【発明の詳細な説明】
角膜の屈折特性を変更するためのデバイス発明の分野
本発明は、医療技術一般の分野に属し、特に、眼の角膜の湾曲を変化させるこ
とによって視覚問題を矯正するためのデバイスおよび方法に関する。このデバイ
スは、角膜内に挿入され、角膜の湾曲半径および/または非球面形状(aspheric
shape)をデバイスの円錐角(cone angle)の関数として変化させる、角膜実質内リ
ングである。発明の背景
眼の形状異常は、視覚障害を引き起こし得る。軸性遠視(「farsightedness」
)は、眼球内の前後距離が短すぎる場合に起こる。屈折性遠視は、角膜の湾曲が
通常よりも小さいために正常な角膜よりも平らである場合に起こる。これらの場
合には、眼から20フィートを超えて発する平行光は網膜より後ろで焦点を結ぶ。
逆に、眼球の前後距離が長すぎる場合、軸性近視(「nearsightedness」)が起
こる。角膜の湾曲が大きすぎる場合、屈折性近視が起こる。これらの場合には、
眼に入射する平行光の焦点は網膜の前に生じる。乱視は、平行光線が眼の内部の
一点に焦点を結ばずに、経線によって角膜の湾曲が異なるために焦点が変わる場
合に起こる状態である。このため、光は異なる距離に屈折され、異なる領域で焦
点を結ぶ。ある程度の乱視は正常であるが、乱視が著しいときには、矯正しなけ
ればならないことが多い。老眼は、眼が焦点距離を変化させる能力を失う結果と
なる、年齢に起因する状態である。
遠視、近視、老眼、および乱視は、通常は眼鏡またはコンタクトレンズにより
矯正される。このような障害を矯正するために外科的な方法が文献に引用されて
おり、これらの方法としては、放射状角膜切開術(例えば、米国特許第4,815,46
3号および同4,688,570号を参照のこと)、ならびにレーザ角膜切除(例えば、米
国特許第4,941,093号を参照のこと)が挙げられる。これらの障害を矯正する他
の方法として、眼の角膜実質にポリマーのリングを移植して角膜の湾曲を変える
方法がある。ポリメチルメタクリレート(PMMA)リング、同種移植片角膜組織、
お
よびヒドロゲルの移植に関する以前の研究は、十分に文献に記載されている。リ
ングデバイスの1つとして、スプリットリング(split ring)を角膜の実質層に切
開された導路(channel)中に挿入させるリングデザインが挙げられる。このデバ
イスは、最小限の侵襲性の切開を使用し、この切開部を介して、移植用導路の作
製ならびに移植片の挿入および調節がなされる。デバイスの調節は通常、リング
のサイズまたは直径の調節を包含する。
米国特許第4,452,235号は、角膜湾曲の調整のための方法および装置を記載し
ている。この方法は、スプリット端調整リング(split end adjusting ring)の一
端を眼の角膜に挿入し、そしてリングをその端部が合うまで円形の通路内を動か
すことを包含する。その後、眼の形状が所望の湾曲を得るまで端部を互いに対し
て調節し、角膜の所望の湾曲を維持するため、端部を固定するように取り付ける
。
参考としてその全体が援用されるPCT/US93/00059号にも、眼の屈折矯正のため
の方法が記載されている。角膜の湾曲を変えるために、様々な厚みの角膜実質内
リングが角膜実質中に挿入される。
本発明は、様々な円錐角の角膜実質内リングの使用することによって、眼の屈
折調節のために角膜の湾曲を変化させることを包含する。発明の要旨
本発明は、典型的には眼の視力を改善するための目的で、眼の角膜の湾曲およ
び/または非球面形状を変化させるための、角膜実質内リング(ICR)である。I
CRは、ポリマー製スプリットリングであり、角膜を実質的に囲む(encircle)よう
に調節される。ICRは、望ましくは約0.05mmと0.60mmとの間の厚みを有し、約22.
5°を超える円錐角を有する。円錐角は、眼の開始湾曲およびICRの厚み、ならび
に所望の非球面形状のタイプに基づいて選択される。
さらなる局面において、本発明は、さらに典型的には眼の視力を改善するため
に眼の角膜の湾曲を変化させる方法である。この方法は、望ましくは約0.05mmと
0.60mmとの間の厚みを有し、約0°と50°との間の円錐角を有する角膜実質内リ
ングを角膜実質内に挿入することによって、角膜湾曲半径の増大、および/また
は角膜の非球面形状の変化を生じさせることを包含する。このような方法は、近
視、老眼、および乱視の治療に有用であり得る。図面の簡単な説明
図1は、眼の水平断面の概略図である。
図2は、角膜の種々の層を示す、眼の前部の概略図である。
図3は、眼の概略図であり、平均角膜湾曲半径および角膜の非球面形状を示す
。
図4は、近視の眼の概略図であり、平均角膜湾曲半径および角膜の非球面形状
を示す。
図5は、本発明のICRの平面図である。
図6は、本発明のICRの断面図である。
図7は、様々な厚みを有するICRに対して用いられる円錐角「N」を表すグラ
フである。
図8A、9A、10A、11A、12A、13A、および14Aは、角膜地図であり、様
々な厚みを有する円錐角34°のICRを、死体の眼に移植したときの角膜の地形の
変化を示す。図8B、9B、10B、11B、12B、13B、および14Bは、角膜地図
であり、90°離れた2つの異なる平面で観察したときの角膜の地形の変化を示す
。
図中の同様の要素は、同一の参照符号によって示される。発明の実施の態様
本発明のデバイスおよび方法の詳細を説明する前に、デバイスと眼との機能関
連性を認識するために、眼の生理学の簡単な説明が必要である。
図1は、角膜(12)を表す前部の膨らんだ球部分を有する球体に似た眼の眼球
(11)を有する眼の水平断面を示す。
眼の眼球(11)は、感受性を有する網膜(18)に到達する前に光が通過しなけ
ればならない種々の透明な媒体を包む3つの同心円の被覆からなる。最も外側の
被覆は、線維性の保護部分であり、その後ろの6分の5が白く不透明で、強膜(
13)と呼ばれ、そして前面に見える所はときに白目と呼ばれる。この外側の層
の前部の6分の1は、透明な角膜(12)である。
中間の被覆は、主として血管性および栄養性の機能を果たし、そして脈絡膜(
14)、毛様体(16)、および虹彩(17)から構成される。脈絡膜(14)は、一般
には網膜(18)を維持するように機能する。毛様体(16)は、水晶体(21)の懸
垂および水晶体の調節に関連する。虹彩(17)は、眼の中間の被覆の最前部であ
り、そして正面に配置している。これは、カメラの絞りに対応する薄い円盤であ
り、そして瞳孔(19)と呼ばれる円形の開口部がその中心近くに開いている。瞳
孔の大きさは変化して、網膜(18)に届く光量を調節する。これはまた収縮して
、球面収差を少なくすることにより焦点をはっきりさせる調節機能を行う。虹彩
(17)は、角膜(12)と水晶体(21)との間の空間を前眼房(22)および後眼房
(23)に分ける。被覆の一番内側の部分は網膜(18)であり、それは視覚的印象
の真の受容部分を形成する神経要素からなる。
網膜(18)は、前脳からの派生物として発生している脳の一部であり、それは
脳の網膜部分と前脳とを接続する線維路として作用する視神経(24)を有する。
杆体および錐体の層は、網膜の前壁の色素上皮の真下にあり、物理的エネルギー
(光)を神経インパルスに変換する視覚細胞または光受容体として作用する。
硝子体(26)は、眼球(11)の後部の5分の4を占める透明な膠状の塊である
。硝子体は側面で毛様体(16)および網膜(18)を支えている。前面の受け皿の
形をしたくぼみは、水晶体を収容する。
眼の水晶体(21)は、虹彩(17)と硝子体(26)との間に位置する水晶のよう
な外観の透明な両凸体である。その軸径は、著しく変化して調節機能を行う。毛
様体小帯(27)は、毛様体(16)と水晶体(21)との間を通る透明な線維からな
り、水晶体(21)を適切な位置に保ち、そして水晶体に対して毛様体筋が作用し
得るようにする。
再び角膜(12)について言及するが、この最も外部の線維質の透明な被覆は、
時計皿に似ている。その湾曲は、眼球の残りの部分より幾分大きく、そして本来
理想的には球状である。しかし、角膜がある経線において別の経線より湾曲して
いることが多く、乱視を生じる。角膜の中心の3分の1は視覚帯と呼ばれ、角膜
が外縁に向かって厚くなるように、それの外側に向かってわずかな平坦化が生じ
ている。眼の屈折の大部分は、角膜を通して起こる。
図2は、眼球の前部のより詳細な図面であり、上皮(31)を構成する角膜(12
)の種々の層を示す。その表面の上皮細胞が機能して、角膜(12)の透明度が維
持される。これらの上皮細胞は、グリコーゲン、酵素、およびアセチルコリンに
富み、そしてそれらの活性は角膜小体を調節し、角膜(12)の実質(32)の薄層
(lamellae)を介して水分および電解質の輸送を制御する。
ボーマン(Bowman)膜またはボーマン層と呼ばれる外境界膜(33)は、角膜の上
皮(31)と実質(32)との間に位置する。実質(32)は、互いに並列した線維帯
を有する、角膜全体にわたる薄層から構成される。線維帯の大部分が表面と並行
しているのに対し、いくつかは傾斜しており、特に前傾している。内境界膜(34
)はデスメー(Descemet)膜と呼ばれる。それは、実質(32)とはっきり区別され
る強い膜であり、そして角膜の病理学的プロセスに対して抵抗性を示す。
内皮(36)は、角膜の最も後部の層であり、細胞の単一層からなる。縁(37)
は、結膜(38)と、一方は強膜(13)との、他方は角膜(12)との間の遷移帯で
ある。
図3は、湾曲平均球面半径(41)を有し、正の(positive)非球面形状を有する
角膜(12)を有する眼の眼球を示す。「湾曲平均球面半径」という語は、眼の縁
近くの角膜の辺縁(periphery)(45)で、中心(46)を有するポイントによって
規定された円の半径を意図する。「正の非球面形状」という語は、その中心(46
)から角膜の前部中心までの距離(47)が湾曲平均球面半径より大きい、すなわ
ち、角膜の前部表面が、中心(44)から辺縁(45)に進むにつれて平坦化するこ
とを意味する。図3に示すように、平行光線が角膜表面を通るとき、平行光線は
角膜表面によって屈折され、最終的には眼の網膜(18)近くに集められる。図3
の図では、この説明のために、眼の水晶体またはその他の部分の屈折効果を考慮
していない。
図4に示す眼は近視である。なぜなら、角膜の辺縁からの光線は屈折して、硝
子体中の網膜表面より前の点で焦点を結ぶからである。さらに、図4に示す眼は
、図3に示したものと同じ非球面形状を有していない。中心(46)から角膜の前
部
表面までの距離(47)は、湾曲平均球面半径(41)とほぼ同じかまたはそれ未満
であり、従って角膜は、中心(44)から辺縁(45)にかけて平坦化せず、むしろ
その中心でプラトーになる(plateaus)か、あるいは落ち込んでさえいる。もし、
ICRが図4に示す角膜に移植されれば、もはや平坦化した角膜表面によって屈折
された光線は、より小さい角度で屈折し、直接網膜上などのより離れた点に集光
する。さらに、適切な円錐角を有するICRを選択することによって、眼は、図3
の眼に示されるものと同様の、より正の非球面形状を獲得することが可能になり
得る。
図1〜4の背景的説明を踏まえて、本発明のデバイスおよび方法は、眼の視力
を改善するために角膜の円弧(annular chord)の少なくとも一部を調節すること
によって、湾曲半径の減少および/または角膜形状の変化をはかることを理解す
べきである。本発明者らは、前部角膜表面の形状が、様々な「円錐角」を有する
ICRを用いることによって調節され得ることを見出した。ICRの円錐角「N」を、
図6に角Nとして示している。円錐角「N」は、ICRが置かれている(rests on)
平坦な表面の平面と、この平坦な表面に置かれている断面の点およびICRがこの
平坦な表面に置かれている点から最も遠い断面の点の間に引かれた線との間の角
度として定義される。ここで言及している断面とは、ICRの直径を通って切断さ
れ、上記平坦な表面に対して90°の角をなす断面である。
以前には、円錐角Nは、約22.5°に等しい固定値が適切であると一般に考えら
れていた。この角度は、設置されたICRの前部表面において角膜前部表面に対し
て一般に接線方向(tangential)になるものとして選択された。本発明者らは今や
、円錐角を変化させることによって、中心から角膜の辺縁まで進む角膜の湾曲半
径の変化率が、選択された円錐角および角膜の自然形状に依存して、図3に示す
正の非球面形状にほぼ一致し得る非球面プロフィールを角膜が得るように調節さ
れ得ることを見出した。円錐角Nは、22.5°より大きく、好ましくは、約23°と
50°との間であり、好ましくは約23°と35°との間である。このようなリングを
、例えば角膜の弧(chord)から約8mmの距離に設置すれば、角膜の湾曲半径を
調節するための手段が提供され、視力が改善される。他の設置は、移植される個
々
の眼の物理的寸法に依存する。
所望の矯正的屈折量に応じてリングの厚みを選択することにより、角膜および
他の眼の構成物によって屈折された光線は、網膜上で直接焦点を結ぶようにさせ
られ得る。円錐角Nは、リングの挿入以前の眼の非球面形状を維持するように選
択され得る。他の場合には、円錐角Nは、眼の非球面形状を変更するように選択
され得る。
図5は、本発明により作製された望ましいICRの一例を示す。ICRは、分割され
た端部を有する一般に円形の部材から構成される。材料は、それが角膜組織と生
理学的に適合し得るような性質を有さなければならない。例示的な材料としては
、商品名PERSPEX CQTM(Imperial Chemical Company,England)で販売されている
プラスチック系材料が挙げられるが、その他多くの生体適合性ポリマー(例えば
、これらに限定しないがテフロン、PMMA、およびポリスルフォン)が、本発明に
おいて有用である。リングの容認可能な断面形状の一つとしては、図6に示され
る六角形形状があり、一般に、点から点(寸法「x」)までが約0.5mm〜2.0mmの
寸法を有し、そして厚み(寸法「y」)が約0.05mm〜0.60mmの寸法を有する。他
の断面形状(例えば、これらに限定されないが曲凸(ovoloid)および矩形形状)
のリングもまた、本発明において有用であり得る。
眼が近視でない場合においても、本発明の方法は、角膜中央の湾曲半径および
角膜の非球面形状を変化させるために有用であり得る。一般的に言えば、ICRの
厚みを変えずにより平坦な角膜中央湾曲を得ることが望ましい場合は、より大き
な円錐角度(例えば、25°よりむしろ34°)を有するICRが移植される。しかし
、ICR挿入以前に存在する非球面形状を維持することが望ましい場合、特にICRの
厚みが大きくなり、眼の湾曲が全体に平坦になるほど、適切な円錐角を有するIC
Rを用いなければならない。適切なバランスの(coordinated)円錐角と関連するIC
R厚とを有するICRの指針例を図7に示す。このようなリングを「理論的43ジオプ
トリ」の眼に挿入すると、眼の非球面性を顕著に変更することなく、-0.5ジオプ
トリと-13.5ジオプトリとの間に矯正される。しかし、円錐角と厚みとの関係は
、眼によって異なり得る。なぜなら、眼の最初の直径および角膜湾曲もまた異な
り
得るからである。図7によれば、ICRの厚みが、例えば0.20mmであれば、円錐角
は約28°と34°との間であり、0.25mmであれば、円錐角は約27.5°と33.5°との
間であり、0.30mmであれば、円錐角は約27°と33°との間であり、0.35mmであれ
ば、円錐角は約26°と32°との間であり、0.40mmであれば、円錐角は約25.5°と
31.5°との間であり、0.45mmであれば、円錐角は約24.5°と30.5°との間であり
、0.50mmであれば、円錐角は約24°と30°との間であり、そしてICRの厚みが0.5
5mmの場合、円錐角は約23.5°と29.5°との間である。
本発明の近視矯正のための方法では、医師が患者の視力の改善に必要な矯正的
屈折量を決定する。必要矯正的屈折の決定から、医師は、所望の角膜湾曲を得る
ために適切な厚みおよび円錐角を有するICRを選ぶ。厚みは約0.05mmと0.60mmと
の間であり、円錐角は0°と50°との間であり、好ましくは約18°と50°との間
、または約23°と50°との間、または約23°と35°との間である。リングは、本
発明者らが過去において、このような設置に適していると説明した任意の方法に
より、角膜実質の内薄層領域中に設置され得る。特に望ましいのは、本明細書中
でその全体を参考として援用するPCT/US93/03214号に示されるプロセスと、それ
に関連する装置である。一般に、リングは以下の方法で設置される:小さな直径
方向の切開部が、リングが最終的に角膜周りに設置される半径において設けられ
る。スプリットリング形態であり、角膜実質中に層間導路またはトンネルを形成
するのに適した先端を有する切開器(dissector)を、その小さな切開部に導入し
、一般に円形の導路を角膜周りに完全に形成するような様式で回転させる。次い
で、切開器を反対方向に回転させ、こうして形成されたトンネルから引き抜く。
次いで、ICRを円形導路に導入する。乱視および老眼の治療にも同様の方法論が
用いられる。
さらなる近視矯正方法においては、医師が、患者の視力の改善に必要な矯正的
屈折量を決定し、この決定から、所望の角膜湾曲半径を得るために適切な厚みを
有するICRを選ぶ。さらに、ICRの円錐角は、非球面形状を変化させるように選択
され、角膜が中心から辺縁にかけてより平坦化する。円錐角および厚みは、上記
説明の通りである。リングは、角膜実質の内薄層領域内に上記のように設置され
得る。
さらに別の近視矯正方法においては、医師が、患者の視力の改善に必要な矯正
的屈折量を決定し、この決定から、所望の角膜湾曲半径を得るために適切な厚み
を有するICRを選ぶ。さらに、円錐角は、眼の非球面形状をICRの移植以前に近く
維持するように選択される。やはり、リングの円錐角および厚みは上記説明の通
りであり、リングは、角膜実質の内薄層領域内に上記のように設置され得る。
さらにもう一つの眼の矯正的屈折方法においては、特定の非球面形状を得る、
または維持することが望ましい場合、特定の厚みおよび円錐角のICRを移植し、
例えばKerametrics Class II角膜表面アナライザを用いて非球面形状が測定され
得る。この機器は、角膜表面を特定の大きさの球面形状からの偏差に換算して測
定する。図8A、9A、10A、11A、12A、13A、および14Aにおいて、球体を
測定すると、丸みを帯びたプラトーまたは「台地(mesa)」を有するグラフが得ら
れる。球形のベースラインからの偏差は、このプラトーからの変位として三次元
表現で示される。図8B、9B、10B、11B、12B、13B、および14Bは、ベー
スラインの「球」の形状と球形のベースラインからの偏差との両方を二次元表現
で示している。測定された非球面形状が所望の通りでない場合は、ICRは除去さ
れ、適切な円錐角を有するICRが移植される。
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを意図し、本発明をいかなる手
段で制限するものでもない。以下の各実施例において、ICRの断面形状は六角形
であり、ICRの端部は接合されていない。
実施例1
本実施例は、ICRの厚みと円錐角との間の関係、および同一の円錐角で様々な
厚みを有するICRを眼に移植した場合の前部角膜表面形状の変化を示している。
ICRの円錐角の効果から生じる角膜地形(topography)を規定するために、厚み0
.25mm、0.30mm、0.35mm、および0.40mmを有し、かつ一定の円錐角34°を有するI
CRを腫脹減退(deturgesced)した死体の眼に移植した。ICR移植前後の眼の角膜地
形を、Kerametrics Class II角膜表面アナライザを用いて測定した。このアナラ
イザは、レーザホログラフィック干渉法を用いて、角膜地形を測定する。
図8〜12AおよびBは、様々な厚みのICRの移植前後の眼の角膜地形を示して
いる。図8Aは非球面地形を三次元で示し、図8Bは90°離れた2つの異なる平
面で観察した場合の地形を示している。両図とも、眼の地形を、ICR移植以前の
球面形状からの偏差として示している。図8Aの右上部から明らかなように、眼
は非対称な非球面形状を有しているが、角膜湾曲が中心から辺縁に向かって概し
て平坦化している点において正常である。
図9Aおよび9Bは、0.25mmの厚みを有するICR移植後の眼を示している。非
球面形状は、湾曲が中心から辺縁に向かって平坦化している点において正常な非
球面形状と考えられる、本来の非球面形状に近く維持されている。
図10Aおよび10Bは、0.30mmの厚みを有するICR移植後の眼を示している。図1
1Aおよび11Bは、0.35mmの厚みを有するICR移植後の眼を示している。0.30mmの
厚みを有するICRおよび0.35mmの厚みを有するICRの両方の移植とも、やや湾曲が
小さいが容認可能な非球面形状が得られた。図12Aおよび12Bは、0.40mmの厚み
を有するICR移植後の眼を示している。これらの図は、中心から辺縁に向かって
平坦化せずに、図12Aに示す上方四分円中において膨らんでいる非球面形状を示
している。このような結果は、中心から辺縁に向かって平坦化する非球面形状を
作製するためには、34°を下回る円錐角を有するICRを用いなければならないこ
とを示している。
要約すれば、図8〜12AおよびBは、中央角膜湾曲の変化の度合いは、選択さ
れたICRの円錐角および厚みに依存して注意深く調整され得ることを示している
。
実施例2
本実施例は、ICRの厚みと円錐角との間の関係、および一定の厚みで種々の円
錐角に基づく前部角膜表面の変化を示している。
円錐角25°を有する厚み0.40mmのICRを、眼に挿入した。眼の角膜地形を図13
Aおよび13Bに示す。ICRの導入により、所望の非球面形状を作製した。25°か
つ0.40mmのICRを除去し、34°かつ0.40mmのICRに交換することにより、より平坦
な中央角膜を得た(図14Aおよび14B参照)。従って、中心から辺縁に向かって
より平坦化する非球面形状を作製するためには、より小さい円錐角を有するICR
がこの眼のために使用される。
医学、眼科学、検眼、および/または関連分野の当業者にとって明らかな上述
の発明の実施の態様の改変は、以下の請求の範囲の範囲内にあることが意図され
る。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C
Z,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU
,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,
LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,N
Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK
,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 スコル,ジョーン エイ.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94506,
ダンビル,ウッドランチ サークル 14
(72)発明者 プラウドフット,ロバート エイ.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 95051,
サンタ クララ,トレイシー ドライブ
3511