JPH093534A - 化成処理性に優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

化成処理性に優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法

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JPH093534A
JPH093534A JP15499195A JP15499195A JPH093534A JP H093534 A JPH093534 A JP H093534A JP 15499195 A JP15499195 A JP 15499195A JP 15499195 A JP15499195 A JP 15499195A JP H093534 A JPH093534 A JP H093534A
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chemical conversion
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low carbon
rolled steel
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JP15499195A
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Yoshihiro Kawanishi
義博 川西
Atsushi Yasui
淳 安井
Hiroyuki Kashiwagi
宏之 柏木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 C量が0.01wt%以下の極低炭素鋼板を、その
焼鈍前に、カルボン酸基もしくはスルホン酸基を有する
界面活性有機化合物またはその金属塩もしくはエステル
を含む溶液で浸漬処理して、鋼板表面にこの有機化合物
を吸着させる。 【効果】 低温でのリン酸亜鉛化成処理を含む化成処理
性が向上し、均一な塗装仕上がりを確保できる。焼鈍後
に、金属Ni量換算で 0.002〜0.1 g/m2にNiフラッシュめ
っきを施すと、化成処理性がさらに改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化成処理性に優れた冷
延鋼板の製造方法に関するものであり、リン酸鉄系の化
成処理あるいは比較的常温に近い条件でリン酸亜鉛処理
を低温で施す場合にも良好な化成処理性を示す冷延鋼板
の供給を可能にするものである。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板は、自動車、家電、建材用材料
として広く使用されており、用途に応じた加工性が要求
される。しかし、どのような材料としてであっても、防
錆性の問題から冷延鋼板をそのまま使用することはほと
んどなく、塗装が施されることが多いので、冷延鋼板に
は塗装用の下地処理として良好な化成処理性を有するこ
とが求められる。
【0003】冷延鋼板の化成処理性に関しては、化成処
理液の改善もさることながら、鋼板の性状が化成処理性
に大きな影響を及ぼすことが多く、従来から、鋼板側の
対応として種々の対策が提案されている。
【0004】例えば、特開昭62−116723号公報に開示さ
れているように、調質圧延を施し、鋼中に転位を導入す
ることにより、リン酸亜鉛処理性の改善を図ったもの、
あるいは特公平2−29729 号公報に開示されているよう
に、鋼中にBを添加し、調質圧延をかけることを特徴と
した連続焼鈍材でのリン酸亜鉛処理性の改善を図ったも
のがある。
【0005】さらに、特公昭58−37391 号公報、特公平
1−58276 号公報に開示されているように、連続焼鈍材
において、鋼板を酸洗後、Feよりも貴な金属(例、Ni
等)を表面に薄く付着させて化成結晶の成長サイトを設
けることにより、鋼種によらずリン酸亜鉛処理性の改善
を図ったものもある。
【0006】しかしながら、このような冷延鋼板は、自
動車車体向けの鋼板を目的としたものである。そのた
め、化成処理も自動車塗装ラインの化成処理を前提とし
たものであって、リン酸亜鉛処理温度が50〜60℃という
高い温度で化成処理が施される場合の化成処理性の改善
を目指している。
【0007】一方、家電や建材メーカーでは、多様な部
品を処理する必要性、設備的な制約、エネルギーコスト
の節約、スマッジ等の廃液処理作業の簡素化といった種
々の理由から、リン酸亜鉛処理温度を下げることが強く
望まれており、40℃以下の比較的常温に近い温度でリン
酸亜鉛処理を施す低温化成処理を行う場合がある。この
ような処理は、例えば、特開昭63−118078号公報に開示
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような低温化成処
理、或いはリン酸鉄系の化成処理においては、同一材料
から採取したサンプルでも、一方には化成結晶が生成
し、他方には化成結晶が全く形成されないという現象が
発生することがある。このような現象に対して、化成皮
膜が形成されない化成不良の発生率を調査した結果、化
成処理性は鋼板成分への依存性が大きいことが判明して
おり、特に極低炭素鋼板では化成処理性が著しく低下す
ることが認められた。また、極低炭素鋼板では、化成処
理性の向上を目的としたNiフラッシュめっきの効果が、
常温に近い化成処理においては全く認められない場合も
ある。
【0009】極低炭素鋼板において化成処理性が劣化す
るメカニズムは、極低炭素鋼板では鋼中の不純物が非常
に少ないため、不純物と鋼中Feとの間の局部電池の形成
が少なく、常温に近い化成処理では化成処理時の酸によ
るエッチング速度が非常に遅くなることが原因となって
いると考えられる。
【0010】このような化成処理に対する鋼中成分の依
存性、極低炭素鋼板に対する化成処理性の改善に関し
て、冷延鋼板の製造後、鋼板表面に強制的に電池を形成
させるために、鋼板にNi系、Co系またはFe系めっき層を
施す処理方法が、例えば、特開昭60−131977号公報およ
び特開昭63−79996 号公報に開示されている。
【0011】しかし、この方法は、次に述べる理由で満
足できるものではない。即ち、極低炭素鋼板は、軟質で
あるため、高温焼鈍時の焼鈍過程において表面欠陥が非
常に発生し易い。極低炭素鋼板では、こうして発生した
表面欠陥部と欠陥部が存在しない部分との間の反応性の
差が非常に大きいことから、めっき時に酸エッチング速
度の差が大きくなり、欠陥部にめっきが厚く形成される
傾向があり、めっきムラが大きくなる。このめっきムラ
の存在が、化成処理において化成ムラになることが判明
している。極低炭素鋼板においては、表面欠陥の発生を
完全に解消することは困難であり、従ってめっきムラの
発生も不可避であって、このめっきムラの存在により逆
に化成ムラが助長されるので、めっきによる化成処理性
の改善には限界がある。
【0012】このように、低温でのリン酸亜鉛処理にお
ける化成処理性は、従来主に検討されてきた自動車ライ
ン向けの高温での化成処理性とは大きく異なっており、
特に家電や建材材料向けでは、低温化成処理でも良好な
化成処理性を有する冷延鋼板が要請されている。中で
も、極低炭素冷延鋼板は、化成処理性、特に低温化成処
理性に劣っているので、化成不良が解消するように化成
処理性を改善することが課題となっている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、極低炭素
鋼板の化成不良をめっきのような後処理で完全に解消す
ることは困難と考え、化成不良の原因となる表面欠陥の
発生が起こる焼鈍過程より前に、鋼板に何らかの処理を
施して、極低炭素鋼板の化成処理性を確保する方法につ
いて検討した。
【0014】その結果、焼鈍前の鋼板表面に、吸着力の
強い界面活性剤を強制的に付着させておくと、その後の
焼鈍過程で、付着した界面活性剤に含まれるCが、グラ
ファイトまたは浸炭反応で生成するセメンタイトを鋼板
の極表層に薄くかつ均一に形成させ、これが化成処理時
の酸によるエッチングにおいて起点となり、後処理を行
わなくても極低炭素鋼板の化成処理性が著しく向上する
ことを見出した。
【0015】ここに、本発明により下記の極低炭素冷延
鋼板の製造方法が提供される。 (1) C量が0.01wt%以下の極低炭素冷延鋼板の製造にお
いて、鋼板をその焼鈍前に、酸基を有する界面活性有機
化合物ならびにその金属塩およびエステル化誘導体より
なる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物を含む
溶液で浸漬処理することを特徴とする、化成処理性に優
れた極低炭素冷延鋼板の製造方法。
【0016】(2) 上記鋼板が、鋼板の粒内セメンタイト
数が結晶粒あたり1個以下のものである上記(1) 記載の
方法。 (3) 上記焼鈍後、鋼板表面にNi系析出層を金属Ni量換算
で 0.002〜0.1 g/m2施す、上記(1) または(2) 記載の方
法。
【0017】
【作用】本発明は、C量が0.01wt%以下の極低炭素冷延
鋼板に適用する。C以外の残部は、好ましくはFeおよび
不可避不純物であるが、Ti、Nb、Bなどの1種もしくは
2種以上の元素を少量含有していてもよい。また、好ま
しくは、この極低炭素冷延鋼板は、鋼板表面の粒内セメ
ンタイト数 (結晶粒内に存在するセメンタイトの個数)
が結晶粒あたり1個以下である。
【0018】C量および粒内セメンタイトの個数をこの
ように制限する理由は、前述したように、このような極
低炭素冷延鋼板では、鋼中の不純物量が少ないため、化
成処理時のエッチング量が不十分となり、良好な化成外
観が得られないためである。また、このような極低炭素
冷延鋼板は、冷間圧延後の焼鈍過程において表面欠陥
(すり疵) が発生し易く、これが化成処理時のエッチン
グムラとなりやすいという問題もあり、化成処理性の改
善が必要であったことも別の理由である。
【0019】なお、通常の軟鋼である低炭素鋼板 (C
量:0.01〜0.10wt%) は、化成処理性が良好であるの
で、本発明による処理を施した場合の効果は顕著には認
められない。しかし、このような低炭素鋼板を本発明に
従って処理しても、何ら問題は生じない。
【0020】粒内セメンタイト数は、本来は化成処理で
のエッチングがおこる鋼板表面で議論すべきであるが、
本発明では母材板厚方向の1/2 t部の断面部分で測定し
た。本発明で採用した粒内セメンタイト数の測定方法
は、観察倍率500 倍の電子顕微鏡で母材板厚方向の1/2
t部の断面部分を観察し、 0.002×0.002 mmの視野にて
ランダムに選んだ10個の母材結晶粒についてその粒内セ
メンタイト数を計数し、この作業を5回繰り返して平均
値を求め、これを粒内セメンタイト数とする。
【0021】本発明によれば、極低炭素鋼板を、その焼
鈍の前に、界面活性を持った (即ち、親水基と疎水基と
を有する) 有機化合物 (以下、簡略化のために、この有
機化合物を界面活性剤ともいう) を含む溶液で浸漬処理
する。それにより、鋼板表面に界面活性剤が吸着して強
固に付着し、界面活性剤の均一なラングミュアー単分子
層が鋼板上に生成する。この吸着した界面活性剤に含ま
れるCが、その後の鋼板の焼鈍時に、グラファイトまた
は浸炭反応によってセメンタイトに変化し、これが化成
処理時にエッチングの起点となり、十分なエッチング量
が確保され、化成処理性が著しく向上する。
【0022】本発明で使用する界面活性剤としては、Fe
と強固な化学吸着反応を起こすものが有効である。その
理由は、強固な吸着層を設けないと、次工程の焼鈍過程
において吸着層が容易に脱落し、上述した効果を発揮で
きないためである。
【0023】この点を考慮して、本発明では、Feと強固
な化学吸着反応を生ずる酸基、例えば、カルボン酸基ま
たはスルホン酸基を有する界面活性の有機化合物を使用
する。また、このような有機化合物の酸基を金属との塩
またはアルコールとのエステルに変換した、上記化合物
の金属塩やエステル化誘導体も、同様に有効である。さ
らに、界面活性を有するリン酸エステル、チオリン酸エ
ステル、亜リン酸エステルまたはそれらの金属塩も使用
できる。
【0024】カルボン酸基を有する界面活性有機化合物
の例は、R−CH2COOH (Rは長鎖脂肪族炭化水素
基) で示される高級脂肪酸である。疎水基となるRの炭
素数は、通常は10〜20である。鋼板との吸着性の強さや
吸着の均一性を考慮すると、R基が不飽和であることが
好ましく、また、直鎖状より分枝状の炭化水素基が好ま
しい。このカルボン酸基を有する界面活性剤の金属塩と
しては、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が好まし
い。
【0025】上記のカルボン酸またはカルボン酸塩型の
界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸、ラウリン
酸、パルミチン酸、オレイン酸などの飽和および不飽和
脂肪酸、ならびにこれらのナトリウム塩が挙げられる。
【0026】一方、スルホン基を有する界面活性の有機
化合物は、R'−SO3Hで示されるものである。疎水基
R’は、上記のRと同様の長鎖脂肪族炭化水素基 (好ま
しくは不飽和基、より好ましくは分枝状のもの) であっ
てもよく、或いはアルキルベンゼンまたはアルキルナフ
タレンなどのアルキル芳香族基であってもよい。スルホ
ン酸塩としては、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、
およびカルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金
属塩が好ましい。
【0027】このスルホン酸またはスルホン酸塩型の界
面活性剤の具体例としては、α−オレフィンスルホン
酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルナフタレン
スルホン酸、ならびにこれらのナトリウム塩、カルシウ
ム塩、およびバリウム塩が挙げられる。
【0028】上記のような遊離のカルボン酸もしくはス
ルホン酸またはこれらの金属塩はいずれも陰イオン性界
面活性剤である。このうち、特に金属塩 (カルボン酸塩
またはスルホン酸塩) は、水溶性が高いことから使い易
いが、その高い水溶性のため、浸漬処理後にNa、Ca、Ba
などの金属塩が鋼板表面に残留し、腐食を促進させる恐
れがある。
【0029】このような場合には、カルボン酸基または
スルホン酸基をアルコールと反応させてエステル基に変
換した、非イオン性の界面活性有機化合物の適用も効果
が認められる。このようなカルボン酸エステルまたはス
ルホン酸エステル型の界面活性有機化合物としては、長
鎖脂肪酸と1価または好ましくは多価アルコールとのエ
ステル化合物、芳香族ポリカルボン酸の部分硫化エステ
ル化合物等がある。具体例としては、ソルビタン脂肪酸
エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸モノエステルなどがある。
【0030】リン酸、チオリン酸、亜リン酸などのリン
を含有する酸のエステルおよびその金属塩も、界面活性
を有するものであれば、本発明において使用できる。こ
のようなリン含有界面活性有機化合物の例としては、モ
ノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステ
ル、ジアルキルホスファイト、アルキルチオホスフェー
ト等がある。この場合のアルキル基も、疎水性付与に必
要な炭素数のものであり、通常は炭素数10以上である。
【0031】上記のような界面活性剤による鋼板の浸漬
処理は、冷間圧延鋼板の製造において、焼鈍前の任意の
段階で、適当な湿式処理時に上記界面活性剤を添加する
ことにより実施できる。冷間圧延前の場合には、例え
ば、熱延時のスケール除去のために行われる硫酸酸洗工
程において、酸洗液に上記界面活性剤を添加することに
より、本発明の浸漬処理を実施できる。冷間圧延後の場
合には、例えば、箱型焼鈍前に行う表面洗浄工程におけ
る電解清浄ラインでのアルカリ脱脂液に添加する方法、
あるいは連続焼鈍ライン前にこのラインの入側に設置さ
れている酸洗もしくはアルカリ脱脂液に添加する方法等
が考えられる。
【0032】何れの場合も、適用される界面活性剤は、
化学吸着を利用して鋼板表面に付着させるため、短時間
の間に表面に均一なラングミュアー単分子層の吸着層を
形成するので、極少量の添加で十分である。界面活性剤
の添加量は特に規定されないが、通常は処理液中の界面
活性剤濃度が10 ppm以上、好ましくは50 ppm以上になる
量であれば十分である。処理温度は室温以上、浸漬時間
は2秒以上もあれば十分である。
【0033】また、一層の化成処理性の向上を目的とし
て、焼鈍後に、NiまたはNi−PなどのNi系合金からなる
薄いNi系析出層を形成することは極低炭素鋼板にとって
好ましい。このようなNi系析出層は、電気めっきを利用
したフラッシュめっき法により形成することが有利であ
る。
【0034】本発明により上記の界面活性剤による処理
を焼鈍前に施しておくと、ミル圧延油を除去する際に、
鋼板表面に界面活性剤が均一に化学吸着することによ
り、焼鈍工程での均一なグラファイト、セメンタイト部
が表面に形成される。そのため、フラッシュメッキ前に
施される酸洗時の酸エッチングが均一に起こり、Ni系析
出層形成のためのフラッシュめっき時に均一なNi系析出
層が形成される。その結果、化成処理時にも均一な化成
外観も確保できるため、本発明の浸漬処理は、Ni系析出
層を形成させる場合にも、化成処理性の向上に非常に効
果的である。
【0035】Ni系析出層の付着量は、金属Ni量換算で
0.002〜0.1 g/m2、好ましくは 0.005〜0.050 g/m2とす
る。0.002 g/m2未満では、化成結晶の粗大化になり、化
成処理後に一般に実施される電着工程において、均一な
電着外観、つまり塗装仕上がり外観が得られない。一
方、0.1 g/m2より多くなると、鋼板表面が不活性なNi層
で全面的に均一に覆われるため、化成皮膜が形成されな
くなる。
【0036】本発明は特に、酸エッチング力が弱い低温
リン酸亜鉛化成処理またはリン酸鉄系化成処理における
化成処理性の改善を目的としているが、通常の自動車メ
ーカーで実施しているような、十分な酸エッチング力を
有する高温 (>40℃) のリン酸亜鉛化成処理において
も、その効果は十分に期待できる。
【0037】なお、上に説明した界面活性剤による浸漬
処理および必要に応じて適用するNi系析出層の形成を除
けば、本発明の極低炭素冷延鋼板の製造方法は、通常の
冷延鋼板の製造方法にと同様でよい。
【0038】
【実施例】次に本発明の効果を実施例により例証する。 (実施例1)本実施例で供試材として使用した冷延鋼板
は、表1に示す極低炭素冷延鋼板AおよびBと、比較用
の低炭素アルミキルド冷延鋼板Cの3種類であった。
【0039】
【表1】
【0040】上記の各供試冷延鋼板を、下記の界面活性
のカルボン酸もしくはスルホン酸またはその塩もしくは
エステルを含有する酸洗液中で浸漬処理した。酸洗液と
しては8%硫酸水溶液を使用し、この水溶液に界面活性
剤を所定量添加した後、供試鋼板の浸漬処理に用いた。
処理温度は50℃、浸漬時間は2秒とした。
【0041】界面活性剤 (記号) オレイン酸 (HOl) オレイン酸ナトリウム (NOl) ドデシルベンゼンスルホン酸 (HDBS) ドデシルベンゼンスルホン酸バリウム (BDBS) ソルビタンモノオレイン酸エステル (EsSOl) 浸漬処理した冷延鋼板を、水洗せずにそのまま、下記条
件での連続焼鈍またはバッチ焼鈍により焼鈍処理した。
【0042】
【表2】
【0043】こうして界面活性剤による処理と焼鈍処理
を施した冷延鋼板供試材について、低温化成処理性と高
温化成処理性を次のようにして評価した。
【0044】(低温化成処理性)鋼板のカットサンプル
を、市販のリン酸亜鉛化成処理液 (日本パーカーライジ
ング社製のエナレス−20) を用いて、化成処理した。化
成処理液は温度=30〜35℃、全酸度=15、遊離酸度=0.
5 に管理し、この処理液を90秒間スプレー処理すること
により処理を実施した。評価は、鋼板のカットサンプル
を20枚連続して化成処理した場合に、化成外観の目視で
化成処理が全く形成されていないと判定されたサンプル
の枚数により行った。この枚数が2以上 (正常枚数が18
以上) を合格とする。
【0045】(高温化成処理性)高温化成処理性として、
液温度を45〜50℃に上げた以外は上記と同様に管理した
高温のリン酸亜鉛化成処理液を用い、120 秒の浸漬処理
により化成処理を実施した。評価は、鋼板カットサンプ
ル10枚を化成処理し、筋状欠陥が1枚でも認められるも
のは不合格 (×) とした。
【0046】表3に、供試冷延鋼板の鋼種、焼鈍方式、
界面活性剤の種類と処理液中のその濃度、ならびに化成
処理性の試験結果をまとめて示す。
【0047】
【表3】
【0048】試験No.13 〜16は、もともと化成処理性が
良好な低炭素アルミキルド鋼Cの化成処理性の結果を示
す。この結果より、低温化成処理性では化成不良発生率
が18/20以上、高温化成性では化成の筋状欠陥が認めら
れないことが目標性能であることが解る。これから、化
成処理性の評価基準を上記のように定めた。
【0049】極低炭素鋼板AまたはBにおいては、冷延
鋼板を焼鈍前に界面活性剤で処理した本発明例では、い
ずれの場合も低温化成処理性と高温化成処理性が上記の
目標性能を満たし、合格であった。一方、この界面活性
剤処理を行わない比較例では、少なくとも低温化成処理
性は目標性能を満たさなかった。No.1〜3とNo.4の比
較、No.5、6とNo.7の比較、No.8〜11とNo.12 の比較か
ら、本発明の界面活性剤による処理が化成処理性、特に
低温化成処理性の改善に非常に有効であることがわか
る。
【0050】処理濃度に関しては、例えばNo.1とNo.2の
比較、No.5とNo.6の比較等から、界面活性剤濃度が高い
方が改善効果が大きくなる傾向が認められる。しかし、
例えば、No.11 で5ppm という極少量の界面活性剤で優
れた化成処理性が得られることから、界面活性剤の種類
によってはこのような極低濃度でも十分であり、それ以
外でも10 ppmないしは50 ppm程度の非常な低濃度で十分
な化成処理性の改善を得ることができた。
【0051】(実施例2)Ni系析出層の影響を調査する
ため、表1の試料No.1 (鋼種:極低炭素鋼A、オレイン
酸処理→連続焼鈍、本発明例) と試料No.16 (鋼種:低
炭素アルミキルド鋼C、界面活性剤処理をせずにバッチ
焼鈍、比較例) について、焼鈍後、まず5%硫酸 (60
℃) ×5秒浸漬の酸洗を実施した後、下記条件にてフラ
ッシュ電気Niめっきを施した。なお、Ni析出層の付着量
は、電解時間を変化させることにより変化させた。
【0052】
【0053】Ni析出層を形成した冷延鋼板の電着塗装性
を次のようにして試験した。まず、供試鋼板に、前処理
として、実施例1の高温化成処理と同じ条件で、リン酸
亜鉛化成処理を施した。その後の電着塗装条件は、関西
ペイント社製エレクロン9410を300 Vで通電した場合
で、電着膜厚が20μmになるように調節した。電着塗装
を施した冷延鋼板の供試材に、セロハンテープを塗装表
面に張りつけた後、塗装仕上がり性を評価するために、
鮮映性をICM (スガ試験機社製、写像鮮映性試験機)
にて評価した。その際の目標値として、自動車向け外装
用鋼板として適用可能レベルであるICM値が70%以上
である場合を合格とした。
【0054】図1に、試料No.1および16について、Ni付
着量とICM値との関係を調査した結果を示す。図1か
ら、化成処理性良好な試料No.16 の低炭素鋼板での結果
から、70%以上、できうれば80%以上のICM値を有す
る必要があることが解る。
【0055】その結果より、極低炭素鋼板である試料N
o.1においては、Ni付着量が2〜100mg/m2 (0.002〜0.1
g/m2) 、好ましくは、5〜50 mg/m2 (0.005〜0.050 g/m
2)の場合に、同等の良好な電着塗装性を有していること
が解る。
【0056】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明の冷延鋼板
の製造方法によれば、化成処理性の不芳な極低炭素冷延
鋼板において、後処理を施すことなく、良好な化成処理
性を付与することができる。その際の化成処理において
は、低温化成処理においては安定な化成結晶を形成する
ことが可能であり、通常の高温化成においても、炉内す
り疵等に起因した筋状の局部エッチングラムを防止する
ことができ、均一な化成処理結晶外観を確保することが
できる。従って、低温化成処理性に関しては、設備の簡
素化やスマッジの低減による廃棄物処理の負担低減等が
可能になり、高温化成処理性については、均一な塗装仕
上がりが確保できるという、産業上極めて有用な効果が
もたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板表面に析出させたNi電析量と電着後の塗装
密着性 (ICM値) の関係の調査結果を示したグラフで
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C量が0.01wt%以下の極低炭素冷延鋼板
    の製造において、鋼板をその焼鈍前に、酸基を有する界
    面活性有機化合物ならびにその金属塩およびエステル化
    誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化
    合物を含む溶液で浸漬処理することを特徴とする、化成
    処理性に優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記鋼板が、鋼板の粒内セメンタイト数
    が結晶粒あたり1個以下のものである、請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 前記焼鈍後、鋼板表面にNi系析出層を金
    属Ni量換算で 0.002〜0.1 g/m2施す、請求項1または2
    記載の方法。
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