【発明の詳細な説明】
15,15−ジアルキル置換されたエストラジオール誘導体
本発明は、一般式I:
[式中、
R1およびR2は互いに無関係にそれぞれ水素原子、1〜10個の炭素原子を有
する直鎖状アルカノイル基、3〜10個の炭素原子を有する分枝鎖状アルカノイ
ル基、3〜6個の炭素環原子を有する脂環式構造を有する3〜10個の炭素原子
を有するアルカノイル基またはベンゾイル基を表し、および
R3およびR4は互いに無関係にそれぞれ1〜10個の炭素原子を有する直鎖状
アルキル基または3〜10個の炭素原子を有する分枝鎖状アルキル基を表す]で
表される新規の15,15−ジアルキル置換されたエストラジオール誘導体に関
する。
基R1およびR2は同じかまたは異なっていてもよい。
基R1およびR2は有利には水素原子を表す。
アシル基R1およびR2として1〜10個の炭素原子を有する有機カルボン酸か
らの基が適している。これらの基は脂肪族、脂環式、脂肪族脂環式および芳香族
モノカルボン酸から誘導される。環構造中の炭素原子の数は3〜6で変動するこ
とができる。基R1およびR2として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピ
バリン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、デカン酸、3
−シクロペンチルプロピオン酸および安息香酸のアシル基が有利である。
基R3およびR4としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチルおよびt−ブチル基が有利である。しかしながら、デシル基までの高級
の相当する直鎖状および分枝鎖状アルキル基も適当である。
基R3およびR4は同じかまたは異なってもよい。
特に炭素原子15が有利には2個のメチル基により置換されている。本発明の
特に有利な化合物として、15,15−ジメチル−エストラ−1,3,5(10
)−トリエン−3,17β−ジオールを挙げることができる。
本発明による一般式Iの化合物はエストロゲンレセプタに対する強い親和性を
示し、特に経口投与後に高い発情促進効果を有する。
高い発情促進効果を有する化合物として、たとえば天然のエストロゲン、エス
トラジオールおよびエスト
リオール(E.Schroeder,C.Rufer and R.Schmiechen.Pharmazeutische Chemie {P
harmaceutical Chemistry}1982,Georg Thieme Verlag,Stuttgart−New York,p56
8以下)が知られている。しかしながらこれらは代謝により不安定であり、経口
投与後に17−ヒドロキシ基の酸化により相当する低い効果のエストロン誘導体
に異化する。この急激な代謝の不活性化にもとづき、これらは経口使用にほとん
ど適さない。
たとえば17−C原子にエチニル基を導入する(エチニルエストラジオール、
前記引用文献p574)ことにより、17−ヒドロキシ基の酸化を阻止することが
でき、従って相当する誘導体は経口投与後にその処理において高い発情促進効果
を有する。
近年ステロイド骨格の多様な置換基によってでなく、ステロイド骨格自体の変
性により、高い経口効果を有するエストロゲン化合物を取得することが可能にな
ってきた。たとえばエテノまたはエタノ橋を用いたエストラジオールの14−お
よび17−炭素原子の架橋は17β−ヒドロキシ基の酸化を阻止する(J.Chem.C
ommun.1986,451〜453またはInternational Patent Application PCT/DE 87/0036
1)。
14α,15α−メチレン基を有するエストラジオール誘導体は経口投与後に
高い発情促進効果を有する化合物を表す(米国特許第4231946号明細書)
。
経口投与後、本発明による一般式Iの化合物の発情促進作用は標準的な17α
−エチニルエストラジオールの作用に匹敵する。本発明による化合物において、
C−15位に2個のアルキル基を導入することによりステロイド−17β−デヒ
ドロゲナーゼの攻撃が阻止され、従って17−C原子に水素原子が存在するにも
かかわらず17−ヒドロキシ基の代謝による酸化が阻止される。
図面の簡単な説明
本発明の多くのほかの目的、特徴および存在する利点は付属の図面と組み合わ
せて考えるとより十分に理解することができる。
図1は17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに対するエストラジオ
ールおよび15,15−ジメチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−
3,17β−ジオールの安定性を示すグラフである。
詳細な説明
エストラジオール(A)自体および本発明による化合物、すなわち15,15
−ジメチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
(B)のヒト胎盤からの17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに対す
る安定性を決定するために、試験物質をNADP(ニコチンアミド−アデニン−
ジヌクレオチドホスフェート,0.5ミリモル)の存在下で胎盤ミクロソームと
ともに保温培養する。
ステロイド(開始基質および生成物)を抽出し、HPLCにより分離する。評
価のために相当する反応生成物(すなわち仮定された17−ケト化合物)および
開始物質の電子的に集積されたピーク帯域から商を形成し、培養時間にプロット
する(図1)。17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによりエストラ
ジオール(A)がかなりの程度でエストロンに転化するのに対して、本発明によ
る化合物、15,15−ジメチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−
3,17β−ジオール(B)は17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ
に対して中程度にすぎない基質を表す。
これにより新規物質の経口効果を説明することができる。
本発明による化合物の発情促進効果はエストロゲンレセプタ結合試験の結果に
より示すことができる。この周知の生体内試験において、ラット子宮からの組織
を用意し、参考物質として放射化分析により標識化された3H−エストラジオー
ルを使用する。それにより本発明による化合物、15,15−ジメチル−エスト
ラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールは競合計数K1.5
を有する。
本発明は一般式Iの化合物の医薬品を製造するための使用に関する。
本発明による化合物は、最もよく使用されるエスト
ロゲンであるエチニルエストラジオールと同じ方法で製剤化して使用することが
できる。これを技術水準の方法によりガレン製剤に常用の助剤、賦形剤および/
または香料とともに常用の医薬品の形に加工する。経口投与のためには、特に錠
剤、被覆した錠剤、カプセル、丸薬、懸濁液または溶液が適当である。非経口投
与のためには、特にオイル溶液、たとえばゴマ油またはヒマシ油溶液が適当であ
り、これは場合により更に希釈剤、たとえばベンジルベンゾエートまたはベンジ
ルアルコールを含有することができる。
医薬組成物中の活性成分濃度は投与の形式および適用分野の関数である。従っ
て、たとえばエストロゲン欠乏症状を治療するためのカプセルまたは錠剤は活性
成分約0.001〜0.05mgを含有することができ、筋肉内注入のためのオ
イル溶液は1ml当たり活性成分約0.01〜0.1mgを含有することができ
、膣用軟膏は軟膏100ml当たり約0.1〜10mgを含有することができる
。女性の避妊のために、本発明によるエストロゲンは、ホルモンによる避妊に典
型的に使用されるまたは前記製造に使用する目的のゲスターゲン、たとえばプロ
ゲステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ゲストノロンカプロエート
、クロロマジノンアセテート、リネストレノール、ヒドロキシプロゲステロンカ
プロエート、ノレチンドロンおよびそのエステル(たとえばアセテート)、ノル
ゲス
トレル、レボノルゲストレル、シプロテロンアセテート、デソゲストレル、ノル
ゲスチメート、ジヒドロスピロレノンおよびゲストデンと組み合わせて使用する
ことができる。錠剤または被覆した錠剤を毎日摂取するための錠剤または被覆し
た錠剤は本発明によるエストロゲン約0.003〜0.05mgを含有し、有利
にはゲスターゲン約0.05〜0.5mgを含有する。
本発明による化合物は女性のエストロゲン欠乏症、たとえば無月経、月経困難
、不妊、子宮内膜炎、膣炎および月経閉止症(ホルモン置換治療法)の場合にお
よび骨多孔症の予防に使用することができる。更に前記化合物はホルモンによる
避妊薬の発情促進成分(単相および多相および多工程の製造)として使用するこ
とができる。更にこれらはほかの活性成分と関連してホルモンを担持する子宮内
ペッサリー、移植可能な活性成分賦形剤および経皮的投与系に使用するために適
している。本発明の一般式Iの化合物の前記経皮的系での可能な使用領域は女性
の産児調節およびホルモン置換処理(HRT)である。
15位の脂肪親和性アルキル基にもとづくエストラジオールおよび17α−エ
チニルエストラジオールに比べて高められた脂肪溶解性は本発明による化合物を
前記デポー製剤への使用に特に適したものにする。
一般式I:
[式中、
R1およびR2は互いに無関係にそれぞれ水素原子、1〜10個の炭素原子を有
する直鎖状アルカノイル基、3〜10個の炭素原子を有する分枝鎖状アルカノイ
ル基、3〜6個の炭素環原子を有する脂環式構造を有する3〜10個の炭素原子
を有するアルカノイル基を表し、および
R3およびR4は互いに無関係にそれぞれ1〜10個の炭素原子を有する直鎖状
アルキル基または3〜10個の炭素原子を有する分枝鎖状アルキル基を表す]で
表される新規化合物は、一般式II:
[式中、R1′は1〜10個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基または3〜1
0個の炭素原子を有する分枝鎖状アルキル基を表し、および
R3およびR4は式Iに記載のものを表す]の化合物の3−アルキルエーテルを
標準的な方法で脱離する方
法により製造する。場合により3−ヒドロキシ基をエステル化し、その後引き続
き17−ヒドロキシ基を場合によりエステル化する。選択的に3−および17−
ヒドロキシ基を場合により同時にエステル化し、場合により生じた3,17−ジ
アシルオキシ基を選択的にけん化し、3−ヒドロキシ−17−アシルオキシ化合
物を形成する。
10個までの炭素原子を有するR1′のアルキル基は、たとえばメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはt−ブチルまたは前記
基のほかの高級相当物である。メチル基が有利である。
3−アルキルエーテルの脱離はステロイドエーテル脱離で一般的な方法により
実施する。従って3−アルキルエーテル脱離を沸騰加熱中で、たとえば不活性溶
剤中でルイス酸を用いて実施することができる。ルイス酸として、たとえば三フ
ッ化ホウ素エーテラートまたは水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)
が適している。溶剤として特にベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンが適している。
フェノールおよび第三ヒドロキシ基の引き続く場合によるエステル化のために
ステロイド化学でエステル化に使用される周知の方法を用いることができる。
エステル化は、たとえば相当するカルボン酸ハロゲン化物(塩化物または臭化
物)またはカルボン酸無水
物(炭素数は最終的に所望のR1′および/またはR2に依存する)と塩基、たと
えば4−ジメチルアミノピリジンの存在下で有利には約20〜80℃の温度で反
応させることにより実施する。ピリジンおよび4−ジメチルアミノピリジンを第
三アミンとして一緒に使用する場合は、エステル化を低級カルボン酸基を用いて
有利にはほぼ室温でおよび高級カルボン酸を用いて有利には約40〜80℃で実
施することができる。例として、室温またはいくらか高めた温度で強酸、たとえ
ばトリフルオロ酢酸、ペルクロル酸またはp−トルエンスルホン酸の存在下での
酢酸または無水酢酸との反応を挙げることができる。
2つの可能な半エステルの合成は以下の部分的エステル化または部分的けん化
により行う。
a)3,17β−ジヒドロキシ化合物から出発して、フェノールヒドロキシ基
の選択的エステル化により3−アシルオキシ−17β−ヒドロキシ化合物が得ら
れる。反応は相当する酸無水物を複素環の窒素芳香族化合物、有利にはピリジン
の存在下で反応させることにより達成される。適当な反応温度は、たとえばほぼ
室温から反応混合物の沸騰温度までである。3−ヒドロキシ基の選択的エステル
化は供給されるエステル化試薬の量により制御することができる。
b)3,17β−ジアシルオキシ化合物から出発して、フェノールアシルオキ
シ基の選択的けん化により3
−ヒドロキシ−17α−アシルオキシ化合物が得られる。合成はメタノール水溶
液中で、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩、有利には炭酸カリ
ウムまたは炭酸カルシウムと反応させることにより行う。反応温度は、たとえば
室温から反応混合物の沸騰温度までであってもよい。
本発明の化合物の製造は以下のグラフで表され、これにより炭素原子15の立
体化学の多様性が理解される。
この目的のために、3−メトキシ−15β−メチル−エストラ−1,3,5(
10)−トリエン−17−オンを製造するために記載された方法(R.V.Coombs,
米国特許第3766224号明細書、Cmem.Abstr.1974,80,27436k)を変形する
。以下の反応式を参照。
銅(I)触媒(たとえばCuI,CuCN)下でジアルキルリチウムクプレー
トLiCuR3 2または相当するハロゲン化アルキルマグネシウム(アルキル=R3
,ハロゲン化物=Br,I)を3−メトキシ−エストラ−1,3,5(10),
15−テトラエン−17−オン(化合物1)に添加することにより得られたエノ
ラートを、その場でトリメチルクロロシランを添加することにより相当するシリ
レノールエーテルに転化し、これを場合により更に精製せずに、Tsuji脱水素化
(J.Tsuji et al.Chem.Letters 1133,1984)の範囲で酢酸パラジウムと反応させ
、3−メトキシ−15−アルキ
ル−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン(化合物3,7または1
0参照)を形成する。銅(I)触媒(たとえばCuI,CuCN)下で不飽和ケ
トン(化合物3,7または10参照)にジアルキルリチウムクプレートLiCu
R4 2または相当するハロゲン化アルキルマグネシウム(アルキル=R4,ハロゲ
ン化物=Br,I)を別に添加することにより、15,15−ジアルキル置換さ
れた化合物(化合物4,5,8または11)が得られ、これを標準的方法により
C−17−カルボニル基を還元することにより17β−ヒドロキシ化合物(化合
物12,13,14または15参照)、一般式IIの開始化合物に転化する。
相当するジアルキルリチウムクプレートを使用することにより、基R3および
R4は所望により一般式Iの範囲内でおよび化合物12,13,14または15
の製造の操作に類似の方法により変動することができ、一般式Iのすべての化合
物の合成のために必要な一般式IIの開始化合物が利用できる。
前記の議論が式IIの3−メトキシ化合物の製造を記載する限り、出発物質と
して化合物1の適当な高級3−アルコキシ相当物を使用することにより式IIの
ほかの3−アルコキシ化合物を製造することができる。米国特許第377662
24号明細書参照。
基R3およびR4が異なるべき場合は、炭素原子15の立体化学はアルキル化工
程の連続により制御するこ
とができる。C15位に添加される2つの基の最初の基R3はα一位の最終生成
物に位置する。
一般式IIの17β−ヒドロキシ化合物および合成を通過した17−ケト化合
物は新規であり、一般式IIaの開始化合物として一緒に扱われ、本発明の対象
に属する。
式中、
R1′は1〜10個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基または3〜10個の
炭素原子を有する分枝鎖状のアルキル基を表し、
R3およびR4は互いに無関係にそれぞれ1〜10個の炭素原子を有する直鎖状
アルキル基または3〜1
0個の炭素原子を有する分枝鎖状アルキル基を表し、
Zはα−水素原子およびβ−ヒドロキシ基またはケト−酸素原子を表す。
詳細に説明するまでもなく、当業者は前記の説明を使用することにより、本発
明を最も完全な程度に利用できるとみなされる。従って、以下の有利な実施例は
単に説明するために用いたにすぎず、本発明は実施例に限定されない。
例においてすべての温度は摂氏温度で表し、ほかにことわりのない限り部およ
び%はすべて重量に関する。
例
以下の例により本発明を詳細に説明する。
例1
3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−1
7−オン(2)
乾燥ジエチルエーテル(1ml)中のリチウムジメチルクプレート(0.63
ミリモル)[ヨウ化銅(I)(120mg,0.63ミリモル)およびメチルリ
チウム(0.75ml,1.6M,120ミリモル)から製造した]を−78℃
に冷却した。トリエチルアミン(0.1ml,0.8ミリモル)およびクロロト
リメチルシラン(0.1ml,0.78ミリモル)を添加し、引き続き乾燥テト
ラヒドロフラン(4ml)中のΔ15−17−ケトン(1)(84mg,0.30
ミリモル)を添加し
た。5分後塩化アンモニウム飽和水溶液および1M塩酸を添加した。反応混合物
を20℃で15分撹拌した。後処理(酢酸エチル)の残留物(72mg)をシリ
カゲル(6g)上でクロマトグラフィー処理し、酢酸エチル−トルエン(1:4
)で溶離することにより、3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3,5
(10)−トリエン−17−オン(2)(65mg,92%)が得られた、融点
127〜129℃(アセトン−メタノールから)
(測定値C,80.7,H,8.6%,M+,298,C20H26O2の計算値、
C80.5,H8.8%,M298)
3−メトキシ−15−メチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエ
ン−17−オン(3)
(a)乾燥テトラヒドロフラン(4ml)中のリチウムジイソプロピルアミド
(5.28ミリモル)の溶液[0℃で乾燥テトラヒドロフラン(4ml))中の
ジイソプロピルアミン(1.5ml,10.58ミリモル)
およびブチルリチウム(3.3ml,1.6M,5.28ミリモル)から製造し
た]を−78℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(5ml)中の15β−メチ
ル−17−ケトン(2)(315mg,1.05ミリモル)を緩慢に滴加した。
−78℃の撹拌を30分維持した。クロロトリメチルシラン(1.4ml,11
.0ミリモル)を添加し、混合物を20℃に加温した。15分後フラスコを0℃
に再冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。後処理(酢酸エチル)の
残留物(385mg)をアセトニトリル(10ml)に溶解した。酢酸パラジウ
ム(11)(233mg,1.04ミリモル)を添加し、混合物を還流温度で1
5分撹拌した。反応混合物を20℃に冷却し、濾過し、濃縮して暗い結晶質の生
成物(484mg)が得られた。溶離剤として酢酸エチル−トルエン(1:19
)を用いたシリカゲル(24g)上のクロマトグラフィー処理により3−メトキ
シ−15−メチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オ
ン(3)(267mg,86%、2から)が得られた、融点156〜158℃(
酢酸エチル−メタノールから)
(測定値C,81.3,H,8.15%,M+,296,C20H24O2の計算値
、C81.0,H8.2%,M296)
(b)乾燥ジエチルエーテル(1ml)中のリチウムジメチルクプレート(0
.79ミリモル)を前記と同様に製造した。反応物を−78℃に冷却し、トリエ
チルアミン(0.1ml,0.8ミリモル)およびクロロトリメチルシラン(0
.1ml,0.78ミリモル)を添加し、乾燥テトラヒドロフラン(4ml)中
のΔ15−17−ケトン(1)(106mg,0.37ミリモル)を添加した。5
分後塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。後処理(酢酸エチル)の残留物は
無色の油状物(109mg)からなっていた。
この生成物を前記の脱ヒドロシリル化と類似の条件下で処理し[アセトニトリ
ル5ml中の酢酸パラジウム(11)66mg]、15−メチルーΔ15−17−
ケトン(3)(93mg,85%、1から)が得られた。
3−メトキシ−15,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10)−トリエ
ン−17−オン(4)
乾燥ジエチルエーテル(2ml)中のリチウムジメチルクプレート(0.79
ミリモル)の溶液[0℃でヨウ化銅(I)(150mg,0.79ミリモル)か
ら一般的に製造した]に−78℃で三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(0
.1ml,0.80ミリモル)を添加し、乾燥テトラヒドロフラン(2ml)中
の15−メチル−Δ15−17−ケトン(3)(163mg,0.55ミリモル)
を添加した。30分後塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。標準的後処理(
酢酸エチル)により結晶質の残留物が生じ、これをシリカゲル(5g)上でクロ
マトグラフィー処理し、酢酸エチル−トルエ(1:19)ンで溶離して15,1
5−ジメチルケトン(4)(146mg,70%)が得られた、融点145〜1
48℃(酢酸エチル−メタノールから)。
(測定値C,80.5,H,8.8%,M+,312,C21H28O2の計算値、
C80.7,H9.0%,M
312)
15β−エチル−3−メトキシ−15α−メチルエストラ−1,3,5(10
)−トリエン−17−オン(5)
乾燥ジエチルエーテル(2ml)中のヨウ化エチルマグネシウム(2.5ミリ
モル)の溶液[20℃でマグネシウム(60mg,2.5ミリモル)およびヨウ
化エチル(0.2ml,2.5ミリモル)から製造した]を0℃に冷却し、ヨウ
化銅(I)(47mg,0.25ミリモル)を添加し、混合物を5分撹拌した。
乾燥テトラヒドロフラン(2ml)中の15−メチル−Δ15−17−ケトン(3
)(148mg,0.5ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を20℃で1
5分撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液およびアンモニア水溶液を添加し、
後処理の残留物(酢酸エチル)(150mg,92%)をジイプロピルエーテル
から晶出させ、15β−エチル−3−メトキシ−15α−メチルエストラ−1,
3,5(10)−トリエン−17−オン(5)(135mg)が得られた、融点
104〜107℃(ジイソプロピルエーテル−メタノールから)。
(測定値C,80.9,H,9.6%,M+,326,C22H30O2の計算値、
C80.9,H9.3%,M326)
15β−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−1
7−オン(6)
乾燥ジエチルエーテル(1ml)中のヨウ化エチルマグネシウム(3.8ミリ
モル)の溶液[マグネシウム(91mg,3.8ミリモル)およびヨウ化エチル
(0.3ml,3.8ミリモル)]を0℃に冷却した。ヨウ化銅(I)(71m
g,0.37ミリモル)を添加した。乾燥テトラヒドロフラン(5ml)中のエ
ノン(1)(200mg,0.68ミリモル)の溶液を緩慢に添加し、撹拌を2
0℃で10分維持した。混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液を
添加した。後処理の残留物(酢酸エチル)(207mg,93%)を再結晶させ
て15β−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−1
7−オン(6)(
198mg)が得られた、融点125〜129℃(クロロホルム−メタノールか
(測定値C,80.6,H,8.9%,M+,312,C21H28O2の計算値、
C80.7,H9.0%,M312)
15−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエ
ン−17−オン(7)
乾燥テトラヒドロフラン(3ml)中のリチウムジイソプロピルアミド(7.
8ミリモル)の溶液[0℃でテトラヒドロフラン(3ml)中のジイソプロピル
アミン(2.2ml,15.8ミリモル)およびブチルリチウム(4.9ml,
1.6M,7.8ミリモル)から製造した]を−78℃に冷却した。乾燥テトラ
ヒドロフラン(12ml)中の15β−エチルケトン(6)(495mg,1.
58ミリモル)の溶液を緩慢に添加した。30分後−78℃でクロロトリメチル
シラン(2.5ml,19.7ミリモル)を添加し、撹拌を0℃で15分
維持した。塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。後処理(酢酸エチル)の残
留物(577mg)を乾燥アセトニトリル(20ml)に溶解した。酢酸パラジ
ウム(II)(340mg,1.51ミリモル)を添加し、溶液を20分で還流
温度に加熱した。溶液を20℃に冷却し、濾過し、蒸発した。シリカゲル(25
mg)上の残留物(470mg)のクロマトグラフィー処理および酢酸エチル(
1:19)での溶離により15−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(
10),15−テトラエン−17−オン(7)(419mg,6から85%)が
得られた、融点103〜106℃(クロロホルム−メタノールから)。
(測定値C,81.1,H,8.5%,M+,310,C21H26O2の計算値、
C81.25,H8.4%,M310)
15α−エチル−3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3,5(10
)−トリエン−17−オン(
8)
乾燥ジエチルエーテル(2.5ml)中のヨウ化メチルマグネシウム(2.5
ミリモル)の溶液[20℃でマグネシウム(60mg,2.5ミリモル)および
ヨウ化メチル(0.16ml,2.5ミリモル)から製造した]を0℃に冷却し
た。ヨウ化銅(I)(46mg,0.24ミリモル)を添加した。5分後0℃で
乾燥テトラヒドロフラン(3ml)中の15−エチル−Δ15−17−ケトン(7
)(150mg,0.48ミリモル)の溶液を添加した。混合物を20℃で15
分撹拌した、塩化アンモニウム飽和水溶液およびアンモニア水溶液を添加し、後
処理(酢酸エチル)の残留物(150mg,96%)をクロロホルムから晶出さ
せ、15α−エチル−3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−17−オン(8)(127mg,81%)が得られた、融点1
10〜113℃(クロロホルム−メタノールから)。
(測定値C,81.2,H,9.5%,M+,326,C22H30O2の計算値、
C80.9,H9.3%,M326)
15β−イソプロピル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエ
ン−17−オン(9)
ヨウ化銅(I)−ジメチルスルフィド(107mg,0.42ミリモル)およ
びヘキサメチルホスホン酸トリアミド(1.1ml,6.3ミリモル)を乾燥ジ
エチルエーテル(5ml)中のイソプロピルマグネシウムブロミド(4.25ミ
リモル)の溶液[0℃でマグネシウム(102mg,4.25ミリモル)および
イソプロピルブロミド(0.4ml,4.26ミリモル)から製造した]に添加
した。5分後この温度で乾燥テトラヒドロフラン中のエノン(1)(200mg
,0.71ミリモル)およびクロロトリメチルシラン(0.8ミリモル,6.3
0ミリモル)の溶液を緩慢に添加した。混合物を0℃で20分撹拌した。塩化ア
ンモニウム飽和水溶液およびアンモニア水溶液を添加した。後処理(酢酸エチル
)の残留物(205mg)をシリカゲル(20g)上でクロマトグラフィー処理
し、酢酸エチル−トルエン(1:49)中で溶離して15β−イソプロピル−
3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(9)(2
01mg,87%)が得られた、融点104〜108℃(ジイソプロピルエーテ
ルから)。
(測定値C,80.5,H,9.3%,M+,326,C22H30O2の計算値、
C80.9,H9.3%,M326)
15−イソプロピル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テ
トラエン−17−オン(10)
−78℃で乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中の15β−イソプロピルケ
トン(9)(210mg,0.64ミリモル)の溶液を、リチウムジイソプロピ
ルアミド(3.2ミリモル)の溶液[0℃でテトラヒドロフラン(2ml)中の
ジイソプロピルアミン(0.9ml,6.35ミリモル)およびブチルリチウム
(1.9ml,3.04ミリモル)から製造した]に添加した。3
0分後この温度でクロロトリメチルシラン(1ml,7.88ミリモル)を添加
した。混合物を20分にわたって0℃に加温した。塩化アンモニウム飽和水溶液
を添加し、後処理(酢酸エチル)の残留物(242mg)を乾燥アセトニトリル
(20ml)に溶解した。酢酸パラジウム(II)(140mg,0.62ミリ
モル)を添加し、混合物を20分で還流温度に加熱した。溶液を20℃に冷却し
、濾過し、蒸発した。残留物(230mg)をシリカゲル(23g)上でクロマ
トグラフィー処理し、酢酸エチル−トルエン(1:19)で溶離して15−イソ
プロピル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−1
7−オン(10)(170mg,81%、9から)が得られた、融点113〜1
16℃(クロロホルム−メタノールから)。
(測定値C,81.6,H,8.9%,M+,324,C22H28O2の計算値、
C81.4,H8.7%,M
324)
15α−イソプロピル−3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3,5
(10)−トリエン−17−オン(11)
乾燥ジエチルエーテル(1.5ml)中のリチウムジメチルクプレート(0.
61ミリモル)の溶液[0℃でヨウ化銅(I)(118mg,0.61ミリモル
)およびメチルリチウム(0.8ml,1.6M,1.28ミリモル)から製造
した]を−78℃に冷却した。トリエチルアミン(0.1ml,0.72ミリモ
ル)およびクロロトリメチルシラン(0.1ml,0.79ミリモル)を引き続
き添加した。−78℃で撹拌を5分維持し、乾燥テトラヒドロフラン(3ml)
中のイソプロピルエネオン(10)(100mg,0.31ミリモル)の溶液を
滴加した。反応物を0℃で更に30分撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液お
よび希釈した塩酸を添加した。エノールシリルエーテルの加水分解を完全にする
ために、混合物を20℃で15分撹拌した。後処理(酢酸エチル)の残留物(9
7mg)をシリカゲル(10g)上でクロマトグラフィー処理し、酢酸エチル−
トルエン(1;49)で溶離して15α−イソプロピル−3−メトキシ−15β
−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(11)(92
mg,86%)が得られた、融点113〜115℃(ジイソプロピルエーテルか
ら)、
157.6(c−3)、および220.3(c−17)
(測定値C,81.2,H,9.6%,M+,340,C23H32O2の計算値、
C81.1,H9.5%,M340)
3−メトキシ−15,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10)−トリエ
ン−17β−オール(12)
水素化リチウムアルミニウム(30mg,0.79ミリモル)を0℃で乾燥テ
トラヒドロフラン(2ml)中のジメチルケトン(4)(50mg,0.16ミ
リモル)の溶液に添加した。混合物を0℃で5分撹拌した。炭酸水素ナトリウム
飽和水溶液を添加し、混合物を濾過した。濾液を後処理(酢酸エチル)して3−
メト
キシ−15,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β
−オール(12)(43mg,85%)が得られた、融点87〜91℃(クロロ
ホルム−ヘキサンから)、
(測定値C,80.0,H,9.5%,M+,314,C21H30O2の計算値、
C80.2,H9.6%,M314)
15β−エチル−3−メトキシ−15α−メチルエストラ−1,3,5(10
)−トリエン−17β−オール(13)
水素化リチウムアルミニウム(58mg,0.31ミリモル)を0℃で乾燥テ
トラヒドロフラン(2ml)中の15β−エチル−15α−メチルケトン(5)
(100mg,0.31ミリモル)の溶液に添加した。溶液を0℃で5分撹拌し
た。塩化アンモニウム飽和水溶液を添加し、混合物を濾過した。濾液を標準的後
処理
して15β−エチル−3−メトキシ−15α−メチルエストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−17β−オール(13)(92mg,90%)が油状物として
得られた。
15α−エチル−3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3,5(10
)−トリエン−17β−オール(14)
水素化リチウムアルミニウム(48mg,1.26ミリモル)を0℃で乾燥テ
トラヒドロフラン中の15α−エチル−15β−メチルケトン(8)(80mg
,0.25ミリモル)の溶液に添加した。低温撹拌を5分維持した。炭酸水素ナ
トリウム飽和水溶液を添加し、混合物を濾過した。濾液の標準的後処理(酢酸エ
チル)により15α−エチル−3−メトキシ−15β−メチルエストラ−1,3
,5(10)−トリエン−17β−オール(14)(75mg,89%)が得ら
れた、融
点133〜136℃(クロロホルム−メタノールから)
(測定値C,80.0,H,9.7%,M+,328,C22H32O2の計算値、
C80.4,H9.8%,M328)
15a−イソプロピル−3−メトキシ−15β−メトキシエストラ−1,3,
5(10)−トリエン−17β−オール(15)
水素化リチウムアルミニウム(35mg,0.92ミリモル)を0℃で乾燥テ
トラヒドロフラン(4ml)中の15α−イソプロピル−15β−メチルケトン
(11)(63mg,0.19ミリモル)の溶液に添加した。10分後この温度
で炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を添加した。混合物を濾過し、透明な溶液を標
準的後処理(酢酸エチル)して15α−イソプロピル−3−メトキシ−15β−
メチル−エストラ−1,3,5(
10)−トリエン−17β−オール(15)(60mg,95%)が得られた。
(測定値C,80.4,H,9.9%,M+,342,C23H34O2の計算値、
C80.65,H10.0%,M342)
例2〜5
15,15−ジアルキル−17β−アルコール(12〜15)の3メチル化
例2
代表的操作
水素化ジイソプロピルアルミニウム(0.5ml,1.5M,0.75ミリモ
ル)を乾燥トルエン(5ml)中の15,15−ジメチル−17β−アルコール
(12)の溶液に添加した。溶液を24時間で還流温度に加熱
した。混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液を添加し、水相を更
に希釈した塩酸で酸性にした。標準的後処理(酢酸エチル)により15,15−
ジメチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(1
6)(43mg,90%)が得られた、融点167〜170℃(酢酸エチルから
)。
[α]D+49°(c1.1エタノール)(測定値C,79.6,H,9.3%
,M+,300,C20H28O2の計算値、C80.0,H9.4%,M300)
例3
15β−エチル−15α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−
3,17β−ジオール(17)
融点132〜136℃(酢酸エチルから)。
[α]D+54°(c1.0エタノール中)(測定値C,80.4,H,9.5
%,M+,314,C21H32O2の計算値、C80.2,H9.6%,M314)
例4
15α−エチル−15β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−
3,17β−ジオール(18)フォームとして得られた。
[α]D+59°(c1.0エタノール中)(測定値C,79.8,H,9.5
%,M+,314,C21H30O2の計算値、C80.2,H9.6%,M
314)
例5
15α−イソ−プロピル−15β−メチルエストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,17β−ジオール(19)
融点201〜205℃(酢酸エチルから)
[α]D+71°(c1.0テトラヒドロフラン中)(測定値C,80.7,H
,9.8%,M+,328,C22H32O2の計算値、C80.4,H9.8%,M
328)
前記の例は一般的なまたは特別な反応物および/または前記の例に使用される
ものに対する本発明の操作条件を変更することにより同じ結果で繰り返すことが
できる
当業者は前記の説明から本発明の必須の特徴を容易に理解でき、本発明の思想
および範囲を離れることなく多くの使用および条件に適合するために多数の変更
および変形が可能である。