【発明の詳細な説明】
湿潤性有孔プラスチック製膜及びこれを使用した製品
発明の分野
本発明は耐水性を有する有孔プラスチック製膜に関するものである。具体的に
は、本発明は高分子材料の二層以上の基層からなる有孔膜であり、一方の層は鎖
状低密度ポリエチレン(LLDPE)が望ましく、他方の層は界面活性剤を取り込んだ
エチレンビニル・アセテート重合体である。本発明はまた、生理用ナプキンなど
湿潤性有孔プラスチック製膜を使用した吸収製品も対象とする。
発明の背景
有孔プラスチック製膜は芸術分野で知られており、さまざまな用途に利用され
ている。農業分野では種子床カバー材、また生理用ナプキン、幼児の紙おむつ、
成人尿失禁用下着、重ね衣類等の吸収性製品のカバー材として、重ね繊維の製造
工程における強化材料として利用されている。吸収性製品のカバー材料として使
用されている高分子膜の例として、本書で引用している米国特許No.4,690,679に
記述されている共射出成形有孔膜があげられる。
おむつ、尿失禁用製品、生理用ナプキン等の吸収性製品は、一般に液不浸透性
の保護層と液浸透性の接触層との間に吸収性のコアを入れた構造である。吸収性
コアの目的は、その名称が示すように、血液、尿、月経血等の滲出体液を吸収・
保持することにある。接触層、すなわち吸収性製品のうち使用中に使用者の身体
と接する層は、一般に吸収材料を保持して、身体が吸収コアと直接接触すること
を防ぐ役割をもつ。接触層は滲出体液が下層の吸収性コアまで達するように、液
浸透性を有する。保護層、すなわち吸収性製品のうち使用中に使用者の身体と反
対側の層は、吸収性コアの下部及び側面からの滲出体液の漏れや、使用者の衣類
の汚れや濡れるのを防ぐ。
接触材料として有孔プラスチック製膜を使用する吸収性製品は、"清潔でさら
っとした"特徴をもつとされることが多い。この"清潔で"とは、ポリエチレン、
ポリプロピレン等の比較的疎水性のある熱可塑性高分子材料で作られた接触材料
が、疎水性の高いレーヨン等を使用した従来の接触材料よりも、水分量の多い滲
出体液による汚れがおきにくい点を指している。"清潔で"という表現は、接触材
料が不透明であるために、月経血等の体液を吸収したことによる吸収コアの汚れ
を"隠す"機能を指すためにも用いられる。"さらっとした"という表現は、接触面
に液体が捉えられず身体と絶えず接触する可能性のある接触材料が液体を保持し
ないことを示す。このように、本膜は使用者の身体に対して乾燥した接触面を提
供することができる。
しかしながら、有孔高分子膜は疎水性であるため、液体がこれらを通して吸収
される速度は期待よりも遅くなることがあり、使用者が膜により得られる"さら
っとした"感覚とはほど遠い場合がありうる。有孔膜には、膜の身体との接触面
からアパーチャを通じて下の吸収性コアに液体を急速に移動させるという利点を
もつものもあるが、使用中には圧力が加わる膜の身体との接触面に液体が戻りや
すい、いわゆる"リウェット"や"戻り"という欠点がある。液体の"リウェット"や
"戻り"が多くなると、カバー材料の"清潔な"特性が低下するとともに、使用者に
は"さらっとした"感覚が得られなくなる。このように、液体がカバー材料から吸
収コアに最適な速度で移動すると同時に、この液体の"リウェット"や"戻り"を最
小限に抑える有孔プラスチック製膜やこれを使用した吸収製品が望まれる。
発明の概要
本発明は、液体の浸透特性を向上し、これにより"さらっとした"感覚を高めた
有孔高分子膜に関するものである。本発明にかかる膜は、多数の孔を有し、重量
の80%以上はポリエチレンやポリプロピレン等の低密度ポリオレフィンからなる
上層と重量の80%以上がエチレンビニル・アセテート(EVA)共重合体からなる下
層で構成される。鎖状低密度ポリエチレンが上ポリオレフィン層に使用する高分
子材料として望ましい。膜の孔は、上層を形成する高分子材料が内側まで続いた
壁面により形成される。本発明の有孔膜の下部のEVA層は界面活性剤を含んでい
る。
下部EVA層に界面活性剤を混入したことにより、約70%、高いときには約90%以
上の水滴浸透値(後に述べる方法で判定する)が示すように、膜の液体浸透特性
が劇的に向上した。
本発明はさらに生理用ナプキン、使い捨ておむつその他上述の有孔高分子膜を
カバー材として使用する吸収製品も対象とする。吸収性製品は液体不浸透性裏材
と、本発明にかかる有孔高分子膜からなるカバー材または表面材の間に挟んだ吸
収性コアからなる。液体の"戻り"、すなわち使用中に吸収性製品に加わった圧力
のために有孔カバー材表面に液体が戻る傾向を抑制するために、有孔高分子膜カ
バー材と下の吸収コアとの間に移動層を設けた。移動層とは名称が示すように、
一般に繊維性材料の層により、膜の孔を通じて有孔膜表面にたまった液体の吸収
コアへの移動を促進する層である。さらに上層はすでに吸収された液体の"戻り"
、すなわち吸収コアを離れた有孔膜の身体との接触面への戻りを抑制する機能も
備えている。移動層は吸収コアの上面と有孔プラスチック膜の下面との間に入れ
て、有孔膜の下表面と密接に接するようにする。このような仕組みの生理用ナプ
キンの"戻り"値(後に説明する試験により判定)は約0.4gにも満たない。移動層
は繊維重量に対して約0.5から1.5重量%の表面活性材料を含む熱結合ポリプロピ
レン不織繊維であるのが望ましい。
図面の簡単な説明
図1は本発明の有孔二層膜の上面の倍率15倍における顕微鏡写真である。
図2は図1の有孔二層膜の下面の倍率15倍における顕微鏡写真である。
図3は図1の線3-3に沿って高倍率で撮影した理想断面図である。
図4は本発明にかかる有孔膜をカバー層として用いた生理用ナプキンの透視図
である。
図4Aは図4の4A−4A線に沿った断面図である。
図5は本発明により有孔膜を作成するために利用できる器具の一部断面を示し
た側面図である。
図6は図5に示す器具の一部を部分的に断面を示した拡大図である。
図7は本発明にかかる有孔膜をカバー材及び移動層として用いた生理用ナプキ
ンの断面図である。
図8は本発明にかかる有孔膜と移動層を用いたほかの生理用ナプキンの断面図
である。
図9は本発明にかかる有孔膜を液体透過カバー材として用いた生理用ナプキン
の断面図である。
図10は本発明にかかる有孔膜を液体透過性カバー材として用いたほかの生理用
ナプキンの断面図である。
発明の詳細な説明
本発明にかかる有孔膜の構造を図1−3に示す。とくに図3では、本発明の有孔
膜11は、高分子材料の最初の主要または上層42、高分子材料の二番目の主要また
は下層44及び多数の小孔46からなる。また図3が示すように、孔46は高分子材料
の上層42が連続する内壁48により形成されている。
孔46の高さは膜の厚さとほぼ等しい。すなわち孔は上部高分子層42の露出面42
'から膜11の厚み分を通り下高分子層44の露出面44'に抜ける。孔46を形成する内
壁の組成は、ほぼ膜の上層42の化学組成(すなわち高分子レジンの基材と添加剤
)に等しい。これは上述したように、多孔性は膜の上層の連続した内壁によって
形成される。
図3に示すように、有孔膜の2つの層は厚みが異なる場合がある。上部高分子層
42と下部高分子層44の重量比は一般に、約85:15ないし約10:90であり、望ましい
のは約50:50ないし約20:80、また約35:65が最適である。
とくに液不浸透性の生理用ナプキンのカバー材として適していることが明らか
となった有孔膜の平均開口部面積は約30%、厚さは約4 mil、重量は約1 oz/yd2
である。生理用ナプキン等の吸収製品のカバー材として適したものは、上に述べ
たものと開口部面積、厚み、重量特性が異なる可能性があることがわかる。した
が
って、吸収製品に適した有孔膜の重量は約0.5 oz/yd2から約2.0 oz/yd2 (0.7 oz
/yd2から1.3 oz/yd2が望ましい)、開口部面積は約10%から約70%(約12%から約
40%が望ましい)、また厚さは約1から約10 mil(約3から6 milが望ましい)の範
囲が可能である。有孔膜を吸収製品に使用する場合には、膜に触れた体液が膜を
通して下の吸収コアに移動する限り孔の数、大きさ、間隔を変えてもよいことは
明らかである。プラスチック製包装材など有孔膜を別の用途に使用する場合には
、孔の大きさ、開口部面積の割合、基本重量と厚さは上記の範囲外であってもよ
い。
本発明にかかる有孔膜の上層(吸収製品のカバー材として使用する膜の使用者
の身体に接する層)は、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であるのが望ましい。
下層(吸収製品のカバー材として使用する有孔膜の吸収製品の吸収コアと接する
層)エチレンビニル・アセテート(EVA)共重合体である。LLDPE層を膜に使用する
ことにより、高い引っ張り係数、適度な表面摩擦係数、構造的強度が得られる。
製造メーカーがこの膜を利用するのは、EVA層がカバー材に柔らかさと柔軟性を
与えるとともに、多少ひっかかる感覚(すなわち摩擦係数が比較的高い)がある
ためである。EVA層は膜に熱遮断特性も与える。
生理用ナプキンのカバーを希望の色にしたり、カバー材で下の吸収コアが吸収
した月経血の汚れを隠すために、高分子層の一方または双方に多少の不透明化剤
を加えるのが一般的である。これには二酸化チタンその他の染色剤がある。合成
向き酸化物には、クロム系染色剤、モリブデン系染色剤、酸化鉄等がある。ほぼ
世界中でそうであるが、カバーは白が好まれるため、不透明化剤として二酸化チ
タンが非常に好まれる。白その他の色にするために、ほかの不透明化剤を用いる
こともできる。
この膜にはシリカ、炭酸カルシウム等のつや消し剤を添加することで、上層や
下層のてかりや光沢を抑えてより繊維に近い外観を与えることができる。
脂肪酸アミドなどの潤滑剤も両方の高分子層に添加して、滑らかで繊維として
望ましい特性を与えることができる。適した潤滑剤はKemamide E.の指定による
テネシー州メンフィスのHumko Sheffield Chemical Companyより市販されている
。これは平均分子量が約355、イオン価が約76、酸価約3.2、溶解温度が摂氏78−
84というエルカ酸の誘導体である不飽和脂肪単アミドである。この潤滑剤を上高
分子層に添加するのが望ましい。また下層の潤滑剤はその熱遮断特性を損なう傾
向があるため、最低限にするべきである。
本発明にかかる膜の各層の高分子成分は膜11の各層42及び44の少なくとも約80
重量%という重要な割合を示す。各層の残りは、約20重量%以下であり、上述の
つや消し剤、潤滑剤、不透明化剤、つぎに述べる界面活性剤のほか一般に高分子
レジンの加工に使用する射出等に一般に使用される抗酸化剤と抗凝固剤等の添加
物である。
つや消し剤、不透明化剤、潤滑剤、界面活性剤当の添加物は、"担体レジン"、
たとえば低密度ポリエチレンや鎖状低密度ポリエチレンなどを必要な添加物と混
合した"濃縮物"として添加することができる。
液体浸透特性を向上するために、本発明にかかる有孔膜は少なくとも1種は界
面活性剤を含む。この界面活性剤はEVA高分子その他のEVA層の成分と化合した後
に射出成形する。膜の水滴浸透値(D.P.V.)を約70%以上にするための界面活性剤
の所要量は、界面活性剤の濃度による。たとえば水滴浸透値が70%以上の膜は、
以下に説明する2種類の界面活性剤のいすれかをEVA層に約0.25重量%加えること
により、ポリオレフィン層を上面に向けて膜の試験を行ったときに上記の水滴浸
透値が得られる。EVA層にここにあげた界面活性剤のいずれかを少なくとも2重量
%以上加えることで、D.P.V.値ガ90%の膜が得られることがわかっている。
別の例として、膜のEVA主体層にここに述べた界面活性剤の一つを2.8重量%加
えた場合、D.P.V.値が90%以上の膜が得られた。この膜をポリオレフィン基層を
上に向けて試験を行った場合、また膜のポリオレフィン基層を下向きにして試験
を行った場合のいずれもこのような結果が得られる。
水滴浸透値が94%(EVA基層を下向きにして試験を行った)である膜は、ポリ
オレフィン基層に界面活性剤を約0.18重量%、またEVA基層に約0.34重量%加え
た場合に得られた。
下部EVA層44に界面活性剤を添加すると、有孔膜の上層42に添加した液体の液
浸透特性が高まるのは、非常に驚くべきことである。上述のごとくここに述べた
方法で作成及び試験を行った膜の上層42は、下層44の上にあるだけでなく傾斜し
て内壁48となって、膜の孔46も形成する。芸術分野に詳しい者は、有孔膜の上層
42に添加した液体の浸透特性は、上述の上層に界面活性剤を混入するともっとも
高まるものと考えていた。このような期待に反して、現在ではポリオレフィン基
上高分子層42に添加した液体の浸透特性は、EVA基下層44に界面活性剤を混入す
ると高まることが明らかとされている。
湿潤性を与えるためにポリオレフィン繊維に混入するのに適した界面活性剤は
、芸術分野で知られている。たとえば、ここで引用している米国特許No.4,578,4
14を参照のこと。
本発明に実際に使用するのに特に適した界面活性剤例は、つぎに示す混合物で
ある。
A. 炭素原子約12ないし約18を含むグリセロール及び脂肪酸の約50ないし約
90重量%のモノエステル
B. これに対応して、以下の基から選択した合成物の10ないし約50重量%
i) 酸化エチレン分子約10ないし40を含むエトキシ化アルキル・フェノール
ii) 炭素原子約12ないし約18を含むソルビタン及び脂肪酸エステル
グリセロール・モノエステルからなる脂肪酸は、飽和でも未飽和でもよい。グ
リセロールと脂肪酸の好ましいモノエステルは、グリセロール・モノオリートで
ある。望ましいエトキシ化アルキル・フェノールは、酸化エチレン分子約10ない
し40を含むポリオキシエチレン・ノニルフェニール・エーテルである。さらに、
エトキシ化アルキル・フェノールは酸化エチレン分子約12ないし20を含むポリオ
キシエチレン・ノニルフェニール・エーテルがさらに望ましい。ソルビタン及び
脂肪酸の望ましいエステルはソルビタン・モノローレートである。
上述したように、有孔膜の下(EVA)層に界面活性剤を添加すると、膜の上ポリ
オレフィン層に添加または接触した液体の膜に対する浸透特性が驚くほど高まる
。本発明にかかる有孔膜の液体浸透特性、したがって膜に混入する界面活性剤の
適切性は、つぎに述べる液体浸透試験により判定することが可能である。界面活
性剤は有孔膜の水滴浸透値(D.P.V.)を少なくとも約70%(有孔膜の、液体を添加
する方向と反対向きの下(EVA)側で測定)となるものが望ましい。また、D.P.V.
が約90%以上となる界面活性剤であれはさらに望ましい。
水滴浸透試験
この試験は、有孔膜面の上または下側への水滴の高さを測定することにより、
有孔膜に対する水滴に浸透率を判定するものである。有孔膜が非湿潤性であると
、材質の孔に対する水滴の浸透量はごく僅かまたはまったくない。膜が湿潤性で
あれば、水滴の大部分が素材の下側に吊り下がる。
つぎに本試験で使用した装置のリストを示す。
A. カセトメーター(ミシガン州Ann Arbor、Eberbach Corp.の100 cm型な
ど)
B. はさみ
C. 試料ホルダー(近似値1/2 x 3/4"で約3" x 1"を測定できる平型金属片
、
開口部を設けられるように長片の一片から中央部を除いたもの)
D. 粘着テープ
E. 球形部に圧力を加えたとき、0.34±0.04 gの水滴となるスポイト
F. 2つのクランプ付きリングスタンド
G. 水準器
H. 表面張力が70.0±2.0dynes/cmの脱イオン水
試験手順は以下の通りである。
試験を行う素材は、両端を試料ホルダーにテープで固定し、ホルダーの開口部
にある支持されていない部分について試験を行うように0.5" x 1.5"に切断する
。実行する試験によって、膜の上ポリオレフィン基層が、膜の下EVA基層が上向
きになるように、試料ホルダーでの向きを変える。カセトメーターはベース支持
部に組み込まれている気泡水準器を見ながら、ベース支持部にある3本の水平調
節ねじで水平にする。リングスタンドをカセトメーターの前約3フィートの位置
に置く。試料をテープで固定した試料ホルダーを、試料の支持していない開放部
分がカセトメーター側に向くように水平にリングスタンドのクランプに取り付け
る。
脱イオン水を入れたスポイトを、水滴を試料の上に滴下する際に試料とスポイ
ト先端が水滴でつなからず、スポイトを離れる直前に完全な水滴が試料の約1/8
インチ上になるように、試験を行う試料の上方にクランプする。目視で試料の中
央にカセトメーターの水平基準線を合わせて、試料の端にカセトメーターの焦点
を合わせる。この位置をカセトメーターの垂直支持部にあるスケールの目盛りを
読み取って、センチメートル単位で記録する。スポイトから一滴の水を試料上面
に滴下する。60秒後に、まずカセトメーターの水平基準線を水滴の最上部に合わ
せて、垂直支持部に表示されるセンチメートル単位の位置を記録紙、つぎに基準
線を水滴の最下部に合わせてこの位置を記録することにより、水滴の上下の位置
を判定する。
つぎの計算を行って水滴浸透値を判定する。
素材表面上にある水滴の高さを判定するには、最上部の値から中央面の値を差
し引く。試料表面下にある水滴の高さを判定するには、中央面の値から最下部の
値を差し引く。試験試料の上または下を上下部分の高さの合計で除した後に100
を乗じて、試験試料の上または下にある水滴の割合を算出する。報告されている
D.P.V.は3回の平均値である。
本発明にかかる有孔膜は液体浸透特性が非常に優れているため、生理用ナプキ
ンなどの吸収製品のカバー材にとくに有用である。このようなナプキンの例を図
4及び4Aに示す。図示した生理用ナプキンは一般に、使用中の快適性を高めるた
めに中央部がせまい楕円の砂時計型である。体液は本発明にかかる有孔膜製の液
体浸透カバー14と液体不浸透層16との間に封入されている図4Aの吸収パッドが吸
収保持する。吸収パッド12は吸収パッド12はファイバー、更パルプ、草炭、フォ
ームなどのよく知られた吸収材やこれらを組み合わせたものが可能である。いわ
ゆる"超吸収体"材料などの吸収強化材もパッド12に用いることができる。このよ
うな例として、吸収繊維(上述のものなど)とコンジュゲートファイバーを混合
した低密度熱結合不織繊維がある。適したコンジュゲートファイバーは、ポリエ
ステル製コアをポリエチレンで被覆した繊維である。
液体不浸透層16は、体液に対する保護層であり、使用者の下着の汚れを防ぐ機
能をもつ。よく知られているように、この層はポリエチレン、ポリプロピレン等
、薄い柔軟性の体液を通さない膜であればよい。またこの層は通常は液体浸透性
である材料を液体不浸透処理したものでもよい。希望に応じて、保護層16を吸収
パッド12の衣類に触れる側に粘着させることができる。有孔膜カバー14はナプキ
ン10の周囲22の周りにある保護層16に熱接着させる。図4及び4Aでは、接着した
周辺部22はナプキンの外側に広がっているのがわかる。
保護層16の衣類に接する面には、ナプキンを使用者の下着の股間部分に固定す
るための縦長の粘着片18が1つまたは複数付いている。粘着片は図示しているが
、スポットまたは横方向の粘着片も適していることが理解されよう。使用する粘
着材は、水性のものや溶融粘着材など市販されている無数の粘着材のいずれでも
よい。
粘着物18の上には、使用前に粘着材の汚れや粘着事故を防ぐための保護剥離片
20が重ねられている。剥離片20は使用時まで剥がれず、ナプキンを使用する際に
は簡単に剥がせる程度の粘着力をもつシート状の素材であれば使用することがで
きる。とくに有用な素材は、半さらしクラフト紙で粘着材18から容易に剥がせる
ように、粘着材と接する面をシリコン処理したものである。
すでに述べたように本発明の有孔プラスチック膜は、液体浸透特性を向上して
いる。すなわち有孔膜に触れる液体が膜の厚みを透過する速度が改善されている
。このため本発明にかかる膜を生理用ナプキン等の表面またはカバー材として使
用する場合には、月経血等の液体が有孔膜上面の沈着点から下の吸収コアに移動
するのに要する時間が著しく短縮する。しかしながら、本発明の有孔膜を生理用
ナプキンその他の吸収製品のカバー材として使用しても、吸収製品の"戻り"特性
にほとんど影響がない。本発明の別の側面から検討すると、生理用ナプキン及び
これと同種の吸収製品には、液体の戻りを減らすために移動層を加えることがで
きる。
図7及び8は、本発明の有孔膜を利用している生理用ナプキンの構造と移動層を
示す。移動層は一般に合成またはセルロース繊維の不織繊維である多孔性の繊維
材料である。移動層30は有孔膜カバー14と吸収コア12の間に置かれている。一般
に、有孔膜カバー14と移動層30との接触はできるだけ避けるのが望ましいので、
有孔膜14の下面44'と移動層の上面との間に連続または非連続的に粘着材32を塗
布することができる。もちろん粘着材は、膜の孔を塞ぐことなく、有孔膜を移動
層に粘着させることができるだけの量でなければならない。市販されている粘着
材で適しているものは芸術分野でよく知られている、National Startch and
Chemical CompanyのFuller 1308溶融粘着剤とNS 34-5539溶融粘着剤である。
図7が示すように、吸収コア12の下面に隣り合う液体不浸透保護シート16は、
コア側面をカバー層の方まで続いている。有孔膜カバー層14は吸収コア/保護シ
ートの組み合わせ部分の外側を包み、ナプキンの縦方向にシールライン34に沿っ
て固定されている。この固定には、熱シールまたは適切な粘着剤なとを用いるこ
とができる。
構造の異なる生理用ナプキンを図8に示す。ここでは液体不浸透保護シート16
が、吸収コアの側面に沿って上に有孔接触材料14まで続いていることがわかる。
この接触材料は吸収コアの側面を下向きに、保護シート16の上に伸びる部分と重
なっている。接触材料の端は、シールライン34に沿って保護材料の重なっている
端に適当な方法で固定される。
図9及び10に断面を示す清涼ナプキンは、移動層がない点を除いて、図7及び8
の生理用ナプキンと同じ構造である。
本発明にかかる新規の有孔膜をカバー材として利用した吸収製品の戻り特性は
、つぎに述べる液体の戻り特性に関する試験により測定することができる。この
ような製品のリウェット値は約0.40g未満、できれば約0.35g未満であるのが望ま
しい。
本発明に用いる移動層材料として望ましいのは、熱結合ポリプロピレン・ウェ
ッブである。試験結果によると、このポリプロピレン・ウェッブの最適な基本重
量はおよそ24 g/m2ないし48 g/m2の範囲であることが示されているが、基本重量
かわずか10 g/m2であるウェッブも有用であると考えられる。また試験結果は、
最適なポリプロピレン・ウェッブか一般に、芸術分野で湿潤性を高めることが知
られているウェッブに対する約0.5ないし約1.5重量%の表面活性剤を含むことも
示している。このような表面活性剤の例には、アルコキシレート・アルキル・フ
ェノールやアルコキシレート脂肪族炭化水素などがある。Triton X-100として市
販されている適切なアルコキシレート・アルキル・フェノールは、酸化エチレン
約10モルを含むエトキシレート・イソオクチル・フェノールである。ProFleece
という商標でドイツのAmoco Fabricsの熱結合ポリプロピレン・ウェッブ等、す
でに製造メーカー側で選択した表面活性剤を含み、移動層としての利用に適した
ものが市販されている。このほかに適切であることが明らかな移動層材料には、
エアレイドパルプシート(James River Companyが指定番号352として市販する2.
0 oz/yd2エアレイドシート等)や高容量添加パルプシート(Wayerheuser Compan
yから指定番号WF-1654として市販する2.0 oz/yd2機械軟化高容量添加パルプシー
トなど)がある。
とくに本発明の膜を、生理用ナプキン等の吸収製品の液体浸透性接触材として
使用する場合には、(本書記載の射出成形工程その他の適切な加工により製造し
た後に)膜にエンボス加工を施して触感を向上するのが望ましい。このエンボス
加工は、本書で引用している開示されている米国4,859,519の方法で行うことが
できる。
液体の戻り特性に関する試験
本試験は、本発明にかかる有孔膜をカバー材として使用する吸収製品が吸収液
体が膜の上面に"戻る"すなわち再び滲出する程度を査定するものである。
試験を行う有孔膜のサンプルを、幅62 mm、長さ175 mm、厚さ12 mmの7.5 g木
パルプ層の上面に置く。この木パルプ層は、金属スクリーン上への真空成形など
の適切な方法により行うことができる。有孔膜と木パルプ層の間には、本書のほ
かの部分で述べたように移動層を挿入することができる。中央に寸法長さ1 1/2"
x 幅3/4"の楕円形開口部を備えた長さ10"x 幅3"x 厚さ1/2"の最初のPlexiglas*
テンプレートを、試験を行う吸収部分の上面に置く。試験液(以下に説明)5 cc
をテンプレートの中心にある開口部に注ぐ。試験液が有孔膜から下の吸収体に浸
透した後に、最初のテンプレートを取り除いて、あらかじめ重量を測定しておい
た吸い取り紙(Whatman濾紙、3"x 4"、70°F及び60%相対湿度で24時間調整)の
を試験対象の上に置く。長さ10"x 幅3"x 厚さ1/8"の開口部のない2枚目のテンプ
レートをこの濾紙の上に置いて、2枚目のテンプレートに3.0 Kgの荷重を加える
。全体にこの荷重(0.5 psi)を3分間加えた後に、荷重及び2枚目のテンプレート
を取り除いて、吸い取り紙の重量を再度測定する。吸い取り紙が吸収した液体の
量を測定して、"戻り"値とする。
上述の液体戻り特性試験に用いた試験液は、約0.9重量%の塩化ナトリウム、
約0.15重量%の水溶性ポリアクリルアミド、少量の赤色染色剤及び殺菌剤からな
る水性溶液である。実際に使用するポリアクリルアミドの量は、ずり速度1 radi
an/secondで粘度30 cpsである試験溶液が得られるようにする。殺菌剤は細菌の
生育を防ぐために使用する。
本発明にかかる有孔膜、その製造方法、膜及びこれらを使用した吸収製品の特
性を以下の例を上げて詳細に説明する。
例1
LLDPEを含む上層とEVAを含む下層からなる有孔膜を、上述の米国特許4,690,67
9に公表されている方法にしたがって作成した。上下の各層はさらに、抗酸化剤
、潤滑剤等以後述べる一定量の添加剤を加えた。界面活性剤の場所(すなわち上
層、下層、上下両層の別)を表Aに示す。
有孔膜の下(EVA)層に加える添加剤をつぎのように作成した。ます二酸化チタ
ン(TiO2)を重量で50に対して、比重0.917、溶解指標7.5、融点219.2°Fの低密度
ポリエチレンレジンであるExxon LD-200を重量で36.50混合して作成する。Exxon
LD-200は、Exxon Chemical Companyより市販されている。つきに、Ciba-Geigy
より市販されている抗酸化剤、Irganox 1010 (重量割合0.23)を上記のTiO2及
び低密度ポリエチレンの混合物に加え、3種類の成分を十分に混合する。つぎに3
種類
の成分の混合物をホッパ付近に混合部、混合部前に練り部分があるWerner-Pflei
dererツインスクリュー押しだし成形機(ZSK-30型)のホッパに入れる。この成
形機は、混合部に液体材料を投入するための投入口も備えている。
大量、すなわち重量で約50%を超えるグリセロール・モノオレートと少量、す
なわち重量割合で約50%未満の酸化エチレン約10-40モルを含むポリオキシエチ
レン・ノニルフェニール・エーテルからなる界面活性剤Atmer"685 13.3グラムを
この投入口より押し出し成形機の混合部に投入する。Atmer *685はデラウェア州
New Castle、ICI Polymer Additivesが市販している。
ATMER 685は最高酸価3.0、ヒドロキシル値180-220、サポニン化値105-135の非
イオン系界面活性剤である。比重は約1.0@25°/25°C、発火点(coc)は>300°F、
粘度は25°Cで約170 cps、HLB値5.6である。
濃縮TiO2からなる4つの成分を混合部で十分に混合した。混合物を直径約1/8イ
ンチの数珠(ストランド)状に水槽内に射出した。射出したストランドを水槽か
ら取り出し、乾燥してペレット状に切断して、後に使用するために保管しておく
。
本発明にかかる有孔膜の上層に加える添加剤を以下のように作成した。重量割
合67のCaCO3 (UF級、平均粒子サイズ0.8ミクロン)、重量割合0.22のIrganox 101
0、重量割合Kemamide E(エルカ酸誘導体であり、テニシー州Memphis、Humko、S
heffield Chemical Co.が市販する不飽和脂肪モノアミド)を潤滑剤として、ま
た重量割合29.48の溶解率=10.0の低密度ポリエチレン(LDPE)をBanburyミキサー
に加えて炭酸カルシウム(CaCO3)濃縮液を作成する。得られた混合物をBanburyで
十分に混合し、所定の炭酸カルシウム濃度となるようにペレット化する。
有孔膜の上層を形成する基ポリマー及び添加剤は、重量割合85のDowlex 2035
に重量割合15の上述の炭酸カルシウム濃縮液を混合して、最初の射出成形機に投
入するために作成した。Dowlex 2035はDow Chemical Company製の鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)レジンである。このレジンの圧縮成形サンプルの一般的特性
は、溶解指標=6.0 gm/10分(ASTM D-1238)、密度=0.919 gm/cc (ASTMD-792)、ビ
ーカー軟化点=97°C (ASTM D-1525)、引っ張り強度=1700 psi (ASTM D-638、ク
ロスヘッド速度20インチ/分)、極限引っ張り強度=2500 psi (ASTM D-638、クロ
スヘッド速度20インチ/分)、曲げ指数2%セカント=37,000 psi (ASTM D-638)で
ある。Dowlex 2035は、微分走査熱量計を用いて融点12Cとなることを判定した。
有孔膜カバーの下層を構成する基ポリマー及び添加剤を重量割合85.0のEscore
ne 721.88に重量割合15の上述の二酸化チタン濃縮物を加えて簡そう混合して、2
番目の射出成形機に投入するよう作成した。Escorene 721.88はビニルアセテー
トを18重量%を含みExxon Chemical Companyが市販しているエチレンビニル・ア
セテート(EVA)共重合体である。一般に、Escorene 721.88レジンは、密度0.942
gm/cm3 (ASTM D-1505)、溶融指標2.5 dg/min (ASTM D-1238)、融点約87°Cであ
る。
上層を構成するすべての材料(すなわちLLDPE基レジン及び添加剤)を最初の
加熱した射出成形機のホッパから入り口に投入し、下層を構成するすべての材料
(すなわちEVA基レジン及び添加剤)を2番目の加熱した射出成形機のホッパから
入り口に投入した。最初の射出成形機から出た上層材料はモルテン状であり、最
初の溶解ポンプを通じて加熱した結合ブロックに供給した。モルテン状の下層材
料は、同じ結合ブロックに2番目の溶解ポンプにより供給した。
図5では、2層からなる有孔膜の作成工程の概要を示す。有孔膜の作成に使用し
た器具及び処理段階の一部は、すでに米国特許No.3,632,269(Doviakほか)及び
米国特許No.4,381,326(Kelly)で公表されており、本書に引用している。
温度約450°Fの上層用の溶解物及び温度約450°Fの下層用溶解物を加熱スロッ
トダイ50である二重部分に投入してともに薄いシートとして成形する。スロット
ダイ50は図6に示すようにダイ内部を独立部分54及び56に分割するセパレータ52
を
構成する。スロットダイの温度勾配は、端部の415°Fから中心部では425°Fであ
る。LLDPE材料を、コンパートメント56から射出し、EVA材料はコンパートメント
54から射出した。上層42及び下層44の厚さの比率は、最終製品の上層と下層の重
量比がそれぞれ35%と65%となるように、射出成形機のスロットダイに供給する
時点で調整した。
スロットダイ50より、共射出したモルテンシート60を加熱した平滑ロール70と
弾性形成ロール72との間にあるニップ71に直接落下させた。成形ロール72は図5
の拡大断面図に示すように連続的なくぼみのある部分84で分離された一続きの一
般に等間隔で非連続的高さのランド74からなるパターンを刻まれた弾性外表面を
備えたものである。有孔共射出膜の孔(アパーチャ)または穴の形状は、共射出
工程で用いる弾性成形ロール72のランドの形状に従って得られる。このランドは
矩形、正方形、6角形、3角形、円形等あらゆる形状が可能である。成形ロールの
ランドのサイズ及び数は、膜を通してその下にある吸収コアに月経血、尿等の体
液が問うかするように、最終的な有孔共射出膜に十分な開口面積が得られるよう
に選定しなければならない。ランドは均一に延長し側面が0.0104インチの6角形
とした。6角形のランドは高さ0.0065であり、中心間距離は0.028インチであった
。ロール72はロール70に対して1.5ないし8%速い速度で回転させた。ロール70及
び72が回転すると、共射出材料60をニップ71に引き出し、ここで2つのロールは
共に拭うような動作を行って、共射出物60のほぼすべてを弾性成形ロール72の連
続的にくぼみのある部分84に強制的に押し出す。ロール70及び72は、相互に直線
に対しておよそ65 lbsの圧力で接するように位置を決定する。
加熱したロール70の表面温度は約260°Fであり、弾性成形ロール72は平均表面
温度が約200°Fとなるように60°Fの水により内部で冷却した。この結果、2つの
ロールの間の温度差と、成形ロールのパターンによって、成形ロール72の周りに
シート60が押し出される。モルテン状シートは成形ロールと接すると有孔2層膜
がほぼ成形ロールのランド74に対応した形状で固化する。膜の孔は、モルテン状
共射出物がスロットダイ50から出た直後に成形ロールの突起部すなわちランド74
の作用で成形される。
有孔膜製品は、成形ロール72から冷却ロール76まで移動する。冷却ロール76は
線形インチ当たり約55 lbsの圧力で成形ロール72に接触し、約65°Fまで冷却さ
れる。この結果、有孔膜の温度は周辺温度まで低下する。膜は1組の連動する引
き出しロール77及び78にうよって、冷却ロールから引き抜かれ、つぎに膜は取り
込みロール80に巻き取られる。
同じ工程で界面活性剤の量を変えることにより、ほかの有孔膜を作成した。こ
の結果得られた膜の組成を本例1の膜#1の組成とともに表Aに示す。各種成分の量
は膜の総重量に対する重量比で示している。たとえば、膜#1のATMER 685含有量
は総膜重量の1.30%(下EVA総重量の2%)である。吸収時間及び戻り値を示すデ
ータを表Bに示す。
例2
本発明にかかる有孔膜を例1で定めた共射出成形法によりさらに作成した。こ
の膜は表CでサンプルA-Eとしている。表Cに示す量のAtmer 685界面活性剤を使用
した。Atmer 685は、表Cに示す高分子層に混入した。膜サンプルについては、吸
収製品で接触材として使用する際のようにEVA層を下向きにし、またEVA層を上向
きにした状態でも水滴浸透値(D.P.V.)を求めた。試験結果を表Cに示す。
表Cの"EVA層を下向きにして試験実施"という表題に示したデータからいくつか
の結論を引き出すことができる。上下のいすれの層にも界面活性剤Atmer 685を
使用しないサンプルAでは、水滴浸透値は0である。このことは、上(LLDPE)層に
滴下した水滴はサンプルA膜の上面に残る傾向があり、膜の孔を通過しなかった
ため、膜の下面では観察されなかったことを示す。サンプルCの試験データから
見られるように、サンプルC膜が液体を上面から下面に移動させる機能は、上(LL
DPE)層に0.43%のATMER 685界面活性剤を加えても向上しなかった。上(LLDPE)層
に0.18重量%、下(EVA)層に0.34重量%のATMER 685を含むサンプルDの水滴浸透
値は94%で優れている。サンプルEでは、下(EVA)層のみに2.05重量%のATMER 68
5を加えた結果、水滴浸透値は90%となった。サンプルBでは、下(EVA)層にATMER
685を2.8重量%加え、上(LLDPE)層にはまったく加えなかった結果、水滴浸透値
は100%となった。これはEVA層を試験用水滴と反対側にして試験を行った際に、
水滴を滴下したLLDPE層が界面活性剤を含まなかったことを考えると非常に驚く
べき結果である。
表Cの右側は、EVA層を上向き(すなわち試験用水滴をEVA層に滴下した)にし
て膜の試験を行った際のサンプルA-Eについて得られた水滴浸透値値を示す。こ
こでも、いすれの層にも界面活性剤Atmer* 685を加えないサンプルAの水滴浸透
値は0である。サンプルBは、EVA層に2.8重量%のATMER 685を加え、EVA層を上向
きにして試験を行った場合には水滴浸透値が90%を超えている。サンプルD及びE
の水滴浸透値は、EVAを試験用水滴に向けた状態でわずか30%程度に過ぎなかっ
た。これに対して、上に示すようにサンプルD及びEのEVA層を下向きにして試験
を行った場合には、最低90%以上の水滴浸透値が得られた。表Cの左側に示すよ
うに、サンプルDはLLDPE層に0.18%のATMER 685を、またEVA層に0.34%を含む。
サンプルEは上LLDPE層にはATMER 685がなく、下EVA層のATMER 685は2重量%をわ
ずかに超える。
例3
本書ですでに述べたように、本発明にかかる有孔膜を使用した吸収製品の戻り
特性は、有孔膜の下面と吸収製品の吸収コア上面との間に移動層を設けることで
向上できる場合がある。移動層の戻り特性に対する硬化を示すために、吸収製品
(具体的には生理用ナプキン)の構造を模した一連の実験用サンプルを作成し、試
験を行った。試験用のサンプルは、まず破砕木パルプ繊維の吸収パットを厚さ約
1 milの液体不浸透性ポリエチレン膜のシート上に置いて作成した。この吸収パ
ッドは長さ175 mm、幅62 mm、厚さ12 mmであった。吸収パッドは端を折り曲げて
おり、重量は約7.5グラムであった。パッドに使用した木パルプ繊維は芸術家に
良く知られているように、2-3 mm程度の短いものであった。ほぼ上記の吸収木パ
ルプパッド程度の長さと幅をもつ移動層をパッドの上面に接するように置いた。
表CのサンプルEとほぼ同様の組成をもつ有孔プラスチック製膜を、すべての試験
用サンプルの接触層として使用した。すなわち上記の有孔膜を吸収パッド/移動
層の上に置いて試験用サンプルとした。サンプルEの接触層を、EVA層が移動層に
接し、LLDPE層が移動層と反対の外側に向くように移動層の上に重ねた。
試験サンプルに用いた移動層は、表Dに示すようにさまざまな重量をもつ熱結
合ポリプロピレン・ウェッブ製である。試験に使用したポリプロピレン・ウェッ
ブの基本重量は24 gm/m2でドイツのAmco abrics製である。移動層は、このポリ
プロピレン・ウェッブを重ねて、基本重量が24 gm/m2を超えるものとした。
ここに述べた方法で作成した実験用サンプルについて、本書で前述した液体戻
り試験によって戻り特性の試験を行った。この試験の結果(10回の平均値)を表
Dに示す。ここで対照サンプル(移動層なし)の平均戻り値は0.75 gであった。
基本重量が約24 g/m2の移動層を用いた場合、平均戻り値は0.33 gまで低下した
。移動層の基本重量を48 g/m2まで増加すると、戻り値は0.29 gとわずかに低下
した。表Dのデータが示すように移動層の基本重量をさらに増加しても、戻り特
性に対する効果は見られなかった。
移動層(もしくはその繊維)に疎水性界面活性剤を加えた場合と加えない場合
の効果についても調べた。Amoco Fabrics社製の熱結合ポリプロピレン・ウェッブ
を移動層として使用して、上述のように生理用ナプキンを模した一連の試験用サ
ンプルを作成した。使用したウェッブの基本重量は24 g/m2であった。各種の試
験用サンプルに使用した移動層を表Eに示す。最初の試験サンプルには、メーカ
ーが供給した状態のポリプロピレン・ウェッブを使用した。2番目の試験サンプル
では試験前に、製造メーカーがポリプロピレン・ウェッブに行った疎水性仕上げ
(エトキシレート短鎖脂肪族炭化水素と思われる)を除去した。第3、4、5番目
のサンプルでは、製造メーカーが行った疎水仕上げを(水抽出法により)除いた
後に、本書に前述したさまざまな量のTriton X-100をポリプロピレン・ウェッブ
に加えた。上述の試験用サンプルについて測定した吸収時間を表Eに示す。
重量24 g/m2の移動層(供給業者Amoco Fabricsが供給した状態のまま)といず
れの層にも界面活性剤を加えない膜#4(表A)を使用した試験では、平均吸収時
間が180秒を超えた。
例5
本発明にかかる有孔2層膜を例1に示した共射出成形法を用いてさらに作成した
("例5の膜"とする)。約75重量%のグリセロール・モノオリート(GMO)を主成分と
し約25重量%のソルビタン・モノロレート(SML)を少量成分とした界面活性剤混合
物をAtmer* 685の代わりに使用した。この例5の膜の上LLDPE層は、表Aの膜#1と
同じ組成である。例5の膜の下EVA層は、上述のGMO/SML混合物を含み、ほぼつぎ
のような組成であった(すべて重量比で示す)。EVA共重合対50、二酸化チタン7
.5、Iraganox 1010が0.03、LDPE担体レジン5.0、上述のGMO/SML混合物2.5。
例5の膜について、前述した水滴浸透試験により、水滴浸透値(D.P.V.)を測定
した。膜の向きは、水滴か試験片の上、すなわちLLDPE層に滴下されるようにテ
ストスタンドにセットした。8枚の試験膜について試験を行った。水滴浸透値は
そぞれ100%、100%、100%、84%、90%、93%、97%、92%であった。これら
の水滴浸透値は、例5の膜の液体浸透特性が非常に優れていることを示す。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
B32B 27/18 9633−4F B32B 27/28 101
27/28 101 9156−4F 27/32 C
27/32 2119−3B A41B 13/02 E
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,UZ,VN
(72)発明者 セイド,ワッシム,エフ
アメリカ合衆国 08876 ニュージャージ
ー州 サマーセット,ヘイワース プレイ
ス 211
(72)発明者 サンプソン,アーサー,ジェイ
アメリカ合衆国 08873 ニュージャージ
ー州 サマーセット,ブラックウエルズ
ミルズ ロード 168
(72)発明者 ケイブ,アレックス,ダヴリュー.,ジュ
ニア
アメリカ合衆国 08833 ニュージャージ
ー州 レバノン スリーミアーフィールド
レーン