【発明の詳細な説明】
滅菌の迅速な測定のための生物学的関連方法関連出願への言及
本特許出願は、1992年11月2 日付けで出願された係属中の米国特許出願第07/9
70,307号の一部継続出願であり、これは1992年3 月27日付けで出願された係属中
の米国特許出願第07/859,066号の一部継続出願であり、これは1989年12月14日付
けで出願され現在は放棄されている米国特許出願第07/450,394号の一部継続出願
である。発明の背景
1.発明の分野
本発明は、生存する微生物と機能的に類似するがしかし生存微生物ではない生
物学的に関連する物質を含む指示器を用いた滅菌方法の有効性を迅速に測定する
方法に関する。本発明の方法および装置はヘルスケア産業たとえば病院、実験室
および食物および環境技術における研究機関においてならびに製造、生産および
廃棄に滅菌を利用する全ての技術において有用である。
2.背景技術
主にヘルスケア産業において、また多くの他の産業用途においても、たとえば
医療機器、装置および他の使い捨てでない製品のような装置を滅菌するために使
用される方法の有効性をモニターすることはほぼ常に必要である。これらの状況
において、滅菌は一般にたとえばウィルスおよび胞子のような構造体を含む全て
の成育可能な微生物を完全に破壊する方法として定義される。これらの病院にお
ける標準的プラクティスは、滅菌されるべき製品の一群に滅菌指示器を含めるこ
とである。滅菌指示器の使用は、滅菌方法の致死性を分析する直接的で高感度の
方法を可能にする。
生物学的滅菌指示器の標準的な型は、試験微生物胞子の公知量を含む。この指
示器を滅菌室へ入れ、滅菌されるべき対象物とともに滅菌方法に晒す。試験微生
物たとえばバチルス ステアロテルモフィルス( Bacillus stearothermophilus)
または枯草菌(B.subtilis)の胞子は、一定の期間増殖が好む条件下に培養され、
そして特定の代謝産物の存在または不存在を測定して、いずれか生き残っている
微生物の可能性のある増殖について検査する。増殖が陽性であると滅菌方法が微
生物を全て殺滅するのに不十分であったことを示唆する。胞子を含むための装置
は連続的に変化してきたが、一般的滅菌検出方法はそうではなかった。このテー
マの変化は、米国特許第3,239,429 号、第3,440,144 号、第4,596,773 号、第4,
717,661 号、第4,732,850 号、第5,167,923 号に記載されており、これらはここ
に参考として特に編入される。
これらの特許の各々に開示されている生物学的指示器は、特定の細菌株から由
来しそして滅菌に対し予測可能な耐性を持つ培養物から作られる生存可能な胞子
の調製物を含む。胞子は、ほとんどの他の微生物よりも滅菌方法に対してより耐
性であるので、しばしば通常の生物学的指示器における試験微生物になる。指示
器は自己充足型であり、これはこれらが一つの容器において胞子およびインキュ
ベーション培地を含むことを意味する。実験を行うために何の添加剤も必要とし
ない。滅菌の後で、インキュベーション培地を含むアンプルを破って胞子を増殖
培地と接触させる。次いで全内容物を一定時間インキュベートし、結果を測定し
記録する。
ほとんどの指示器が1975年の医療装置法(Medical Devices Act) の制定後に開
発されたものであるが、1976年以前に開発されたすなわちこの法の要求に左右さ
れない生物学的指示器もまた今日市場にある。これらの生物学的指示器は包装容
器内に担体上の胞子を含むものである。滅菌方法に晒した後、胞子を有する担体
を容器から滅菌培地へ移しそしてインキュベートする。
これらすべての滅菌指示器の主な欠点は、滅菌試験の結果を得るのが遅いとい
うことである。これらの滅菌指示器は通常、微生物が少なくとも2 日、しばしば
7 日まで培養していずれか生き残った微生物の適切な検出を確実にすることが必
要である。この間、滅菌方法を行っているアイテムは胞子の生存可能性の結果を
測定するまで使用することができない。胞子が生存可能であるという結果は、適
切な滅菌条件ではなかったことを示唆する。
多くのヘルスケア機関は乏しい資産であり、これらの“滅菌”した装置を24-4
8 時間以内、しばしば直ちに再使用しなければならない。このような設定におい
て、滅菌検査のための7 日間の保持期間は実際的でなくそして非能率的である。
FDA のセンター フォァ ディバイス アンド ラジオロジカル ヘルス(FDA C
enter for Devices and Radiological Health (CDRH)) は、製造業者がより短い
インキュベーションを保証しなければならないという条件で、ヘルスケア機関に
より使用される新規医療装置に対して7 日未満のインキュベーションを認めてい
る。インキュベーション時間のCDRH公認に対し、30-80%の陽性(生き残り)を得
る部分的サイクルが必要である。部分的または不完全な滅菌サイクルは微生物の
死滅が不適切であるかまたは不成功である滅菌剤への暴露である。これらの陽性
の97% が増殖を示した時間が許容可能なインキュベーション時間である。これら
のガイドラインに従っても、製造業者は保持期間を2 日未満に減らすことはこれ
までできなかった。
さらに、技術者を訓練しそして清潔な部屋の設備を利用できるようにしなけれ
ばならないので、これらの従来からの市販の生物学的指示器により必要とされる
さらに一層の時間的遅れがある。熟練した実験技術者が滅菌指示器の包装物から
試験微生物をインキュベーション培地へ移しその後彼らの熟練した目で微生物の
増殖の可能性についてインキュベーション培地を調べることが必要である場合も
ある。訓練した技術者および他のこのような予防手段の使用にもかかわらず、人
為的失敗や清潔な部屋の設備の汚染により試験が誤った陽性結果を出すことがあ
る。結果として、製品は再度滅菌されこれによりさらに遅れが生じ、そしてコス
トが増加する。
滅菌指示器の有効性を確実にするために特定の産業規準を順守すべきである。
これらの規準は、特定滅菌方法に対し使用される微生物たとえば胞子の感度およ
び形に関する。一つのロットから次へ一定の品質を確実にするための製品の均一
性は非常に重要である。別の重要な因子は、天然生物荷重(natural bioburden)
であり、これは滅菌されるべき製品における微生物の数である。滅菌方法に対す
る課題は、生物学的指示器をその性能特性内で使用する場合、天然生物荷重の課
題を越える。これらの産業的規準に適合するために、現在利用されうる滅菌指示
器の幾つかは長い培養期間に加えて複雑な取扱技術が必要である。
滅菌検出における時間的遅れを克服するための試みにおいて指示器としての酵
素の使用およびこれに続く活性度は、最近の米国特許第5,073,488 号に記載され
ており、これは参考として特にここに編入される。この技術は酵素を滅菌サイク
ルに使うことに関する。滅菌サイクルの完了に続いて、酵素を該酵素により影響
を受け検出可能な生成物に転換する基質とともにインキュベーションする。酵素
変性生成物の検出は、比色計または蛍光光度計のいずれかにより行われる。この
方法の持つ欠点は、一つの酵素だけが滅菌検定において使用されたことである。
第5,073,488 号には複数の酵素の使用を意図するということが記載されているが
、各々の酵素は分離して測定され、これらは必ずしも相互反応性でなくまた機能
的な関連さえもない。生存可能な胞子の挙動を真似するために複雑な生物学的相
互反応を用いるかまたは酵素反応が増幅して従来の酵素学が示したものよりも迅
速に陽性反応を示す合理的なものはなかった。また一つの酵素により作られる生
成物を検出するためにはしばしば特定された装置が必要であった。
発明の概要
本発明は微生物由来の複数の相互反応性酵素の活性に基づく滅菌サイクルの有
効性を測定するための方法および装置を提供することである。これらの方法を用
いると滅菌検査が非常に迅速に達成される。本発明は、通常の生物学的指示器の
信頼性と他の酵素指示器および化学指示器により利用されるものと近似した技術
の速度とを組合せ、これにより最小限の訓練を積んだ人の利用を可能にし一方で
一定のそして信頼性のある結果を達成することができる。
本発明の一実施態様は、滅菌手段の有効性を測定するための生物学的方法を目
指すもので、これは微生物を含まなくてもよい。この方法は、滅菌室へ相互反応
性酵素系の成分を含む試験指示器を置き、室内において滅菌手段を行い、系の残
りの全部の成分も予め添加した成分へ添加して混合物を形成し、生成物を形成す
るために十分な一定時間の間混合物をインキュベーションし、そして生成物を検
出して滅菌手段の有効性を測定する工程からなる。この方法によれば、生物学的
相互反応は、滅菌方法を受けた成分が破壊されないかまたはいくらか不活化され
た場合にのみ生じる。成分は酵素自体、酵素に対する基質および必要なら補酵素
、触媒、補助因子または酵素系の他の試薬を含む。酵素系の成分間の関係は滅菌
測定と非常に深く関連し、なぜならこれは簡単な化学的または酵素的反応ではな
く、室内における微生物の生理的状態を反映する酵素相互反応であるからである
。この関連性の程度は非常に高くそして現在一般に行われている方法でもたらさ
れるものとは全く別の性質である。
本発明の別の実施態様は、上述の回路、基質回路、ガラクトシダーゼ回路、ク
エン酸回路またはトリカルボン酸回路、マレイン酸/ イソクエン酸回路、共役酸
化- 還元回路たとえばα- ケトグルタレートのグルタミン酸塩およびホスホグル
コネートへの転化、キナーゼホスファターゼ回路を含むリン酸化解糖回路、また
はこれらの組合せのような滅菌方法の有効性を測定するための生物学的方法を目
指すものである。この方法によれば、生物学的回路の一つ以上の成分に滅菌方法
を施し、その後回路の残りの成分を添加して回路を開始する。いずれか一つの成
分の不活化は回路の完了およびかなりの量の生成物の産生を阻害し、これにより
滅菌方法の完了が成功したことを示唆する。
本発明の別の実施態様は、上述のような滅菌手段の有効性を測定するための生
物学的方法を目指すものであり、ここでは相互反応性酵素系は酵素増幅系たとえ
ばフィブリン/ 凝血カスケード、補体カスケード、トリプシン/ トリプシノーゲ
ンカスケードまたはこれらの組合せを含むものである。酵素自体は基質とインキ
ュベーションすると直線的にまたは対数的に増幅し、これにより酵素変性基質ま
たは生成物の迅速な形成が生じ、容易に検出される。
本発明の別の実施態様は、滅菌方法の有効性を測定するための二段階方法を目
指すものである。相互反応性酵素系、これは循環系または増幅系いずれでもよい
が、その一つ以上の成分を含む試験指示器および微生物の培養物を滅菌室へ入れ
る。滅菌手段を室内で行い、その後試験指示器を除去する。系の残りの成分を添
加して成分を処理し、混合物を形成し、液状培地を微生物へ添加して培養物を形
成する。混合物を検出可能な生成物を作るのに十分な最初の期間インキュベーシ
ョンし、そしてあるならば生成物を検出して滅菌手段の有効性の最初の測定を行
う。培養物を、増殖による検出可能な代謝産物を作るのに十分な第二の期間イン
キュベーションし、そしてあるならば生成物を検出して滅菌手段の有効性の第二
の測定を行う。この二工程方法では、滅菌の非常に迅速な初期測定を行ない、こ
れに続いて滅菌処理された生物学的関連微生物自身を実際に培養することに関係
するさらに二段目の工程をチェックすることができる。
本発明の別の実施態様は滅菌手段の有効性を測定するための試験指示器を目指
すものであり、これは液体不透過性および実質的にガス非吸収性の壁を有する外
側容器と、ガス通過性カバーで覆われた少なくとも一つの開口部であって、前記
開口部が「相互反応性酵素系の一つ以上の成分および液体不透過性または液体半
透過性バリヤーを前記成分および開口部の間に有する室」へ繋がるものとからな
る。これらの成分は固体支持体に固定されているかまたは非水性もしくは部分的
水性溶液中に浮遊している。試験指示器は完全に自己充足性であり、滅菌後に使
用者は、指示器における二つのバイアルすなわち一つが酵素系の幾つかの成分を
含み他の一つが残りの成分を含むものの内容物を単に混合すればよい。いくらか
でも酵素活性が存在する場合、酵素+いずれか必要な補酵素、補助因子および触
媒が基質と相互反応して、滅菌方法の有効性を検出するために分析されうる検出
可能な生成物を形成するであろう。
本発明の他の実施態様および利点は以下の記載において一部説明され、そして
一部はこの記載から明らかであるかまたは本発明の実際から学ぶことができるで
あろう。図面の説明
図1.セルロースディスクにおける酵素相互反応および発色の一般的模式図。
図2.セルロースディスクにおけるアルコールデヒドロゲナーゼ/ ジアホラーゼ
の二つの酵素相互反応および酵素変性生成物、酵素触媒化反応の結果として形成
される化合物および発色の特定の模式図。
図3.セルロースディスクにおけるアルカリホスファターゼ/ アルコールデヒド
ロゲナーゼ/ ジアホラーゼの三つの酵素相互反応および発色の特定の模式図。
図4.セルロースディスクにおけるディスクモデル上の一つの酵素(アルカリホ
スファターゼ)、増幅および発色のための追加の滅菌後酵素相互反応(アルコー
ルデヒドロゲナーゼ)の特定の模式図。
図5.ディスクに固定された一つの成分(酵素)対ディスクに固定された多成分
(酵素)の熱安定性および反応の程度の比較。
図6.容器構成の図。
図7.多成分容器の好ましい操作の図。
図8.コンピューター化色彩密度を有するサンプルディスクの写真。
図9.生存バチルス ステアロテルモフィルス胞子不活化に対する多酵素系の関
係。
図10.層状固体支持体の図。本発明の説明
本発明は、現在のやり方および設計に伴う問題および欠点を克服し、微生物滅
菌の測定のための新規方法および装置を提供するものである。生きている微生物
たとえば細菌胞子は、限定した区域内で全ての可能性のある生命体を有効に根絶
するのに十分な条件であることを示すために、滅菌方法を試験するための指標と
して一般に使用されてきた。生存胞子を含む従来からの滅菌指示器を用ると、そ
れほど高い精度で胞子の生存可能性を測定することはできない。条件は、製造、
運搬、貯蔵および使用の間に大きく変動する。これらの変動しやすい条件を越え
て胞子の生存可能性を正確に計算することはできない。考察するにはあまりに多
くの変動があり、変動に対する要求、少なくとも明確に定義可能である幾つかは
、胞子自体の遺伝子組成と同じくらい色々ある。
細菌胞子が細胞壁により囲まれる相互反応する酵素系のネットワークとして考
えることができるなら、細菌胞子が滅菌のために生存性を失う場合胞子内の特定
の酵素系もまた不活化されるはずである。したがって、滅菌条件が適合したかど
うかを測定するために胞子の代わりに相互反応性酵素系を使用することができる
。これらの方法は、生物学的滅菌指示器に関するFDA 規準と適合し、非常に効率
的であり、容易に標準化されそして使用が簡単で、特別な装置、費用または計器
の助けを借りることなく最小限の訓練を積んだものでも精度の高い結果を得るこ
とができる。また、ほとんどの生物学的に適切な分析を利用可能にするという事
実にもかかわらず、胞子または他の微生物を室へ入れることがないので、試験指
示器自体に伴う微生物汚染の危険もない。
本発明は、複数の、相互反応する、微生物に由来する酵素系の活性の回復に基
づく滅菌サイクルの有効性を測定するための方法および装置を提供するものであ
る。本発明の方法を使用すると、滅菌検査が試験結果の完了から測定され、これ
は驚くべきことに、通常の生物学的指示器の信頼性を酵素的および化学的指示器
により利用されるものに近い技術の速度と組み合わせるので、非常に迅速に達成
されることができる。さらに、胞子と異なって、酵素、補酵素、触媒、基質また
は相互反応系の他の試薬を含む酵素系では、生存可能性は安定性として測定され
、安定性は個々にならびに複数の酵素系において非常に正確に定量的である。し
たがって、相互反応性酵素系を用いると、速度が増すばかりでなく、通常の生物
学的または他の酵素技術で得られるものよりはるかに優れた標準化レベルが達成
されうる。
本発明は60分未満、好ましくは約5-15分、さらに好ましくは約1 分未満で滅菌
方法の検査をすることができる。処理した製品を利用する前に滅菌を確認するこ
とにより、ヘルスケア設備の操作の全体的効率性および安全性を非常に増すこと
になる。本発明は、試験サンプルにおいて生き残っているいずれかの生物学的胞
子または他の微生物の統計的確率と直接関係する存続するいずれかの相互反応性
酵素の活性を迅速に検出することに関する。相互反応性酵素系は補酵素、補助因
子、触媒、基質および他のいずれかの必要な試薬を含む酵素のグループまたは集
まりからなる。グループの相互反応性は、驚くべきことに、生きている微生物を
必要とすることなく生物学的方法のより正確な反映をもたらすので、単独の活性
の一つまたはその組合せとは基本的に異なる。さらに、異なった滅菌技術に関し
て柔軟に適応させることができ、通常の技術で得られない滅菌の正確さが得られ
、そして異なった微生物に対する広い範囲の滅菌を保証することができる。たと
えば、一つの酵素と緩く結合していることがわかっているある種の熱安定性有機
分子はしばしばその酵素反応の進行に必要でありそしてグループにおける他の酵
素の作用に対して必要である。これらの分子の不活化は、分離した酵素自体の不
活度と必ずしも相関しないかもしれないが、滅菌と相関する。
本発明の一実施態様において、方法は、酵素系の少なくとも一つ好ましくは複
数の成分に滅菌手段を施すことからなる。酵素系は、酵素、補酵素、触媒、補助
因子、基質、他の試薬またはこれらの組合せの公知混合物からなり、これは好ま
しくは非- 水性または一部分水性の媒体において、試験指示器中に内包される。
成分は、現在の技術レベルの生物学的指示器に使用される微生物の生存性と相関
する相互依存活性を有する。滅菌方法の完了時に、必要ならば、試験指示器は滅
菌室から除去され、指示器試薬の特定の混合物、系の残りの成分と反応させる。
陽性の結果は、各々の暴露した成分が変性にも係わらず生き残り相互活性的に機
能して検出可能な酵素変性生成物を作った時にだけ観察される。残留活性の指標
としての酵素変性生成物は、1-60分の範囲内で視覚的に検出可能である。検出さ
れるいかなる変化も、好ましくは色彩の変化であるが、滅菌サイクルがある種の
成分を不活化せずしたがって滅菌手段の間に他の製品を確実に滅菌するには不十
分であったことを観察者に示す。逆に、色彩の変化が無い場合、滅菌手段が成分
の少なくとも一つを不活化しこれにより相互反応が起こることを阻止し、したが
って同様の通常の試験における細菌胞子の生存率を迅速にそして直接に検出する
のと同じ意味がある。言い換えれば、確立された期間内に検出可能な酵素変性生
成物が無いことは、滅菌サイクルが相互反応性酵素系の機能に致命的であり、そ
してバチルス ステアロテルモフィルス胞子の生育性集団106 個に致命的である
ことを示す。一般に、これらの値はD - 値として表され、これは与えられた温度
でその最初の値の10% まで試験微生物の生存可能な集団が減少するまでの時間で
ある。
本発明の実施に有用な滅菌手段は、たとえば、蒸気圧法またはオートクレーブ
、エチレンオキシドまたは他の適当な致死薬品を用いた化学法、約50℃- 約200
℃の温度の乾燥熱およびγ線、β線および他の型の放射線を含む放射線である。
これらの手段はヘルスケア産業で実施されているが、しかし環境技術を用いて行
わなければならない産業、たとえば食品製造業、使い捨ておよび絶対にまたはほ
ぼ絶対的に滅菌が必要な技術においても要求される。
固体支持体上または溶液中の定められた酵素系の成分の少なくとも一つまたは
好ましくは集まりを含む試験指示器を、滅菌室へ入れる。滅菌方法は室内で行わ
れ、必要ならば指示器を室から取り出し、システムの残りの成分を指示器へ添加
して混合物を形成する。次いで混合物を酵素と基質の相互反応から生成物が形成
できるのに十分な時間インキュベーションする。放射能、酵素活性、電気活性も
しくは蛍光光度、または他の幾つかの場合には、検出可能な標識化基質を用いて
、生成物を通常の技術により検出し滅菌手段の有効性を測定する。この方法によ
れば、生物学的相互反応は滅菌方法を受ける成分(一つまたは複数)が破壊され
ないかまたはいくらか不活化された場合にのみ生じるであろう。成分間の関係は
、これが簡単な化学反応または酵素反応ではなく室内の微生物の予測される生理
学的状態を反映する酵素相互反応であるので、滅菌の測定に非常に関連性がある
ものである。
滅菌サイクルの有効性を迅速に測定するための本発明の方法の能力は、酵素系
の残存する機能的能力が酵素変性生成物の製造に必要であることの発見に基づく
。相互反応する酵素からの酵素変性生成物の形成が迅速であるのは、少なくとも
一部は、共通固定(coimmobilization)のためであり、ここでは通常の固体支持体
における酵素系の二つ以上の成分がきわめて接近していてバルク溶液との拡散調
節性の変化が制限されるためである。この方法は、成分のチャンネル化(compone
nt channeling)によりまたはバルク溶液との拡散調節性の変化をさらに制限する
ために、表面または小区域にて連続反応のための二つ以上の成分を一緒にするこ
とによりさらに強化される。酵素に関係する成分チャンネル化は,アイ.ギボン
スら(I.Gibbons et al.)(Meth.Enzymol.136:93-103,1987)により記載されてお
り、これは参考として特にここに編入される。
試験微生物を一部だけ殺滅する条件において存続する酵素系の成分の能力は、
殺菌剤と酵素との間に半- 透過性、疎水性バリヤーを使用することに基づき、相
互反応性酵素系は試験微生物を殺滅するのに不十分な滅菌サイクルの後でも活性
のままであろう。これは胞子の生存率と、不十分な滅菌サイクルの後でこれら酵
素の基質システムを比較的短い時間、好ましくは1-60分以内に視覚的に検出可能
な濃度の生成物へ転化するのに十分な系の酵素の相互反応活性との直接的関係を
もたらす。酵素および他の成分の活性と微生物の発芽および増殖との間の相関に
ついての基礎は、生物由来の相互反応性酵素の系に依存している点および機能す
るための補酵素の点の両方においてこれらが共通性をもつことによる。代表的に
は、滅菌前の酵素の生き残りは非水性環境において最適である。非水性媒体は安
定性を強化しならびに滅菌剤に対する半透過性の時間依存性バリヤーを作る。
滅菌指示器は、微生物を殺滅する条件と相互反応酵素のネットワークの成分を
不活化する条件との間に直接の相関関係があることを示す。増殖する相互反応性
酵素系の場合、鍵となる酵素、補酵素、補助因子、基質、触媒または系の他の試
薬成分のいずれか一つが全体的に不活化されれば、指示溶液を添加した場合、色
の変化は生じないであろう。
本発明の実施において有用な酵素は、細胞外および細胞内微生物酵素を含む酵
素であり、その相互依存活性が「試験微生物として本明細書中で呼ばれ現在の技
術状態の生物学的滅菌指示器に一般に使用される微生物」の発芽および増殖と相
関関係であるものである。ここで相関とは、酵素の相互反応性を、部分的、不十
分または不成功な滅菌に続いて残る生存微生物の将来的増殖を予言するために使
用できることを意味する。成分は、試験微生物に対し亜- 致死性(sublethal)で
ある不十分な滅菌サイクルの後では、酵素系の残りの成分と反応して検出可能な
酵素変性生成物を1-60分内で作るのに十分活性なままであるが、しかし試験微生
物に対して致死性である滅菌剤暴露後は不活化されるものである。好ましくは、
この生成物は視覚的に検出可能である。相互反応性酵素の例は、一般に、シンタ
ーゼおよびカタボラーゼ(たとえばトランスフェラーゼおよびエピメラーゼ);
ホスファターゼおよびキナーゼまたはホスホリラーゼ;デヒドロゲナーゼおよび
ヒドロゲナーゼまたはジアホラーゼ;オキシダーゼおよびデオキシダーゼ;エス
テラーゼまたはジエステラーゼおよびポリメラーゼ;ホスファターゼ、デヒドロ
ゲナーゼおよびジアホラーゼ;デヒドロゲナーゼおよびレダクターゼ;およびデ
ヒドロゲナーゼおよびオキシドレダクターゼのほとんど任意の組合せを含む。こ
れらの酵素は一つ以上の基質の相互転化を触媒化し通常は補酵素または補助因子
と一緒に働く。
本発明に有用な補酵素または補助因子の例は、ニコチンアミド アデニン ジ
ヌクレオチド(NAD)、NADH、NADP、NADPH、アセチル、ビオチン、補酵素-A(CoA)
、補体系の成分、チアミン ピロホスフェート(TPP)、ピリドキサルリン酸、コ
バミド、テトラヒドロホレート、フラビンおよびヘムである。これらの補酵素は
、アシル基の転移(CoA)、ケトンから誘導される基の転移(TPP)、CO2の転移(ビ
オチン)、アミノ酸のアミノ基転移、脱炭酸およびラセミ化(ピリドキシル
ホスフェート)、カルボン基転移および還元(テトラヒドロホレート)およびメ
チル基転移(コバミド)を触媒化するものである。レドックス反応もまた生物学
的代謝において重要な役割を果たし、これらの関連する補助因子は、電位の低い
順に、フェレドキシン、リポ酸、NADおよびNADP、フラビンおよびヘムである。
フラボたんぱく質におけるフラビンおよびチトクロムにおけるヘムはたんぱく質
と強く結合し、厳密な定義における補助因子というよりむしろ補欠分子団として
機能する。別の触媒もまた酵素系の成分に必要でありうる。代表的触媒の例は、
金属陰イオンまたは陽イオン、他の単一元素、または特定の複合物質たとえば多
糖類ポリマー、脂質または他の脂肪酸、膜または不活性物質である。基質である
成分は、たとえば糖類または多糖類、核酸またはヌクレオチド、化学薬品および
化学化合物、脂肪酸、アミノ酸またはペプチド、および他のさらにより特定化さ
れた基質たとえば視覚的に検出可能なジフェニルテトラゾリウムブロミド、フェ
ニルテトラ- ゾリウムバイオレットおよびジテトラゾリウムクロリドである。成
分は、標識物たとえば発色団、蛍光物質、発光物質、立体化学品(spatial chemi
cal)、金属物質、安定同位体または放射性同位体を用いて同定可能な生成物へ転
化される標識化された基質を用いて検出されうる。これらの成分の各々は、酵素
系の酵素、補酵素、触媒または基質であるかどうかに関係なく、ここに記載した
滅菌方法を受け、今現在利用可能なものより生物学的に関連する方法で確実に滅
菌をすることができる。
本発明の別の実施態様は、前記したような滅菌手段の有効性を測定するための
生物学的方法を目指すものであり、相互反応性酵素系の成分は相互反応回路たと
えばフルクトース回路(フルクトース6-リン酸をキナーゼおよびホスファターゼ
の作用によりフルクトース1,6-二リン酸へ相互転化する)、キナーゼ/ ホスファ
ターゼ回路を含む解糖、ガラクトシダーゼ回路(ガラクトース1-リン酸をウリ
ジルトランスフェラーゼおよびエピメラーゼの作用によりグルコース1-リン酸へ
相互転化する)、基質または浪費回路(キナーゼおよびホスファターゼの作用に
よるヌクレオチド三リン酸(NTP) のヌクレオチド二リン酸(NDP) への開裂たとえ
ばATPからADP へ、またはGTP からGDP の開裂以外に実質的に何も役割を持たな
い回路)に関係するに過ぎない酵素回路、クエン酸回路またはトリカルボン酸回
路
(ホスファターゼ、キナーゼ、エピメラーゼ、ホスホリラーゼ、およびトランス
フェラーゼが関係する多段階工程でピルベートが相互転化してオキザロ酢酸にな
る)、リン酸化回路、マレート/ イソクエン酸回路、共役酸化- 還元回路(オキ
シダーゼおよびレダクターゼが化合物からの特定の電子を添加または除去する)
たとえばα- ケトグルタレートのグルタメートおよび6-ホスホグルコネートへの
転化、またはこれらの組合せを含む。これらのまたは他の回路は多くの生化学の
教科書たとえば Biochemistry 3 版、( エル.ストレイヤー( L.Stryer) 編、ダ
ブリュ.エッチ.フリーマン社( W.H.Freeman and Co.) 、N.Y.1988)および B
iochemistry(デイ.イー.メツラー( D.E.Metzler ) 編、Academic Press,N.Y
.1977)に記載されており、これらは両方とも参考としてここに特別に編入され
る。
本発明方法によれば、酵素的生物学的回路の成分に滅菌方法を施す。成分の不
活化は回路の完了および生成物の産生量を有意に阻止し、これにより滅菌方法が
首尾よく完了することを示唆する。酵素活性の検出の迅速性および高感度性は、
たとえば酵素回路循環による酵素系の相互反応性成分のネットワークから酵素変
性された生成物が形成されるためである。酵素回路循環は、酵素間の補酵素が相
互転化して二つの酵素が二つの形を有する中間体の転化回路を作りだすことにお
ける複数の酵素の相互依存性である。このネットワークは相互反応性酵素の間の
補酵素の連続相互転化、たとえば還元形アセチル補酵素A(Ac-CoA) を酸化形Ac-C
oAへ、NAD またはNADPをそれぞれNADHまたはNADPH へ、またはNTP をNDP へ相互
転化することを含む。循環は基質、関連する補酵素または酵素自身と関係し、そ
してこれは直接的に結果を得る際の迅速性に寄与する。
たとえば、図2 において、アルカリデヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼはセ
ルロースディスク上に固定される。二つの酵素は二つの形 -NAD ⇔NADHを有する
中間体の転化回路を作りだす。アルコールデヒドロゲナーゼは、補酵素ニコチン
アミドアデニンジヌクレオチド(NAD) の助けを借りてエタノールのアセトアルデ
ヒドへの転化を触媒化し、NAD はまたNADHへ転化される。ジアホラーゼはヨード
ニトロテトラゾリウム(INT) をホルマザン( formazan) へ転化し、これはまたNA
DHを再度転化してNAD とする。これらの二つの酵素は固体支持体上に共通固定さ
れ、滅菌サイクルを受けた後、NAD 、エタノールおよびINT を添加して完全な酵
素系を形成する。試験指示器の全ての相互反応性酵素の残存するおよび連続する
相互反応により視覚的に検出可能な酵素変性生成物が生成する。この場合、アセ
トアルデヒドおよびホルマザン、可視範囲で強く吸収するテトラゾリウム染料の
還元形が形成され、そして容易に検出される。
本発明の別の実施態様は、酵素系が増幅系からなる前記のような工程からなる
滅菌手段の有効性を測定する方法を目指す。増幅系はカスケード式で形成される
生成物の量を増加する。増幅系の酵素はまたほとんどの生化学の教科書、たとえ
ばEnzymes 、3版(エム.ディクソンおよびイー.シー.ウエッブ(M.Dixon and
E.C.Webb)編,Academic Press,N.Y.1979)に記載されており、これは参考とし
て特にここに編入される。酵素はまた酵素変性生成物の視覚的検出が全ての異な
った酵素の生き残りによるようなものである。幾つかの天然現象は酵素増幅系に
より調節される( ディ.エル.ベテス(D.L.Bates),Annales De Biologie Clini
que 47: 527-32,1989) 。フィブリン凝固カスケード、トリプシン/ トリプシノ
ーゲンカスケード、補体カスケードおよび解糖のキナーゼ/ ホスファターゼ回路
が酵素増幅の例である。
酵素増幅回路では、一つの工程の生成物を次の工程の触媒として使用する。ト
リプシンおよびキモトリプシンからなる二つの酵素ディスク系が代表的な例であ
る。キモトリプシンを固体支持体へ添加し、滅菌サイクルに付する。トリプシン
+基質を、基質の生成物への転化およびまたキモトリプシンのトリプシンへの転
化を触媒化する回路の最後に、キモトリプシンへ添加する。したがって、キモト
リプシンが不活化されていないと仮定した場合、トリプシンの非常に僅かな量か
ら非常に多量のトリプシン転化生成物が非常に短期間で作られうる。逆に、トリ
プシン、基質または補酵素に滅菌サイクルを行い、その後にキモトリプシンを添
加すると酵素増幅による検出の別の方法が提供される。
全体として、相互反応性酵素系において、存在する一つ以上の成分を不活化し
て反応生成物の形成を阻害することは通常必要ではない。前記要求に適合するこ
とがわかっている酵素は、補酵素NAD,NADH,NADP およびNADPH の酸化または還元
に基づくものである。これら補酵素の還元形および酸化形間の転化を介する相互
依存性の必須の性質は、対になる酵素のうち、その第一の酵素が補酵素の還元形
の酸化を必要とし第二の酵素が補酵素の酸化形の還元を必要とすることである。
酵素のこのような系は、アルコールデヒドロゲナーゼおよびチトクロムレダクタ
ーゼ(EC 1.6.99.3) 、グルタメートデヒドロゲナーゼおよびNAD(P)オキシドレダ
クターゼ(EC 1.4.1.3)、およびグルコース- 6-リン酸デヒドロゲナーゼおよびNA
DP 1- オキシドレダクターゼ(EC 1.1.1.49)を含むがしかしこれに限定されない
。
酵素系は、前記補酵素の一つの酸化または還元形のいずれか、一旦酵素の一つ
の作用受けると視覚的に検出可能な酵素変性生成物へ転化される発色基質(酵素
反応の結果として視覚的に検出可能な着色した酵素変性生成物へ転化される酵素
基質)、酵素的共役酸化- 還元回路の循環を維持するために必要な他の酵素基質
のいずれか、および緩衝溶媒からなる。
たとえば、全てまたは一部の基質系が滅菌の間に指示器装置に含まれる場合、
含まれた一部は滅菌の間に自然に破壊されたりまたは検出可能な生成物へ転化さ
れたりしない。NAD(P)依存性反応の視覚化は、基質系において基質水素受容体を
提供し、NAD(P)H の再酸化を許す間、視認可能な色にシフトすることが特徴的な
還元形へ転化することにより行われうる。好ましい発色基質は、無色であるかま
たは弱く着色しており、そして酵素還元により強く着色したホルマザンへ転化す
るテトラゾリウム塩である。これらの発色基質の幾つかの例は、3-(4',5'- ジメ
チルチアゾール-2- イル)-2,4-ジフェニルテトラゾリウムブロミド、2-(p- ヨー
ドフェニル)-3-(p- ニトロフェニル)-5-フェニルテトラゾリウムバイオレット、
2,2',5,5'-テトラ- (p- ニトロフェニル)-3,3(3-ジメトキシ-4- ジフェニレン)
ジテトラゾリウムクロリドおよび2,2'- ジ-(P-ニトロフェニル)-5,5'−ジフェニ
ル-3,3'-(3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジフェニレン) ジテトラゾリウムクロリドであ
る。
補酵素の回路循環、たとえばNAD-依存性酵素回路循環における信頼性は本発明
の一実施態様の特徴である。レドックス回路の繰り返しを酵素検出とリンクする
と、残存する酵素に対する感度を数桁分大きく増やすことが可能になる(シィ.
セルフ(C.Self),J.Immunol.Methods 76: 389-93,1985)。本発明において、酵素
回路は視覚的発色に必要な時間を数桁分大きく短縮する信号増幅の特別の形であ
る。すなわち、NDA 依存性、多- 酵素相互反応系は、現在の技術プラクティス以
上に利用性および迅速性を著しく向上する滅菌の測定に対する新規な用途である
。
酵素および酵素基質の濃度は特定の基質、酵素系、視覚的に検出可能なように
生じる酵素変性生成物の量、および活性酵素が反応混合物に存在するかどうかを
測定するために待たなければならない時間の量に依存する。視覚的に検出可能な
色が表れるのに必要な時間の量はまた、相互反応する酵素の相互の空間的近さの
機能でもある。周囲のバルク溶液との拡散- 調節された交換がたとえば酵素チャ
ンネル化により制限されている表面または微小空間において連続する回路反応を
触媒化する酵素の配置は、反応の迅速性を向上しそして視覚的に検出可能な色の
発生に必要な時間を短縮する。
この概念は、二つの相互反応酵素、ディスク酵素1 およびディスク酵素2 の場
合について図1 において一般的場合として説明される。二つの酵素を本実施例に
おけるセルロース繊維にきわめて接近して共通固定し、これにより生成物1Cおよ
び生成物2Cを作る連続反応の酵素チャンネル化を示す。生成物2Cはディスク酵素
1による生成物1Cの再生産に必要なので、この例はまた酵素の回路循環の例でも
ある。ディスク酵素1 はまた基質1Aを生成物1Bへ転化させることも注意したい。
ディスク酵素1 が基質1Aの生成物1Bへの酵素転化を行うのに生成物2Cを必要とす
る場合、生成物2Cは補酵素と考えられる。同様に、ディスク酵素2 が基質2Aの生
成物2Bへの転化を行うのに生成物1Cを必要とする場合について、生成物1Cはディ
スク酵素2 に対する補酵素と考えられる。この例はまた、ディスク酵素2 が視覚
的に検出可能な着色生成物2Bへ転化する発色基質、基質2Aの使用を説明するもの
である。
図2 において、アルコールデヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼは滅菌暴露の
間に白色セルロースディスクに共通固定されている。次の滅菌後の形において、
酵素基質エタノールおよびINT(p-ヨードニトロテトラゾリウム バイオレット;
2-[4,4ヨードフェニル]-3-[4-ニトロフェニル]-5-フェニルテトラゾリウム ク
ロリド)および補酵素NAD をバルク指示溶液へ添加する。NAD はエタノールをア
セトアルデヒドへアルコールデヒドロゲナーゼにより転化するための補酵素であ
る。アルコールデヒドロゲナーゼ触媒化反応の方法において、NAD はNADHへ転化
され、これが今度は、INT のジアホラーゼによる視覚的に検出可能な着色生成物
、ホルマザンへの酵素転化の補酵素になる。第二の例( 図3)では、滅菌暴露の間
に白色セルロースディスクに共通固定された三つの酵素、アルカリホスファター
ゼ、アルコールデヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼを説明する。次の滅菌後形
において、酵素基質、NADP、エタノールおよびINT をバルク指示溶液へ添加する
。残存するアルカリホスファターゼが基質NADPを生成物NAD へ転化し、次いでこ
れが上述の酵素回路循環反応に対する補酵素として働き、白色担体が赤色に代わ
る。
複数の相互反応性酵素または他の成分は図4 に示すように物理的に分離される
。この記述において、アルカリホスファターゼのみが滅菌暴露の間に白色セルロ
ースディスクに固定される。次の滅菌後形において、ジアホラーゼおよびアルコ
ールデヒドロゲナーゼの形で複数の相互反応性酵素を、必要な補酵素および酵素
基質とともにバルク指示溶液へ添加する。このような実施態様における酵素転化
は、三つの酵素全てが共通固定されている場合と同じであるが但し一つの酵素ア
ルカリホスファターゼの残存性のみが滅菌暴露の形で残存ストレス(survival st
ress)を受けている点のみで異なる。前記例の各々において、全ての酵素の残存
活性は、視覚的に着色された生成物、ホルマザンの発生のために必要である。図
3 に示すように、これら三つの酵素の共通固定により、単一の酵素の固定と比較
した場合ホルマザン形成の迅速性が向上する結果となる( 図4)。この結果は図5
にグラフで示されるが、ここでアルカリホスファターゼの熱安定性とディスクに
共通固定された三つの酵素の熱安定性を比較する。図から明らかなように、三つ
の酵素系の推測される活性は、吸収により測定されるように、迅速にそして劇的
に減少する。これに対し一つの酵素では少しの活性で始まりゆっくりしか減少し
ない。
本発明の別の実施態様は、酵素系の阻害剤に滅菌手段で不活化を行い、次いで
酵素系の成分を添加して阻害剤の状態を評価する前記のような方法を目指すもの
である。阻害剤が残存するかまたはさもなければ滅菌手段により破壊されなかっ
た場合、酵素系は機能しないであろう。このような阻害剤の例は、ピリドキサル
リン酸依存性酵素(アミノ酸トランスアミナーゼおよびデカルボキシラーゼ)の
一般的阻害剤であるα- アミノ- オキシ酢酸、アルコールデヒドロゲナーゼを阻
害することによりアセトアルデヒドの酸化を阻害するアンタビュース(antabuse)
、グルタミナーゼを阻害するフラビアン酸、アルコールデヒドロゲナーゼを含む
特定のデヒドロゲナーゼを阻害するヨード酢酸ナトリウムおよびピラゾール、ジ
アミンオキシダーゼを阻害するイソプロピルヒドラジン、多くの酸化反応を阻害
するパラピルベート、乳酸デヒドロゲナーゼを阻害するオキサミン酸、トリプシ
ンおよびキモトリプシンの特異的阻害剤であるフェニルメタンスルホニルフルオ
リドおよびキモスタチン、ホスファターゼを阻害する酒石酸、およびたとえばト
シル- リシンクロロメチルケトン(TLCK)およびトシル- フェニルアラニンクロ
ロメチルケトン(TPCK)である。
本発明の他の実施態様は、滅菌手段の有効性を測定するための試験指示器を目
指すものである。その最も簡単な形において、本発明を実施する際に有用な滅菌
指示器は、液体不透過性および実質的にガス非- 吸収性の壁を有し、少なくとも
一つの開口部がガス通過性カバーで覆われ、前記開口部は相互反応性酵素系の一
つ以上の成分を含む室へ繋がり、成分と開口部の間には液体不透過性バリヤーを
有する容器に、複数の相互反応する酵素の供給源を含むものである。相互反応す
る成分は、たとえばセルロース繊維ディスクのマトリックス内および/または限
定した媒体内で相互に非常に接近して位置し、すなわち共通固定されている。一
つ以上の酵素、基質、補酵素または触媒を固体マトリックスに含んでもよい。容
器内には、液体およびガスの通過に対して自由でも完全に透過性でもないが半透
過性であるバリヤーを形成する物質の有効量があり、これは半- 透過性開口部と
酵素との間に限定した距離を維持するための有効な手段である。バリヤーは液体
透過性または不透過性であり、そしてプランジャーまたはストッパーでよいが、
しかし時々プランジャーまたはストッパーで起こりがちな滑りのようなものを少
なくするスポンジが好ましい。また好ましくはバリヤーは、ポリマーたとえば合
成、プラスチック、ゴム、ゴアテックス(ガス透過性で液体不透過性のポリマー
)またはこれらの組合せである。ゴアテックス膜は液体不透過性であり、スポン
ジバリヤーは液体半- 透過性である。
限定された媒体は親水性でもよいが、たとえば非- 水性のような疎水性が好ま
しく、しかし滅菌用蒸気を含めてガスに対し半- 透過性または通過性である。媒
体は、滅菌条件に暴露する前の貯蔵の間の成分の回りの直接の環境と同じく非-
水性でよい。成分の操作安定性は一般に媒体の非- 水性酵素環境の維持に依存す
る。この要求に対する理論的基礎は非常に発展している(エー.ザクスら(A.Zak
s et al.),J.Biol.Chem.263:3194-3201,1987)。成分が滅菌方法により破壊を
受けやすい程度は、蒸気の形の水分が蒸気処理の間に酵素供給源と相互反応する
程度と直接関係する(エー.エム.クリバノフ(A.M.Klibanov)、Advances in App
lied Microbiology 29:1-28,1983)。成分は固体支持体たとえばセルロース、プ
ラスチック、ガラス、セラミック、膜、ポリマーまたはこれらの組合せに固定さ
れる。好ましくは、固体支持体は無水媒体において浮遊する非常に区画されたセ
ルロースディスクである。
この発明は、結果を得ることができる速度ならびに非- 水性系に基づくある種
の好ましい実施態様により特異的である。試験指示器は好ましくは鉱油を系内で
多くの機能を有する非水性媒体として利用する。鉱油は、比重0.818-0.880 、40
℃で33.5センチストークスを越えない動粘度を有する石油から得られる液状炭化
水素の混合物であり、USP XXIIにより規定された中性度、容易に炭素化されうる
物質の含有量、多核化合物量の制限、および固体パラフィンに対する要求に適合
するものである。油を使用して、複数の相互反応性酵素が共通固定されている固
体支持体ディスクを被覆し、酵素を安定化する非水性環境を提供する。油は、貯
蔵の間に酵素に有害な作用を有する水および空気に対するバリヤーを作りだす。
油はまた迅速酵素指示器が蒸気滅菌サイクルに晒された場合蒸気に対する半透過
性バリヤーとして働く。油の量、または隣接した環境の無水的性質を変化させる
ことにより、酵素を有するディスクに到達する蒸気の量を正確に調節することが
できる。
本発明の代わりの実施態様は、二つのバイアルを含む試験指示器からなる滅菌
手段の有効性を測定するための二段階生物学的指示器を目指すものである。第一
には、たとえば前記のよう酵素系の相互反応性成分のネットワークがある。第二
のバイアルは微生物の培養物である。本発明の二段階試験指示器は滅菌手段の有
効性の二重の指標をもたらす。基本的には、基質は酵素へ添加され、ここに記載
した方法により直ちに分析され、第一の段階の指標を得る。第二のバイアルの残
りの胞子は、滅菌の第二段階の支持を提供するために、より長い期間培養条件下
にインキュベーションされる。二段階指示器の有用な微生物はバチルス(Bacillu
s)、ノイロスポラ(Neurospora)、カンジダ(Candida) およびクロストリジウム属
(Clostridium) の胞子集団を含む。最初のインキュベーション期間は前記のよう
に非常に迅速であり、60分以内、好ましくは15分以内、さらに好ましくは1 分以
内である。第二のインキュベーション期間は約24-48 時間、好ましくは約1 -24
時間、さらに好ましくは約6 時間以内そしてさらにもっと好ましくは約1 時間以
内である。
本発明の別の代わりの実施態様は、液体不透過性および実質的にガス非吸収性
の壁およびガス通過性カバーで被覆された少なくとも一つの開口部であって、前
記開口部が第一および第二のバイアルを含む室へ繋がり、ここで第一のバイアル
はガス通過性カバーで被覆された少なくとも一つの開口部を有しそして酵素系の
相互反応性成分を含み、第二のバイアルは残りの全成分を含みこれは第一のバイ
アルの成分と混合した場合に検出可能な生成物を作り、前記バイアルは試験指示
器から除去することなく開口しそれらの内容物を混合することができる物質で構
成されている、滅菌手段の効果を測定するための自己充足性試験指示器である。
このような構成物の例は内側室を備えた熱安定性壁を有するアンプルである。室
は一対の室からなり、これはここで記載されたように相互反応性酵素系の成分の
全てを一緒に含む破壊可能なまたは何らかの方法で開通させうる仕切りにより分
けられている。アンプルはまた別の一対の室を含み、組立式または折り畳み式仕
切りにより分けられ、そのうちの一つは胞子サンプルを含み他は胞子を培養する
ための培地サンプルを含む。
成分の量は不十分な滅菌サイクルの後で残存する酵素活性が検出可能であるよ
うなものである。酵素、補酵素、補助因子、触媒、基質および他の必要な試薬を
含む成分をインキュベーションしこれらに滅菌サイクルを行った後に測定する。
インキュベーションは、酵素のいずれかが活性のままであると仮定すると、酵素
変性生成物の検出可能な量を遊離するのに十分な一定期間および条件下に続けら
れる。一般に、必要なインキュベーション時間は1 分から60分であり、インキュ
ベーション温度は約20℃から約70℃の間である。
一般に、酵素変性生成物を検出するための市販の方法は、近代的装置たとえば
蛍光計および分光光度計を利用する。本発明の目的のために、酵素変性生成物の
視覚的検出方法が、方法の簡便性および結果の迅速性のために好ましい。たとえ
ば特異的酵素基質は、NADH依存性オキシドレダクターゼ酵素と相互反応すると、
視覚的に検出可能な着色したホルマザンを生じるテトラゾリウム塩からなる。本
発明の方法は、微生物の生き残りを許す条件を予測するのに使用することのでき
る酵素活性、すなわち滅菌有効性、の非常に迅速な測定を可能にする。使用され
る酵素測定試験は短期間のインキュベーション、通常約1 分から60分のみを利用
し、視覚的検出に十分な酵素変性生成物をもたらす。
本発明の迅速多酵素滅菌指示器を図6 に示す。容器は、一端に開口部7 を備え
た液体不透過性壁を有する円筒形チューブ4 である。チューブ4 は、その上に複
数の相互反応する酵素を共通固定した固体支持体ディスク6 を含む。チューブ4
はまた固体支持体ディスク6 を被覆する非水性媒体を含む。開口部7 は孔2 を有
するキャップ1 で被覆され開口部7 を通過する滅菌剤の通過が妨げられないよう
になっている。図6 の装置は、その上に複数の相互反応する酵素を共通固定した
固体支持体ディスク6 をチューブ4 の底部に置くことにより組み立てられる。非
水性媒体5 を固体支持体ディスク6 を被覆するために添加する。耐熱性発泡体材
料のシリンダー3 をチューブ4 へ圧入し、非水性媒体5 の封じ込めのための構造
的構成とする。発泡体材料3 はまた固体支持体ディスク6 に共通固定した複数の
相互反応する酵素と開口部7 の間に決まった距離を維持するために働く。キャッ
プ1 は開口部7 を被覆するチューブ4 の頭部に置かれる。
指示溶液の分配器を図7 に示す。ビン8 は、固体支持体ディスク16 に共通固
定した活性な複数の相互反応する酵素に晒した場合に視覚的色彩の変化を生じる
指
示溶液9 を含む。ビン8 は、予め測定された線10を有する点眼器11を含む。指示
溶液9 を点眼器11の予め測定された線10まで満たすと、指示溶液9 の正しい容量
をチューブ4 へ確実に分配することができる。
滅菌試験を行う方法を図7 に示す。滅菌指示器を滅菌すべき他の物質と一緒に
滅菌剤へ入れる。滅菌指示器を滅菌サイクルの間に滅菌剤へ晒す。滅菌サイクル
の完了後、滅菌指示器を滅菌剤から除き、室温まで冷却する。キャップ12および
発泡体材料13を除く。指示溶液9 を予め測定した線10を用いて点眼器11へ吸引し
、指示溶液9 を使用する場合容量を正確にする。指示溶液9 をチューブ14へ分配
する。インキュベーター溶液を、室温にて固体支持体に共通固定した酵素ととも
に、1分から60分、好ましくは10分未満でインキュベーションする。固体支持体
ディスクをインキュベーション期間の最後に視覚的に検査する。固体支持体ディ
スクにおける赤色の不存在は陰性結果18を示し、滅菌サイクルの成功の徴である
。固体支持体ディスクにおける赤色の存在は陽性結果17を示し、滅菌サイクルの
不成功の徴である。
以下の実施例は本発明の実施態様を説明するものであるが、しかし本発明の範
囲を限定するものと考えるべきではない。
実施例
実施例1
二つの酵素系はアルコールデヒドロゲナーゼ(445 U/mg P,ワーシングトン バ
イオケミカル(Worthington Biochemical))とジアホラーゼ(30.8 U/mg DW ワーシ
ングトン バイオケミカル) からなる。アルコールデヒドロゲナーゼは5.0mg/ml
の好ましい濃度および0.5mg/mlから250mg/mlの範囲内で使用された。ジアホラー
ゼは25mg/ml の好ましい濃度で使用されたが、しかし約2.5mg/mlから1.25g/mlの
範囲内で使用してもよい。酵素を水性緩衝液たとえばリン酸緩衝液 (PBS)または
0.05M トリス緩衝液、pH8.5に溶かしそして透析する。スペクトラポール(Spectr
apor)分子多孔性膜チューブ、分子量3500ドルトンの分子量を分離除去するもの
、を全ての酵素の透析に対して使用した。チューブを2%重炭酸ナトリウム、1mM
EDTA中で10分間沸騰し、水道水の流れで1 時間すすぎ、最後に蒸留水で10回すす
ぎ、蒸留水中で2-8 ℃にて貯蔵した。チューブを所定のサイズにカットし、一端
を閉じ、酵素溶液を満たし、他端を結んだ。0.05M トリス緩衝液、pH8.5 を用い
て酵素溶液の100 倍の容量で透析を行い、4 時間で二回透析し、さらに穏やかに
攪拌しながら14-18 時間2-8 ℃にて一回透析を行った。酵素溶液20μl を白色の
セルロース固体支持体ディスク上に移し、各ディスク上へ20μl を分散した。多
数の凹部を有する微量滴定板に内蔵されているディスクを直ちに-71°まで凍結
した。次いで微量滴定板における凍結ディスクを凍結乾燥ビンへ置くことにより
ディスクを凍結乾燥し、3 時間以上かけて200 ミクロン水銀より大きな減圧を施
した。共通固定した酵素を含むディスクを鉱油により被覆された透明なバイアル
内で非- 水性環境にて貯蔵した後、滅菌指示器として使用した。無水媒体または
鉱油は、バイアル容器の空気含有部から無水媒体を物理的に分離するための物体
をバイアルへ加えることにより、透明なバイアル内に正しく保持された。使用し
たセパレーターは円柱状にカットされた耐熱性スポンジ物質であり、これはその
低い方の表面がこの場合油である無水媒体と直接接触することになるまでバイア
ルに物理的に置かれた。
指示溶液は透明、無色の溶液であり、しかし複数の相互反応する酵素へ添加し
た場合、酵素は指示溶液と反応して酵素変性着色反応生成物を作る。指示溶液は
、p-ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット( 2-[4- ヨードフェニル]-3-[4-
ニトロフェニル]5- フェニルテトラゾリウムクロリド) を3.2x10 -5Mから0.16x1
0 -1M の範囲 、好ましくは3.2x10-3 M; NAD(B-ニコチンアミドアデニンジヌク
レオチド) を1.1x10 -6Mから5.5x10 -3Mの範囲、好ましくは1.1x10 -4M;エタノ
ールを1%〜100%( 容量) の範囲、好ましくは5.5%を含む。好ましい緩衝液は0.5M
トリス、pH8.5 であった。
実施例 2
本実施例は、この発明の使用の迅速性および簡易性を説明するものである。本
実施例において、アルコールデヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼは前記しそし
て図2 で示したように白色セルロースディスクに共通固定された。ディスクを前
記しそして図6 で示したように試験バイアルに入れた。試験バイアルを5 から15
分の間隔で4 回の反復試験においてオートクレーブした。バイアルをオートクレ
ーブから除き、冷却した。滅菌指示器試験を、前記しそして図7 で示したように
、トリス緩衝液、エタノール、NAD およびINT からなる指示溶液を用いて行った
。室温で10分間インキュベーションした後、指示溶液を含むバイアルおよび二つ
の相互反応性酵素が共通固定されているセルロースディスクを、ガラスの型枠に
バイアルを置きそしてその下のディスクを観察するかおよび/またはビデオテー
プに録ることにより視覚的に記録した。得られたビデオ画像はアドベ フォトシ
ョップ(Adobe Photoshop) ソフトウェアを用いてデジタルに捕らえ、そしてディ
スクにおける相対的色彩強度をソフトウェアの度数分布機能を用いて定量化した
。バイアルはまた、陽性の赤色または陰性の赤色の視覚的な徴はないかについて
視覚的に定性化された。
本実施例の結果を、図8 に示す。オートクレーブしてから5 分後に、迅速な酵
素指示器の全ては短い10分間のインキュベーション後に強い陽性の発色を示した
。15分間オートクレーブした迅速酵素滅菌指示器(Rapid Enzyme Sterility Indi
cator)は視覚検査により定量的にもまたは定性的にも色を示さなかった。図9 は
、121 ℃の蒸気オートクレーブを用いた本実施例において、15分間オートクレー
ブした本発明の迅速酵素滅菌指示器の色彩強度の定量的測定と滅菌暴露時間との
プロットを示すものである。疎水性環境の影響の特性を描くための油の様々な形
状における酵素系の活性を比較することができる。同じプロットにおける塗り重
ねは、スポートロール(Sportrol)生物学的指示器から分離された生き残っている
バチルス ステアロテルモフィルス微生物の数と蒸気オートクレーブの時間の対
数を示すデータである。スポートロールは非- 自己充足性生物学的指示器である
。プロットの密接な相応関係は、本発明の実施に有用な酵素が細胞外および細胞
内微生物酵素であり、その独立した活性は現在の技術レベルの生物学的滅菌指示
器に一般に使用される微生物の発芽および増殖と相関的に関係するという本発明
の請求の範囲を支持している。
実施例 3
本実施例は、胞子を含む通常の生物学的滅菌指示器および迅速酵素指示器の間
の相関関係を示す。比較のために使用される通常の生物学的滅菌指示器は、オハ
イオ州、ノースウッドのノース アメリカン サイエンス アソシエーツ、イン
コーポレーテッド(North American Science Associates,Incorporated)から市販
されているスポートロール スポア ストリップ(Sportrol Spore Strip)であっ
た。ビア容器(bier vessel)(調節された滅菌条件を正確に伝えるために使用され
る生物学的指示器評価用抵抗計器) において、121 ℃で迅速酵素指示器(二つの
酵素系)を比較した。両方の滅菌指示器を、ビア容器において5,7,8,9,10,11,12
,13および15分間暴露した後に試験した。
スポートロール スポア ストリップを栄養培地に置き、ビア容器中で指定し
た時間暴露後にインキュベーションした。1日後、チューブをチェックし、生存
胞子(増殖)を有するチューブの数を陽性として記録する。チューブを7 日まで
インキュベーションし、チューブにおいて増殖が観察されたものはいずれも陽性
として記録した。
迅速酵素指示器は、緩衝液にINT 、エタノールおよびNAD を有する指示溶液を
含み、これをその指定時間の間ビア容器に暴露した後バイアルへ添加する。迅速
酵素指示器は、指示微生物において通常見られそして白色セルロースディスクに
共通固定されている二つの酵素、ジアホラーゼおよびアルコールデヒドロゲナー
ゼを含む。無色の指示溶液をディスクへ添加後、バイアルを室温で約2-約30分間
インキュベーションした。インキュベーション期間後、ディスクを色彩の兆候に
ついて視覚的に検査した。ディスクに赤色が見られた場合、結果は陽性と記録さ
れた。陽性の結果は、正しい滅菌条件に適合しなかったことを示す。色彩は、酵
素が完全には不活化されなかったためにディスクに現れるのである。ディスクが
完全に白いままである場合、結果は陰性として記録された。陰性の結果は、正し
い滅菌条件に適合し、酵素が不活化されたことを示す。
スポートロール生物学的指示器についての陽性結果の数は、7 日間のインキュ
ベーション期間の後で測定された。迅速酵素指示器についての陽性の数は、指示
溶液を添加してから30分後に測定された。各時点での陽性の数は、指示器の二つ
の異なった型について同様であった。
スポートロール指示器における胞子の成長および生存は迅速酵素指示器の酵素
活性と同様であった。したがって、酵素指示器はスポートロール生物学的指示器
と同様の結果を生じることができる。微生物に由来する酵素の酵素活性を滅菌後
の胞子生存性と関連させることにより、滅菌剤の有効性をチェックする迅速な方
法を作りだす。適切な滅菌条件を確実にする方法が微生物の増殖に頼らなくなる
と、指示器試験の結果は時間または日数の代わりに分単位後に入手することがで
きる。
実施例 4
実施例4 は瞬間滅菌に使用される本発明の迅速酵素滅菌指示器の適用性を説明
する。瞬間滅菌は室の圧力を増加することにより132 ℃の温度でより迅速な滅菌
サイクルを作りだす。この増加により、121 ℃での蒸気滅菌の場合15分から132
℃での瞬間滅菌の場合2 分まで生存試験微生物の殺滅に必要な時間を短縮するこ
とができる。本実施例の場合、図2 に示すように共通固定したジアホラーゼおよ
びアルコールデヒドロゲナーゼを含むセルロースディスクを前記したようにそし
て図6 に示すように指示器バイアルに置いた。バイアルを132 ℃で2 分間オート
クレーブし続いてオートクレーブから取り出し冷却した。滅菌指示器試験は、ト
リス緩衝液、エタノール、NAD およびINT からなる指示溶液を用いて、 前記し
たようにそして図7 に示すように行った。室温で10分間インキュベーション後、
結果はバイアルが赤色の視覚的兆候を示さない陰性として定性的に評価された。
実施例5
実施例5 は、完全な非- 水性環境において操作する本発明の別の一実施態様を
説明する。非- 水性媒体における酵素反応の実施は、酵素反応速度を早め、そし
て酵素活性の回復を向上させることができる( エー.ザクスら( A.Zaks et al.)
,J.Biol.Chem.263:3194-3201,1988)。この実施例において、アルコールデヒド
ロゲナーゼおよびジアホラーゼを白色セルロースディスク上で補酵素NAD ととも
に共通固定した。ディスクを、前記しそして図6 で示したように指示器バイアル
に入れた。バイアルを15分間オートクレーブし、オートクレーブから取り出し、
冷却した。滅菌指示器試験を、100%エタノール中に溶解したINT からなる指示溶
液を用いて、前記しそして図7 で示したように行った。室温で1-20分間インキュ
ベーションした後、指示溶液と二つの相互反応性酵素が共通固定されているセル
ロースディスクを含むバイアル内で発色の視覚測定を行い滅菌が完了したかどう
かを測定した。
実施例 6
本発明実施例では、層状固体支持構成物を使用した。構成物は、固体支持体22
で始まり、次いでアルコールデヒドロゲナーゼをディスク19上に固定し、酵素お
よびディスクを凍結した。凍結後、アルコールデヒドロゲナーゼをゼラチン溶液
21の層で被覆し、アルコールデヒドロゲナーゼ上に両性に帯電した有機分子を用
いてマトリックスを形成した。ゼラチンが硬化すると、ジアホラーゼをゼラチン
の上に添加した。次いで構成物を凍結乾燥し、ディスクを、前記しそして図6 で
示したように指示器バイアルに入れた。バイアルを15分間オートクレーブし、オ
ートクレーブから取り出し、冷却した。滅菌指示器試験を、前記しそして図7 で
示したように行った。室温でインキュベーションした後、ディスク上の発色の視
覚測定を行った。この層状構成物は、ゼラチン層下のアルコールデヒドロゲナー
ゼの安定性を非常に増加し、一方バルク溶液からの発色基質がゼラチンの外側の
ジアホラーゼ層まで最適に拡散していた。
実施例7
本実施例では、酵素複合体の互いの位置が向かいあうようにした二つの酵素を
固体支持体へ共通固定した( エヌ.シーバーンら(N.Siegbahn et al.),Methods
Enzymol.136:103-113,1987)。この配置において、二つの酵素間の補酵素の相互
転化が非常に早い速度で進行する。この進行は非常に感度のよいそして視覚的発
色の速度がよい迅速酵素滅菌指示器を作る。このディスク構造体を用いて、迅速
酵素滅菌指示器は図6 に示すように構成された。一定の期間オートクレーブ後、
迅速酵素滅菌指示器を前記しそして図7 に示すように操作した。バイアルを1-20
分間インキュベーションした後で視覚的に検査した。発色の有無は滅菌サイクル
の部分的または完了状態を示した。
本発明の他の実施態様および使用はここに開示の本発明の明細書および実施の
考慮から当業者にとって明らかであろう。明細書および実施例は単に本発明の例
示であり、本発明の範囲および精神は以下の請求の範囲により示される。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,
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(72)発明者 ジャンバード−スウィート,ダグラス
アメリカ合衆国オハイオ州43537,モミー,
ウエスト・ブロードウェイ 205
(72)発明者 ヘンドリクス,ジュディ
アメリカ合衆国オハイオ州45840,フィン
ドレー,ティフィン・アベニュー 919