【発明の詳細な説明】
植物ブリオニア・ディオイカから単離された新規なリボソーム不活性化タンパク
質相互参照
本願は1993年10月25日提出の米国特許出願第08/141,891号の一部継続出願(そ
の内容は引用することによって本明細書の一部とされる)である。発明の分野
本発明は、植物ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)からの新規な先端
の単離および特性決定に関する。このタンパク質をコードするオリゴヌクレオチ
ド配列およびそのアミノ酸配列が決定された。本発明は、また、新規なタンパク
質と、種々の腫瘍関連抗原に対して免疫学的に特異的な抗体とを含んでなる免疫
複合体、およびリボソーム不活性化活性および標的特異細胞に結合する能力を有
する、組換え的に構築された融合タンパク質に関する。このタンパク質の組換え
発現および化学的合成の方法は、本発明の一部分と考えられる。癌の治療におい
ておよび種々の医薬組成物の活性剤として、これらの免疫複合体およびトキシン
融合タンパク質を使用することは、また、本発明の一部分と考えられる。発明の背景
タンパク質合成を阻害するタンパク質は、植物、細菌および真菌を包含する種
々の生物から単離されてきている。これらのタンパク質トキシンは、それらを生
産する生物の増殖のために選択的利点を
提供するために、生物により生産されると考えられる。これらのトキシンが見出
される生物の分岐する進化の背景にかかわらず、ほとんどのトキシンは顕著に同
様な作用機構を有する。トキシンの1つの特定のグループは、伸長因子2(EF−
2)を直接修飾するか、またはEF−2がタンパク質合成において機能することが
できないようにリボソームそれ自体を修飾することにより、タンパク質合成をブ
ロックすることによって、その作用を発揮する。このクラスのトキシンであるリ
ボソーム不活性化タンパク質(RIPs)は、いくつかの族の植物から単離すること
ができる。
植物のリボソーム不活性化タンパク質は、それらの構造に基づいて2つのグル
ープに分割された。I型リボソーム不活性化タンパク質(I型RIPs)は、リボソ
ーム不活性化活性を有する一本鎖を含有する。I型RIPsの例は、ゲロニン、サポ
リン、トリコサンチンおよびブリオジンを包含する。II型リボソーム不活性化タ
ンパク質(II型RIPs)は2つの鎖、すなわち、EF−2を不活性化することができ
るA鎖、およびレクチン様性質を有する細胞結合ドメインを含有するB鎖、から
構成されている。結合ドメインはII型RIPsが多数の細胞型に結合し、そしてこれ
らの細胞を殺すことができるようにする。II型RIPsの例は、リシンおよびアブリ
ンである。
2つの型のリボソーム不活性化タンパク質はそれらの構造が異なるが、双方の
型は、28SrRNAの位置4324におけるアデニン残基のN−グリコシド結合の切断を
通して真核性リボソームの60Sサブユニットを不活性化することによって、タン
パク質合成を阻害する(EndoおよびTsurugi 1987,J.Biol.Chem.262:8128-81
30;Stirpe,F.et al.1988,Nucl.Acid Res.16;1349-1357)。
リボソーム不活性化タンパク質は、カリオフィラセエ(Cariophyllaceae)、ク
クルビタセエ(Cucurbitaceae)、エウフォルビアセエ
(Euphorbiaceae)およびフィトラクカセエ(Phytolaccaceae)を包含する植物の
いくつかの族から単離されてきている。トキシンは特に植物の根、種子および葉
から単離されてきている。ゲロニウム・ムルチフロルム(Gelonium mulotifloru
m)(Euphorbiaceae)、モモルディカ・カラニチア(Momordica charanitia)(
Cucurbitaceae)、ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)(Cucurbitaceae
)、サポナリア・オフィナリス(Saponaria officinalis)(サボリン−5a、サ
ボリン−5b、サボリン−6a、サボリン−6b)(Cariophyllaceae)の種子および
サポナリア・オフィナリス(Saponaria officinalis)(サボリン−1)の葉か
ら単離されたRIPsのN−末端のアミノ酸配列が比較された。トリコサリテス・キ
リロィイ・マキシム(Trichosarthes kirilowii maxim)およびバーレイ(Barley
)種子タンパク質合成インヒビターからのI型RIPについて、完全なアミノ酸配
列が決定された。これらの比較により、トキシンのブリオジンおよびモモルジン
(ククルビタセエ族の構成員)の少なくともN−末端領域はリシンA鎖と、およ
びエウフォルビアセエ族の構成員であるゲロニンと、高いレベルの類似性を示す
ことが明らかになった。この類似性は同様な進化の起源の結果であると考えられ
る。ククルビタセエおよびエウフォルビアセエの族のRIPsとフィトラクカセエま
たはカリオフィラセエの族のそれらとの間において、非常にわずかの類似性が見
出された(Montecucchi et al.,1989,Int.J.Peptide Protein Res.33:263-
267)。同一種から単離されたRIPsのN−末端領域のアミノ酸配列において類似性
が見出されるが、多数の差は同一植物の異なる組織から単離されたトキシンの間
に事実存在する。
ブリオジン(bryodin)と表示するプラスミドタンパク質トキシンは最初にブリ
オニア・ディオイカ(Bryonia dioica)の根から単離
された27〜30kDalのタンパク質として同定された(英国特許出願第GB2194948号
、1988年3月23日公開)。このトキシンはI型リボソーム不活性化タンパク質で
あり、そしてこのタンパク質は一本鎖と、伸長因子−2との生産的相互作用をブ
ロックすることによってリボソームを不活性化する作用機構とを有する。細胞結
合ドメインをもたないことにおいて、ブリオジンは、他のI型RIPsと同様に、哺
乳動物細胞に通常結合しない。このタンパク質は、ゲル濾過により約27,300ダル
トンそしてポリアクリルアミドゲル電気泳動により約28,800ダルトンの分子量、
および9.5の等電点を有することが示された。このトキシンはウサギ網状赤血球
リゼイト系においてタンパク質合成を阻害することが発見され、コムギ胚芽リボ
ソームは3.6ng/ml(ID50)において静脈内に投与したとき、マウスににおけるL
D50は14.5mg/kgである。N−末端のアミノ酸配列は下記の通りであると決定さ
れた:
第2のリボソーム不活性化タンパク質がブリオニア・ディオイカ(B.dioica)
の葉から単離された(欧州特許公開EPO第390,040号、1990年10月3日公開)。こ
の分子はゲル濾過により約27,300ダルトンそしてポリアクリルアミドゲル電気泳
動により約28,800ダルトンの分子量、および9.5の等電点を有することが示され
、そしてブリオジン−Lと表示された。この型のブリオジンはウサギ網状赤血球
リゼイト系においてタンパク質合成を0.1nM(3.6ng/ml)のEC50
で阻害することが発見され、そして静脈内に投与したとき、マウスににおける10
mg/kgのLD50を有する。アミノ酸分析も提供されたが、アミノ酸配列は開示され
ていなかった。
リボソーム不活性化タンパク質は、「イムノトキシン」の成分としての有用性
のために、重要である。イムノトキシンは、特定の標的細胞にトキシンを選択的
に向けることができる抗体に連鎖されたトキシン部分から成るハイブリッド分子
である。潜在的標的細胞は、有害な細胞、すなわち、新形成細胞、ウイルス感染
細胞、免疫担当細胞または寄生細胞を包含する。イムノトキシンは、本発明にお
いて定義するとき、トキシン分子、例えば、リボソーム不活性化タンパク質、細
胞特異的に連鎖した化学的複合体であることができる。多数の異なるリボソーム
不活性化タンパク質が知られており、そして新しいトキシンが発見されつつある
という事実は、複合化されていないとき単細胞に対して変化するレベルの固有の
毒性を有する種々の毒性部分を提供し、そして本来投与されたイムノトキシンに
対する長期間のin vivo治療の間の免疫応答を患者が発生したとき、利用可能な
別のトキシン源を提供する。さらに、いくつかのイムノトキシン、サポリン6お
よび抗Thy1.1抗体またはそのF(ab')2断片は遊離トキシンよりも毒性であり、新
しくかつ異なるトキシン分子に対する必要性を提供した。
本発明は、われわれがブリオジン2と表示したブリオニア・ディオイカ(Bryo
nia dioica)から単離された新規な植物タンパク質のトキシンを提供し、このト
キシンはそのオリゴヌクレオチド配列、アミノ酸配列、アミノ酸組成、動物にお
ける毒性および免疫原性により、ブリオジンおよびブリオジン−Lと区別される
。ブリオジン2は、癌、ある種のウイルス感染の治療、免疫応答の調節、および
他の疾患において使用する医薬組成物を処方するとき使用するため
の、追加のかつ多分いっそうすぐれたイムノトキシンおよびトキシン融合分子を
形成するために使用できる。発明の要約
本発明は、還元性条件および非還元性条件下にポリアクリルアミドゲル電気泳
動により約27,000ダルトンの分子量、ウサギ網状赤血球リゼイト系において約0.
017mMのEC50、静脈内に投与したとき、10mg/kgより大きくそして腹腔内に投与
したとき、約8mg/kgより大きいマウスにおけるLD50を有する一本鎖タンパク質
を含んでなる、新規なリボソーム不活性化タンパク質を含んでなる。本発明のリ
ボソーム不活性化タンパク質は、残基/モル基準で決定して下記のようなアミノ
酸組成物を含んでなる:
この新規なリボソーム不活性化タンパク質は、植物ブリオニア・ディオイカ(
Bryonia dioica)から単離され、そしてブリオジン2と表示された。ブリオジン
2は、以前にブリオニア・ディオイカ(B.dioica)および他の植物から単離され
たリボソーム不活性化タンパク質と、そのヌクレオチドおよびアミノ酸の配列、
およびそのア
ミノ酸組成、種々の生物学的アッセイにおけるタンパク質合成の阻害活性および
免疫反応性において異なる。
本発明の第2態様は、ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)から単離さ
れ、配列番号:15において描写されるブリオン2のアミノ酸配列を有するリボソ
ーム不活性化タンパク質をコードする単離されたオリゴヌクレオチド配列、また
は単離されたオリゴヌクレオチドの相補体を含んでなる。特に、単離されたオリ
ゴヌクレオチド配列は、配列識別番号:14において描写されるオリゴヌクレオチ
ド配列、またはリボソームを不活性化しそしてタンパク質合成を防止することが
できるタンパク質をコードする、その断片を含んでなることができる。
本発明の他の態様において、リボソーム不活性化タンパク質は、下記のアミノ
酸配列を含んでなるN−末端のアミノ酸配列を含んでなる:
リボソーム不活性化タンパク質は、また、下記の隣接の内部のアミノ酸残基から
さらに構成されることができる:
本発明のなお他の態様において、本発明のリボソーム不活性化タンパク質を組
換え発現する方法を記載する。組換え的に生産されたタンパク質は、ブリオジン
2、またはリボソーム不活性化活性を有するブリオジン2の断片または誘導体で
あることができる。この方法は、ブリオジン2をコードする相補的またはゲノム
のDNA、またはその断片または誘導体を製造し、宿主細胞における発現のために
必要な転写および翻訳の要素と作用可能に連鎖したコーディング配列を含んでな
るベクターを構築し、宿主細胞を前記発現ベクターで形質転換し、挿入されたコ
ーディング配列の発現を促進する条件下に形質転換された宿主細胞をインキュベ
ートし、そして発現されたリボソーム不活性化タンパク質を単離することを含ん
でなる。
他の態様において、本発明のリボソーム不活性化タンパク質はイムノトキシン
またはトキシン−リガンド複合体を形成するために使用することができる。イム
ノトキシンは、トキシンに連鎖された標的細胞集団と連合したレセプターまたは
他の受容部分と、特異的に結合するか、または反応的に連合または複合化するリ
ガンドまたは分子を含んでなる。本発明のリガンドは、免疫グロブリン、付着分
子、またはポリペプチド、ペプチドまたは非ペプチドのリガンドであることがで
きる。好ましくは、リガンドは、トランスフェリン、表皮成長因子、ボンベシン
、ガストリン、ガストリン放出タンパク質、血小板由来成長因子、インターロイ
キン−2、インターロイキン−6、形質転換成長因子、ステロイド、炭水化物ま
たはレクチンであることができるが、これらに限定されない。腫瘍関連抗原と特
異的に反応性の免疫グロブリン分子は特に好ましい。免疫グロブリンは、無傷の
免疫グロブリンの抗原認識断片、キメラ抗体、またはハイブリッド抗体であるこ
とができる。ルイスY関連抗原に対して免疫特異的であり、そして癌腫細胞によ
りインターナリゼートされている免疫グロブリンは、本発明において特に重要で
ある。詳しくは、本発明の好ましい態様は、アメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクション(American Type Culture Collection)に受託されそしてATCC HB1
0460と表示されたハイブリドーマにより生産されたキメラBR96免疫グロブリンを
含んでなる。
本発明の他の態様において、本発明のトキシンおよび/またはトキシン−リガ
ンド複合体は医薬組成物を形成するために処方することができる。本発明の医薬
組成物は、好ましくはブリオジン2またはブリオジン2−リガンド複合体と、生
理学上許容されるまたは製薬上の担体とを含んでなる。このような組成物は、ま
た、種々の緩衝剤、賦形剤、添加剤および医薬組成物を安定化する他の分子を含
むことができる。
なお他の態様において、本発明のリボソーム不活性化タンパク質は標的細胞を
殺す方法において使用することができる。このような方法は、標的細胞を有効量
のトキシン−リガンド複合体と接触させることを含んでなり、ここで複合体はリ
ボソーム不活性化タンパク質と、標的細胞に対して特異的なリガンドとを含んで
なる。トキシン−リガンド複合体は、標的細胞を殺すために十分な時間の間、標
的細胞を接触させる。好ましい態様において、トキシン−リガンド複合体はブリ
オジン2と、免疫グロブリンキメラBR96とを含んでなり、前記キメラBR96は、BR
96抗原を発現する腫瘍細胞と接触させるとき、腫瘍細胞を殺す。
なお他の態様において、本発明のリボソーム不活性化タンパク質は哺乳動物腫
瘍細胞の増殖を阻害する方法において使用される。この方法は、哺乳動物腫瘍細
胞を、腫瘍関連抗原に対して特異的なリガンドと複合化された本発明のリボソー
ム不活性化タンパク質と、阻害濃度において、哺乳動物腫瘍細胞の増殖を阻害す
るために十分な時間の間、接触させる工程を含んでなる。前述したように、最も
好ましい態様において、組成物はブリオジン2と、免疫グロブリンキメラBR96と
を含んでなる。図面の簡単な説明
第1図は、ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)の根から単離されたタ
ンパク質のCM−セファローズ(Sepharose)クロマトグラフィーからの吸収の読み
の結果を提供する。
第2図は、CM−セファローズクロマトグラフィーからの画分19〜27のSDS−PAG
E分析の結果である。レーンMは分子量標準を含有する:オバルブミン(分子量4
3,000)、炭酸アンヒドラーゼ(分子量
29,000)、β−ラクタマーゼ(分子量18,000)、リゾチーム(分子量14,000)、
ウシトリプシンインヒビター(分子量6,000)、およびインスリン(分子量2,000
)。
第3図は、TSK−3000大きさ排除クロマトグラフィーから得られたクロマトグ
ラムである。27kDaのバンドを含有する画分をCM−セファローズクロマトグラフ
ィーの分離からプールし、そして8mlより少なく濃縮した。この濃縮物をカラム
に適用し、そして吸収を280nmにおいてモニターした。
第4図は、部分的に精製されたブリオジンの大きさ排除クロマトグラフィーか
らの画分58〜64のSDS−PAGE分析について得られた結果である。レーンMは分子
量標準を含有する:オバルブミン(分子量43,000)、炭酸アンヒドラーゼ(分子
量29,000)、およびβ−ラクタマーゼ(分子量18,000)。
第5図は、ブリオジン2と他の植物トキシンとのN−末端のアミノ酸配列の間
の類似性の比較である。ブリオジン2(BD2);ブリオジン1(BD1;配列識別
番号:8);リシンA鎖(RA;配列識別番号:9);α−モモルカリン(αMMC
;配列識別番号:10);トリコサンチン(TCS;配列識別番号:11)およびルフ
ィン(配列識別番号:12)。
第6図は、臭化シアンおよびある種のプロテアーゼで処理した後、ブリオニア
・ディオイカ(Bryonia dioica)の根から単離された27,000タンパク質のバンド
の種々の断片について得られたアミノ酸配列を提供する。
第7図は、ブリオジン2と植物トキシンのモモルジンのペプチド断片から得ら
れたアミノ酸配列の整列を図解する。
第8図は、固定化されたリボソーム不活性化タンパク質に対して抗BD2抗体(
50−44−3)のELISA結合を図解する。検出はヤギ抗
マウスIgG1HRPを使用して実施した。BD2(□)、BD1(●)、リシンA鎖(■
)。
第9A図〜第9C図は、chiBR96−イムノトキシン複合体の精製を図解する。BR96
およびBD2をヒンダードジサルファイド連鎖を介して化学的に接合し、そして2
工程のクロマトグラフィーにより精製した。第9A図は、chiBR96−BD2複合体の
ゲル濾過カラムからのクロマトグラフィーのプロフィルである。画分45〜55は複
合体および未反応の抗体である;画分64〜74は未反応の抗体である。第9B図は、
ブルー(Blue)−セファローズからのchiBR96−BD2のNaCl溶離のプロフィルで
ある。(0.4MのNaCl、画分1;0.8MのNaCl、画分2〜8)。第9C図は、ブルー
−セファローズの溶離された物質の画分のクーマッシーブルー染色 SDS−PAGE分
析である(4〜12%の非還元性ポリアクリルアミドゲル)。レーン1〜4はパネ
ルBからの画分1〜4に相当し、レーン5は非複合化chiBR96である。
第10図は、BR96−BD2およびBR96−BD1イムノトキシン複合体の結合活性を図
解する。BR96−イムノトキシンの結合は、H3396膜を使用して決定した。特異的
抗体結合は、ヤギ抗ヒトIgG セイヨウワサビペルオキシダーゼを使用して検出し
た。データは、二重反復実験のデータ点を表す。キメラBR96(chiBR96、■),c
hiBR96−BD2(○),chiBR96−BD1(△),BD2(□),BD1(●)。
第11A図および第11B図は、chiBR96−BD2およびchiBR96−BD1イムノトキシ
ン複合体の細胞障害性を図解する。chiBR96−BD2およびchiBR96−BD1イムノト
キシン複合体を(A)H3396乳癌細胞(抗原陽性)および(B)H3719結腸癌細
胞(抗原陰性)と96時間インキュベートした後、細胞の殺しを決定した。カルセ
イン−AMの蛍光カルセインへの加水分解を測定することによって、細胞の殺しを
決定した。chiBR96(■),chiBR96−BD2(○),chiBR96
−BD1(▲),BD2(□),BD1(●)。
第12図は、ブリオジン2をコードするオリゴヌクレオチド配列(配列識別番号
:14)およびこのオリゴヌクレオチド配列によりコードされる推定上のアミノ酸
配列(配列識別番号:15)を提供する。オリゴヌクレオチド配列は、21アミノ
酸残基のシグナル配列をもつ約261アミノ酸残基の成熟タンパク質の翻訳を提供
する。
第13図は、ブリオジン2と植物トキシンのモモルジンとについて得られたアミ
ノ酸配列の整列を図解する。特定の態様の詳細な説明
本発明は、ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)から単離された新規な
リボソーム不活性化タンパク質、われわれはブリオジン2と表示した、慣用の生
化学的または組換え手段によりブリオジン2を製造する方法、このトキシンを含
有する組成物、および免疫複合体またはトキシン融合分子としてこのトキシンを
利用する治療方法に関する。
ブリオジン2(BD2)である新規なリボソーム不活性化タンパク質は、ブリオ
ニア・ディオイカ(Bryonia dioica)の根から単離される。BD2は他の植物リボ
ソーム不活性化タンパク質に類似する細胞に対する毒性を示し、特に細胞特異分
子により定めれた細胞集団に対して向けられる場合、それが細胞の殺しにおいて
有用でありうることを示唆する。このようなリガンドは、抗体、細胞表面のレセ
プターのリガンド(すなわち、トランスフェリン、ヘレグリン、および当業者に
知られている他のもの)を包含することができる。BD2は、また、細胞特異分子
のリガンドと、疾患の状態の治療において有用であろうトキシンとを含んでなる
複合体または融合分子の構築において使用することができる。
精製されたブリオジン2は、還元性および非還元性の双方の条件下に、ほぼ27
,000ダルトンの単一のバンドとして検出された。形質転換、BD2は一本鎖ポリペ
プチドを含んでなる。
本明細書において記載する部分的な主要構造は、BD2の特定の化学的および酵
素的切断により発生した種々のペプチド断片のアミノ酸配列決定により決定され
た。配列の分析において、BD2はI型リボソーム不活性化タンパク質であり、こ
のタンパク質はブリオジン、トリコサンチンおよびα−モモルカリンを包含する
ククルビタセエ(Cucurbitaceae)族の他のリボソーム不活性化タンパク質と多少
の類似性を有するが、それらと区別される(Momtecucchi et al.,1989,Int.J
.Peptide Protein Res.33:263-267)。これらのタンパク質のすべては、I型
リボソーム不活性化タンパク質のある種の共通の特性、例えば、単一のペプチド
鎖から構成されている、25〜30kDaの分子量、およびほぼ9.0〜10.0の等電点を有
する、を表す(StirpeおよびBarbieri,1986,FEBS Lett.196:1−8;Jimene
zおよびVasquez,D.,1985,Ann.Rev.Microbiol.39:649-672)。
ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)の葉からのブリオジン2をコード
する遺伝子をクローニングすることによって、アミノ酸配列は確証された。成熟
BD2をコードする完全なオリゴヌクレオチド配列および推定上のシグナル配列は
第13図に提供されている。
ブリオジン2は、ウサギ網状赤血球リゼイトを使用する細胞不含のin vitro翻
訳アッセイにおいてタンパク質合成を阻害する(EC50=0.017nM)。また、BD2は
、静脈内に投与したとき10mg/kgより大きくそして腹腔内に投与したとき約8mg
/kgより大きいLD50値でマウスに対して毒性である。毒性は、肝臓の病変の存在
および血液の化学的スクリーンにおける肝臓タンパク質の増加により、組織化学
的に見られるように、肝臓障害のためで可能性が最も強い(データは示されてい
ない)。比較において、ブリオジン1のLD50は14.5mg/kg腹腔内(i.p.)で
あると報告された(Stirp et al.1986,Biochem.J.240:659-665)。
ブリオジン2に関係する誘導体、類似体、およびペプチドの製造および使用は
、また、考えられ、そして本発明の範囲内に入る。タンパク質合成を阻害するリ
ボソーム不活性化能力を示す、このような誘導体、類似体、およびペプチドは、
広範な種類の疾患の治療における用途および応用を見出すことができる。このよ
うな誘導体、類似体、およびペプチドは、天然のBD2に比較して増強されたまた
は減少した生物学的活性を有することができる。
本発明のBD2に関連する誘導体、類似体、およびペプチドは、この分野におい
て知られている種々の手段により製造することができる。遺伝子またはタンパク
質の双方のレベルの方法および操作は、本発明の範囲内に入る。
ブリオジン2はブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)の根、葉、および
漿果の細胞により生産され、そして植物組織の抽出物から均質に精製することが
できる。ブリオジン2を精製するために使用する方法は生化学において普通に使
用されているものであり、そして遠心、クロマトグラフィー、およびポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動の種々の組み合わせを包含することができる。使用するク
ロマトグラフィーの方法は、イオン交換、ゲル透過、およびアフィニティークロ
マトグラフィーの組み合わせを包含するが、これらに限定されない。疎水性を包
含するアフィニティー相互作用、イムノアフィニティーまたは他のアフィニティ
ー相互作用は、本発明の一部分として考慮される。クロマトグラフィーの方法の
すべては、低圧および高圧の双方の方法を包含することができる。
また、BD2は組換えDNA技術または化学的合成法により製造することができる
。組換え法によりBD2を製造するために、相補的DNA(cDNA)の製造のためのメッ
センジャーRNA(mRNA)をBD2を生産する細胞源から得ることができるが、BD2の
ためのゲノム配列は組織の種類に無関係にブリオニア・ディオイカ(Bryonia di
oica)の任意の細胞から得ることができる。例えば、ブリオニア・ディオイカ(B
.dioica)の根はBD2のコーディング配列源としておよび/またはcDNAまたはゲ
ノムのライブラリーの調製のために利用することができる。源の系統からの全体
のDNAまたはRNAで形質転換またはトランスフェクションされた遺伝子操作された
微生物または細胞系を、スクリーニングのために好都合なDNA源として使用する
ことができる。
cDNAまたはゲノムのライブラリー源は、この分野においてよく知られている技
術を使用して発生されたDNA断片から調製することができる。BD2をコードする
断片は、第5図におけるBD2アミノ酸配列の一部分(配列識別番号:1〜8)に
対する相同性のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドプローブで調製されたラ
イブラリーをスクリーニングすることによって、同定することができる。コーデ
ィング配列の一部分をクローニングおよび発現のために利用することができるが
、全長のクローン、すなわち、BD2のための全体のコーディング領域を含有する
ものは発現のために好ましいことがある。これらの目的に対して、DNAの単離、
種々の方法による、適当な断片の発生、クローンおよびライブラリーの構成、お
よび組換え体のスクリーニングについてこの分野においてよく知られている技術
を使用することができる。参照、例えば、Sambrook et al.,1989,Molecular C
loning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,NY、
に記載されている技術。
ヌクレオチドのコーディング配列の縮重のために、BD2遺伝子の類似アミノ酸
配列をコードする別のDNA配列を本発明の実施においてBD2のクローニングおよ
び発現のために使用することができる。このような別法は、同一または機能的に
同等の遺伝子産物をコードする配列を生ずる、異なるヌクレオチド残基の欠失、
付加または置換を包含する(特定のプローブについて実施例9、および表3を参
照のこと)。遺伝子産物は配列内にアミノ酸残基の欠失、付加または置換を含有
することができ、これはサイレント変化を生じ、従って生物活性産物を生成する
。これに関する生物活性は、タンパク質合成を阻害する遺伝子産物の能力により
測定される。
アミノ酸の置換は、関係する残基の極性、電荷、可溶性、疎水性/親水性およ
び/または両親媒性における類似性に基づいてなすことができる。例えば、負に
帯電したアミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を包含する;正に帯電
したアミノ酸はリジンおよびアルギニンを包含する;同様な親水性値を有する非
帯電極性ヘッド基をもつアミノ酸は下記のものを包含する;ロイシン、イソロイ
シン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレ
オニン;フェニルアラニン、チロシン。
生物学的に活性なBD2を発現させるために、BD2をコードするヌクレオチド配
列、または機能的に同等のヌクレオチド配列を適当なベクター、すなわち、挿入
したコーディング配列の転写および翻訳のために必要な要素を含有するベクター
、の中に挿入する。BD2配列の修飾されたバージョンを操作して、発現された産
物の安定性、生産性、精製、収量または毒性を増強することができる。例えば、
BD2と、異種タンパク質とを含んでなる融合タンパク質または切断可能な融合タ
ンパク質の発現を操作することができる。。このような融合タンパク質は、それ
がアフィニティークロマトグラフィーに
より、例えば、異種タンパク質に対して特異的なカラム上の同定化により、容易
に単離できるように、設計することができる。切断部位がBD2部分と異種タンパ
ク質との間で操作される場合、BD2タンパク質は、切断部位を崩壊する適当な酵
素または因子で処理することによって、クロマトグラフィーのカラムから解放す
ることができる(例えば、参照、Booth et al.,1988,Immunol.Lett.19:65-7
0;およびGardella et al.,1990,J.Biol.Chem.265:15854-15859)。
この分野においてよく知られている方法を使用して、BD2コーディング配列と
、適当な転写/翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができ
る。これらの方法は、in vitro組換えDNA技術、合成技術およびin vivo組換え/
遺伝技術を包含する。参照、例えば、Sambrooket al.,1989,Molecular Clonin
g:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,NY、に記
載されている技術。
BD2コーディング配列を発現させるために、種々の宿主発現系を利用すること
ができる。これらは下記のものを包含するが、これらに限定されない:微生物、
例えば、BD2コーディング配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラ
スミドDNAまたはコスミドDNAの発現ベクターで形質転換された細菌;BD2コーデ
ィング配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母;組換えウ
イルスの発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコ
モザイクウイルス、TMV)が感染した酵母、またはBD2コーディング配列を含有す
る組換えプラスミド、例えば、Tiプラスミド、の発現ベクターで形質転換された
酵母。哺乳動物の発現系を使用するために、BD2リボソーム不活性化活性は、宿
主細胞の溶解または培地の中へのBD2の分泌まで、ブロックまたはマスクして
宿主細胞をBD2の毒性作用から保護しなくてはならないか、またはブリオジンに
対して耐性の突然変異の宿主細胞を使用しなくてはならない。
利用する宿主/ベクターに依存して、構成的または誘導可能なプロモーター、
転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを包含する多数の適当な転写お
よび翻訳の要素を発現ベクターにおいて使用することができる(参照、例えば、
Bitter et al.,1987,Methods in Enzymol.153:516-544)。例えば、細菌系
においてクローニングするとき、誘導可能なプロモーター、例えば、バクテリオ
ファージλのpL;plac.ptrp,ptac(ptrp-lac ハイブリッドプロモーター)な
どを使用することができる。また、挿入されたBD2コーディング配列のコントロ
ールされそして高いレベルの転写を提供するために、組換えDNA技術または合成
技術により生産されたプロモーターを使用することができる。
細菌系において、発現されるBD2について意図する用途に依存して、多数のを
コードするを好都合に選択することができる。例えば、大量のBD2を望むとき、
多分疎水性シグナル配列との融合体として、高いレベルのタンパク質産物の発現
を指令し、タンパク質産物の容易な精製を望む場合、細菌のペリプラズムまたは
培地の中に発現産物を向ける、ベクターは望ましいことがある。BD2の回収を促
進するために特定の切断部位で操作したある種の融合タンパク質は、また、望ま
しいことがある。このような操作に対して適応可能なこのようなベクターは、大
腸菌(E.coli)発現ベクターのpET系列を包含するが、これらに限定されない(Stu
dier et al.,1990,Methods in Enzymol.185:60-89)。
酵母において、構成的または誘導可能なプロモーターを含有する多数のベクタ
ーを使用するすることができる。概観については、下
記の文献を参照のこと:Current Protocols in Molecular Biology,Vol.2,1
988,Ausubel et al.編、Greene Publish.Assoe.& Wiley Interscience、第13
章;Grant et al.,1987,Expression and Secretion Vectors for Yeast,“in
Methods in Enzymol.153:516-544;Glover,1986,DNA Cloning,Vol.II,I
RL Press,Wash.,D.C.、第3章;およびBitter,1987,“Heterologous Gene
Expression in Yeast,“in Methods in Enzymol.152;673-684。構成的酵母プ
ロモーター、例えば、ADHまたはLeu2または誘導可能なプロモーター、例えば、
GALを使用することができる(“Cloning in Yeast、“第3章、R.Rothstein In
:DNA Cloning,Vol.II,A Practical Approach,D.M.Glover,1986,IRL Pr
ess,Wash.D.C.)。また、酵母染色体の中への外来DNA配列の組込みを促進す
るベクターを使用することができる。
植物の発現ベクターを使用する場合、BD2コーディング配列の発現は多数のプ
ロモーターにより推進することができる。例えば、ウイルスのプロモーター、例
えば、CaMVの35SRNAおよび19SRNAプロモーター(Brisson et al.,1987,Nature
310:511-514)、またはTMVのコートタンパク質のプロモーター(Takamatsu et
al.,1987,EMBO J.6:307-311)を使用することができる。また、植物のプ
ロモーター、例えば、RUBISCOの小さいサブユニット(Coruzzi et al.,1984,E
MBO J.3:1671-1680;Brogli et al.1984,Science 224:838-843);または
熱ショックプロモーター、例えば、大豆hsp17.5-Eまたはhsp17.3−B(Gurley e
t al.,1986,Mol.Cell.Biol.6:559-565)を使用することができる。これら
の構築物は、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスのベクター、直接DNA
形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションおよび他のこの
分野においてよく知られている技術を使用して
植物細胞の中に導入することができる。参照、例えば、Weissbach & Weissbach
,1988,Methods for Plant Molecular Biology,Academic Press,NY,Section
VIII,pp421-463;およびGuerson & Corey,1988,Plant Molecular Biology、
第2版、Black,London、第7〜9章。
他の発現系、例えば、昆虫および哺乳動物の宿主細胞系はこの分野においてよ
く知られているが、毒性分子を生産するために変更または適合させなくてはなら
ないであろう。変更に対する1つの可能なアプローチは、前述したように、BD2
に対して耐性の昆虫または哺乳動物の細胞系を単離することであろう。
組換えDNA技術によりブリオジン2を生産することに加えて、BD2は、また、
全体または一部分において、決定したアミノ酸配列に基づいて固相の化学的合成
技術により生産することができる(参照、Creighton,1983,Protein Structures
and Molecular Principles,W.H.Freeman and Co.,N.Y.,pp.50-60;Stew
artおよびYoung,1984,Peptide Synthesis、第2版、Pierce Chemical Co.)。
このアプローチは、その生物学的に活性な領域の1または2以上に相当するBD2
のセグメントまたは断片を発生するとき特に有用である。
ブリオジン2または関係するタンパク質を認識するポリクローナル抗体および
モノクローナル抗体の生産は、また、本発明の範囲内に入る。
BD2のエピトープに対してポリクローナル抗体を生産する種々の方法は、この
分野において知られている。抗体の生産のために、種々の宿主動物をBD2タンパ
ク質、またはBD2ペプチドの注射により免疫化することができ、この動物はウサ
ギ、ハムスター、マウス、ラットなどを包含するが、これらに限定されない。種
々のアジュバ
ントを、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加するために使用することができ
、このようなアジュバントは、フロインド(完全または不完全)アジュバント;
ミネラルゲル、例えば、水酸化アルミニウム;表面活性物質、例えば、リゾレシ
チン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、油性エマルジョン、キーホール
リンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および他のこの分野においてよ
く知られているものを包含するが、これらに限定されない。
BD2のエピトープに対して免疫学的に特異的なモノクローナル抗体は、培養に
おいて連続的細胞系により抗体分子の生産を提供する、この分野において知られ
ている多数の技術により、調製することができる。これらは下記のものを包含す
るが、これらに限定されない;KohlerおよびMilsteinにより本来記載されたハイ
ブリドーマ技術(1975,Nature,256;495-497)、およびそれらの技術のより最近
の変更された技術。
分子のイディオタイプを含有する抗体断片を既知の技術により発生させること
ができる。例えば、このような断片は、下記のものを包含するが、これらに限定
されない:抗体分子のペプシン消化により発生するF(ab')2断片およびF(ab')2
断片のジサルファイド架橋の還元により発生することができるFab断片。
本発明のもう1つの態様においては、毒素−リガンド接合体として、特異的細
胞集団に対し毒素をターゲティングするため、細胞表面レセプタのためのリガン
ドと共にブリオジン2又はその機能的等価物を使用することができる。
当業者であれば、この「リガンド」という語がその範囲内上、一定の与えられ
た標的細胞集団と結びつけられたレセプタ又はその他の受容性半分と特異的に結
合するか又は反応的に会合又は複合するあらゆる分子を内含するものであること
がわかる。接合体内でリン
カーを介して毒素が連鎖されるこの細胞反応性分子又はリガンドは、治療上又は
その他の形で生物学的に影響を受けるものであることが求められている細胞集団
に結合する、又はそれと複合する又はそれと反応するあらゆる分子であり得る。
細胞反応性分子は、リガンドが反応する特定の標的細胞集団に毒素を送り出すよ
うに作用する。このような分子には、例えば抗体又は付着分子などの大きな分子
量のタンパク質(一般には10000ダルトン以上)、より小さな分子量のタンパク
質(一般には10000ダルトン未満)、ポリペプチド又はペプチドリガンド及び非
ペプチジルリガンドが含まれるが、これらに限られるわけではない。
本発明の接合体を形成するのに用いることのできる非免疫反応性タンパク質、
ポリペプチド又はペプチドリガンドには、トランスフェリン、表皮細胞成長因子
、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来成長因子、IL
−2,IL−6又は腫瘍成長因子例えばTGF−α及びTGF−βが内含され得るが、こ
れらに制限されるわけではない。非ペプチジルリガンドには、例えばステロイド
、炭水化物及びレクチンが含まれると考えられる。
免疫反応性リガンドには、抗原認識免疫グロブリン(又は抗体)又はその抗原
認識フラグメントが含まれる。特に好ましい免疫グロブリンは、内在化の可能な
腫瘍関連抗原を認識することのできる免疫グロブリンである。ここで使用される
「免疫グロブリン」は、IgG,IgA,IgM,IgD又はIgEといった免疫グロブリンの
あらゆる認識済みクラス又はサブクラスのことを言うと考えられる。好ましいも
のは、IgGクラスの免疫グロブリンの中に入る免疫グロブリンである。免疫グロ
ブリンはあらゆる種から誘導され得る。しかしながら好ましくは、免疫グロブリ
ンは、ヒト又はマウス由来のものである。さらに、免疫グロブリンは、ポリクロ
ーナルであってもモノクロ
ーナルであってもよいが、好ましくはモノクローナルである。
ここでわかるように、当業者であれば、本発明が抗原認識免疫グロブリンフラ
グメントの使用も包含するということがわかるだろう。このような免疫グロブリ
ンフラグメントには例えば、Fab',F(ab')2,Fv又はFabフラグメント又はその
他の抗原認識免疫グロブリンフラグメントが内含される。かかる免疫グロブリン
フラグメントは、例えばタンパク質分解酵素消化、例えばペプシン又はパパイン
消化、還元性アルキル化又は組換え技術などによって調製できる。免疫グロブリ
ンフラグメントを調製するための材料および方法は、当業者にとって周知のもの
である。一般にParham,1983,J.Immunol.131:2895;Lamoye et al.,1983,
J.Immunol.Methods 56:235;Parham,1982,J.Immunol.Methods 53:133及
びMatthew et al.,1992,J.Immunol.Methods 50:239を参照のこと。
免疫グロブリンは同様に、当該技術分野において認識されている意味で「キメ
リック」なものでもあり得る。同様に、免疫グロブリンは「2機能性」又は「ハ
イブリッド」抗体なすわち、腫瘍関連抗原といったような1つの抗原部位に対す
る特異性をもつ1つの「腕」を有する可能性がある一方でもう1方の腕が異なる
標的、例えば第2の細胞型特異的レセプタ分子を認識するような抗体でもあり得
る。いずれの場合でも、ハイブリッド抗体は、好ましくは例えば腫瘍、感染性生
体又はその他の疾病状態に結びつけられる抗原といった標的抗原に対して特異的
である単数又は複数の結合部位と、2重の特異性を有する。
2機能性抗体については、例えば欧州特許公報EPA0105360号に記述されている
。このようなハイブリッド又は2機能性抗体は、記述されている通り、細胞融合
技術によって生物学的にか、又は特に架
橋剤又はジスルフィド架橋形成試薬を用いて化学的に誘導することができ、全抗
体及び/又はそのフラグメントで構成され得る。かかるハイブリッド抗体を得る
ための方法は、例えば、共に本書に参考として内含されている1983年10月27日付
けのPCT出願WO83/03699号及び1987年4月8日付けの欧州特許公報EPA0217577号
の中で開示されている。
さらに、免疫グロブリンは一本鎖抗体(「SCA」)であってよい。これらは、
可変軽(「VL」)及び可変重(「VH」)ドメインがペプチド架橋又はジスルフ
ィド結合によって連鎖されている一本鎖Fvフラグメント(「scFv」)で構成され
得る。同様に、免疫グロブリンは、抗原結合活性を有する単一VHドメイン(dAb
s)から成っていてもよい。例えばWinter and Milstein,1991,Nature 349;29
5;Glockshaber et al.,1990,Biochemistry 29:1362及びWard et al.,1989
,Nature 341;544を参照のこと。
本発明で使用するためのリガンド/毒素接合体の一部としての免疫学的リガン
ドの好ましい実施態様は、キメリックモノクローナル抗体、好ましくは、腫瘍関
連抗体に対する特異性をもつキメラ抗体である。ここで使用する「キメラ抗体」
という語は、1つの供給源つまり種からの可変領域すなわち結合領域及び異なる
結合源つまり種から誘導された定常領域の少なくとも一部分を含む。通常組換え
型DNA技術によって調製されたモノクローナル抗体を意味している。マウス可変
領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体は、本発明のいくつかの利用分野、特に
人間の治療法において特に好まれるものである。かかるマウス/ヒトキメラ抗体
は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントとヒト免疫グロ
ブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む発現された免疫グロブリン遺
伝子の産物である。本発明の中に包含される「キメラ抗体」のその
他の形態としては、クラス又はサブクラスがもとの抗体のものから修正又は変更
された形態がある。このような「キメラ」抗体は又、「クラススイッチ抗体」と
も呼ばれる。キメラ抗体を産生する方法には、今や当該技術分野において周知の
ものである従来の組換え型DNA及び遺伝子トランスフェクション技術が関与して
いる。例えばMorrison et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851;
米国特許第5202238号及び米国特許第5,204,244号を参照すること。
「キメラ抗体」という語に包含されるのは、「ヒト化抗体」すなわち枠組構造
つまり「相補性決定領域(CDR)」が親免疫グロブリンのものに比べ異なる特異性
をもつ免疫グロブリンのCDRを含むように修正された抗体、の概念である。好ま
しい実施態様においては、「ヒト化抗体」を調製するために、ヒト抗体の枠組構
造領域内へと移植される。例えばRiechmann et al.,1988,Nature 332;323;
及びNeuberer et al.,1985,Nature 314:268を参照のこと。特に好ましいCDR
は、キメラ及び2機能性抗体について前述した抗原を認識する配列を表わすもの
に対応する。
当業者であれば、キメラ抗体又はヒト化抗体の比較的低い免疫原性の利点と上
述の二機能性抗体がもつ特に治療的用途のための融通性を有することになる二機
能性キメラ抗体を調製することができる、ということを認識するだろう。このよ
うな二機能性キメラ抗体は、例えば架橋剤を用いた化学合成によって及び/又は
上述のタイプの組換え体方法によって合成可能である。いずれの場合でも、本発
明は、二機能性であれ、キメリックであれ、二機能性キメリックであれ、ヒト化
されたものであれ又は抗原認識フラグメント又はその誘導体であれ、抗体の特定
の産生方法によってその範囲が制限されるものとみなされるべきではない。
さらに、上述の通り、本発明で使用される免疫グロブリン又はそのフラグメン
トは、ポリクローナル又はモノクローナルの性質を有していてよい。ただし、モ
ノクローナル抗体が好ましい免疫グロブリンである。このようなポリクローナル
又はモノクローナル抗体の調製は、今や当業者にとって周知のことであり、当業
者であれば本発明の中で使用できる有用な免疫グロブリンを充分に産生すること
が可能である。例えばKohler and Milstein,1975,Nature 256:495を参照のこ
と。さらに、ハイブリドーマ及び/又はかかるハイブリドーマによって産生され
本発明の実践において有用であるモノクローナル抗体は、American Type Cultur
e Collection(ATCC),12301 Parklawn Drive,Rockville,MD 20852といった供
給源から公的に入手することもできるし、或いは例えばBoehringer-Mannheim Bi
ochemicals.P.O.Box 50816,Indianapolis,IN 46250から市販もされている
。
本発明の特に好ましいモノクローナル抗体は、腫瘍関連細胞表面抗体を結合さ
せ、内在化の能力をもつものである。本発明の特定の実施態様においては、毒素
は、1990年6月26日に提出され、1991年1月10日付けで公示されたPCT公開出願W
O91/00295号と同等である米国特許第07/544,246号の中で開示されたキメラ抗体B
R96(「chiBR96」)に接合される。ChiBR96は、内在化するマウス/ヒトキメラ
抗体であり、乳ガン、肺ガン、結腸ガン及び卵巣ガンから誘導されたものといっ
たヒトガン細胞によって発現されるフコシル化ルイスY抗原と反応性をもつ。キ
メラBR96を発現しchiBR96として同定されたハイブリドーマは1990年5月23日に
、ブタペスト条約の条項に基づきAmerican Type Culture Collectionに寄託され
、ATCC HB10460と呼称された。
本発明のイムノトキシンを製造する好ましい方法の1つは、ブリ
オジン2毒素をリガンド、好ましくは上述のとおりのモノクローナル抗体又はそ
のフラグメントと化学的に接合させることによるものである。当業者にとっては
、化学的接合の数多くの方法が周知のものである。例えばVitetta et al.,1987
,Science 238:1098;Pastan et al.,1986,Cell 47:641及びThorpe et al.
,1987,Cancer Res.47:5924を参照のこと。これらの方法は一般に、2つのタ
ンパク質の間のジスルフィド結合を導入する架橋剤を用いて毒素と抗体を接合さ
せる。還元不能な連鎖(リンケージ)によって調製されたイムノトキシンは、ジ
スルフィド結合によって架橋された類似の毒素よりも一貫して細胞障害性が低い
。
1つの好ましい方法では、N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)
−プロピオネート(SPDP)及び塩酸2−イミノチオラン(2IT)が用いられる。
その他の好ましい試薬は、S−4−スクシニミジルオキシカルボニル−α−メチ
ルベンジルチオ硫酸ナトリウム(SMBT)と2IT又はスクシニミジルオキシカルボ
ニル−α−メチル−α(2−ピリジルジチオ)−トルエンと2ITである。各々の
試薬群は、還元可能な抗体と毒素の間のジスルフィド結合を導入するが、この結
合は同様に破壊に対し耐性をもち、インビトロ及びインビボでの接合体の安定性
を提供する。標的細胞によるリソソーム又はエンドソーム内への内在化の時点で
、結合は還元され毒素は細胞質内に入り、延長因子2を結合させ、タンパク質合
成を分断する。
本発明のもう1つの好ましい実施態様は、組換え型イムノトキシン、特に一本
鎖イムノトキシンである。これらの分子は、接合体に比べより容易に産生される
という点で、毒素一抗体接合体(イムノトキシン)より有利であり、毒素分子の
均質な集団すなわち同じアミノ酸残基から成る単一のペプチドが生成される。
親抗体の一本鎖誘導体に対応するアミノ酸配列をコードするDNA配列をクロー
ニングし発現するための技術は、上述のとおり、当業者にとって周知のものであ
る。ブリオジン2のヌクレオチド配列及び完全アミノ酸配列を決定するための方
法も同様に以上で記述されている。組換え型毒素融合タンパク質を構築するさま
ざまな方法が、Pastan及びFitzgcrald,1991,Science 254,1173;Siegall et
al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:9738;Batra et al.,1991,Mol
.Cell Biol.11:2200;O'Hare et al.,1990,FEBS Lett,273;200;Westby
et al.,1992,Bioconj.Chem.3:375の中で記述されている。
本発明の植物リボソーム不活性化毒素、ブリオジン2は、その分離された形で
及びリガンド−毒素接合体及び組換え型毒素融合タンパク質として、インビトロ
及びインビボの両方で治療用に役立つ。Cucurbitaceae植物から分離したリボソ
ーム不活性化タンパク質は、なかでも堕胎薬、免疫調節剤、抗腫瘍及び抗ウイル
ス剤(Ng et al.,1992,Gen.Pharmac.23:575-590)としてか又は抗マラリア剤
(Amorim et al.,1991,Mem.Inst.Oswaldo Cruz 86:177)としての用途をもっ
ていた。
ブリオジン2は、イムノトキシンを構築するのに用いられてきた数多くのその
他のタンパク質毒素及びリボソーム不活性化タンパク質に比べ毒素が少なくしか
もひとたび細胞内部に入るとタンパク質合成を阻害する上で特に効力があること
から、リガンド−毒素接合体又は組換え型毒素融合タンパク質として特に有用で
ある。リガンド−毒素接合体及び組換え型毒素融合タンパク質は、患者に直接組
換え型毒素融合を投与するため、又は患者へと残りの細胞を自己輸液して戻す前
に望まれる細胞集団を除去するか又は死滅させるよう、体つまり患者からとり出
した細胞をインビボで処理するために使
用することができる。
半ビボでの使用のためには、骨髄といった細胞をガン患者から取り出し、リガ
ンド−毒素接合体又は融合タンパク質での処理により骨髄をパージすることがで
きる。処理の後、骨髄は患者の体内に注入し戻される(例えばRamsay et al.,1
988,J.Clin Immunol,8:81-88参照)。
インビボでの使用のためには、本発明は、リガンド、又はリガンド−毒素接合
体又は融合分子の機能的等価物を特異的に結合させる抗原を発現する細胞すなわ
ち腫瘍細胞を選択的に死滅させるための方法を提供する。この方法には、本発明
のリガンド−毒素接合体又は融合分子を少なくとも1つ含む組成物を薬学的に有
効な量だけ対象に投与することによって、腫瘍細胞と毒素接合体又は融合分子を
反応させる作業が含まれている。
本発明に従うと、対象はヒト、ウマ、ブタ、ウシ、マウス、イヌ、ネコ及びト
リであってよい。本発明の範囲内にはその他の温血動物も含まれている。
請求されている発明は同様に、腫瘍特に哺乳動物の腫瘍細胞の増殖を阻害する
方法をも提供している。この方法には、哺乳動物の腫瘍細胞の増殖を阻害するべ
く腫瘍関連抗原に対し特異的なリガンドに結合した増殖阻害量(すなわち有効量
)の腫瘍を標的とする毒素と哺乳動物の腫瘍細胞を接触させる段階が含まれる。
一例においては、ブリオジン2は、ルイスY決定基に対する特異性をもちかつ
自ら結合する腫瘍細胞内で内在化することのできるキメラモノクローナル抗体BR
96(chiBR96)に接合させられる。細胞を死滅させるのに有効な量のchiBR96−BD2
接合体を決定するためさまざまな用量でインビトロにて腫瘍細胞をchiBR96−BD
2接合体と接触させた。細胞障害性検定を含め当業者にとっては既知のもので
あるいくつかの方法により、インビトロで有効性を決定した。
本発明はさらに、ヒト腫瘍細胞の成長を阻害し、対象の体内の腫瘍を処理し、
対象の体内の増殖タイプの疾病を処理するための方法をも提供する。これらの方
法には、本発明の組成物を有効量だけ対象に投与する段階が含まれている。ガン
といった疾病についての哺乳動物モデル系からの外挿は、いくつかのケースにお
いて困難なことでありうる。しかし、動物は、潜在的な治療用組成物の単なる予
備スクリーン以上のものを確かに提供してくれるのである。動物モデルの体内で
インビボにて標的細胞の増殖を阻害するか又は死滅させるための有効用量をもつ
ものとして確認されている各々の組成物は、それが阻害又は死滅に対する活性作
用物質であることを実証している。当業者であれば、ヒトにおける有効性につい
て或る組成物をテストするための基準を提供するためにこの情報を使用すること
ができ又実際に使用している。これまでに動物の体内でテストされた全ての組成
物が、ヒトにおいて必要な活性を示した。見極めるべき唯一の残された問題は、
ヒト系統に特定の組成物からの潜在するあらゆる不利な効果、そして組成物が究
極的に延命する又は患者を治ゆするのに有効なものであるか否か、ということに
ある。
従って、本発明が、疾病状態と関連する細胞表面レセプタを細胞が有している
増殖性及び感染性疾患を治療するための薬学組成物、組合せ及び方法を包含して
いるということは明白である。例えば、本発明は、ヒトのガン、マラリア、トリ
パノソーマ症、炎症性疾患及び免疫不全の治療において使用するための薬学組成
物を内含する。組成物には、本発明のブリオジン2に接合された、疾病状態に特
異的な抗原に対するリガンド又は抗体を含まれる可能性がある。又、この組成物
には、ブリオジン2又はその他の毒素に接合されたその他のリガンド、化学療法
剤、薬物、酵素なども含まれている可能
性がある。
本発明の毒素−リガンド及び融合分子組成物は、静脈内、腹腔内、経口、リン
パ球内の投与又は疾病部位への直接投与を含む(ただしこれに限られるわけでは
ない)従来の投与様式を用いて投与することができる。
本発明の組成物は、溶液又は懸濁液、錠剤、丸薬、散剤、座薬、重合体マイク
ロカプセル又は小胞、リポソーム及び注射液又は輸注液を含む(ただしこれに限
られるわけではない)さまざまな用量形態のものであり得る。好ましい形態は、
投与様式及び治療分野に応じて異なる。
本発明の組成物は同様に、好ましくは、ヒト血清アルブミン、イオン交換体、
アルミナ、レクチンなどの当該技術分野において既知の従来の薬学的に受容でき
る担体及びアジュバント、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウ
ムといった緩衝物質、及び硫酸プロタミンといった塩又は電解質も含んでいる。
本発明の組成物のための最も有効な投与様式及び用量規制は、疾病の重症度及
び経過、患者の健康状態及び治療に対する応答、そして治療にあたる医師の判断
によって左右される。従って、組成物の用量は個々の患者に対し滴定すべきであ
る。それでも、本発明の組成物の有効用量は、約1mg〜約2000mg/m2の範囲内
にあると考えられる。
表面積(m2あたりのmg数に基づくさまざまなサイズ及び種の動物及び人間に
ついての用量の相互関係は、Freireich et al.,1966,Canter Chemother,Rep
.50:219-244によって記述されている。腫瘍細胞成長阻害及び死滅応答を最適
化するために用量の調整を行なうことができ、又用量を一日のベースで分割し投
与することもでき、或いは状況に応じて用量を比例して減少させることもできる
。望まれる効果を達成するために必要とされる本発明の組成物の用量をさらにス
ケジュールの最適化と共に低減させることが可能である、ということは明白であ
ろう。
本書で記述する本発明をより充分に理解できるようにするため、以下の例が記
されている。これらの例は単に例示を目的とするものであり、いかなる形であれ
本発明の範囲を制限するものとみなされてはならない、ということも理解すべき
である。
例1 Bryonia dioicaからのブリオジン2の精製
この例は、Bryonia dioicaからの全タンパク質の調製及び、新しいタンパク質
ブロンジン2を含むリボソーム不活性化タンパク質の分離について記述している
。
Bryonia dioicaの根(Payntzfield HerbNursery,Rose-shire、スコットラン
ド)を洗浄し、剥皮し、寸断し、リン酸緩衝溶液(PBS、1リットルのPBS:550
gの根材料)の中でWaring配合機を用いて均質化した。得られた泥状液体を4℃
で16時間撹拌し、チーズクロスを用いてろ過した。植物材料をとり除いた後、ろ
液を4℃で15分間15×gで遠心分離して大きい粒子を除去し、次に2度目に20分
間50×gで遠心分離して清澄化させた。その後上清を無菌の0.22ミクロンフィル
ターを通してろ過し、pH6.5の5mMのリン酸ナトリウム緩衝液に対し透析した。
その後、5段階手順を用いて、植物タンパク質を、その投入量及びサイズを基
準にして分離した。まず最初に、CM−セファロースカラム(Pharmacia,Uppsala
、スウェーデン)に透析済みの根抽出物を加え、pH6.5の5mMのリン酸ナトリウ
ムに対し均衡化した。0〜0.3MのNaClの塩勾配を用いてカラムからタンパク質
を溶離させた。第2に、4mlの分画を収集し、排液の光学密度を280nmで監視し
た(図1)。次に、電気泳動によりクロマトグラフィ分画を評価した。収集した
各々の分画の15μlのアリコートをSDS−PAGE試料緩衝液に付加し、5分間100℃
で沸とうさせ、4〜12%のSDS−PAGEグラジエントゲル上で分離させた(Laemmil
i,1970,Nature 227:680-685)。次にゲルを、クーマシーブルーで染色して、
分離されたタンパク質を解像させた(図2)。
第3の精製段階では、27kDaのタンパク質バンドを含んでいた分画9〜15をプ
ールし、次にCentriprep10を用いて8ml未満の体積まで濃縮させた(Amicon,Bed
ford,MA)。第4段階は、濃縮物をサイズ排除カラムTSK-3000(Toso Haas,Inc.
,Philadelphia,PA)に付加し、次に植物タンパク質をイソクラティック溶離に
付すことであった。3mlの分画を収集し、溶離液を280nmで監視した(図3)。
サイズ排除クロマトグラフィの後、精製プロセスにおける第5の段階は、12%の
SDS−PAGEゲルが使用されたという点を除いて上述のとおりにSDS−PAGEにより分
画を分析することにあった。クーマシーブルー染色によりタンパク質を解像した
。ピーク分画58〜64の中に、29kDa及び27kDaで移動する2つの別々のタンパク質
バンドが観察された(図4)。これらの分画を別々にプールし、この材料をさら
なる特徴づけのために使用した。
例2 ブリオジン2のアミノ酸組成
この例では27kDa帯で泳動するブリオジン2から成る蛋白のアミノ酸組成を分
析し、ブリオジン及びブリオジン−Lのアミノ酸組成と比較する。電気泳動で分
離して吸い取らせたブリオジン2のアミノ酸分析を165℃の温度で1時間6N HC
lで手作業により気相加水分解したのち、モデル420Aデリバタイザ/アナライザ
(Applied Biosystems,Inc.)を使用して実施した(Dupont et al.,1989 in H
ugli,T.E.,ed.,Techniques in Protein Chemistry,pp.284-294,Academic
Press,Inc.,San Diego,CA)。この分析からブリオジン2がブリオジン及びブ
リオジン−Lとは著しく異なる新規のブリオジン リボソーム不活性化蛋白であ
ると考えられる。
例3 ブリオジンのN−末端アミノ酸シーケンス解析
この例では、貯留されたフラクションに含有される27kDa及び29kDa蛋白のN−
末端アミノ酸配列を分析した。27kDa及び29kDaの最初の32アミノ酸残基が明確に
検出された。29kDa帯から成る蛋白はStirpeが記述しているブリオジン(ブリオ
ジン1)と全く同じであることが明らかになった。27kDa帯から成る蛋白はブリ
オジン1(図5)のN−末端シーケンスとは実質的に異なるN−末端アミノ酸配
列を有することが明らかになった。発明者らはこれを新規の毒素ブリオジン2と
命名した。
以下に略述する方法を利用することによってN−末端アミノ酸配列を分析した
。Mini-transblot Electrophoretic Transfer Cell(Bio Rad Laboratories,Ri
chmond,CA)(松平、1987,J.Biol.Chem.262:10035-10038)を使用し、電
気泳動で分離したものをProblott膜(Applied Biosystems,Foster City,CA)に
吸い取らせることによってSDS−ポリアクリルアミドゲルから蛋白帯を個別に回
収した。膜をクマシーネービーブルーで着色し、次いで脱色し、以後のN−末端
配列分析のため29−及び27−kDa帯を励起した。
メーカーから指示されたサイクルプログラムを使用し、上下交差流反応カート
リッジを装備した衝流液相蛋白シーケンサ(Model 476A,Applied Biosystems)
でサンプルを配列分析した。酢酸ナトリウム/テトラヒドロフラン/アセトニト
リルから成る溶離傾斜(Tempst and Riviere,1989,Anal.Biochem.183:290-
300)を使用し、PTHC 18カラム(Applied Biosystems)による逆相HPCLによって
フェニルチオヒダントイン アミノ酸誘導体を分析した。データ
整理及び定量化にはModel 610Aクロマトグラム分析ソフトウェア(Applied Bios
ystems)を使用した。
BD2のN−末端アミノ酸配列は(同定Val−1の初期収量に基づく)47pモル
を電気泳動分離し、これをProblott膜に吸い取らせて分析した。単一アミノ酸配
列が得られ、残基32までのPTH−アミノ酸誘導体を明確に同定することができた
(図5,Seq.I.D.#1)。
例4 ブリオジン2のペプチド断片のアミノ酸配列検出
この例では、PAGEによって分離された27kDa蛋白(BD2)を臭化シアン及びプ
ロティナーゼを使用して断片に分断した。ペプチド断片を分離し、いくつかの断
片のアミノ酸シーケンスを検出した。得られたアミノ酸配列を既知リボソーム不
活性化蛋白とのオーバーラップ及び相同に関して分析した。
BD2を3μlの70%ギ酸に溶解させ、メチオニンの1,000倍のモル値を得るのに
充分な臭化シアン(30mg/100μl)を70%ギ酸に添加することによってBD2を臭
化シアン分断した。30℃で4時間に亘り窒素クッション下で、さらに22℃で18時
間に亘り暗中で反応を進行させた。250μl/minの流量で40%アセトニトリルを
含有する0.l% TFA中で平衡させる600×7.5mm Bio-Sil TSK-250カラム(Bio-Rad
Laboratories,Richmond,CA)を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによっ
て臭化シアンペプチドを分離した。溶離液を280nmでモニターし、以後の分析の
ため手作業でピーク値を収集した。
BD2から誘導した精製BD2または精製臭化シアンをプロティナーゼトリプシン
(L−(トシルアミド−2−フェニル)エチルクロロメチルケトン処理、Worthin
gton)、Lys−C及びGlu−C(Staphy
lococcus aureus,Boehringer Mannheim)で分断した。プロテアーゼ分断は2M
尿素を含有する40μlの0.1Mトリス−酢酸緩衝液中でpH8.5 37℃の条件で16時間
に亘って実施した。酵素/基質比は1:25であった。酵素消化物を10% TFAでpH
2まで酸性化し、逆相HPLCで分離した。
逆相HPLCは2.1×100mm RP−300 カートリッジカラム(Applied Biosystems)
及び1×100mm C18 Vydacカラム(The Nest Group)を使用し、それぞれ100μl
/min及び40μl/minの流量で温度40℃で実施した。溶媒A(0.1% TFA水溶液)
から溶媒B(0.09% TFAアセトニトリル溶液)への線形アセトニトリル傾斜は溶
離に採用した。溶離液を215nmでモニターし、手作業でピーク値を収集した。
ポリブレン被覆グラスファイバディスク(Applied Biosystems)でペプチドを
配列分析した。メーカーからのサイクルプログラムを使用して衝流液蛋白シーケ
ンサModel 476A(Applied Biosystems)で自動配列分析を実施した。酢酸ナトリ
ウム/テトラヒドロフラン/アセトニトリルから成る溶離傾斜を使用するPTH C
18カラム(Applied Biosystems)による逆相HPLCでPTH−アミノ酸誘導体を分析
した。Macintosh IIsiコンピュータ(Apple Computer,Inc.)及びModel 610Aク
ロマトグラム分析ソフトウェア(Applied Biosystems)でデータ整理及び定量化
を実施した。
トリプシン、臭化シアンで分断し、さらにLys−C及びGlu−Cプロテアーゼで
消化することによってBD2から誘導した断片のエドマン減成を図6に示した。臭
化シアンによるBD2分断の結果2つの主要ペプチド(M2及びM4)が生成した
。ペプチドM2(MR=14,000)はBD2(Seq.I.D.#1)のN−末端臭化シア
ンペプチドであり、これを図6に示した。ペプチドM4(MR=12,000)はBD
2のカルボキシル−末端臭化シアンペプチドである。M4のN−末端アミノ酸配
列を図6に示した(Seq.I.D.#4)。
Lys−CプロテアーゼによるM4の消化で3つの主要断片が生成した。そのう
ちの2つの断片M4/K2(Seq.I.D.#5)及びM4/K11(Seq.I.D.#6
)のN−末端配列を図6に示した。ペプチドM4/K11をGlu−Cプロテアーゼ
でさらに分断した結果、4つの断片が生成した。ペプチドE4(Seq.I.D.#7
)がオーバーラップ情報を提供し、M4/K11の配列を14残基だけ長くした。
メチオニン残基によって先行されるペプチドM4はペプチドT21(Seq.I.D
.#3)及びK2(Seq.I.D.#5)とオーバーラップし、M4の配列を25残基
だけ長くした。
BD2はモモルジン、シガトキシンα鎖、シガ類似トキシンI及びII、リシンA
−鎖などの植物性リボソーム不活性化蛋白に属する。BD2とモモルジンIIのアミ
ノ酸配列比較を図7に例示した。ペプチドT10(Seq.I.D.#2)及びM4/K
11(Seq.I.D.#6)は類似性においてモモルジン配列(Seq.I.D.#13)と整
合するが、それぞれT21及びM4/K2とのオーバーラップ情報は提供しなかっ
た。157の比較例からBD2はモモルジンと77アミノ酸残基を共有することが判明
した(一致率49.0%)。
例5 蛋白合成阻害作用の検出
この例では無細胞のラビット細網細胞溶解物合成システムでBD2の蛋白合成阻
害能力を検出した。その結果、BD2がブリオジンIと同様の、かつゲノニンまた
はリシンA鎖よりもはるかに強力な極めて有効な蛋白合成阻害因子であることが
判明した。
蛋白合成阻害作用の検出には無細胞のラビット細網細胞溶解物合成システム(P
romega Biotec,Madison,WI)を使用した。分析はメ
ーカーの指示に従って行われた。要約すると、(反応容積の70%に相当する)ラ
ビットの細網細胞溶解物との反応に25μlの毒素蛋白を混入した。混合物の内容
は1nMのアミノ酸(マイナスロイシン)。RNasinリボヌクレアーゼ阻害因子(20
U)、0.5mCi/ml〔3H〕−ロイシン、及びRNA基質(0.5μg)であった。30℃で
5分間反応させ、2% H2O2と共に1MのNaOHを添加することによって終了させ
た。氷冷25%トリクロロ酢酸(TCA)及び2%カサミノ酸を使用して氷上で30分間
に亘り合成生成物を沈殿させた。グラスファイバフィルタで放射性標識蛋白を回
収し、冷5% TCAで洗浄し、さらにアセトン洗浄したのち乾燥させた。合成され
た蛋白の量をシンチレーションカウンタで定量した。
単離蛋白トキシンBD1及びBD2はいずれも蛋白合成阻害因子としての性能を有
し、EC50値はそれぞれ0.007及び0.017nMであった。同様の分析において、I型リ
ボソーム阻害蛋白であるゲロニンはEC50値が0.049nM、リシンAはEC50値が0.059
nMであることが判明した。
例6 ブリオジン2に特異なモノクローナル抗体の分離
この例ではブリオジン2に特異なマウスのモノクローナル抗体を生成させる。
ブリオジン1または対照蛋白トキシンとしてのリシンA鎖、モモルジンまたはゲ
ロニンと交差反応しない抗体を生成させた。
要約すると、生後4〜6週間のメスのBALB/cマウスを、精製BD蛋白(BD1及
びBD2、蛋白流量200μg)とISA 50 Seppic Oilを含むRibiアジュバント(Ribi
Immunochemical,Hamilton,MT)の50:50混合物の2回の皮下注射(0.1ml)及び1
回の腹腔内注射(0.2ml)で免疫処置し、4週目にISA 50 Seppic Oilに60μg混入
したBD
蛋白を0.3ml腹腔内注射した。さらに7週目に60μgの蛋白を混入した溶液0.3ml
を腹腔内注射して免疫効果を高めた。
最終免疫処置から3日後にマウスから脾臓細胞を取り出し、40%ポリエチレン
グリコール1450に3:1の割合で加えたミエローマAg 8.653と混合させた。この
混合物を各ウエルに0.2mlずつ約2×106の胸腺細胞と共に10枚の96ウエル平板に
注入したHAT(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)培地で平板培養し
た。BD2でコーディングした平板を使用してELISAよりBD2に特異な抗体を分泌
するハイブリドーマを選択した。即ち、0.1ml/ウエルの炭酸塩緩衝液(0.1M炭
酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム、pH9.6)に4℃で1晩Immulon II平板(Dynatec
h,Chantilly,VA)を0.3μg/ml BD1またはBD2でコーディングした。平板を
リン酸塩緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、200μl/ウエルのSpecimen Diluent(Geneti
c Systems.Corp.,Redmond,WA)を使用して4℃で2時間ブロックし、再度PBS
で洗浄した。成長クローンを含有する各ウエルからのサンプル上澄みとSpecimen
Diluent(それぞれ0.05ml)を各ウエルに添加し、4℃で2時間温置し、PBSで
3回洗浄した。Conjugate Diluent(Genetic Systems Corp.)中に1:3,000の
割合で希釈したヤギ抗マウス西洋ワサビペロキシダーゼ(HRP)(0.1ml/ウエル
)を1時間定温で放置し、4回洗浄したのち0.1ml/ウエルの基質(テトラメチル
ベンゼジンを基質緩衝液に溶解させたもの、Genetic Systems)を添加し、さらに
10分間温置した。0.1ml/ウエルの1.3M H2SO4を添加して反応を停止させ、Bio-
Tek マイクロプレートリーダー(Winooski,VT)を使用して、450nmで光学密度
定量した。
抗BD2抗体を分泌するハイブリドーマを選択し、2ラウンドの限界希釈によっ
てクローン化し、上記ELISAによって反応性を再テストした。限界希釈にはIMDM
,10%牛胎児血清、1%ペニシリン/ス
トレプトマイシンをを使用した。2種類のBD2−反応抗体を選択し、Gamma Bind
Plus(Pharmacia)を使用するアフィニティークロマトグラフィーによって培養
液上澄みから精製した。OD280によって蛋白濃度を測定した。
これら2種類の抗BD2抗体の特異性分析にはBD2に関連して上述したELISA分
析を利用した。ただし、ここでは補足的に0.3μg/mlのリシンA鎖またはゲロ
ニンをELISA プレートに塗布した。結合抗体の検出には1:l,000 希釈のヤギ抗
マウスIgG1−HRP(Southern Biotechnology,Birmingham,AL)を使用した。図8
に示すように、モノクローナル抗体50−44−3はBD2を認識したが、BD1または
リシンA鎖は認識しなかった。BD1との反応性が僅かながら観察されたのはおそ
らくBD2調製の際に存在した微量のBD1汚染に起因すると考えられる。50−44−
3はMMCまたはゲロニン(データは示さなかった)と反応せず、これを認識する
こともなかった。50−44−3と類似の特異性を有する第2の抗体50−43−1も分
離させた(データは示さなかった)。この第2抗体はBD2との親和性または結合
活性が低いことだけが第1抗体との相違点である。
例7 生体内におけるブリオジン2の毒性
この例では、マウスに対するブリオジン2の1回の服用致死量LD50を測定した
。腹腔内注射ならば8mg/kg、静脈注射ならば10mg/kg以上の投与量でマウスの
50%を死に到らせることが判明した。腹腔内投与の場合ブリオジンの1回服用致
死量LD50は14.5mg/kgと報告されている。
要約すると、腹腔内及び静脈(尾の静脈)注射の双方によって毒性を測定した
。精製されたトキシンをリン酸塩緩衝食塩水で最終投与量が3〜20mg/kgとなる
ように希釈した。マウス(タイプ)を2
〜4匹ずつのグループに分け、トキシンを投与した。トキシン注射後少なくとも
14日間マウスを観察した。広範囲に亘る検死分析のためにはマウスに20mg/kgの
トキシンを静脈注射し、24時間後に処分し、所要の組織を肉眼と顕微鏡技術とで
分析した。
腹腔内投与でも静脈内投与でもブリオジン2はブリオジン1よりもやや強い毒
性を有することが明らかになった。包括的な検死分析によれば、致死量のトキシ
ンを投与されたマウスの死因は肝臓を犯されることにあった。注射されたマウス
からの組織を組織化学的に分析した結果、肝臓の損傷が明らかになった。また、
これらのマウスではSGOT及びSGPTが共に上昇した。
5匹のマウス(20〜25g)を注射後>14日間に亘って観察した。BD RIPは注射
に先立ってPBSで希釈した。
実施例8 免疫毒素を生成するためのブリオジン2の化学的抱合
本実施例では、ブリオジン2を、高度特異的腫瘍関連抗原キメラBR96(ATCC H
B10460)と免疫学的に反応するキメラモノクローナル抗体と共有的に架橋(又は
抱合)させた。抗体は、リボソーム不活性化タンパク質を標的腫瘍細胞に向かわ
せて、RIPの固有の毒性から患者を保護するよう意図された。乳癌細胞株から単
離された膜上で抗原と結合する免疫毒素の能力の試験及び同一細胞株を殺す免疫
毒素の能力の測定により、免疫毒素の活性を確定した。部分的精製免疫毒素は、
BR96陽性であり且つこれらの細胞に対して有毒であることが公知のヒト乳癌細胞
株(H3396)の膜と結合することが示された。
37℃で1時間、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA中に3倍モ
ル余分の2−イミノチオラン(2−IT,Pierce Chemical Company,Rocklord,IL
)を付加して、キメラBR96(15.6mg/ml)をチオール化した。PD−10カラム(Phar
macia)を通すクロマトグラフィーにより、未反応2−ITを除去した。室温で60分
間、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.0,1mM EDTA中の3倍モル余分のスク
シニミジルオキシカルボキシル−α−メチル−α(2−ピリジルジチオ)−トル
エン(SMPT)を用い、その後PD−10カラム上でクロマトグラフィー処理して、BD
2(4.6mg/ml)を誘導化した。修飾化毒素及びチオール化抗体を5:1のモル比
で混合し、室温で16時間インキュベートして、ジスルフィド結合形成を可能にし
た。
免疫毒素抱合体をTSK−3000サイズ排除カラムに適用して、遊離毒素から分離
した。分子量約180kDaの免疫毒素及び分子量約150kDaの遊離抗体が一緒に溶出し
、ブルー−セファロースBle−Sepharose(Pharmacia)上でのクロマトグラフィ
ーによりさらに精製された(図9A)。ブルー−セファロースに吸着する前に、部
分的精製免疫毒素試料を0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0中で透析した。同一緩
衝液でブルー−セファロースを平衡させ、透析免疫毒素試料を4℃で6時間ブル
ー−セファロース(5ml樹脂/5mg免疫毒素)にバッチ吸着させた。ブルー−セ
ファロース及び免疫毒素試料の混合物を5mlエコノBconoカラム(Bio-Rad.Richm
ond,CA)中に詰めて、0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0中の漸増NaCl濃度の2段階
勾配でカラムを溶離した場合に、1ml分画を収集した。2段階の勾配は、400mM
NaCl、その後の800mM NaClであった(図9B)。各分画中の免疫毒素の量の定量は
OD280で確定し、非還元 SDS−PAGE分析により分析した(図9C)。
ヒト乳癌細胞株H3396の単離膜との免疫毒素抱合体の結合を測定することによ
り、カイBR96−BD2及びカイBR96−BD1免疫毒素抱合体の抗原結合活性を測定し
た。カイBR96−BD2及びカイBR96−BD1抱合体はともに、同様にH3396膜上で抗
原と結合することが判明した。抱合体は非抱合BR96抗体より僅かに良好に結合し
(図10)、結合漸増はおそらく抱合手順中に形成された抗体集塊の存在によるも
のと思われる。結合活性漸増はBR96の二量体に関連することが過去に示されてい
る(Wolff et al.,1993,Cancer Res.53:2560)。
抗体と抱合していないBD2及びBD1はともに、H3396膜との検出可能な結合を示
さない(図10)。
結合試験に用いた膜は、5×107細胞を1500×gで5分間遠心分離し、−70℃
で凍結させることにより調製したH3396細胞からのものであった。細胞ペレット
を室温で解氷し、10mM Tris-HCl,pH7.4,5mM EDTA,0.5mMフェニルメチルスル
ホニルフルオリド(PMSF)中で4℃で15分間溶解させて、均質化した。溶解細胞
を1500×gで4℃で5分間遠心分離して、上清を清澄化した。上清をさらに7500
×gで4℃で80分間遠心分離し、PBS,0.5mM PMSF,25mM ヨードアセトアミド中
にペレットを再懸濁した。7500×gで4℃で80分間溶
液を遠心分離して膜を収集し、PBS,0.5mM PMSF,25mM ヨードアセトアミド中に
ペレットを再懸濁して、A280の吸光度によりタンパク質濃度を測定した。
イムロンImmulon II 96 ウエルプレート(Dynatech Labs,Chantilly,VA)の
表面を0.1Mナトリウム炭酸化重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.6中の10μg/ml
H3396膜で4℃で16時間コーディングすることにより、膜の結合検定を実施した
。プレートを検体希釈剤(Genetic Systems Corp.,Seattle.WA)で室温で1時
間遮断して、免疫毒素とともに4℃で16時間インキュベートした。プレートをPB
Sで3回洗浄し、その後抱合希釈剤(Genetic Systems Corp.)中に1:1000で溶解
したヤギ抗ヒト(H及びL鎖)ホースラディッシュペルオキシダーゼ(American
Qualex,La Mirada,CA)を付加した。室温で1時間インキュベーション後、プ
レートをPBSで5回洗浄し、テトラメチルベンゼジンクロマゲン(Genetic System
s Corp.)で10分間展開させた。1.3M H2SO4で反応を停止させ、Rio-Tekマイクロ
プレート読み取り器(Winooski,VT)を用いて450〜630nmで定量した。
96ウエル平底組織培養プレート上にH3396腫瘍細胞をプレーティング(1×1
04細胞/ウエル)し、16時間37℃に保持して、カイBR96−BD2免疫毒素の細胞
毒性を測定した。培養培地(IMDM,10% FBS,1%ペニシリン/ストレプトマイ
シン)中で免疫毒素又は免疫毒素成分の希釈を行い、37℃で96時間、0.1mlを各
ウエルに付加した。各希釈液は3つずつ作った。免疫毒素又は毒素成分とともに
インキュベーション後、ウエルをPBSで2回洗浄し、200μl/ウエルの1.5μM
カルセイン−AM(Molecular Probes,Inc.,Bugens,OR)を室温で40分間付加し
た。カルセイン−AMとともにインキュベーション後、蛍光濃度分析器Florescenc
e Concentration Analyz
er(Baxter Healthcare Corp.,Mundelein,IL)を用いて励起/発光波長485nm
/530nmで蛍光量を測定した。データは、各処置に対する細胞屠殺%として示し
、以下のように算出した:
バックグラウンドシグナルはTriton X-100で処理した細胞から測定し、最大シ
グナルは非免疫毒素処理細胞から測定した。
カイBR96−BD2及びカイBR96−BD1免疫毒素抱合体の細胞屠殺活性は、EC50−
100pMで同様レベルでH3396に対して細胞毒性であることが判明した(図11A)
。非検出可能レベルのBR96抗原を発現するH3719結腸癌細胞は、カイBR96−BD2
及びカイBR96−BD1の両方に対して想定的に非感受性であることが判明した(EC50
>5×104pM、図11B)。
免疫毒素をH3396細胞とともに20時間インキュベートし、〔3H〕ロイシンで
4時間パルス標識後に〔3H〕ロイシン取込みを測定することにより、タンパク
質合成阻害活性を測定した。免疫毒素カイBR96−BD2及びカイBR96−BD1を、96
ウエルマイクロ滴定プレート中のH3396細胞(1×104細胞/ウエル)に付加
した。10% FBSを含有するIMDM培地中で細胞を集密度75%まで増殖させた。被験
物質とともに細胞を計24時間インキュベートし、最後の4時間は各ウエルに1μ
Ciの〔3H〕ロイシンを付加した。細胞を凍結解氷により溶解し、トムテク細胞
収穫器TomTec Cell Harvester(TomTec Inc.,Orange,CT)を用いて収穫した。LK
B ベータプレート液体シンチレーションカウンターLKB Bcta Plate Liquid Scin
tillation Counterを用いて、細胞タンパク質中への〔3H〕ロイシン取込みを測
定した。
実施例9 ウリ科植物 Bryonia dioica の葉からのブリオジン2のクローニング
本実施例では、縮退オリゴヌクレオチドプローブを用いて、Bryonia dioica m
DNAから増幅したブリオジン2のアミノ酸配列に対応するDNAの小領域を単離した
。これらのDNA領域をシーケンシングし、確定DNA配列に正確に対応する一連のオ
リゴヌクレオチドプライマーを設計し、BD2の内部ペプチド断片のアミノ酸配列
から設計された縮退プライマーと一緒に用いて、BD2をコードするDNAの長い方
を増幅した。BD2 DNAの実質的部分を首尾よく単離してシーケンシングし、5′
及び3′RACE法を用いて全ブリオジン2読取り枠をコードスルcDNA配列の正確な
5′及び3′未満を同定した。
要するに、ドライアイス中で葉を細枠して、10ml/g組織でのTRI 試薬(フェ
ノール、グアニジンチオシアネート、Molecular Research Center,Inc.,Cinci
nnati,OH)中で均質化して、Bryonia dioica葉物質から全RNAを抽出した。RNAを
クロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させ、75%エタノールで洗浄し
て、DEPC(ジエチルピロカルボネート)処理水中に溶解した。全RNAを定量し、
ホルムアルデヒド−アガロースゲル中で電気泳動処理し、臭化エチジウムで染色
して可視化した。
先ず1μgのB.dioica葉RNA鋳型及び10pMオリゴ(dT)プライマーXSCT17(表
3)を65℃で10分間インキュベートし、次いで氷上で2分間アニーリングを起こ
させて、全cDNA鎖を合成した。この後に合成緩衝液(20mM Tris HCl,pH8.3,50
mM KCl,2.5mM MgCl)、10mM dNTP ミックス(最終濃度5μM)、10mMジチオト
レイトール及び200U Superscript逆転写酵素をRNA混合物に付加して、42℃で30
分間インキュベートした。次にRNアーゼH(2U)を付加し、混合物をさらに10
分間インキュベートした。この反応で合成された
cDNAを、2組の縮退オリゴヌクレオチド(a)BD2p14(128倍縮重)及びBD2p1
9、並びに(b)BD2p18(512倍縮重)及びBD2p19(表3参照)を各々25pMで用
いてPCR増幅させた。アガロースゲル電気泳動処理及び臭化エチジウムによる可
視化後にプライマー組(b)を用いて、約500塩基対の単一バンドを得た。
PCR反応の生成産物を、TAクローニングキットを用いてベクターpCRII(Invitro
gen Corp.)中でサブクローニングした。要するに、PCR生成物を結紮緩衝液、pCR
II ベクター(50ng)及び4U T4DNAリガーゼとベクター:挿入物比1:1,1
:3及び1:5で化合さ
せた。反応物を16℃で一夜インキュベートした。氷上で30分インキュベートし、
その後42℃で45秒間、氷上で2分間インキュベートし、450μlのSOC(20mM グル
コース、10mM MgSO4,10mM MgCl2,2%トリプトン、0.5%酵母菌抽出物、10mM
NaCl,2.5mM KCl)中で37℃で1時間インキュベートして、DH5α大腸菌を3μl
の結紮反応混合物で形質転換した。アンピシリン(50μg/ml)、25μlX−Gal
(ジメチルホルムアミド中に40mg/ml)及び25μlイソプロピル 1−チオ−β
−D−ガラクトペラノシド(IPTG.240mg/ml)を含有するLB寒天プレート上に
細胞を載せて、37℃で一夜インキュベートした。
Universal M13前進及び復帰プライマー(表3)を用い、その後アガロースゲ
ル電気泳動により可視化して、組換え体クローンのPCR分析を実施した。要する
に、50μl/mlのアンピシリンを含有するLBブロス50μl中で1間、37℃で陽性ク
ローンをインキュベートした。細胞(12μl)を10mM Tris-HCl 及び1mM EDTA 5
0μl中に希釈して、95℃で5分間インキュベートした。PCR反応物(100μl)は
、1XPCR緩衝液(10mM Tris-HCl,pH8.3,50mM KCl,1.5mMMgCl2)、dNTPミックス
(200μM)、各25pM M13前進及びM13復帰プライマー、10μl細胞(被験DNA)並び
に2.5U TaqDNA ポリメラーゼで構成された。94℃で3分、94℃15秒、55℃15秒
、72℃1.15分×35,72℃6分で、4℃に保持という周期条件で、GeneAmp PCR系
モデル9600(Perkin Elmer Celus)を用いて35サイクルを経過させた。アガロー
スゲル電気泳動により反応生成物を可視化した。500+bp挿入物の存在を基礎に
したDNAシーケンシング分析用にクローンを選択した。
シーケナーゼSequenase(United States Biochemical)を用いたジデオキシヌ
クレオチド終結により、DNAをシーケンシングした。
BD2の過去に確定済のアミノ末端アミノ酸配列をコードするよう確定されたヌク
レオチド配列を含有する4つの別々のクローンを同定した。大多数のBD2アミノ
酸配列に対応する468bp cDNA断片を3′及び5′RACE法のための鋳型として用い
、これを用いて開始コドンを同定し、BD2遺伝子のアミノ末端を確証し、ポリA
尾部に対するDNA配列を得た。
3′RACE系(Gibco BRL)を用いて、3′RACEによる増幅を実施した。要するに
、0.5μgの全BD葉 RNAを10pMオリゴヌクレオチドプライマーXSC T17(表3)と
ともに65℃で1分間、その後氷上で2分間インキュベートした。次にRNA混合物
を混合し、合成緩衝液(20mM Tris-HCl,pH8.4,50mM KCl,2.5mM MgCl2,100μ
g/ml BSA)、dNTPミックス(各500μM)、及び2μlの0.1M DTTとともに42
℃で2分間インキュベート後に、200単位のSuperscript逆転写酵素を付加して、
さらに42℃で30分間インキュベートした。BD2 cDNAの3′末端を、200μM dNT
Pミックス及び2.5U Taqポリメラーゼを含有する合成緩衝液中の各25pMのプライ
マーBD2 3′RACE#2及びXSC(表3)を用いて増幅した800+bpバンドをアガ
ロースゲル電気泳動により可視化し、前述のようにTAクローニングベクターpCRI
I中でクローニングした。下記のように〔32P〕標識化BD2 3′RACE♯11でプ
ローブされたナイロン膜上に持ち上げられたクローンのハイブリダイゼーション
により、BD2配列を含有するクローンを選択した。
インキュベーション後、寒天プレートを4℃に2時間冷却し、その後クローン
をナイロン膜上に1分間上げた。膜を1.5M NaCl,0.5M NaOH中でインキュベー
トしてDNAを変性させ、その後1.5M NaCl,0.5M Tris HCl,pH7.2及び0.1mM ED
TA中で中和させた。次に膜を2×SSCで洗浄し、UV Stratalinker 1800(Stratag
ene)中
でDNAを膜に架橋させた。6×SSC,5×Denhardt's,0.05%ナトリウムピラノホ
スフェート、0.5% SDS及び0.02mg/mlサケ精巣DNA中で50℃で一夜、膜をインキ
ュベートして、予備ハイブリダイゼーションを実施した。6×SSC,1×Denhard
t's,0.05%ナトリウムピラノホスフェート、及び100μg/ml酵母菌RNA中の放
射能標識化プローブ〔32P〕BD2RACE#11(0.5〜2×106cpm/ml)を用いて、500
℃で4時間、ハイブリダイゼーションを実施した。膜を37℃で6×SSC,0.1%ナ
トリウムピラノホスフェートで洗浄して、オートラジオグラフフィルムに曝露し
た。陽性白色コロニーからミニプラスミドDNAを作製し、PCR及びDNA配列により
分析した。
メーカーの指示通りに5′RACE系(Gibco BRL)を用いて5′RACEを実施した。
要するに、1μgのBD葉RNA及び2pMプライマーBD2 5′RACE#5を併合し、7
0℃で9分間変性させた後、総容量19μlの合成緩衝液、0.01M DTT,dNTPミック
ス(各500μM)及び200単位のSuperscript逆転写酵素中で42℃で30分間インキ
ュベートした。RNA鋳型を55℃で10分間、2U RNアーゼHで分解した。Glassmax
スピンカートリッジを用いてcDNAを精製してプライマーを除去し、結合緩衝液(
6M沃化ナトリウム)95μlを反応ミックスに付加し、反応内容物をGlassmaxス
ピンカートリッジに移すことによりdNTP及びタンパク質を別々にした。充填カー
トリッジを13,000×gで1分間遠心分離し、次いで1×Glassmax洗浄緩衝液で3
回、70%エタノールで1回洗浄した。cDNAを50μlの水(65℃)で溶離した。10
μlのcDNAを70℃で6分間変性することにより、精製cDNAをdC尾部化した。この
後に、1×合成緩衝液を2mM dCTP(200μM)及び10U TdTとともに総容量20μ
lで37℃で10分間インキュベートし、次いで65℃で15分間混合物をインキュベー
トした。
前述のように35サイクルの間、各25pMのプライマーBD2 5′RA
CE#4及び5′RACE-AP(表3)を用いて、dC尾部化cDNA(5μl)をPCR増幅し
た。アガロースゲル電気泳動によりDNAを分析して、種々の100〜200bp断片を明
示し、前述のようにこれをpCRII中にサブクローニングした。Universal M13前進
及びM13復帰プライマーを用いた白色コロニーのPCR分析は、挿入物を含有するク
ローンを同定した。DNAシーケンシング用に2つの陽性クローンを選択して、成
熟BD2タンパク質の開始配列から63bp上流のBD2に対するDNA配列を延長させた
。天然開始メチオニン及び推定上のシグナル配列を同定した。クローン
はアメリカ培養細胞コレクション(ATCC)に委託され、
と呼ばれており、図13に図示したようなオリゴヌクレオチド配列を有するプラス
ミドを含有する。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 38/27 9356−4H C07K 14/415
39/395 9637−4B C12P 21/02 C
47/48 9637−4B 21/08
C07H 21/04 9282−4B C12N 15/00 C
C07K 14/415 9282−4B 5/00 B
C12N 5/10 9051−4C A61K 37/02
15/02 9051−4C 37/14
C12P 21/02 9051−4C 37/36
21/08 9051−4C 37/43
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,CA,JP
(72)発明者 ガウラック,スーザン エル.
アメリカ合衆国,ワシントン 98007,ベ
ルビュー,ワンハンドレッドフォーティー
ス カウンティ サウス イースト
1418,アパートメント 902
(72)発明者 マーカート,ハンス
アメリカ合衆国,ワシントン 98040,マ
ーサー アイランド,サウス イースト
フォーティーシックスス ストリート
9222