JPH09505702A - バイノーラル信号処理装置 - Google Patents

バイノーラル信号処理装置

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Abstract

(57)【要約】 聴取者が最大のバイノ−ラル効果を経験できる領域のサイズ(スイ−ト・スポット)を増加させ、それにより聴取者が聴取中にその頭を動かせるようにするため、左右のバイノ−ラル・チャンネル(2L,2R)に導入された信号減衰が,左右の横送りチャンネル(22L,22R)により導入された信号減衰に関連して調整される、例えば、スイ−ト・スポットに残っている相当な量のクロス・ト−ク信号があるように横送りフィルタ(24L,24R)の伝達関数を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】 バイノ−ラル信号処理装置 本発明は、バイノ−ラル信号処理装置に関する。 歴史的に,ステレオという用語は,二つまたはそれ以上の伝送チャンネルで音 の再生に適用するために1950年代に作られた。1960年代には,ダミ−ヘ ッド(dummy-head)マイロホン技術を用いて録音することへの関心が復活し,「 バイノ−ラル」という表現は,もっぱらこのような手段により録音するため,そ して人間の頭と外側の耳の音響処理効果が統合されたものの電子的等価物のため に作られた。本明細書において,バイノ−ラルという用語はダミ−ヘッド録音, 及び統合された録音の両者をカバ−することを意図している。 ステレオ効果の最初のデモンストレ−ションは1890年代にパリで行われた と思われている。その時,ステ−ジの前面を横切って並べ置かれた多数のマイク ロホンが各々隣接した空間にある個々のイヤホンに接続され,聴取者は隣接した 一対のイヤホン(及びマイクロホン)の使用が空間的特性で非常にリアリステイ ックな音を作ることを発見した。ダミ−ヘッド型サウンド再生方法を最初に明示 した報告は,1927年のUS-A-1,855,149に現れている。その中で,目的は左と 右の信号間の自然な,頭と関連した到達時間と振幅の差がサウンドに音響的に巻 き込まれ仮想サウンド源が確保されるよう,聴取者の左右に直接置かれたイヤホ ン再生器または等距離に置かれたラウドスピーカのどちらかを用いて再生ができ るようなやり方でサウンドを録音することであった。Blumleinにより1931 年に出願されたGB-A-394325は,従来の今日のステレオに関するも のであり,二つまたはそれ以上のマイクロホンの使用と伝送回路の適切な要素が ,デイスクをカットし信号を録音する手段と共にラウドスピ−カ−の指向性依存 (directional-dependent)音量を提供するために用いられた。ステレオサウンド の録音と再生は,1950年代まで商業的には開発されなかった。現在,ステレ オの最も共通した形は以下のようである。 (i) 振幅に基礎を置いたステレオ:多数の個々のモノ−ラルな録音が,パン・ポ ッテイングのみによる(左−右のラスドスピ−カの差を造りだすため)試聴ラウ ドスピ−カの間のサウンドステ−ジに置かれている。 (ii)(i) の強化版:人工的反響と他の効果が空間的側面(空間音響,及び距離) を強化するために追加された。 (iii) 生の録音:(a)一致させるか,または(b)空間的に離れた(頭一つま たはその程度)ようにするため,一対のステレオ・マイクロホンが用いられる。 後者の(iii(b))のみが実際の自然な音響的イメ−ジの再生をある程度行った が,バイノ−ラル信号を造りだすためのダミ−ヘッド録音方法の使用がステレオ のイメ−ジを改善するため実験されていた1950年代以来,幾つかの断続があ った。 ダミ−ヘッド(バイノ−ラル)録音は人工的な等身大の頭と,ある時は胴体を 具備しており,そこには高品質の一組のマイクロホンが耳の管部に設けられてい る。外側の耳の部分は平均的人間の寸法にしたがって再製されており,マイクロ ホンが録音するサウンドが,頭脳部によって用いられるすべての自然サウンドの 定位の合図を所有するようにするため,ダミ−ヘッドと耳により音響的に巻き込 まれるように,シリコンゴムまたは類似の材料から造られる。 バイノ−ラル録音はヘッドホンで聞く時,すぐれた特性を有して いることは長く認識されてきた。サウンドは頭の内側よりむしろ外側で定位(lo calize)され,三次元では聴取者の頭の上と後ろで定位される。しかし,バイノ −ラル録音の音調の質は現実味を帯びておらず,広いバンド幅が存在する場合に 音楽を聞くとき,特に目立つことが長く認識されてきた。これは実際,二つの一 対の耳を連続して通過する音により生じる。第1はダミ−ヘッドのそれであり, 第2は聴取者のそれである。一般的に言うと,数kHzの周波数で生じシステムの 中間の範囲のゲインを押し上げる外側の耳の主たる空洞(耳殻)と関連した共振 があり,そのため耳を通る二つの通過の結果は,サウンドが低周波数と高周波数 の両方の内容が欠けて現れ,薄いそして貝殻のように感じられる。 この「二度耳を通る効果」("twice-through-the-ears"effect)を補償するた めに,スペクトル応答を形づくるためのオ−デイオ・フィルタ−を用いることが 知られている。本質的に,必要なのは空気から耳への伝達関数を補足するフィル タ−であり,それは以下のうちの一つである。 1.ヘッドホンから耳:関数はヘッドホン製造者と型により異なる。 2.ラウドスピ−カから耳:関数はラウドスピ−カからの発生角度と距離の両者 に依存する。 3.自由フィ−ルド対放散フィ−ルド(diffuse-field)条件:伝達関数は自由フ ィ−ルド(無反響の)及び放散フィ−ルド(反響の)条件の両者の下で測定され る:これは上記2に適用する。 4.妥協:幾つかはヘッドホンとラウドスピ−カの試聴の両方に適切な単一の均 等化手段を提供する試みがされた。 均等化(equalization)に係る上記コメントは,知覚されるサウンドの音調の 質に関係しているが,バイノ−ラル信号のラウドスピ −カ再生に適用可能な第2の重要な訂正要因(correction factor),即ち,聴 覚を通るクロス・ト−ク消去(transaural cross-talk canncellation)がある。 バイノ−ラル再生において,録音された情報は,複数の耳の間に存在する音響 的クロス・ト−ク(聴覚を通るクロス・ト−ク)を含むプロセスと通常関連した 好ましくない効果を伴わずに効率的に聴取者に移動されることが望ましい。サウ ンド信号の効率的移動は,様々な聴覚の定位の合図(aural localization cues) −左右の耳の信号の間の到達時間差やスペクトル情報のような,個々のサウンド 源の空間的位置を見積もるために頭脳部が使う様々な性質−の効力を維持するた めにバイノ−ラル録音にとって特に重要である。聴取者の右の耳は右のラウドス ピ−カからの信号のみを聞くことを確実にするため,左のラウドスピ−カから右 の耳に到達する信号を右耳では消すことが必要である。同じような要件が,右の ラウドスピ−カからサウンドが聞こえないように左の耳に当てはまらなければな らない。クロス・ト−ク消去の必要性を最初に認識したのは,B.B.Bauer,J.Audi o Eng.Soc9,(2),1961,pp148-151,であり,彼はこのためのアナログ回路を記載し ている US-A-2,236,949は,各々バイノ−ラルな一対の信号の一つが他に結合し,一対 の横送りフィルタ−を含める事により聴覚を横切るクロス・ト−クを消去するこ とについて述べている。しかし,ここにはクロス・ト−ク補償のような問題が存 在する。もし,ラウドスピ−カが一対のヘッドホンにより置き換えられたなら, そのときクロス・ト−ク(即ち,右のラウドスピ−カからの左耳によるサウンド の聴取,及びその逆)は,ラウドスピ−カが耳にカップ状に覆いかぶさり補償が まだされているため相当程度まで生じない。これはそうでなければ深く現れない ので,ヘッドホン・サウンドイメ−ジに いくぶん縮小した効果を与える。さらに,個々のラウドスピ−カ(ヘッドホンに 対して)の場合,サウンド・フィ−ルド内での聴取者の頭の動きはバイノ−ラル 効果の歪みを起こすかもしれないし,ある場合は効果が失われるかもしれない。 US-A-5,136,651,は,10kHzのカットオフを持つロ−パスフィルタまたは左 右の再生チャンネル間の補償チャンネルにおける最小位相フィルタによる聴覚を 通るクロス・ト−ク消去が開示されている。この構成の目的は,聴取者の頭の位 置と独立に消去効果を作ることである。 にもかかわらず,さらなる改良が聴取者の頭の正確な位置または態度と独立に 消去効果を作ることが望まれる。 一般的な観点において,本発明は連続再生のためのバイノ−ラル信号を処理す るための装置を提供するものであり,一対のバイノ−ラル信号を発生する変換手 段,左のバイノ−ラル信号を受ける左チャンネル,及び右のバイノ−ラル信号を 受ける右チャンネルを具備し,各チャンネルはブランチ・ノ−ド,加算接合(su mming junction),及びチャンネル・フィルタ手段を含み,左右のクロス・チャ ンネルの各々はそれぞれ左右のブランチ・ノ−ドと左右の加算接合部の間に接続 され,各クロス・チャンネルは再生または録音手段に結合されている左右のチャ ンネルの出力を持ったクロス・チャンネル・フィルタを含み,横送りチャンネル により導入された信号減衰に関連して左右のチャンネルにより導入された信号減 衰は,録音された信号が再生されるとき,聴取者の頭のための最適の領域で,聴 取者により経験されるバイノ−ラル効果を著しく変化させることなく,領域内で 聴取者の頭の動きと回転が許容されるような意味のある量のクロス・ト−ク信号 を残すようにするため,意味のある残りのクロス・ト−ク信号が録音された信号 の中に残るようにすること を特徴としている。 別の観点において,本発明はバイノ−ラル信号処理装置を提供するものであっ て,該装置は一対のバイノ−ラル信号を発生する変換手段,左のバイノ−ラル信 号を受ける左チャンネル,及び右のバイノ−ラル信号を受ける右チャンネルを具 備し,各チャンネルはブランチ・ノ−ド,加算接合,チャンネル・フィルタ手段 ,及び録音または再生手段に結合された出力を含み,左右のクロス・チャンネル の各々はそれぞれ左右のブランチ・ノ−ドと左右の加算接合部の間に接続され, 横送りチャンネルにより導入された信号減衰に関連して左右のチャンネルにより 導入された信号減衰は,最適の聴取位置における聴取者の耳にクロス・ト−ク信 号が存在するようにされ,クロス・ト−ク信号の大きさは,Gが前記チャンネル ・フィルタ手段の伝達関数であり,Aが聴取者の遠い方の耳への変換器からの音 響透過関数であり,xが関連するチャンネル減衰により決定される要因であり, x≦0.95である場合,GA(1−x)の関数であることを特徴とするもので ある。 このように,チャンネルの減衰値を調整する効果は,そこで聴取者の耳におい て完全なクロス・ト−ク消去が達成され,聴取者の頭で経験される信号を理想的 な値から一部のみのクロス・ト−ク消去が達成できる値に変化させることである 。しかし,残りのクロス・ト−ク信号がGA(1−x)(0.5≦x≦0.95 )として表される場合,不完全なクロス・ト−ク消去は平均的聴取者にとってそ れほど目立つわけではなく,最大のクロス・ト−ク消去が生じ,また受入可能な 再生が生ずる空間が相当拡大されることが注意深い観察からわかった。 以下に示すように,0.95の領域でのxの値,及び聴取者がラウドスピ−カ から7フィ−トで,主に聴取者が向いている方向に対 し横方向を除きどの方向でもインチオ−ダ−の頭の動きは許容される。この領域 は実質的な頭の回転も許容し,聴取中の頭の正常な動きのためには十分である。 加えて,相対的に少しの量のクロス・ト−ク信号が存在するだけであるから,聴 取者の耳でのサウンドの見かけ上の方向は,耳に対し正常な発生であるようにさ れ,本当の三次元サウンド効果が作られる。「耳に対し正常な発生(normal inc idence to the ears)」なる用語は,サウンドの方向が水平平面で90°の方位 角で右側に発生するように聞こえることを意味する(0°の方位角は聴取者の真 正面の方向に対応し,180°は真後ろに対応する)。 0.5の領域のxの値では,1フ−トのオ−ダ−の相当実質的な動きが許容さ れる。例えば,聴取者が知覚するサウンドの質を変えることなく座る位置を変え ,相対的に自由に頭を動かし,回転させることを許容する。しかし,xの値が減 少するにしたがい,例えば,聴取者の頭に対し正常な方向から来るように意図さ れたサウンドは,事実約50°の方位角で現れるので,バイノ−ラル信号により 達成される三次元サウンド効果は下がる。この点で,専門の聴取者はサウンドの 再生品質がバイノ−ラル効果が役立たなくなる点まで下がったことを評価するで あろう。もちろん,ある聴取者がもう一人の聴取者より寛容であるかもしれない のでこれら量的制約はやや主観的である。しかし,実際に価値ある効果はxが0 .5と0.95の間で達成されたことがわかった。 好ましくは,xは聞こえる周波数の範囲の周波数に依存せず,にもかかわらず 周波数へのいくらかの依存はxが上記範囲内に留まれば許容される。 アナログの実施において,望ましいクロス・ト−ク消去要因を達成する最も単 純なそして最も効果的な方法は,左右のチャンネルの 間の横送り路に減衰xを与えるような値の分圧器を挿入するか,または,横送り フィルタ−の信号路に分圧器を挿入することである。デイジタルの実施において ,減衰はフィルタ内での信号路のスケ−リング要因として導入できる。 クロス・ト−ク消去及び他の訂正手段は,好ましくはバイノ−ラル信号を作る 変換器とこのような信号を録音する手段の間の回路に配置される。他の配置も可 能である。例えば,消去は録音の後のサウンド再生システムで提供される。他の 配置では,一度訂正されたバイノ−ラル信号は録音されず,しかし,再生のため 例えば隣接した空間に,または無線結合で直接伝送される。左右のチャンネルの 加算結合は,どのような都合の良い形,例えば,単純なワイヤ−結合,または入 力が選択された非反転及び反転入力に加えられたオペアンプでよい。二つの信号 の値を減ずることが望ましい場合,一つの信号は負の量として加算接合に印加し てもよいし,また正の量としてアンプの反転入力に印加してもよい。デイジタル の実施において,加算ノ−ドは横送り及びチャンネルフィルタのデイジタル表現 (digital representation)に組み込んでもよい。 図面の簡単な説明 本発明の好ましい実施の形態は,以下の添付の図面を参照して記載する。 図1は,バイノ−ラル再生システムにおいてクロス・ト−クを消去するための 公知の配置を示す図である。 図2は,図1の音響的透過関数の周波数依存性を示すグラフである。 図3は,本発明の好ましい実施の形態の概略図である。 図4は,図3の実施の形態のための横送りフィルタと主チャンネ ルフィルタのの概略図である。 図5は,可変xの種々の値のためのA/S比の関数としてのクロス・ト−ク消 去のグラフである。 図6及び図7は,いかに「スイ−ト・スポット」サイズと再生されたサウンド の90°方位角の見かけ上の配置角(apparent placement angle)が異なったク ロス・ト−ク要因で変化するかを示すグラフである。 先行技術の記載 図1を参照すると,これはUS-A-3,236,949に記載されたシステムを示しており ,左側伝送チャンネル2Lと右側伝送チャンネル2Rを具備する。各チャンネル は,それぞれダミ−ヘッド・マイクロホン5L,5Rから発するバイノ−ラル信 号を受けるための入力4L,4Rを有する。各チャンネルはその路に連続的に, ブランチ・ノ−ド6L,6R,加算接合8L,8R,コレクション・フィルタ1 0L,10R,ゲイン調整フィルタ12L,12R,及び録音手段13L,13 Rを有している。録音された信号は連続的に再生手段14L,14Rで再生され ,ラウドスピ−カ変換器15L,15Rに与えられる。これらラウドスピ−カは 変換器から聴取者の隣接した耳への直接信号路18L,18Rを経て,聴取者1 6の頭にサウンドを提供しており,この伝送路18L,18Rは透過関数(trans mission function)Sを有している。また,ラウドスピ−カから聴取者の遠いほ うの耳への間接信号路20L,20Rを経て,聴取者16の頭にサウンドを提供 しており,この伝送路20L,20Rは透過関数Aを有している。 加えて,横送りチャンネル22L,22Rは,他の伝送チャンネル2のブラン チ・ノ−ド6と加算接合8の間に延びている。各横送 りチャンネルは横送りフィルタ24L,24Rを含んでいる。 聴取者16は,0°方位角として表された方向でラウドスピ−カ15に向いて いる。これと反対の方向である頭の後ろは180°方位角であり,耳への正常な 入射の方向は90°である(聴取者の右側は正の値を表し,左側は負の値を表す )。ステレオ聴取のためのラウドスピ−カは,聴取者16と形成する三角形の頂 点に関し30°の角度をなすように置かれ,そのためAとSが直接測定により, 理想的には平均的人間と同じ物理的特徴とデイメンションを持ったダミ−ヘッド から確定することができる。典型的な透過関数AとSの振幅成分は,図2に示さ れており,対数の周波数スケ−ルを用いて測定される。約5kHzで両者の関数に おいて際立った最高値があるのがわかる。これは外側の耳の主たる空洞(耳殻) の共振に対応している。 図1を再度検討すると,頭を横切るクロス・ト−クが全くなかったなら,右の 音源から右耳への1の透過関数,及び右の音源から左の耳への0の透過関数が, 単に音源とラウドスピ−カの間に連続(1/S)関数(同じ側の透過関数の逆) を加えることにより達成される。クロス・ト−クの存在は,しかし他のラウドス ピ−カにより提供される消去信号を必要とするが,この消去信号は第1の耳に対 してクロス・ト−クであり,消去されなければならない(そして,無限に)。ク ロス・ト−ク消去はRに透過関数C−これは(A/S)に等しくされる−を持っ た横送りフィルタ24Rを経て入力4Rを与え,加算接合8Lで左チャンネル2 Lに加えることにより達成される。次に,関数1/(1−C2)を持った連続コ レクション・フィルタ−10は,多重消去問題を扱う。検査により,このスキ− ムは理論的に理想的な解決を提供することがわかる。右側入力(R)から右側の 耳(r)への全体の透過関数Rr(f)は, 右側入力(R)から左側の耳(1)への全体の透過関数Rl(f)は, る。 低周波において,AとSは殆ど同じである(振幅と位相の両者において)。 この先行技術の構成について二つの重要な点がある。第1に,大変うまく動作 する。しかし,第2に,それは聴取者の位置に大変左右される(もし,聴取者が 正面方向から10°以上頭を回転したなら,リアリステイックな幻覚は消え去り ,しばしば,頭の中の感覚に変化する)。 しかし,ヘッドホンを使った時クロス・ト−クが実際に同じ程度に存在しなか ったとき,クロス・ト−ク信号を消去する効果によってヘッドホンイメ−ジはい くぶん低下することがわかった。そうでなければ現れであろう深さがないため, 効果はサウンドイメ−ジをいくらか縮める。このイメ−ジは,しかし,「頭の外 側」効果を維持しており,この点では従来のステレオに対し相当な改善である。 好ましい実施の形態 本発明の目的は,先行技術より(a)聴取者の位置に対しより寛容であり,( b)より良いヘッドホンイメ−ジを提供するバイノ−ラル再生システムを提供す ることである。ラウドスピ−カ聴感を経て必要な三次元効果を達成するために, すべての聴覚を通るクロス・ト−クを消去することは本質的なことではないこと が,われわれの観察から達成できた。もし,クロス・ト−クが部分的に消去され るのみであるなら,二つの利点がある。第1に,先行技術の体系のわずかの位置 依存人工構成(artifacts)は除去され,第2に,より少ない消去しか起きないの で,結果として強められたイメ−ジの深さでヘッドホンイメ−ジは十分なバイノ −ラル録音をより表すものとなる。部分的消去体系は好ましい実施形態ではすべ てのバンド幅に適用され,そして部分的消去の程度は最適の範囲を持っている。 これは図3を参照して以下に記載されており,そこでは図1に類似の部分は同じ 参照数字で示されている。 図3において,横送りフィルタ30L,30Rは,関数xCを有している,即 ち,図1のそれと比較しフィルタに減衰要因xが導入された。遅延要素(示され ていない)は,主チャンネルの信号と横送りチャンネルの間の位相関係が,サウ ンドが再生された時に消去信号が初期の信号と同時に到達するよう保存されるよ うにするため,接合6と加算接合8の間の横送りチャンネル路に挿入することが できる。デイジタルの実施では,しかしながら,フィルタ・ブロックそれ自身に 時間遅延を組み込むことは可能であり,その場合,外部の遅延要素は不要になる 。加えて,単一のフィルタ34L,34Rが主チャンネル路に導入される。それ は図1のフィルタ10,12の関数を包含するが,新しいフィルタ関数Gを持っ ている。 正確で,部分的クロス・ト−ク消去の必要なゴ−ルを提供するた め,一方,右の音源と右の耳の間の単一のゲイン(即ち,Rr(f)=1)があ るような,前記のような多重消去問題を正確に扱い,x,A及びSで明示的にG を定義することは可能である。 右の入力(R)から右の耳(r)への全体の透過関数Rr(f)は, そして,この関数は上記のように単一のゲインのために1に等しくなければなら ず、このため、 この結果は,GはA,S,そしてxの関数になるということである。このよう に比較的高い程度のクロス・ト−ク消去は,A<Sのとき生じ,そしてクロス・ ト−ク消去はAがSに接近するとき減じる(例えば,大変低い周波数において) 。これは本質的に安定なシステムを創りだし,本発明のもう一つの重要な利点で ある。最大限のクロス・ト−ク消去が低周波でなされている先行技術システムは ,AとS関数が低周波に集中するため,実際的ではない。 右の入力(R)から左の耳(1)への全体の透過関数Rl(f)は, (4)を代入すると, 横送りゲイン要因xの幾つかの異なった値を用いた(A/S)の関数(常に0と 1の間にある)としてクロス・ト−ク要因Rl(f)が図5に示されている。 図2に示されているように,AとSの間の差は,殆どの部分で,2kHzより上 で10dBより大きく,700Hzより上で5dBより大きい。したがって,最も控え めな0.8の横送り消去要因(x)でも,それぞれ−17dBと−12dBの対応す るクロス・ト−ク抑制値をもたらす。(x=0.9で,さらに−20dBと−12 dBにそれぞれ改善された)。実際,優れた結果がx=0.9の値を用いることに より達成された。 SとAがほぼ等しい場合でさえ,(S2−xA2)は限定されるが,にもかかわ らず安定したクロス・ト−ク要因があるということを式(6)から言える。 図4を参照すると,これは図3のフィルタ30と34の概略図を示す。図4a に示された横送りフィルタ30は,一連のサンプル時間遅延Z-142,遅延要素 と加算接合46の間のノ−ドの間に結合されたタッピング・パス44を持った入 力信号路40を具備している。各タッピング・パスは乗算機を持っており,そこ では適当なスケ−リング要因Cnが通路で信号に加えられる。加算接合46の出 力はその値がxである減衰要素50を持っている。このようなフィルタは限定さ れたインパルス応答フィルタであることがわかる。要素50により導入された減 衰要因は入力路40に導入できるかもしれないし,またスケ−リング要因Cnの 修正により導入してもよい。 フィルタ34の概略図を示す図4bを参照すると,図4aと類似した部分は同 じ参照番号で表されている。このフィルタで,スケ−リング要因Dnは乗算機4 8に加えられ,これらスケ−リング要因 は式(4)から導かれる。このように種々のスケ−リング要因Dnの効果は式( 4)に示されたフィルタ関数を作ることである。 図6及び7を参照すると,これらは聴取者に係る部分的クロス・ト−ク消去の 効果を描いた二つのグラフを示している。この効果は必然的にある程度主観的で あるが,このグラフは経験的に聴取経験のあるこの分野の専門家から得られたも のである。この分野の専門家は,30°の方位角で約7.5フィ−ト(2.3m )の距離での図3に示されたようなスピ−カの配置で聴取している。記録された 経験的結果は実際にグラフにおいて長方形で示されている。 図6は横軸に沿ったクロス・ト−ク消去の程度と縦軸に沿った見かけ上の配置 角または方位角Θを示す図である。完全なバイノ−ラルシステムにおいては,知 覚されたサウンドは本当に三次元であり,ラウドスピ−カの角度の外側の方向か ら耳に到達したように作られる。聴取者の耳にに対し正常な方向(90°の方位 角)から到達するようなサウンドを作ることは可能であり,図6は聴取者の耳に 正常に到達するよう意図された知覚されたサウンドに係るクロス・ト−ク消去の 程度の効果を示したものである。100%消去では,到達の方位角は意図された ように聴取者の耳に対し90°である。グラフはゼロ消去で30°の値までゆっ くり連続的にカ−ブが下がる。 配置角はx=0.5で50°の値まで相対的に速く減少し,x=0.5と0の 間でゆっくり減少する。このようにx=0.5は,当該分野の専門家にとってバ イノ−ラル効果がなくなるか,または本当のバイノ−ラル効果が減少しはっきり しなく低位の限界を表し,これは聴取者が向いている方向に対し50°の角度で 到達する,聴取者の耳に対して正規に到達するように意図されているサウンドに 対応する。明らかにこれは主観的であるが,示されたグラフは当該 分野の専門家の間の平均的手段を表している。 図7は類似のグラフであり,縦軸は「スイ−ト・スポット」サイズ,即ち,聴 取者がその頭を位置し,最高のバイノ−ラル効果を経験できる領域を表す。10 0%クロス・ト−ク消去は,システムは図1の先行技術システムに対応しており ,そこでは聴取者がその頭を位置することが出来る唯一の特別な位置があり,も し彼がその位置から動いたら,バイノ−ラル効果は下がってしまう。非常に小さ な量の残りのクロス・ト−クのみで,スイ−ト・ポットのサイズはx=0.9で 急速に増加することがわかる。95%のクロス・ト−ク消去で,聴取者の頭のど ちらかの側面数インチにスイ−ト・スポットの合理的サイズが生ずることがわか った。スイ−ト・スポットは実際,平均的位置のどちらかの側のスイ−ト・スポ ット内に聴取者が留まる限り頭を後ろに,前に,または垂直に動かし,回転でき るように,三次元に存在する。x=0.2とx=0.8の間で示されるように, スイ−ト・スポットサイズはゆっくり10インチより下で増加し,x=0.2よ り下ではサイズは再び急速に増加する。 0.95の消去で,聴取している間の聴取者の頭の正常な動きに適応できる十分 に大きなスイ−ト・スポットが提供されることが,当該分野の専門家の間の結果 を平均化する事によりわかった。示されているように,スイ−トスポットのサイ ズは50%で消去を減少させると連続的に増加し,例えば,聴取者は最大のバイ ノ−ラル効果を維持しつつ椅子の位置を動かせるようにするためには,スイ−ト ・スポットサイズは10インチ(25cm)のオ−ダ−である。 このように図6と7に表された観察の結果を組み合わせると良い結果は0.5 ≦x≦0.95で得られることがわかる。 ある状況において,記載された聴覚を通るクロス・ト−ク消去体系の二つの主 な要素を分離する事は望ましいということは重要であ る。これら二つの要素は,(a)クロス・ト−ク消去それ自身,及び(b)二度 聴覚を通過する効果のため補償するためのスペクトル均等化(equalization)で ある。この体系は,解明されたとき,音源から聴取者への理想的な伝達特性を提 供するための式がクロス・ト−ク消去とスペクトル均等化を同時に実行するフィ ルタネットワ−クを作るような,全体システムの一部として(第2の)空気から 耳への伝送要因Sの組み込みにより,これら要因の両者を同時に扱う。 しかし,スペクトル均等化なしに,クロス・ト−ク消去を提供するのみである システムを提供することは,便利である。 本発明の別の実施の形態(即ち,スペクトル等価なしの混信消去)は,S(む しろ1である)に等しい初期の(同じ側)耳への全体の伝達関数のための適当な 式を単に解くことにより,すでに達成可能である。右の入力(R)から右の耳( r)への全体の伝送関数Rr(f)は, これは上記のようにSに等しくなければならないので, これは前の式(4)とSの所産であり,その実行は図3のGのために(7)の 解決を単に置き換えることを含む。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シバルド,アラステア イギリス国,ミドルセックス ユービー3 1エイチエイチ,ヘイズ,ダウリー ロ ード(番地なし),セントラル リサーチ ラボラトリーズ (72)発明者 クレモー,リチャード デビッド イギリス国,ミドルセックス ユービー3 1エイチエイチ,ヘイズ,ダウリー ロ ード(番地なし),セントラル リサーチ ラボラトリーズ (72)発明者 ナックビ,ファワド イギリス国,ミドルセックス ユービー3 1エイチエイチ,ヘイズ,ダウリー ロ ード(番地なし),セントラル リサーチ ラボラトリーズ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.連続的再生のためのバイノ−ラル信号処理装置であって,一対のバイノ− ラル信号を発生する変換手段,左のバイノ−ラル信号を受ける左チャンネル,及 び右のバイノ−ラル信号を受ける右チャンネルを具備し,各チャンネルはブラン チ・ノ−ド,加算接合,及びチャンネル・フィルタ手段を含み,左右のクロス・ チャンネルの各々はそれぞれ左右のブランチ・ノ−ドと左右の加算接合部の間に 接続され,各クロス・チャンネルは再生または録音手段に結合されている左右の チャンネルの出力を持ったクロス・チャンネル・フィルタを含み,横送りチャン ネルにより導入された信号減衰に関連して左右のチャンネルにより導入された信 号減衰は,録音された信号が再生されるとき,聴取者の頭のために最適の領域で ,聴取者により経験されるバイノ−ラル効果を著しく変化させることなく、領域 内で聴取者の頭の動きと回転が許容されるような意味のある量のクロス・ト−ク 信号が残るようにするため,意味のある残りのクロス・ト−ク信号が録音された 信号の中に残るようにすることを特徴とする,バイノ−ラル信号処理装置。 2.バイノ−ラル信号処理装置であって,該装置は一対のバイノ−ラル信号を 発生する変換手段,左のバイノ−ラル信号を受ける左チャンネル,及び右のバイ ノ−ラル信号を受ける右チャンネルを具備し,各チャンネルはブランチ・ノ−ド ,加算接合,チャンネル・フィルタ手段,及び録音または再生手段に結合された 出力を含み,左右のクロス・チャンネルの各々はそれぞれ左右のブランチ・ノ− ドと左右の加算接合部の間に接続され,横送りチャンネルにより導入された信号 減衰に関連して左右のチャンネルにより導入された信号減衰は,最適の聴取位置 において聴取者の耳にクロス・ト−ク信 号が存在するようにされ,クロス・ト−ク信号の大きさは,Gが前記チャンネル ・フィルタ手段の伝達関数であり,Aが聴取者の遠い方の耳に対する変換器から の音響透過関数であり,xが関連するチャンネル減衰により決定される要因でx ≦0.95である場合,GA(1−x)の関数であることを特徴とするバイノ− ラル信号処理装置。 3.O.5≦xである請求項2に記載のバイノ−ラル信号処理装置。 4.横送り路の伝達関数はx(A/S)の関数であり,Sは変換器から聴取者 の近い方の耳への音響透過関数である請求項2または3に記載のバイノ−ラル信 号処理装置。 5.横送りフィルタの伝達関数がx(A/S)の関数である請求項4に記載の バイノ−ラル信号処理装置。 6.横送りフィルタがそこに減衰スケ−リング要因xを持つ信号路を有する請 求項5に記載のバイノ−ラル信号処理装置。 7.チャンネル・フィルタ手段のゲインGが,G=S(S2−xA2)-1与えら れる請求項2から請求項6のいずれかに記載のバイノ−ラル信号処理装置。 8.チャンネル・フィルタ手段のゲインGが,G=S2(S2−xA2)-1与え られる請求項2から請求項6のいずれかに記載のバイノ−ラル信号処理装置。 9.加算接合がその入力に存在する信号を加える働きをするか,またはその入 力に存在する信号を減じる働きをする,請求項1から請求項8に記載のバイノ− ラル信号処理装置。 10.添付の図3から7に参照して実質的に記載されたバイノ−ラル信号処理 装置。
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