【発明の詳細な説明】
光信号再生ユニット及び斯種のユニットを備えている伝送システム
本発明は、変調周期がTで、波長がλdの、再生すべき光信号パルス列を受信
するための入力端子と、再生信号パルス列を供給する出力端子とを有し、パルス
周期がTのパルス列を供給するパルスレーザを備えている光信号再生ユニットに
関するものである。
情報を長距離伝送する光伝送システムには、ディジタル電気信号を光パルスに
変換するためにレーザを備えた光送信機が用いられる。レーザからの放射は、伝
送すべき信号に従って変調される。このようにして形成される一連の光パルスは
光伝送媒体例えば光ファイバを介して光受信機に伝送することができ、光受信機
ではこれらの光パルスをディジタルの電気信号に変換する。このような光伝送シ
ステムがめざす目的は伝送距離を長くすることにある。しかし、これは多数の要
因によって妨げられる。
第1の要因は、伝送媒体内を伝搬する光パルスの幅が、伝送媒体の長さが長く
なるにつれて大きくなるということにある。このパルス幅の拡大は、伝送媒体中
での遅延時間が、波長の異なる放射に対して相違することに起因している。この
現象は分散と称される。光送信機によって伝送されるパルスは一般に種々の波長
成分を含んでおり、これらは分散現象のために異なる瞬時に受信機に到達する。
長距離伝送の実現を妨げている他の要因は、パルス周期に対してパルス位置が
正確に定まらなくなることにある。この現象はタイムジッターと称される。この
現象は伝送媒体の不安定性が時間軸に沿う信号パルスの位置に変動を来すことに
起因している。一方、クロック信号、換言するに、到達する信号パルスを受信機
にて検出する反復時間は一定である。実際上、クロック信号は信号パルス列の多
数のパルス周期の平均値として決定される。伝送ラインの不安定性に起因する信
号パルスの時間的ばらつきにより、関連する信号パルスとクロック信号のパルス
とが一致しなくなり、受信機に誤った情報を持たらすことになる。
第3の要因は可変減衰にある。伝送媒体中での妨害のために、信号パルス列の
パルス振幅が変動することになる。
上述したような要因が伝送距離に及ぼす有害な影響を低減させるために、伝送
媒体の多数個所に信号パルス再生用の光学ユニットを設けることができる。
受信機そのものにも斯種のユニットを設けて、到達した信号パルスが検出チャ
ネルに伝送される前に、これらのパルスを再生するようにすることができる。
冒頭にて述べたタイプの信号パルス再生用の光学ユニットは、例えばM.Jinno
及びM.Abeによる論文「“All-optical regenerator based on non-linear fibe
r Sagnac interferomter”,Electronics Letters,1992年、7月、Vol.28
,no.14,pp.1350−1352」から既知である。この論文に記載されて
いるユニットは既知のNOLM(非線形光学ループミラー)形態の光学スイッチ
を備えている。クロック信号はこのスイッチの入力端子に供給されて、50:5
0のカプラーにより2つのほぼ等しいサブ信号に分けられる。2つのサブ信号は
光学スイッチのリングを逆方向に進行する。信号パルス列は制御パルス列として
リングそのものの中に結合される。スイッチは、信号パルス列のパルス、即ちデ
ィジタル信号の“1”が、この信号パルス列の方向に伝搬しているクロック信号
の部分と一緒にリング内を進行する際には常に開放する。この期間中には、互い
に逆方向に伝搬する2つのクロック信号部分間に、スイッチの出力端子に積極的
な干渉をまねくような位相差がある。従って、スイッチの出力端子に形成される
パルスはクロック信号のパルスの強度及び波長を有する。
従来のユニットの欠点は、信号パルスを光学スイッチのリング内に導入する前
にこれらの信号パルスをかなり増幅する必要があり、しかもリングの光ファイバ
の長さをかなり長くして、十分なスイッチング能力を達成するように、即ち逆方
向に伝搬するクロック信号の2つのサブ信号間の位相差を十分大きくする必要が
ある。実際上、逆方向に伝搬する2つのサブ信号間の位相差はΔψ=2π・n2
・L・Iによって与えられ、ここにn2は光ファイバの屈折率の非線形係数であ
り、Lは光ファイバの長さであり、Iはリング内を進行する信号パルスの光強度
である。
上述した欠点は、例えば光学スイッチ用に既知のSLALOM(半導体レーザ
増幅光学ミラー)を用いる場合には殆ど問題にならなくなる。その理由は、この
場合には光ファイバの非直線性の代わりに増幅器の非直線性を用いるからである
。
しかし、光学スイッチとしてのNOLM及びSLALOMの双方に生じる他の
重大な欠点は、再生した際に常に信号パルス列の波長が変化するため、最早伝送
システムを単一波長に十分同調できなくなるから、伝送システム全体がかなり複
雑となると云うことにある。実際上、再生ユニットによって供給されるパルス列
はクロック信号の波長を引き継ぐことになる。これは特に、種々の信号が同一の
チャネルに合成され、且つ受信機にて波長の多重解離を行なう多重伝送システム
には不所望なことである。
本発明の目的は、信号パルス列に及ぼすタイムジッターや、分散及び可変減衰
による影響を大いに除去し、且つ他の原理に基いて信号パルスを再生する光学ユ
ニットを提供することにある。さらに、信号パルス列のパルスのピークパワーを
比較的十分低くし、且つ光学ユニットを比較的コンパクトにする。さらに、光学
ユニットを、伝送すべき元の信号パルス列の波長が信号経路全体にわたり維持さ
れるように作製する。
従って、本発明による光信号再生ユニットは、再生すべき信号パルス列のパル
スを、E(Pm)>E(LPi)の関係が成立する瞬時にパルスレーザに導入し得
るようにし、ここに、E(Pm)はパルスレーザに導入する信号パルス列のパル
スの当該瞬時におけるエネルギーとし、E(LPi)は当該瞬時にパルスレーザ
にて形成されるパルスの放射エネルギーとすることを特徴とする。
伝送媒体の少なくとも一部分を経て伝送される波長がλdの信号パルス列は信
号再生ユニットの入力端子に供給する。このユニットは、前記信号パルス列の変
調周期に等しいパルス周期Tを有し、且つこれに同期するパルスレーザを具えて
いる。信号パルス列の放射は、パルスレーザにてパルスを形成する時間間隔にて
、換言するに、上述した関係が当てはまる瞬時にパルスレーザに導入させて、パ
ルスレーザが関連する瞬時に導入されるパルスの波長に等しい波長(λd)を有
する光パルスを供給するようにする。
実際上、レーザがその能動媒体に達するレーザ放射に敏感であることは周知で
ある。レーザの特性は主として、光パルスを形成する時間間隔内の事象によって
決定される。そのような時間間隔内に十分多数の光子を導入することにより、こ
れらの外部光子がレーザの特性を決定する。従って、レーザはこのようにして制
御することができる。光子の導入はレーザの前面又は裏面ミラーにて行なうこと
ができる。
信号パルス列は再生後にさらに伝送媒体を経て通過させるか、又は受信機にお
ける1つ以上の検出チャネルに分配することができる。
本発明によるユニットの好適例では、パルスレーザは、モードが再生すべき信
号パルス列の波長に応じて適合するファブリペロー共振空胴を有するダイオード
レーザとする。
ユニットのパルスレーザとして、モードが再生すべき信号パルス列の波長に応
じて適合するファブリペロー共振空胴を有するダイオードレーザを選定すること
により、パルスレーザへの信号パルス列の結合が最適となる。
信号パルス列のパルスを導入させるユニットの入力端子は、例えばダイオード
レーザのファセットとすることができる。
本発明によるユニットの他の例は、前記ユニットが、信号パルス列のパルス導
入後にパルスレーザによって伝送される放射の光路内に配置される波長弁別器も
備え、該波長弁別器が波長λdの放射だけを通すようにしたことを特徴とする。
パルスレーザからの放射は信号パルス列のパルス導入後に波長弁別器を通過さ
せて、伝送すべきディジタル信号のディジタルの“0”とディジタルの“1”と
をはっきり区別するのが好適である。実際にはλdとは異なる波長の光も伝送媒
体を通過する。
波長弁別器を調整するのに2つの異なる方法がある。その第1の方法は、波長
がλdの光だけを通し、他の波長の光は全て阻止する方法である。この場合には
、元の信号パルス列のパターンが直接引き継がれる。
本発明によるユニットのさらに他の例では、前記ユニットが、パルスの導入後
にパルスレーザによって伝送される放射の光路内に配置される波長弁別器も備え
、該波長弁別器が波長λdの放射だけを阻止するようにしたことを特徴とする。
この場合には、波長がλdの光を阻止し、他の全ての光を通すようにする。こ
の方法では、元の信号パルス列のパルスパターンとは相補的なパルスパターンが
波長弁別器の出力端子に発生する。しかし、この後者の方法では、弁別器の選択
波長、即ち弁別器が通す光の波長がパルスレーザの元の波長に等しく、弁別器及
びパルスレーザを互いに比較的接近して位置させるから、弁別器の波長に同調さ
せるのが簡単であると云う利点がある。
本発明によるユニットを伝送媒体の中間ステーションとして用いる場合には、
第1の方法が好適であり、これは信号パルス列の波長を伝送媒体全体にわたり同
じ波長に維持するのが望ましいからである。本発明によるユニットを受信機に用
いる場合には、第2の方法を適用するのが好適であり、これはこの場合には波長
弁別器の調整が簡単となるからである。
本発明は光伝送システムに使用するのに好適な受信機にも関するものである。
この受信機は、前述したような信号パルスを再生する光学ユニットを備えている
ことを特徴とする。
再生後の弁別は波長に基いて行なうから、この場合にはユニットに波長弁別器
を設けて、検出誤りが最少となるようにする。
本発明は送信機及び受信機を具えている光伝送システムにも関するものであり
、この光伝送システムは前述したような信号パルスを再生する少なくとも1個の
光学ユニットを送信機と受信機との間に配置したことを特徴とする。
伝送媒体に信号パルスを再生する1個以上の光学ユニットを設けることによっ
て伝送距離を著しく長くすることができる。
送信機及び受信機と、これらの間に配置される伝送媒体とを備えている光伝送
システムの他の例は、少なくとも受信機に前述したような光学的信号再生ユニッ
トを設けたことを特徴とする。
受信機に到達した信号パルス列は、検出する前に、伝送中に生じた分散、タイ
ムジッター及び可変減衰の影響をかなり減らすように先ず再生する必要がある。
図面の簡単な説明
図1は光信号再生ユニットを設けた従来の伝送システムの一例を線図的に示し
たものであり、
図2a及び図2bは本発明による光信号再生ユニットの2つの実施例を線図的
に示したものである。
図1に示した伝送システム1は光送信機3及び光受信機5を備えている。送信
機3と受信機5との間には伝送媒体7が配置されている。伝送すべきディジタル
電気信号Se,tは光送信機3に供給される。この信号は送信機3にて光パルスSo ,t
に変換される。送信機3の出力端子は伝送媒体7、例えば光ファイバの入力端
子に接続され、この光ファイバの出力端子は受信機5の入力端子に接続される。
伝送媒体7を経て伝送された後に光パルスは受信機3にてディジタル電気信号Se,r
に再変換され、この電気信号は受信機5の出力端子に得られる。
光伝送システムがめざす目的は、特に伝送距離を長くすることにある。しかし
、一般に送信機3によって伝送すべき光パルスパターンのパルスは種々の波長成
分を有する放射を含んでいる。伝送媒体は一般に分散性であり、即ち伝送媒体7
での各波長に対する遅延時間が異なるため、パルスの種々の波長成分が異なる瞬
時に受信機5に到達することになる。従って一般にパルスの拡大化が生じ、これ
は伝送媒体の長さが長くなるにつれて増大する。
長い伝送距離を実現するのを妨げている他の現象は、パルス周期に対してパル
ス位置が正確に定まらなくなることにある。この現象はタイムジッターと称され
る。これは伝送媒体の不安定性が時間軸に沿う信号パルスの位置に変動を来たす
ことに起因している。一方、クロック信号、換言すれに、到達する信号パルスを
受信機にて検出する反復時間は一定である。実際上、クロック信号は信号パルス
列の多数のパルス周期の平均値として決定される。伝送ラインの不安定性に起因
する、時間に対する信号パルスのばらつきのために、関連する信号パルスとクロ
ック信号のパルスとが一致しなくなり、受信機に誤った情報を持たらすことにな
る。
さらに、データ信号は伝送中に伝送媒体の不安定性により可変的に減衰するた
め、信号パルス列のパルス振幅に変動が生じる。
分散、タイムジッター及び可変減衰のために伝送媒体を経て伝送される信号パ
ルス列が劣化するのを抑えるために、伝送媒体には少なくとも1個の信号再生ユ
ニット9を設けることができる。図1の光伝送システム1には僅か1個のユニッ
ト9を示してあるだけである。実際には伝送媒体7に複数のユニット9を互いに
等距離離間して配置する。
パルスレーザ11は利得切換えダイオードレーザとするのが好適である。斯種
のレーザでは電流パルスをダイオードレーザに供給して、このレーザにより光パ
ルスを伝送する。
本発明は新規の光信号再生ユニットを提供する。図2aはこのユニットを図式
的に示している。ユニット9はパルスレーザ11を具えており、これには縮退光
信号パルス列S1が例えば前面ミラー13に入射される。パルスレーザ11のパ
ルス周期Tは信号パルス列S1の変調周期に等しくし、これら2つの信号を既知
の方法にて互いに同期させる。再生すべき信号パルス列S1の波長はλdとする。
パルスをパルスレーザにて形成する瞬時に、E(Pm)>E(LPi)の関係が成
立する場合に、信号パルス例S1の1つのパルスをパルスレーザ11に入れるこ
とによりパルスレーザに次のパルスを波長λdで供給させるようにする。なお、
E(Pm)は当該瞬時にパルスレーザ11に導入する信号パルス列S1の1つのパ
ルスの放射エネルギーであり、E(LPi)は当該瞬時にパルスレーザ11にて
形成される放射エネルギーである。パルスレーザ11の原スペクトル、一般に多
モードスペクトルは単一モードスペクトルに変換され、この波長は、信号パルス
列S1のパルスとパルスレーザ11からのパルスとの間の相対的なタイミングが
上述したような関係を満足するようなものであれば、導入される放射の波長に等
しくなる。従って、パルスレーザ11は伝送すべきデータ信号におけるディジタ
ルの“1”を表す光パルスの波長だけを変換する。パルスレーザ11にてパルス
を発生させる前の時間間隔(この時間間隔内にて信号パルス列のパルスを導入さ
せる)は約100psecである。パルスレーザからのパルスの強度及びパルス形状
は信号パルス列の導入によっては変化しない。しかし、波長は信号パルス列の波
長を引き継ぐ。従ってパルス導入後のパルスレーザ11の放射は、波長λdの再
生信号パルス列S2を含み、これはパルスダイオードレーザ11からのパルスの
強度及び形状を有する。この信号パルス列S2は裏面ミラー19にて取出してか
ら、伝送媒体7によりさらに伝送することができる。
ユニット9にはさらに、種々の波長の放射と、パルスレーザ11によって供給
される波長がλdの放射とを区別するための波長弁別器15を設けることができ
る。
上述したような光信号再生ユニット9は、パルス形状の劣化が誤った検出をま
ねかないようにするために、到達した信号パルス列を1個以上の検出チャネルに
伝送する前にこの信号パルス列を再生するための受信機にて有利に用いることも
できる。この場合にはユニット9にさらに波長弁別器15を設けて、パルス導入
後にパルスレーザ11の再生パルス列S2にて表されるディジタルの“0”とデ
ィジタルの“1”とをはっきり区別するようにすべきであり、これはこの場合の
検出が波長に基いて行なわれるからである。
波長λdの放射は2つの異なる方法で区別することができる。第1の方法は、
弁別器の選択波長、即ち弁別器が通す波長が伝送すべき信号パルス列の波長(λd
)に等しくなるようにする。この場合には、波長がλdで、再生前の元の信号パ
ルス列のパルスパターンに等しいパルスパターンを有する信号パルス列が弁別器
の出力端子に発生する。この方法は、ユニット9を伝送媒体にて用いる場合に好
適であり、これは伝送すべき信号パルスに対して伝送媒体全体にわたり波長を同
じに維持するのが望ましいからである。
第2の方法は弁別器の選択波長をパルスレーザの本来の波長に等しくすること
である。この場合には、波長がλdの放射が阻止されて、元の信号パルス列に対
して相補的な信号パルス列が弁別器の出力端子に発生する。この第2の方法の利
点は、弁別器及びパルスレーザが互いに接近しており、又元の信号パルス列の波
長λdが送信機のレーザによって決定されるために、弁別器をその選択波長に容
易に同調させることができるということにある。この方法は本発明によるユニッ
トを受信機に用いる場合に好適である。
図2bは本発明による光信号再生ユニット9の他の例を示す。この場合には、
パルス導入後のパルスレーザからの放射を、このパルスレーザ11の前面ミラー
13から出射させる。
パルスレーザ11は、モードが再生すべき信号パルス列の波長に応じて適合す
るファブリペロー共振空胴を有するダイオードレーザとするのが好適である。こ
の場合には放射がパルスレーザ11に最適に結合される。