【発明の詳細な説明】
リバースフィールドプレート、接合終端構造
発明の背景
1.発明の技術分野
本発明は、ソリッドステート電子回路の分野、特に半導体素子の製造方法およ
びこれにより製造された素子に関する。
2.従来技術の説明
典型的な半導体製造プロセスにより、半導体基板に異なってドープされた部分
間に接合部が形成される。異なってドープされた部分の種々の構成は例えばダイ
オード、トランジスタ等の半導体素子の固有の形式を形成する。図1は、半導体
素子10の一部の断面を示す。この半導体素子はPN接合部を有し、この接合部
は、P+ドープ材料の層がN-ドープ材料の基板12にデポジットされて形成され
る。とりわけ接合部11はN-基板12とP+層13との間に形成される。
典型的には、素子10の使用中に接合部11は交互に、順方向および逆方向に
バイアス電圧±Vによりバイアスされる。接合部11が逆方向にバイアスされる
とき、バイアス電圧は接合部を横切る比較的大きな電界を発生する。さらに逆バ
イアスは比較的広い遷移領域14を形成し、この遷移領域内に電界が発生される
。しかし遷移領域14は接合部11の長さに沿って均一の幅を有するものではな
い。例えば、これらの半導体素子では拡散された層が平坦表面で突然終端する。
したがって、遷移領域は半導体素子基板の平坦表面の近傍では、基板内よりも明
らかに狭くなっている。このような遷移領域の狭窄化は酸化層19での正電荷の
自然蓄積によるものである(基板18と酸化膜19とが素子10の一部でない時
を仮定する)。この場合が図1に破線AとBにより示されている。とくにP+層
13が急に終端する場合には、接合部11は破線Aの経過をたどり、遷移領域1
4の境界は破線Bをたどることとなる。電界は遷移領域14により制限されるか
ら、半導体表面近傍において接合部11を横切る電界は半導体12内で横切る電
界よりも格段に大きい。いくつかの素子適用では、逆バイアス電圧とその相応す
る電界は、半導体基板の表面近傍では接合部ブレークダウンを引き起こすほど大
きくなる場合があるが、同程度の電圧でも半導体基板の内部では接合部に何の影
響も及ぼさない。
接合部ブレークダウンを回避するため、基板表面近傍の遷移領域は典型的には
、平坦表面の遷移領域へ段階的に広くなる。段付けられた接合部は比較的弱くド
ープされた材料(P+材料よりも弱くドープされる)の拡散により埋め込まれる
。図1の例では、接合部11はN-基板12と、P+層13、P-層15およびP- -
層16との間に形成される。それにより遷移領域14の境界は破線Cをたどる。
このようにして、遷移領域14は、基板表面近傍の接合部11を横切る電界を減
少させるために拡大される。このような段付けられた接合部は段付けられた終端
構造体の形式として公知である。典型的には、素子を完成させるために終端構造
体と半導体素子の表面の両方に絶縁層または不活性層17がコーティングされる
。
終端技術は、早すぎる接合部ブレークダウンを低減する。これは、表面の電圧
を広い遷移領域にわたって徐々に低減することによる。これにより、基板表面で
の急激な電位変化が回避される。重要なことは、段付けられた接合終端部が次の
ように構成されることである。すなわち、表面における電界が広い遷移領域にわ
たって分散されるように構成されることである。しかし段付けられた終端部は、
不活性層を形成する不活性材料または絶縁材料の上と中との両方で表面電荷を引
き起こしやすい。このような表面電荷は、処理中に基板に降下するほこり、水蒸
気、表面不純物等によって生じるものであり、基板表面の所望の電界分布を変化
させゆがめる。電界のひずみは基板表面での急激な電位変化を引き起こすことが
あり、段付けられた接合終端部の作用を制限する。このような急激な電位変化に
より電流(場合により有害な量の)が終端部表面を通って流れることがある。そ
の結果、段付けられた終端
部近傍での表面電荷が早すぎる接合部ブレークダウンに関与することがある。
段付けられた接合終端部が表面電荷にあまり影響しないようにするため、いわ
ゆるフィールドプレートが不活性層の上に取り付けられており、終端構造体に隣
接している。図1は、従来のフィールドプレート18を示す。このフィールドプ
レートは導電要素であり、一方の端部はP+層13に短絡しており、他方の端部
は不活性層17を介して段付けられた終端構造体の上に延在している。この終端
構造体はP+層13、P-層15およびP--層16により形成される。このように
して、フィールドプレート18はP+層13と同じ電位を有する。したがって、
導電フイールドプレート18は均一の電位を提供し、この均一の電位は段付けら
れた接合終端部の上に載せられる。この均一電位の存在は接合終端部を“安定”
させる。これは基板表面の電位固定によるものである。表面電荷は不活性層19
に蓄積し、この不活性層はフィールドプレート18の上に形成される。この表面
電荷はフィールドプレートを貫通することはできない。その結果、フィールドプ
レート18によって、接合終端部は表面電荷による早すぎるブレークダウンを起
こしにくくなる。
フィールドプレートはこの目的のために使用されるが、このことは必ずしも常
に、接合部ブレークダウンを引き起こす表面電荷の解決手段として受け入れられ
るわけではない。これには2つの理由がある。第1は、フィールドプレートを取
り付けるために拡散層(例えばP+層13)に接近することが必ずしも実際的で
ない、または回路レイアウトまたは素子の複雑性のため可能でないことがあるか
らである。第2は、フィールドプレートが表面(拡散層)に個別に短絡するため
である。この表面はそれぞれ相互に異なる比較的高い電圧を帯び、フィールドプ
レートは適切に相互に間隔を置かなければならない。これは隣接するプレート間
で十分な電気絶縁性を得るためである。この要求は多数のフィールドプレートを
相互に接近して共通の基板に設けなければならない場合には大きな欠点である。
発明の要約
このような欠陥をなくすために、本発明はただ1つの反転フィールドプレート
、すなわち接合終端構造体の使用と、このようなフィールドプレートの製造方法
を開示する。本発明は、前記説明した従来技術で使用されるフィールドプレート
と比較して、フィールドプレートの配置を終端構造体に対し反転する(以下、“
リバース”フィールドプレートと称する)。
とりわけ、リバースフィールドプレートは、従来技術のように拡散層と接続(
短絡)されるのではなく、半導体基板と接続される。このようにして、リバース
フィールドプレートは拡散層の上の表面エリアを占有しない。その結果、拡散上
の表面エリアを他のさらに
複雑な半導体構造の配置に使用することができる。また複数の近接して配置され
たリバースフィールドプレートを基板と接続することにより、リバースフィール
ドプレートをすべて実質的に同じ電位レベルに維持することができる。これによ
り、プレートの電気絶縁が従来技術よりもクリティカルでなくなる。
本発明の適用で得られる形態により、半導体基板で達成すべき大きな素子実装
密度が得られる。これにより、集積回路構成で直面する最も大きな問題の1つ、
すなわち集積回路の大きさの低減が可能になる。
本発明の実施例では、半導体素子が不純物のドープされた層(拡散層)を備え
た半導体基板を有する。この層は表面から基板内へ所定の深さまで延在し、半導
体接合部と接合終端部を形成する。絶縁層は基板の表面に形成され、接合終端部
を覆う。導電プレートは、第1の部分と第2の部分からなる。第1の部分は、電
気的に基板と接続され、不純物ドープされた層から横方向に間隔を置いて配置さ
れている。第2の部分は、絶縁層上に延在し、接合終端部と隣接している。導電
プレートの電位は実質的に基板の電位と等しく、接合終端部には表面電位が安定
化のため重畳されている。
本発明の第2の実施例では、集積回路が半導体基板上に形成される。この集積
回路はPN接合部と段付けられた接合終端部を有する。リバースフィールドプレ
ートは接合終端部に隣接して取り付けられる。フィー
ルドプレートの一部は電気的に基板と接続されている。フィールドプレートのそ
の他の部分は不活性酸化層の上に延在する。この不活性酸化層は、接合終端部に
隣接する基板表面を覆う。フィールドプレートは表面に電位を供給し、これによ
り接合終端部の基板表面の固定電位が維持される。
両方の実施例とも、導電フィールドプレートの電位は実質的に基板の電位と等
しいから、共通基板上の多重プレートの電気絶縁を、プレート間の比較的狭い間
隔で行うことができる。
さらに本発明は、段付けられた終端構造を有するPN接合部を半導体基板に拡
散する半導体製造方法に関する。不活性層は終端構造体に隣接する基板の表面に
形成される。導電フィールドプレートは、導電フィールドプレートの第1の部分
が基板にデポジットされ、第2の部分が不活性層の上にデポジットされる。
図面の簡単な説明
本発明を、図面に関連して以下詳細に説明する。
図1は、従来の半導体素子の一部断面図である。
図2は、本発明の方法により製造された半導体集積回路20の、図3のライン
2-2に沿った断面図である。
図3は、図2に示された集積回路20の一部平面図である。
有利な実施例の説明
本発明を理解するため、以下の説明では図2と図3を同時に参照されたい。
典型的には単純な半導体素子は、一方の形式の半導体材料の基板と、その中に
拡散されて形成された他方の形式の拡散層とを有する。さらに段付けられた接合
終端部は典型的には基板の表面の近傍に形成され、基板と拡散層との間の接合部
に沿って延在する。不活性層は少なくとも段付けられた接合終端部の上に形成さ
れる。一般的に本発明の方法は、フィールドプレートを形成する。このフィール
ドプレートは電気的に一方の端部で基板と接続されており、他方の端部は不活性
層の上に延在する。不活性層は電気的にフィールドプレートを接合終端部から絶
縁する。他方の(第2の)不活性層はフィールドプレート上に形成される。動作
時にフィールドプレートは、不活性層に蓄積する表面電荷を絶縁する。これは接
合終端部の電気特性のひずみを回避するためである。
図2は集積回路20の一部の断面図を示す。この集積回路20は半導体基板2
1を有し、この基板にはN形不純物が弱くドープされている。図3は、図2に示
された集積回路20の一部平面図である。
図示したように、P+層22はPN接合部を形成するため
基板21の表面に強くドープすることによって形成される。p+層22の終端部
40には、段付けられた接合
終端部27がP形不純物を徐々に減少することによって形成されている。ドーピ
ングを徐々に減少することにより、2つの段付けられた領域、すなわちP-領域
23とP--領域24が形成される。特にP-領域23は、層22の端部40に隣
接する表面29の比較的小さな領域をP形不純物により、ドーピング濃度と層の
厚さが層22のそれよりも小さくなるように中程度にドープすることにより形成
される。同じようにP--領域24は、P-領域23に隣接する表面29の別の比
較的小さな領域をP形不純物により、ドーピング濃度と層の厚さがP-領域23
のそれよりも小さくなるようにドープすることによって形成される。不活性酸化
層30は表面29の一部に少なくとも接合終端部27を覆うように形成される。
PN接合部28は、集積回路20で簡単な均質接合ダイオードとして、または
他の半導体素子(図示しない)と関連して使用することができる。また比較的複
雑な素子、例えばシリコン制御整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トラ
ンジスタ等の一部として使用することができる。この観点からは、このような他
の集積素子は従来型のものであり、図2の構造の両側または前面と裏面に配置さ
れることとなる。このような他の素子の配置は当業者には容易に想到される。
さらに、層22、領域23と24を製造するのに使用されるドーピング法は、
拡散を含む従来のドーピン
グプロセスであってもよい。このような拡散は以下の3つのステップで実行する
ことができる。まず最初に、P形不純物を浅く弱く拡散して層22と領域23、
24を形成する。次に領域24をマスクし、P形不純物を比較的に深くかつ比較
的に濃くドープする。最後に、領域23と24をマスクし、P+層22にP形不
純物をさらに深くかつさらに強く拡散して形成する。もちろん、当業者ならば他
の拡散および/またはドーピング法を、本発明の層22と領域2、24の製造法
に基づいて適用することができる。また終端部27は、前に説明したステップで
の段付けと異なり、連続的に段付けすることもできる。
PN接合部28は逆バイアスされ、比較的高い電位拡散が表面29に発生し、
接合終端部27を横切る。とりわけこの電位拡散は終端部27を横切り、P+層
22から基板21に伸長する。終端部27の段付けた構成はいわゆる高電圧、逆
バイアスブロックを達成する。これは、高電位差を比較的広い遷移領域41にわ
たって徐々に低減することによって行われる。しかし集積回路の不活性材料に蓄
積する表面電荷が広く認められ、このことにより表面電位が徐々に低減すること
が妨害される。とりわけ、このような表面電荷は、基板の表面の遷移領域を横切
る電界の均質性を妨害する。そのため、表面電荷は遷移領域を横切る電位の原因
となり、電位を上昇させたり減少させたりする。このよ
うな電位の変動は素子動作に有害であり、素子の故障を引き起こすことがある。
とりわけ電位の上昇により、接合部を流れる過剰電流が発生する傾向があり、こ
のことは接合部ブレークダウンの原因となる。このようなブレークダウンを引き
起こす表面電荷を防止するため、集積回路20は導電フィールドプレート31を
有し、このフィールドプレートは均一な表面電位を終端部27に重畳する。
フィールドプレート31は第1の部分34を含み、この部分はN-基板21の
表面29に接合している。またフィールドプレートの第2の部分36は酸化層3
0にデポジットされる。フィールドプレート31はポリシリコンのような導電性
材料から形成される。このフィールドプレートは終端部27の上に延在する。と
りわけ、フィールドプレート31の部分36は接合終端部27の全長にわたって
延在する。フィールドプレート31は酸化層33の被覆により不活性化され、こ
の酸化層は外側表面38を有する。図3には酸化層33は、下にあるフィールド
プレート31を明瞭にするため示されていない。フィールドプレート31の部分
34はN-基板21とN+層35を介して接合されている。公知のように、N+層
35のN形不純物を表面29に従来の拡散プロセスで拡散することができる。ま
た導電フィールドプレート31を基板21に適用することにより簡単に形成する
ことができる。
フィールドプレート31の配置は従来の技術とは反対である。すなわちこのプ
レートは基板21に設けられ、これに電気的に接続されており、従来のように拡
散層22には設けられていない。フィールドプレート31は終端部27の領域で
表面29の固定電位を維持するように動作する。また、酸化層33の外側表面に
蓄積する表面電荷に関連するいずれの電界もフィールドプレート31を貫通する
ことはできない。すなわち、フィールドプレート31は表面電位を安定化する構
造体である。なぜなら、フィールドは実質的に終端部27を表面電荷の作用から
シールドするからである。
本発明のリバースフィールドプレートの使用および製造法により、集積回路設
計者は、付加的なフィールドプレートをオプションで取り付けることができる。
本発明は、拡散層、例えばP+層22に接近しなければならないようなプレート
構成に使用することは実際的でない。なぜなら、付加的層を拡散層の上に形成し
なければならないからである。また集積回路(IC)にあるこのようなフィール
ドプレート31はすべて実質的に共通の電位、すなわち基板21の電位にあるか
ら、プレート31の電気絶縁は簡単に達成できる。複数のプレート31を集積回
路に取り付けなければならないような状況では、本発明を使用すれば、各プレー
トが異なる高電位表面、例えば拡散層に接続されている通常の場合よりもプレー
トを相互にさらに近接して配
置することができる。所要のプレート間隔が低減することは、素子の大きさおよ
び/またはコストを低減するのに重要な利点である。
本発明には種々多様な改善および変形が上記技術に枠内で可能である。したが
って、従属請求項に記載された観点から本発明を理解すべきである。