JPH09317559A - 酸素/メタノール用燃焼器及び始動方法 - Google Patents

酸素/メタノール用燃焼器及び始動方法

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JPH09317559A
JPH09317559A JP12993096A JP12993096A JPH09317559A JP H09317559 A JPH09317559 A JP H09317559A JP 12993096 A JP12993096 A JP 12993096A JP 12993096 A JP12993096 A JP 12993096A JP H09317559 A JPH09317559 A JP H09317559A
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JP
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oxygen
methanol
combustion
mixing ratio
main
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JP12993096A
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Atsushi Matsui
篤 松井
Yoichiro Miki
陽一郎 三木
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 宇宙機器のスラスタ等に使用する酸素/メタ
ノール用燃焼器とその始動方法に関し、従来の不具合を
解消し、長期ミッションを目的とする宇宙機器の推進、
動力系に使用できる装置、始動方法を提供する。 【解決手段】 酸素/メタノールの混合比を0.1〜
0.4に設定して着火させ、燃焼を行う点火器部1、点
火器部と1体に形成し、同心状に配置した径長の異る二
つの円周上に、等ピッチに配設した主酸素噴射孔17、
及び主メタノール噴射孔20のうち、円周方向と径方向
に、夫々隣接する2つの主酸素噴射孔及び2つの主メタ
ノール噴射孔からの酸素、及びメタノールが燃焼室内1
4の1点で衝突して、最終設定値の混合比で燃焼を行わ
せる噴射器部15とからなる。これにより、着火装置1
0の焼損が起きず、低混合比での安定した着火、燃焼を
行うと共に、蒸発しにくいメタノールを効率的に蒸発さ
せて、効率の高い、安定した最終(定常)燃焼を行うこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、宇宙機器の推進・
動力系、若しくは宇宙空間を飛しょうする、飛しょう体
の推進・制御系に使用され、推進力、若しくは駆動力を
発生させるための酸素/メタノール用燃焼器と、その始
動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】宇宙空間を航行する宇宙機器の推進装
置、若しくは宇宙機器内の補助動力装置APU(Aux
iliary Power Unit)、又は宇宙空間
を飛しょうする飛しょう体の推進装置、若しくは制御に
適用されるサイドスラスタ等の制御装置に必要とされる
動力は、酸化剤と燃料からなる推薬の燃焼によって得ら
れる燃焼エネルギーを利用するようにしている。
【0003】図8は、宇宙機器の推進装置として、従来
使用されているスラスタの噴射器を示す断面図で、この
ような噴射器01では、酸化剤としての四酸化二窒素N
TO(Nitrogen Tetraoxide N2
4 )を酸化マニホールド02から導入するとともに、
燃料としてのモノメチルヒドラジンMMH(MonoM
ethyl Hydrazine CH3 NHNH2
を燃料マニホールド03から導入し、これらの自着火性
の推薬NTO/MMHを、ノズル04の先端部で混合す
ることにより燃焼させ、推進力を発生させるようにして
いる。また、燃焼時の、これらの推薬NTO/MMHの
混合比MRは、1.65が選ばれ、噴射器01の始動時
から最終の設定値である1.65の混合比となるように
して噴射される。
【0004】しかしながら、このようなスラスタに使用
される推薬NTO/MMHは、NTO,MMHとも毒性
が強く、取扱いに注意を要するとともに、例えば地上で
燃焼試験等を行う場合には、使用後の処置に多大な労力
をはらう必要がある。また、このような推薬を使用する
スラスタを用いる宇宙機器等を、船等の乗員が乗組む搬
送装置に積み移送する場合は、乗員の安全上の問題があ
り、移送ができない場合が生じることがある。
【0005】このような不具合のある推薬に代るものと
して、毒性のない酸素および水素からなる推薬を使用す
るようにしたスラスタもあるが、これらの推薬を構成す
る酸素および水素は、極低温でしか液化せず、またガス
状態で宇宙機器等に搭載するには、容積が嵩ばり、収容
タンクが重くなりすぎ宇宙機器等のミッション達成に支
障を来すこととなる。さらに、地上からのロケットの打
上げ等には、極低温にして液化した液状のLO 2 、LH
2 を推薬として使用することが行われているが、宇宙空
間を長期間航行し、長期ミッションを目的とする、宇宙
往還機HOPE(H−II oribintal pl
ane)等のような、宇宙機器に使用する場合は、酸素
の方はLO2 の状態での使用ができるものの、より極低
温でしか液化しない水素は、蒸発量を小さく押さえられ
ず、ミッション達成が不可能になるという不具合があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した宇
宙空間を航行する宇宙機器の推進装置等に使用されてい
る、従来の推薬の不具合を解消するため、推薬として酸
素/メタノールを採用するとともに、酸素/メタノール
推薬の採用にあたって、このような推薬を燃焼させる、
従来の燃焼器、若しくは始動方法での不具合点を解消
し、宇宙空間を航行する宇宙機器等においても、安定し
て使用できる、信頼性の高い酸素/メタノール用燃焼
器、およびその始動方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の酸素
/メタノール用燃焼器は、次の手段とした。 (1)燃焼して、推力、若しくは駆動力を発生させる、
酸化剤としての酸素の燃料としてのメタノールに対する
混合比を、0.1〜0.4の範囲、より好ましくは、
0.16〜0.34の範囲の低混合比にして、従来のロ
ケットエンジンで用いられている、エキサイタースパー
クプラグ等の着火装置で点火して、安定して燃焼させる
ことのできる点火器部を設けた。 (2)点火器部に近接して設けられ、点火器部と一体に
形成され、酸素とメタノールの混合した推薬を燃焼させ
る燃焼室に対面させた壁面に、点火器部を中心とする径
長の異る2つの同心円周上のそれぞれに、主酸素射孔お
よび主メタノール噴射孔を、略同一径上に配置されるよ
うに配設するとともに、同一円周上の隣接する2つの主
酸素噴射孔、および当該主酸素噴射孔と略同一径上の2
つの主メタノール噴射孔、すなわち、円周方向および径
方向に、それぞれ隣接させた4つの噴射孔からそれぞれ
噴射される、2つの酸素ガス噴射流と2つの液体メタノ
ール噴射流を1点に集中させて、いわゆる酸素ガスと液
体メタノールとの液/ガス4点衝突を行わせ、酸素と、
この液/ガス4点衝突により蒸発が促進されたメタノー
ルとの混合比を、最終の設定値にして、燃焼を行わせる
噴射器部を設けた。
【0008】なお、点火器部、および/又は噴射器部に
おける酸素/メタノールの混合比は、酸素供給量を変化
させることにより、点火器部における着火時の混合比
0.1〜0.4から、噴射器部における最終設定値の混
合比程度にまで、大きくできるものにすることが好まし
い。
【0009】本発明の酸素/メタノール用燃焼器で、燃
料として使用するメタノールは、文献等から無害である
ことが判明しており、また空気中で燃えることから、酸
素とも燃焼し、さらに図2に示すように、酸素/メタノ
ールの比推力が最大となる混合比1.1では、3000
°Kにも達する燃焼温度に達し、この混合比での着火で
は、着火装置が焼損するであろうと従来から予想されて
いたが、安定して燃焼を行う酸素との混合比領域が不明
であったため、着火装置の焼損が起きない燃焼温度の低
い混合比で着火を行うようにした燃焼器は、これまで実
用化されていなかった。
【0010】このために、本願発明者は、メタノールを
燃料とする推薬を使用するため、通常のロケットエンジ
ンで用いられる、エキサイタースパークプラグ方式のス
ラスタを製作し、種々の混合比の酸素/メタノール推薬
の点火試験を行った結果、安定して着火する領域を明確
にした。この試験データをもとに、酸素/メタノールの
混合比を、0.1〜0.4の範囲、より好ましくは、
0.16〜0.34の低混合比にして、燃焼させる点火
器部を設けた。
【0011】これにより、酸素/メタノール用燃焼器の
始動時には、爆音が発生せず、燃焼を安定したものにで
きるとともに、混合比を低混合比にすることにより、着
火装置の焼損が起きない、1300°K以下の燃焼温度
にでき、通常の酸素/メタノール用燃焼器で不具合とな
っていた、エキサイタースパークプラグ等の着火装置の
焼損が防止できるようになる。
【0012】また、表1に示すように、混合比が0.4
以上になると爆音が発生し、不安定燃焼になることが本
願発明者による実験で確認されたので、点火器部での着
火を0.4以下の低混合比で行うようにした。これによ
り、着火時の燃焼を安定したものにでき、信頼性の高い
燃焼器とすることができる。
【0013】また、本発明の酸素/メタノール用燃焼器
の推力、若しくは駆動力供給時の燃焼、換言すれば、定
常運転を行う噴射器部は、点火器部と一体構造としたの
で、軽量、小型化が要求される宇宙機器等への適用が好
適なものとなる。また、液/ガス4点衝突を行わせ、酸
素ガスとメタノール液とを混合させるようにしているの
で、液体が蒸発してガス状態になってから着火する、液
状のメタノールの蒸発が促進され、単なる噴射か、又は
2点衝突で酸素とメタノールの混合を行っている、通常
の酸素/メタノール燃焼器に比較して、燃焼が安定した
ものになるほか、容積効率の高い燃焼を行うことができ
る。
【0014】さらに、酸素/メタノールの混合比は、着
火時の混合比の大きさに拘わらず、例えば、推力比の最
大となる略1.1を最終設定値にして燃焼させることが
できるようにしたので、性能を最大にした運転を継続し
て行うことができ、燃焼効率の良いものにできる。
【0015】また、点火器部、又は噴射器部の何れか、
若しくは双方への酸素供給量を変動させることにより、
酸素/メタノールの混合比を、着火時の0.1〜0.4
から定常運転時の最終設定値、例えば1.1まで変動で
きるようにしたので、着火から定常運転までの燃焼を安
定にしたものにできるほか、燃焼器の熱負荷を軽減する
ことができる。
【0016】また、本発明の酸素/メタノール燃焼器の
始動方法は、次の手段を採用した。酸素とメタノールの
重量混合比を、0.1〜0.4、より好ましくは、0.
16〜0.34の範囲の安定して着火する混合比にし
て、点火器部で着火した後、混合比が最終設定値であ
る、例えば、略1.1にして、液/ガス4点衝突法によ
る燃焼を行う、噴射器部の燃焼になめらかに移行させる
ために、着火した点火器部の酸素供給量を徐々に増大さ
せて、混合比を徐々に上昇させ、噴射器部の所定の略
1.1の混合比にもって行き、噴射器部の燃焼に移行さ
せるようにした。
【0017】これにより、燃焼温度が3000°Kに達
する酸素/メタノールの着火が、着火装置の焼損の恐れ
のない、1300°K以下の燃焼温度で可能になるとと
もに、着火時の爆音の発生を回避して、安定した燃焼に
することができる。また、着火時の低混合比から、例え
ば、酸素、メタノールからなる推薬の性能が最大とな
る、酸素/メタノールの混合比が最終設定値1.1の、
定常運転状態になるまで、酸素/メタノール推薬のなめ
らかな燃焼移行が行われるようにでき、燃焼器の急激な
熱変動が防止でき、より信頼性の高いものにできる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の酸素/メタノール
用燃焼器の実施の一形態を、図面にもとづき説明する。
図1は本発明の酸素/メタノール用燃焼器の実施の第1
形態を示す縦断面図である。
【0019】図に示すように、本実施の形態の酸素/メ
タノール用燃焼器は、着火のための点火器部1と、動力
を発生させる混合比を最終設定値にした定常運転時の流
量混合比に設定する噴射器部15とで、一体に構成され
ている。このうち、点火器部1は、酸素供給部3からの
ガス状の酸素を、点火器用酸素通路4を経由して導入
し、点火器酸素ノズル6から点火器燃焼ゾーン2に噴射
する点火器用酸素噴射マニホールド5、メタノール供給
部7からの液状のメタノールを導入し、同様に点火器燃
焼ゾーン2に、点火器用メタノールノズル9で霧状に噴
射する点火器用メタノール噴射マニホールド7、点火器
燃焼ゾーン2に噴射された酸素ガス、および噴霧状のメ
タノールに、陽極11および陰極12の間で火花を飛ば
して着火を行う、エキサイタースパークプラグ10とか
らなる。
【0020】また、点火器用酸素噴射マニホールド5、
および点火器用メタノール噴射マニホールド8の、それ
ぞれに導入される酸素ガス、およびメタノール液の流量
を、それぞれ計測し、混合比MRを制御するために、図
示しない酸素ガス流量計測ポート、およびメタノール流
量計測ポートが、点火器用酸素噴射マニホールド5、お
よび点火器用メタノール噴射マニホールドに連通させて
設けられている。
【0021】本実施の形態の酸素/メタノール用燃焼器
の点火器部1は、上述のように構成され、酸素/メタノ
ールを混合した推薬の着火を行うことから、次のように
している。
【0022】まず、酸素/メタノール推薬を燃焼させて
動力を発生させる場合、酸素/メタノールの重量流量
比、すなわち、混合比MRが1.1のとき、比推力すな
わち効率が最大となることは、従来からわかっている。
従って、後述する噴射器部15による定常運転時には、
この混合比MR=1.1にして、燃焼を行う必要がある
が、酸素/メタノール推薬を燃焼させた場合には、図2
に示すように、酸素/メタノールの混合比MRの変化に
伴って、燃焼温度Tcが急激に変動する。すなわち、図
2に示すように、効率が最大となる混合比MR=1.1
のときの燃焼温度Tcは、3000°Kを越えることが
わかっている。
【0023】従って、このような高温の燃焼温度Tcに
なる混合比MRで、着火を行うと、点火装置としての、
エキサイタースパークプラグ10の陽極11の材料に、
通常、融点、約2000°K程度の白金−ロジウムが使
用されているために、陽極11が焼損して、再始動がで
きなくなる心配がある。そこで、点火器部1での着火を
行うときの酸素/メタノールの混合比MRは、燃焼温度
Tcのピークを避けるため、MR>7となる高混合比
側、若しくはR<0.8の低混合比側に設定する必要が
ある。
【0024】また、上述したように、点火器部1に酸化
剤として供給される酸素が、ガスで供給されるのに対し
て、燃料として供給されるメタノールは、液体で供給さ
れるため、点火器用メタノールノズル9で点火器燃焼ゾ
ーン2に霧状にして噴射されても、すぐには100%蒸
発しない。このことから、蒸発したメタノールとガス酸
素の混合の割合で支配される、着火の状態における点火
器燃焼ゾーン2の混合比MRは、設定した混合比より高
くなっていることがわかる。このため、着火時における
点火器燃焼ゾーン2の混合比MRの設定は、MR>7の
高混合比側でなく、MR<0.8の低混合比側で行う必
要がある。
【0025】このために、本願発明者は、通常のロケッ
トエンジンで用いられるエキサイタースパークプラグ方
式のスラスタを製作し、種々の混合比、特に、低混合比
における酸素/メタノール推薬の燃焼試験を行った結
果、図3に示す混合比MRと燃焼温度Tcの関係を把握
するとともに、表1に示す安定着火範囲を確認した。す
なわち、燃焼試験を行った燃焼圧力Pc=1kg/cm
2 aのとき低混合比域においては、図3に示すような、
混合比MRと燃焼温度Tcのカーブとなり、このカーブ
のゆるやかな範囲、すなわち、混合比MRの変化に対し
て、燃焼温度Tcの上昇のゆるやかな範囲、具体的に
は、MR=0.16〜0.34で、表1に示すように、
爆音が発生せず、安定着火が得られることがわかった。
【0026】このことから、実際の酸素/メタノール燃
焼器の燃焼圧力Pc=100Kg/cm2 aの高燃焼圧
における、混合比と燃焼温度の関係、および安定着火が
得られる範囲を算出したのが図4である。図4におけ
る、混合比MRと燃焼温度Tcの関係を示すカーブか
ら、混合比MRの変化に対して、燃焼温度Tc上昇のゆ
るやかな範囲は、MR=0.1〜0.4となり、この範
囲の低混合比域で、安定着火することが図3との比較か
ら類推される。
【0027】以上のことから、本実施の形態の点火器部
1では、点火器用酸素噴射マニホールド5から点火器用
酸素ノズル6を介して点火器燃焼ゾーン2に噴出させる
酸素と、点火器用メタノール噴射マニホールド8から点
火器用メタノールノズル9を介して、点火器燃焼ゾーン
に噴出させる液体状のメタノールの流量混合比が、0.
1〜0.4、より好ましくは0.16〜0.34になる
ように設定して、爆音をともなわない、安定した点火が
でき、しかも陽極11の焼損が生じない燃焼温度Tcに
するようにした。
【0028】次に、酸素/メタノールの混合比MRを、
比推力が最大となるMR=1.1を最終設定値にして、
定常運転を行う、噴射器部15について説明する。
【0029】噴射器部15は、酸素供給部3からのガス
状の酸素を主酸素噴射用通路16経由して導入し、主酸
素噴射孔17から最終燃焼ゾーン18に噴射する主酸素
噴射用マニホールド19、点火器用メタノール噴射マニ
ホールド8に導入された液体状のメタノールを、最終燃
焼ゾーン18に噴射する主メタノール噴射孔20とから
なる。
【0030】そして、最終燃焼ゾーン18に、酸素およ
びメタノールをそれぞれ噴射する主酸素噴射孔17、お
よび主メタノール噴射孔21の燃焼室壁13への開口
は、図5に示すように配設されている。すなわち、図1
に示すように、前述した点火器部1と1体に形成される
とともに、点火器部1よりも燃焼室14側に配置される
噴射器部15は、点火器部1を中心とする同心円状の2
つの円周のうち、外側の円周上に主酸素噴射孔17の主
酸素開口20を設け、内側の円周上に主メタノール噴射
孔21の主メタノール開口22を設けるとともに、主酸
素開口20と主メタノール開口22とが、円周の直径方
向に向けた、同一の径上に対応して配置されるようにし
た。
【0031】さらに、隣接する径上の、外側の円周上に
設けた2つの主酸素開口20と、内側の円周上に設けた
2つの主メタノール開口22、すなわち、円周方向およ
び径方向に、それぞれ隣接して設けけられた、4つの開
口20,22からそれぞれ燃焼室14に噴射される主酸
素および主メタノールは、燃焼室14内の1点で衝突す
る、いわゆる液/ガス4点衝突を行い、燃焼し、最終燃
焼ゾーン18を形成するように、主酸素噴射孔17およ
び主メタノール噴射孔21の配置にした。この液/ガス
4点衝突方法により、ガス状の酸素と液体状のメタノー
ルを燃焼させるようにしたので、主メタノール噴射孔2
1から燃焼室14内に噴射され、霧状になるメタノール
は、潜熱が大きい物性のものであるにも拘わらず、蒸発
が促進され、燃焼が行われる気体状に容易に遷移し、良
好な燃焼状態にすることができる。さらに、この噴射器
部15での酸素/メタノールの混合比MRを1.1にす
ることにより、比推力の大きい燃焼を行わせることがで
きる。
【0032】また、本実施の形態の酸素/メタノール用
燃焼器では、点火器部1による着火時の酸素/メタノー
ルの混合比MR=0.16〜0.34と、噴射器部15
による定常(最終)運転状態時の混合比MR=1.1、
以外の混合比にもできるようにしている。すなわち、前
述したように、点火器部1での点火用酸素ノズル6から
の酸素と、点火器用メタノールノズル9からのメタノー
ルとの混合比0.16〜0.34の推薬にして着火した
後、図1に示す主酸素噴射用マニホールド19から燃焼
室14内に酸素を噴射するように設けた、補助酸素噴射
孔23から酸素を噴射することにより、酸素/メタノー
ルの混合比MRを0.5〜0.6上昇させることができ
るとともに、燃焼ゾーンも点火器燃焼ゾーン2から最終
燃焼ゾーン18に近づく、中間燃焼ゾーン24に移動し
ていく。
【0033】これにより、着火時の低混合比の燃焼状態
から定常運転時の高混合比の燃焼状態へ、なめらかで、
安定した燃焼を継続させながら移行させることができ
る。また、この混合比の移行は、着火時の燃焼で昇温
し、噴火器用メタノールノズル9から噴射される液体メ
タノールは、より蒸発しやすい状態で行われるため、燃
焼の不安定が生じるようなことはなく、また中間燃焼ゾ
ーン24が焼損の恐れのある陽極11から離れた位置に
移動することから、混合比MRの上昇により燃焼温度T
cが多少上昇しても、陽極11の焼損を引き起すような
ことはない。
【0034】次に、図6は本発明の酸素/メタノール用
燃焼器の実施の第2形態を示す縦断面図である。本実施
の形態は、宇宙機器の補助動力装置APUへの適用を示
したものである。
【0035】図に示すように、APUで動力を発生させ
るガスジェネレータ30に、酸素用バルブ31、メタノ
ール用バルブ32、および前述したエキサイタースパー
クプラグ10から構成された、本実施の形態の酸素/メ
タノール内燃焼器を設けている。なお、メタノール用バ
ルブ32は、酸素用バルブ31と同一構造のため、図示
省略した。また、酸素用バルブ31から供給された酸素
と、メタノール用バルブ32から供給されたメタノール
で燃焼させる酸素/メタノール用燃焼器は、図7に示す
ように図1に示すものと略同一にされた構造のものが採
用されている。
【0036】しかし、図7に示す、APUで使用される
酸素/メタノール用燃焼器では、動力を発生させる時の
酸素/メタノールの所定の混合比がMR=0.42のた
め、燃焼ゾーンはMR=0.16〜0.34にして、点
火器部1で点着火して燃焼させる点火器燃焼ゾーン2
と、所定のMR=0.4にして、噴射器部15で燃焼さ
せる最終燃焼ゾーン18の2つにしてある。
【0037】このような酸素/メタノール燃焼器で燃焼
が行われ、ガスジェネレータ30を出た燃焼ガスは、タ
ービン33を駆動したあと、液体酸素タンク34から供
給される液体酸素を気化する熱交換器35、およびメタ
ノールタンクから供給される液体メタノールを加熱す
る、図示省略した熱交換器で熱交換した後、外部へ排出
される。また、このタービン33の回転は、ギアボック
ス36で減速され、油圧ポンプ37を駆動し動力を発生
させる。
【0038】本実施の形態のように、宇宙機器のAPU
に使用される酸素は、一般に液体で機体に搭載されてい
るものがあるため、熱交換器35で液体をガス化し、ガ
スジェネレーターに供給するようにしている。また、ガ
スジェネレータ30で発生させる燃焼ガスは、タービン
33が溶けないよう、燃焼温度Tcがタービン33の融
点以下である1200°K程度になる、酸素/メタノー
ルの混合比MR=0.42程度を通常選ぶようにしてい
る。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の酸素/メ
タノール用燃焼器、およびその始動方法によれば、特許
請求の範囲に示す構成により、 (1)酸素/メタノール用燃焼器の始動時には、爆音が
発生せず、燃焼を安定したものにできるとともに、混合
比を1300°K以下の燃焼温度にできる低混合比にし
て、エキサイタースパークプラグ等の着火装置の焼損を
防止することができる。 (2)また、酸素/メタノール用燃焼器の推力、若しく
は駆動力供給時の燃焼、換言すれば、定常運転を行う噴
射器部は、着火を行う点火器部と一体構造としたので、
軽量、小型化が要求される宇宙機器等への適用が好適な
ものとなる。 (3)また、定常運転を行う噴射器部は、液/ガス4点
衝突を行わせ、酸素ガスとメタノール液とを、最終設定
値の混合比にして混合させるようにしているので、液体
が蒸発してガス状態になってから着火する、液状のメタ
ノールの蒸発を促進され、燃焼が安定したものになるほ
か、容積効率の高い燃焼にすることができる。 (4)また、酸素/メタノールの混合比は、着火時の混
合比の大きさに拘わらず、例えば、推力比の最大となる
略1.1を最終設定値にして燃焼させることができるの
で、性能を最大にした運転を継続して行うことができ、
燃焼効率の良いものにできる。 (5)また、着火時の低混合比から、酸素/メタノール
推薬の性能を最大にする最終設定値の定常運転状態の混
合比になるまで、酸素/メタノールの混合比を変えるこ
とができるのでなめらかな燃焼移行が行われ、燃焼器の
急激な熱変動が防止でき、より信頼性の高いものにでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素/メタノール用燃焼器の実施の第
1形態を示す縦断面図、
【図2】酸素/メタノールの混合比と燃焼温度を示す
図、
【図3】燃焼圧1kg/cm2 aにおける酸素/メタノ
ール混合比と燃焼温度を示す図、
【図4】燃焼圧100Kg/cm2 aにおける酸素/メ
タノール混合比と燃焼温度を示す図、
【図5】図1に示す酸素/メタノール用燃焼器の概略を
示す図で、図5(a)は縦断面概略図、図5(b)は図
5(a)に示す矢視A−Aにおける正面概略図、図5
(c)は図5(a)の主酸素噴射孔および主メタノール
噴射の配置を示す詳細縦断面部分概略図、
【図6】本発明の酸素/メタノール燃焼器の実施の第2
形態を示す縦断面図、
【図7】図6に示す酸素/メタノール燃焼器の詳細を示
す縦断面図、
【図8】従来の宇宙機器のスラストに使用されている噴
射器の断面図である。
【符号の説明】
1 点火器部 2 点火器燃焼ゾーン 3 酸素供給部 4 点火器用酸素通路 5 点火器用酸素噴射マニホールド 6 点火器用酸素ノズル 7 メタノール供給部 8 点火器用メタノール噴射マニホールド 9 点火器用メタノールノズル 10 エキサイタースパークプラグ 11 陽極 12 陰極 13 燃焼室壁 14 燃焼室 15 噴射器部 16 主酸素噴射用通路 17 主酸素噴射孔 18 最終燃焼ゾーン 19 主酸素噴射用マニホールド 20 主酸素開口 21 主メタノール噴射孔 22 主メタノール開口 23 補助酸素噴射孔 24 中間燃焼ゾーン 30 ガスジェネレータ 31 酸素用バルブ 32 メタノール用バルブ 33 タービン 34 液体酸素タンク 35 熱交換器(液体酸素用)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 供給された酸素とメタノールとを燃焼さ
    せ、推力、若しくは駆動力を発生させる酸素/メタノー
    ル用燃焼器において、前記酸素の前記メタノールに対す
    る混合比を0.1〜0.4に設定して燃焼を行う点火器
    部と、前記点火器部と1体に形成され、同心状に配置さ
    れた2つの円周上を等ピッチにそれぞれ配設された主酸
    素噴射孔および主メタノール噴射孔のうち、円周方向お
    よび径方向に隣接してそれぞれ配設された主酸素噴射孔
    および主メタノール噴射孔から噴射される、前記酸素お
    よび前記メタノールを1点に集中させる、液/ガス4点
    衝突を行わせるとともに、前記混合比を最終設定値にし
    て燃焼を行う噴射器部とを設けたことを特徴とする酸素
    /メタノール用燃焼器。
  2. 【請求項2】 請求項1の酸素/メタノール用燃焼器の
    始動方法であって、酸素とメタノールの混合比を0.1
    〜0.4にして点火器部で着火を行った後、酸素の供給
    量を増加して前記混合比を徐々に大きくした燃焼にした
    後、前記混合比を最終設定値にして、液/ガス4点衝突
    による燃焼を行う、噴射器部の燃焼に移行させることを
    特徴とする酸素/メタノール用燃焼器の始動方法。
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