JPH09505603A - レセプター−リガンド−dna相互作用に係わる薬剤の設計 - Google Patents

レセプター−リガンド−dna相互作用に係わる薬剤の設計

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JPH09505603A JP7515280A JP51528094A JPH09505603A JP H09505603 A JPH09505603 A JP H09505603A JP 7515280 A JP7515280 A JP 7515280A JP 51528094 A JP51528094 A JP 51528094A JP H09505603 A JPH09505603 A JP H09505603A
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Abstract

(57)【要約】 候補リガンドのホルモン活性の程度がレセプター結合強度よりもDNAへの適合度と良好な相関関係があること並びにステロイド/甲状腺ホルモン/ビタミンA及びDファミリーのレセプターがDNAの物理化学的性質を変化させそして他の転写因子と協同してDNAへのリガンドの挿入を促進することが発見された。その結果、応答の大きさは、DNAへの挿入及び適合性に関係があるのでリガンドの構造の関数であり、そして、応答特異性はリガンドとDNAの両方に結合することによるレセプターの立体化学の関数である。これらの知見に基づいて、エストロゲンレセプターのようなレセプターに対する天然リガンドと比較して一層高い活性を有する薬剤を同定する方法を記載する。

Description

【発明の詳細な説明】 レセプター−リガンド−DNA相互作用に係わる薬剤の設計 関連出願のクロスレファレンス 本願は1993年11月26日に出願された出願第08/158,689号の一部継続出願であ り、この出願全体を引用により本願明細書に含める。 発明の分野 本発明は一般的には合理的な薬剤設計、より詳しくは本発明に従って製造され る薬作用発生団(pharmacophore)を使用する生物学的活性分子の設計に関するも のである。 発明の背景 何故天然に或る化学構造が存在しそして他の化学構造が存在しないのかは、最 初の有機天然物の特徴が明らかにされて以来、科学者によって繰り返し提起され てきた疑問である。また、任意の所定のクラスの有機分子内のどの構造的特徴が 生物学的活性に関与しているのかを解明することも同様に関心を集めている。歴 史的には、これら2つの疑問に対する満足のゆく回答が無いため、生物学的活性 分子の開発は、偶然の発見か又は多数の化合物の網羅的な合成及び生物学的試験 に委ねられてきた。このフラストレーションは、薬剤アゴニスト及びアンタゴニ ストの開発にしばしば時間がかかり、冗長で且つ費用のかかる製薬産業で特に顕 著である。 この状況は、酵素中の活性部位やレセプター中のリガンド結合部位の特徴決定 を含む最新の分子モデリング技術からより多くの情報が得られるようになるのに つれて、変化し始めている。過去15年の間に、分子モデルでなされた一連の発見 に基づいて別の手法が出現しており、このモデルでは生物学的に活性の小分子は 遺伝子構造と相補的な立体化学関係を有していることが見い出されている。この 手法は、ヘンドリー(Hendry)等に付与された米国特許第4,461,619号で最初に 記載され、そしてこれは引用により本願明細書に含める。この単純な分子モデリ ング技術は、ヘンドリー等、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.42:659〜670(1 992年); コプランド(Copland)等、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.46:451 〜462(1993年); ヘンドリー及びマーヘッシュ(Mahesh)、J.Steroid Biochem.M olec.Biol.41:647〜651(1992年); ウィタム(Witham)及びヘンドリー、J.Th eor.Biol.155:55〜67(1992年); ヘンドリー及びマーヘッシュ、J.Steroid Bi ochem.Molec.Biol.39:133〜146(1991年); ヘンドリー、J.Steroid Biochem .31:493〜523(1988年); レーナー(Lehner)等、Molec.Endocrinol.1:377〜3 87(1987年); ヘンドリー等、J.Steroid Biochem.24:843〜852(1986年); ウベ ロイ(Uberoi)等、Steroids 45:325〜340(1985年); ブランサム(Bransome)等 、J.Theor.Biol.112:97〜108(1985年); ヘンドリー等、Proc.Natl.Acad.S ci.USA 78:7440〜7444(1981年); 並びにヘンドリー等、Perspect.Biol.Med.27 :623〜651(1984年)(これらは全て引用により本願明細書に含める)に記載 されているような小分子と核酸間の構造関係に関する1977年に最初に報告された 観察から発展した。 全ての遺伝子の本質的成分は1本の十分に詳細の明らかにされたポリマー、即 ちデオキシリボ核酸(DNA)である。DNAは4種の考えられる塩基、アデニ ン(A)、チミン(T)、シトシン(C)又はグアニン(G)のうちの1つに結合し た糖−ホスフェート繰り返し単位から構成されるあまり複雑でない分子である。 遺伝子構造の単純性は二本鎖DNAのワトソン及びクリックの塩基対構造(Aと T及びCとG)と糖のD−デオキシリボースの絶対立体配置によって決定される らせんキラリティーにおいて更に明白である。遺伝子構造は多分、他の多数の化 学単位、例えばL−デオキシリボースのような他の糖立体異性体又はD−グルコ ースに関係のある糖相同体から構成され得るであろう。 遺伝子構造の産生物、即ちタンパク質も単純な遍在分子である。自然は、タン パク質を僅か20個の基本単位、即ちアミノ酸から構築することによってそれらの 構造を制限し、タンパク質のキラリティーはこれらアミノ酸のL−絶対立体配置 によって制約される。核酸のサブユニットの場合と同様に、タンパク質アミノ酸 に関して広範囲の構造代替物が考えられる。例としては所定のアミノ酸側鎖のキ ラリティーの変化(例えば、D−イソロイシン)、原子のパターンの再配列(例 えば、イソロイシンのt−ブチル異性体)又は原子の付加(例えば、ピペコリン 酸、プロリンの相同体)がある。 構造の制約はまた、低分子量の天然物の立体化学においても明らかである。特 に目立つのは生物学的に活性の小分子の数、大きさ、形状、元素組成及びキラリ ティーに対して自然が課している制限である。例えば、広く存在する神経伝達物 質のヒスタミン及びセロトニンは、ヘテロ原子及び/又は環パターンの位置又は 組成が変化した別の構造が一般的に天然には存在していない点で、ユニークであ る。同様に、多くの小分子量ホルモンは数が少なく、繰返し構造パターンを有し ておりそして単一の絶対キラリティーを有している。 天然に存在する小分子の構造に対する物理化学的制約が広く生じる起源は正に 、その生合成と生物活性の両方を支配するタンパク質、即ちそれぞれ酵素とレセ プターの構造にある。しかし乍ら、結局はこの立体化学的情報は遺伝子に含まれ ている。分子生物学の基本的テナントに従って、DNA内の情報は新たに合成さ れるDNA中に非常に正確に且つ忠実に複製される。上記情報はまたRNAにも 転写されそしてその後タンパク質に翻訳される。 しかし乍ら、この筋書きは明らかな矛盾を示している。遺伝子鋳型は、どのタ ンパク質及び小分子を合成するのか、および、どのタンパク質及び小分子が互い に相互作用するのかを最終的に指令するが、翻訳中の遺伝情報の無指向性の流れ はDNA構造が小分子の構造を認識しないでこの機能を行うことを示唆している 。DNAと直接結合しそして転写を阻止する或る種の抗生物質のような2、3の 例を除いて、小分子は遺伝子鋳型を認識しないか又は該鋳型と相互作用しないと 考えられている。更に、生合成される分子の構造は遺伝子の構造と関係がないと 考えられる。 生物学的に活性の天然物とDNA間の構造関係に関する初期の調査で、DNA 塩基対の二次元構造は、植物ホルモンのジベレリン酸、発癌物質のベンゾ[a]ピ レンオキシド、プロスタグランジンPGE2、麻酔薬のモルヒネ、ホルモンのエ ストラジオール、リボフラビンであるビタミンB12、神経伝達物質のセロトニン 、及び抗生物質のアクチノマイシンを含む多くのクラスの小分子と類似している ことが明らかになった。大きさと形状の類似性に加えて、多数の小分子は塩基対 間に水素結合が生じる位置にドナー/アクセプター官能基を有していた。塩基対 上に重ねて置いたとき、植物ホルモンのジベレリン酸、ステロイドホルモンのエ ストラジオール及びプロスタグランジンのような幾つかの化合物は二本鎖DNA の隣接鎖のホスフェート酸素の核間距離に類似した核間距離に隔てられたヘテロ 原子を有していた。これは、ステロイドの3及び17β位に結合した官能基で特に 明白であった。 三次元コーリー・ポーリング・コルタン(Corey−Pauling−Koltun)(CPK) 間隙充填モデルを使用して、多種の小分子に適応し得る部分的に巻き戻されたD NAの塩基対間に間隙があることが明らかになった。例えば、エストラジオール はDNAの塩基対間に挿入でき、そしてエストラジオールの3及び17β位のヒド ロキシル基は、DNAの隣接鎖のホスフェート酸素と水素結合を形成し得るよう に位置していた。テストステロンやプロゲステロンを含む他のステロイドも塩基 対間に立体化学的に挿入可能であった。各々の場合に、相補的ドナー/アクセプ ターの結合が形成されそしてステロイドは二重らせんのトポグラフィーと良好に 一致した。任意の非天然存在ステロイドエナンチオマーをDNA内に挿入しよう と試みると、ドナー/アクセプター結合を歪めるか又は形成できないという点で 不十分な適合(fit)が生じた、及び/又は上記分子の全体の形状がDNAのらせ んトポグラフィーと適合しなかった。 ホルモン活性を有する或る種の合成化合物をDNA内に適応させることもでき る。多くの場合に、ジエチルスチルベストロールのような合成化合物の適合は天 然のホルモンの適合と良く似ていた。哺乳動物のステロイドのプロスタグランジ ンに加えて、昆虫のホルモンのエクジソンと幾つかの植物ホルモンも立体化学的 挿入及び二重らせんによる「認識」が可能であった。植物ホルモンのジベレリン 酸の場合には、DNAのドナー/アクセプター位置に4つの立体特異的水素結合 を形成させることができよう。ステロイドと同様に、ジベレリン酸の天然存在エ ナンチオマーだけが二重らせんのトポグラフィーと一致した。 これらの研究から導き出される1つの結論は、DNAのホスフェート主鎖のヘ テロ原子と適合するヘテロ原子位置と塩基対鋳型の水素結合位置でカップリング した或る種の化学的形状が生物学的活性分子とDNA間の部分的又は完全な認識 を高めるということである。 DNAと多種の分子間でコンプレックスを形成することは可能であるが、アミ ノ酸は最初は塩基対間の間隙に対して明白な適応(accomodation)を全く示さなか った。アミノ酸から誘導される或る種の化合物、例えば神経伝達物質は関連部位 に適合する。 これらの関係は遺伝子構造に関連した立体化学理論として記載されてきた。立 体化学理論は、分子構造、機能、代謝及び生物学的活性に対する制約を最終的に 指令する核酸構造の固有の特徴として定義される。 有機構造を研究する手段として分子モデルを使用することは、コンピュータグ ラフィックスの出現により劇的に増加している。ボルマン(Borman)、Chem.Eng .News 70:18〜26(1992年)の総説にあるように、三次元のコンピュータ画面で 分子を見ることができるだけでなく、リガンドと酵素やレセプターのような種々 の巨大分子との相互作用を調べることも可能である。殆ど困惑するほどずらりと 並んだソフトウェアとハードウェアが現在利用可能でありそして実際主要な製薬 会社は全て薬剤設計専用のコンピュータモデル群を持っている。 薬剤設計の現代の方法には、或る分子と、或るレセプターに適するタンパク質 、例えばポリペプチドリガンド又は或るレセプターに適するステロイド、例えば エストロゲン若しくはプロゲステロンとの結合に焦点を当てた研究が含まれる。 同様に、基質と種々の酵素との相互作用に基づいて薬剤を設計することができる 。しかし乍ら大部分で、タンパク質の結合部位の特徴を決定することは困難であ った。タンパク質調節と遺伝子発現調節間のフィードバックを説明するために他 のメカニズムを係わらせなければならない状況が多数ある。 必要なのは所定の化合物の生物学的活性を正確に予測する方法である。この方 法は実施が容易で且つアゴニスト及びアンタゴニスト活性の両方を予測できなく てはならない。 発明の概要 本発明は薬作用発生団を使用して分子の生物学的活性を同定する方法である。 本発明によれば、分子は薬作用発生団の「適合(fit)」度を評価することにより スクリーニングされる。 本発明による方法を使用して、高い生物学的活性を有するか又は、例えばエス トロゲン及び抗エストロゲンを含むアンタゴニスト若しくはアゴニストとして有 用性を有する薬剤を同定することができる。この方法はまた次の目的、即ち核酸 、特にDNA内への化合物の適合性を予測するため、化合物の生物活性を予測す るため、化合物を毒性についてスクリーニングするため、分子の特定の部位に化 学的基を付加して代謝を促進するか又は薬剤をアゴニスト若しくはアンタゴニス トにするように設計するため、そしてレセプターのDNA結合領域の活性と良く 似た分子を創り出すために使用できる。 本発明には、薬作用発生団及び薬作用発生団の製造方法並びに所定の化合物の 生物学的活性の予測における薬作用発生団の使用も含まれる。本発明には薬作用 発生団を使用する生物学活性分子の設計も含まれる。 それ故、本発明の1つの目的は、生物学的活性分子を設計するために使用でき る方法を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、現存する化合物を毒性学的活性についてスクリー ニング及び/又は評価する方法を提供することである。 本発明の更にもう1つの目的は化合物の毒性を予測する方法を提供することで ある。 本発明のもう1つの目的は、特定の器官、組織及び細胞に対する化合物の毒性 を予測する方法を提供することである。 本発明の尚もう1つの目的は、ホルモン的、神経伝達、代謝物的、遺伝的、免 疫学的、病理学的、毒性的及び抗有糸分裂的活性を含むがこれらに限定されない 特定のタイプの生物学的活性を有する化合物を設計する方法を提供することであ る。 本発明の更にもう1つの目的は、エストロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲ ン、抗アンドロゲン、黄体ホルモン性、抗黄体ホルモン性、鉱質コルチコイド、 網膜様、ビタミンD様、甲状腺及び糖質コルチコイドの生物活性を含むがこれら に限定されない化合物の生物活性を予測する方法を提供することである。 本発明の尚もう1つの目的は、薬剤、ホルモン、神経伝達物質、アゴニスト及 びアンタゴニストのような化合物をより効率的且つ経済的に設計するために使用 できる薬作用発生団の創製方法を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、核酸と結合するレセプター分子の部分の分子モデ ルであるレセプター薬作用発生団の創製方法を提供することである。 本発明の尚もう1つの目的は、レセプターとは異なる親和性を有する核酸と結 合する分子を設計するために使用できるレセプター薬作用発生団を提供すること である。 本発明の尚もう1つの目的は、核酸と結合するリガンド薬作用発生団の周囲で 溶媒分子の三次元配列を示す薬作用発生団を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、核酸と結合するレセプター薬作用発生団の周囲で 溶媒分子の三次元配列を示す薬作用発生団を提供することである。 本発明の尚もう1つの目的は、レセプターの核酸結合ドメイン及びこのレセプ ターと結合しそして別の部位で核酸と相互作用するリガンド分子の三次元モデル である薬作用発生団の創製方法を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、他の薬作用発生団と結合してこれらの薬作用発生 団の生物学的活性を修正することができる分子の三次元配列を示す薬作用発生団 を提供することである。 本発明の更にもう1つの目的は、他の薬作用発生団と結合して酵素開裂部位を 設計することができる分子の三次元配列を示す薬作用発生団を提供することであ る。 本発明の上記目的及び他の目的、特徴並びに利点は、開示した実施態様の詳細 な説明及び下記請求の範囲を検討すれば明らかになろう。 図面の簡単な説明 図1は、DNAの空洞と、以下のステロイド/甲状腺/ビタミンA及びDリガ ンドに適応する番号付け部位の図である。テストステロン(1、7)、プロゲステロ ン(2、7)、アルドステロン(2、5、7及び9)、コルチゾル(2、3、4、5及び7)、エ ストラジオール(1及び6)、トリヨードチロニン(T3)(1及び6)、レ チノイン酸(6)、及び1,25−(OH)2ビタミンD3(1及び6)、これらは部位6又は 7のどちらと相互作用するのかに基づいて2つの群に分けられる。 図2は、DNA空洞(A)のコンピュータ作成間隙充填立体図であり、この空 洞はエネルギー計算によってDNA空洞に向けられた活性エストロゲンに適合し ており(B)、一方(C)はDNA内の空洞から取り出したエストロゲンの、薬作 用発生団の構築に使用される複合活性表面を示す。 図3は、薬作用発生団の構築に使用した活性分子の周囲にダミー原子(マゼン タ)を有する立体的な容積輪郭マップ(黄色)(A)、空の薬作用発生団(B)、薬 作用発生団内部で完全に適応されている非常に活性の高いエストロゲン3,11β,1 7β−トリヒドロキシ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−11−ニト レートエステル(以下、7α−メチルエストラジオール−11β−ニトレートエス テル、これはPeters等、J.Med.Chem.32:2306〜2310(1989年)で報告された )の適合性(C)、及び薬作用発生団の表面をかなり越えて伸びている不活性エス トロゲン 9β−エストラジオールの不十分な適合性(D)を示している。 図4は、エストロゲン(A)、アンドロゲン(B)、甲状腺(C)、抗エストロゲン (D)及び毒性(E)用の薬作用発生団の容積マップ(緑色の網目)とダミー原 子(マゼンタ)の立体図を示す。ダミー原子は毒性薬作用発生団容積マップでは 示されていない。 図5の左欄は、エストロゲン(A)、アンドロゲン(B)、甲状腺(C)、抗エスト ロゲン(D)及び毒性(E)用の薬作用発生団の容積マップ(緑色の網目)とダ ミー原子(マゼンタ)を示す。右欄は、左欄に対応する画像の直交図(90度回転 )を表している。 図6は、エストロゲン薬作用発生団に対する種々の化合物の適合度と相対的な 子宮向性(エストロゲン性)活性間の関係を示す。 図7は、薬作用発生団技術で設計した3つの別個の分子、SGI 100、SGI 1 01及びSGI 102の化学構造を示す。 付録1は、図4及び5で示した各薬作用発生団(エストロゲン、アンドロゲン 、甲状腺、抗エストロゲン及び毒性)の容積マップを示すデータファイル、名称 で示した各薬作用発生団のダミー原子を含む分子データベース、並びに本願で提 出 した4つのカラープリント(図2〜5)を含むファイルを有するQICコンピュ ータテープである。 発明の詳細な説明 多数の天然物は核酸と立体化学的相補性を示す構造を有しており、これらには アミノ酸、植物ホルモン、環状ヌクレオチド、プロスタグランジン、昆虫ホルモ ン、ステロイドホルモン、神経伝達物質、糖、ペプチドホルモン、甲状腺ホルモ ン、フェロモン及びビタミンが含まれる。顕著な例は、エストロゲンやプロゲス テロンのような哺乳動物のステロイドホルモンの全クラスで反復されるシクロペ ンタノフェナントレンモチーフ(motif)である。もう1つの例は、植物ホルモン のジベレリンクラスで明らかな8個のキラル中心を含有するカウレン(kaurene) 核である。 核酸の種々の立体配置及び配座の立体化学を試験するためには多数の方法があ る。例えば、シラスチック(Silastic)ポリマーモデルをコンピュータによる間 隙充填X線座標に基づいて構築して、部分的に巻き戻されたDNA/RNAコン プレックス、RNA−RNAコンプレックス、ent−DNA(L−デオキシリボ ースで作られたDNAの鏡像)及びDNAの脱プリン/脱ピリミジン部位の立体 化学を反映させることができる。これらの空洞によって、多数の分子の適合性(f it)の配列特異性が明らかにされる。脱プリン/脱ピリミジン部位は既知の遺伝 暗号に従ってアミノ酸に適応する。植物ホルモンのジベレリン酸は部分的に巻き 戻された部位5'−dTdA−3'、5'−dTdA−3'に最も良く適合し、哺乳動物 のステロイド/甲状腺ホルモンスーパーファミリーのメンバーは5'dTdG−3' 、5'−dCdA−3'に最も良く適合する。哺乳動物ホルモンの各クラスはDNA とのユニークな立体特異的ドナー・アクセプター水素結合を形成する。生物学的 活性の指標分子としてのこれらの空洞内での適合能力は生物学的活性の程度と相 関関係がある。天然存在キラル分子をent−DNA内に適合させることはできな い。しかし乍ら、ent−DNAはent−プロゲステロンのような未知の生物学的キ ラルエナンチオマーに適応する。 本発明によれば、コンピュータモデリングを使用して化合物と該化合物のらせ んDNA内の適合性との間の関係を調べる。本願明細書では二本鎖らせんDNA を参照して記載したが、二本鎖RNA及び/又はRNA−DNAハイブリッドに 同じ原理のほとんどを適用することができる。他に特記しない限り、本願明細書 で使用するとき、二本鎖RNAとDNAは均等物と考えるべきである。コンピュ ータモデリングを使用して分子の相互作用を見ることができ且つ所定の相互作用 のエネルギーを評価することができる。分子のコンピュータモデリングには多種 のソフトウェアパッケージを利用できるが、好ましいソフトウエアパッケージは 、種々の小分子量リガンドのDNA内へのドッキングを評価するためのシビル( Sybyl)ソフトウエア(バージョン 6.03、ミズーリー州セントルイスのTripos A ssociates)である。本願明細書に記載した実施例では、ソフトウエアはハード ウエアステレオ、即ちクリスタルアイズ(Crystal Eyes)を備えたシリコングラ フィックスインジゴエクストリーム(Silicon Graphics Indigo Extreme)(カ リフォルニア州サンラファエルのStereoGraphics)で作動させる。小分子の構造 は、英国ケンブリッジのランフィールド(Lanfield)Rd.のケンブリッジクリス タログラフィックデータベース(Cambridge Crystallographic Database)によ って得られる。そして、コンコード(Concord)プログラムによるか又はフラグ メントライブラリーから構築し、及び/又は存在するX線構造を修正し、続いて エネルギーの最小化をする。エネルギー計算は全て、ヘンドリー等、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.42:659〜670(1992年)及びヘンドリー等、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.39:133〜146(1991年)によって記載されたようにして 、水素に関して1.2Åのファンデルワールスパラメータを有するシビル(Sybyl)力 場を使用して行う。電荷は、ガスタイガー・ヒュッケル(Gasteiger−Huckel) 法を使用してσ及びπ結合を含めて計算する。種々の二本鎖ジヌクレオチド配列 の部分的に巻き戻されたDNA空洞は、塩基対間の水素結合の構造完全性を維持 し乍ら、DNAに関するワトソン及びクリックの標準B型から、糖−ホスフェー ト主鎖に沿って14の各ねじれ角をねじることによって構築される。糖の3'−endo デオキシリボース配座を使用しそしてコールマン(Kollman)電荷を計算する。 これらの制約の範囲内で、塩基対の巻き戻しの程度及び得られる分離度を種々の リガンドの幅に適応するように調整する試みがなされる。 各リガンドは、ドッキング手順を進めそして立体的歪みを最小にするためにフ ァンデルワールスドット、メッシュ及び立体的な間隙充填表面を使用してDNA の空洞内に挿入する。ホスフェート基の酸素をプロトンドナーとしてか又はアク セプターとして作用させ、そして任意の所定のリガンドの適合性が最大になるよ うに方向付ける。分子のドッキングは数回繰り返す。ヘテロ原子間の距離を相互 作用的に監視して、潜在的水素結合の方向及び距離を最適にする。所定のホルモ ンクラスの化合物の適合性を評価し乍ら、ホルモンに共通するドナー/アクセプ ター結合を有するDNA配列内に全ての候補リガンドを挿入するように試みる。 ドナー/アクセプターの関係は、官能基をリガンド上で適切に方向付けることに よって、例えばホルモンの適合性に最も良く似るように各構造の配座を調整する ことによって、更に最大にする。 DNA表面を用いて候補リガンドのファンデルワールス相互作用を最適にする 。力場を使用して、リガンドのドッキングから生じる好ましい最適エネルギー変 化を評価することによって各リガンドの相対的適合性を計算する。各リガンドを DNA内にドッキングさせ、そして立体的適合性をファンデルワールスエネルギ ーの変化から計算する。水素結合の適合性は、ドナー水素とアクセプターヘテロ 原子の変化を使用して静電エネルギーの変化から計算する。エネルギー変化を各 リガンドについて評価する。DNA内への所定のリガンドの挿入による負のエネ ルギー変化が大きければ大きいほど、適合性はより好ましくなりそしてコンプレ ックスはより安定になる。最適ドッキングは、適合性の増加がそれ以上観察され ないときに決定される。最も好ましいエネルギー変化を選択して各分子の相対的 適合性を比較する。各リガンドの全体的な適合性は、ファンデルワールスのキロ カロリー(kcal)及び静電エネルギーの変化を加えて評価しそしてこの適合性を 親ホルモンの適合性に対して正規化する。 生物学的活性構造の相補性 仮説に拘束されることは望むものではないが、リガンド結合レセプターによっ てホルモン応答遺伝子が調節されることが知られているステロイド/甲状腺スー パーファミリーのホルモンの作用メカニズムは小分子をDNA内に物理的に挿入 することによって媒介されると考えられる。先行技術は、リガンドがレセプター タンパク質の特異的な配座変化を生じさせ、そしてこれが順次、DNAと接触し て遺伝子を調節することを教示している。対照的に、本発明によれば、リガンド はレセプターが介在してDNA内に挿入される。これは、ホルモンの活性とエス トロゲンステロイドに対するレセプターの結合との間には相関関係がないと広く 報告されていることと一致する。エストロゲン構造−機能関係を広範に研究した ブルックス(Brooks)等、「ステロイドホルモン作用における最近の進歩(Rece nt Advaces in Steroid Hormone Action)」、ムドギル(Moudgil),V.K.編、443 〜466(Walther de Gruyter、ニューヨーク州、1987年)によれば、ステロイド によって誘発される標的細胞応答にはレセプター結合が必須である。しかし乍ら 、改変エストロゲンの親和性は応答の特性又は程度には直接関係がない。同時に 、レセプター不存在下でのDNAに対するエストロゲン及び他のステロイドの結 合は多数の研究者によって弱いと観察されている。これらには、塩基対間で容易 に移動することが予想されるフラットな植物エストロゲンのクメストロールの研 究が含まれる。簡単に言えば、ホルモンの応答を十分に説明するためには、ステ ロイドがレセプターか又はDNAのどちらかと別々に結合することでは十分でな いように思われる。 幾つかの証拠は、DNA内の塩基対間でかなり良好に適合することが示されて いる或る種の分子、例えばステロイドが、DNAとの相互作用は比較的弱いけれ ども強い生物学的応答を誘発することを示している。この概念は、リー(Lee) 等、J.Med.Chem.35:258〜266(1992年)によって報告されているように、D NA内へのエストロゲンの適合性と子宮向性活性間の相関関係を証明しているイ ンビトロ及びインビボ実験データ並びにエネルギー計算、例えば、強力な薬剤で はあるがDNAに弱く結合して作用する薬剤の発見につながる抗腫瘍剤の新規ク ラスに関する研究に基づいて支持されている。レセプターとの結合だけでは活性 を説明するのに不十分であるということは、エストラジオールよりかなり活性で ある強力なエストロゲン類似体、11β−アセトキシエストラジオールの結合が弱 いとの観察によって更に支持される。 一般的に、ホルモン活性の程度はレセプター結合と必ずしも良好に関連するの ではなくてDNA内への適合性と関係があるということを所与のものとすると、 ステロイドの作用態様はリガンドをレセプターとDNAの両方が認識する段階に 関与しているということになる。抗アンドロゲンの研究においてもこの結論に達 している。 ステロイドとそのレセプターの結合はホルモンの包括クラス(例えば、アンド ロゲンに対してエストロゲン)を認識する手段として役立つということは本発明 の1部として意図されており、一方DNA内でのステロイドの適合性のタイプ及 び程度は生物学的応答の大きさの決定に大いに関与する。ステロイド単独でレセ プターが存在しないとインビボ又はインビトロのどちらでもDNA内に適当に挿 入できないので、レセプターなしでは十分なホルモン応答を生じさせることはで きないであろう。DNAとの結合に基づくレセプターの潜在的に重要な役割は、 多分他の転写因子と一緒になって、巻き戻しの程度、ドナーか又はアクセプター のどちらかとして作用するヘテロ原子の能力並びに溶媒和のパターン及び程度を 含む、ステロイドの挿入を可能にするDNA内の部位の物理化学的特性を調節す ることである。このことは、デントン(Denton)等、J.Biol.Chem.267:7263 〜7268(1992年)によって報告されているように、エストロゲン及び抗エストロ ゲンの結合によるレセプターの表面疎水性の低下並びに特定のDNA配列に対す るエストロゲンレセプターの結合を高めるリン酸化によって更に支持されている 。 DNA内へのステロイドのレセプター介在挿入の過程には幾つかの段階が関与 している。例えば、エストロゲンの場合には、ステロイド−レセプターコンプレ ックスによるDNAの初期接触は、このレセプターに未だ結合しているA環を有 するステロイドの部分的に剥き出しのD環に関係があろう。この可能性はレセプ ター結合データの分析によって支持されている。ステロイドD環の17β−ヒドロ キシルの部分的挿入及び5'−dTdG−3'鎖との水素結合によるDNAの立体特 異的認識後に、完全な挿入及び両立体特異的水素結合の結合によって明白な二重 らせん内での認識が起きよう。ステロイドで観察されたDNAとの弱い結合は、 ステロイド/DNAコンプレックスが短期間存在しそして急速に元に戻ることを 示唆している。DNA内に種々に適応されている或る種のエストロゲンアンタゴ ニストはその部位内でより長く存在する相互作用を形成することができる。 核酸に対するリガンドのレセプター介在結合に関しては多数の考えられるシナ リオや示唆がある。例えば、エストロゲンレセプターを欠いている組織での或る 種の抗エストロゲンの有効性の欠如は一部には、アンタゴニストがDNAに輸送 され得ず、リガンドの挿入が起こらないことによるものであろう。エストロゲン に適応する部位の突然変異もリガンドの不適当な認識をもたらしそして遺伝子が アゴニスト又はアンタゴニストのどちらによってももはや適切に調節され得ない ことが予測されよう。二本鎖RNA及びRNA−DNAハイブリッドの空洞は5' −rUrG−3'、5'−dCdA−3'で種々のリガンド、例えばエストラジオールに適 応できるという観察によって示唆されるように、所定の化合物が作用するレベル は多数存在するであろう。 分子モデリング 分子モデリングは、立体写真ビューアーを備えたエバンスアンドサザーランド (Evans and Sutherland)PS390グラフィックスコンピュータを使用してシビ ル/メンジル(Sybyl/Mendyl)5.4(ミズーリー州セントルイスのTripos Associ ates)で実施した。ピペリジンジオンリガンドの構造は、コンコードプログラム によるか又はフラグメントライブラリーから構築し、続いてエネルギーを最小と することによって提供された。エネルギー計算は、シビル/メンジル力場及び水 素に関して1.2Åのファンデルワールスパラメータを用いて実施した。電荷は、 σ及びπ結合を含むガスタイグナー(Gasteigner)・ヒュッケル法を使用して計 算した。部分的に巻き戻されたDNAは、3'−endoデオキシリボース配座及びコ ールマン電荷を用いて構築した。この方法はヘンドリー等、J.Steroid Biochem .Molec.Biol.42:659〜670(1992年)、ヘンドリー等、J.Steroid Biochem.Mo lec.Biol.39:133〜146(1991年)及びヘンドリー等、J.Steroid Biochem.Mo lec.Biol.49:No.4〜6、269〜280頁(1994年)によって記載されており、そし てこれらの教示は全体を引用により本願明細書に含める。 リガンドはファンデルワールスドット表面及び立体ビューアーを使用してDN Aの空洞内に挿入してドッキング手順を進め、そして明白な立体的歪みを全て最 小にした。ヘテロ原子間の距離を相互作用的に監視して、潜在的水素結合の方向 と距離を最適にした。ドナー/アクセプターの関係は、官能基をリガンド上で適 切に方向付けることによって、例えば各構造の配座を調整することによって、更 に最大にした。候補リガンドとDNA表面とのファンデルワールス相互作用を最 適にする試みが行われた。力場を使用して、リガンドのドッキングから生じる好 ましい最適のエネルギー変化を定量化することによって各リガンドの相対的適合 性を評価した。立体的適合性はファンデルワールスエネルギーの変化から計算し 、水素結合適合性は、ドナー水素とアクセプター酸素の電荷を使用して静電エネ ルギーの変化から計算した。DNA内への所定のリガンドの挿入による負のエネ ルギー変化が大きければ大きいほど、適合性はより好ましくなりそしてコンプレ ックスはより安定になる。ドッキングは、適合性のそれ以上の増加が観察されな いときに完結した。最も好ましいエネルギー変化を選択して各分子の相対的適合 性を比較した。各リガンドの全体的な適合性は、ファンデルワールス及び静電エ ネルギーのキロカロリーの変化を加えそしてこの値を最も良く適合する分子の値 (100%)に対して正規化して評価した。ここで報告されたエネルギーは広く使 用される力場計算から誘導されたが、それらは実験的に導かれたのではないこと に注意すべきである。それ故、キロカロリーの絶対値は独立した実験的意義を有 していない。同時に、それらは候補分子のDNA内への相対的適合度の重要な指 標である。 間隙充填モデルを使用するこれまでの研究によって、3−フェニルアセチルア ミノ−2,6−ピペリジンジオンをDNA内の塩基対間に完全に挿入できそしてピ ペリジンジオン環のイミノプロトンとデオキシリボース−ホスフェート主鎖の負 に荷電したホスフェート酸素間で立体特異的水素結合を形成できることが示され た。コンピュータグラフィックスを使用した結果によってこの観察は確認された 。エネルギー計算によって、この化合物が、ホスフェートに対する立体特異的水 素結合(2.7Å)から生じる約−21.7kcalの静電エネルギーでDNA内に挿入さ れたとき、約−17.7kcalの好ましいファンデルワールス接触を有していることが 更に証明された。このリガンドの適合性の上昇は、フェニル環のパラヒドロキシ ル基を置換することによって得られた、この置換によって、上記ヒドロキシルと 隣接DNA鎖のホスフェート酸素との間に第2の水素結合を形成することができ た。第2の水素結合(2.64Å)による、エネルギー計算で評価される適合性の上 昇は静電エネルギーの−24.6kcalの追加で示された。3−フェニルアセチルアミ ノ−2,6−ピペリジンジオン骨格でなされた他の置換は、或るハロゲン化類似体 について正規化したエネルギー計算で示される適合性をあまり上昇させなかった 。 合成 非置換誘導体、3−N−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンの合 成はブルジンスキー(Burzynski)等の「未来の薬剤(Drugs of the Future)」10 :103(1985年)によって簡単に記載されており、そして所望の化合物の一般的 な製造方法として使用した。適当なフェニル酢酸をN,N−ジシクロヘキシルカ ルボジイミド(DCC)の存在下N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させてス クシンイミドエステルを得た。この活性エステルは物理的及び分光光学的特徴決 定用に単離できるほど十分安定であったが、エステルの大部分は精製しないで次 の反応に使用した。この活性エステルを重炭酸ナトリウムの存在下L−グルタミ ンと反応させてグルタミン誘導体を得た。しかし乍ら、分析試料を得るのが困難 であったため、粗製生成物を直接次の反応に使用した。活性エステルを製造する ために、グルタミン誘導体をDCCの存在下でN−ヒドロキシスクシンイミドと 再度反応させて活性エステルを得、そしてこれを精製しないで95〜100℃に加熱 して所望の2,6−ピペリジンジオンを種々の収量で得た。加熱処理中に化合物は ラセミ化した。 生物学的評価 これらの合成誘導体は、Nb2細胞における3−フェニルアセチルアミノ−2,6− ピペリジンジオンのIC50報告に基づいて4nMの濃度を使用して種々の細胞系 に対する増殖阻止効果を測定することによって生物学的効力を評価した。YAK リンパ腫細胞では、p−ヒドロキシ化合物が最も活性の誘導体であった。この化 合物、p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンは 、ヒト白血病(K652)細胞で試験したときも最も活性の類似体であった。K562 細胞での投与量応答比較によって、この化合物は試験した濃度範囲(10-5から 10-2M)に亘って非置換化合物より活性であることが示された。ラットNb2リン パ腫細胞のプロラクチン刺激増殖は、最大の活性を示すp−ヒドロキシ−3−フ ェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンを有する各化合物によって阻止 された。化合物p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジン ジオンはNb2リンパ腫細胞で試験した範囲(10-4から10-3M)に亘って3−フェ ニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンより活性であった。 親化合物p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオ ンと比較して最も活性の類似体p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2 ,6−ピペリジンジオンの増殖阻止に関する更なる分析はMCF−7(E−3)ヒト 乳癌細胞で実施した。3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンとp −ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンは共にエス トロゲン刺激細胞増殖を阻止した。9日目モデルで、p−ヒドロキシ−3−フェ ニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンは3−フェニルアセチルアミノ−2, 6−ピペリジンジオンより活性であり、タモキシフェンに匹敵するIC50を有し ていた(3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン、3×10-3M、p− ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン、7×10-6M 、タモキシフェン、1×10-7M)。3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジン ジオンの開環加水分解産物、PAGは高濃度(即ち、10-2M)であっても細胞増 殖を阻止しなかった。 エネルギー計算と組み合わせたコンピュータモデリングによって、3−フェニ ルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンが部分的に巻き戻された二本鎖DN Aの塩基対間に挿入可能でありそしてエネルギー的に好ましいコンプレックスを 形成し得ることが確認された。3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジ オンのフェニル環のパラ位に配置されたヒドロキシル基によって、両DNA鎖を 結合する第2の水素結合を形成することができた。この追加された水素結合は、 エネルギー計算で評価するときDNA内でのより大きい適合性、即ち、3−フェ ニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン(61%)対p−ヒドロキシ誘導体 、p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン(100 %)をもたらした。フッ素及び塩素によるパラ位並びにオルト及びメタ位での種 々の 置換は3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンと比較して適合性の 顕著な上昇をもたらさなかった。 3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンの類似体を合成しそして 癌細胞の増殖の阻止能力について試験したとき、DNA内への適合性に基づいて 最も活性の化合物であると予測されたp−ヒドロキシ誘導体のp−ヒドロキシ− 3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンが常に最も強力な化合物で あることが見い出された。p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6− ピペリジンジオンのヒドロキシ基によるDNAとの第2の水素結合形成能力が予 測された活性上昇に寄与していたということは、類似の水素結合を形成できない p−フルオロ誘導体並びに他のハロゲン化誘導体の効力増加が無いことによって 更に支持される。これらの観察は、試験した化合物の間ではDNAへの適合度と 予測された生物学的効力間に相関関係が存在することを証明している。これらの 知見も、小分子と核酸の立体化学的相補性が新薬設計の強力な手段であり得ると いう主張を支持している。 これらのピペリジンジオンの作用態様は未だ証明されていない。1つの作用態 様は、コンピュータモデリングの結果及びチミジン取込みによって測定されるD NA合成がNb2リンパ腫細胞で3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジ オン処理によって顕著に阻止されたという観察によって示唆されたように、DN A内への挿入と関係があろう。3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジ オンとDNAとの共有結合アダクトは検出されず、そしてその結合は古典的な挿 入薬剤と比較して弱く且つ可逆的であることが観察された。もう1つの考えられ る作用態様は、化合物p−ヒドロキシ−3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペ リジンジオンがMCF−7細胞でエストロゲン刺激細胞増殖を阻止するという観 察によって示唆され、そしてこれは確立された抗エストロゲンタモキシフェンに 匹敵するものである。しかし乍ら、タモキシフェンとは対照的に、3−フェニル アセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンもまたp−ヒドロキシ−3−フェニルア セチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンもエストロゲンレセプターに対してはあ まり結合を示さなかった。同時に、DNAに対する上記抗エストロゲンの直接的 結合は弱いように思われる。全体としてみれば、これらの知見は上記ペピリ ジンジオンとDNA及びエストロゲンレセプターの両者との弱い相互作用の可能 性を支持しており、これはDNA内へのリガンドのレセプター介在挿入に関係が ある。 薬作用発生団の開発 上記したように、分子モデリングは、立体的及び静電的考察に基づいて、二本 鎖DNAのような核酸内への分子の最良適合性の確立を促進する。個々の分子、 例えばエストラジオールは特定のヌクレオチドの位置及び個々のヘテロ原子の結 合特性に基づいてDNAの特定の部位に最適に適合する(実施例2参照)。エスト ラジオールのような特定の分子に関係はあるが化学的差異を示す分子は種々の精 度でエストラジオール部位に適合する。或るものはより良く適合しそしてエスト ラジオールアゴニスト応答を生じさせ、一方あまり適合しないものは弱いエスト ロゲン活性を示す。これらの種々の分子はヘテロ原子とDNAのヘテロ原子との ドッキングに対応して整列して静電的相互作用を最適にしていると思われる。以 下に記載する薬作用発生団の創製では、上記ホルモンと同等又はそれより大きい 活性を有する分子を選択して整列させる。今日までのところ、このような分子は 上記したエネルギー計算方法を使用することによってDNA内に上記ホルモンと 同等又はそれより良好に適合している。親ホルモンと同じようにはDNA内に良 好に適合しない分子は薬作用発生団の構築に含めない。分子の複合表面の整列は 特定の間隙容積を占め、それによって三次元形状が形成される。 薬作用発生団は、同じ生物学的機能を示す分子の有意な比較を可能にする所定 の生物学的活性に関係のある化学基の三次元配列である(Naruto等、Eur.J.Med .Chem.20:529〜532(1985年))。薬作用発生団は、分子内の活性構造又は共通の 官能基の単純な重なりによって誘導することができる。例えば別の巨大分子(レ セプター、酵素、又はこの場合にはDNA)との適合性に基づいて分子を方向付 ける方法がなければ、信頼できる薬作用発生団を構築することは困難でありそし て、場合によっては、不可能である。この問題は一部には、密接に関係のある活 性分子であってもしばしば、巨大分子内に非常に種々の方法で適合するという事 実から生じている。 本願明細書においては、薬作用発生団は、DNA内に適合させることによって 方向付けた活性分子の複合ファンデルワールス表面から誘導され、該表面に隣接 して位置する点電荷と組み合わせた特定の容積を有する三次元形状として定義さ れる。薬作用発生団は、同一又は同様な生物学的活性を有する一連の分子の間隙 内の位置の集合配列を示す。ファンデルワールス表面は、容積マップ、ドット表 面又はコノリー(Connolly)表面を含む種々の方法で表すことができる。点電荷 はダミー原子として示され、そしてそれらの位置は水素結合を形成できる活性分 子の官能基の平均位置によって決定される。活性分子の水素結合能力と一致する 適当な電荷がダミー原子に与えられる。薬作用発生団は、種々の化合物、それら の関連分子及び特定の生物学的活性に特異的である。本発明に従って、ホルモン と呼ばれる分子の包括クラス内で、エストロゲン薬作用発生団、抗エストロゲン 薬作用発生団、アンドロゲン薬作用発生団、甲状腺ホルモン薬作用発生団及び毒 性薬作用発生団(図2〜5及び付録1に示される)が開示される。これらの創製 された薬作用発生団はそのままでは天然に存在せず、そして本願明細書に記載し た方法を使用してDNAの共通の結合部位に対して幾つかの関連分子を整列させ た生成物であることを強調しなければならない。 他の多くの薬作用発生団は、本出願に記載した方法を使用して構築されている 。薬作用発生団は、一度創製されると、独立しそしてその後にはその形成に関与 した核酸とは無関係である。それ故、薬作用発生団形成後、生物学的に活性の分 子を設計するための鋳型としてDNAを使用する必要性はもはや無い。薬作用発 生団自体は、この薬作用発生団で示されるものと同一又は同様な構造及び電荷特 徴を有する新規分子を生み出すために使用することができる。これは、化合物設 計のモデルとしてDNAを使用する概念とは全く異なる概念である。薬作用発生 団は、以下のものを含むがそれらに限定されない任意の数の用途に使用すること ができる。薬剤開発用のスクリーニング手段として、特定の化合物が或るタイプ の生物活性、例えばエストロゲン又はアンドロゲン活性を有しているかどうかを 測定するため、毒性学的評価のため、及びDNAに対して低下又は上昇した結合 親和性を有する化合物を設計するため。 各薬作用発生団は、特徴的な形状、位相幾何学、容積及び静電プロフィールを 有している。薬作用発生団は、コンピュータメモリーに構成されている座標系で 示される該発生団の三次元形状によって正確に記載される(薬作用発生団の例に ついては図2〜5参照、それらは本出願と共に提出した付録1の磁気QICテー プのデータファイルにも含まれている)。薬作用発生団内で適合する分子内の特 定の各原子はドッキングヘテロ原子に関して特定の位置を有している。個々の原 子もそれらに割り当てられた静電電荷を有している。これらの電荷は場の強さを 示すために数字によって又は色や陰影の使用を含む他の多くの方法によって示さ れる。薬作用発生団とダミー原子間の立体的及び静電的適合度が増すにつれて、 負の相互作用エネルギー(−kcal)が生じ、生物活性の上昇として示され得る薬 作用発生団の有効性は高まる。本願明細書で使用する用語「相互作用エネルギー 」は薬作用発生団内で適合している分子の総エネルギー(−kcal)である。これ は、エストロゲン薬作用発生団内で適合している分子及び子宮向性アッセイでの 生物活性の場合に観察されている。薬作用発生団の容積は1立方オングストロー ムで記載される。薬作用発生団は任意の平面で正確に横断面に切断することがで きそして内部距離はオングストローム定規で測定することができる。任意の横断 面の外周は形態測定分析で容易に測定される。同様に、薬作用発生団の特定のサ ブ領域、例えばDNAに結合する部位も同じ分析法に付すことができる。 薬作用発生団の構築及び有用性 エストロゲン薬作用発生団の構築と使用の例を以下に示す。図2Aはエストロ ゲンに適合するDNA空洞のコンピュータ作成間隙充填(space-filling)立体図 である。上記した方法を使用して、エネルギー計算でDNA空洞内で方向付けた 活性エストロゲンの適合性は図2Bに示される。図2Cは、薬作用発生団を構築 するために使用されるDNA内の空洞から取り出したエストロゲンの複合活性表 面を示す。原子は次のように着色されている。炭素/白色、水素/青緑色、窒素 /青色、酸素/赤色、リン/黄色。図3は、薬作用発生団の構築に使用した活性 分子の周囲にダミー原子(マゼンタ)を有する立体的な容積輪郭マップ(黄色) (A)、空の薬作用発生団(B)、薬作用発生団内部に完全に適応されている非常に 活性の高いエストロゲン3,11β,17β−トリヒドロキシ−7α−メチルエスト ラ−1,3,5(10)−トリエン−11−ニトレートエステル(以下、7α−メチルエスト ラジオール−11β−ニトレートエステル、これはPeters等、J.Med.Chem.32:2 306〜2310(1989年)で報告された)の適合性(C)、薬作用発生団の表面をかな り越えて伸びている不活性エストロゲン9β−エストラジオールの不十分な適合 性(D)を示している。図4及び5は、エストロゲン、アンドロゲン、甲状腺、 抗エストロゲン及び毒性薬作用発生団の三次元外観の例を示している。これらの 各薬作用発生団及び図2〜5の容積マップ及びダミー原子のデータファイルは本 出願と共に提出した付録1の磁気QIC120テープに含まれている。このQIC コンピュータテープは、以下のフォーマット及びシリコングラフィックスインジ ゴエクストリームで操作したシビル6.0から得られるファイルを有している。 1)/usr/people/guest/empty.dir/estrogenpharmacophore2.dsp これはエストロゲン薬作用発生団の容積マップである。 2)/usr/people/guest/empty.dir/androgenpharmacophore.dsp これはアンドロゲン薬作用発生団の容積マップである。 3)/usr/people/guest/empty.dir/thyroid pharmacophore.dsp これは甲状腺薬作用発生団の容積マップである。 4)/usr/people/guest/enlpty.dir/antiestrogenpharmacophore.dsp これは抗エストロゲン薬作用発生団の容積マップである。 5)/usr/people/guest/empty.dir/toxicitypharmacophore.dsp これは毒性薬作用発生団の容積マップである。 6)/usr/people/guest/empty.dir/dummyatoms.mdb これは名称で示した各薬作用発生団の適当なダミー原子を含有する分子データベ ースファイルである。 7)/usr/people/guest/empty.dir/patent94final これは本件特許出願と共に提出した4つのカラープリント(図2から5)を含有 するファイルであり、シリコングラフィックスプログラムショーケース(Silicon Graphic program Showcase)で構築した薬作用発生団を記載している。データフ ァイルを含有する付録1テープの写も本発明者によって保持されている。これら のファイルは各薬作用発生団の三次元配置を示す情報を含んでいる。これらのフ ァイルは好ましくはQICテープドライブを備えたコンベックス(CONVEX) 、ESV、IBM RISC/6000.IRIS 4D、SUN 4又はVAX/VMSの ようなコンピュータシステムで作動するシビルソフトウエア(バージョン 6.03 、ミズーリー州セントルイスのTripos Associates)で読み取ることができる。 加えて、4及び8mm DATテープのような他のメディアを使用して保管しそし てこれらのデータファイルを上記したシステムで読み取ることができる。 薬作用発生団に対する種々の化合物の適合度の定量評価は図6に示す。適合性 は、薬作用発生団内に入れることができる各構造の容積量を評価しそしてこの値 を50%に設定された天然ホルモンエストラジオールの値に対して正規化して決定 される。ダミー原子との静電的相互作用を各化合物について最適化しそしてトリ ポス(Tripos)力場を使用して計算する。静電エネルギー値は50%に設定された エストラジオールの値に対して正規化する。この研究では、総容積適合性と静電 的適合性を同等に処理しそして合計して薬作用発生団内での全体的な適合性を表 す。図6に示されるように、薬作用発生団に対する適合度は相対的子宮向性(エ ストロゲン性)活性と非常に相関した関係がある。エストラジオールと比較する と、薬作用発生団を構築するために使用したデータセットの一部ではない7α− メチルエストラジオール−11β−ニトレートエステル(標識2)はエストラジオ ール(標識1)よりかなり良好に適合する。対照的に、7α−メチルエストラジ オール−11β−ニトレートエステルはエストロゲンレセプターにはあまり結合し ない(エストラジオールの結合の6%未満)。100%の正規値に設定したエストラ ジオールと比較した7α−メチルエストラジオール−11β−ニトレートエステル (標識2)の子宮向性値は、薬作用発生団内への適合性で予測されたように、エ ストラジオールよりかなり大きい(Peters等、J.Med.Chem.32:2306〜2310(198 9年))。対照的に、薬作用発生団内に9β−エストラジオール(標識3)を適合さ せることはできず、そして予測されたように、この類似体は子宮向性活性を殆ど 有していない。要約すると、薬作用発生団に対する化合物の適合性は生物学的活 性と相関関係があるので、それらの適合性によって新規化合物を設計するために 使用することができる。非常に強力なエストロゲンニトレートエステルがエスト ロゲンレセプターに非常に弱く結合することは注目に値する。かくして、レ セプター結合に基づくか又はタンパク質レセプターの推定上の結合部位から誘導 される薬作用発生団からこの類似体のエストロゲン活性を予測することはできな いであろう。多くの場合、天然ホルモンのエストラジオールより高いエストロゲ ン活性を有する化合物はエストロゲンレセプターに比較的弱く結合する。 DNA内への化合物の適合性は薬作用発生団内への適合性と一致するがそれと 同一ではない。DNA空洞と薬作用発生団との間の差異は、表面が異なる構造か ら、即ちDNA空洞はDNA構造からそして薬作用発生団は活性化合物の複合表 面から誘導されたということである。実施例及び図2〜5、並びに付録1として 磁気テープに含まれているデータファイルに示されるように、薬作用発生団に対 する適合度は、活性化合物を示す三次元マップに対する適合性によって得られる 。薬作用発生団によって活性化合物の複合表面に対する適合度の定量評価ができ るようになり、そしてこの情報はDNA内への適合から得ることはできない。更 に、薬作用発生団に対する活性化合物の適合性は、薬作用発生団の容積内で適合 していない分子部分に基づいて定量することができる。これによって、予測され た不活性構造の自動評価が可能になる。 毒性薬作用発生団(毒作用発生団) 薬作用発生団を構築して、毒性の生物学的活性の予想的三次元形状を示すこと ができる。毒作用発生団と呼ばれるこのような薬作用発生団はDNAを潜在的に 損傷する領域を有している。典型的な毒作用発生団は、他の化合物のなかでも特 にテトロドトキシン、ダイオキシン、RU 486、ジランチン、サリドマイド及び オロフレックスを使用して構築されている。この毒作用発生団の1例は図4E及 び5E並びに付録1として提出した磁気データテープで提供されている。例えば 、この毒作用発生団をエストロゲン薬作用発生団のような別の薬作用発生団の上 に置くことによって(図4A及び5A)、薬剤設計者は、毒性活性を与えると思わ れる或る分子基が毒作用発生団によって占められている三次元間隙内に伸びてい る場合、これらの基を有するエストロゲン化合物を設計しないようにすることを 知るであろう。この方法は、DNAに対して損傷効果を有すると思われるエスト ロゲン化合物を合成しないように設計者を誘導することによって、合成及び精製 を進めそしてその後該化合物が危険な毒性を有していることを見い出すのとは対 照的に、薬剤の設計を大いに促進しそして経済的にするであろう。 溶媒薬作用発生団(水作用発生団) 核酸に関係のある薬作用発生団は通常、溶媒で囲まれている。生存生物で支配 的な溶媒は水であり、従って、大部分の薬作用発生団は水性環境下で存在してい る。水は溶媒薬作用発生団の好ましい態様であり、そして水作用発生団と称され る。薬作用発生団及びそれらの分子は、結晶学的試験又は他の分析法のような種 々の目的のために非水性環境に置くこともできる。 生存生物では、薬作用発生団周囲の水性環境は隣接する核酸とも密接な関係を 有している。この水性シェルは二本鎖DNAの空洞内への薬作用発生団の最適適 合に役立ち、そしてそれ自体三次元形状を有している。薬作用発生団とDNA間 の間隙内での水分子の最適の立体的及び静電的配置は本発明によって達成される 。この三次元形状は溶媒薬作用発生団と呼ばれ、そしてエストロゲンのような他 の分子に基づく薬作用発生団について上記で常に示したように記載することがで きる。溶媒薬作用発生団は、鋳型として特別の薬作用発生団を使用して設計した 化合物の寸法に制限を加えることによって化合物の設計者の助けとなる。加えて 、溶媒薬作用発生団は、薬作用発生団によって示される溶媒シエル又はケージが 薬作用発生団の創製中にDNAに関連して分子を適切に整列させる能力を高める ので、薬作用発生団の設計者の助けとなる。 レセプター作用発生団 ステロイドホルモンのような多くの分子は、レセプターとして知られる他の分 子によって核まで往復させられる(Tsai及びO'Malley、Ann.Rev.Biochem.63:4 51〜486(1994年))。これらのレセプターはホルモン(リガンドと呼ばれる)と 結合し、核酸と例えばDNA結合ドメインで結合し、そしてリガンドをDNAの ような核酸に提供する。レセプターとDNAの結合によってDNAの配座変化が 生じてリガンドの挿入を促進することが証拠によって示唆されている(Nardulli 等、Molec.Endocr.7:331〜340(1993年))。薬作用発生団の概念は、部分的 に巻き戻された二本鎖DNAのような核酸内への関連分子の適合が最適である三 次元形状に基づいている。レセプターのDNA結合ドメインは、薬作用発生団に ついて上記したのと同じ原理に基づいて三次元形状にモデリングすることができ る。得られた形状はレセプター作用発生団と称され、そしてレセプターとDNA のヌクレオチドとの相互作用部位の三次元表現である。各レセプターのDNA結 合領域は異なるレセプター作用発生団を生じさせると思われる。このレセプター 作用発生団は、新規レセプターの開発又はDNAと結合するレセプターの調節に 関心のある分子設計者に重要な手段を提供する。 レセプター作用発生団−薬作用発生団対 レセプター及びそれらのリガンドの核酸結合領域はそれぞれレセプター作用発 生団及び薬作用発生団としてモデリングすることができる。それぞれのDNA結 合領域に関して適切に整列されたレセプター作用発生団とその関連薬作用発生団 の立体配置は、DNA結合とリガンド挿入用の最小分子単位を示す特定の形状対 を構成する。化合物設計者はこの情報を利用して、分子を合成しそしてスクリー ニングしてドッキングとリガンド挿入の便宜性を修正する。このような修正は、 前立腺癌又は乳癌に依存してホルモン治療のような多数の新規治療法を提供する ことができる。 代謝物作用発生団 大部分の天然存在化合物は合成経路の先行物質又はプリカーサーから誘導され 、そして異化代謝経路で不活性化されるように運命づけられている。化合物の多 数のプリカーサー及び代謝物は、メチル基のような余分な基の付加又は特定の部 位のアセチル化によって活性が低い。場合によっては、分子のプリカーサーと代 謝物は、活性分子の同一部位に順次付加される、側鎖を構成する種々の基を有し ている。化学基の好ましい付加又は欠失の部位に関する知識は活性の高い又は低 い分子の設計に役立つ。 これらの部位を薬作用発生団に関してモデリングして、分子修正用の好ましい 部位の三次元表現を作製する。代謝物作用発生団と称されるこの三次元表現は、 薬作用発生団内に適合する親分子の活性及び不活性改変体の合理的な設計に対す る制約を提供する。代謝物作用発生団と薬作用発生団の結合点でどの化学品を効 果的に添加できるかの分析によって、合成、精製及び試験を続行するのに最も好 ましい分子が明らかになる。 他の実施態様及び用途は当該技術分野の熟練者には明白であり、そして、本発 明はこれらの説明のための特定の実施例に限定されない。 実施例1 哺乳動物の女性ホルモンのエストラジオールを使用する 部分的に巻き戻された二本鎖DNAへの適合 コンピュータモデリングにより、哺乳動物のステロイドのプロゲステロンがD NAの5'−dTdG−3'、5'−dCdA−3'で顕著な「鍵穴と鍵(lock and key) 」適合性であることが証明されている(図1)。プロゲステロンの既知の各X線結 晶構造は、力場計算で評価される2つの立体特異的水素結合及び安定なコンプレ ックスを形成することができる。このコンプレックスにおいては、ステロイドと DNAの親水性及び疎水性領域の重なりによって顕著な相補性が明白である。天 然には存在しないプロゲステロンのエナンチオマーは適合しない。植物ホルモン のジベレリン酸も、塩基対間であるが異なる配列、即ち5'−TdA−3'、5'−d TdA−3'で適合することも示されている。4つの立体特異的水素結合がこれら カップル内で形成されるが、ent−ジベレリン酸は適合しない。 哺乳動物の女性ホルモンのエストラジオールもDNA内で適合する(図1)。約 2.65Åの2つの立体特異的水素結合は、ステロイドの各ヒドロキシル基と隣接鎖 のホスフェート酸素との間で形成される。このコンプレックス内での全体的適合 性は約−59kcalである。エストラトリエン核のヒドロキシル基の位置が大部分改 変されると、DNAとの潜在的な静電的相互作用がかなり損なわれる。更に、シ クロペンタノフェナントレン環パターンの絶対立体化学が大部分改変されても、 DNAとの潜在的な静電的相互作用がかなり損なわれる。更に、シクロペンタノ フェナントレン環パターンの絶対立体化学が大部分改変されても適合不十分な分 子が生じる。これは、9β−エストラジオールをDNA内で適合させる試みで明 らかである。エストラジオールのC−9での立体化学をαからβに逆転して生じ たステロイドのパッカリング(puckering)は塩基対間への完全な挿入を妨げる。 ファンデルワールス表面の重なりによって生じる歪みを考慮しないで、たとえD NA内に無理に押し込んだとしても、9β−エストラジオールは単一の水素結合 しか形成できない。9β−エストラジオールの部分的挿入から生じるDNA内へ の相対的適合性は約−17kcalである。9β−エストラジオールは、エストロゲン (子宮向性)活性についてインビボで試験したとき、不活性である。 エストラジオールの大部分の構造改変体は適合が不十分であるが、エストラジ オールはDNA内への「鍵穴と鍵」適合性であるという知見は、DNAの立体化 学が天然物構造の基本的青写真(master blueprint)を有しているという前提を更 に支持している。 実施例2 エストロゲン活性とエストロゲン及び関連類似体の DNAへの適合性との相関関係 エネルギー計算で評価されるDNAへの適合性が生物学的活性と相関し得るこ とは、一連のエストロゲン及び関連合成類似体を使用して証明された。子宮向性 アッセイで不活性の分子はDNA内への適合が不十分である。DNA内にエスト ラジオールより良好に適合する分子、例えば11β−アセトキシエストラジオール (約−68kcal)は全て子宮向性アッセイでエストラジオールより活性である。こ の相関関係は、良好に適合する、強力な合成エストロゲンであるトランスジエチ ルスチルベステロール(約−62kcal)のような非ステロイド合成エストロゲンで も観察され、一方、活性の乏しい幾何異性体シス−ジエチルスチルベストロール (約−20kcal)は適合性が不十分である。 実施例3 生合成経路はDNAへの適合の上昇を反映し、 一方不活性化経路はDNAへの適合を低下させる 哺乳動物ホルモンのプロゲステロンと植物ホルモンのジベレリン酸を用いて行 った分子モデリング試験は、それぞれの生合成経路の各段階がDNAでの適合を 高める構造変化を反映することを示している。例えば、プロゲステロン生合成の 任意の所定の段階で生じ得る立体異性体を考慮するとき、最も良く適合する構造 は天然で産生されたものである。きわめて対照的に、最終的にグルクロニドとス ルフェートになって排泄されるプロゲステロンの不活性化の各段階は考えられる 最悪の適合の立体異性体を生じさせる。 男性ホルモンのテストステロンの考えられる2つのジヒドロ還元代謝物を適合 性と生物学的活性の相関関係について試験した。テストステロン(100%)に関 して、5β−ジヒドロテストステロンは適合が不十分であり(84%)、一方そのエ ピマーの5α−ジヒドロテストステロンはテストステロンより更に良好に適合す る(102%)。これらのデータは、AGヒルガード(Hilgard)、D.J.フンメル(Hum mel)編「内分泌バイオアッセイデータ、パートIII(Endocrine Bioassay Data, Part III)」(U.S.Dept.HEW NIH 1964年)の「ステロイド及び他の化合物の アンドロゲン性及びミオゲン性評価−アッセイ1」でヒルガー(Hilgar)及びフ ンメルによって発表された、5α−ジヒドロテストステロンは非常に活性のアン ドロゲンであり、一方5β-ジヒドロテストステロンは実質的に不活性であるとい う知見と一致する。 プロゲステロンのテトラヒドロ還元立体異性体の場合には、3α−ヒドロキシ −5β−プレグナン−20−オンは不十分な適合性であり、一方その立体異性体3α −ヒドロキシ−5α−プレグナン−20−オンは優れた適合性であった。前者の分 子は、パーディ(Purdy)等、J.Med.Chem.33:1572〜1581(1990年)によって 報告されているように、活性の高い神経ステロイドである。3α−ヒドロキシ−5 α−プレグナン−20−オンのドナー/アクセプター結合の特異的パターンをステ ロイド/甲状腺ホルモンスーパーファミリーのものと比較すると、3α−ヒドロ キシ−5α−プレグナン−20−オンの結合パターンはユニークであることが証明 された。このようなユニークな結合を有する化合物はユニークな生物学的機能を 有していると予測され、そして新たに発見された「オーファンレセプター」のリ ガンドであると思われる。 実施例4 毒性および「副作用」とDNAへの適合性との相関関係 DNA内の1つ以上の部位に適合するリガンドは複数の生物学的作用を有して いることが観察されている。それ故、所望される及び所望されない両「副作用」 は、所定の化合物が適合する特定のDNA配列並びに適合態様及び相対的適合度 から予測可能である。DNA内の1つ以上の部位に適合することが観察されてい る分子の例には向精神剤のコカイン、モルヒネ、LSD及びテトラヒドロカンナ ビノイド並びに或る種の挿入(intercalating)抗生物質が含まれる。例えば、モ ノアミンオキシダーゼインヒビターのセレギリン(selegiline)は、ローランド( Rowland)等、J.Clin.Pharmacol.34:80〜85(1994年)によって報告されてい るように、グルコース及び種々の経口抗糖尿病薬に適応するDNA内の部位に適 合する。この観察は、セレギリンが或る患者では低血糖症を引き起こすという所 見と一致する。もう1つの例は、テストステロンを適応するDNA内の部位に適 合する抗アンドロゲンのアナンドロン(anandron)である。アナンドロンは2つの 方向付けで、即ちアンドロゲンと抗アンドロゲンの両者に類似した態様でDNA に適合するので、この化合物では混合した活性が予測される。実験結果は、シュ タインザピア(Steinsapir)等、内分泌学会(The Endocrine Society)(第74 回年会)1992: 109(抄録228)によって報告されているように、アナンドロンが アゴニストとアンタゴニストの両活性を有していることを示している。 所定の部位に適合させたとき、DNAに対して変形(stress)、化学的修飾及び /又は共有結合を生じさせるリガンドがしばしば毒性を有していることも認めら れる。例としては、或る種の発癌物質及び催奇形物質、例えばサリドマイド、ダ イオキシン、アレーンオキシド、アフラトキシン及び或る種のジエチルスチルベ ストロール代謝物が含まれる。もう1つの例は、DNA内のプロゲステロン部位 に十分挿入されたとき、塩基対水素結合を変形させる抗プロゲスチン RU486で ある。同じ側鎖(例えば、11β−フェニルアミン)を有する他の抗プロゲスチン によって同様な歪みがもたらされ、このような特徴がRU486や関連類似体に起 因すると考えられる堕胎活性と相互に関係している可能性を生じさせる。サリド マイドエナンチオマーでの観察によって、この化合物に関連した催奇形性は塩基 対での立体特異的効果と相互に関係があり得ることが示される。毒作用発生団と 称されるこのような毒性薬作用発生団の1つの例は図4E及び5Eに示され、そ して対応するデータファイルは磁気テープで提出されている。 実施例5 新薬の設計及び開発 上記でそして実施例で記載した原理を使用して、同時に潜在的な望ましくない 副作用を制限し乍ら、新薬を設計するか又は現存する薬剤を設計し直すことがで きる。この技術を使用して活性薬剤を設計する方法の1例は次のとおりである。 3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン(A10)は修飾アミノ酸 誘導体であり、そしてこれは最初凍結乾燥したヒト尿から単離された。毒性は低 いけれども、腫瘍細胞に対して顕著な増殖阻止活性を示すためには高濃度のA10 が必要であった。その後の試験の焦点はより強力な類似体を開発することであっ た。モデリング試験は、A10が部分的に巻き戻された二本鎖DNAに挿入可能で あり、そしてピペリジンジオン環のイミノプロトンと一本鎖のホスフェート酸素 との間で1個の水素結合を形成できることを示した。ヘンドリー等、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.48:495〜505(1994年)(この教示は全体を引用により 本願明細書に含める)によって報告されているように、A10のフェニル基のパラ 位にヒドロキシル基を入れると第2の水素結合を形成することができ、それによ って適合性をかなり高めることが観察された。エネルギー計算で評価したA10( 100%に正規化した)と種々の関連類似体の相対的適合性は、最も良く適合する 化合物がp−OH−A10(164%)であることを示している。続いてこれら化合 物の合成、次いで種々の動物及びヒト腫瘍細胞での試験によって、ヘンドリー等 、化学療法における最近の進歩(Recent Advances in Chemotherapy)、ブッフナ ー(Buchner)及びルビンシュタイン(Rubinstein)編、2498〜2499(1991年)、 ヘンドリー等、米国特許5,238,947(引用により本願明細書に含める)によって 報告されているように、p−OH−A10が最も活性の化合物でありそしてA10よ り1桁ほども高い活性であることが証明された。 実施例6 本願の薬剤設計技術と古典的な構造−活性方法との比較 本願明細書に記載した薬剤設計技術は定量的−構造−活性−関係方法(QSA R)、例えばコンパラティブフィールド分子分析(CoMFA)とともに使用する ことができる。この方法の1つの価値は、この方法により種々のリガンドを互い に関連して三次元で方向付けることが促進されることである。DNAへの適合性 から誘導されるエストロゲンで見られる構造−活性関係を本願明細書に記載する 。適当な巨大分子の詳細な三次元構造(例えば、レセプターのリガンド結合部位 又は酵素部位)を先ず知ることなく上記のような関係を推測的に演繹しようと試 みる場合、化学的に洞察するには、既知の活性構造に存在する共通の特徴につい ての調査が必要であろう。天然ホルモンのエストラジオール及び強力な合成エス トロゲンのトランス−ジエチルスチルベストロールの場合には、上記のような共 通の特徴はフェノキシ基である。フェノキシ基の改変は不活性構造を生じさせる 。得られる三次元的方向付けを、DNAとのこれら分子の最適ドッキングによっ て得られるものと重ねる場合、異なるパターンが出現する。かくして、このよう な異なる方向付けは、その後他の分子の活性と相関させるために使用するとき、 非常に異なる結果が得られると予想されるであろう。事実、DNAへの相対的適 合性(kcal)の分析によって、エストラジオールのA環への重なりに基づくトラ ンス−ジエチルスチルベストロールの方向付けを使用してリガンドをDNAにド ッキングさせる場合、比較的不十分な適合性が生じることが示されている。この 場合には、トランス−ジエチルスチルベストロールの活性が乏しいと誤って予測 されるであろう。対照的に、本発明で教示されたDNAの立体化学からだけ誘導 したDESの方向付けを使用すると、活性の上昇が正確に予測されるであろう。 実施例7 抗エストロゲン、パラ−ヒドロキシフェニル アセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン、 即ち腫瘍細胞増殖調節剤の設計 過去2,3年の間に、腫瘍細胞増殖調節剤として、非毒性の天然存在小分子へ の関心が増大してきている。最近発表された知見の例には次のものがある。食餌 性単環式モノテルペンのリモネンによる哺乳動物癌腫の退行、内在性の脂質ペル オキシデーション産生物の4−ヒドロキシノネナールによる赤白血病細胞増殖に おける腫瘍遺伝子発現の調節、内在性リガンドのp−ヒドロキシフェニルアセテ ートによる悪性細胞増殖の阻止、及びヒト血漿の循環成分のフェニルアセテート による、前癌及び悪性細胞の腫瘍細胞分化の誘発。 フェニルアセテートは、乳、脳、前立腺、血液、肺及び結腸を含む幾つかの癌 の進展に関与するmyc腫瘍遺伝子のレベルを低下させることが示されている。フ ェニルアセテートが有効であると考えられる別のメカニズムは、アミノ酸のグル タミンの値を低下させることによるものである。フェニルアセテートは循環グル タミンと抱合して、排泄される尿代謝物のフェニルアセチルグルタミン(PAG )を産生する。癌細胞は増殖するためにグルタミンが必要であり、そしてグルタ ミン枯渇に対して正常細胞より感受性であることが知られている。これらの知見 により、脳腫瘍及び前立腺癌でフェニルアセテートを用いたフェーズI臨床試験 が米国立癌研究所で開始された。 ヒト乳癌細胞での増殖阻止活性について凍結乾燥したヒト尿の分画物をスクリ ーニングする方法で、PAGの脱水産生物を単離した。この化合物は分光分析及 び別個の合成によって3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンとし て特徴が決定され、そして単離されたクロマトグラフィーフラクションに基づい てA10と呼ばれた。この構造が循環化合物であるかどうかは最終的には決定され ていないが、実験室動物とヒトの両方で毒性が無い点でフェニルアセテートに類 似している。この化合物はまた、インビトロの多種の癌細胞並びに無胸腺症ヌー ドマウスに移植されたヒト乳癌で増殖を阻止することも見い出された。化学的阻 止(chemoprevention)効果も報告されている。フェニルアセテート及びメチルp −ヒドロキシフェニルアセテートに加えて、3−フェニルアセチルアミノ−2,6− ピペリジンジオンと共通の構造特徴を有する抗腫瘍活性の多数の合成化合物が存 在する。このようなピペリジンジオン環との類似性が顕著な化合物の例には、乳 癌の治療に使用されるアロマターゼインヒビターのアミノグルテチミド、ログレ チミド及び関連類似体、DNAとの提唱された相互作用によって腫瘍増殖を 阻止するアルキル化剤のPCNU、推定上のDNA挿入によって腫瘍増殖を阻止 する5−シンナモイル−6−アミノウラシル誘導体、挿入によってトポイソメラー ゼII DNA開裂を媒介するアモナフィド(amonafide)及びその同種体、哺乳動物 DNAトポイソメラーゼIIの強力で直接的なインヒビター、ビス(2,6−ジオキソ ピペラジン)誘導体、例えばICRF−193がある。 インビトロ及びインビボの両方で腫瘍を阻止するためには、相対的に高投与量 の3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオンが一般的に必要であった 。この研究の目的は、上記した技術を使用して一層活性のフェニルアセチルアミ ノ−2,6−ピペリジンジオン類を同定することであった。この技術はDNAへの 分子の立体特異的適合性のモデリングに基づいており、そして最近コンピュータ グラフィックスとエネルギー計算を利用するように修正された。コンピュータモ デリングに続いて、3−フェニルアセチルアミノ−2,6−ピペリジンジオン誘導体 の設計、合成及びインビトロ生物学的試験を行った。DNA内での適合度に基づ いて最も活性であると予測される分子、即ちp−ヒドロキシ誘導体は、研究した 全ての生物学的アッセイで最も活性の抗腫瘍剤であることが見い出された。MC F−7(E3)ヒト乳癌細胞で試験したとき、p−ヒドロキシ誘導体は、現在乳癌 の治療に臨床で使用されている薬剤タモキシフェンと並ぶ抗エストロゲン活性を 有していた。 実施例8 モデリング技術で設計した3つの別個の分子を図7に示す。SGI 100、SGI 101及びSGI 102と名づけたこれらの分子は互いに類似性と相違性を有してい る。これらは全て、エストロゲンとプロゲステロンの両成分に対して構造類似性 を示す。SGI 100は、エストラジオールとプロゲステロンの両方に適応するD NAの部位への適合能力に基づいて設計された。この化合物の適合態様によって アンタゴニスト活性が予測された。エストロゲン薬作用発生団(図2及び付録1 )に適合させたとき、17β位のアセチル基は薬作用発生団から伸びており、そし てエストロゲン(−51kcal)と比較してダミー原子と−131kcalの静電的斥力を 有していた。従って、この明白な高エネルギーの相互作用はSGI 100がアンタ ゴ ニストとして作用することを示している。エストロゲンレセプターに対するSG I 100の結合は用量依存性であり、そしてエストラジオールの概ね144分の1であ る。生物活性実験で、SGI 100は、対照細胞と比較したとき(252,197個の細胞 )、10-8Mの投与量でMCF−7ヒト乳癌細胞の細胞増殖を顕著に低下させた(1 34,431個の細胞)。同じ濃度のタモキシフェンシトレートはMCF−7細胞の数 を187,759個に減少させた。かくして、本発明の薬作用発生団方法に基づいてこ の化合物を設計することによって、タモキシフェンより強く、証明可能な明白な 抗エストロゲン生物活性が予測された。SGI 100はプロゲステロンレセプター に対しては、投与量依存性態様であるが133分の1から200分の1の親和性で結合 する。 SGI 101は、エストラジオールに適応するDNAの部位への適合化に基づい て設計されたが、エストロゲンアンタゴニスト活性が予測される逆の水素結合特 性を有していた。SGI 101はエストロゲン薬作用発生団を越えて伸びており、 そしてパラ−ニトロ基とダミー原子間で静電的斥力を有している。SGI 101は 、MCF−7細胞の増殖阻止で測定するときこの技術によって設計される最も強 力な類似体である。10-8Mの投与量で、SGI 101は対照(252,197個の細胞)に 比べて細胞増殖を阻止し(81,103個の細胞)そして同じ濃度のタモキシフェン( 187,759個の細胞)よりかなり活性であった。 SGI 102は、プロゲステロンに適応するDNAの部位への適合性に基づいて 設計された。SGI 102は、塩基対間の部位から主要な適所に伸びているアルキ ルアミノ側鎖を11β位に有している。これはプロゲステロンと異なる水素結合特 性を有しており、そしてプロゲステロン薬作用発生団の容積マップを越えて伸び るであろう。このこと自体によって、これはアンタゴニストであると予測される 。SGI 102は期待をもって設計され、合成されそして種々の生物学的アッセイ で試験された。SGI 102はプロゲステロンレセプターに対して投与量依存性態 様で結合するが、プロゲステロン又は堕胎剤アンチプロゲスチンRU486と同じ 位強力には結合しない。動物実験で、SGI 102は堕胎活性を示さなかった。し かし乍ら、MCF−7ヒト乳癌細胞を使用する実験では、SGI 102は増殖阻止で RU486と同等な活性を有していた。これらの所見はモデリング技術でなされた 予測と一致する。 上記は本発明の好ましい実施態様に関係するものにすぎず、下記請求の範囲に 述べる本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多数の修正又は変更を行うこ とができると理解すべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12Q 1/68 9454−4C A61K 31/44 // A61K 31/44 9162−4B C12N 15/00 Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE ,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK, LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.二本鎖DNAらせん構造と相補的な化合物を設計し、特定の生物学的レセ プターの存在下で前記化合物と前記DNA間の相互作用エネルギーを評価し、そ して、前記特定の生物学的レセプターに対する天然リガンドと等しいか又はそれ より低い相互作用エネルギーを有する化合物を選択する ことを含む生物学的活性を有する分子の設計方法。 2.前記レセプターが、ステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミン、植物ホルモ ン、ペプチドホルモン、神経伝達物質、プロスタグランジン及び糖からなる群か ら選択される化合物に結合する請求項1に記載の方法。 3.前記化合物がシクロペンタノフェナントレンモチーフを有する請求項1に 記載の方法。 4.前記化合物が、DNAらせん内の巻き戻された空洞と相補的である請求項 1に記載の方法。 5.前記化合物が、巻き戻された部位の塩基を移動させることによって形成さ れるDNA内の空洞と相補的である請求項1に記載の方法。 6.前記化合物が、ヌクレオチド塩基を除去することによってDNA内に形成 される空洞と相補的である請求項1に記載の方法。 7.前記化合物がレセプターアンタゴニストである請求項1に記載の方法。 8.前記化合物が性ホルモンアンタゴニストである請求項7に記載の方法。 9.二本鎖DNAらせん構造と相補的な化合物を設計し、特定の生物学的レセ プターの存在下で前記化合物と前記DNA間の相互作用エネルギーを評価し、そ して、前記特定の生物学的レセプターに対する天然リガンドと等しいか又はそれ より低い相互作用エネルギーを有する化合物を選択する ことを含む方法によって単離された、生物学的活性を有する化合物。 10.前記レセプターが、ステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミン、植物ホル モン、ペプチドホルモン、神経伝達物質、プロスタグランジン及び糖からなる群 から選択される化合物と結合する請求項9に記載の化合物。 11.前記化合物がシクロペンタノフェナントレンモチーフを有する請求項9 に記載の化合物。 12.前記化合物がDNAらせん内の巻き戻された空洞と相補的である請求項 9に記載の化合物。 13.前記化合物が、巻き戻された部位の塩基を移動させることによって形成 されるDNA内の空洞と相補的である請求項9に記載の化合物。 14.前記化合物が、塩基を除去することによってDNA内に形成される空洞 と相補的である請求項9に記載の化合物。 15.エストロゲン活性を有する請求項9に記載の化合物。 16.前記化合物がレセプターアンタゴニストである請求項9に記載の化合物 。 17.前記化合物が性ホルモンアンタゴニストである請求項16に記載の化合 物。 18.巻き戻されたDNA部位内に最適に適合させるとき、同一又は同様な生 物学的活性を有する複数の分子の集合平均形状である、特定の形状及び容積を特 定する点の三次元配列を含む薬作用発生団。 19.鋳型がDNAへの適合に関与する構造及び電荷の領域を識別する、請求 項18に記載の薬作用発生団を使用して設計される生物学的活性化合物。 20.最も低い相互作用エネルギー及び最適の立体的適合性が得られるように 、同一又は同様な生物学的活性を有する複数の化合物の核酸配列への最適適合性 を評価し、前記化合物をヘテロ原子に関して核酸上に整列させ、そして、前記化 合物の前記整列から得られる集合平均形状を示す三次元形状を特定する段階を含 む薬作用発生団の創製方法。 21.前記核酸配列が、デオキシリボ核酸、二本鎖デオキシリボ核酸、リボ核 酸、デオキシリボ核酸とリボ核酸のコンプレックス並びに脱プリン及び脱ピリミ ジン部位からなる群から選択される請求項20に記載の方法。 22.前記核酸がデオキシリボ核酸である請求項20に記載の方法。 23.分子を薬作用発生団への適合能力について試験して、前記分子を生物活 性又は毒性についてスクリーニングする方法であって、前記分子を前記薬作用発 生団に適合させたときの相互作用エネルギーを評価し、そして、前記分子の相互 作用エネルギーを、生物学的活性と相関関係がある予め定められた活性化エネル ギーと比較する段階を含む該方法。 24.前記薬作用発生団が、エストロゲン薬作用発生団、抗エストロゲン薬作 用発生団、アンドロゲン薬作用発生団、甲状腺ホルモン薬作用発生団及び毒作用 発生団からなる群から選択される請求項23に記載の方法。 25.分子を毒性薬作用発生団への適合能力について試験して、前記分子を毒 性についてスクリーニングする方法であって、前記分子を前記薬作用発生団に適 合させたときの相互作用エネルギーを評価し、そして、前記分子の相互作用エネ ルギーを、毒性活性と相関関係がある予め定められた活性化エネルギーと比較す る段階を含む該方法。 26.所望の活性を有する薬作用発生団に適合させたとき予め定められた最小 の活性化エネルギーを有する分子構造を決定する段階を含む、所望の生物学的活 性を有する分子を設計する方法。
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