【発明の詳細な説明】
髄膜炎菌のトランスフェリン受容体の Tbp2 断片
本発明は髄膜炎菌(Neisseria Meningitidis)のトランスフェリン受容体の T
bp2 サブユニットに由来するポリペプチドと、その治療剤、特にワクチンとして
の利用と、このポリペプチドをコードするDNA断片とに関するものである。
髄膜炎は一般にウィルスまたは細菌によって起こり、その主たる病原菌は髄膜
炎菌(N.meningitidis)とハエモフィラスインフルエンザエ(Haemophilus influ
enzae)で、細菌性髄膜炎の約40〜50%の原因はこれら病原菌である。
N.meningitidis による髄膜炎はフランスでは年間約 600〜800 件を数え、ア
メリカ合衆国では年間約 2,500〜3,000 件にものぼる。
N.meningitidis 種は莢膜多糖(polysaccaride capsulaire)の種類によってさ
らに幾つかの血清グループに分類され、約12の血清グループが存在するが、髄膜
炎の90%は3種類の血清グループA,B,Cによって引き起こされる。
N.meningitidis の血清グループAとCによる髄膜炎を予防するための莢膜多
糖をベースとしたワクチンが既に存在している。この莢膜多糖それ自体は2才以
下の幼児では殆ど免疫原性を持たず、免疫記憶を誘導しないが、この多糖を担体
蛋白に結合させるとこの欠点を無くすことができる。
これに対して N.meningitidisのグループBの多糖は結合体でもそうでなくて
もヒトにほとんど免疫原性を持たないため、N.meningitidis のグループBによ
って引き起こされる髄膜炎
に対する多糖ベースのワクチン以外のワクチンが強く要まれている。
そのために、N.meningitidis の各種外膜蛋白が提案されており、特にヒトの
トランスフェリンの膜受容体が提案されている。
一般に、大部分の細菌は増殖のために鉄を必要とし、この金属を摂取するため
の特別なシステムを有している。特に、遊離状態の鉄の量は人体内ではほぼゼロ
に近く(10-18 M程度)、細菌の増殖には不十分な量しかなく、ヒトに対して強
い病原性を持つ N.meningitidisの場合にはヒトの鉄輸送蛋白、例えばトランス
フェリンやラクトフェリンが鉄の唯一の摂取源である。
すなわち、N.meningitidis はヒトのトランスフェリンおよびラクトフェリン
の受容体を有し、それによって鉄とキレートした蛋白を固定して増殖に必要な鉄
を摂取している。
シュリベール(Schryvers)達は N.meningitidis B16B6株のトランスフェリン
受容体を膜抽出物から単離している(WO 90/12591 号)。精製したこの蛋白質は
基本的に2種類のポリペプチドすなわちSDS存在下のポリアクリルアミドゲル
電気泳動で分離する見掛け分子量が約 100kDの高分子量ポリペプチドと、見掛
け分子量が約70kDの低分子量ポリペプチドとで構成されている。
シュリベール達が精製した物質はトランスフェリン受容体とよばれ、それを構
成するポリペプチドはサブユニットとよばれる。以下では、高分子量のサブユニ
ットおよび低分子量のサブユニットをそれぞれ Tbp1 および Tbp2 とよぶことに
する。
シュリベール達による初期の研究以降、トランスフェリン受容体の構造が異な
る少なくとも2種類の株が存在することが分
かった。このことは種々の起源を有する数十種類のNeisseria meningitidis株の
膜抽出物の研究から明らかになったものである。この研究では先ず膜抽出物をS
DS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離した後、ニトロセルロースフィル
ム上で電気移送(electrotransfer)し、このニトロセルロースフィルムを下記条
件で培養している:
a) N.meningitidis B16B6 株(IM2394ともいわれる)から単離したトランス
フェリン受容体に対する抗体を含むウサギ血清の存在下、
b) N.meningitidis M982株 (IM2169ともいわれる)から単離したトランスフ
ェリン受容体に対する抗体を含むウサギ血清の存在下、または、
c) パーオキシダーゼと結合させたヒトトランスフェリンの存在下。
a)およびb)の場合には、ウサギの免疫グロブリンに対する抗体をパーオキシダ
ーゼと結合させたものを添加し、次いでこの酵素の基質を添加してトランスフェ
リン受容体のサブユニットを検出(視覚化)する。
表I、表IIはSDS存在下で電気泳動した後の 7.5%ポリアクリルアミド上に
見られる代表的な株のプロフィールを示していま。バンドは見掛け分子量(キロ
ダルトン(kD)で表示)で特徴付けてある。
これらの表の最初の2行に記載の結果は2種の株が存在することを示している
。
第1のタイプ(表I)は、この実験条件下で2つのサブユニットが共に抗 IM2
394 受容体血清で認識されるが、抗 IM2169受容体血清では高分子量のサブユニ
ットのみが認識される受容体を有する株に対応している。
第2のタイプ(表II)は、この実験条件下で2つのサブユニットが共に抗 IM2
169 受容体血清で認識されるが、抗 IM2394 受容体血清では高分子量のサブユニ
ットのみが認識される受容体を有する株に対応している。
従って、低分子量サブユニットレベルで抗原性にバラつきがあるが、このバラ
つきは2つの主要タイプに分けられる限定的なものであり、この点はグリフィス
(Griffiths)達の報告の示唆とは違っている(FEMS Macrobiol.Lett.(1990)69
:31)。
この点から、以下、本明細書ではIM2169型の株またはIM2394型の株を参照する
。
表IIに記載の株の他にIM2169型の株には例えばS3032 株(12,P 1.12.16)、6940
(19,P 1.6)、M978(8,P 1.1,7)、2223(B: nd)、1610(B: nd)、C708(A: 4,P 1
.7)、M981(B: 4)、(891ともよばれる)および 2996(B: 2b,P 1.2)等がある。
本出願人はポールマン博士(Dr.Poolman,RIVM,Bilthoven,Holland)より S30
32株、M 978 株および M981 株を、そしてアクトマン博士(Dr.Achtman,Max Pl
ank Institute,Berlin,Germany)から C708 株を無償で譲り受けた。
IM 2349 型のものでは例えば IM2154 株(血清グループC)が挙げられる。
上記の事実からいえることは、高分子量サブユニットは2つ
のタイプの抗血清で認識されるので、N.meningitidis の全ての感染症の予防に
効果的なワクチンは、受容体の起源となる株の種類とは無関係に、高分子量サブ
ユニットで構成すれば十分であるということである。しかし、高分子量のサブユ
ニットは中和抗体を産生することができないので、上記の結論は当てはまらない
。受容体の2つのサブユニットのうちの小さい方(Tbp2)にしかこの機能はないと
いえる。
欧州特許第 586,266号(1994年3月9日公開)には、Im2169株と IM2394 株の
Tbp2 サブユニットのアミノ酸配列と、対応するDNA断片とが開示されている
。これらの配列は本明細書の配列 NO.1〜4に示してある。
配列 NO.5〜10には IM2169 型の株である M978 株、6940株および S3032株の
Tbp2 サブユニットの配列が示されている。
IM 2154(IM 2394型)の Tbp2 サブユニットは IM 2349のTbp2サブユニットの
配列と比べて 306番目と 510番目の2つのアミノ酸が異なる。
Tbp2サブユニットはいずれの株に由来するものでも構造の点で3つの主要な領
域を有し、そのうち少なくとも1つが特定の性質に関係することが見出されてい
る。IM 2169 の Tbp2 とIM2394の Tbp2 の領域は定義により配列NO.1〜3に示
した番号を参照して各領域の境界を含めたアミノ酸の位置を示す下記の表の通り
に決定された。
IM 2169 または IM2394 型の配列を基準配列と相同性が最大となるように並べ
ると、この定義は全ての IM2169 型 またはIM2394型の Tbp2 に同様に当てはま
る。例えば、図1を参照するとM978の Tbp2 サブユニットの領域の位置は以下の
ように表される:
第1領域(1-346)、第2領域(347-557)および第3領域(558-705)。
また、ヒトでのワクチン効果を得るには、N末端領域または第1領域および/
または継ぎ目領域または第2領域が必要十分条件であり、 Tbp2 を完全な形で使
用する必要はないということが分かった。特に、第1領域がトランスフェリン結
合部位のほぼ全体を含んでおり、従って、おそらくは外側に表れ、その結果ワク
チンの選択要素を構成するということがわかった。
さらに、IM 2169 型の Tbp2 の第2領域のうちの一定の範囲は一般に非常に変
化し易く、免疫優勢であることが分かった。
従って、ワクチンを得るためには2つのアプローチが可能である。すなわち、免
疫優勢なエピトープはワクチンとして有効な他のエピトープをマスクすることが
できると考えて、それらを欠失させるか、この可変性を利用してこれらの範囲の
みをワクチン中に保持するかが可能である。
従って、本発明は、それぞれの基準株 IM2169 またはIM2394の Tbp2 サブユニ
ットの配列と相同性が最大となるように整合させることによって定義される第1
、第2および第3の領域を有する N.meningitidisの IM2169 または IM2394 型
の株のトランスフェリン受容体の Tbp2 サブユニットのアミノ酸配列から得られ
るアミノ酸配列、特に、第1および第2の領域を同時に完全に欠失させることは
ないという条件で、IM2169型またはIM 2394 型の Tbp2 サブユニットの少なくと
も1つの領域を全てまたは部分的に欠失させて得られるアミノ酸配列を有するポ
リペプチドを提案する。
「別の配列から得られる配列」とは思考上のプロセスで文字通り別の配列から
得られる配列を意味する。
本発明のポリペプチドは IM2169 型または IM2394 型のTbp2サブユニットから
下記操作で得られるアミノ酸配列を有している:
(i)少なくとも1つの領域の全体または一部、特に Tbp2 サブユニットの第2
および第3領域から選択される部分、好ましくは第3領域または第2および第3
領域の全てまたは一部をを欠失させるか
(ii)第1および第3領域の全体を欠失させるか、
(iii)第3領域全体を欠失させ且つ第1領域を部分的に欠失させ、場合によっ
ては第2領域を部分的に欠失させる。
好ましくは、本発明のポリペプチドは第3領域を部分的、ほぼ完全または完全
に欠失し、好ましくは完全に欠失している。
この場合、第1および第2の領域は互いに独立して完全に保存されるか、部分的
または完全に欠失することができる。
下記の組み合わせが可能である(なお、第1、第2および第3の領域全体はそ
れぞれ1、2、で表し、○および△は部分的および完全な欠失を意味する):
1、2、△3; 1、○2、△3; 1、△2、△3;
○1、2、△3;○1、○2、△3;○1、△2、△3;
△1、2、△3;△1、○2、△3;
1、2、○3; 1、○2、○3; 1、△2、○3;
○1、2、○3;○1、○2、○3;○1、△2、○3;
△1、2、○3;△1、○2、○3;
また、IM 2169 型の Tbp2 サブユニットから第2領域を部分的に欠失させ、第
1および第3の領域は完全またはほぼ完全に保持された本発明のポリペプチド、
すなわち1、○2、○3の組み合わせも重要である(ここでは「ほぼ完全に保持
された領域」とは最大約5個の非常に少ない箇所が変化した領域を意味する)。
本発明のポリペプチドは○1、○2、3の組み合わせに対応するものでもよく、
第1領域の部分的な欠失が IM2169 株の Tbp2 の1番目のアミノ酸から約40番目
のアミノ酸までの範囲と相同な範囲に有利な影響を与える。
本発明のポリペプチドが IM2169 型の Tbp2 サブユニットの第2領域を部分的
に欠失させて得られる場合、この部分的な欠失は IM2169 配列の下記の範囲と相
同な第2領域中の1つまたは複数の範囲に有利な影響を与える:
(i)362 番目のアミノ酸から379 番目のアミノ酸まで
(ii)418 番目のアミノ酸から444 番目のアミノ酸まで
(iii)465 番目のアミノ酸から481 番目のアミノ酸まで
(iv)500 番目のアミノ酸から520 番目のアミノ酸まで
部分的な欠失は上記(i)〜(iv)の4つの範囲に同時に影響を与えるのが好まし
い。
本発明のポリペプチドが IM2169 型の Tbp2 サブユニットの第3領域を完全に
欠失させ、第2領域をほぼ完全に欠失させ、第1領域は完全な状態で保持するか
、第1領域のN末端部位を欠失させて得られる場合には、第2領域のほぼ完全な
欠失は下記範囲で行う:
1) IM 2169 型の Tbp2 サブユニット由来のポリペプチドの場合には、IM 2169
の Tbp2 サブユニットの第2領域の 346番目〜361 番目のいずれかのアミノ酸
から543 番目のアノ酸までの範囲と相同な範囲、
2) IM 2394 型の Tbp2 サブユニット由来のポリペプチドの場合には、IM 2394
の Tbp2 サブユニットの第2領域の 236〜341 番目のいずれかのアミノ酸から
442番目のアミノ酸までの範囲と相同な範囲。
本発明ポリペプチドが、 IM2169 型または IM2394 型のTbp2サブユニットの第
1領域を部分的に欠失させて得られる場合には、この部分的な欠失は下記の範囲
の全てまたは一部に有利な影響を与える:
(i)IM 2169 型のTbp2サブユニットの第1領域の1番目のアミノ酸から281 番
目のアミノ酸までの範囲と相同な範囲または
(ii)IM 2394 型の Tbp2 サブユニットの第1領域の1番目のアミノ酸から266
番目のアミノ酸までの範囲と相同な範
囲。
上記の例としては下記範囲に影響を与える有利な欠失を挙げることができる:
(i)IM 2169 型の Tbp2 サブユニットの第1領域の1番目のアミノ酸から約40
番目のアミノ酸までの範囲と相同な範囲、または
(ii)IM 2394 型の Tbp2 サブユニットの第1領域の1番目のアミノ酸から約45
番目のアミノ酸までの範囲と相同な範囲。
本発明ポリペプチドの基になる IM2169 型または IM2394 型の配列はそれぞれ
の基準配列 IM2169 または IM2394 に対して少なくとも70-75 %、好ましくは少
なくとも80%、特別有利な場合では少なくとも90%の相同性を示すのが好ましい
。
特に好ましい実施例の本発明ポリペプチドは IM2169 またはIM 2394 の Tbp2
サブユニットの配列に由来する配列を有している。
相同性の度合いは最大限の相同性が得られるように2つの配列を整合させるこ
とによって容易に計算することができる。そのためには、図1〜図4および図8
〜図10に示すように意図的に空の空間を導入する必要があろう。最適な整合がで
きたら、位置の総数に対する2つの配列のアミノ酸が一致する位置の数から相同
性の度合いを求めることができる。
組み合わせの数が非常に多いので、長くなるのを避けるために相同配列は包括
的な方法で記載する。蛋白質の生物学的または免疫学的機能を損なわずに1つの
アミノ酸を別のアミノ酸で置き換えるための一般的な法則は当業者には周知であ
る。
好ましい例としては下記の配列との相同性が少なくとも70〜
75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、絶対的に
有利な場合としては 100%である本発明のポリペプチドを挙げることができる:
(i)配列 NO.1に示した配列の1番目のアミノ酸から 345番目のアミノ酸ま
で
(ii)配列 NO.3に示した配列の1番目のアミノ酸から 325番または 442番目
のアミノ酸まで
(iii)配列 NO.1に示した配列の1番目のアミノ酸から 691番または 543番目
のアミノ酸までのうち 362〜379 、418 〜444 、 465〜481 および 500〜520 の
範囲を欠失させたもの
(iv)配列 NO.1に示した配列の 346番目のアミノ酸から 543番目のアミノ酸
まで。
上記に相当するポリペプチドの具体的は以下の通り:
(i)実質的に配列 NO.1、5、7、9、36または38の1番目のアミノ酸から
それぞれ 350、351 、354 、358 、322 または 346番目のアミノ酸までの配列を
含む本発明のポリペプチド
(ii)実質的に配列 NO.3の1番目のアミノ酸から 330番目のアミノ酸までの
配列を含む本発明のポリペプチド
(iii)実質的に以下配列の本発明のポリペプチド:
1)配列 NO.1の1番目のアミノ酸から 691番目のアミノ酸のうち 362-379
、418-444 、465-481 および500-520 の範囲を欠失させた配列、
2)配列 NO.5の1番目のアミノ酸から 705番目のアミノ酸のうち 365-382
、 421-453、 474-495、514-534 を欠失させた配列、
3)配列 NO.7の1番目のアミノ酸から 693番目のアミノ酸のうち 366-383
、 422-448、 469-485 および504-524を欠失させた配列、
4)配列 NO.9の1番目のアミノ酸から 699番目のアミノ酸のうち 372-389
、 428-454、 475-491および 510-529を欠失させた配列
5)配列 NO.36の1番目のアミノ酸から699 番目のアミノ酸のうち 339-356
、 395-421、 443-458および 477-497を欠失させた配列、または
6)配列 NO.38の1番目のアミノ酸から699 番目のアミノ酸のうち 363-380
、 429-445、 467-482および 501-521を欠失させた配列、および
(iv)実質的に下記配列を有する本発明のポリペプチド:
1)配列 NO.1の 346番目のアミノ酸から 543番目のアミノ酸までの配列、
2)配列 NO.5の 347番目のアミノ酸から 557番目のアミノ酸までの配列、
3)配列 NO.7の 350番目のアミノ酸から 557番目のアミノ酸までの配列、
4)配列 NO.9の 354番目のアミノ酸から 551番目のアミノ酸までの配列、
5)配列 NO.36の 323番目のアミノ酸から 521番目のアミ酸までの配列、あ
るいは
6)配列 NO.38の 345番目のアミノ酸から 544番目のアミ酸までの配列。
(i)〜(iv)の定義に相当するペプチドは実施例で説明する。
本発明ポリペプチドは少なくとも10個、好ましくは少なくと
も20個、さらに好ましくは少なくとも50個、絶対的に有利な場合には少なくとも
100個のアミノ酸を有する。
本発明ポリペプチドは IM2169 株および IM2394 株の Tbp2 サブユニットの配
列(これらの配列は、配列 NO.1、配列 NO.3にその1番目のアミノ酸からC末
端までが示してある)と相同性を持たないアミノ酸配列を含んでいてもよい。
一般に、追加の配列は Tbp2 以外の任意のポリペプチド配列にすることができ
る。
例えば、この追加の配列は本発明ポリペプチドのN末端位置にあるシグナルペ
プチドにすることができる。シグナル配列の例は配列 NO.1〜4に示してある。
また、適当なヘテロ構造のシグナル配列をリポ蛋白をコードする遺伝子のシグナ
ル配列とすることもできる。
本発明の他の解消は以下のものにある:
(i)本発明ポリペプチドをコードする単離されたDNA、
(ii)本発明DNA断片の適当な宿主細胞内でそれを発現できる少なくとも1つ
の要素の制御下で含む発現カセット、
(iii)本発明発現カセットを含む宿主細胞を培養するための本発明ポリペプチ
ドの製造方法。
「単離されたDNA断片」とは本発明のDNA断片が Tbp2サブユニット全体
をコードするDNA断片中に組み込まれていないということを意味する。
発現カセットの場合には、本発明DNA断片をシグナルペプチドをコードする
DNAブロックと組み合わせても組み合わせなくてもよく、このシグナルペプチ
ドはポリペプチドの分泌を求めるか否かによってDNA断片によってコードされ
るポリペプチドに対してヘテロ構造でもそうでなくともよい。
ヘテロ構造のシグナルペプチド(シグナル領域)をコードするDNAブロック
すなわちプロモータのような要素は既に多数存在しており、当業者には周知であ
る。当業者は発現を行おうとする宿主細胞に適した特定のシグナル領域またはプ
ロモータを選択することができる。
本発明方法では宿主細胞は哺乳類の細胞、バクテリアまたは酵母にすることが
でき、後者の2つが好ましい。この場合も当業者が特定系統を選択することがで
きる。
本発明のさらに他の対象は下記のモノクロナル抗体にある:
(i)IM 2169 または IM2394 型の Tbp2 サブユニットの第1領域に存在するエ
ピトープを認識可能なモノクロナル抗体〔このエピトープの配列は IM2394 株の
Tbp2 サブユニットの第1領域にあり、YKGTW (配列 NO.32)、EFEVDFSDKTIKGT
L (配列 NO.33)、EGGFYGPKGEEL(配列 NO.34)および AVFGAK (配列 NO.35
)の中から選択される配列と相同である)、場合によっては、さらに、
(ii)IM 2169 または IM2394 型のTbp2サブユニットの第3領域に存在するエピ
トープ認識することのできないモノクロナル抗体(このエプトープの配列は認識
される第1領域のエピトープの配列と相同)。
(ii)の具体例では、IM2394の Tbp2 サブユニットの第1領域の配列に対して2
つづつ相同な第3領域の配列はそれぞれ443-447 、472-485 、537-548 および56
8-573 の位置で見られるということを指摘しておく。
本発明の好ましいモノクロナルは以下のものである:
(i)IM 2169 または IM2394 型の Tbp2 サブユニットの第1領域に存在し、配
列が IM2394 株の Tbp2 サブユニット
の第1領域に存在する EGGFYGPKGEEL 配列と相同である範囲を認識できるモノク
ロナル、場合によってはさらに
(ii)IM 2169 または IM2394 型の Tbp2 サブユニットの第3領域に存在し、配
列が IM2394 株の Tbp2 サブユニットの第3領域に存在する SGGFYGKNAIEM 配列
と相同であるエピトープを認識できないモノクロナル
好ましいモノクロナルは以下のものである:
(i)IM 2394 株の Tbp2 サブユニットの第1領域に存在するエピトープ GFYGP
K を認識することがでと、さらに
(ii)IM 2394 の Tbp2 サブユニットの第3領域に存在する等価なエピトープを
認識することができない。
このようなモノクロナルは殺菌性であることが知られているので、N.meningi
tidis 感染症に対する受動免疫治療において医薬組成物の活性成分として使用す
ることができる。
本発明のさらに他の対象は活性成分として本発明ポリペプチドを少なくとも1
つ含む医薬組成物にある。
本発明の医薬組成物は人間のN.meningitidis に対する免疫応答を誘導し、特
に N.meningitidis感染症から人間を守るためのワクチン効果を誘導する予防ま
たは治療の分野で有用である。
本発明組成物は活性成分として少なくとも2種類の本発明ポリペプチド、すな
わち少なくとも1種の IM2169 型の Tbp2 サブユニットに由来する配列を有する
第1のポリペプチドと、少なくとも1種の IM2394 型の Tbp2 サブユニットに由
来する配列を有する第2のポリペプチドとを含んでいるのが有利である。本発明
組成物は、さらに、少なくとも1種の IM2169 型のTbp2サブユニットの配列に由
来する配列を有するポリペプチドと、
少なくとも1種の IM2394 型の Tbp2 サブユニットとを少なくとも1つ含むこと
もできる。
本発明医薬組成物の成分である IM2394 型ポリペプチドは、それが由来する I
M2394 株の Tbp2 サブユニットの第1領域の配列と相同な配列の全体または一部
を含むポリペプチドであることが極めて好ましい。配列の保持すべき部分は IM2
394 株のTbp2サブユニットの 267番目のアミノ酸から 325番目のアミノ酸までの
範囲の相同物である。このようなポリペプチド配列はIM 2394 型の Tbp2 サブユ
ニットの配列から得ることができ、特に、IM 2394 型の Tbp2 サブユニットの第
2または第3領域の範囲を部分的または完全に欠失させて得られる。
従って、2種類の成分(IM2394 型のものとIM2169型のもの)を含む医薬組成物
を得るためには下記の IM2394 型のポリペプチドが特に好ましい:
1、 2、○3; 1、2、△3;1、○2、△3;
1、△2、△3;○1、2、○3;○1、2、△3;
○1、○2、△3;○1、△2、△3
本発明医薬組成物の成分である IM2169 型のペプチドの場合には下記2つの好
ましいアプローチ方法がある:
A) IM 2394 型のポリペプチドを基になる IM2169 株の Tbp2 サブユニットの第
1領域の配列と相同な配列の全てまたは一部を有するポリペプチドと組み合わせ
る。この場合、保持すべき配列部分は IM2169 株のTbp2サブユニットの 282番目
のアミノ酸から 345番目のアミノ酸までの範囲の相同物である。このポリペプチ
ドの配列は IM2169 型の Tbp2 サブユニットの配列から IM2169 型の Tbp2 サブ
ユニットの第2または第3領域の前部または一部を欠失させて得ら
れる。
従って、この方法で2種類の成分(IM 2394 型およびIM2169 型)を含む
医薬組成物を得るには下記の IM2169 型のポリペプチドが特に好ましい:
1、2、○3; 1、2、△3;1、○2、△3;
1、△2、△3;○1、2、○3;○1、2、△3;
○1、○2、△3;○1、△2、△3
1、○2、3;○1、○2、3
上記2つの可能性(1、○2、3;○1、○2、3)の場合には、第2領
域の部分的な欠失はIM 2169 配列の下記範囲に相同な1種または複数の第2領域
の範囲で行うことが極めて有利である:
i)362 番目のアミノ酸から379 番目のアミノ酸まで
ii)418 番目のアミノ酸から444 番目のアミノ酸まで
iii)465 番目のアミノ酸から481 番目のアミノ酸まで
iv)500 番目のアミノ酸から520 番目のアミノ酸まで
この部分的な欠失はこのi)〜iv)の4つの範囲で同時に起こるのが好ま
しい。
B) IM 2394 型のポリペプチドを IM2169 型の Tbp2 サブユニットから第2領域
を部分的に欠失させ、第1または第3領域を完全またはほぼ完全に欠失させて得
られる第2領域全体を含む配列(△1、2、△3)を有するポリペプチドと組み
合わせる。この場合、2成分(IM 2394 型と IM2169 型)を含む医薬組成物は複
数の IM2169 型ポリペプチドを含む(△1、2、△3)のが好ましく、例えば(
△1、2、△3)IM2169、M978、6940および S3032の中から選択される2種以上
のポリペプチドを含むことができる。
本発明医薬組成物は通常の方法で製造することができる。本発明のポリペプチ
ド(単数または複数)は薬理学上許容されるアジュバント、希釈剤またはベヒク
ルと組み合わせることができ、本発明組成物はワクチン分野で一般に用いられて
いる任意の経路、特に皮下注射、筋肉注射または静脈注射で例えば注射用懸濁液
の状態で投与することができる。投与は1回で行ってもよく、あるいは一定の間
隔をおいて1回または数回反復して行ってもよい。1回の投与量は各種のパラメ
ータ、例えば治療を受ける個人または投与方法によって変化する。
本発明の対象を達成するための N.meningitidis IM2394 株および IM2169 株
は Collection Nationale de Culture des Microorganismes(CNCM)(パスツー
ル研究所、75015 パリ リュ ドュ ドクトゥール ロワ25)からそれぞれ寄託
番号 LNPN 1511および LNP N 1520 で誰でも入手可能である。
以下、添付の図1〜図10を参照して本発明の実施例を説明する。
図1〜図3、図8および図9はそれぞれM978、6940、 S3032、BZ83、BZ163 株
の Tbp2 配列を IM2169 株の Tbp2 配列と相同性が最大となるように整合させた
状態を示している。相同性の度合いは78.9、81.2、79.6、71.3および81.8%であ
る。
図4は IM2169(1),6940(2),2223(3),C708(4),M978(5),1610(6),867(7)
,S3032(8)および 891(9)株の Tbp2 の継ぎ目領域(第2領域)の配列を相同性
が最大となるように整合させたものである。配列 NO.2に記載の IM2169 の番号
はイタリックで示してある。好ましい実施例で欠失できる配列は太字で示してあ
る。(C)はコンセンサス配列を表す。
図5〜図7はそれぞれプラスミド pTG5782、pTG5755 および
pTG5783 の構造を具体的に示したものである。
図10は IM2169(1),2223(2),708(3),M528(4),6940(5),M978(6),1610(7)
,S3032(8),867(9),BZ83(10)、BZ163(11)株の Tbp2 の継ぎ目領域(第2領域
)の配列を相同性が最大となるように整合させたものである。配列 NO.2に記載
のIM2169の番号はイタリックで示してある。好ましい具体例で欠失できる配列は
太字で示してある。(C)はコンセンサス配列を表す。実施例1
配列 NO.1(IM2169)に示す配列の1番目のアミノ酸から350番目のアミノ酸ま でを含むポリペプチトT/2169(1、○2、△3;1-350)
1A.T/2169(1-350)をコードするDNA断片の調製
ベクターpTG 5782の作製
欧州特許第 586,226号に記載のプラスミド pTG3712を用い、Tbp2をコードする
配列の下流側で部位特異的変異処理によってHindIII 制限部位を導入してプラス
ミド pTG4704を作製する。
プラスミド pTG3712を用い、RlpBの分泌シグナルをコードする配列および成熟
Tbp2 をコードする配列の頭の部分から内部の HaeII部位までをプライマーOTG4
915およびOTG4651を用いてPCRで増幅する。
次いで、PCR 断片をBspHI とHaeII とで処理し、pTG 4704のHaeII-HindIII 断
片(Tbp2をコードする領域の3'部位を含む)と一緒にNcoIおよびHindIII で処理
した欧州特許第 586,266号に記載のプラスミド pTG3704に挿入してプラスミドpT
G5768 を作製する。
プラスミド pTG3721を用い、Tbp2のN末端部位をコードする配列を含む断片を
プライマーOTG4928 およびOTG5011 を用いてPCRで増幅する。
このPCR 断片を SphI および HindIIIで処理し、次いで、欧州特許第 586,266
号に記載のプラスミド pTG4710中でクローニングしてプラスミド pTG5740が作製
する。
ヒトのトランスフェリン(hTf)結合領域をコードする配列の3'部位(第1領域
をコードする範囲の3')を有する pTG5740のHaeII-HindIII 断片を araB プロ
モータ、rlpBシグナルシーケンスおよび Tbp2 をコードする配列の頭の部分を含
む pTG5768
の BamHI-HaeII断片と一緒に BamHIおよびHindIII で処理してプラスミドpTG370
4 に挿入する。こうしてプラスミド pTG5782を得る。このベクターは araB プロ
モータと、Tbp2のN末端領域(1-350)をコードする配列に連結された RlpB の分
泌シグナルをコードする配列とを含む。
1B.T/2169(1-350)の製造および精製
E.coli 株(Xac-I)をpTG5782 で形質転換させる。形質転換細胞は M9 培地+0
.5 琥珀酸エステル+50μg/mlのアルギニン+100 μg/mlのアンピシリン中で温
度37℃で培養する。指数増殖期に、0.2 %のアラビノース(誘導物質)を添加す
る。1時間誘導させた後、細胞を取り出して細胞抽出物を調製する。ウェスタン
ブロット分析の後、hTF パーオキシダーゼを用いて可視化して優勢なバンドを検
出する。優勢バンドのMWが切り出した形の Tbp2 について予想されるMWに相当す
る。
WO93/6861 号(1993年4月15日公開)の実施例4に記載の試験を行った結果、
精製済み T/2169 は殺菌性の抗体を誘導する能力があり、従って、ワクチンとし
て有用であることが分かった。実施例2
配列 NO.2(IM2394)の第1番目のアミノ酸から340番目のアミノ酸までの配列を 含むポリペプチドT/2394(1、○2、△3;1-340)
2A.T/2394(1-340)をコードするDNA断片の調製
ベクターpTG 5755の作製
欧州特許第 586,226号に記載のプラスミド pTG4710を用い、
hTf 結合領域のC末端部位をコードする範囲を含む断片をプライマーOTG4873 お
よびOTG4877 を用いてPCRで増幅する。次いで、この断片を MluI とHindIII
とで処理する。
プラスミド pTG4710をMluIとHindIII とで処理する。Tbp2をコードする配列の
3'部位を含む MluI-HindIII 断片を hTf結合領域のC末端部位をコードするPC
R断片で置換して、プラスミド pTG5707を作製する。プラスミド pTG5707中の a
raB プロモータと Tbp2 をコードする配列の頭の部分とを含むBamHI-MluI 断片
を欧州特許第 586,226号に記載の pTG4764のBamHI-MluI断片(araBプロモータと
、Tbp2のN末端領域をコードする配列に連結された RlpB 分泌シグナルをコード
する配列とを含む)で置換してプラスミド pTG5755を作製する。このベクターは
araB プローモータと Tbp2 のN末端領域(1-340)をコードする配列に連結され
た RlpB の分泌シグナルをコードする配列とを含む。
2B.T/2394(1-340)の製造および精製
T/2394(1-340)を実施例1Bと同様に製造・精製する。
WO93/6861 号(1993年4月15日公開)の実施例4に記載と同じ試験を行って、
精製済みT/2394が殺菌性の抗体を誘導する能力を有し、従ってワクチンとして有
用であることが分かる。実施例3
配列 NO.1の1番目のアミノ酸から691 番目のアミノ酸までの配列から362-37
9、418-444、465-481および500-520の範囲を欠失させたものと同一の配列を有す
るポリペプチド D4/2169(1、○2、3)
3A.D4/2169 をコードするDNA断片の調製
1.1.DNA断片のクローニング
N.meningitidis のIM2169株の Tbp2 をコードするDNA断片をPCR(ポリ
メラーゼ連鎖反応)によって5'および3'領域に対して相補特異的なプライマー
(A5'およびA3')を用いて IM2169 のバクテリア培養物から抽出した 10ng
のゲノムDNA上で増幅する。
こうして得られたDNA断片を EcoRI で処理する。この断片は 2150nt を含
む。次いで、この EcoRI断片をファージミドpブルースクリプトSK(-)(ストラク
ジーン(Stratagene)社)の脱リン酸化された EcoRI断片にリゲーションして組み
換えファージミド pSK/2169tbp2 を得る。
1.2.欠失の作製
M 982 株の thp2 配列を含むクローン pSK/2169tbp2 をクンケルの方法(Kunke
l,PNAS(1985)82:448)で欠失させる。
簡単に言えば、ストラタジーン(SLratagene、親ベクターの発売元)の説明に
従ってヘルパーファージVSC M13 を用いて取り出してファージ型の組み換えファ
ージミド pSK/2169tbp2 を得る。これを用いてバクテリアCJ236 株を感染させる
。CJ236 株によって行われる dutおよび ung突然変異の結果、ヌクレオ
チド前駆物質dUTPを組み込んだDNA分子が合成される。
ファージを回収し、フェノール/クロロホルム混合物を用いて一本鎖DNAを
抽出する。このDNAを標準的条件の下で以下のオリゴヌクレオチドとハイブリ
ダイズさせる:
ハイブリダイゼーション反応は温度70℃〜30℃に下げて30分間行う。
4つのデオキシヌクレオチド、T4DNAポリメラーゼおよびT4DNAリガ
ーゼの存在下での標準的条件下で完全合成で相袖的な第2鎖ができる。
E.Coli SURE株(ストラタジーン)を得られたDNAで形質転換する。この株
では dUTP を有する分子すなわち突然変異されない分子が破壊されている。
得られたファージを通常の方法(プラスミド DNAを迅速に調製し、適当な制限
酵素で処理する標準的な方法)で分析する。ヌクレオチド配列から所望の突然変
異の存在が確認される。
4つの突然変異すなわち△1203-1256,△1371-1451,△1512-1562および△161
7-1679を有する pSK2169♯7が選択される。
3B.発現ベクターpTG5783 の作製
プラスミド pTG5768を HpaI と XcmI で処理する。pTG5768の XcmI-XcmI断片
およびプラスミド pSK2169ed♯7のHpaI-XcmI断片を同時にこのベクターに挿入し
てプラスミド pTG5783を作製する。このベクターは araB プロモータと、変性さ
れたpbp2
配列(d1 からd4の欠失)に連結した RlpB の分泌シグナルをコードする配列とを
含んでいる。
3C.D4/2169の調製および精製
D4/2169を作製し、実施例1Bに従って精製する。
WO93/6861 号(1993年4月15日公開)の実施例4に記載の試験によって精製済
み D4/2169は殺菌性の抗体を誘導する能力があり、ワクチンを得るために有用で
あることが分かる。実施例4〜8
各種の株の Thp2 の第2領域(継ぎ目領域)に相当するポリペプチド 4)C/222 3,5)C/M981,6)C/1610,7)C/M987 および8)C/C708
N.meningitidis 2223、M981、1610、M987およびC708 株のTbp 2 をコードす
るDNA断片を実施例3Aに記載と同様にPCR増幅し、同じ2つのプロモータ
を用いてクローニングする。同様に、これらの断片をファージミド pブルースク
リプトSK(-)のEcoRI または EcoRI/BamHI部位に挿入する。第2領域をコードす
る範囲のシーケンシングを行った。各配列から導かれるアミノ酸配列を図4に示
す。
araBプロモータの制御下での rlpB シグナル配列のクローニングを行うのに適
した開裂部位を導入することによって、各塩基配列に基づいて2つの領域のそれ
ぞれに特異的なプライマーを作製する。これらのプライマーはPCRで各 Tbp2
の第2領域をコードする範囲を増幅させる。この範囲を上記と同様にaraBプロモ
ータの制御下で rlpB シグナル配列を含むプラスミドへクローニングする。
ペプチドの発現は実施例1Bに記載の方法で行う。実施例9
N.meningitidis 感染症の予防用ワクチン組成物
(T/2169-T/2394)
実施例1B、2Bに従って精製したT/2169およびT/2394の滅菌溶液を溶解させ
る。各活性成分を100 μg/ml含有する1リットルのワクチン溶液を調製するため
に下記溶液を無菌状態で混合する:
1) T/2394の溶液〔緩衝液C(500mM リン酸緩衝液、pH8、サ
ルコシル0.05%中に1g/ml〕 100 ml
2) T/2169の溶液〔緩衝液C中に1mg/m〕 100 ml
3) pH6.0 の緩衝生理食塩水(PBS) 300 ml
4) 水酸化アルミニウム(Al+++10mg/ml) 50 ml
5) PBSのメルチオレート1%(w/v)溶液 10 ml
6) PBSqs 1,000 ml実施例10
N.meningitidis 感染症の予防用ワクチン組成物
(D4/2169-Tbp2/2394)
実施例3Cで精製した D4/2169の無菌溶液を溶解させる。欧州特許第 586,266
号の実施例3に従って調製・精製したTbp2/2394 の無菌溶液を同様に処理する。
各活性成分を100μg/ml含有する1リットルのワクチン溶液を調製するために下
記溶液を無菌状態で混合した:
1) Tbp2/2394溶液(緩衝液C中に1g/ml) 100 ml
2) D4/2169溶液(緩衝液C中に1g/ml) 100 ml
3) pH6.0 の緩衝生理食塩水(PBS) 300 ml
4) 水酸化アルミニウム(Al+++10mg/ml) 50 ml
5) PBSのメルチオレート1%(w/v)溶液 10 ml
6) PBSqs 1,000 ml実施例11
IM2394 Thp2の第1領域のエピトープGFYGPKGEを認識可能な抗体の作製
11A.マウスの免疫処置およびハイブリドーマの作製
Balb/Cマウスよりも多くのIgG2a、IgG2b および IgG3 を産生することが知ら
れているMRL/Lpr-Lpr マウス(J.Immunol.Methods(1991)144:165)に、フロ
イント(Freund)の完全アジュバントを用いて IM2394 株の膜断片50μgを第1回
目に腹膜内注射する。使用する膜断片は以下のようにして調製する:
凍結乾燥状態で保存された IM2394 株を取り、ミューラーヒントンアガー(Mue
ller-Hinton agar)上で20%の二酸化炭素を含む雰囲気下、温度37℃で一夜培養
する。細菌群を集め、ミューラーヒントンブロスに30μMのEDDA(エチレン
ジアミンジ(オルト−ヒドロキシ酢酸)−シグマ(Sigma)社製)を添加したもの
を入れたエルレンマイヤーフラスコに接種する。回転攪拌しながら37℃で5時間
培養後、培養液を遠心分離する。細菌ペレットをpH8のトリス−塩酸緩衝液中に
懸濁し、高圧で運転されている超音波装置(ラニー(Ranny)社製、8.30H型)を
用いて細胞懸濁液を溶解させる。得られた懸濁液を低速遠心分離して細胞の破片
を除去し、超遠心分離(140,000+g、75分、4℃)で膜を集める。膜断片を最後
に50mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8)に取り、その蛋白濃度を測定する。
この第1回目の注射に続いて、21日および49日後に2回の二次免疫注射を行う
。二次免疫注射の1回の投与では欧州特許第5586,266号の実施例3に従って精製
した Tbp2 蛋白質の25μgをフロイントの不完全アジュバントを用いたエマルジ
ョンの形投与する。
特異的モノクロナル抗体を製造するために、56日後に最も高い抗体価を示すマ
ウス(エライサ法(ELISA)による免疫血清のモニタリングで)を選択する。この
マウスに最後の二次免疫注射をし(最初の注射から78日後)、欧州特許第 586,2
66号の実施例3に従って精製した Tbp2 蛋白質25μgを静脈注射および腹膜内注
射の両方で接種する。3日後、動物脾臓を取り出し、脾臓細胞をP3×63Ag8653マ
ウスミエローマ細胞と融合させる(1個のミエローマ細胞に付き4個の脾臓細胞
の割合)。ここで用いる融合プロトコルはコーラーとミルスタイン(G.kohlerand
C.Milstein)の最初の報告(Nature(1975)256:495)で用いる。融合後、細胞を
養育細胞層で覆われた無菌のマイクロウェル(ニュンク(Nunc)社製)に1つのウ
ェル当り100,000個の細胞の割合で200μlの選択培地〔20%のFCSと濃度2%
(V/V)ヒポキサンチン/アザセリン/チミジン混合物とを含有するDMEM培地
(ギブコ社製、商品番号043-01060H)〕に入れる。選択培地は6日後に非選択培
地〔20%のFCSと濃度2%(V/Vのヒポキサンチン/チミジン混合物とを含有
するDMEM培地(ギブコ社製、商品番号043-01065H)〕と交換する。
11B.ハイブリドーマのスクリーニング
ハイブリドーマ培養液の上澄みを下記方法でエライサ法で試験する。
5μg/mlの RT2394 を含む炭酸塩緩衝液(50mM、pH 9.6)溶
液 100μlを用いて温度4℃で一夜「感受化」した後、1%の牛血清アルブミン
(w/v)を含有する0.1M燐酸緩衝液(PBS-BA)200μlを用いて37℃で1時間飽和し
、エライサプレートのマイクロウェルに100μlのハイブリドーマ培養液の上澄
み(または0.05%のTween20を含有するPBS-BAを用いて調製された免疫血清の希
釈物)(PBS-T-BA)を導入する。さらに、37℃で1時間30分培養した後、PBS-Twee
nを用いて5回洗浄し、マウスのイソタイプIgG2a、IgG2b、IgG3に特異的なアル
カリホスファターゼ(AP)に結合させた抗体の混合溶液100μlでウェルを覆い、
殺菌試験で機能し得る特定の抗体を分泌するハイブリドーマのみを選択する。結
合抗体の混合溶液は3種類のヤギの免疫血清すなわちヤギの抗 IgG2a-PA(カル
タグ(Cartag)社製)、ヤギの抗 IgG2b-AP (カルタグ社製)およびヤギの抗IgG3
-PA(カルタグ社製)をPBS-T-BAバッファーで1/1500に希釈して調製する。結合
抗体の溶液を37℃で1時間30分培養し、5回洗浄した後、0.1Mのジエタノール
緩衝液(pH 9.8)に5mg/mlのパラニトロフェニル燐酸を含む溶液100μlを用い
て、酵素反応を可視化する。30分後に50μlの1N水酸化ナトリウムを添加して
反応の進行を停止させ、405 nmで分光分析する。
この最初のスクリーニングで陽性となったクローンについてウエスタンブロッ
ティング法を用いて Tbp2 サブユニットを認識する能力を分析する。
そのために、WO93/6861号の実施例1、2に従って調製したIM2394(0.863mg/m
l)およびIM2169(0.782mg/ml)のトランスフェリン受容体を1Mのトリス緩衝液
(pH 6.8)で1/10まで希釈し、次いでTE緩衝液(100mMトリス−塩酸、10mMEDT
A、 pH8.0)を用いて調製された25%のSDS溶液約10%(v/v)と、5
%(v/v)のβ−メルカプトエタノールとを添加して変性させる。56℃で15分間処
理した後、変性された IM2394 または IM2169 トランスフェリン受容体を含む 1
10μlの等分画分を7.5%のポリアクリルアミドゲルに添加する。バイオラッド(
Biorad)社のセルを用いて200Vで1時間泳動後、蛋白質をニトロセルロース膜上
で電気泳動する(100V、50分間)。膜を5%(w/v)のスキムミルク粉末を含む 2
0mMのトリス緩衝液(137 mM NaCl,pH 7.6)(TBS)中で室温で一夜飽和させ、次いで
、ミニブロッタに上にセットする。試験される抗体を1%(w/v)のミルク粉末を
含有するTBS緩衝液を用いて25μg/mlの濃度に調製した後各溝に50μlの割合で
添加する。
45分間培養後、TBS緩衝液/1%ミルクで洗浄し、予めTBS緩衝液/1%ミルク
で1000倍に希釈されたアルカリホスファターゼに結合されたウサギの抗マウスIg
G.A.M免疫血清(ジメッド(Zymed)社製)50μlをそれぞれの溝に添加する。
さらに45分間培養した後、洗浄し、発色体基質(BCIP/NBT(シグマファーストR
(Sigma Fast R))を用いて可視化する。15分後に蒸留水に浸漬して反応を停止さ
せる。陽性のクローンは、IM2394トランスフェリン受容体をニトロセルロース膜
上に電気泳動した時に約69kD(Tbp2サブユニット)の蛋白質に相当するバンドを
示すことで特徴付けられる。
ウエスタンブロッティングを用いたこの第2のスクリーニング終了後、エライ
ザ系でクローンがペプチド配列 GFYGPKGE と反応するイムノグロブリンを生産す
る能力を有するか否かを分析する。方法は上記と同じであるが、ただしプレート
の感受化操作はペプチドGFYGPKEを2 μg/ml含有する溶液100 μlを各ウェルに
添加して行う。
試験したハイブリドーマの中でペプチドと反応する能力を示すものを選択し、
それを最初のクローニングでは1つのウェルにつき細胞5個、それ以降のクロー
ニングでは1つのウェルに細胞1個の割合で連続的にクローニング(少なくとも
2回)して安定化させる。
11C.モノクロナル抗体の製造および精製
モノクロナル抗体はオスのスイスヌードマウスの腹水中で製造される。
500μlのプリスタンを腹膜内に注射した後15日後に、ヌードマウスに2度目
の腹膜内注射でハイブリドーマ由来の700 万個の細胞を注入する。
無菌状態で腹水を抜き出し、G蛋白のカラムを用いたアフィニティークロマト
グラフィーで精製する。0.1 Mのリン酸緩衝液(pH 7.4)で5倍に希釈して0.22
ミクロンのミリポアフィルタ(Millipore filiter)で濾過した腹水を予め同じリ
ン酸緩衝液を用いて平衡化させたG蛋白のカラムに40ml/時の速度で通過させる
。
カラムに結合した抗体を 0.1Mのグリシン緩衝液(pH 2.7)を用いて溶出させ
る。1Mのトリス緩衝液(pH 8.0)を用いて溶出画分を直ちに中和する(溶出液
の体積10に対してトリス1の割合)。
溶出液を0.1 Mのリン酸緩衝液(pH 7.4)中で+4℃で一夜透析し、等分して
冷凍保存する。
抗体純度は7.5%のポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動と、スペロース1
2を用いた透過クロマトグラフィーとでモニターする。純度は一般に95%以上で
ある。
上記プロトコルを用いて約 800のハイブリドーマをスクリー
ニングすることによって IM2394Tbp2 の第1領域のエピトープGFYGPKGE と反応
可能で且つ第3領域に位置する対応エピトープ(すなわちGFYGKNAI)とは反応し
ないモノクロナルが選択される。
このモノクロナル(475 E7とよばれる)は等電点が7.8〜8.1の殺菌力(力価
)が 512の IgG2bである。
この殺菌力(力価)は下記の方法で求める。
Mab 475E7の溶液を二倍に希釈し、1×104CFU/mlを含む髄膜炎菌懸濁液50μl
と、若いウサギの補体50μlとの存在下で培養する〔細菌懸濁液はN.meningiti
dis B16B6株を30μMのEDDA(エチレンジアミンジ(オルトヒドロキシフェニル
酢酸)シグマ社製)を含むミューラー−ヒントン−ディフコブロス中で37℃で5
時間培養して得られる〕。
37℃で1時間培養後、25μβの混合物を取り出し、追加したミューラー−ヒン
トンアガー上で培養する。培養皿は10%の二酸化炭素を含む雰囲気下で37℃で一
夜培養する。コロニーをカウントする。殺菌力価は対照に対して50%以上のバク
テリア溶菌が観察される最終希釈率の逆数で表される。
この条件下でのMab 475 E7の殺菌力価は 512である。実施例12
T/2169蛋白に特異的なイムノグロブリンの各種
N.meningitidis 株に対する殺菌活性
12A.T/2169(1-350)の製造と精製
実施例1に記載のプラスミド pTG5782を用いて E.Coli の株を形質転換させる
。選択された形質転換体を増幅させて接種用バッチを作製する。pTG5782 で形質
転換された E.coli B の試
験管からM9培地+0.5%の琥珀酸エステルを用いて培養を増幅させる。培養は20
リットルの醗酵器を用いて行う。
指数増殖期にアラビノース(発現誘導物質)を添加する。1時間培養後、細胞
を回収して高圧で運転されている装置(ラニー社製)で破壊し、遠心分離によっ
て膜画分を回収する。
ウエスタンブロット分析後、トランスフェリンペロキシダーゼを用いて可視化
することによって、優勢なバンド(その分子量がこの切断された形の予想分子量
に相当する)が検出される。
12B.T/2169(1-350)に特異的なイムノグロブリンの調製
得られた蛋白質を用いてウサギに免疫処置を行う。簡単に言えば、ウサギ(リ
ュージーランドホワイト)に、(i)D/O(最初の日)にフロイントの完全アジュバ
ントを用いて12Aで調製されたT/2169蛋白50μgで免疫し、さらに(ii) D/21お
よびD/42にフロイントの不完全アジュバントを用いてT/2169蛋白50μgを免疫す
る。D/56に、ウサギを屠殺して血清を回収する。この血清から蛋白A−セファロ
ース(ファルマシア社製)樹脂を用いたアフィニティークロマトグラフィーでイ
ムノグロブリンを精製する。精製は発売元の指示に従って行う。精製されたIgG
画分を凍結乾燥し、凍結乾燥物の一定量を再懸濁して最終蛋白濃度を約 25mg/ml
にする。
12C.殺菌効果試験
T/2169の精製と平行して、プラスミドpTG3704 (このベクターはプラスミドp
TG5782 と同一であるが Tbp2 の配列は全く含まない)を用いて形質転換して得
られた E.ColiBの画分を調製用 SDS-PAGE で精製する。調製用 SDS-PAGE で得ら
れた蛋白質
画分を用いて上記ト同様にウサギの免疫を行い、回収した血清からIgG を精製す
る。
こうして T/2169IgGと対照 IgGとの2種類の血清画分が得られる。殺菌活性試
験をWO93/6861(1993年4月15日公開)の実施例4に従ってこれらの画分について
行ってN.meningitidisの各株の溶菌能力を分析する。
各単離物について得られた結果を下記の表に示す。この表から精製済みの T/2
169 蛋白は IM2169 型のグループの幾つかの株に対して殺菌作用のある抗体を誘
導する能力を示すことが分かる。この交差殺菌効果の結果から T/2169 がワクチ
ン製造で有用であることが分かる。
実施例13
D4/2169蛋白に特異的な免疫グロブリンの各種N.meningitids株に対す る殺菌活性
13A.D4/2169 の製造と精製
D4/2169 を実施例12Aに従って製造、精製する。
13B.D4/2169 に特異的な免疫グロブリンの製造
実施例12Bに記載の方法と類似の方法で行う。
13C.殺菌活性試験
D4/2169IgGと、対照IgG との2種類の免疫グロブリン画分を作製する。WO93/6
861(1993年4月15日公開)の実施例4に記載の方法でこれら画分の殺菌活性試験
を行ってN.meningitidisの各株の溶菌能力を分析する。
各単離物について得られた結果は下記の表に示す。この表から精製済みの D4/
2169蛋白が数種類の株に対して殺菌作用のある抗体を誘導する能力を示し、従っ
て、ワクチン製造に有用であることが分かる。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07K 16/12 8517−4H C07K 16/12
C12P 21/08 9358−4B C12P 21/08
(72)発明者 リソロ,ラン
フランス国 69280 マルシー―レトワー
ル リュ ドュ ヴァロン 691
(72)発明者 マザラン,ヴェロニク
フランス国 69001 リヨン リュ プト
ー 11
(72)発明者 ルグラン,ミシェル
フランス国 67120 ドルリシェーム グ
ランド―リュ 107
(72)発明者 ジャコブ,エリク
フランス国 67120 ドルリシェーム グ
ランド―リュ 107