
が提案されてきた。
【0005】例えば、特開昭63−252655号公報
には、次のような中心偏析防止方法が提案されている。
これは、鋳片表面に噴射される二次冷却水量を増量させ
て鋳片最終凝固部の表面温度を700〜800℃の範囲
とし、凝固シェル厚みを厚くすることでロール間で発生
するバルジングを抑制し、さらに軽圧下ロール群で毎分
0.2〜0.4%の歪み速度の圧下力を鋳片に加えるこ
とにより、濃化溶鋼の流動を阻止するものである。
【0006】上記の圧下ロール群による軽圧下では、鋳
片の長手方向に対して点状にしか圧下できないので、凝
固収縮やバルジングを十分に防止することができない。
また、各圧下が集中荷重として働くので凝固界面に内部
割れが発生しやすく、圧下量を大きくとれないという欠
点がある。
【0007】鋳片の凝固完了点近傍を平面状の金型で連
続的に鍛圧加工する方法では、設備コストが非常に高く
なるという欠点がある。これを解消するための連続鋳造
方法が特開昭61−42460号公報で提案されてい
る。
【0008】上記特開昭61−42460号公報の方法
は、凝固完了点の上流側に設置した電磁攪拌装置あるい
は超音波印加装置を用い、溶鋼を流動させてデンドライ
トを切断し、凝固完了点近傍に等軸晶域が形成されるよ
うにした上で、凝固完了点直前に配置した圧下ロール対
により3mm以上の大圧下を与えて強制的に凝固完了点
を形成し、内部割れを発生させることなく中心偏析を解
消するようにしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
特開昭61−42460号公報による方法においても、
大圧下するには相当の圧下力を必要とし、条件によって
は適用不可能な場合、あるいは十分な圧下が確保できな
い場合がある。すなわち、この方法では変形抵抗の大き
い鋳片両端部の凝固部を圧下により塑性変形させるた
め、変形抵抗の大きな鋼種や、凝固部温度が低温になり
変形抵抗が大きくなった場合などでは、圧下ロールの曲
がりおよび折損あるいはフレームの撓みなどにより、所
期の効果が得られない。
【0010】この問題に対して特開昭61−13224
7号公報では、鋳片幅方向中央の未凝固部を、キャメル
・クラウン・ロールと呼ばれる、大径ロール部を中央に
突起状に設けた段付きロールで局部的に圧下する方法が
提案されている。しかしこの方法においても、段付きロ
ールで局部的に圧下するため鋳片表面に凹部が形成さ
れ、この凹部はその後の圧延工程において製品の表面疵
の原因となる。さらに、鋳片内未凝固部の流動や二次冷
却のバラつきにより、鋳片の凝固完了点の手前近傍で未
凝固部が必ずしも幅方向中央部になく、未凝固部の位置
と大径ロール部の位置とが一致せず、圧下位置を適正に
保てないという欠点がある。
【0011】本発明の目的は、連続鋳造で得られた鋳片
を、鋳片の凝固完了点直前でロールにより大圧下する場
合に生じていた従来の問題を解消し、より少ない圧下力
によるロール圧下法で効果的に中心偏析を軽減する方法
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1) および(2) の連続鋳造方法にある。
【0013】(1)次の〜の手段を用いることを特徴
とする鋼鋳片の連続鋳造方法。以下、本発明の第1方法
という。
【0014】バルジングゾーン内に鋳片の引き抜き方
向に配列されたガイドロールの鋳片厚み方向の間隔を、
段階的に増加させる。
【0015】上記により、鋳片の液相線クレータエ
ンドとバルジングゾーン終端との間で、鋳片にバルジン
グを生ぜしめる。
【0016】上記により、鋳片の最大厚みを、鋳型
の短辺長さの10〜50%分厚くする。
【0017】次いで、バルジングゾーン終端から凝固
完了点までの間で、少なくとも1対の圧下ロールを用い
て鋳片の厚み方向にその1対あたり前記鋳型の短辺長さ
の10%以上の圧下を与える。
【0018】このときの1対の圧下ロールによる圧下量
の望ましい上限は、50%程度である。最も望ましい圧
下量は、前記およびのバルジング量相当分である。
【0019】さらに、この圧下は、凝固完了点近傍の未
凝固部を等軸晶化した後に行うのが望ましい。
【0020】(2)次の1)〜4)の手段を用いることを特徴
とする鋼鋳片の連続鋳造方法。以下、本発明の第2方法
という。
【0021】1)バルジングゾーン内に鋳片の引き抜き方
向に配列されたガイドロールの鋳片厚み方向の間隔を、
段階的に増加させる。
【0022】2)上記1)により、鋳片の凝固シェル厚みが
70mm以上の位置で鋳片にバルジングを生ぜしめる。
【0023】このときの凝固シェル厚みの望ましい上限
は、鋳型の短辺長さの45%程度である。
【0024】3)上記2)により、鋳片の最大厚みを、鋳型
の短辺長さの10〜50%分厚くする。
【0025】このとき、バルジングゾーン終端の凝固シ
ェル厚みの望ましい上限は、鋳型の短辺長さの45%程
度である。
【0026】4)次いで、バルジングゾーン終端から凝固
完了点までの間で、少なくとも1対の圧下ロールを用い
て鋳片の厚み方向に60mm/min以上の圧下速度で
圧下を与えることにより、上記3)のバルジング量相当分
を圧下する。
【0027】このときの圧下速度の望ましい上限は15
0mm/min程度である。さらに、この圧下は凝固完
了点近傍の未凝固部を等軸晶化した後に行うのが望まし
い。
【0028】本発明方法でいう「段階的」とは、通常、
複数のガイドロールからなる複数のセグメント対の構成
になっているガイドロール群において、(a) 連続状、
(b) 1対のセグメント内では連続状、かつセグメント対
単位ではステップ状、(c) セグメント対単位にステップ
状、および(d) これらの組合せを意味する。
【0029】
【発明の実施の形態】図1〜図5に基づいて本発明の第
1方法を説明する。
【0030】図1は、本発明の第1方法を実現するため
の連続鋳造機の構成例を示す側面方向縦断面の概略図で
ある。図1において、符号1は鋳型、2は鋳片、2aは
凝固シェル、2bは未凝固部、3aは液相線クレータエ
ンド9a以前のガイドロール群、3bは液相線クレータ
エンド9a〜バルジングゾーン終端の間のガイドロール
群、4は電磁攪拌手段、5は圧下ロール群、6はその圧
下手段群、7はピンチロール群、8は溶鋼、10は浸漬
ノズルおよび11は鋳込み方向を示す。圧下ロール5は
いわゆるフラットロールである。
【0031】図1の場合は垂直型連続鋳造機であるが、
湾曲型連続鋳造機などでもよい。電磁攪拌手段4は、後
述するように未凝固部2bに攪拌を与えて等軸晶化させ
るためのものであり、必須の手段ではない。
【0032】浸漬ノズル10を経て鋳型1に注入された
溶鋼8は、水冷されている鋳型1およびその下方に配置
された図示しないスプレーノズル群から噴射されるスプ
レー水により冷却され、凝固シェル2aが形成されて鋳
片2となり、その内部に未凝固部2bを保持したままガ
イドロール3a、3b群および圧下ロール5群を経てピ
ンチロール7群により引き抜かれる。
【0033】前記の液相線クレータエンド9aは鋳片2
の厚み中心の固相率が0より大きくなった位置、および
凝固完了点9bは鋳片2の厚み中心の固相率が0.8以
上の位置である。これらは、鋳片2の厚み方向の一次元
非定常伝熱解析により計算で求めることができる。
【0034】本発明の第1方法では上記のような構成の
連続鋳造機のバルジングゾーン内において、鋳片2の液
相線クレータエンド9aとバルジングゾーン終端との間
のガイドロール3b群は、その鋳片2の厚み方向の間隔
を鋳込み方向に段階的に増加させるように配置する。す
なわち、鋳型1の下端の短辺長さをγ、液相線クレータ
エンド9aの位置の直下のガイドロール3bの鋳片2の
厚み方向の間隔をαとすると、図1中に示すバルジング
ゾーン内でガイドロール3b群の間隔を鋳片2の引き抜
き方向に順次拡げて行き、バルジングゾーン終端におけ
るガイドロール3bの鋳片2の厚み方向の間隔βの範囲
を1.10γ〜1.50γとする。このβ=1.10γ
〜1.50γが、後述するように圧下前の鋳片の目標最
大厚みである。
【0035】液相線クレータエンド9a以前のガイドロ
ール3a群については、それらの鋳片2の厚み方向の間
隔は、鋳片2の収縮やバルジングに応じた通常の方法に
したがえばよく、限定しない。
【0036】ガイドロール3b群は通常、複数対のガイ
ドロールを1単位とする複数対のセグメント構成とされ
る。この場合の間隔αの段階的増加方法の例を図2によ
り説明する。
【0037】図2は、セグメント構成の場合に、ガイド
ロール3b群の鋳片厚み方向の間隔を、鋳片の引き抜き
方向に段階的に増加させる方法例について説明する概略
図である。図2において符号12がセグメントである。
【0038】図2(a) は連続状で、図2(b) は1対のセ
グメント内では連続状、かつセグメント対単位ではステ
ップ状で、図2(c) はセグメント対単位にステップ状
で、それぞれ段階的に行う場合である。これらの方法を
組み合わせて用いることも可能である。鋳造鋼種や連続
鋳造機などの条件によって上記の方法から選択すること
ができるが、通常は図1および図2(a) に示すように、
各段のガイドロール3b群の間隔の拡がりが略々均等に
なるような完全連続状で段階的とするのがよい。
【0039】さらに、上記間隔αの増加は、図1および
図2に示すように両側方向に均等とする方法または鋳片
厚み方向に片側のみとする方法のいずれでもよく、連続
鋳造機などの条件によって選択するのが望ましい。
【0040】本発明の第1方法では、上記のようなガイ
ドロール3b群の配列により、鋳片の液相線クレータエ
ンド9aとバルジングゾーン終端との間で鋳片2にバル
ジングを生じさせる。そして、鋳片2の最大厚みを鋳型
1の下端の短辺長さγよりも10〜50%分厚くする。
【0041】図3は、図1に示す線A−A′におけるバ
ルジングゾーン内の鋳片2の状態を示す横断面図であ
る。図3に示す鋳片2のバルジングは、溶鋼8の静圧が
働く鋳片2内に未凝固部2bが存在しているところでの
み起こる現象である。未凝固部2bが鋳片2の幅方向中
央部にない場合でも、未凝固部2bが存在するところで
バルジングするため、後の圧下ゾーンでキャメル・クラ
ウン・ロールと呼ばれるようなロールを用いず、フラッ
トロールを用いても未凝固部2bが存在する領域のみを
効果的に圧下することができる。
【0042】前記βが1.10γ(10%)未満では、
圧下ロール5群で後述する必要な最低圧下量10%を確
保することができない。一方、1.50γ(50%)を
超えると、バルジングゾーンでの内部割れ発生防止のた
めのガイドロール3bの間隔の設定が困難となる。
【0043】バルジング位置を鋳片の液相線クレータエ
ンドとバルジングゾーン終端との間とした理由につい
て、図1および図4により説明する。
【0044】液相線クレータエンド9a以前でバルジン
グさせると、鋳片2に内部割れが発生する。
【0045】図4(a) は、液相線クレータエンド9a以
前でバルジングさせた場合に、内部割れが発生するとき
の鋳片の状態を示す部分横断面図である。図4(a) に示
すように、凝固シェル2aの強度が小さいためバルジン
グによって短辺Sが凹み、短辺S側の凝固シェル2a′
の凝固界面側に大きな引張り応力Fが働き、内部割れが
発生する。
【0046】一方、液相線クレータエンド9aとバルジ
ングゾーン終端との間でバルジングさせると、鋳片2に
内部割れは発生しない。
【0047】図4(b) は、液相線クレータエンド9aと
バルジングゾーン終端との間でバルジングさせた場合
に、内部割れが発生しないときの鋳片の状態を示す部分
横断面図である。図4(b) に示すように、バルジングに
よる短辺Sの凹みも発生せず、長辺L側の凝固シェル2
aがなだらかに変形することにより、凝固界面の特定の
位置に応力が集中することもなく、内部割れは発生しな
い。
【0048】上記のようにバルジングさせる場合、連続
鋳造機のアラインメント管理や操業のしやすさという点
からも、バルジングゾーンの長さは短くし、その配置位
置は鋳型から遠い方がよい。なお、バルジングゾーン終
端の配置は、凝固シェルの厚みが鋳型の短辺長さの45
%以下となる位置とするのが望ましい。これは、バルジ
ング位置の凝固シェル厚みが鋳型の短辺長さの45%よ
り厚くなると、鋳片の未凝固部の厚みが小さすぎるた
め、凝固末期の濃化溶鋼を所定のバルジングによって吸
引し、後の圧下ゾーンで後述する所期の大圧下を加えて
も、その濃化溶鋼は排出されず、局所的に偏析またはポ
ロシティの悪化する場所が生ずるからである。
【0049】上記のように鋳片の最大厚みを鋳型の短辺
長さの10〜50%分厚くし、次いで、バルジングゾー
ン終端から凝固完了点9bまでの間で、少なくとも1対
の圧下ロール5により、鋳片2の厚み方向にその1対あ
たり前記鋳型の下端の短辺長さの10%以上の圧下を与
え、最も望ましくは上記のように厚くしたバルジング量
相当分を圧下し、図5に示すような状態に圧下する。
【0050】図5は、図1に示す線B−B′における圧
下ゾーン内の鋳片2の状態の例を示す横断面図である。
図示するような圧下により、鋳片2の短辺S側の凝固シ
ェル2a′の凝固界面が圧縮応力場となるため、凝固界
面に割れが生じることなく、また中心部に悪性の負偏析
帯が生成することもなく、セミマクロ偏析も含めて中心
偏析が比較的簡単な圧下手段で有効に改善される。1対
の圧下ロールによる圧下量の望ましい上限は50%程度
である。このような圧下は、いわゆる大圧下と呼ばれる
ものである。圧下ロール5の望ましい対数(段数)は1
〜10程度である。
【0051】従来のロール圧下法においては、凝固界面
に割れが発生することを恐れて圧下量は或る値以上をと
ることができないと考えられ、凝固完了点における凝固
収縮量を圧下によって補償する軽圧下に限られていた。
【0052】しかし、その圧下量をさらに大きくして行
くと凝固界面は伸び状態となるが、応力的には鋳込方向
に拘束されているためむしろ圧縮となり、割れがほとん
ど発生しなくなる。このとき、圧下ロール1対あたりの
所要圧下量は鋳片の厚み方向に10%以上であることが
実験的に明らかになった。また、ロールによる従来の大
圧下法では、凝固完了点を強制的に形成させることによ
り内部割れが防止できるとされているが、凝固完了点の
形成が内部割れ防止に影響を与えないことも実験的に明
らかになった。
【0053】凝固完了点を強制的に形成させるところま
で圧下するには、相当の圧下力を必要とする。特にサイ
ズの大きな鋳片の場合には、そのための圧下手段も工業
的に実用化不可能なほど大きなものが必要となる。この
ため、本発明の第1方法における圧下では、圧下ロール
の小径化や圧下手段の小型化を達成するためにも、むし
ろ凝固完了点を強制的に形成させない程度に圧下するの
が望ましい。また、圧下は、変形抵抗の大きい鋳片両端
部の凝固部を圧下により塑性変形させない程度の、バル
ジングゾーン内におけるバルジング量相当分とするのが
望ましい。
【0054】本発明の第1方法によれば、中心偏析防止
の観点から圧下すべき未凝固部の位置をバルジングによ
り現出させ、その部分を効果的に圧下することができ
る。
【0055】鋳片中心部の凝固組織は通常、柱状晶組織
となるが、本発明の第1方法では図1に示すように、鋳
片の凝固完了点9bよりも手前に備えた電磁攪拌手段4
により未凝固部2bに攪拌を加えて、凝固完了点9b近
傍の鋳片中心部の未凝固部2bに等軸晶を発生させ、そ
の後、前記の圧下を施すのが望ましい。
【0056】柱状晶組織の場合、鋳片の幅方向のブリッ
ジングにより局所的に偏析改善効果が小さくなる場合が
ある。しかし等軸晶組織の場合、圧下により溶鋼流動が
起こりやすく、局所的な濃化溶鋼の集積が防止される。
【0057】電磁攪拌手段4の望ましい位置は、バルジ
ングゾーン内であり、圧下ゾーンと重ならないようにす
るのがよい。電磁攪拌の際の周波数の望ましい範囲は
1.0〜3.0Hz 、電流値の望ましい範囲は600〜
900Aである。
【0058】等軸晶を発生させる方法としては、必ずし
も電磁攪拌によらなくてもよい。例えば、ガイドロール
3群または圧下ロール5群を介して鋳片2に超音波を印
加する方式でもよいし、そのほか、操業面からの簡便性
や効果を配慮した低温鋳造や鋳型内への鋼線添加などの
方法であってもよい。
【0059】次に、図6に基づいて本発明の第2方法を
説明する。
【0060】図6は、本発明の第2方法を実現するため
の連続鋳造機の構成例を示す側面方向縦断面の概略図で
ある。図6に示す構成は、図1に示す本発明の第1方法
のものと基本的に同じである。ただし、符号3′aは鋳
片2の凝固シェル2aの厚みδが70mm未満の位置の
ガイドロール群、3′bは同じく凝固シェル2aの厚み
δが70mm以上の位置のガイドロール群である。
【0061】図1中の符号α′は、鋳片2の凝固シェル
2aの厚みδが70mm以上の位置のガイドロール3′
bの鋳片2の厚み方向の間隔である。符号βは、バルジ
ングゾーン終端におけるガイドロール3′bの鋳片2の
厚み方向の間隔である。
【0062】図6の場合も垂直型連続鋳造機であるが、
湾曲型連続鋳造機などでもよい。電磁攪拌手段4は、前
述のように未凝固部2bに攪拌を与えて等軸晶化させる
ための装置であり、必須のものではない。
【0063】ガイドロール3′a群については、それら
の鋳片2の厚み方向の間隔は、通常の方法にしたがえば
よく、限定しない。
【0064】本発明の第2方法では上記のような構成の
連続鋳造機において、鋳片2の凝固シェル2aの厚みδ
が70mm以上の位置に設けるガイドロール3′b群
は、図2に示す本発明の第1方法の場合と同様にバルジ
ングゾーン内において、その鋳片厚み方向の間隔α′を
鋳片2の引き抜き方向に順次段階的に増加させるように
配置する。図6に示す前記βと鋳型1の短辺長さγとの
関係は、前述の本発明の第1方法の場合と同じである。
【0065】本発明の第2方法では上記のような構成の
連続鋳造機を用い、バルジングゾーン内においてガイド
ロール3′bの鋳片厚み方向の間隔を段階的に増加させ
る。
【0066】これにより、鋳片2の凝固シェル2aの厚
みδが70mm以上の位置で鋳片にバルジングを生じさ
せ、鋳片2の最大厚みを鋳型1の下端の短辺長さγの1
0〜50%分厚くする。このときの凝固シェル厚みδの
望ましい上限は、上記短辺長さγの45%程度である。
さらに、バルジングゾーン終端での凝固シェル厚みδの
望ましい上限は、上記短辺長さγの45%程度である。
【0067】バルジングを生じさせる位置を鋳片の凝固
シェル厚みδが70mm以上とした理由は、次のとおり
である。
【0068】すなわち、鋳片の凝固シェル厚みδが70
mm未満でバルジングさせると、短辺側の凝固シェルの
凝固界面側にかかる熱応力が大きいのに加え、前述の図
4(a) において説明した理由で内部割れが発生する。一
方、鋳片の凝固シェル厚みδが70mm以上の位置でバ
ルジングさせると、前述の図4(b) において説明した理
由で内部割れは発生しない。
【0069】また、バルジングゾーン終端での凝固シェ
ル厚みが前記短辺長さγの45%程度を超えると、鋳片
の未凝固厚みが小さすぎるため凝固末期の濃化溶鋼をバ
ルジングによって吸引し、後の圧下ゾーンで所期の大圧
下を施しても、その濃化溶鋼は排出されず、局所的に正
偏析またはポロシティの悪化する場所が生ずる。
【0070】バルジングゾーンの長さおよびその配置位
置の望ましい条件は、本発明の第1方法の場合と同じで
ある。
【0071】バルジングを生じさせた後の鋳片2の最大
厚みを、鋳型1の下端の短辺長さγの10〜50%分厚
くすると限定した理由は、次のとおりである。
【0072】すなわち、10%未満では、圧下ロール群
で後述する必要な最低圧下速度60mm/minを確保
することができない。一方、50%を超えると、バルジ
ングゾーンでの内部割れ発生防止のためのガイドロール
3′b群の間隔の設定が困難となる。
【0073】図6に示す線C−C′の位置における鋳片
の状態およびバルジングの意義は、前述の図3に示す本
発明の第1方法の線A−A′の位置の場合と同じとな
る。
【0074】次いで、バルジングゾーン終端から凝固完
了点までの間で、少なくとも1対の圧下ロールを用い
て、鋳片の厚み方向に60mm/min以上の圧下速度
で圧下を与えることにより、前記のバルジング量相当分
を圧下する。このときの圧下速度の望ましい上限は15
0mm/min程度である。バルジング量相当分の圧下
とするのは、変形抵抗の大きい鋳片両端部の凝固部を圧
下により塑性変形させない程度にするためである。この
ような圧下は、同様に大圧下と呼ばれるものである。圧
下ロール5の望ましい対数(段数)は1〜10程度であ
る。
【0075】本発明の第2方法においても、圧下ロール
の小径化や圧下装置の小型化を目的として、むしろ図6
に示すに示す凝固完了点9bを強制的に形成させない程
度に圧下するのが望ましい。さらに、この圧下は、本発
明の第1方法の場合と同様の理由で、凝固完了点9b近
傍の未凝固部を等軸晶化した後に行うのが望ましい。
【0076】図6に示す圧下ゾーンの線D−D′の位置
における鋳片の状態は、前述の図5に示す本発明の第1
方法の線B−B′の位置の場合と同じとなる。
【0077】このような本発明の第2方法によっても、
中心偏析軽減の観点から圧下すべき未凝固部の位置をバ
ルジングにより現出させ、その部分を効果的に圧下する
ことができる。
【0078】前述のように従来のロール圧下法では、凝
固完了点における凝固収縮量を圧下によって補償する軽
圧下に限られていた。しかし、その圧下量をさらに大き
くして行くと凝固界面は伸び状態となるが、応力的には
鋳込方向に拘束されているためむしろ圧縮となり、割れ
がほとんど発生しなくなる。
【0079】これを実現する方法のひとつが、本発明の
第2方法のような圧下速度を適切にするものである。こ
のとき、所要圧下速度は60mm/min以上であり、
必ずしも、凝固完了点を強制的に形成させる必要はない
ことが実験的に明らかになった。
【0080】本発明の第2方法において、本発明の第1
方法の場合に用いる液層線クレータエンドを考慮しない
のは、次のような理由による。
【0081】液層線クレータエンドは、溶鋼の過熱度に
よって変化する。操業中にこの過熱度が変化するような
場合、その予測が困難である。一方、本発明の第2方法
の場合に用いる凝固シェル厚みは、冷却条件などが決ま
れば比較的予測しやすい。
【0082】このため、本発明の第1方法は、操業中に
溶鋼過熱度などの鋳造条件を一定に保つことができるよ
うな場合に、本発明の第2方法は、上記鋳造条件を一定
に保つことが困難であるような場合に、それぞれ適用す
るのが望ましい。
【0083】本発明方法における鋳造速度の望ましい範
囲は0.3〜3m/min程度、鋳片サイスの望ましい
範囲は、幅800〜2500mm程度、厚み80〜40
0mm程度である。
【0084】
【実施例】
(試験1)図1に示す構成の連続鋳造機を用いて、表1
に示すA、BおよびCの3種類の条件で鋼鋳片を鋳造し
た。最終圧下ロールの位置は凝固完了点から100mm
上方とした。
【0085】
【表1】
【0086】条件Aはバルジングさせずに電磁攪拌によ
り鋳片中心部を等軸晶とした後に大圧下を行う比較例、
条件Bは10%バルジングさせ電磁攪拌により鋳片中心
部を等軸晶とした後に10%の大圧下を行う本発明例、
条件Cは電磁攪拌を用いずに50%バルジングさせた後
に20〜30%の大圧下を行う本発明例である。
【0087】評価は〔P〕の最大偏析度およびセミマク
ロの偏析粒数で行った。〔P〕の最大偏析度は、得られ
たスラブを鋳込方向に直角な断面で切断して厚み方向中
心部から試験片を採取し、このサンプルの表面を200
μmメッシュの粗さに分け、おのおののメッシュの中で
の〔P〕の平均濃度を調査し、この〔P〕と母溶鋼のP
濃度〔P0 〕との比P/P0 とした。偏析粒数は、50
mm×1000mmの範囲の粒状偏析の個数を50倍で
顕鏡し、P/P0 が3以上のものについて調査した。結
果を図7および図8に示す。
【0088】図7は条件A、BおよびCにおける〔P〕
の最大偏析度を示す図、図8は偏析粒数とセミマクロ偏
析粒径との関係を示す図である。
【0089】図7および図8から明らかなように、本発
明例BおよびCでは、適正な位置で適正なバルジングを
施して未凝固部が存在する領域を現出させ、圧下を加え
ることにより、鋳片の未凝固部が存在する領域における
大圧下を効果的に行うことができ、比較例Aと比べて中
心偏析が改善された。
【0090】(試験2)図6に示す構成の連続鋳造機を
用いて、表2に示すD、EおよびFの3種類の条件で鋼
鋳片を鋳造した。ただし、圧下ロールの対数は表2に示
すように変え、最終圧下ロールの位置は試験1と同様に
凝固完了点から100mm上方とした。
【0091】
【表2】
【0092】条件Dはバルジングさせずに電磁攪拌によ
り鋳片中心部を等軸晶とした後に大圧下を行う比較例、
条件Eは10%バルジングさせ電磁攪拌により鋳片中心
部を等軸晶とした後に大圧下を行う本発明例、条件Fは
電磁攪拌を用いずに50%バルジングさせた後に大圧下
を行う本発明例である。
【0093】評価は試験1の方法に準じた。ただし、偏
析粒数の顕鏡範囲は50mm×500mmとし、P/P
0 が2以上のものについて調査した。結果を図9および
図10に示す。
【0094】図9は条件D、EおよびFにおける〔P〕
の最大偏析度を示す図、図10は偏析粒数とセミマクロ
偏析粒径との関係を示す図である。
【0095】図9および図10から明らかなように、本
発明例EおよびFでは、適正な位置で適正なバルジング
を施して未凝固部が存在する領域を現出させ、ロールに
より圧下を加えることにより、鋳片の未凝固部が存在す
る領域における大圧下を効果的に行うことができ、比較
例Dと比べて中心偏析が改善された。
【0096】
【発明の効果】本発明方法によれば、比較的小さい圧下
荷重で未凝固部に大圧下を効果的に作用させることによ
り、負偏析帯を生ぜしめることなく、セミマクロ偏析を
も含んで中心偏析を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1方法を実現するための連続鋳造機
の構成例を示す側面方向縦断面の概略図である。
【図2】ガイドロール群の鋳片厚み方向の間隔を鋳込み
方向に段階的に増加させる方法例について説明する概略
図である。(a) は連続状、(b) は1対のセグメント内で
は連続状、かつセグメント対単位ではステップ状、(c)
はセグメント対単位にステップ状の場合である。
【図3】図1に示す線A−A′における鋳片の横断面図
である。
【図4】バルジングさせる位置による鋳片の状態の差を
説明する鋳片の部分横断面図である。(a) は液相線クレ
ータエンド以前で内部割れが発生するとき、(b) は液相
線クレータエンドとバルジングゾーン終端との間で内部
割れが発生しないときである。
【図5】図1に示す線B−B′における鋳片の状態の例
を示す横断面図である。
【図6】本発明の第2方法を実現するための連続鋳造機
の構成例を示す側面方向縦断面の概略図である。
【図7】実施例の試験1における〔P〕の最大偏析度を
示す図である。
【図8】実施例の試験1における偏析粒数とセミマクロ
偏析粒径との関係を示す図である。
【図9】実施例の試験2における〔P〕の最大偏析度を
示す図である。
【図10】実施例の試験2における偏析粒数とセミマク
ロ偏析粒径との関係を示す図である。
【符号の説明】
1:鋳型、 2:鋳片、2a, 2a′:凝固
シェル、 2b:未凝固部、3a:液相線クレータエンド
以前のガイドロール、3 ′a :凝固シェル厚みが70m
m未満の位置のガイドロール、3b:液相線クレータエン
ド〜凝固完了点の間のガイドロール、3 ′b :凝固シェ
ル厚みが70mm以上の位置のガイドロール、4:電磁
攪拌手段、5:圧下ロール、 6:圧下手段、
7:ピンチロール、 8:溶鋼、9a:液相線クレ
ータエンド、9b:凝固完了点、10:浸漬ノズル、
11:鋳込み方向、12:セグメント、α:液相線クレ
ータエンドの位置の直下のガイドロールの鋳片厚み方向
の間隔、α′:凝固シェル厚みが70mm以上の位置の
ガイドロールの鋳片厚み方向の間隔、β:バルジングゾ
ーン終端における鋳片厚み方向のガイドロール間隔、
γ:鋳型の短辺長さ、 δ:凝固シェル厚み、S:
鋳片の短辺、 L:鋳片の長辺、F:引張り応
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 晃三 茨城県鹿嶋市大字光3番地住友金属工業株 式会社鹿島製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バルジングゾーン内に鋳片の引き抜き方向
    に配列されたガイドロールの鋳片厚み方向の間隔を段階
    的に増加させて、鋳片の液相線クレータエンドとバルジ
    ングゾーン終端との間で鋳片にバルジングを生ぜしめる
    ことにより、鋳片の最大厚みを鋳型の短辺長さの10〜
    50%分厚くし、次いで、バルジングゾーン終端から凝
    固完了点までの間で、少なくとも1対の圧下ロールを用
    いて鋳片の厚み方向にその1対あたり前記鋳型の短辺長
    さの10%以上の圧下を与えることを特徴とする鋼鋳片
    の連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】バルジングゾーン内に鋳片の引き抜き方向
    に配列されたガイドロールの鋳片厚み方向の間隔を段階
    的に増加させて、鋳片の凝固シェル厚みが70mm以上
    の位置で鋳片にバルジングを生ぜしめることにより、鋳
    片の最大厚みを鋳型の短辺長さの10〜50%分厚く
    し、次いで、バルジングゾーン終端から凝固完了点まで
    の間で、少なくとも1対の圧下ロールを用いて鋳片の厚
    み方向に60mm/min以上の圧下速度で圧下を与え
    ることにより、前記バルジング量相当分を圧下すること
    を特徴とする鋼鋳片の連続鋳造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019209373A (ja) * 2018-06-08 2019-12-12 日本製鉄株式会社 鋳片の連続未凝固鍛造装置及び連続未凝固鍛造方法
JP2020006398A (ja) * 2018-07-06 2020-01-16 日本製鉄株式会社 連続鋳造の圧下方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019209373A (ja) * 2018-06-08 2019-12-12 日本製鉄株式会社 鋳片の連続未凝固鍛造装置及び連続未凝固鍛造方法
JP2020006398A (ja) * 2018-07-06 2020-01-16 日本製鉄株式会社 連続鋳造の圧下方法

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