【発明の詳細な説明】
ヒト・免疫不全ウイルスに対する活性を有するオリゴヌクレオチド
発明の分野
本発明は、ヒト・免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害することにおいて
特に有用なオリゴヌクレオチドに関する。
発明の背景
アンチセンスオリゴヌクレオチドはウイルスのmRNAとハイブリダイズし、
mRNAの翻訳またはプロセッシングを阻害し、そのことによりウイルス複製を
阻害することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドのウイルスmRNAへ
のハイブリダイゼーション(アンチセンス:mRNA)は、アンチセンスヌクレ
オチドおよびウイルスmRNA上に存在する相補的ヌクレオチド間の水素結合に
より起こる。アデニン(A)はチミジン(T)およびウラシル(U)に相補的で
あり、一方、シトシン(C)はグアニン(G)に相補的にである。アンチセンス
:mRNA鎖に沿って、古典的な塩基対AU、TAまたはUANGCもしくはC
Gが存在する。さらに、いくつかのミスマッチ塩基対(例えば、AG,GU)が
存在しうる。
ヌクレオチド間に水素結合を形成する能力は、アンチセンスヌクレオチドが特
定のウイルス核酸配列を標的とすることを可能にする。よって、アンチセンスヌ
クレオチドはウイルス核酸にのみ存在する核酸配列を標的とすることができ、ウ
イルス遺伝子の発現を選択的に阻害することができる。
オリゴヌクレオチドは、ウイルス核酸にハイブリダイズしうる抗ウイルス剤と
して特許請求されている。例えば、トゥリス(Tullis),米国特許第5,023,
243号はアンチセンスヌクレオチドの使用に関する一般的説明を提供する。カ
ジ(Kaji),米国特許第4,689,320号は、単純ヘルペスウイルスを標的と
するヌクレオチド配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドで治療した場合
、
単純ヘルペスでのマウスの死亡率の低下を示すデータを提供する。グッドチャイ
ルド(Goodchild)ら,米国特許第4,806,463号は、HIV感染した培養細
胞における、いくつかの異なる特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドのHTL
V−III(HIV)複製および遺伝子発現を阻害する能力を示すデータを提供す
る。カンチン(Cantin)ら,米国特許第5,110,802号には、HIV複製を
阻害するための特別なメチルホスホネート結合オリゴヌクレオチドの使用が記載
されている。エッカー(Ecker),米国特許第5,166,195号は、ある種のア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる、クローン化されたtat遺伝子の阻害
を示すデータを提供する(これらの米国特許を参照により本明細書に取り入れる)
。マツクラ(Matsukura)ら,プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシズ・ユーエスエイ(Proc.Natl.Acad.)第86巻:
4244頁には、rev配列を標的とするホスホロチオエート結合オリゴヌクレ
オチドを用いる、宿主細胞を殺さない、慢性的に感染した細胞におけるHIV発
現の阻害が記載されている。
さらに、アンチセンス機構によるウイルスの阻害のほかに、オリゴヌクレオチ
ドは、配列非特異的機構でウイルスを阻害することができる。例えば、マジュム
ダー(Majumdar)ら,バイオケミストリー(Biochemistry)第28巻:1340
頁(1989年)には、HIV逆転写酵素を阻害するためのホスホロチオネート
オリゴヌクレオチドの使用が記載されている。
発明の概要
本発明は、ヒト・免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害するための化合物
および方法を記載する。好ましいHIV標的部位は同定され、標的部位にハイブ
リダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドが記載されている。オリゴヌ
クレオチドの好ましい使用は、HIV感染患者におけるHIV複製を阻害するた
めの抗HIV剤としての使用である。本発明の他の使用は、検出プローブまたは
増幅プライマーとしてオリゴヌクレオチドを使用することによりHIVの存在を
検出すること、HIV複製を阻害するオリコヌクレオチドの能力を測定して
HIV表現型に対する抗HIV剤としてのその適性を評価すること、あるいは患
者におけるHIVの存在を診断することを包含する。
記載されたオリゴヌクレオチドは特異的HIV核酸配列を標的とし、異なる機
構の組み合わせによりHIVを阻害すると考えられる。予想される1の機構は、
HIV標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、および
それによるHIV標的核酸からの蛋白生産の阻害を包含する。他の機構は、本発
明オリゴヌクレオチドによるHIV複製の阻害における役割も果たしうる。所望
オリゴヌクレオチドがアンチセンス機構以外の機構によりその効果を発揮すると
いう可能性を排除または無視するつもりはない。実際、ホスホチオレートオリゴ
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド:標的ハイブリダイゼーションを必要とし
ない機構によりHIV複製を阻害することができ;ホスホロチオネートオリゴヌ
クレオチドはHIV逆転写酵素を阻害し、gp120の結合およびプロテインキ
ナーゼC(PKC)のリン酸化活性を阻害することができるかもしれない。
記載されたヌクレオチドは、ウイルス複製に必要な蛋白をコードしているHI
Vゲノムの保存的なヌクレオチド配列領域、すなわち、プライマー結合部位(p
BS)、psi、tat、vpr、rev、env、およびnefを標的とする
。tatまたはvprに存在する核酸配列(「標的部位1」,SEQ.ID.NO.
94)、あるいはtat、revおよびenv、ならびにnef mRNAに存
在するヌクレオチド配列(「標的部位2」,SEQ.ID.NO.95)を標的とす
るいくつかのオリゴヌクレオチドは、HIV複製の阻害に特に有効である。好ま
しいオリゴヌクレオチドは、標的部位1または標的部位2に存在する核酸配列領
域に完全に相補的である。これらの好ましいオリゴヌクレオチドの2つの例を、
標的部位1に完全に相補的なSEQ.ID.NO.35、および標的部位2に完全
に相補的なSEQ.ID.NO.18により示す。
よって、第1の態様において、本発明は、精製オリコヌクレオチドを用いるH
IV複製の阻害方法を特徴とする。該方法は、HIV感染細胞を20ないし10
0ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドと接触させる工程からなる。該オリ
ゴヌクレオチドは、SEQ.ID.NO.94またはSEQ.ID.NO.95の
HIV核酸配列に存在する20ヌクレオチドの核酸配列領域に実質的に相補的で
ある。該オリゴヌクレオチドは、必要とされるHIV核酸の正常な活性を減じる
ことによりHIV複製を阻害すると予想される。複製に必要なHIV核酸の正常
な活性は、HIV RNAの逆転写、HIV mRNA合成およびゲノムHIV
mRNAのパッキングを包含する。
インビボでのハイブリダイゼーション条件は、約37℃の生理学的温度を包含
する。インビボでの条件は、比較的低温で行われ、完全には相補的でない核酸間
のハイブリダイゼーションが起こり得ることから、診断的プローブのハイブリダ
イゼーションアッセイ条件と比べれば低い緊縮性の条件である。インビボまたは
インビトロでのハイブリダイゼーションに対して必要な相補性の程度は、隣接す
る相補的塩基のセグメント長、水素結合に関与する塩基のタイプ(例えば、G:
C水素結合の形成はA:T水素結合よりも強力である)、内部での付加または欠
失、およびオリゴヌクレオチドの構造的な化学修飾のごとき因子により影響され
る。好ましくは、完全に相補的なな核酸鎖と比較した場合、15個の「隣接」し
た相補的塩基のうち塩基の2個またはそれ以下、より好ましくは1個またはそれ
以下、最も好ましくは0個の塩基対がミスマッチであり、かつ内部で欠失および
/または内部で付加がされているものである。各HIVタイプの塩基配列は異な
る可能性があるので、HIVに対する特定のオリゴヌクレオチドの相補性は、患
者に感染する実際のHIV鎖またはイソ型に依存するであろう。
「ハイブリダイズ」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的核酸と安定な
2本鎖(すなわち、検出可能な2本鎖)を形成し、そのことにより当該核酸の正
常な活性を減じることを意味する。オリゴヌクレオチドと標的HIV核酸との間
のハイブリダイゼーションは、好ましくは、インビボ条件において標的ウイルス
核酸に特異的である。しかしながら、インビボ条件下でウイルス標的部位および
非標的細胞性部位の双方と2本鎖を形成しうる抗ウイルスオリゴヌクレオチドは
、インビボにおける抗ウイルス剤としてさらに有用であるかもしれない。ウイル
ス核酸活性の阻害と細胞性核酸活性の阻害との間の十分な認識のごとき異なる因
子により、あるいはHIV発現に必要な細胞性因子に対する影響により、インビ
ボ
での有効性を決定してもよい。
「実質的に相補的」な核酸配列は、オリゴヌクレオチドが核酸配列にハイブリ
ダイズして検出可能な2本鎖を形成できることを意味し、核酸配列に完全に相補
的な核酸と比較して、好ましくは0ないし10%、好ましくは0ないし5%のヌ
クレオチド塩基の相違を有することを意味する。ヌクレオチド塩基の相違は、ミ
スマッチ、内部付加および/または内部欠失を包含する。
用語「精製された」は、ある程度の人間の介在なしには天然に見いだすことの
できない形態のオリゴヌクレオチドをいい、また、外来性核酸で組み換えられて
いるオリゴヌクレオチドをいう。精製されたオリゴヌクレオチドを、化学合成、
および組み換え型核酸分子、例えばレトロウイルスベクターからのインビトロま
たはインビボ発現のごとき当該分野で知られた方法により製造することができる
。
他の態様は、SEQ.ID.NO.18〜20ならびに22〜29、およびSE
Q.ID.NO.65〜67ならびに69〜76により示されるそれらに対するR
NA等価物(標的部位2);さらにSEQ.ID.NO.35ならびに38〜46
、およびSEQ.ID.NO.82ならびに85〜93により示されるそれらに対
するRNA等価物(標的部位1)からなる群より選択されるヌクレオチド配列領
域を必須としてなる、またはこれらを有する、あるいはこれらに実質的に相補的
な精製ヌクレオチドを用いてHIV複製を阻害する方法を記載する。
核酸配列についての「必須としてなる」とは、特定のヌクレオチド配列と比べ
ると0ないし10%、好ましくは0ないし5%のヌクレオチド塩基の相違(RN
AまたはDNA等価ヌクレオチドを除く)を有し、特許請求されている活性(す
なわち、抗HIV活性)を有する核酸配列を含むオリゴヌクレオチドを意味する
。ヌクレオチド塩基の相違は、ミスマッチ、内部付加および/または欠失を包含
する。さらに、「必須としてなる」という語句は、4個までのさらなる付加また
は2個までの外部欠失というサイズ制限を提供する。さらなるヌクレオチドは、
HIV核酸に対して相補的であってもよく、相補的でなくてもよい。
「RNAおよびDNA等価物」は、同じ相補的塩基対のハイブリダイセーショ
ン特性を有するRNAおよびDNA分子をいう。RNAおよびDNA等価物は異
なる糖基(すなわち、デオキシリボースに対するリボース)を有し、RNAにお
けるウラシルおよびDNAにおけるチミジンの存在により異なってもよい。RN
AおよびDNA等価物は特定の配列に対して同程度の相補性を有する。
好ましくは、オリゴヌクレオチドをHIV感染患者の治療的処置に使用する。
「治療的」は、HIV感染により引き起こされる疾病の治療または予防をいう。
「治療上有効量」は、HIV感染患者におけるHIV複製を阻害する量である。
好ましくは、治療上有効量は、HIV感染に関連する1つまたはそれ以上の徴候
をある程度緩和する。
別の態様は、標的部位1または標的部位2に存在する20ヌクレオチドの核酸
配列領域に実質的に相補的な20ないし100ヌクレオチドの精製オリゴヌクレ
オチドからなる、HIV核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを記載する。
他の態様において、本発明は、標的部位1または標的部位2に存在するHIV
核酸配列を標的とする(すなわち相補的な)特定の核酸配列を有する、これらを
必須としてなる、あるいは実質的にこれらに対応するオリゴヌクレオチドを特徴
とする。
標的部位2に対するオリゴヌクレオチドに特異的な核酸配列はSEQ.ID.N
O.18〜20ならびにに22〜29に示され、それらに対するRNA等価物は
SEQ.ID.NO.65〜67ならびに69〜76に示される。標的部位1に対
するオリゴヌクレオチドの特異的な核酸配列はSEQ.ID.NO.35ならびに
に38〜46に示され、それらに対するRNA等価物はSEQ.ID.NO.82
ならびに85〜93に示される。
本発明オリゴヌクレオチドは、一般的には、インビトロで合成され、治療組成
物として細胞中に導入されうる。標的部位の核酸配列を含むベクターにより該オ
リゴヌクレオチドを細胞中に導入することもできる。かかるベクターは、アンチ
センスオリゴヌクレオチドとして機能しうるRNAをコードしている。イズナト
(Iznat)ら,サイエンス(Science)第229巻:345〜352頁(1985
年)参照。
個々のオリゴヌクレオチドのヌクレオチドサブユニットを、ホスホジエステル
結合もしくは修飾結合により、またはアンチセンス分子のハイブリダイゼーショ
ン特性を妨害しない非ヌクレオチド部分により結合してもよい。修飾結合は、標
準的なホスホジエステル結合がホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホス
ホジチオエートまたはホスホセレネート結合のごとき異なる結合で置換されてい
る結合を包含する。修飾結合は、一般的には、ホスホジエステル結合よりもヌク
レアーゼ分解に抵抗性がある。
オリゴヌクレオチドがその標的核酸とハイブリダイゼーションすることを妨害
しないオリゴヌクレオチドの修飾も、本発明に包含される。修飾オリゴヌクレオ
チドは、当該オリゴヌクレオチドがHIV活性または複製を阻害することを妨害
しない修飾された糖基を有していてもよい。同様に、オリゴヌクレオチドは、当
該オリゴヌクレオチドがHIVを阻害することを妨害しない修飾プリンまたはピ
リミジン塩基を有していてもよい。
標的部位1および2を標的とする、ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌ
クレオチドはHIV遺伝子発現を阻害することが見いだされた。実際、標的部位
1および2を標的とする、共有結合した13〜100個のヌクレオチドを有する
アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明において活性がある。
さらに本発明は、上記ヌクレオチドおよびかかるオリゴヌクレオチドをコード
しているベクターの使用方法を特徴とする。本発明の他の特徴および利点は、以
下の好ましい本発明の具体例の記載および請求の範囲から明らかであろう。
発明の詳細な説明
本発明は、HIVゲノムおよびmRNAを標的とするオリゴヌクレオチドに関
する。該オリゴヌクレオチドは、特定のHIV核酸配列とハイブリダイズするよ
うに設計されており、好ましくはHIV複製の阻害に使用される。該オリゴヌク
レオチドは、HIV複製を阻害する能力および/またはHIV核酸配列にハイブ
リダイズする能力に関連した種々の用途を有する。かかる用途は、治療剤として
の用途および診断アッセイにおける用途を包含する。
抗HIVオリゴヌクレオチドのみを用いてHIV複製を阻害することができ、
あるいは他の抗HIVオリゴヌクレオチドもしくは抗HIV治療と組み合わせて
HIV複製を阻害することができる。例えば、第1の抗HIVオリゴヌクレオチ
ドを第2の抗HIVオリゴヌクレオチドと組み合わせて用いることができる。第
2の抗HIVオリゴヌクレオチドは、1)副標的オリゴヌクレオチド、2)第2
の別の標的オリゴヌクレオチド、または3)非標的ホスホロチオエートオリゴヌ
クレオチドのいずれかであってよい。副標的オリゴヌクレオチドは、第1の標的
オリゴヌクレオチドの標的領域の副標的領域にハイブリダイズするように設計さ
れている。よって、副標的オリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドの
切断された部分を含む。副標的/標的オリゴヌクレオチドの組み合わせの例は、
SEQ.ID.NO.18のホスホロチオエートオリゴヌクレオチドおよびSEQ.
ID.NO.22のホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの混合比10対1のも
のである。
以下の核酸配列が提供される:
これらの配列を含む、これらの配列からなる、これらの配列に実質的に対応す
る配列を含む、これらの配列を必須としてなるオリゴヌクレオチドは、本発明の
1つまたはそれ以上の態様において有用である。
「実質的に対応する」は、特定の配列と比較して、同一であるか、または20
%を超えないヌクレオチド塩基の相違を有する(RNAまたはDNA等価ヌクレ
オチドを除く)核酸配列を有し、特許請求された活性(すなわち抗HIV活性)
を有するオリゴヌクレオチドをいう。ヌクレオチド塩基の相違は、ミスマッチ、
内部付加および/または内部欠失を包含する。特定の配列の外部のさらなるヌク
レオチドが存在してもよい。さらなるヌクレオチドはHIV核酸に対して相補的
であってもよく、非相補的であってもよい。好ましくは、実質的に対応する配列
は、当該特定の配列と比べて10%未満、より好ましくは5%を超えない相違を
有する。
I.HIV増殖の阻害
HIV標的部位1および2を標的とするオリゴヌクレオチドは、HIV遺伝子
発現の阻害に特に有効である。標的部位1はtatおよびvprをコードするエ
キソン中に存在する。標的部位2はtat、rev、env、およびnefをコ
ードするエキソン中に存在する。1つ以上の遺伝子における同じ標的部位の存在
は、HIVゲノムにおける重複エキソンによる。重複エキソンの結果として、H
IVゲノム中のいくつかの遺伝子は、1つまたはそれ以上の読み取り枠中に多く
の同じ核酸配列を含んでいる。シュワルツ(Schwartz)ら,ジャーナル・オブ・ウ
イロロジー(Journal of Virology)第64巻:2519頁(1990年)。
HIVを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計を以下に詳述する
。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、当業者は、本願を指標として
、下記領域を標的とする等価なオリゴヌクレオチドが容易に設計され、合成され
うることを認識するであろう。
A.標的部位1および2の選択
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、弱い、あるいは強い2次構造を有する保
存的HIV核酸配列を標的としていた。異なるHIV株の1次配列を、HIV核
酸配列を記載する種々の刊行物から得た。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、
HIVのHXB−2株に関して公表されたHIV核酸配列を基礎として設計した
。必須のウイルス蛋白をコードしている保存的1次核酸配列を、HIVの異なる
株に関する公表されたHIV配列と比較することにより選択した。当該分野で知
られた方法を用いて、1次核酸配列から2次構造を予想した(例えば、ズッカー
,エム(Zucker,M),メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology
),
第190巻,262頁(1979年))。
別の推理によると、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、弱い、あるいは強い
2次構造を有する核酸配列を標的としていた。2次構造は、相補的ヌクレオチド
間の分子内水素結合の形成により生じる。2次構造が弱いほど、水素結合の形成
の可能性は小さい。B.標的部位1および2を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
標的部位1および2のヌクレオチド配列をそれぞれSEQ.ID.NO.94お
よび95にに示す。これらの配列に相補的な核酸配列を有するオリゴヌクレオチ
ドがHIV複製を阻害する能力は、SEQ.ID.NO.94または95を標的と
する他のアンチセンスオリゴヌクレオチドがHIV遺伝子発現の阻害に有効であ
ろうということを示す。SEQ.ID.NO.18および35は、それぞれSEQ.
ID.NO.95および94に相補的である。SEQ.ID.NO.18および35
の延長バージョンおよび切断バージョンはともにHIV複製の阻害に用いること
ができる。
HIV複製の阻害に用いるSEQ.ID.NO.18および35の適当なバージ
ョンの決定において、いくつかの因子が重要である。SEQ.ID.NO.18お
よび35のバージョンは、生理学的条件下でSEQ.ID.NO.95または94
と十分にハイブリダイズでき、核酸活性を阻害するものでなくてはならない。ハ
イブリダイゼーションに影響する因子は、塩基組成、オリゴヌクレオチド修飾お
よびオリゴヌクレオチドサイズを包含する。
オリゴヌクレオチドの設計において重要である他の因子は、相補的領域の長さ
、グアニンおよびシトシン残基のパーセンテージ、オリゴヌクレオチド結合のタ
イプ、そしてハイブリダイゼーションのための標的配列のアクセスし易さである
。これらの因子は当該分野において知られている。ブリテン,アール・ジェイ(B
ritten,R.J.)およびデイビッドソン,イー・エイチ(Davidson,E.H.),ハイブリ
ダイゼーション・ストラテジー・イン・ヌクレイック・アシッド・ハイブリダイ
ゼーション(Hybridization Strategy In Nucleic Acid Hybridization)(ビ
ー・ディー・ヘイムス(B.D.Hames)およびエス・ジェイ・ヒギンス(S.J.Higgi
ns)編)ワシントンDCのIRLプレス(IRL Press)(1985年)参照。こ
れらを参照により本明細書に取り入れる。抗HIVオリゴヌクレオチドは、好ま
しくは、長さ18ないし50ヌクレオチド、より好ましくは、長さ20〜35ヌ
クレオチドである。一定の場合におけるこれらの因子の重要性を、最初にインビ
トロで、次いで、インビボでの研究により決定することができる。
1.オリゴヌクレオチドの修飾
オリゴヌクレオチドを修飾してそれらの抗HIV活性および治療活性を高める
ことができる。好ましい修飾は、オリゴヌクレオチドの細胞への取り込み、オリ
ゴヌクレオチドの安定性を高め、HIV増殖を阻害する。活性および/または細
胞への取り込みが増大した修飾オリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド
間結合および糖基を修飾されたオリゴヌクレオチドを包含する。修飾されたヌク
レオチド間結合の例は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスホ
ロジチオエートを包含する。修飾された糖基の例は、α−アノマーおよび2'−
O−メチルオリゴヌクレオチドを包含する(カンチン(Cantin)およびウールフ
(Woolf),トレンズ・イン・マイクロバイオロジー(Trends in Microbiology)
第1巻:270〜276頁,1993年)。
抗HIVオリゴヌクレオチドは、好ましくは、ホスホロチオエート結合を含む
。ホスホロチオエート結合はオリゴヌクレオチド安定性を増大させ、オリゴヌク
レオチドの細胞への取り込みを容易にし、一部には配列依存性と考えられる機構
によるオリゴヌクレオチドのHIV増殖の阻害を可能にする。よって、ホスホロ
チオエート結合したオリゴヌクレオチドは、その核酸配列に基づいて特異的なH
IV標的部位を標的にすることによりHIVを阻害し、さらに特異的配列に依存
しない機構によりHIVを阻害する。
ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドはウイルス逆転写酵素を
阻害することができ、さらにCD4受容体へのgp120の結合およびPKCの
リン酸化活性を阻害しうる。ウイルス逆転写酵素阻害効果は、ホスオロチオエー
トオリゴヌクレオチドのサイズが大きくなるにつれて増大する。ホスホロチオエ
ート結合を有するオリゴヌクレオチドは、コーエン(Cohen)ら,米国特許第5,
264,423号、およびキンチントン(Kinchington)ら,アンタイバイラル・
リサーチ(Antiviral Research)第17巻:53〜62頁,1992年に記載さ
れている。
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに対する細胞の対応は、オリゴヌクレ
オチド取り込みおよび安定性の測定実験において、ホスホジエステルオリゴヌク
レオチドよりも一貫して10倍大きかった。この効果の一部は、ホスホロチオエ
ートオリゴヌクレオチドの細胞への取り込みがホスホジエステルオリゴヌクレオ
チドよりも多いことによると思われ、その効果の一部は、増大したホスホロチオ
エートオリゴヌクレオチドの安定性によるものである。取り込み機構の相違は、
細胞の会合に対して、オリゴヌクレオチドの安定性の相違よりも大きい影響を有
すると思われる。
シエリー(Thierry)およびドリチロ(Dritschilo),ヌクレイック・アシッズ
・リサーチ第20巻:6591〜5698頁(1992年)もまた、ホスホロチ
オエート結合の存在によるオリゴヌクレオチドの取り込みおよび安定性の向上を
観察した。シエリーは、100%のホスホロチオエート結合を有する第1のオリ
ゴヌクレオチドおよび末端をホスホロチオエート基でキャップした第2のオリゴ
ヌクレオチド(すなわち、両端に2個のホスホロチオエート修飾を有するオリゴ
ヌクレオチド)は、どちらもホスホジエステル結合のみを有するオリゴヌクレオ
チドよりも安定であり、非常によく細胞に取り込まれることを見いだした。
2.オリゴヌクレオチドのサイズ
最適なオリゴヌクレオチドのサイズを、異なる抗HIV機構およ細胞への取り
込みについて考慮すべきである。抗HIVオリゴヌクレオチドは、好ましくは、
長さ18ないし100ヌクレオチドであり、好ましい核酸配列または実質的に好
ましい核酸配列に対応した核酸配列を含む。かかるオリゴヌクレオチドは同定さ
れた標的部位を標的とする。好ましい核酸配列のさらなるヌクレオチドは
HIV核酸に相補的であってもよく、あるいは非相補的であってもよい。より好
ましくは、これらのヌクレオチドは長さ18ないし50ヌクレオチドである。最
も好ましくは、オリゴヌクレオチドは長さ20ないし35オリゴヌクレオチドで
ある。
長いオリゴヌクレオチドにありうる不利は、オリゴヌクレオチドの取り込みの
減少および細胞毒性効果の増加を包含する。これらの効果の程度は、少なくとも
一部は、オリゴヌクレオチドのサイズおよびオリゴヌクレオチド結合のタイプに
より決定される。例えば、ホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドを
用いた場合、ありうる細胞毒性効果はより著しい。
標的配列に相補的な長い核酸配列を有するオリゴヌクレオチドは、短いオリゴ
ヌクレオチドと比べると、標的特異性の増加およびオリゴヌクレオチド:標的2
本鎖の安定性の増加をはじめとするいくつかの利点を提供する。オリゴヌクレオ
チド:標的の2本鎖の安定性の増加は、異なる様式でオリゴヌクレオチドのHI
V阻害効果を容易にする可能性がある。例えば、主たる効果が翻訳抑制である場
合、2本鎖の増加した安定性は、リボゾームのオリゴヌクレオチド置換を妨害す
ることにより、翻訳抑制を増大させることができる。
ありうる機構の別の例は、RNase H活性を有する酵素でのDNA:RN
A HIV2本鎖のRNA鎖の分解を包含する。この場合、2本鎖の増大した安
定性は、2本鎖が酵素作用を受けるという可能性を増加させる。RNaseH活
性により分解されるためには、好ましくは、DNA:RNA HIV2本鎖中の
抗HIVオリゴヌクレオチドが、3個またはそれ以上の隣接したホスホジエステ
ルまたはホスホロチオエート結合を有することである。
3.オリゴヌクレオチド相補性および融解温度
上述の通り、相補的オリゴヌクレオチドは、標的配列領域とハイブリダイズす
るように設計される。完全には相補的でない核酸が、生理学的条件下では互いに
ハイブリダイズするかもしれず、一般的には、完全に相補的な塩基配列の最長の
長さがハイブリッドの安定性を決定する。特定の配列領域にハイブリダイズする
ように設計されるオリゴヌクレオチドは、適当な融解温度(Tm)(50%のオ
リゴヌクレオチドがその標的核酸とハイブリダイズする温度)を有するように設
計されるべきである。プローブ長およびヌクレオチド組成(A+Tに対するG+
Cのパーセンテージ)を変更することにより、適当なTmを得ることができる。
プローブ長およびヌクレオチド組成は、生理学的温度(37℃)よりも約2〜1
0℃高いTmをもたらすべきである。
オリゴヌクレオチド上の相補的領域が長いほど標的配列に対する水素結合が多
くなり、一般的には、Tmが高くなる。G−C塩基対はA−T塩基対よりも強力
な水素結合を示し、それゆえ高い熱安定性を示すので、GおよびCのパーセンテ
ージの増大もまたTmを上昇させる。アーノルド(Arnold)らの「ホモジーニア
ス・プロテクション・アッセイ(Homogeneous Protection Assay)」と題された
EPO出願番号88308767(公開番号309230)、およびネルソン(
Nelson)ら,「ノンアイソトーピック・DNAプローブ・テクニックス(Noniso
topic DNA Probe Techniques)」275頁(サンジエゴのアカデミックプレス(
Academic Press)(クリッカ(Kricka)編))によるハイブリダイゼーション・
プロテクション・アッセイ(HPA)によりハイブリダイゼーションを測定する
ことのような当該分野で既知の方法を用いてTmを決定することができる(これ
らの文献を参照により本明細書に取り入れる)。アーノルド(Arnold)らの「ア
クリジニウム・エステル・ラベリング・アンド・ピューリフィケイション・オブ
・ヌクレオチド・プローブス(Acridinium Ester Labeling and Purification o
f Nucleotide Probes)」と題されたPCT/US88/03361(参照によ
り本明細書に取り入れる)に記載のごとく、オリゴヌクレオチドをアクリジニウ
ムエステル誘導体で標識することができる。
以下の方法でHPAを用いてTmを測定することができる。オリゴヌクレオチ
ドをアクリジニウムエステルで標識する。コハク酸リチウム緩衝液(0.1Mコ
ハク酸リチウム緩衝液(pH5.0)、2mM エチレンジアミン四酢酸(ED
TA)、2mM エチレングリコールビス(ベータ−アミノエチルエーテル)N
,N,N',N'四酢酸(EGTA)、10%(w/v)ラウリル硫酸リチウ
ム)中で、過剰量のHIV RNA標的を用いてオリゴヌクレオチド:標的ハイ
ブリッドを形成させる。次いで、核酸ハイブリッドを含有する溶液の一部をコハ
ク酸リチウム緩衝液で希釈する。その一部を、予想されるTmから2〜5℃きざ
みで温度を上昇させた種々の温度で5分間インキュベーションする。次いで、溶
液を温和なアルカリ性のホウ酸緩衝液(0.15M 四ホウ酸ナトリウム(pH
7.6)、5%(v/v)TRITONRX−100)で希釈し、低温で10分
間インキュベーションする。これらの条件下で、1本鎖オリゴヌクレオチドに結
合したアクリジンエステルが加水分解されるが、ハイブリダイズしたオリゴヌク
レオチドに結合したアクリジニウムエステルは比較的加水分解から防御される。
よって、加水分解処理後に残存するアクリジニウムエステル量は、試料中の存在
するハイブリッド分子の数に比例する。残存しているアクリジニウムエステルを
、過酸化水素およびアルカリを溶液に添加することによる化学発光をモニターす
ることにより測定することができる。化学発光をルミノメーター(例えばGen
−ProbeLEADERRIまたはLEADERR50)で測定することができ
る。得られたデータを、温度に対する最大シグナルのパーセントとしてプロット
する(通常は低温からプロット)。このアッセイにおいて、Tmは、最大シグナ
ルの50%が残存する温度であると決定される。さらに、上記方法以外に、当該
分野でよく知られたアイソトープ法によりTmを決定してもよい(例えば、ホー
ガン(Hogan)ら,上記参照)。
4.スクリーニングアッセイ
生理学的条件を模倣するように設計されたオリゴヌクレオチドスクリーニング
アッセイによりオリゴヌクレオチドをスクリーニングして生理学的条件下で起こ
ると期待されるハイブリダイゼーションの測定値を得ることもできる。生理学的
条件の複雑さのため、該オリゴヌクレオチドスクリーニングアッセイは、細胞中
の実際のハイブリダイゼーション挙動の正確な予想というよりもむしろ近似値を
与える。試験DNAオリゴヌクレオチド、試験オリゴヌクレオチドと同じ配列を
有するアクリジンエステル標識オリゴヌクレオチド、およびRNase H活性
を有する酵素を用いてオリゴヌクレオチドスクリーニングアッセイを行うことが
できる。
該アッセイは、DNAオリゴヌクレオチドがRNA標的にハイブリダイズして
DNA:RNA2本鎖を形成する能力を、引き続いてのRNaseH活性による
標的RNAのRNaseH活性による分解を測定することにより測定するもので
ある。アクリジニウムエステル標識オリゴヌクレオチドを用いて残存する標的核
酸を検出する。
以下のようにオリゴヌクレオチドスクリーニングアッセイを行うことができる
。
1)水性の生理学的緩衝液のごとき溶液中でオリゴヌクレオチドをその標的核
酸配列にハイブリダイズさせる。標的核酸の例は精製HIV mRNAである。
100μlの生理学的緩衝液中の0.9pmolの標的mRNA、0.1pmol
のアクリジニウムエステル標識プローブを用いて、37℃で2時間、ハイブリダ
イゼーションを行うことができる。最適なRNaseH酵素活性のための1x最
終緩衝液濃度において反応物を分配して2系にする。
2)イー・コリ(E.coli)のRNaseH(メリーランド州ゲイサースバーグ
のライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)製、0.4U/反応)を2系に
なった反応物の一方に添加する。他方にはRNaseを入れず、(−)RNas
e対照として役立てる。反応を37℃で1時間行い、95℃で5分間変性させ、
次いで、直接氷上に置くことにより反応停止する。
3)反応物の一部を適当なホスホジエステルアクリジニウムエステル−プロー
ブとハイブリダイズさせる。適当なアクリジニウムエステル標識プローブは、試
験オリゴヌクレオチドと同じ核酸配列とハイブリダイズすることができ、相補的
領域にアクリジニウムエステルを含むことができる。アクリジニウムエステル標
識プローブを60℃で1時間ハイブリダイズさせる。標的核酸配列以外の領域に
ハイブリダイズすると考えられるアクリジニウムエステル−プローブを用いて対
照のハイブリダイゼーションを行う。
4)反応物の一部をハイブリダイゼーション緩衝液(0.1M コハク酸リチ
ウム緩衝液(pH5.0)、2mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2
mM エチレングリコールビス(ベータ−アミノエチルエーテル)N,N,N',N
'四酢酸(EGTA)、10%(w/v)ラウリル硫酸リチウム)中に希釈する
。12x75mmのルミノメーター試験管中で、50マイクロリットルの複製物
を、300μlの0.15M四ホウ酸ナトリウム(pH7.6)、5%(v/v)
TRITONRX−100とともに、60℃で十分加水分解されるまで加水分解
する(通常6〜8分)。1.5N NaOH、0.1% H2O2を1回添加して化
学発光を生じさせ、ルミノメーターで測定する。
当業者に理解されるように、本法の変法を行うことができる。例えば、異なる
量の試薬およびインキュベーション時間を用いてアッセイを行うことができる。
C.治療活性
本明細書記載のオリゴヌクレオチドのHIV阻害活性は、いかなる理論にも限
定されない。インビボにおいてウイルス核酸と十分にハイブリダイズしてウイル
ス核酸活性を阻害することにより、記載されたオリゴヌクレオチドがウイルス複
製を阻害しうると考えられる。
1.標的の識別
記載したオリゴヌクレオチドは、ウイルス核酸と十分にハイブリダイズしてウ
イルス核酸活性を阻害するが、必須の細胞性核酸には十分にハイブリダイズせず
必須の細胞性核酸活性を阻害することなく、治療薬として機能する。必須の細胞
性核酸活性は細胞増殖または生命維持に必要な核酸活性である。細胞性核酸の核
酸活性は、細胞性mRNAの翻訳およびプロセッシングを包含する。
ウイルス性核酸および必須の細胞性核酸の間を十分に識別できないアンチセン
スオリゴヌクレオチドは、HIV感染細胞にのみ送達されることにより(例えば
、HIV感染細胞を標的とする認識分子を含有するリポソームを用いて)、治療
薬として作用する可能性がある。
異なるオリゴヌクレオチドの相対的な潜在活性の評価を、オリゴヌクレオチド
のハイブリダイゼーション挙動により行うことができる。細胞内環境が非常に複
雑で、完全には知られていないために、インビボ条件下での正しい2本鎖化は著
しく困難である。そのうえ、ウイルスの標的のアクセス可能性および活性に影響
を及ぼしうる、細胞中に存在する核酸結合蛋白がある。
インビボでのハイブリダイゼーション活性をインビトロにおいてモデル化する
ことができる(例えば、37℃の標準的な生理学的セイラインまたは0.12M
リン酸緩衝液(pH〜7.0)を用いる)。コーン(Kohne)の米国特許第4,8
51,330号、またはマニアティス(Maniatis)ら,モレキュラー・クローニン
グ(Molecular Cloning),ニューヨークのコールドスプリングハーバープレス(
Cold Spring Harbor Press)(1982年)に従って(両文献を参照により本明
細書に取り入れる)、インビトロ定量的アッセイを用いてハイブリダイゼーショ
ンを調べることができる。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、イ
ンビボにおいて特別に標的とハイブリダイズする。しかしながら、絶対的な特異
性は必要ない。むしろ、アンチセンスオリゴヌクレオチドがウイルス性および細
胞性核酸を十分に識別でき、その結果、有意な細胞毒性を引き起こすことなくウ
イルス増殖が阻害されうるべきである。特別なオリゴヌクレオチド濃度において
、ウイルス増殖よりも細胞増殖が阻害される場合に、有意な細胞毒性が生じる。
細胞毒性および化合物の効力を、異なる方法を用いて決定することができる。標
的配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの能力を特徴づけることにより
、最初のスクリーニングを行うことができる。引き続いて細胞毒性および/また
は効力の試験を、細胞培養および動物モデルを用いて行うことができる。
インビボにおいて細胞性およびウイルス性核酸活性を識別する能力を、インビ
トロにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの特異性を測定することにより評
価することができる。アンチセンス機構に関して測定される効力/毒性の比は、
特異性の増大とともに増加すると考えられる。特異性を、この目的のために最適
化された緊縮ハイブリダイゼーション条件下で全細胞性核酸を用いて測定するこ
とができる。好ましくは、アクリジニウムエステル(AE)標識ヌクレオチドを
用いて特異性を決定し、アーノルド(Arnold)らの「ホモジーニアス・プロテク
ション・アッセイ(Homogeneous Protection Assay)」と題されたEPO出願番
号88308767(公開番号309230)(参照により本明細書に取り入れ
る)によるハイブリダイゼーション・プロテクション・アッセイ(HPA)を用
いてハイブリダイゼーションを検出する。
AE標識オリゴヌクレオチドともに用いる緊縮ハイブリダイゼーション条件の
例は、(1)0.095Mコハク酸リチウム(pH5)、0.31Mラウリル硫酸
リチウム、1.5mM EDTA、1.5mM EGTAを含有する溶液中、50
℃で1時間のハイブリダイゼーション;次いで(2)0.05Mコハク酸リチウ
ム(pH5)、0.6M LiCl、1%(w/v)ラウリル硫酸リチウム、1
0mM EDTA、10mM EGTA中、50℃で15分、次いで、0.6M
ホウ酸ナトリウム(pH8.5)を300μl添加し、1%TRITONRX−1
00中、60℃で5〜7分、を包含する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドがHIV感染細胞から単離された核酸(全細
胞性RNAおよび/またはssDNA)にハイブリダイズする場合には、HIV
特異的なハイブリダイゼーションが判定でき、対照実験から得られるバックグラ
ウンドシグナルの2倍となる。対照実験系は細胞性核酸のみを含む。好ましくは
、HIV核酸へのハイブリダイゼーションから得られるシグナルは、バックグラ
ウンドシグナルよりも少なくとも5倍大きいものである。
2.オリゴヌクレオチドの投与
記載されたオリゴヌクレオチドは、HIV核酸活性を阻害することにより、H
IV感染患者の治療に有用である。抗ウイルスオリゴヌクレオチドを用い、異な
る処方および投与経路を用いてHIV患者を治療することができる。適当な投与
経路は、筋肉内、エアロゾル、経口(錠剤またはピル形態)、全身、眼、腹腔内
および鞘内である。
オリゴヌクレオチドとしてそのまま、発現ベクター(かかるアンチセンス分子
をコードしている)により、あるいは生理学的に許容される処方として、アンチ
センスオリゴヌクレオチドを導入することができる。適当な処方は、リポソーム
、除放性担体、イオントホレシス(iontophoresis)を用いるもの、イオン対分
子、共有結合付加物、および他の薬理学的に適当な送達方法を包含する。
異なるタイプの送達方法は本発明において有用である。それは、オリゴヌクレ
オチド修飾、粒子担体薬剤送達ビヒクル、およびレトロウイルス発現ベクターを
包含する。ホスホジエステル結合により結合したアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドはゆっくりと細胞に取り込まれる。細胞への取り込みを促進するために、アン
チセンスオリゴヌクレオチドをホスホジエステル結合において修飾してその電荷
を減少させてもよい。例えば、個々のヌクレオチドをメチルホスホネート結合に
より結合してもよい。
電荷を減少させるアンチセンスの修飾は、これらの大型分子の細胞への取り込
みを促進するための1つのアプローチに過ぎない。ヌクレアーゼ分解に対する感
受性を低下させるように修飾を設計することもできる(例えば、ホスホロチオエ
ート結合を使用)。
全身投与および局所投与双方のために薬剤送達ビヒクルを選択することができ
る。除放性リザーバーといて役立つように、あるいはその内容物を標的細胞に直
接送達するようにこれらのビヒクルを設計することができる。直接送達薬剤ビヒ
クルを用いる利点は、1回の取り込みで複数の分子が送達されることである。か
かるビヒクルは、かかるビヒクルなしでは血流から急速に除去されてしまう薬剤
の循環半減期を延長することが示されている。このカテゴリーに属するかかる特
別な薬剤送達ビヒクルのいくつかの例は、リポソーム、ヒドロゲル、シクロデキ
ストリン、生分解性ナノカプセル、および生体付着性微小球である。
薬剤送達としてのリポソームの使用はいくつかの利点を提供する。リポソーム
は細胞内安定性を向上させ、取り込み効率を向上させ、生物学的活性を改善する
。リポソームは、細胞膜を形成している脂質と同様の様式で配列された脂質から
なる中空小胞である。リポソームは、水溶性化合物を封入するための内部水性空
間を有し、直径0.05ないし数ミクロンのサイズ範囲である。いくつかの研究
は、リポソームが核酸を細胞に送達でき、核酸は生物学的に活性のままであるこ
とを
示している。例えば、もともと研究の道具として設計されたリポソーム送達ビヒ
クルであるリポフェクチン(Lipofectin)は、無傷の核酸分子を細胞に送達する
ことができる。
リポソームを使用することの特別な利点は以下のことを包含する。それらは成
分的に無毒で生分解性である;それらは長い循環半減期を示す;組織を標的とす
る認識分子をその表面に容易に結合させることができる。最終的に、液状懸濁物
または凍結乾燥製品のいずれにせよ、リポソームに基づく医薬品のコスト的に効
率のよい製造は、満足な薬剤送達システムとしてのこの方法の有効性を示した。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを全身的に投与してもよい。全身的な吸収は
、血流中での薬剤の蓄積と、その後の全身への分配をいう。全身的吸収を誘導す
る投与経路は、静脈、皮下、鼻腔内、鞘内および眼からの経路を包含する。これ
らの各投与経路は、アンチセンスオリゴヌクレオチドをアクセス可能な障害細胞
に曝露する。皮下投与は、リンパネットワークを通して循環系へと進む局所的な
リンパ節中に投与を行うものである。循環系への導入速度は、分子量またはサイ
ズの関数であることが示されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドを修飾し
て細胞中に拡散させることができ、あるいはリポソームは未修飾または修飾アン
チセンスオリゴヌクレオチドの細胞への送達に直接的に関与することもできる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドをリンパ球およびマクロファージの表面に結
合させることのできるリポソーム処方も有用である。この処方は、マクロファー
ジおよびリンパ球の感染細胞に対する免疫認識特異性を利用することにより、H
IV細胞への向上した送達を提供するであろう。
腹腔内投与もまた、導入速度を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチド−送
達ビヒクル複合体の分子量またはサイズに関連して、循環系中への導入を誘導す
る。
選択した送達方法は、障害細胞における組成物の細胞内蓄積引き起こすであろ
う。核送達は使用できるがあまり好ましくない。特定のコンパートメント中のオ
リゴヌクレオチドの蓄積は、オリゴヌクレオチドの電荷および化学的性質により
大きく影響されるであろう。最も好ましい送達方法は、リポソーム(10〜
400nm)、ヒドロゲル、放出調節性ポリマー、マイクロインジェンクション
またはエレクトロポーレーション(エクスビボでの治療用)および他の医薬上許
容されるビヒクルを包含する。
正確な用量および投与回数は、臨床試験による有効性のデータに依存するであ
ろう。送達ビヒクル、疾病の指示、投与経路、およびオリゴヌクレオチドを結合
している結合のごときいくつかの因子が用量に影響するであろう。考えられる用
量は0.001〜200mg/体重kg/日である。治療期間は疾病の徴候の経
過により延長されるてあろう。1日に複数回の投与は局所適用、眼への適用およ
び膣への適用について考えられる。
細胞内でのアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療レベルの確立は、取り込み
および分解の速度に依存する。分解速度を低下させることは、アンチセンスオリ
ゴヌクレオチドの細胞内半減期を延長させる。よって、化学修飾されたアンチセ
ンスオリゴヌクレオチド、例えば、ホスフェート骨格の修飾を伴ったものが好ま
しい。
3.HIV防御アッセイ
抗HIVオリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドのHIV細胞変性効果を
阻害する能力を測定するアッセイに使用することもできる。これらのアッセイは
ヒトにおける病因としてのHIVの存在を同定または確認するための用途、どの
オリゴヌクレオチドを患者に投与すべきかを決定するための用途、およびオリゴ
ヌクレオチドの初期の有効性を評価するための用途をはじめとする種々の用途を
有する。
抗HIVオリゴヌクレオチドおよび細胞増殖の測定のための標準的方法を用い
てHIV防御アッセイを行うことができる。細胞増殖の測定として使用できる方
法は、細胞の代謝状態を測定するためのXTT(2,3−ビス[2−メトキシ−
4−ニトロ−5−スルホフェニル]−2H−テトラゾリウム−5−カルボキシア
ニリド)のごとき染料の使用、核酸の複製を測定するためのBUdR(ブロモデ
オキシウラジン)のごとき放射性または修飾ヌクレオチド前駆体の使用、および
宿主核酸の生成を測定するための宿主核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの使用
を包含する。
蛍光、化学発光、酵素または放射性標識のごとき検出可能な標識を有するオリ
ゴヌクレオチドを用いて、細胞性核酸に相補的なオリゴヌクレオチドを用いるア
ッセイを行うことができる。DNA、mRNAまたはrRNAに存在する宿主核
酸配列のごとき宿主核酸配列の領域にハイブリダイズするようにオリゴヌクレオ
チドを設計することができる。かかるヌクレオチド配列領域の例は当該分野にお
いて知られており、標準的方法により得ることができる。宿主細胞の増殖を試験
するための宿主標的核酸の好ましい源はrRNAである。rRNAに特徴的な核
酸配列を有する核酸は、一般的には、mRNAに存在する核酸配列よりもずっと
豊富に細胞中に存在する。
HIVはCD4抗原を有する細胞(CD4+)に感染する。主要な標的細胞集
団はTヘルパーリンパ球および単球/マクロファージ系統の細胞である。HIV
防御アッセイを、HIV感染の疑いのあるヒト由来のかかる細胞について行うこ
とができる。患者から得たかかる細胞についてインビトロで直接行うことができ
、あるいは、CD4+細胞から得た溶解物を用いて行うこともできる。単離細胞
よりもHIV細胞変性効果に感受性のある細胞を感染させるために溶解物を用い
ることができる。
HIV防御アッセイを以下のように行うことができる。
1)患者からCD4+細胞を単離する。好ましい細胞はTリンパ球である。
2)抗HIVオリゴヌクレオチドの存在下(処理細胞)または不存在下(対照
細胞)における細胞増殖に適合する条件下で細胞をインキュベーションする。細
胞増殖に適合する条件の例は、エス・ガートナー(S.Gartner)およびエム・ポ
ポビッチ(M.Popovic),1990年,テクニークス・イン・HIV・リサーチ(T
echniques in HIV Research)(エイ・アラルドチーニ(A.Alaldocini)および
ビー・ディー・ウォーカー(B.D.Walker)編、ニューヨークのストックトン・プ
レス(Stockton Press)中、ウイルス・アイソレイション・アンド・プロダクシ
ョン(Virus Isolation and Production),53〜70ページに記載されてい
る。
3)細胞をオリゴヌクレオチドに曝露した後の1またはそれ以上の時点におい
て処理細胞および対照細胞の増殖を測定する。
対照細胞の正常な増殖はHIV感染のごときウイルス感染のないことを示す。
対照細胞の増殖を健康であることが分かっている同タイプの細胞と比較すること
により、正常な増殖を決定することができる。
対照細胞の正常な増殖以下の増殖は、HIVのごときある種の細胞障害の存在
を示す。処理細胞における抗HIVオリゴヌクレオチドのHIV毒性に対する防
御能力は、疾患がHIVによるものであり、抗HIVオリゴヌクレオチドを用い
て患者を治療することができることを示す。異なるHIV株の核酸配列の多様性
のため、この細胞毒性アッセイにおいて抗HIVオリゴヌクレオチドがHIVを
阻害できないことは、時として、HIVの存在を正確に示すことを失敗させるか
もしれない。よって、HIV防御アッセイを、HIVの存在を検出するための当
該分野で知られた他のアッセイと併用して行うべきである。AIDSの重篤さお
よびHIVに対する正しくない診断によって生じ得る悪影響のために、好ましく
は、HIV防御アッセイを用いてHIVの存在を確認し、HIV感染患者の治療
のために特異的なオリゴヌクレオチドの適性を考慮して初期の決定を行う。他の
アッセイによりHIV感染していると決定されたがHIV防御アッセイによって
は決定されなかった患者を、異なるオリゴヌクレオチドを用いるHIV防御アッ
セイを用いて再検査するべきである。
II.オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションによるHIVの検出
さらに、HIV核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを検出プローブとして用
いてHIV標的配列の存在を調べることができ、さらにこれを増幅プライマーと
して用いて選択的にHIV核酸を増幅することができる。標的核酸または標的核
酸に相補的なヌクレオチド配列のいずれかに対するハイブリダイゼーションは、
HIVの存在の検出に有用である。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または転写
増幅法(transcription mediated amplification method)(例えば、「ヌクレ
イック・アシッド・アンプリフィケイション・メソッズ(Nucleic Acid Amplifi
cation Methods)と題されたカシアン(Kacian)およびフルツ(Fultz)のEP
O出願番号第90307503.4)のごとき増幅反応における鋳型として標的
核酸を用いることにより、標的核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する核酸を
製造することができる。
HIVの検出および増幅プライマー用のプローブを設計するための有用なガイ
ドラインは本明細書に記載されており、相補性を有する核酸へのオリゴヌクレオ
チドのハイブリダイゼーションに関して上に記載した考えを包含する。これらの
考えは、オリゴヌクレオチドが機能する異なるハイブリダイゼーション条件に関
して考慮されるべきである。通常は、抗HIVオリゴヌクレオチドは生理学的条
件下で使用される。対照的に、増幅プライマーおよび検出プローブを広範囲の条
件において使用することができ、好ましくは、緊縮ハイブリダイゼーションアッ
セイ条件で使用する。
標的ヌクレオチド配列領域の5’部分のプライマーおよび標的ヌクレオチド配
列領域の3’部分のプライマーを用いて核酸分子上に存在する標的ヌクレオチド
配列領域を増幅する。プライマー結合に最適な部位は、15塩基より大きく35
0塩基以内の保存的ヌクレオチド配列領域である。これらの領域にハイブリダイ
ズするように増幅プライマーを設計する。転写増幅のためにプロモーターをプラ
イマーに結合させることができる。
プライマーまたはプロモーター/プライマーのセットに関して観察される増幅
の程度は、オリゴヌクレオチドがその相補的配列領域にハイブリダイズして伸長
される能力はじめとするいくつかの因子に依存する。ハイブリダイゼーション反
応の程度および特異性がいくつかの因子により影響されるので、オリゴヌクレオ
チドが標的に対して正確な相補性を有するか否かにかかわらず、これらの因子の
取り扱いはオリゴヌクレオチドの正確な感度および特異性を決定する。種々のア
ッセイ条件の重要性および影響は当業者に知られており、「ヌクレイック・アシ
ッド・プローブス・フォー・ディテクション・アンド/オア・クアンティテイシ
ョン・オブ・ノン−ウイラル・オーガニズム(Nucleic Acid Probes for
Detection and/or Quantitation of Non-Viral Organism)」と題されたホーガ
ン(Hogan)らのEPO特許出願PCT/US87/03009に記載されてい
る。
種々の長さおよび種々の塩基組成のオリゴヌクレオチド検出および増幅プロー
ブを用いてもよいが、好ましいプローブは長さ18ないし100ヌクレオチド、
より好ましくは長さ18ないし50ヌクレオチドであり、標的核酸に十分に相補
的であり緊縮条件下(例えば、プローブオリゴヌクレオチドがHIV標的配列に
ハイブリダイズし、ヒト・核酸または他の生物由来の核酸とはハイブリダイズし
ない条件)でハイブリダイズするものである。最適なプライマーは18〜38塩
基の標的結合領域を有し、標的:プライマー2本鎖の予想Tmは約65℃である
。
オリゴヌクレオチド:非標的核酸ハイブリッドの安定性を最小にするようにオ
リゴヌクレオチド検出プローブおよび増幅プライマーを設計すべきである。プロ
ーブは、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、標的および非標的核酸配列領域
間を識別可能であるべきである。プローブの設計において、オリゴヌクレオチド
:標的およびオリゴヌクレオチド:非標的2本鎖間のTm値の相違は可能な限り
大きくあるべきである(例えば、少なくとも2℃、好ましくは5℃)。
プローブおよび標的領域の2次構造もハイブリダイゼーションに影響する。ハ
イブリダイゼーションを阻害する強力な内部構造を形成する核酸の領域はあまり
好ましくない標的部位である。かかる構造の例はヘパリンステムループ構造であ
る。同ように、過剰な自己相補性を有するプローブも避けるべきである。十分な
自己相補性がある場合、プローブにおいて分子内および分子間ハイブリッドが形
成しうる。かかる構造を、注意深いプローブ設計により避けることができる。市
販コンピュータープログラムを用いてこれらのタイプの相互作用を検索すること
ができる。利用可能なコンピュータープログラムは、MacDNASISTM(ヒ
タチ・ソフトウェア・エンジニアリング・アメリカン・リミテッド(Hitachi So
ftware Engineering American Ltd.))およびOLIGORバージョン4.1(ナ
ショナル・バイオサイエンス(National Bioscience))を包含する。
統合されたゲノム標的ヌクレオチド配列領域は、天然においてはポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)生成物と同様2本鎖形態で存在する。これらの2本鎖標的核
酸はプローブ:標的ハイブリダイゼーションを阻害する。ハイブリダイゼーショ
ンの前に熱変性のごとき標準的方法を用いると、2本鎖標的はアクセス可能とな
る。
C0T1/2を測定することによりハイブリダイゼーションの速度を決定すること
ができる。オリゴヌクレオチドがその標的にハイブリダイズする速度は、一部に
はプローブに相補的な領域における標的核酸の2次構造の熱安定性に依存する。
ハイブリダイゼーション速度の標準的測定値は、1リットルあたりのヌクレオチ
ドのモル数に50%の核酸がハイブリダイズするのに要した時間(秒)を掛けた
値C0T1/2として測定される。よって、C0T1/2は、遊離プローブ濃度にその濃
度いおける最大ハイブリダイゼーションの50%が起こる時間を掛けたものであ
る。決められた時間において種々の量のプローブを一定量の標的にハイブリダイ
ズさせることによりこの値を決定する。標準的方法によりC0T1/2はグラフから
分かる。
非特異的プライマー伸長の程度(プライマー二量体形成または非標的コピー)
は増幅効率に影響する。それゆえ、好ましくは、プライマーは、特に3’末端に
おいて低い自己または交差相補性を有するものである。不正なプライマー伸長を
減じるためには長いホモポリマー領域および高いGC含量を避けるべきである。
市販コンピュータープログラムはMacDNASISTM(ヒタチ・ソフトウェア
・エンジニアリング・アマリカン・リミテッド(Hitachi Software Engineering
American Ltd.))およびOLIGORバージョン4.1(ナショナル・バイオサ
イエンス(National Bioscience))を包含する。
合成したならば、検出プローブをよく知られた方法(ジェイ・サムブルック(
J.Sambrook)、イー・エフ・フリッチュ(E.F.Fritsch)およびティー・マニア
ティス(T.Maniatis),モレキュラー・クローニン(Molecular Cloning),第1
1章(第2版,1989年))を用いて標識する。有用な標識は蛍光、化学発光
、酵素および放射活性基を包含する。
III.オリゴヌクレオチドの合成
ホスホジエステル結合ならびに修飾結合を有するオリゴヌクレオチドを、当該
分野で知られた方法により合成することができる。例えば、カルサーズ(Caruth
ers)らは、メソッズ・イン・エンザイモロジー第154巻287ページ(19
87年)において、標準的なホスホラミダイト固相化学によるホスホジエステル
結合を有するオリゴヌクレオチドの合成方法を記載しており;バット(Bhatt)
は米国特許第5,252,723号において、ホスホロチオエート結合を有するオ
リゴヌクレオチドの合成方法を記載しており;さらにクレム(Klem)らは、「イ
ンプルーブド・プロセス・フォー・ザ・シンセシス・オブ・オリゴマーズ(Impr
oved Process for the Synthesis of Oligomers)」と題されたPCT WO9
2/07864において、メチルホスホネート結合をはじめとする異なるヌクレ
オチド間結合を有するオリゴヌクレオチドの合成を記載している。
IV.実施例
本発明の異なる態様および具体例を説明するために、実施例を以下に提供する
。これらの実施例は開示された本発明を何ら限定するものではない。実施例1:アンチセンスオリゴヌクレオチドによるウイルス阻害
この実施例は、異なるオリゴヌクレオチドのHIV阻害能を示す。いくつかの
ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドのHIV複製に対する影響
を、8e5細胞により産生されたp24(HIV特異的ポリペプチド)を測定す
ることにより決定した。8e5細胞系は、複製欠陥HIVを生じさせるヒト・T
細胞系である(フォルクス(Folks)ら,米国特許第4,752,565号)。当該
欠陥HIVは、polによりコードされているHIV蛋白以外の、慢性感染細胞
系において典型的に観察されるレベルのすべてのHIV蛋白を発現する単一の統
合されたプロウイルスを有する。この欠陥は、polにおけるフレームシフト変
異を引き起こす単一の塩基の挿入による。
ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドをバット(Bhatt)(上
記)の記載により合成した。合成されたオリゴヌクレオチドをHPLCを用いて
精製し、EtOAcで抽出し、エタノール沈殿し、80%エタノールで洗浄し、
次いで、滅菌水に懸濁して少量の添加(2〜20μl)を容易ならしめる高濃度
のストック溶液を得た。
実験期間中、最大p24産生が得られる条件下で、24ウェルプレート中で8
e5細胞を培養した。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドを8
e5培養物に直接添加した。滅菌水および非特異的ホスホロチオエートオリゴヌ
クレオチドを対照として用いた。4日後に培養物を収穫し、生細胞数およびp2
4抗原の生成を調べた。2mlウェルからの細胞を4℃で10分間、ベックマン
(Beckman)J−10を用いて1000rpmで遠心分離し、上清を取ることに
より、細胞溶解物を調製した。次いで、細胞を5mlのハンクスバランス塩溶液
(ギブコ(Gibco))または滅菌セイライン溶液(0.9%NaCl)で洗浄し、
4℃で10分間、ベックマンJ−10を用いて1000rpmで遠心分離した。
細胞を、0.5%NP−40を含有する300μlのTSM(10mM Tri
s−HCl pH7.5、150mM NaCl、2mM MgCl2)に再懸濁
し、氷上で5分間インキュベーションした。次いで、核および細胞残渣をベック
マンJ−10を用いて2000rpmで遠心分離した。p24抗原量を、p24
捕捉ELISA(アメリカン・バイオテクノロジーズ・インコーポレイテッド(
American Biotechnologies,Inc.))を用いて溶解物中において調べた。
tatおよびrevの発現は十分なp24産生に必要であるため、p24に関
するELISAアッセイをHIV複製の測定として選択した。HIV p24産
生のパーセンテージを、アンチセンス処理細胞による細胞あたりのp24生成量
を対照処理細胞による細胞あたりのp24生成量で割った値として計算した。対
照処理細胞を、ランダムな対照ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(SEQ
.ID.NO.47:AGGCTTCATC ACGTGGACAT TGACG
)で処理した。
表2に示すように、いくつかの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチドはHI
V産生を阻害した。試験された最も有効なアンチセンスオリゴヌクレオチドはS
EQ.ID.NO.18または35の核酸配列を有している。これらのオリゴヌク
レオチドでの阻害は70〜100%の範囲(0ないし30%のp24産生)であ
った。表2のデータは特定の実験の結果を示す。試験された他のアンチセンスオ
リゴヌクレオチドのいくつかは、対照と比較するとp24のパーセンテージを増
加させた。この現象は十分に理解されていない。
SEQ.ID.NO.18または35の核酸配列を有するいつかの異なる切断バ
ージョンのオリゴヌクレオチドを、そのHIV複製阻害能について試験した。こ
れらの結果を表3に示す。
表3からわかるように、SEQ.ID.NO.18のいくつかの切断バージョン
(SEQ.ID.NO.20、22、26および29)はp24産生の阻害におい
て部分的に有効であった。さらに、SEQ.ID.NO.35の切断バージョン(
SEQ.ID.NO.46)はp24産生の阻害において有効であった。本明細書
に示した開示に基づいて他の適当な切断バージョンを選択することができる。実施例2:異なるHIV株を用いるウイルスの阻害
異なるHIV株に感染した異なる細胞を用いた場合のアンチセンスオリゴヌク
レオチドのHIV複製阻害能を下に示す。この実験に使用したオリゴヌクレオチ
ドの核酸配列をSEQ.ID.NO.18に示す。オリゴヌクレオチドのヌクレオ
チド基はホスホロチオエート基により結合されており、デオキシリボース部分を
含んでいた。
37℃で8〜10分間トリプシン−EDTAを用いて特定の細胞(表4に示す
ような)を剥離させた。次いで、細胞を100rpmで10分間遠心分離した。
細胞を5〜10mlの維持培地(10%ウシ胎児血清、500ユニット/mgの
ペニシリン、500ユニット/mgのストレプトマイシンおよび2mMのグルタ
ミンを含有するダルベッコの改変イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle M
edium)(DMEM))に再懸濁した。週に1回細胞を全体積200mlの維持
培地中3x104個/mlの濃度として2個の75cm2のTフラスコに分けるこ
とにより細胞を維持した。
0日目に、細胞を24ウェル組織培養プレート(ファルコン#3047)中に
ウェルあたり2.4x104個の濃度で撒いた。細胞を37℃で一晩インキュベー
ションした。翌日、培地を吸引し、感染の多重度(MOI)0.03のHIVウ
イルス200μlを各ウェルに添加した。次いで、プレートを37℃で2時間イ
ンキュベーションした。2時間のインキュベーション後、細胞を最終濃度の1.
25倍の濃度の800μlの薬剤で処理した。
処理細胞を37℃で3日間インキュベーションした。4日目に、1ml/ウェ
ルの100%メタノールでプレートを15分間固定した。次いで、ウェルを吸引
し、0.3%クリスタルバイオレット染料0.5mlをウェルに添加した。5分後
、ウェルを水洗し乾燥させた。顕微鏡を用いてプラークを数えた。プラーク数を
アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度に対してプロットした。プロットからI
C50を決定し、結果を表4に示す。
この実施例は、抗HIVオリゴヌクレオチドの細胞毒性を評価するための薬理
学的研究を説明する。この実施例に用いたオリゴヌクレオチドの核酸配列はSE
Q.ID.NO.18および22である。これらのオリゴヌクレオチドはホスホロ
チオエート結合有していた。
試験オリゴヌクレオチドの細胞毒性を、抗新生物剤の細胞毒性を測定するため
の当業者に知られた方法を用い、ヒトの1次血液細胞を用いる系において決定し
た。ヒトの骨髄細胞を収穫し、等張溶液で洗浄し、次いで、0.3%(w/v)
寒天、20%(v/v)ウシ・胎児血清、および10ng/mlの顆粒球コロニ
ー刺激因子を含有する、種々の量の2種の試験オリゴヌクレオチドを含む組織培
養用培地中でインキュベーションした。培養8日後に生成したコロニー数を測定
した。この実験におけるコロニー形成に対するIC50は、SEQ.ID.NO.1
8に関しては2〜3μM、SEQ.ID.NO.22に関しては20〜30μMで
あった。
齧歯類モデルを用いるインビボ実験も行った。これらの実験は、SEQ.ID.
NO.18(PBS溶液中)を有するホスホロチオエート結合したオリゴヌクレ
オチドを投与した場合の血液組織の大まかな形態学的変化に関する潜在能力に焦
点を絞った。3匹のマウスに100mg/kg体重の用量でオリゴヌクレオチド
を与えた。対照マウスにはPBSのみを与えた。t=0において血液試料をを各
動物から採取し、24時間目に各動物を屠殺し、器官を取った。血液パラメータ
ーに関する実験からの知見を表5に示し、器官の視覚的観察により得られた結果
を表6に示す。
他の具体例は以下の請求の範囲内である。