【発明の詳細な説明】
サイトカインに応答性のDNAスペーサー調節要素およびその使用方法
発明の技術分野
本発明は、サイトカインなどの種々の分子に応答して転写に影響を及ぼす調節
タンパク質に結合するオリゴヌクレオチド配列、該オリゴヌクレオチド配列を含
むDNA構築物、該DNA構築物でトランスフェクションした細胞、および異種
遺伝子の制御された発現、新たな調節タンパク質の検出および回収および遺伝子
転写のアゴニストおよびアンタゴニストとして作用する化合物の能力の測定のた
めのその使用方法に関する。
発明の背景
多くの細胞系において、ポリペプチドリガンドなどの細胞外シグナル伝達分子
は、細胞表面にあるレセプターに結合することにより、細胞内での遺伝子転写を
最終的に調節することになる細胞内シグナル伝達経路を誘発する。たとえば、哺
乳動物細胞の成長、分化および機能を制御する可溶性ポリペプチドの大きく多様
なファミリーを構成するサイトカインおよび成長因子は、特異的な細胞表面レセ
プターに結合することにより、特異的な表現型応答を引き起こすシグナルをある
種の形で伝達する。ミヤジャマ(A.Miyajama)ら、10Annu.Rev.Immunol.
,295(1992);アグエット(M.Aguet)ら、55Cell,273(198
8);キシモト(T.Kishimoto)ら、258Science、593(1992)お
よびウルリッヒ(A.Ullrich)およびシュレシンガー(J.Schlessinger)、
61Cell,203(1990)。多数の証拠は、特定の遺伝子における転写速度
の変化が該応答の重要な要素であることを示している。これは、特定のDNA結
合タンパク質の量または活性の変化の結果であると考えられている。
幾つかの場合において、細胞表面におけるレセプター−リガンド相互作用から
かかるDNA結合タンパク質または他の核タンパク質の活性の変化へと導く経路
を定義するうえで進歩がなされてきている。ウルリッヒ、61Cell,203。こ
の観点において、表面レセプターシグナル伝達経路における共通の応答にはRa
sの活性化が含まれる。マルカヒー(L.S.Mulcahy)ら、313Nature,24
1(1985)。活性化されたRasは、ついでMAPキナーゼを介してセリン
/トレオニンリン酸化のカスケードを開始させてDNA結合タンパク質のリン酸
化に導き、それによってその転写制御活性を変化させる。ムーディー(S.A.M
oodie)ら、260Science、1658(1993);ラング−カーター(C.A
.Lange−Carter)ら、260Science、315(1993);ヒル(C.S.H
ill)ら、73Cell,395(1993);ジル(H.Gille)ら、358Natur e
,414(1992)およびチェン(R.H.Chen)ら、12Mol.Cell.Biol.
,915(1992)。
これら進歩にも拘わらず、遺伝子発現を変化させるために多くの成長因子およ
びサイトカインによって利用されているシグナル伝達経路はいまだ解明されてい
ない。それゆえ、知られた第二メッセンジャーがこれら因子の幾つかに対して応
答してシグナル伝達に関与していると考えられているけれども、遺伝子発現を制
御するうえでのその役割はいまだ解明されていない。ミヤジャマら、10Annu. Rev.Immunol
.,295およびレビー(D.E.Levy)およびダーネル(J.E.D
arnell)、2New Biol.,923(1990)。このことが今度は、そのような
細胞系においてリガンド特異的応答がいかにして引き起こされるのかという疑問
を提起する。ウルリッヒ、61Cell,203;テャオ(M.V.Chao)、68Ce ll
,995(1992)およびレビー、2New Biol.,923。
これら問題を解決するうえでの進歩が、最近、インターフェロン(IFN)系
でなされている。IFNαおよびβ(タイプI)は、ウイルス感染に対する主要
な非特異的防御として働く。ペツカ(S.Petska)およびランガー(J.A.Lan
ger)、56Annu.Rev.Biochem.,727(1987)。IFNγ(タイプII)
は抗ウイルス特性を有するが、免疫応答の制御においても主要な役割を果たして
いる。上記文献。タイプIおよびタイプIIIFNは異なる細胞表面レセプターに
結合し、遺伝子発現を迅速に変化させる。アグエット、55Cell,273;ウゼ
(Uze)、60Cell,225;およびセン(G.C.Sen)およびレンギエル(P
.
Lengyel)、267J.Biol.Chem.5017(1992)。インターフェロン
α刺激応答要素(interferon−α stimulated response elements)(ISRE
)と呼ばれるIFNαに応答する特定の配列要素が遺伝子のプロモーター中で同
定されており、これはIFNαによる制御に必要かつ充分なものである。セン、
267、J.Biol.Chem.5017。詳しくは、IFNαレセプターの活性化は
、DNA結合タンパク質として、従ってISREを介した転写調節要素として働
くタンパク質ファミリーのチロシンリン酸化を刺激する。シンドラー(C.Schi
ndler)ら、257Science、809(1992);シュアイ(K.Shuai)ら
、258Science、1808(1992)およびグッチュ(M.J.Gutch)ら
、89Proc.Natl.Acad.Sci.USA、11411(1992)。これらDN
A結合タンパク質は一般に「転写のシグナルトランスデューサーおよびアクチベ
ーター(signal transducers and activators of transcription)(STAT)
」と呼ばれ、多量体複合体に会合し、核に位置を移し、適当な調節領域中のシス
作動性エンハンサー要素(cis−acting enhancer elements)に結合する。レビ
ーら、3Genes Dev.,1362(1989);およびケスラー(D.S.Kessle
r)ら、4Genes Dev.,1753(1990)およびゾング(Z.Zhong)ら、
264Science、95(1994)。
IFNαにより誘発されたISRE結合タンパク質複合体の一つの例はISG
F3である。デイル(T.C.Dale)ら、86Proc.Natl.Acad.Sci.1203
(1989)およびフー(X−Y.Fu)ら、87Proc.Natl.Acad.Sci.85
55(1990)。ISGF3は、p48、p84(STAT1β)、p91(
STAT1α)およびp113(STAT2)と呼ばれる4つの結合タンパク質
の複合体である。最近、ISGF3を構成するタンパク質をコードするcDNA
が単離され特徴付けられた。フーら、89Proc.Natl.Acad.Sci.7840(
1992);シンドラーら、89Proc.Natl.Acad.Sci.7836(1992
)およびビールズ(S.A.Veals)ら、12Mol.Cell.Biol.3315(19
92)。p48はISGF3のDNA結合成分であり、mybと相同である。ビ
ールズ、12Mol.Cell.Biol.3315。p84およびp91はおそらく同じ
遺
伝子が別の仕方でスプライスされた産物であり、p113と関連している。フー
、89Proc.Natl.Acad.Sci.7840およびシンドラー、89Proc.Natl. Acad.Sci
.7836。p84、p91およびp113はSH2トメインおよび
SH3ドメインを含有する新規なタンパク質であり、未処理の細胞の細胞質中に
認められる。シンドラー、257Science、809およびフー、70Cell,32
3〜335(1992)。それゆえ、細胞をIFNαで処理するとp84、p9
1およびp113が迅速にチロシンリン酸化される結果となり、これらを会合さ
せp48とヘテロマーな複合体を形成してISGF3を形成し、これが核に位置
を移してISREに結合し、転写を刺激する。上記文献;デイル、86Proc.N atl.Acad.Sci
.1203およびケスラー、4Genes Dev.,1753。
IFNγに応答した調節は、ISREとは異なる配列、すなわちガンマ活性化
配列(gamma activated sequence)(GAS)により与えられる。デッカー(T
.Decker)ら、10EMBO J.,927(1991);カン(K.D.Khan)ら
、90Proc.Natl.Acad.Sci.6806(1993)およびルー(D.J.Lew
)ら、11Mol.Cell.Biol.、182(1991)。細胞をIFNγで処理す
るとp91(STAT1α)のチロシンがリン酸化され、ついでこれが核に位置
を移しGASに結合する。デッカー、10EMBO J.,927およびシュアイ
ら、258Science、1808(1992)。それゆえ、IFNαかまたはIF
Nγのそれぞれのレセプターへの結合の特異性は、潜在的転写因子(latent tra
nscription factors)(すなわち、DNA結合タンパク質)の関連ファミリー内
での特定のリン酸化パターンに翻訳される。このリン酸化パターンがタンパク質
の会合状態を指示し、このことがISREまたはGASのいずれかへの結合の特
異性およびその後の転写応答を決定する。
さらに他のサイトカインであるインターロイキン−6(IL−6)は、肝細胞
において急性期応答の誘発に主要な役割を果たしている。急性期応答は、急性期
応答遺伝子と呼ばれる独特のセットの遺伝子の劇的な転写上方調節(upregulati
on)を特徴とする。ハインリッヒ(P.C.Heinrich)ら、265Biochem.J.,
621〜636(1990)。これら遺伝子のプロモーター領域を調べたところ
、
IL−6によって急性期遺伝子が誘発されるのに必要な特定のDNA配列が同定
された。クンツ(D.R.Kunz)ら、17Nuc.Acids Res.,1121〜113
8(1989);ハットリ(M.Hattori)ら、87Proc.Natl.Acad.Sci.U SA
、2364〜2368(1990);ウォン(K.A.Won)およびバウマン
(H.Baumann)、10Mol.Cell.Biol.、3965〜3978(1990)お
よびウイルソン(D.R.Wilson)ら、10Mol.Cell.Biol.、6181〜61
91(1990)。これら配列は、急性期応答要素(acute phase response ele
ments)(APRE)と呼ばれる。APREの一つのタイプは、IFNγによる
誘発を与えるGAS要素と多くの類似点を示す。ユアン(Yuan)ら、14Mol. Cell.Biol
.、1657〜1668(1994)。このAPREのクラスに結合
するタンパク質は特徴付けられ精製されている。ウエジェンカ(U.M.Wegenka
)ら、13Mol.Cell.Biol.、276〜288(1993);イトー(T.Ito
)ら、17Nuc.Acids Res.,9425〜9435(1989)およびハットリ
、87Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2364〜2368。IL−6によっ
て誘発されるAPRE結合タンパク質のcDNAクローンは単離されており(ゾ
ング、264Science、95;アキラ(Akira)ら、77Cell、63〜71(
1994);ゾングら、91Proc.Natl.Acad.Sci.、4806〜4810(1
994);ラズ(Raz)ら、269J.Biol.Chem.、24391〜24395
(1994))、p91(STAT1α)に対してかなりの相同性を示すタンパ
ク質をコードすることがわかっている。この理由から、該タンパク質はSTAT
3と呼ばれている。STAT1αと同様、STAT3は活性化されて迅速なチロ
シンリン酸化によりDNAに結合する潜在的転写因子である。
インターロイキン−4(IL−4)は、種々のリンパ球および非リンパ球細胞
タイプの両者において生物学的応答を引き起こす多面発現性の(pleiotropic)
サイトカインである。IL−4は、活性化T細胞のTh2サブセットによって主
として産生される約19kDの糖タンパク質である。IL−4は、以来、B細胞
の増殖、免疫グロブリンの発現の調節、T細胞の調節、造血前駆細胞の増殖およ
び分化において重要な役割を果たすことが示されている。IL−4は、その生物
学的作用を、造血細胞株およびある種の非造血細胞株の表面上の特定の高親和性
レセプターを介して発揮する。そのレセプターの一方の鎖であるγc鎖は、IL
−2レセプター、IL−7レセプター、IL−9レセプター、IL−13レセプ
ターおよびIL−15レセプターと共通するものである。コンドー(M.Kondo
)ら、262Science、1874(1993)、ノグチ(M.Noguchi)ら、2
62Science、1877(1993)、ラッセル(S.Russell)ら、262Sc ience
、1880(1993)、およびコンドーら、263Science、1453
(1994)。
IL−4が細胞表面上のそのレセプターに結合すると細胞内チロシンキナーゼ
が活性化され、幾つかのタンパク質がチロシンにおいて迅速にリン酸化される。
これら初期の事象は、標的遺伝子転写に対するIL−4の即時作用に直接関係し
ていると思われる。とりわけ、IL−4は、応答性細胞において、クラスIIMH
C、IgEに対する低親和性Fcレセプター(FcεRII、CD23)、LAF
−1およびLAF−3、CD40および表面IgMを含む幾つかの細胞表面抗原
の発現を上方調節する。アッガーワル(B.Aggarwal)およびグッターマン(J
.U.Gutterman)、Human Cytokines:Handbook for Basic Chemical Res earch
ブラックウエル・サイエンティフィック・パブリケーションズ、ボストン
、マサチューセッツ(1992)。おそらく、IL−4の最も顕著な役割はB細
胞の分化にあり、その際、IL−4はIgのH鎖クラスをIgE(タイプIアレ
ルギー反応の主要なメディエーターである)にスイッチさせるのを促進する「ス
イッチ因子(switch factor)」として働く。ポール(W.E.Paul)、77Blo od
1859(1991)。IL−4がSTATシグナル伝達系を介して作動する
との証拠は、IL−4が種々の細胞株において、GAS様DNA配列要素に結合
するホスホチロシン含有タンパク質複合体を速やかに活性化するという観察に基
づいている。コタニド(H.Kotanides)およびライヒ(N.Reich)、262S cience
、1265(1993)およびシンドラーら、13EMBO J.1350
(1994);ラム(P.Lamb)ら、83Blood、2063(1994)および
ケー
3066(1993)。THP−1細胞においてIL−4によって活性化された
STATは最近クローニングされ(STAT−IL−4またはSTAT6と呼ば
れる)、報告されたIL−4誘発複合体の構成員であるようである。ホウ(J.
Hou)ら、265Science、1701(1994)およびイール(J.N.Ihle
)ら、11Trends in Genetics、69(1995)。
インターロイキン13(IL−13)は、IL−4と共通する多くの生物学的
活性を有する多面発現性サイトカインである。ズロースキー(G.Zurawski)お
よびドゥ・ブリーズ(J.E.de Vries)、15Immunol.Today19(1994
)。IL−13はIL−4に対してほぼ30%の配列相同性を有し、単球/マク
ロファージおよびB細胞に対してIL−4様の活性を示す(ミンティー(A.Mi
nty)ら、362、Nature248(1993)およびマッケンジー(A.N.J.
McKenzie)ら、90Proc.Natl.Acad.Sci.USA3735(1993))。
しかしながら、IL−4と違ってIL−13はT細胞には作用を有しない。IL
−13の生物学的活性は、IL−13結合サブユニットおよびIL−4レセプタ
ーと共通する1または2以上のレセプター成分(「IL−4R」サブユニットお
よび/またはγcサブユニット)とからなる特定の高親和性細胞表面レセプター
への結合を介して発揮される。アバーサ(G.Aversa)ら、178J.Exp.Med
.2213(1993)。IL−13がIL−4と同様にSTATシグナル伝達
系を介して作動するとの証拠は、IL−13が、GAS様DNA配列要素と結合
するホスホチロシン含有タンパク質複合体をIL−4によって誘発されるものと
極めて類似の仕方で速やかに活性化するという観察に基づいている。ケーラーら
、345FEBS Lett.187(1994)。
GM−CSFは、造血前駆細胞の生存、クローン拡張および分化に関与するコ
ロニー刺激因子と呼ばれる一群の成長因子に属する。ガッソン(J.Gasson)、
77Blood 1131(1991)およびニコラ(N.A.Nicola)、58Ann. Rev.Biochem
.,45(1989)。GM−CSFは、部分的に引き渡された前
駆細胞の集団に作用し、これら細胞を顆粒球−マクロファージ経路に分割および
分化させる。GM−CSFはまた、成熟顆粒球およびマクロファージをも活性化
しうる。骨髄単球系列(myelomonocytic lineages)への作用に加え、GM−C
SFは赤血球前駆細胞および巨核球前駆細胞の増殖を促進しうる。18〜22k
Dの糖タンパク質であるGM−CSFは、免疫刺激または炎症刺激に応答して、
T細胞、B細胞、マクロファージ、マスト細胞、内皮細胞および線維芽細胞を含
む種々の細胞によって産生される。
GM−CSFは、特定の標的細胞上の細胞表面レセプターと相互作用すること
により作用を発揮する。該レセプターは、2つの鎖、すなわちGM−CSF−α
およびGM−CSF−βからなる。パーク(L.S.Park)ら、89Proc.Natl .Acad.Sci.
4295(1992)。GM−CSF−αはGM−CSFに特異的
であるが、GM−CSF−βはIL−5およびIL−3のレセプターのβサブユ
ニットと同一である。グッダル(G.Goodall)ら、8Growth Factors87(
1993)。GM−CSF−αおよびGM−CSF−βのいずれも内生的なチロ
シンキナーゼ活性を有しないが、細胞をGM−CSFで処理すると複数のタンパ
ク質の速やかなチロシンリン酸化が引き起こされる。GM−CSFがSTATシ
グナル伝達系を介して作動するとの証拠は、GM−CSFが種々の細胞株におい
て、GAS様DNA配列要素に結合するホスホチロシン含有タンパク質複合体を
速やかに活性化するという観察に基づいている。ラーナー(A.C.Larner)ら
、261Science1730(1993)およびラムら、83Blood2063(1
994)。GM−CSFがSTAT5を活性化することが報告されており、それ
ゆえ報告されたGM−CSF活性化複合体の構成員であるかもしれない。イール
ら、11Trends in Genetics、69(1995)。
インターロイキン−3(IL−3)は、活性化T細胞によって主として産生さ
れる多面発現性サイトカインである。その作用としては、多分化能性造血前駆細
胞並びに広範囲の系統分化に供された細胞の両者の増殖および分化を刺激するこ
とが挙げられる。イールら、Peptide Growth Factors and their Receptors
、スプリンガー−フェアラーク、ニューヨーク(1991)。この成熟タンパク
質はみかけの分子量28,000を有し、少なくとも2つのポリペプチド鎖(I
L−3RαおよびIL−3Rβ)からなる細胞表面レセプター(IL−3R)に
結
合する。IL−3Rβ鎖はまたIL−5レセプターおよびGM−CSFレセプタ
ーの成員でもあるが、IL−3α鎖はIL−3Rに独特のものである。ミヤジャ
マら、82Blood 1960(1993)。IL−3がそのレセプターに結合す
るとチロシンキナーゼJAK2の活性化および一群の細胞質タンパク質の速やか
なチロシンリン酸化を引き起こす。シルベノイネン(O.Silvennoinen)ら、90Proc.Natl.Acad.Sci
.8429(1993)。STATファミリーの成員
を含有するGAS結合複合体は、IL−3で処理した細胞の抽出物で検出するこ
とができる。ラーナーら、261Science1730(1993);イールら、1
9Trends Biochem.Sci.222(1994)。IL−3がSTAT5を活性化
することが報告されており、それゆえ報告されたIL−3活性化複合体の構成員
であるかもしれない。イールら、11Trends in Genetics、69(1995)
。
エリスロポエチン(Epo)は、赤血球前駆細胞の増殖および成熟を起こさせ
る主要なホルモンである。クランツ(S.B.Krantz)、77Blood419(1
991)。インビトロでの証拠により、エリスロポエチンはまた血小板生成にお
いても役割を有することが示されている。アン(An)ら、22Exp.Hemat.1
49(1994)。みかけの分子量30,000を有するこのタンパク質は、腎
臓で主として産生され、組織低酸素症の条件によって誘発される。エリスロポエ
チンは、ヘマトポエチンレセプターファミリーの成員である単一のポリペプチド
鎖からなる細胞表面レセプター(EpoR)に結合することによって作用する。
ダンドルア(A.D'Andrea)ら、57Cell277(1989)。EpoのEp
oRへの結合に引き続いて起こる初期事象はチロシンキナーゼJAK2の活性化
であり、このものはレセプター鎖の細胞質ドメインと非共有結合により会合して
いる。ウィッツーン(B.Wiithuhn)ら、74Cell227。EpoによるJA
K2の活性化は、EpoRおよび細胞質タンパク質のチロシンリン酸化の誘発と
関連している。細胞をEpoで処理すると、未だ未同定のSTATタンパク質を
含有するGAS結合活性の速やかな誘発も引き起こされ、これは遺伝子発現にお
いてEpoにより誘発された変化を引き起こすものと考えられる。ラムら、8
3Blood2063(1994);フィンブルーム(Finbloom)ら、14Mol.C ell.Biol
.2113(1994)。EpoがSTAT5を活性化することが報告
されており、それゆえ報告されたEpo活性化複合体の構成員であるかもしれな
い。イールら、11Trends in Genetics、69(1995)。
G−CSFは、好中球顆粒球系列の造血細胞の増殖、分化および活性化に特異
的作用を有することで最もよく知られた多面発現性サイトカインである。G−C
SFはまた、ヒト顆粒球および単球並びに線維芽細胞、平滑筋細胞および筋線維
芽細胞を含む間充織細胞に対して化学走化性活性を有することが報告されている
。これらインビトロでの機能は、定常状態の造血の維持、感染に対する防御、炎
症および修復におけるG−CSFのインビボでの役割の可能性を反映している。
G−CSFを種々の動物モデルに投与した場合に循環好中球レベルの上昇が観察
されている。G−CSFは現在、化学療法を受けたり臓器移植後の免疫抑制剤を
与えられたりした結果として顆粒球減少症になった患者に臨床的に用いられてい
る。ムーア(M.A.S.Moore)、9Annu.Rev.Immunol.159(1991)
、ニコラ、58Annu.Rev.Biochem.45(1989)およびピメンテル(E.
Pimentel)、(1994)、Handbook of Growth Factors、VolIII、ピメ
ンテル編、CRCプレス、ボカラントン、177頁。
G−CSFは、G−CSFrへ結合することによりその生物学的活性を発揮す
る。G−CSFのレセプター(G−CSFr)は、タイプIサイトカインレセプ
タースーパーファミリーの成員であり、キナーゼドメインを欠き、単一のポリペ
プチド鎖からなると思われる。2つのG−CSFr鎖の二量体形成はG−CSF
に対する高親和性の結合部位を形成する。種々のヘマトポエチンレセプタースー
パーファミリー成員のうち、G−CSFrは、IL−6レセプター、オンコスタ
チン(oncostatin)Mレセプター、および白血病阻害因子レセプターのシグナル
伝達成員であるgp130と最も密接に関連している。最近の研究によれば、骨
髄性白血病細胞株においてG−CSF処理が、G−CSFr、JAKIおよびJ
AK2チロシンキナーゼおよび転写因子のSTATファミリーの成員の速やかな
チロシンリン酸化を引き起こすことが示されている。ニコルソン(S.E.Nicho
lson)ら、91Proc.Natl.Acad.Sci.USA2985(1994)およびチ
アン(S.S.Tian)ら、84Blood 1760(1994)。
多くのサイトカインは類似の配列(GAS/APRE)に結合しうるSTAT
タンパク質を活性化するけれども、これらサイトカインは別々の遺伝子のセット
を調節している。このことは、これら遺伝子がこれらサイトカインの一つにのみ
応答するように、これら遺伝子の幾つかにおける応答要素に関して特異性が存在
することを示唆している。それゆえ、種々のサイトカインへ応答する能力におい
て選択性を有する別々のクラスのGAS様配列が存在することがありうる。従っ
て、STATタンパク質を含むサイトカイン活性化タンパク質への結合能に関し
て選択性を示す特異的なDNA配列は、種々のサイトカインにより活性化された
DNA結合タンパク質により媒体される応答を選択的にアッセイすることを可能
にする有用な手段となるであろう。
上記で引用された文献の開示は、参照のためその全体が本明細書中に引用され
る。
発明の要約
本発明は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン3(IL
−3)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン6(IL−6)、
インターロイキン13(IL−13)、エリスロポエチン(Epo)、顆粒球コ
ロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子
(GM−CSF)などのサイトカインを含むシグナル伝達分子に応答して、活性
化転写調節タンパク質、好ましくはSTATタンパク質へ直接的または間接的に
結合するDNA調節要素を含むオリゴヌクレオチド配列に関する。驚くべきこと
に、該調節要素の各半分間を4、5、6または7のヌクレオチドで隔てると、種
々の活性化された転写調節タンパク質に結合するかおよび/または活性化された
転写調節タンパク質の単一のタイプまたはクラスにのみ特異的に結合する別々の
調節要素が得られる。従って、本発明の調節要素は、IL−4などのシグナル伝
達分子およびその同族の転写調節タンパク質、STAT6の選択的アゴニストま
たはアンタゴニストを見出すための転写アッセイにおいて用いることができる。
とりわけ、本発明は、ヌクレオチド配列TTNxAA(式中、Nはヌクレオチ
ドA、T、CまたはGから独立に選ばれ、xは4、5、6または7である)の調
節要素(該調節要素は、シグナル伝達分子に応答して活性化された転写調節タン
パク質に結合する)を含むオリゴヌクレオチド配列を提供する。さらに好ましく
は、該調節要素は、TTCNyGAA、TTANyGAA、TTANyTAA、
TTTNyGAAおよびTTTNyTAA(式中、Nは前記と同じ意味であり、
yは2、3、4または5である)よりなる群から選ばれたヌクレオチド配列を含
む。これらオリゴヌクレオチド配列は、その相補鎖を含む二本鎖であってよい。
本発明はまた、プロモーターに機能的に連結した上記オリゴヌクレオチド配列
を含むDNA構築物を提供するものであり、該プロモーターは異種遺伝子に機能
的に連結しており、その際、該DNA構築物は該異種遺伝子が該オリゴヌクレオ
チド配列およびプロモーターの転写制御下にあるような仕方で連結している。
本発明はまた、適当な転写調節タンパク質を含有するトランスフェクションし
た宿主細胞をシグナル伝達分子の存在下で培養することを特徴とする、所望の異
種遺伝子の制御された発現方法をも提供する。好ましくは、該方法におけるシグ
ナル伝達分子はサイトカインであり、該転写調節タンパク質はSTATタンパク
質である。
本発明はさらに、試料中の転写調節タンパク質(新規なSTATタンパク質な
ど)の存在を検出する方法であって、該試料を上記オリゴヌクレオチド配列と、
該転写調節タンパク質が活性化され該オリゴヌクレオチド配列と結合して複合体
を形成するような条件下で接触させ、ついで該試料中の該複合体の存在を検出す
ることを特徴とする方法を提供する。その後、該複合体を該試料から分離し、転
写調節タンパク質を調節要素から単離する。
さらに、本発明は、遺伝子転写のアゴニストとして働きうる化合物の能力の測
定方法であって、(a)該化合物を上記トランスフェクションした宿主細胞と、
該化合物に応答して異種遺伝子が発現されうるような条件下で接触させ、ついで
(b)工程(a)での遺伝子発現レベルを該化合物の不在下での該宿主細胞から
の遺伝子発現レベルと比較することを特徴とする方法を提供する。別法として、
本発明はまた、遺伝子転写のアンタゴニストとして働きうる化合物の能力の測定
方法であって、(a)該化合物を前以て決定した量のシグナル伝達分子の存在下
、該シグナル伝達分子に応答して異種遺伝子が発現されうるような条件下で上記
トランスフェクションした宿主細胞と接触させ、ついで(b)工程(a)での遺
伝子発現レベルを、シグナル伝達分子の存在下、該化合物の不在下での該宿主細
胞からの遺伝子発現レベルと比較することを特徴とする方法を提供する。これら
両方法において、異種遺伝子は、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ、緑蛍光タンパク質(green fluorescent protein)また
はβ−ガラクトシダーゼの異種遺伝子などのいかなる適当なリポーター遺伝子で
あってもよい。
本発明はまた、ANTTCNNNNGAANA(SEQ ID NO:152)
またはその相補鎖TNTTCNNNNGAANT(SEQ ID NO:153)
(式中、Nは独立にA、T、CまたはGから選ばれる)を含むIL−4およびI
L−13選択的なオリゴヌクレオチド配列をも提供するものであり、該オリゴヌ
クレオチド配列は、プロモーターおよび異種遺伝子に機能的に連結している場合
に、IL−4および/またはIL−13によって活性化されたSTAT6タンパ
ク質を含む活性化された転写調節タンパク質に結合し、該異種遺伝子を転写の段
階で調節する。
定義
「オリゴヌクレオチド」または「DNA」分子または配列とは、一本鎖の形態
かまたは二本鎖へリックスの形態でデオキシリボヌクレオチドアデニン(A)、
グアニン(G)、チミン(T)および/またはシトシン(C)からなる分子であ
って、本明細書において定義する本発明による「調節要素」を包含する。正確な
サイズ、鎖の数および方向(すなわち、3'→5'または5'→3')は多くの因子
に依存するであろうし、これら因子はまた本発明のオリゴヌクレオチドの最終的
な機能および用途に依存するであろう。それゆえ、「オリゴヌクレオチド」また
は「DNA」なる語は、線状DNA分子または断片、ウイルス、プラスミド、ベ
クター、染色体または合成由来のDNAに認められる二本鎖DNAを包含する。
本
明細書において、特定の二本鎖DNA配列は、5'から3'方向にのみ配列を記載
する通常の慣習に従って記載するものとする。
「調節要素」とは、オリゴヌクレオチド配列の全体またはその一部であって、
該オリゴヌクレオチド配列に活性化された転写調節タンパク質または1または2
以上の活性化された転写調節タンパク質を含む複合体が結合した場合に、関連す
る1または2以上の遺伝子(異種遺伝子を含む)の発現が転写レベルで制御され
るものをいう。
「シグナル伝達分子」とは、細胞の表面またはその近傍にあるレセプターと相
互作用する、遊離または結合のいずれかの形態の細胞外ポリペプチド、オリゴ糖
または他の非ペプチド性分子をいう。この相互作用が今度は、調節要素に結合す
る1または2以上の転写調節タンパク質の活性化を含む細胞内経路を引き起こさ
せ、それにより関連する1または2以上の遺伝子の発現を転写レベルで制御する
。本明細書において「シグナル伝達分子」は、サイトカイン、ペプチド性および
非ペプチド性ホルモン、抗体、細胞表面抗原などの天然に存在する分子、または
これらシグナル伝達分子のいずれかの合成模造品、またはこれらシグナル伝達分
子の作用を模倣した合成分子を包含する。
「サイトカイン」とは、生物において最終的に表現型応答を引き起こすような
仕方で細胞の増殖、分化および機能を制御する多様な可溶性ポリペプチド(成長
因子およびホルモンを含む)をいう。本発明の調節要素および関連方法に有用な
好ましいサイトカインとしては、IFNγ、11−2、IL−3、IL−4、I
L−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12
、IL−13、IL−15、GM−CSF、Epo、Tpo、成長ホルモン、プ
ロラクチン、オンコスタチンM、G−CSF、LIF、EGF、CNTFおよび
PDGFが挙げられる。
「転写調節タンパク質」とは、活性化されたときに本発明の調節要素/オリゴ
ヌクレオチド配列に直接、または転写調節タンパク質の複合体または他のアダプ
タータンパク質を介して間接的に結合して、関連する1または2以上の遺伝子の
活性を転写レベルで制御する細胞質または核のタンパク質をいう。それゆえ、転
写調節タンパク質は本発明のDNA調節要素に直接結合することができるし、ま
たは他のタンパク質に結合することによって調節要素に間接的に結合し、該他の
タンパク質が今度は本発明のDNA調節要素に結合するかまたは結合しているよ
うにすることができる。たとえば、ビールズら、13Mol.Cell.Biol.、19
6〜206(1993)参照。本明細書において転写調節タンパク質としては、
STATタンパク質(ゾングら、264Science、95)、STFタンパク質(
シンドラーら、13EMBO J.、1350(1994))、乳腺特異的核因子
(Mammary Gland−Specific Nuclear Factor)(シュミット−ネイ(M.S
chmidt−Ney)ら、6Mol.Endochronol.、1988(1992)およびワカオ
(H.Wakao)ら、267J.Biol.Chem.、16365(1992))、APR
F(ウエジェンカ(Wegenka)、13Mol.Cell.Biol.、276)、GHIF
(メイヤー(Mayer)、269J.Biol.Chem.、4701)、GHSFおよび
EPOSF(フィンブルーム、14Mol.Cell.Bio.、2113)として当該技術
分野で呼ばれているタンパク質、並びにすべての実質的に相同な類似体および対
立遺伝子変異体が挙げられるが、これらに限られるものではない。
「関連する1または2以上の遺伝子の発現を転写レベルで制御する」とは、か
かる1または2以上の遺伝子の転写速度を変化させることを意味する。
「STATタンパク質」とは、ロックフェラーユニバーシティーのダーネル博
士によって「転写のシグナルトランスデューサーおよびアクチベーター」(ST
AT)として示された転写調節タンパク質をいう。ゾングら、264Science9
5参照。本明細書においてSTATタンパク質は、p91(STAT1α)タン
パク質、p84(STAT1β)タンパク質、p113(STAT2)タンパク
質およびSTAT関連p48ファミリーのタンパク質を包含する。ビールズら、
12Mol.Cell.Biol.、3315(1992)。さらに、STATタンパク質
はまた、STAT3と呼ばれる結合タンパク質(ゾング、264Science95)
、およびSTAT4と呼ばれる結合タンパク質(上記文献)をも包含する。加え
て、MGFは現在、STAT5と呼ばれており(グイヨー(Gouilleux)ら、1
3EMBO J.、4361〜4369(1994))、STAT−IL−4(ま
たはSTAT6)が最近になってクローニングされた。ホウ(Hou)ら、265Science
、730(1994)およびイールら、11Trends in Genetics、6
9(1995)。以上のSTATタンパク質のすべての実質的相同な類似体およ
び対立遺伝子変異体もまた包含される。
「活性化する」、「活性化された」、「活性化」その他類似の表現は、細胞内
の1または2以上の転写調節タンパク質が配列特異的な仕方で本発明のDNA調
節要素/オリゴヌクレオチド配列に直接または間接的に結合することができるよ
うに、該転写調節タンパク質が翻訳後に修飾されることを意味する。この修飾に
は、一般に、種々のプロテインキナーゼによる活性化を含む(これに限られるも
のではない)種々の機構による転写調節タンパク質のリン酸化が含まれる[たと
えば、シュアイ、258Science、1808およびコーエン(P.Cohen)、1
7TIBS、408(1992)参照]。
「DNA構築物」とは、本発明のオリゴヌクレオチド配列を導入させたプラス
ミド、ベクター、染色体およびウイルスを含む(これらに限られるものではない
)あらゆる遺伝子要素をいう。たとえば、DNA構築物は、プロモーターが本発
明のオリゴヌクレオチド配列に機能的に連結しており、該配列が今度はルシフェ
ラーゼリポーター分子の遺伝子などの異種遺伝子に機能的に連結したベクターで
あってよい。
「プロモーター」とは、細胞内でRNAポリメラーゼに直接または間接的に結
合することができ、下流域(3'方向)のコード配列の転写を開始することがで
きるDNA調節領域をいう。本発明の目的のためには、プロモーターはその3'
末端が転写開始部位と結合しており、バックグラウンドを越えるレベルの転写を
開始するのに必要な最小限の数の塩基または要素を含むように上流(5'方向)
に延びている。プロモーター内には、転写開始部位(S1マッピングにより都合
よく定められる)、並びにRNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合
ドメイン(共通配列)が認められるであろう。真核細胞のプロモーターには、し
ばしば(常にではないが)、「TATA」ボックスおよび「CCAT」ボックス
が含まれるであろう。原核細胞のプロモーターには、−10共通配列および−3
5共通配列に加えてシャイン−ダルガノ配列が含まれるであろう。
「遺伝子」とは、核酸分子であって、その配列に特定のタンパク質の正常な制
御された産生に必要なすべての情報を含むものをいう。DNA構築物の「異種」
領域(すなわち、異種遺伝子)とは、天然では構築物中の他の遺伝子成分と関連
して認められることがない一層大きなDNA内の同定しうるDNAセグメントを
いう。それゆえ、異種遺伝子が哺乳動物の遺伝子である場合には、該遺伝子は通
常、その採取源の生物のゲノム中では構造ゲノムDNAにフランキングしないプ
ロモーターによってフランキングされるであろう。
DNA構築物(本発明のオリゴヌクレオチド配列を含む)のプロモーターは、
該プロモーターの存在が異種遺伝子(ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑蛍光タンパク質および分
泌型胎盤アルカリ性ホスファターゼなどのリポーター配列の遺伝子を含む)から
の転写に影響を及ぼす場合には該プロモーターは該異種遺伝子に「機能的に連結
している」。機能的に連結した配列はまた、同じRNA転写物に転写される2つ
のセグメントを含む。それゆえ、プロモーターと「リポーター配列」などの2つ
の配列は、該プロモーターで開始される転写によって該リポーター配列のRNA
転写物が産生される場合には機能的に連結している。「機能的に連結している」
ためには、2つの配列が相互に直ちに隣接している必要はない。
宿主細胞は、該細胞中に外来DNAまたは異種DNA(たとえば、DNA構築
物)が導入された場合には、そのようなDNAで「トランスフェクションされた
」という。トランスフェクションするDNAは、該細胞のゲノムを構成するよう
に染色体DNA中に組み込まれても(共有結合により連結しても)よいし組み込
まれなくてもよい。たとえば原核細胞、酵母および哺乳動物細胞では、トランス
フェクションするDNAはプラスミドなどのエピソーム要素上に保持されてよい
。真核生物の細胞に関しては、安定にトランスフェクションされた細胞とは、染
色体の複製によって娘細胞により遺伝されるようにトランスフェクションするD
NAが染色体中に組み込まれたものをいう。この安定性は、該真核生物細胞がト
ランスフェクションしたDNAを含有する娘細胞の集団から構成される樹立細胞
系またはクローンを確立する能力によって示される。
「宿主細胞」とは、正常にまたは必要なcDNAでトランスフェクションした
後に、所定のシグナル伝達分子、シグナル伝達(たとえば、キナーゼ)タンパク
質、転写調節タンパク質および付属因子に対する関連するレセプター成員を発現
することにより、該シグナル伝達分子が細胞表面に結合したときに転写調節要素
タンパク質によって媒体された遺伝子転写が行われるようにする細胞株をいう。
宿主細胞株は、正常にまたは必要なcDNAでトランスフェクションした後に、
関連するサイトカインレセプター成員、JAKタンパク質、STATタンパク質
および付属因子を発現することにより、サイトカインが細胞表面に結合したとき
にSTATによって媒体された遺伝子転写が行われるように、サイトカイン応答
性であるのが好ましい。
図面の簡単な記載
本発明を添付の図面に基づいてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の調節要素/オリゴヌクレオチド配列に結合する転写調節タン
パク質の転写活性を評価するのに用いることができるリポーター構築物の模式図
である。図1Aは、機能性のプロモーター配列の上流に調節要素(単一または複
数)を含む一般的なリポーター構築物の模式図であり、これら2つ(プロモータ
ー配列および調節要素)は下流の異種リポーター遺伝子配列に機能的に連結して
いる。図1Bは、本明細書の実施例に記載し表7〜10および15〜16にまと
めた実験に用いる一層特定のリポーター構築物を示す。それゆえ、このリポータ
ー構築物は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ−35〜+10(キャップ
部位に関して)プロモーター配列の上流に位置する単一(または複数の)調節要
素を含み、これら2つ(プロモーター配列および調節要素)は下流のホタルルシ
フェラーゼリポーター遺伝子配列に機能的に連結している。
図2は、IFNγ、IL−6、GM−CSFおよびIL−4によって活性化さ
れた転写調節タンパク質−DNA結合複合体の結合パターンを示す電気泳動移動
度シフトアッセイ(EMSA)オートラジオグラムの再現である。EMSAは本
明細書の実施例1の記載に従って行った。図2A〜2DのEMSAにおいて利用
した放射性標識二本鎖オリゴヌクレオチドプローブの調製は、SEQ ID NO
:66と67(図2A)、SEQ ID NO:76と77(図2B)、SEQ
ID NO:78と79(図2C)、およびSEQ ID NO:80と81(図
2D)のオリゴヌクレオチドをアニールすることにより行った。
発明の態様の詳細な記載
本発明者らは、一連のDNA調節要素(すなわち、応答要素)が、種々のシグ
ナル伝達分子に応答して、活性化された転写調節タンパク質に直接かまたは間接
的に結合し、それによってかかる調節要素に機能的に連結した1または2以上の
遺伝子の発現を転写レベルで制御することを見いだした。この点に関し、本発明
者らは、驚くべきことに、該調節要素内の4、5、6または7ヌクレオチドのス
ペーシングにおける変化が、サイトカインによって誘発され活性化された種々の
転写調節タンパク質に結合するものからサイトカインによって誘発され活性化さ
れた転写調節タンパク質の一つのタイプまたはクラスにのみに選択的に結合する
ものへ要素を変換させうることを見いだした。たとえば、配列TTNxAAにお
いて、4つのスペーサーヌクレオチド(すなわち、x=4)のスペーシングは、
活性化されたSTAT3転写調節タンパク質(たとえば、IL−6、IL−10
、IL−11、LIF、EGF、PDGFまたはG−CSFによって誘発された
もの)に選択的な調節要素となり、一方、6または7のスペーサーヌクレオチド
のスペーシングからは、IL−4、IL−7、IL−9、IL−13およびIL
−15サイトカインによって誘発された活性化転写調節タンパク質に選択的なも
のが得られる。しかしながら、5つのスペーサーヌクレオチドのスペーシングで
は、STAT1αおよびSTAT3タンパク質並びにIL−2、IL−3、IL
−4、IL−5、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、
IL−13、IL−15、Epo、Tpo、成長ホルモン、プロラクチン、G−
CSFおよびGM−CSFサイトカインによって誘発される転写調節タンパク質
(たとえば、STAT5および/またはSTAT6)を含む、サイトカインによ
って誘発される種々の異なる転写調節タンパク質に結合する調節要素となる。
本発明による調節要素は、ヌクレオチド配列TTNxAA(式中、NはA、T
、CまたはGから独立して選ばれるスペーサーヌクレオチド、xは4、5、6ま
たは7である)から選ばれる。さらに好ましくは、調節要素は、TTCNyGA
A、TTANyGAA、TTANyTAA、TTTNyGAAおよびTTTNy
TAA(式中、Nは前記と同じ、yは2、3、4または5である)よりなる群か
ら選
ばれたヌクレオチト配列を有する。本発明による好ましいヌクレオチト配列とし
ては、以下のものが挙げられる。
(式中、Nは独立にA、T、CまたはGから選ばれる)
本発明による特に好ましい調節要素配列としては、以下のものが挙げられる。
この点に関し、SEQ ID NO:22、25、30および43の調節要素は
STAT3タンパク質選択的な調節要素を含み、SEQ ID NO:37、40
および44の調節要素はSTAT1αおよびSTAT3選択的な調節要素を含み
、
SEQ ID NO:23、26、28、31、51、52および53の調節要素
は活性化された種々の転写調節タンパク質に結合する調節要素を含み、SEQ
ID NO:33、35、38、41および45の調節要素はGM−CSF、I
L−2およびIL−4によって活性化された転写調節タンパク質に結合する調節
要素を含み、SEQ ID NO:24、27、29、32、34、36、39、
42、46、47、48、49および50の調節要素はIL−4およびIL−1
3によって誘発された活性化転写調節タンパク質に結合する調節要素を含む。さ
らに、これら調節要素は単独で、またはそれに隣接するヌクレオチド配列と一緒
になって、本発明のオリゴヌクレオチド配列を形成する。この点において、その
ようなオリゴヌクレオチド配列は、本発明の調節要素を含む8〜200ヌクレオ
チドを含むものであるのが好ましい。しかしながら、200ヌクレオチドを越え
るものであっても、本発明の調節要素を含み、活性化された転写調節タンパク質
に結合することができ、1または2以上の遺伝子の発現を転写レベルで制御する
ことができるものであれば本発明の範囲に包含される。この点において、観察さ
れたスペーシングの優先性が選択的な結合および転写活性を決定する重要な因子
ではあるとしても、スペーサー分子の特定の配列並びにコア要素に隣接するヌク
レオチドの特定の配列もまた結合およびトランス作用(transactivation)に影
響を及ぼすことが当業者には理解されるであろう。
本発明のオリゴヌクレオチド配列はまた、基本的な調節要素の2またはそれ以
上の「ユニット」の多量体を含んでいてよい。この点において、そのような多量
体オリゴヌクレオチド配列は、実際問題として本発明による同じまたは異なる調
節要素を約2〜15ユニット含んでいてよい。しかしながら、理論的には、その
ような多量体オリゴヌクレオチド配列中の調節要素の数には限度はない。そのよ
うな多量体オリゴヌクレオチド配列は、転写調節タンパク質の検出、単離および
/または精製のためのプローブとして有用である。さらに、本発明に従ってプロ
モーターおよび異種遺伝子を含むDNA構築物中に用いた場合には、調節要素の
多量体は、種々のサイトカインまたは他のシグナル伝達分子に応答した該DNA
構築物からの該遺伝子の発現を増幅することができる。
種々のシグナル伝達分子が、本発明の調節要素/オリゴヌクレオチド配列に直
接または間接的に結合する転写調節タンパク質を活性化させる。そのようなシグ
ナル伝達分子の例としては、遊離または結合の両形態での、サイトカインや抗体
などのポリペプチド、および細胞表面抗原、細胞の表面またはその近傍に一般に
認められるオリゴ糖、TUBag4(コンスタント(P.Constant)ら、264Science
、267(1994))などの非ペプチド性分子およびこれら分子の合
成模造品が挙げられるが、これらに限られるものではない。それゆえ、本発明は
、細胞または他の基体の表面またはその近傍に結合したシグナル伝達分子による
細胞−細胞または細胞−基体の転写調節タンパク質活性化を包含する。
好ましくは、本発明のシグナル伝達分子は、本発明の調節要素/オリゴヌクレ
オチド配列に結合する転写調節タンパク質を活性化するサイトカインを含む。そ
のようなサイトカインの例としては、インターロイキン2、3、4、5、6、7
、9、10、11、12、13および15(IL−2、IL−3、IL−4、I
L−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12
、IL−13およびIL−15)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(
GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、コロニー刺激因子1
(CSF−1)、インターフェロンアルファ、ベータおよびガンマ(IFNα、
IFNβ、IFNγ)、上皮細胞成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(P
DGF)、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM、神経成長因子(NG
F)、毛様体神経成長因子(CNTF)、脳由来神経成長因子(BDNF)、エ
リスロポエチン(Epo)、トロンボポエチン(Tpo)、成長ホルモンおよび
プロラクチンが挙げられるが、これらに限られるものではない。本発明に従って
特に好ましいサイトカインとしては、IFNα、IFNγ、IL−2、IL−3
、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−1
1、IL−12、IL−13、IL−15、G−CSF、GM−CSF、Epo
、Tpo、オンコスタチンM、G−CSF、LIF、EGF、PDGFおよびC
NTFが挙げられるが、これらに限られるものではない。
本発明の調節要素/オリゴヌクレオチド配列はまた、本発明の該調節要素/オ
リゴヌクレオチド配列に対する結合特異性を示す新たな転写調節タンパク質を検
出、単離および精製するうえで有用であることがわかるであろう。さらに、これ
ら調節要素/オリゴヌクレオチド配列は、新たなSTATタンパク質またはST
AT関連転写調節タンパク質を見いだすうえで有用であることもわかるであろう
。この点において、そのような新たな転写調節タンパク質の検出は以下の技術を
用いて行うことができる。HepG2などの細胞を適当なサイトカイン、たとえ
ばIFNγで15分間処理して1または2以上の転写調節タンパク質を活性化さ
せる。ついで、これら細胞の核および細胞質の抽出物を常法に従って調製し、レ
ビー、3Genes Dev.,1362およびケスラー、4Genes Dev.,1753に記
載されているように(その開示を参照のため本明細書中に引用する)、特異的な
結合をほとんどまたは全く示さないであろう未処理細胞と比較して、調節要素/
オリゴヌクレオチド配列への結合を電気泳動移動度シフトアッセイにより試験す
る。さらに、DNA調節要素結合活性はまた、細胞膜を添加した細胞質抽出物を
サイトカインなどのシグナル伝達分子で処理することによりインビトロで刺激す
ることもできる。
転写調節要素に特異的な抗体が利用できる場合には、活性化された調節タンパ
ク質への本発明の調節要素の結合を特異的に妨害させ、それによって転写調節タ
ンパク質の同定を補助するために該抗体を用いることができる。さらに、本発明
の調節要素/オリゴヌクレオチドを用いて同定または精製された未知の転写調節
タンパク質は、当該技術分野でよく知られた方法を用い、該転写調節タンパク質
に特異的な抗体を調製するために動物を免疫するのに用いることができる。たと
えば、ハーロウ(E.Harlow)ら、Antibodies:A Laboratory Manual,コー
ルドスプリングハーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、ニ
ューヨーク(1988)(その開示を参照のため本明細書中に引用する)を参照
。
それゆえ、本発明の調節要素/ヌクレオチド配列は、当該技術分野でよく知ら
れた種々の核酸検出系に使用するものと同様に「プローブ」として用いることが
できるが、本発明のプローブでは核酸配列ではなく、本発明の調節要素/オリゴ
ヌクレオチド配列に特異的に結合するタンパク質を検出するのに用いる点が異な
る。
そのような核酸検出アッセイの感度は、観察者によってシグナルが検出される
仕方を変えることによって増大させることができる。たとえば、アッセイ感度は
、酵素標識、放射性同位体標識、蛍光標識および修飾塩基を含む(これらに限ら
れるものではない)広範囲の種々の検出可能な標識を用いた標識オリゴヌクレオ
チド配列を用いることによって増大させることができる。たとえば、米国特許第
4,581,333号、同第4,358,535号、同第4,446,237号、同第
4,582,789号、および同第4,563,417号、並びにヨーロッパ特許出
願第EP144914号およびEP119448号(その開示を参照のため本明
細書中に引用する)を参照。それゆえ、本発明によるDNAプローブは、放射性
同位体、酵素、蛍光標識、化学標識または修飾塩基などの検出可能な標識で標識
した、調節要素を単独でまたは本発明の一層長いオリゴヌクレオチド配列の一部
として含むのが好ましい。
それゆえ、本発明は、試料中の新たな転写調節タンパク質の存在を検出する方
法を提供する。そのような試料としては、細胞、細胞培養上澄み液、細胞または
組織抽出物、またはその特定のフラクション、および血液、血清、尿、唾液など
の他の生物学的流体を含む(これらに限られるものではない)生物学試料が好ま
しい。本発明の調節要素/オリゴヌクレオチド配列の試料中の転写調節タンパク
質への結合は、当該技術分野で知られた適当な手段により検出することができる
。たとえば、直接または間接、または競合結合アッセイを用いることができる。
そのようなアッセイにおいて、ついで該標識プローブと試料中のタンパク質性物
質との会合を検出する。好ましい態様において、放射性標識したヌクレオチドを
導入することによりオリゴヌクレオチド配列を修飾する。
検出されたら、当該新たな転写調節タンパク質を当業者によく知られた種々の
技術によりプローブ−タンパク質複合体から分離、精製することができる。たと
えば、そのような単離および精製は、精製しようとするタンパク質と固定化リガ
ンドとの相互作用を利用したアフィニティークロマトグラフィーに基づいて行う
ことができる。本発明において、支持体上に固定化した本発明の調節要素および
/またはオリゴヌクレオチド配列は固定化リカンドとして働き、これを用いて新
たな転写調節タンパク質を試料から単離および精製することができる。
好ましい態様において、本発明の調節要素/オリゴヌクレオチド配列を固相支
持体または担体上に固定化させる。本明細書において「固相担体または支持体」
とは、本発明のオリゴヌクレオチド配列/DNA調節要素の結合を可能とするあ
らゆる支持体をいう。よく知られた支持体または担体としては、ガラス、ポリス
チレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミロース
、天然または修飾したセルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよびマグ
ネタイトが挙げられる。核酸を固相に結合させる方法、これら方法に有用な固相
物質、および結合リガンドからタンパク質を溶出する手段は当業者によく知られ
ている。
上記特定の方法に加え、アフィニティー分離するに先立って行う精製工程とし
て、硫酸アンモニウム沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲル濾過)、イオ
ン交換クロマトグラフィー、分別沈殿などの1または2以上の追加の方法が挙げ
られ、これらはすべて当該技術分離でよく知られている。疎水性相互作用クロマ
トグラフィー(HIC)として知られる方法もまた有用であり、これは溶質と疎
水性であるゲルとの相互作用に基づくものである。疎水性相互作用は高イオン強
度において最も強いため、この形態の分離法は塩沈殿またはイオン交換法の後に
行うのが都合がよい。HIC支持体からの溶出は、溶媒、pH、イオン強度を変
えることによって、またはカオトロープ剤またはエチレングリコールなどの有機
修飾剤を加えることによって行うことができる。HICの一般原理は、米国特許
第3,917,527号および同第4,000,098号に記載されている。HIC
を用いた特定のタンパク質の精製は、米国特許第4,332,717号、同第4,
771,128号、同第4,743,680号、同第4,894,439号、同第4,
908,434号および同第4,920,196号(その開示を参照のため本明細
書中に引用する)に記載されている。
本発明の調節要素/オリゴヌクレオチド配列は、プロモーターおよび異種遺伝
子に機能的に連結した調節要素/オリゴヌクレオチド配列を含む組換えDNA構
築物中に含まれていてよい。一般に、異種遺伝子としては、ルシフェラーゼの遺
伝子などのリポーター遺伝子が含まれる。この点において、本発明のリポーター
プラスミドなどの組換えDNA構築物は、当業者によく知られた通常の分子生物
学、微生物学、および組換えDNA法を用いて構築することができる。そのよう
な方法は、マニアチス(Maniatis)、フリッチュ(Fritsch)&サンブルック
(Sambrook)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(1982
);「DNA Cloning:A Practical Approach」Volumes IおよびII(グロ
バー(D.N.Glover)編、1985);「Oligonucleotide Synthesis」(ゲ
イト(M.J.Gait)編、1984);「Nucleic Acid Hybridization」[ヘ
イムズ(B.D.Hames)&ヒギンズ(S.J.Higgins)編、(1984)];「
Animal Cell Culture」[フレッシュネイ(R.J.Freshney)編、(198
6)];「Immobilized Cells and Enzymes」[IRLプレス(1986)]
およびパーバル(B.Perbal)、「A Practical Guide to Molecular Clon
ing」(1984)(その開示を参照のため本明細書中に引用する)を含む文献
に詳細に説明されている。
本発明によるDNA構築物において有用なプロモーターとしては、適当な宿主
細胞中にトランスフェクションされた場合に、本発明の調節要素と一緒になって
所望の異種遺伝子の転写を駆動させうるすべての原核細胞、真核細胞またはウイ
ルスプロモーターが挙げられる。適当な原核細胞プロモーターとしては、T4、
T3、Sp6およびT7ポリメラーゼによって認識されるプロモーター、バクテ
リオファージのPRおよびPLプロモーター、大腸菌の転写調節タンパク質、re
cA、熱ショック、およびlacZプロモーター、バシラス・サチリスの−アミ
ラーゼおよび−28−特異的プロモーター、バシラス属のバクテリオファージの
プロモーター、ストレプトマイセスプロモーター、バクテリオファージのint
プロモーター、pBR322のβ−ラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーターお
よびpPR325のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子の
CATプロモーターが挙げられるが、これらに限られるものではない。たとえば
、グリック(B.R.Glick)、J.Ind.Microbiol.,277〜282(1987
)
;セナチエンポ(Y.Cenatiempo)、68Biochimie、505〜516(198
6);ワトソン(J.D.Watson)ら、Molecular Biology of the Gene、第
4版、ベンジャミンカミンズ、メンロパーク、カリフォルニア(1987)およ
びゴッテスマン(S.Gottesman)、18Ann.Rev.Genet.,415〜442(
1984)(その開示を参照のため本明細書中に引用する)を参照。好ましい真
核細胞プロモーターとしては、酵母cyc−1プロモーター、マウスメタロチオ
ネインI遺伝子のプロモーター、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロ
モーター、SV40初期プロモーター、および酵母gal−4遺伝子プロモータ
ーが挙げられるが、これらに限られるものではない。グアランテ(Guarante)
ら、78Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2199〜2203(1981)、
ハマー(D.Hamer)ら、1J.Mol.Appl.Gen.273〜288(1982)、
マックナイト、31Cell、355〜365(1982)、ベノイスト(C.Ben
oist)ら、290Nature(ロンドン)、304〜310(1981)、ジョン
ストン(S.A.Johnston)ら、79Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、69
71〜6975(1982)およびシルバー(P.A.Silver)ら、81Proc. Natl.Acad.Sci.(USA)
、5951〜5955(1984)(その開示を
参照のため本明細書中に引用する)を参照。本発明によるDNA構築物では、単
純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターを用いるのが好ましい。
本発明の組換えDNAまたは構築物分子の第三の成員は、配列の如何にかかわ
らずヌクレオチドのセットからなる「異種遺伝子」である。そのような異種遺伝
子の例としては、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ、分泌型胎盤のアルカリ性ホスファターゼ、ヒト
成長ホルモン、tPA、緑蛍光タンパク質およびインターフェロンの構造遺伝子
が挙げられるが、これらに限られるものではない。本発明の構築物および方法に
使用可能な異種遺伝子の一層広範なリストを知りたければ、ボーデ(Beaudet)
、37Am.J.Hum.Gen.、386〜406(1985)を参照のこと。
異種遺伝子は、その生成物をプロモーターおよび本発明の調節要素/オリゴヌ
クレオチド配列による転写の調節を評価するのに用いるリポーター遺伝子を含む
のが好ましい。この「リポーター配列」の発現は、容易に検出可能なリポーター
産物(たとえば、タンパク質)の生成となる。リポーター配列は、当該技術分野
で知られた手段による同定または検出を可能とするかまたは容易とする物理的お
よび化学的特性を該リポーター分子が有するように選択するのが好ましいであろ
う。一つの態様において、リポーター分子の存在は、該リポーター分子に特異的
に結合しうる抗体または抗体断片を用いて検出されるであろう。他の態様におい
て、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどのリポーターを酵素的または免
疫学的にアッセイすることができる。
好ましいリポーター分子はLUCであり、当該技術分野でよく知られている。
たとえば、ドゥ−ウエット(J.R.De−Wet)ら、7Mol.Cell Biol.、72
5(1987)参照。このものは昆虫の遺伝子であるため哺乳動物細胞には存在
せず、該酵素産物を細胞抽出物中で直接アッセイすることができる。酵素活性の
レベルは生成した酵素の量に対応し、これが今度は発現レベルを明らかにする。
加えて、LUC mRNAはまた直接測定することもできる。
一般に、LUC遺伝子を含む本発明の組換えDNA分子を含有するプラスミド
を哺乳動物細胞中に導入し、ついで該細胞を集密的となるかまたは集密的に近く
なるまで増殖させる。この点において、適当なシグナル伝達分子に応答して1ま
たは2以上の転写調節タンパク質を活性化しうるあらゆる宿主細胞を、本発明の
DNA構築物でトランスフェクションすることができる。そのようなサイトカイ
ン応答性の宿主細胞としては、HepG2細胞、U937細胞、ME−180細
胞、TF−1細胞およびNFS−60細胞などの哺乳動物細胞が好ましい。
リポーター細胞を、転写調節タンパク質を誘発もしくは活性化しうるシグナル
伝達分子を含有していると思われる化合物または試料、たとえば細胞と接触させ
ることによって該細胞から分泌または放出されたシグナル伝達分泌を含有する増
殖培地の試料で処理する。LUC−産生リポーター細胞を抽出し、得られた可溶
性抽出物にルシフェリンおよびATPを加える。これら化合物の存在下でルシフ
ェラーゼの作用が光を発生し、これをルミノメーターで検出する。発生した光の
量は、細胞抽出物中に存在するルシフェラーゼの量に正比例する。
宿主細胞中にトランスフェクションした適当なDNA構築物を用いることによ
り、本発明は所望の遺伝子の制御された発現方法を提供する。それゆえ、トラン
スフェクションした宿主細胞にサイトカインなどのシグナル伝達分子を適用する
ことにより、当業者によく知られた種々の細胞培養法および発酵法によって異種
遺伝子の発現を駆動させ、ヒト成長ホルモンなどの所望の生成物を定められた量
で産生させることができる。
別法として、DNA構築物にルシフェラーゼ遺伝子などのリポーター遺伝子が
含まれている場合には、宿主細胞中への該DNA構築物のトランスフェクション
により、シグナル伝達分子、たとえばサイトカインや、細胞と接触させることに
より該細胞によって分泌または放出されたシグナル伝達分子を含むようになった
増殖培地の試料に応答して、リポーター産物の転写活性を測定する都合のよい手
段が得られる。
重要なことに、アッセイした転写調節タンパク質によってLUCの転写が活性
化される場合には、転写調節タンパク質を欠くコントロールに比べてLUCの合
成が増大する。それゆえ、生成したLUC酵素の量は、本発明の調節要素/オリ
ゴヌクレオチド配列(LUC遺伝子に機能的に連結している)に結合した活性化
された転写調節タンパク質によって誘発された転写の間接的な測定手段である。
HepG2細胞などの好ましい宿主細胞を本発明によるリポーターDNA構築
物でトランスフェクションした場合、これを、活性化された転写調節タンパク質
により遺伝子転写を誘発するシグナル伝達分子のアゴニストまたはアンタゴニス
トを検出するためのアッセイにおいて利用することができる。本明細書において
遺伝子転写のアゴニストまたはアンタゴニストとしては、シグナル伝達経路のい
ずれかの点において、1または2以上の転写調節タンパク質の活性化および該活
性化タンパク質のDNA調節要素への結合によるシグナル伝達分子と細胞表面レ
セプターとの相互作用に介在する化合物が含まれる(その最終結果は遺伝子転写
の制御である)。さらに、本明細書において遺伝子転写のアゴニストまたはアン
タゴニストにはまた、そのようなアゴニストまたはアンタゴニスト特性を有する
公知化合物の増強剤も含まれる。アゴニストの検出は、トランスフェクションし
た宿主細胞を化合物または化合物の混合物と接触させ、所定の期間の後、処理細
胞内での遺伝子発現のレベル(たとえば、生成したルシフェラーゼのレベル)を
測定することにより行うことができる。ついで、この発現レベルを、該化合物ま
たは該化合物の混合物の不在下での該リポーター遺伝子の発現レベルと比較する
。これら遺伝子発現のレベルに差異が存在するなら、それは、該化合物または該
化合物の混合物が細胞内転写調節タンパク質の活性化をサイトカインなどの公知
のアゴニストシグナル伝達分子と同様の仕方でアゴナイズする(agonize)かど
うかを示すものである。さらに、処理細胞および未処理細胞で発現されたリポー
ター産物のレベル間の大きさは、転写調節タンパク質経路による遺伝子転写のア
ゴニストとしての化合物または化合物の混合物の強度の相対的指標を提供する。
別法として、そのようなトランスフェクションした宿主細胞は、本発明のDN
A構築物でトランスフェクションした宿主細胞を利用した遺伝子転写の公知のア
ゴニスト(たとえば、IL−4などのサイトカイン)に対するアンタゴニストを
見いだすために用いることができる。そのようなアッセイにおいて、所望の化合
物または化合物の混合物を、所定の濃度に保持した1または2以上の公知のアゴ
ニスト(たとえば、サイトカイン)とともに宿主細胞と接触させる。該化合物ま
たは該化合物の混合物が宿主細胞中での遺伝子発現のレベルを、該化合物の不在
下だが該公知アゴニストの存在下で宿主細胞から得られた遺伝子発現のレベルよ
りも低いレベルに抑制する程度は、そのような化合物または化合物の混合物のア
ンタゴニスト特性の相対的強度の指標を与える。
それゆえ、本発明は、適当なDNA構築物およびトランスフェクションした宿
主細胞において本発明の調節要素/オリゴヌクレオチドを利用した、遺伝子転写
のアゴニストおよびアンタゴニストのアッセイ法を提供する。さらに、これら方
法を利用して見いだされたアゴニストおよびアンタゴニスト化合物は、種々のサ
イトカインによって誘発された疾患状態および条件に介入するため、またはサイ
トカインの不足によって引き起こされる疾患状態、たとえば炎症、感染、貧血、
血球減少症および癌性または前癌性状態を改善するための医薬として用いること
ができる。
つぎに、本発明を下記実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこ
れらに限られるものではない。
実施例1
試薬
オリゴヌクレオチドをオペロンテクノロジース(Operon Technologies)[ア
ラメダ(Alameda),カリフォルニア州]から入手した。IFNγは、J.E.ダー
ネル(Darnell)博士[ロックフェラー大学,ニューヨーク,ニューヨーク州:ジ
ェンザイム(Genzyme),ケンブリッジ,マサチューセッツ州から市販されている
]の贈物であった。組換えヒトIL−6、GM−CSF、オンコスタチン M、
IL−3およびIL−4をR&Dシステムズ(Systems)[ミネアポリス,ミネソ
タ州]から入手した。組換えIL−13をバイオソース(Biosource)[カマリロ
(Camarillo),カリフォルニア州]から入手した。組換えIL−2をカイロン(
Chiron)[エマリービル(Emeryville),カリフォルニア州]から入手した。組
換えヒトEpoおよびG−CSFは、アムゲン社(Amgen,Inc.)[サウザンドオー
クス(Thousand Oaks),カリフォルニア州]の製品であった。プロテアーゼ阻
害剤およびポリd(I−C)ポリd(I−C)は、ベーリンガーマンハイム(Boehring
er Mannheim)[インディアナポリス(Indianapolis),インディアナ州]の製品
であった。
細胞および細胞培養
HepG2細胞をATCC[ロックビル(Rockville),メリーランド州]から入
手して、ウシ胎児血清(10%v/v)、グルタミン(2mM)および硫酸ゲンタマ
イシン(50μg/ml、バイオウィットテイカー(Bio Whittaker))を補ったイー
グルの最少必須培地[EMEM,バイオウィットテイカー,ウォーカーズビル(Wa
lkersville),メリーランド州]中で増殖させた。U−937細胞をJ.E.ダー
ネル(Darnell)博士から入手して(ATCCから市販されている)、ウシ胎児血清
(10%v/v)、グルタミン(2mM)および硫酸ゲンタマイシン(50μg/ml)を
補ったRPMI−1640[バイオウィットテイカー]中で増殖させた。ME−
180細胞をATCCから入手して、ウシ胎児血清(10%v/v)、グルタミン
(2mM)および硫酸ゲンタマイシン(50μg/ml)を補ったMcCoy's5A[ジ
ブコ(Gibco)/BRL,ゲイザーズブルグ(Gaithersburg),メリーランド]中で
増殖させた。CTLL−2およびTF−1細胞をATCCから入手して、ウシ胎
児血清(10%v/v)、グルタミン(2mM)、硫酸ゲンタマイシン(50μg/ml)
、およびIL−2(CTLL−2,200U/ml)またはGM−CSF(TF−1
,5ng/ml)を補ったRPMI−1640[バイオウィットテイカー]中で増殖
させた。IL−3依存性NFS−60細胞をJ.N.イール(Ihle)博士[セイン
ト・ジューデ小児研究病院(St.Jude Children's Research Hospital),メ
ンフィス(Memphis),テネシー州]から入手して、ウシ胎児血清(10%v/v)
、グルタミン(2mM)、硫酸ゲンタマイシン(50μg/ml)、および10%WEH
I−3B−ならし増殖培地(IL−3を与えるため)を補ったRPMI−1640
中で保存した。培養基からWEHI−3Bならし培地を回収することにより、因
子依存性NFS−60細胞を選抜した。細胞は約2週間で新しい増殖条件に適合
して、親のNFS−60細胞と同様に増殖した。集密度が50〜75%の時点で
HepG2およびME−180細胞を、密度が2×105〜1×106/mlの時点で
U−937、CTLL−2、TF−1およびNFS−60細胞をサイトカインで
処理した。サイトカインを以下の濃度で使用した。IFNγ,5ng/ml、IL−
4,10〜30ng/ml、IL−6,10ng/ml、GM−CSF,5ng/ml、Epo
,4〜6U/ml、IL−2,200U/ml、IL−3,20ng/ml、IL−13
,60ng/ml、およびG−CSF,20ng/ml。
核抽出物の調製および電気泳動移動度シフトアッセイ
H.B.サドウスキー(Sadowski)およびM.Z.ジルマン(Gilman),362ネイ チャー
(Nature),79(1993)[この開示は引用により本明細書に包含さ
れる]で記載されているNP40溶菌により、核抽出物を調製した。ブラッドフ
ォード染料(Bradforddye)結合アッセイ[バイオ−ラッド研究所(Bio−Rad L
aboratories),ヘラクレス(Hercules),カリフォルニア州]を利用して、タン
パク質濃度を測定した。未処理のHepG2細胞、IFNγで15分間処理したH
epG2細胞、IL−6で15分間処理したHepG2細胞、未処理のU−937
細胞、GM−CSFまたはIL−4で30分間処理したU−937細胞、IL−
2を18時間欠乏させておいた後、未処理のままにしておくか、またはIL−2
で30分間処理したCTLL−2細胞、GM−CSFを18時間欠乏させておい
た後、未処理のままにしておくか、またはEpo、IL−3もしくはGM−CSF
で30分間処理したTF−1細胞、未処理のままにしておくか、またはIL−4
もしくはIL−13で30分間処理したME−180細胞、およびIL−3を1
6〜18時間欠乏させておいた後、未処理のままにしておくか、またはG−CS
F、IL−3もしくはIL−6で10分間処理したNFS−60細胞のいずれか
より、核抽出物を調製した。以下の配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリ
ングすることにより、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSAs)で使用する二
本鎖プローブオリゴヌクレオチドを形成させた。
配列中、肉太型活字で示したヌクレオチド配列は、それらの二本鎖相補鎖を含め
、本発明の調節要素としての活性に関して試験するヌクレオチド配列に対応する
。
[α−32P]−dGTPおよび/または[α−32P]−dATP[アメルシャム社(
Amersham Corporation),アーリントンハイツ(Arlington Heights),イリノ
イ州]の存在下、突出している端をクレノウフラグメント[ベーリンガーマンハ
イム]で閉じ込めることにより、アニーリングしたオリゴヌクレオチドを標識し
た。電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSAs)は、塩化ナトリウム(80mM)
、フッ化ナトリウム(3mM)、モリブデン酸ナトリウム(3mM)、DTT(1mM)
、EDTA(0.15mM)、EGTA(0.15mM)、グリセロール(8%v/v,
核抽出から得られる寄与物を含む)、ポリd(I−C)ポリd(I−C)(75μg/ml)
、放射性標識プローブ(約0.2ng)および合計5〜10μgのタンパク質を含有す
る核抽出物を含むHEPES緩衝液[13mM,pH7.6,シグマケミカル(Sig
ma Chemical),セントルイス,ミズーリ州]中で行った。応答物を室温で20
分間インキュベートした後、0.25X TBE[1X TBEは、EDTA(1m
M)を含むトリスボレート(89mM),pH8.0である]およびグリセロール(5
%v/v)を含む5%ポリアクリルアミドゲル上に溶解した。0.25X TBE
中、20V/cmの割合でゲルを4℃で流動させた後、乾燥して、オートラジオグ
ラフィーにかけた。
オリゴヌクレオチド配列番号54〜105に関するEMSAの結果から測定さ
れる比結合親和性を目視により評価して、以下の段階に分類した。
(−) かろうじて認められる、または認められない、EMSAオートラジオグ
ラム上の特異的複合体に対応するバンド[例えば、第2C図,第2および第3レ
ーンを参照]。
(+) 容易に認められるが強度の弱い、EMSAオートラジオグラム上の特異的
複合体に対応するバンド[例えば、第2A図,第3レーンを参照]。
(++) 容易に認められて並の強度の、EMSAオートラジオグラム上の特異的複
合体に対応するバンド[例えば、第2B図,第5レーンを参照]。
(+++) 容易に認められて強度の強い、EMSAオートラジオグラム上の特異的複
合体に対応するバンド[例えば、第2C図,第6レーンを参照]。
この目視評価システムは、具体的な数値とは全く違ったものとして、EMSA
結合データで識別可能な相違や傾向を分析するのに十分である。所望ならば、蛍
りん光体イメージャー(imager)またはデンシトメーター[例えば、バイオ−ラッ
ド研究所から市販されている]の使用により、本明細書で記載する相違を定量的
に評価するための方法を提供することができる。オリゴヌクレオチド配列番号5
4〜105の調節要素に関する結合親和性の具体的目視評価を以下の表1〜6で
示す(表中、スペーシングヌクレオチドを肉太型活字で強調する)。
表1〜6中のデータを評価する際、IL−6がHepG2細胞において3つの特
異的DNA結合複合体を誘発することを認識すべきである[P.ラム(Lamb)ら,
83ブロッド(Blood)2063(1994)]。従って、「IL−6」と記し
た欄に関して、評価する複合体は、EMSAにおいてIL−6により誘発される
、最も緩慢に移動する複合体、すなわちSTAT3ホモダイマーである[Z.ゾ
ング(Zhong)ら,264サイエンス(Science)95]ことから、IFNγ複合体
に関して評価される、STAT1αを含む複合体を反映するものではない。さら
に、表1〜6中に含まれる結果を解析する場合、具体的な数値とは全く違ったも
のとして、傾向に関してデータを分析すべきである。このことは、EMSAアッ
セイにおいて繊細な感受性が本質的に欠けていることによる。こういった変化性
は、少なくとも幾らかが、使用する核抽出物の量における相違、セルラインの相
違、およびタンパク質濃度測定における変化性から生ずる。
表1〜6中に要約した結合データは、驚いたことに、応答性宿主細胞をIFN
γ、IL−6、GM−CSFおよびIL−4で処理することにより活性化された
活性化転写調節タンパク質に対して、パリンドローム要素(TT−スペース−A
A)間に異なったヌクレオチドスペーシングを含んでなるDNA調節要素配列が
様々な親和性を有することを示す。具体的には、4つの塩基対スペーシングが、
IL−6、すなわちSTAT3により誘発される活性化転写調節タンパク質複合
体への結合において著しい選択性を示す。さらにこのことは、オンコスタチンM
、LIF、EGF、PDGF、G−CSF、IL−10、IL−11およびCN
TFといったような、STAT3を活性化する他のシグナル伝達分子に当てはま
る。5つの塩基対スペーシングは、活性化転写調節タンパク質複合体に対してほ
とんど選択性を示さないが、試験したサイトカイン誘発複合体の全てに対して、
ほとんどの場合、親和性を示すことに注目すべきである。6つの塩基対スペーシ
ングは、著しい選択性を再び示すが、この場合、その結合はIL−4により誘発
される活性化転写調節タンパク質複合体(すなわちSTAT5および/またはS
TAT6)に対するものである。該結合データはさらに、スペーシングヌクレオ
チドの厳密な同一性もまた結合親和性に幾らか影響を及ぼす、すなわちチミンお
よびデオキシアデノシンに富むスペーシングヌクレオチド(配列番号90〜10
5)がSTAT1αおよびSTAT3結合を疎んずることを示す[表4〜6]。
従って、STAT1αまたはSTAT3を含むものに関し、チミンおよびデオキ
シアデノシンに富む5つの塩基対スペーサーを有する要素は、GM−CSFおよ
びIL−4(すなわちSTAT5および/またはSTAT6)により活性化された
STAT複合体に対して選択的であった。
試験するオリゴヌクレオチドに関して、CTLL−2細胞におけるIL−2、
TF−1細胞におけるEpo、およびNFS−60細胞におけるIL−3により活
性化されたSTAT複合体のスペーシング優先性(preference)は、U−937細
胞においてGM−CSFにより活性化された複合体に関するものと同じである。
このことは、IL−2、GM−CSF、EpoおよびIL−3が全て、同じSTA
Tタンパク質であるSTAT5を活性化することが報告されたという事実と一致
している。ME−180細胞においてIL−13により活性化されたSTAT複
合体に関するスペーシング優先性は、U−937およびME−180細胞におい
てIL−4により活性化されたSTAT複合体に関するものと同じであって、I
L−4およびIL−13の両方が同じSTATタンパク質であるSTAT6を活
性化するという可能性によるものである。
NFS−60細胞において、G−CSFにより活性化された2つのSTAT複
合体は、EMSAにおけるそれらの異なった移動度により区別された。より緩慢
に移動する複合体は、IL−6により刺激されたSTAT3ホモダイマーと共に
移動し、また特異的STAT3抗血清を用いる抗体スーパーシフト実験によりS
TAT3を含むことが示された。より迅速に移動する複合体は、IL−3および
GM−CSFにより活性化されたSTAT複合体のように移動する未確認のST
AT複合体を含んでいた。結合実験では、試験するオリゴヌクレオチドに関して
、G−CSFにより活性化されたSTAT3様複合体は、IL−6により誘発さ
れるSTAT3ホモダイマーとは区別できないスペーシング優先性を有する。同
様に、G−CSFおよびIL−3により活性化されたSTAT複合体と共に移動
する、G−CSFにより活性化されたSTAT複合体は、同様に対応するスペー
シ
ング優先性を有していた。
調節要素である配列番号106、108および110に関するテータは、表1
〜6に示していない。配列番号106は、5つの塩基対スペーシングを有する調
節要素であって、IFNγ(+++)、IL−6(+++)、GM−CSF(+++)およびI
L−4(+++)により活性化されたSTAT複合体へ結合する。配列番号108は
、5つの塩基対スペーシングを有する調節要素であって、IFNγ(+++)、IL
−6(+)、GM−CSF(+++)およびIL−4(++)により活性化されたSTAT
複合体へ結合する。配列番号110は、6つの塩基対スペーシングを有する調節
要素であって、IL−4(+++)により活性化されたSTAT複合体へ選択的に結
合するが、IFNγ、IL−6またはGM−CSFにより活性化されたSTAT
複合体へは選択的に結合しない。従って、インビトロにおける結合に関して試験
する場合、配列番号106、108および110はまた、上記スペーシングパタ
ーンに一致する。
このヌクレオチドスペーシング効果の具体例は、第2A〜2D図のEMSAオ
ートラジオグラムに関して見ることができる。パネル2Aでは、配列番号66お
よび67のオリゴヌクレオチドをアニーリングすることにより製造した、放射性
標識した二本鎖オリゴヌクレオチドプローブ(4つの塩基対スペーサーに対応す
る)を使用した。「UN」と記されたレーンは、未処理の細胞から得られた抽出
物を用いる実験を表す。他のレーンは、誘発するサイトカインにより記される。
活性化複合体は、未処理の抽出物中にはそれらが存在しなくて、サイトカインに
より処理された抽出物にはそれらが存在することにより確認することができる。
この4つのスペーサープローブへ結合する唯一の活性化転写調節タンパク質複合
体は、IL−6により誘発される抽出物に対応するレーン3で見ることができる
(STAT3ホモダイマーとして第2A図で確認される)。
パネル2Bでは、配列番号76および77のオリゴヌクレオチドをアニーリン
グすることにより製造した、放射性標識した二本鎖オリゴヌクレオチドプローブ
(5つの塩基対スペーサーに対応する)を使用した。「UN」と記されたレーンは
、未処理の細胞から得られた抽出物を用いる実験を表す。他のレーンは、誘発す
る
サイトカインにより記される。このパネルでは、IFNγ、IL−6、GM−C
SFおよびIL−4が全て、このプローブが結合した転写調節タンパク質複合体
を活性化することを示す。これらの活性化複合体は、レーン2、3、5および6
で見ることができ、また様々な複合体が第2B図で確認される。
パネル2Cでは、配列番号78および79のオリゴヌクレオチドをアニーリン
グすることにより製造した、放射性標識した二本鎖オリゴヌクレオチドプローブ
(6つの塩基対スペーサーに対応する)を使用した。「UN」と記されたレーンは
、未処理の細胞から得られた抽出物を用いる実験を表す。他のレーンは、誘発す
るサイトカインにより記される。この6つのスペーサープローブへ結合する唯一
の活性化転写調節タンパク質複合体は、レーン6、すなわちIL−4により誘発
される抽出物で見ることができる(第2C図で確認される)。
パネル2Dでは、配列番号80および81のオリゴヌクレオチドをアニーリン
グすることにより製造した、放射性標識した二本鎖オリゴヌクレオチドプローブ
(7つの塩基対スペーサーに対応する)を使用した。「UN」と記されたレーンは
、未処理の細胞から得られた抽出物を用いる実験を表す。他のレーンは、誘発す
るサイトカインにより記される。構成的に結合する唯一の複合体(第2D図に記
される)は、この7つのスペーサープローブを用いて検出することができる。サ
イトカインにより活性化される転写調節タンパク質複合体は全く見られない。
一過性トランスフェクションアッセイ
リポータープラスミド配列番号56x4TK−LUC、配列番号68x4TK
−LUC、配列番号106x4TK−LUC、配列番号70x4TK−LUC、
配列番号108x6TK−LUC、および配列番号110x4TK−LUCは、
キャップ部分に関して、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子のプロモ
ーターに35位で結合した配列番号を示しているオリゴヌクレオチド配列の4つ
のコピー(または配列番号108x6TK−LUCに対する6つのコピー)を含む
[第1図参照]。対照リポーターであるTK−LUC[P.ラムら,8ブロッド
2063(1994)][この開示は引用により本明細書に包含される]は、
調節要素を全く含まない親ベクターである。これらのキメラプロモーターは、ホ
タルのルシフェラーゼの構造遺伝子の発現を起こす。
リン酸カルシウムと共沈させることにより、HepG2およびME−180細胞
を上記リポータープラスミドでトランスフェクションした。トランスフェクショ
ンする前日に細胞を1〜4X105/mlの割合で播種した。上記リポータープラ
スミド(10〜20μg/ml)およびβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミドpCH1
10(5μg/ml)[ファーマシア・バイオテック(Pharmacia Biotech),ピスカ
タウェイ(Piscataway),ニュージャージー州から市販されている]を含むリン
酸カルシウム沈殿に細胞を6時間(HepG2)または12時間(ME−180)さら
した。次いで、培地を変えて、細胞を16〜18時間回復した。次いで、組換え
サイトカインをあらかじめ希釈しておいた増殖培地に加えて、5時間(HepG2)
または6時間(ME−180)後に細胞を収集した。細胞を溶菌し、標準法を用い
てルシフェラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した[例えば、J.R.
デ・ウェット(De Wet)ら,7 モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジ ー
(Mol.Cell.Biol.)725(1987)およびサンブルック(Sambrook)ら,モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル
(Molecular Clo ning:A Laboratory Manual
)第2版,コールド・スプリング・ハーバー研究
所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press),コールド・スプリング・
ハーバー,ニョーヨーク州(1989)を参照][この開示は引用により本明細
書に包含される]。各々の試料に関して、標準化応答は、発色基質を用いて測定
された同じ溶解産物におけるβ−ガラクトシダーゼ活性でルシフェラーゼアッセ
イから得られた光単位(light units)を割ることにより測定した。これらのトラ
ンスフェクションの結果を表7〜8に示す。与えられた数字は、平均誘発倍数で
ある(「誘発倍数」とは、未処理の試料における標準化応答で割った、サイトカ
インにより処理された試料における標準化応答として定義される)。
J.スゾウ(Suzow)およびA.D.フリードマン(Friedman),13モレキュラー ・アンド・セルラー・バイオロジー
,2141(1993)[この開示は引用に
より本明細書に包含される]により記載されているDEAE−デキストラン法
によって、TF−1細胞を上記リポータープラスミドでトランスフェクトしたが
、以下の点を変更した:トランスフェクションの間、試験リポーター構築物を3
μg/mlの濃度まで加え、pMSVCATベクターはトランスフェクション混合物
に加えず、使用する増殖培地はTF−1細胞に関して上記したものであって、サ
イトカイン導入を4〜5時間行った。細胞を溶菌し、標準法を用いてルシフェラ
ーゼ活性を測定した。トランスフェクションをバッチ中で行った後、同数のトラ
ンスフェクトした細胞を4〜5時間の誘発期間にサイトカインで別々に誘発させ
た。与えられた数字は、平均誘発倍数である(TF−1トランスフェクションに
関する「誘発倍数」とは、未処理の試料におけるルシフェラーゼ応答で割った、
サイトカインにより処理された試料におけるルシフェラーゼ応答として定義され
る)。これらのトランスフェクションの結果を表9に示す。
前述のパラグラフで記載したDEAE−デキストラン法によって、NFS−6
0細胞を上記リポータープラスミドでトランスフェクトしたが、以下の点を変更
した:トランスフェクションの間、試験リポーター構築物を6μg/mlの濃度ま
で加えて、サイトカイン導入を2.5時間行った。これらのトランスフェクショ
ンの結果を表10に示す。
表7〜10のデータを算出するのに使用されるTK−LUCリポーター構築物
中に導入した調節要素の1つ(配列番号106)は、IFNγにより調節されるこ
とが報告された遺伝子であるヒトIRF−1遺伝子のプロモーターから取られた
ものであり、また本発明の教示から考えて、表1〜6における5つの塩基対合成
スペーシング要素に対する自然相対物と考えることができる。表7〜9のデータ
を算出するのに使用されるTK−LUCリポーター構築物中に導入した調節要素
の1つ(配列番号108)は、ヒトFcεRllb遺伝子のプロモーターから取られた
ものであり、また本発明の教示から考えて、表1〜6における5つの塩基対合成
スペーシング要素に対する自然相対物と考えることができる。表7〜10のデー
タを算出するのに使用されるTK−LUCリポーター構築物中に導入した調節要
素の1つ(配列番号110)は、IL−4により調節されることが報告された遺伝
子であるヒトCε遺伝子のプロモーターから取られたものであり、また本発明の
教示から考えて、表1〜6における6つの塩基対合成スペーシング要素に対する
自然の相対物と考えることができる。
表7では、表1〜6に示すIFNγおよびIL−6により活性化された転写調
節タンバク質複合体に関する結合データが転写の選択的活性化と関連があること
を示す。従って、4つのヌクレオチドスペーシング調節要素は、IL−6により
誘発される活性化転写調節タンパク質複合体を選択的に結合するだけでなく、リ
ポーター遺伝子の上流に機能的プロモーターを置いた場合には、リポーター遺伝
子転写を選択的に活性化する。STAT3を活性化する他のシグナル伝達分子と
同様に、オンコスタチン Mもまた、STAT3を活性化することから、4つの
スペーシングを有するパリンドローム要素(配列番号56)からの転写もまた刺
激する。5つのヌクレオチドスペーシング要素(配列番号68および106)は
、IFNγおよびIL−6により誘発される転写調節タンパク質複合体の両方に
結合し、また同様に、必要なリポーター構築物中に置いた場合もまた、IFNγ
、IL−6およびオンコスタチン Mに対する応答性を与える。6つのヌクレオ
チドスペーシング要素(配列番号70および110)は、IFNγおよびIL−6
により誘発される転写調節タンパク質複合体の両方に弱く結合し、また同様に、
IFNγに対するリポーター構築物に関して応答性を与えず、またIL−6およ
びオンコスタチン Mに対するリポーター構築物に関してずっと低い応答性を与
える。従って、パリンドローム要素の結合選択性は、本発明の調節要素の転写活
性化の可能性と直接関連がある。
ME−180細胞におけるリポーター構築物に関するトランスフェクション結
果を表8に示す。4つの塩基対スペーシングを有する要素(配列番号56)は、S
TAT3の活性化物質であるIL−6およびOSMによる転写誘発を再び選択的
に媒介した。5つの塩基対スペーシング要素(配列番号68、106および10
8)を含むリポーターは、再びIFNγ、IL−6、およびOSMに対して応答
した。しかし、それらはIL−4により活性化されたSTAT複合体には結合し
たが、IL−4に対しては応答しなかった。6つの塩基対合成スペーシング要素
(配列番号70)を含むリポーターは、(IL−4により活性化されたSTATに
は結合したが)試験したサイトカインのいずれに対しても応答しなかったが、6
つの塩基対スペーシングを有する天然のCε要素(配列番号110)は、IL−4
による強くて非常に選択的な転写誘発を媒介したことから、インビトロにおける
結合データと一致している機能的活性化部分である。
TF−1細胞におけるリポーター構築物に関するトランスフェクション結果を
表9に示す。その結果は、上記のインビトロにおける結合データと実質的に一致
する。従って、4つの塩基対スペーシングを有する要素(配列番号56)は、IL
−4、Epo、IL−3およびGM−CSFに対して非応答性であったがIL−6
に対しては応答する一方、5つの塩基対スペーシング要素(配列番号68、10
6および108)を含むリポーターは、IL−6、Epo、IL−3およびGM−
CSFに対して応答するがIL−4に対しては応答しなかった。従って、天然の
6つの塩基対スペーシング要素(配列番号110)を含むリポーターは、IL−4
に対して応答するがIL−6、Epo、IL−3またはGM−CSFに対しては応
答しなかった。
NFS−60細胞において試験したリポーター構築物に関するトランスフェク
ション結果を表10に示す。その結果は、上記のインビトロにおける結合データ
と実質的に一致する。従って、4つの塩基対スペーシングを有する要素(配列番
号56)は、IL−6およびGM−CSFの両方(これらは両方ともSTAT3を
活性化する)に対する応答を媒介する一方、5つの塩基対スペーシング要素(配列
番号68および108)を有するリポーターは、G−CSFにより活性化される
両方のSTAT複合体に結合し、IL−3、IL−6およびG−CSFに対する
応答を媒介した。従って、天然の6つの塩基対スペーシング要素(配列番号11
0)を含むリポーターは、IL−3またはG−CSFに対して応答しなかった。
実施例2
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSAs)に用いる二本鎖プローブオリゴ
ヌクレオチドを下記配列のオリゴヌクレオチドのアニーリングによって形成した
こと以外は実施例1の記載に従い、試薬、細胞、細胞培養物、核抽出物の製造お
よび電気泳動移動度シフトアッセイを行った。
ここで、太字で示されるヌクレオチド配列は、本発明の調節要素として活性を試
験されるヌクレオチト配列(その二本鎖相補鎖を含む)に対応する。
オリゴヌクレオチト配列番号112〜135のEMSAの結果から決定される
、相対的結合親和性を、視覚的に評価し、実施例1の記載と同様の視覚評価スケ
ールに従って評定した。
特定の数値で表現しなくとも、EMSA結合データにおける区別しうる差異お
よび傾向を分析するには、この視覚評価システムで充分である。要すれば、燐光
造影剤またはデンシトメーター(バイオ−ラド・ラボラトリーズなどから市販さ
れている)を用い、ここに記載した差異を定量的に評価分析することもできる。
オリゴヌクレオチド配列番号112〜135の調節要素に対する結合親和性の特
異的視覚評価を下記の表11〜13に示す(これらの表中、太字はスペーシング
ヌクレオチドを表す)。
表11〜13のデータを評価するに当たり、IL−6がHepG2細胞におい
て3つの特異的DNA結合複合体を誘発することを承知しておくべきである[ラ
ム(P.Lamb)らの「Blood」,8,2063(1994年)]。したがって、IL−
6の欄については、評価される複合体は、EMSAにおいて最も遅く移動するI
L−6誘発複合体、すなわちSTAT3ホモダイマーであり[ゾング(Z.Zhong)
らの「Sciense」,264,95]、したがってSTAT1を含む複合体を反映し
ているものではない。STAT1はIFNγ複合体に対して評価されるものであ
る。さらに、表11〜13の結果を解釈する場合、データは、特定の数値として
ではなく、その傾向について分析されるべきである。これは、EMSAアッセイ
の感度が、本来さほど鋭敏なものではないからである。この変動は、少なくとも
部分的には、使用した核抽出物の質の差異、細胞系の違い、およびタンパク質濃
度の測定における変動を原因として生じるものである。表11〜13に示される
、オリゴヌクレオチドに対するSTAT複合体の結合親和性は通常、実施例1に
記載の系列よりも低い(およそ10倍かそれ以上)。
驚くべきことに、表11〜13に要約された結合データから、回文要素(TT
−スペーシング配列−AA)の間に異なるヌクレオチドスペーシング配列を含む
DNA調節要素配列が、応答性の細胞をIFNγ,IL−6,GM−CSFおよ
びIL−4で処理することによって活性化された活性化転写調節タンパク質に対
して異なる親和性をもつということが示される。ひとつまたは両方のコアハーフ
サイトがTTAであるスペーシング要素については、いくつかのSTAT複合体
のスペーシング優先性が、実施例1に記載の複合体のものとは微細に異なってい
る。実施例1で示したデータとも一致するが、4塩基対のスペーシングは、ST
AT3含有複合体(IL−6活性化)が選択的に結合するという一例(表13)
以外は、一般にどの複合体とも結合しなかった。STAT1およびSTAT3含
有複合体(IFNγまたはIL−6によって活性化)は、各系列中の5塩基対ス
ペーシングに結合した。TTAコアハーフサイト含有要素のこれらの系列につい
ては、GM−CSFによって活性化されたSTAT複合体の結合優先性は、6塩
基対スペーシングである(実施例1に示すような5塩基対スペーシングではなく
て)。IL−4活性化STAT複合体もまた、これらの6塩基対スペーシング要
素に結合することができるが、7塩基対スペーシングはIL−4活性化STAT
複合体に選択的に結合する。したがって、STAT1およびSTAT3含有複合
体とは異なって、ひとつまたは両方のコアハーフサイトが5'−TTA−3'であ
る場合、GM−CSFおよびIL−4活性化STAT複合体に対するスペーシン
グ優先性はひとつのオリゴヌクレオチドによって拡張される。スペーシング優先
性におけるこのシフトは、5塩基対のスペーシングをもつ実施例2の調節要素を
、GM−CSFまたはIL−4によって活性化されたSTAT複合体のうち、S
TAT1および/またはSTAT3に対して選択性があるようにする。したがっ
て、内部ヌクレオチドの性質は、所定のSTAT複合体(表4〜6および11〜
13)の絶対的結合親和性ばかりでなく、種々のSTAT複合体(表11〜13
)のスペーシング優先性にも影響を与えることができる。
試験したこのようなオリゴヌクレオチドについては、CTLL−2細胞におい
てIL−2によって活性化されたSTAT複合体に対するスペーシング優先性は
、U937細胞においてGM−CSFによって活性化された複合体に対するもの
と同様である。これは、IL−2およびGM−CSFが同じSTATタンパク質
、STAT5を活性化するという事実と一致する。ME−180細胞においてI
L−3によって活性化されたSTAT複合体に対するスペーシング優先性は、U
−937およびME−180細胞においてIL−4によって活性化されたSTA
T複合体に対するものと同様であったが、これはIL−4およびIL−3の両方
が同じSTATタンパク質、STAT6を活性化するという可能性によるもので
ある。
NFS−60細胞において、G−CSFは、EMSAにおける移動度が異なる
ことから区別しうる2つのSTAT複合体を活性化した。遅移動複合体は、IL
−6によって刺激されたSTAT3ホモダイマーと共に移動し、特異的STAT
3抗血清を用いる抗体スーパーシフト試験によってSTAT3を含有することが
示された。速移動複合体は、GM−CSFによって活性化されたSTAT複合体
のように移動する未同定のSTAT複合体を含有していた。結合試験では、試験
したオリゴヌクレオチド系列については、G−CSF活性化STAT3様複合体
が、IL−6によって誘発されたSTAT3ホモダイマーと区別できないスペー
シング優先性を有していた。同様に、GM−CSF活性化STAT複合体と共に
移動するG−CSF活性化STAT複合体は、同じ対応するスペーシング優先性
を有していた。
実施例3
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSAs)に用いる二本鎖プローブオリゴ
ヌクレオチドを下記配列のオリゴヌクレオチドのアニーリングによって形成した
こと以外は(実施例1で言及したいくつかの変更に加えて)実施例1の記載に従
い、試薬、細胞、細胞培養物、核抽出物の製造および電気泳動移動度シフトアッ
セイを行った。
ここで、太字で示されるヌクレオチド配列は、本発明の調節要素として活性を試
験されるヌクレオチド配列(その二本鎖相補鎖を含む)に対応する。
下記オリゴヌクレオチドのEMSAの結果から決定される、相対的結合親和性
を、視覚的に評価し、実施例1の記載と同様の視覚評価スケールに従って評定し
た。
特定の数値で表現しなくとも、EMSA結合データにおける区別しうる差異お
よび傾向を分析するには、この視覚評価システムで充分である。要すれば、燐光
造影剤またはデンシトメーター(バイオーラド・ラボラトリーズなどから市販さ
れている)を用い、ここに記載した差異を定量的に評価分析することもできる。
オリゴヌクレオチド配列番号58〜59、68〜69、70〜71、86〜87
、100〜101、106〜107、108〜109、110〜111および1
36〜150の調節要素に対する結合親和性の特異的視覚評価を下記の表14に
示す(これらの表中、太字はコア配列を表す)。
表14のデータは、IL−4およびIL−13活性化STAT複合体が、やや
親和性が低い配列番号86以外は同様な親和性をもってリストされた配列のすべ
てに結合しうることを示す。これらのデータは実施例1で記載した結合データと
完全に一致する。
一過性トランスフェクションアッセイ
配列番号58×4−TK−LUC、配列番号68×4−TK−LUC、配列番
号70×4−TK−LUC、配列番号100×4−TK−LUC、配列番号10
6×4−TK−LUC、配列番号108×4−TK−LUC、配列番号110×
4−TK−LUC、配列番号86×4−TK−LUC、配列番号136×4−T
K−LUC、配列番号138×4−TK−LUC、配列番号140×4−TK−
LUC、配列番号124×4−TK−LUC、配列番号144×4−TK−LU
C、配列番号146×4−TK−LUC、配列番号148×4−TK−LUCお
よび配列番号150×4−TK−LUCのリポータープラスミドは、キャップサ
イトとして単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子の35番目の位置に
結合した上記配列番号で表示される4コピーのオリゴヌクレオチド配列を含む。
図1を参照せよ。対照のリポーターTK−LUC[ラムらの「Blood」,83,2
063(1994年)(この文献は本明細書の参考文献である)]は、単純ヘル
ペスウイルスのチミジンキナーゼの調節要素をもたないプロモーターを含む。こ
れらのキメラプロモーターはホタルルシフェラーゼの構造遺伝子を発現させる。
実施例1に記載のリン酸カルシウム共沈法によってME−180細胞を上記リ
ポータープラスミドにトランスフェクションさせた。これらのトランスフェクシ
ョンの結果を下記表15および表16に示す。表示された数値は平均の誘発倍数
である(誘発倍数とは、サイトカイン処理サンプルにおける標準応答を非処理サ
ンプルにおける標準応答で割ったものである)。
表15にまとめられたデータから、スペーシングヌクレオチドおよびフランキ
ングヌクレオチドの同一性が、その調節配列が転写的に活性であるかないか(こ
こでは誘発倍数が2以上であることで定義する)に影響を与えることが説明され
る。一般に、IL−13に対するME−180細胞の応答はIL−4に対する応
答よりも低いが、これはおそらくME−180細胞上のIL−13受容体の数が
比較的少ないことを反映しているものと思われる(このことは、IL−4よりも
IL−13によって活性化されるSTAT複合体が少ないことと相互関係がある
)。フランキングヌクレオチドの効果は、配列番号140×TK−LUCの記載
事項と配列番号70×4TK−LUCの記載事項を比較することによって特によ
くわかる。配列番号140×4TK−LUCはIL−4によって活性化され、一
方配列番号70×4TK−LUCは活性化されず、これらの配列において唯一異
なるのはコア要素の5'および3'フランクにおける2つのヌクレオチドである。
表16にまとめられたデータから、試験を行ったすべての3塩基対のスペーシン
グ
を有する応答要素について、それらはIL−4活性化STAT複合体によく結合
するけれども、驚くべきことに、TK最小プロモーターという面においては、M
E−180細胞における転写応答を仲介しないということが説明される。これは
、表15および16の配列番号150×4TK−LUCの記載事項に示されるよ
うに、たとえフランキングヌクレオチドが“最適”(配列番号110からみて)
であっても真実である。したがって、表15および16に示されるすべての配列
がIL−4およびIL−13によって活性化されたSTAT複合体(表14参照
)に結合可能であるけれども、すべてがIL−4またはIL−13に応答した転
写誘発を仲介するわけではない(仲介するとは、誘発倍数が2以上で定義する)
。それにもかかわらず、所定のSTAT複合体に対する調節要素の結合能力が、
配列が転写的に活性であるための必要条件であるので、かくして観察されたスペ
ーシング優先性は、選択的転写活性化の重要な決定要因である。
表15のデータから、IL−4およびIL−13活性化STAT複合体を選択
的に結合するばかりでなく、このことが重要であるのだが、IL−4およびIL
−13に応答した転写誘発の仲介も行う一般的配列を同定することが可能である
。そのような一般的配列は5'−ANTTCNNNNGAANA−3'(配列番号
152)[およびその二本鎖相補鎖:5'−TNTTCNNNNGAANT−3'
(配列番号153)]である(ここで、NはA,T,CまたはGから独立して選
ばれるヌクレオチドである)。この配列は、表15のデータから転写的活性化に
影響を与えることが示されたコア要素の外側のヌクレオチドを包含している。し
たがって、IL−4およびIL−13選択性の好ましいオリゴヌクレオチド配列
は下記のとおりである。
特許法規に準ずるために、本発明を好ましい重量範囲および製造条件の記載を
提供したが、本発明の範囲はそれらに限定されるものではない。当業者であれば
、本発明の範囲および本質から離れる事なく、本発明に関する各種の修飾および
変更をなしえるであろう。
最終的に、本発明の範囲の理解のために、次に請求の範囲を記載する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ラム,アイ・ピーター
アメリカ合衆国92121カリフォルニア、サ
ン・ディエゴ、ノース・リム・コート7565
番、ナンバー291