【発明の詳細な説明】
鉛バッテリー
本発明は、請求項1、12、17、22のそれぞれの前提部分によるバッテリ
ーに関する。
鉛酸バッテリーにおける電極は、活性な鉛材料で充填された電流伝達性のある
鉛グリッドにより形成されている。陽極材料は、PAMと称され、陰極材料はN
AMと称される。これら電極の最も一般的な型式のものは、グリッドとして指定
される電流導体を有する「ペースト状」極板と呼ばれるものである。陽電極と陰
電極、即ち、「極板」の間には、多孔質の隔離体が配置される。通常、幾つかの
陽電極及び陰電極が平行に相互に接続されており、「極板グループ」、または、
一つのセルを形成する。電流は、電極の上方部分にある電流の導体を介して電極
から流れる。この導体は、いわゆる端末に接続された「バー」にはんだ付けされ
た、いわゆる突起である。これらのセルは、通常、より高電圧のバッテリーを形
成し得るように直列に接続されている。
放電中、Pb及びPbO2よりも容積の大きいPbSO4が電極内に形成される
。電極を何ら支持しないで放電する間に、活性な材料は膨張する。弾性的な反対
の圧力が加えられないならば、この容積の膨張は恒久的なものとなる。新たに放
電する毎に、容積が一定程度に増大し、ペーストに亀裂が入り、多数回の放電後
に、陽極のペースト(PAM)が電極(グリッド)から落下することもある。
陰電極内では腐食は全く生じない。このため、略可逆過程を実現するためには
、僅かな物理的な支持体があればよい。陽極の鉛グリッドの表面は、PbO2に
形成される。このように、形成されたPbO2は、その最初の鉛よりも容積が大
きく、腐食層に歪みが生じる。連続的に放電する間に、グリッドの表面上でPb
O2の一部が放電し、その容積のために亀裂が進展し、より多くの鉛がPbO2に
形成されて、グリッドは腐食する。
この経験から、電極の表面における物理的な圧力が有効寿命を延ばすことが分
かる。このように、いわゆるペースト状の極板を有するバッテリーは、電極の間
にガラスウールを有しており、セルの壁、従って電極表面に物理的な圧力を加え
ることにより、そのセルが組み立てられてブロックとなる。圧力下にてそのグル
ープを組み立ててセルの容器内に入れることにより、または、容積の増大に反作
用するのに十分な強度を有するセル容器のブロック(始動バッテリー)に組み込
むことにより、この圧力は保たれる。
長期の有効寿命を得るためには、より長期間の放電を目的とするバッテリー内
における陽極の活性材料、即ちPAMは、高密度である、即ち、低多孔質であり
、これに応じて材料の利用率が低く、このため、容量が小さくなる。
いわゆる筒形のバッテリーにおいて、陽電極の電流導体は、ペースト状の極板
の場合と異なり、活性な陽極材料で囲繞された平行な鉛ロッドから成る一方、活
性な陽極材料は、その周囲の多孔質の管により物理的に支持されている。これら
の管材料は、通常、編組又は織りガラス繊維で出来ている。これらの管の直径は
、通常、8乃至10mmの範囲にあり、電極の幅を規定する。これら陽電極は、「
管極板」と呼ばれている。ガラス繊維から成る管を有する筒形バッテリーが、ペ
ーストの多孔度が大きいこと、即ち、低密度でり、従って、ペーストの利用率が
高く、しかも有効寿命が長いことの一つの理由は、ガラスウール繊維が弾性的に
伸びるため、及び管の直径が大きいために、ペーストが管内で多少、膨張するこ
とが許容されるからである。その結果、放電中に、容積は、10%以上、増大する
可能性がある。充電中、歪みが加わったガラス繊維は、陽極のペーストの容積を
放電前の状態に戻す。しかしながら、この間に、ガラス繊維の強度は低下する。
国際特許第85/05227号(サンドバーグ(Sundberg))は、半管を有するが、全
方向への支持体の無い装置に関するものである。また、突起にも支持体が無い。
また、ペースト状の極板を有するバッテリーにおいて、隔離体として使用され
ることが多い、圧縮され且つ比較的厚いガラスウールは、一定の弾性効果を有す
る。矩形の容器を有するバッテリーにおいて、セルの平坦な壁に加わったこの圧
力は、その膨張に反作用するのに十分でない。電極の上方及び下方の自由体積は
、ある程度の膨張を許容し、また、電極が容器壁によって完全には支持されてい
ないため、その電極の幅が多少、拡がる。米国特許第4,336,314号によるバッテ
リーは、電極の上方側部及び下方側部に対する支持体の無い矩形の極板を備えて
いる。ドイツ国特許第2,758,288号は、密封した酸素再結合型のセルに関するも
のであるが、電極の側部の支持体については記述していない。
プラスチック材料内に略完全に包み込まれたセルを有するバッテリーも公知で
あり、その平坦な壁の弾性は、十分でない支持体となる(日本国特許第59−9847
6号、及び同第60-74360号)。
公知のバッテリーに伴う問題点は、独立項の特徴部分に記載の特徴により解決
される。
長寿命の鉛バッテリーに関する本発明によれば、電極の全ての外面には、物理
的に大きい圧力が加えられ、突出した電極面は、全ての側部から完全に支持され
ることにより一定の状態に保たれる。
以下、実施の形態及び図面に関して本発明を説明する。添付図面において、
図1は、本発明による一つの実施の形態を示す図、
図2は、突起を有する電極の図、
図3は、電極の拡大縮尺による詳細図、
図4は、電極パイルの図、
図5a、図5b及び図5cは、陽極材料を固着する異なる配置状態を示す図、
図6は、本発明による二つのセルから成るバッテリーを示す図、
図7は、矩形の極板に関する原理を示す図、
図8a、図8b及び図8cは、バッテリー容器内の容積の充填配置状態を示す
図である。
かかる支持体を形成する一つの例が図1に図示されている。この場合、図1の
電極1は、筒形で定容積の容器8内に組み立てられる。該容積は、セル容器(図
1)を通じて、または外側容器(図6の13)による支持を通じて電極の外周部
分を支持し(容器、または入れ物により半径方向として規定される、第一の方向
に向けて)、電極の表面積を一定に保つことができる。電極の表面に対して(容
器または入れ物により軸方向として規定される、第二の方向に向けて)大きい物
理的圧力が加わること、及び電極グループの容積が一定であることを通じて、放
電中の腐食が制御されるため、有効寿命を最大にすることができる。より高圧で
あれば、放電深さが制限される。この放電中、PbO2よりも実質的に大きい容
積の鉛硫化物が形成される。陽電極の鋼が鉛硫化物で充填され、外部からの反対
圧力により膨張が阻止されると、電極内に拡散される電解液は無くなり、放電が
終了する。
十分な圧力及び支持力が加わると、膨張が停止し、腐食が減少する。容積が完
全に一定であるため、有効寿命が倍に延びる。
グリッドは、多孔質の活性材料の容積を犠牲にして、容積を増す可能性がある
から、陽極の鉛グリッドの腐食を防止することができる。しかしながら、圧縮さ
れたPbO2は、多孔質のペーストよりも電流の伝達率が著しく大きく、このた
め、グリッドの腐食により形成されるPbO2は、密度が大きく且つ導電率が鉛
の導電率の約1/10と優れたものとなる。完全に腐食した鉛は、管内の圧力が高
い場合、筒形バッテリー内で刺状に成長し、多年に亙り電流の導体として機能し
、それほど大きくない負荷にてバッテリーに優れた性能を持たせる。同様の方法
で、こうした容積が制御されたバッテリーは、その全体のグループに大きい物理
的な圧力が加わるとき、極めて長寿命であり、何千回という放電中、また、完全
に腐食した電流導体に対して、その容量一杯にて機能する。
また、鉛グリッドの無い新しいバッテリーを形成することも可能である。この
場合、最初に、薄い鉛フォイルをPAMに形成し、その形成する間に、鉛は、既
に腐食してPbO2になっている。製造中に極板を取り扱うため、プラスチック
製のグリッドを使用することができる。陰電極にプラスチック製のグリッドを使
用することは従来から公知である。
放電中にペーストが少しでも膨張すれことは、材料の有効寿命に影響を与えず
に許容し得るから、陽電極に加わる圧力は、(ばね使用による)弾性的に圧力と
することができる。但し、電極表面に加わる圧力が十分に高圧であり、放電及び
その後の充電後に、その容積がその最初の容積を保ち得るようにすることが条件
である。この膨張がなければ、電極内の活性材料に供給される電解液の量は、ペ
ースト孔に鉛の硫化物を充填したときに減少し、このため、容量が減少する結果
となろう。
本発明による圧力状態にあるバッテリーにおいて、放電中のペーストの膨張、
及び充填中の圧縮を制御することは、弾性的な隔離体、または弾性要素によって
行うことができ、例えば、ゴムシールをセル、またはバッテリー内に入れて、電
極表面に圧力が加わるようにすることができる。
この効果は、弾性的な管を有する特定の筒形のバッテリーにて得られ、また、
可撓性の隔離体を有するペースト状のバッテリー内である程度、達成させるが、
この効果は、本発明による、一定で不変の電極面積を有する構造体の場合に著し
く良好なものとなる。活性材料は、放電中に膨張することが許容され、その膨張
は、電極の表面に対し垂直な方向(第二の方向、または軸方向)のみに生じ、電
極の面内(第一の方向、または半径方向)には生じない。放電中、その膨張は後
方に生ずる。比較的厚く、圧縮されたガラスウールで出来た隔離体により、特定
の弾性効果が得られ、このことは、本発明の一部を構成するものである。
本発明によるバッテリー内のペースト状表面に高圧が加わるとき、通常のガラ
スウールの膨張特性は、常に十分であるとは限らず、電極グループに余剰のばね
荷重が必要とされる。
放電を完全に調節し且つ制限するためには、電極の表面に加わる圧力は0.5以
上から10kp/cm2(0.49・105−9.81・105Pa)、或いはそれ以上の高圧で
なければならない。また、容積の増加が制限され、また、電解液の供給が制限さ
れるため、電極表面に加わる圧力により、放電深さも決まる。この圧力は、隔離
体が破断する前に耐えることのできる程度に制限される。容積を制御するために
、ばねを使用するならば、ばね定数の異なるばねを使用することで用途に応じて
圧力(所望の容量)を変えることで極めて容易となる。より低圧であれば、より
大きい容量となるが、その場合、寿命は短くなる。長寿命を目的とする本発明に
よるバッテリーにおいて、物理的な圧力は0.98・105−9.81・105Paであること
が好ましく、大容量を目的とするバッテリーにおいては、物理的な圧力は、0.49
・105−0.98・105Paであることが好ましい。放電中、対応する収縮と共に、膨
張、即ち、電極の厚みの増大は、15%以内で可能である。
電極の表面積の増大を防止するため、例えば、鋼、または複合管のような定容
積の外側容器が使用され、セルは、略円形の極板(図2)で出来ていることが好
ましく、セルグループの形状は、図1に示した管の形状となるようにする。
電極面に対する多孔質ガラスウールの圧力が高いため、電極から離れるペース
トは無く、また、落下する材料に対する余分なスペース(スラッジ容積)も不要
となる。このため、セルの容積は、従来技術による対応したセルの容積よりも小
さい。
本発明によるセルにおいて、円形の電極は、側部に、高さの低いリッジに良く
似た一または二以上の「突起」3を備えることができる。これらの突起は、電流
の配分が最良であるように、外周の略1/2に亙って伸長させることができる。接
続部を有する突起は、円形の電極に含まれる。図3には、活性なペースト材料4
′が充填されたグリッドを有する電極1が図示されている。この電極には、突起
3の形態をした電流コネクタが設けられている。短絡を防止するため、陽電極、
及び陰電極の双方の外周は、プラスチック材料で出来たU字形の輪郭部分5によ
り保護されており、該輪郭部分は、図3、図4、図5に従って電極、または電極
ペーストの縁部を包み込む。電極フレームがプラスチック材料で出来ているなら
ば、このU字形の輪郭部分は、必ずしも必要ではない。
このU字形輪郭部分の肉厚は薄くし、好ましくは、0.1乃至0.3mmとし、極板
の縁部の厚さを1mmの数分の1程度、厚くしてあるのが分かる。しかしながら
、この厚い部分は、隔離体内に押し込められるから、一般に、重要視されない。
より強い輪郭部分が所望であるならば、活性なペースト4′、4″を付与する前
に、その輪郭部分を鉛グリッドに押し付けて、その後、そのU字形の輪郭部分が
図5に示すように電極の厚さを決定するようにすることができる。電流コネクタ
の突起3において、U字形の輪郭部分5は、凹所を有し、図4に図示するように
、突起3が陽極及び陰極の板からU字形輪郭部分を通じて突き出し、その突起を
図6の電流導体バー6に溶接することができる。
陽極及び陰極の突起は、互いに対向するように配置することが好ましく、また
、陽極及び陰極の電流コネクタの突起3をセルの両側部に位置決めし、この構造
は、本発明の一部となる。図6には、二つのセル型バッテリーが図示されている
。このため、継手、即ち、次のセルに対する接続部7が両側部に設けられる。こ
の導体7は、ある程度の動きを許容し得るように膨張コイルの形態とすることが
できる。突起3は、容器の壁8に埋め込まれたバー6に溶接される。ばね9がセ
ルを圧縮する。該ばねは、弾性的で柔軟なゴムでのみ製造することが適しており
、また、二つのセルの間にこの弾性的なゴム手段10を配置し、その双方のセル
に圧力を加えるようにすることができる。これと代替的に、ばね9、及びセルの
間に
おける弾性的なゴム手段10は、図6に図示するように組み合わせてもよい。セ
ルの壁は薄く、セルは、定容積の外側容器13内に配置される。
上記の説明及び図面は、本発明による構造の例を示すものである。
円筒状のバッテリーは、容積を変化させずに、圧力を容易に受け取ることがで
き、このため、薄い壁にすることがてきる。
容器が十分に堅固であるならば、電極及びセルの断面は、例えば、矩形のよう
なその他の形状としてもよい。通常の始動バッテリー極板を使用することができ
、その結果、極めて長寿命のバッテリーが得られる。その寿命は、今日の筒形バ
ッテリーと同程度か、またはより優れたものである。電流の分配を一層良くする
ためには、矩形の極板12は、互いに対向する位置に配置された突起3を備える
ことができ、図7に示すように、二つ、または三つの突起を設け、或いは電極と
同一幅の突起を一つ設けることができ、その突起の高さは可能な限り低くする。
輪郭部分5は、電極の全側部を囲繞するが、この輪郭部分に孔が形成されており
、この孔から突起が突出し、容器壁から電極の全周に亙って支持体と共に組み立
てられる。円形の電極の場合にも同様の方法にて、隔離体2が電極の間に配置さ
れる。
円形以外の形状の電極の場合にも、「第一の方向、または半径方向」が外周か
ら内方への方向を意味するものであることを認識すべきである。「第二の方向、
または軸方向」とは、第一の方向に対して垂直な方向、即ち、電極パイルの長手
方向を意味するものとする。
電極が機械的に弱体であるならば、これらの電極は、図6に図示するように、
定容積13の堅固な外側容器内に正確に取り付けられ、各単一の極板がセルの壁
によって支持されるため、電極の外周は、放電中、何れの方向にも膨張しない状
態に保たれる一方、電極の厚さは、弾性圧力によって制御される。
矩形の電極(始動バッテリーの極板)が使用されるならば、これらの電極は、
定容積の矩形の管内に包み込むことができる。しかしながら、円形の管は、高圧
にて著しく軽く形成することができ、このため、図8A及び図8Bに図示するよ
うに、外側容器13に接触する支持輪郭部分15により全四側部にて電極が支持
されるならば、この矩形の電極を円形の管内に包み込むことができる。
図8B及び図8Cに示すように、支持する輪郭部分18′にスロットを切り且
つ孔を開けることができ、また、例えば、余剰な酸の容積を形成すべく余剰な電
解液を吸収するガラスウール19を有するキャビティを備えている。電解液で飽
和された多孔質の隔離2は、電極よりも大きく形成し、プラスチック製の支持体
に接触し且つ外壁まで伸長するようにする。電極の長さを増すことなく電解液の
容積はより大きくなる。外側容器13は、冷却がより容易であるように、鋼で製
造することができる。上記に従い、放電中、電極がある程度、膨張することが望
まれるならば、導体6に膨張コイルを設けることができる。
図5Aに示した、電流を伝達し且つペーストを固着する通常の鉛グリッドは、
ペーストをより良く固着し得るように、ずらした位置に配置されたてグリッド1
4を備えており、この場合、グリッドの周りにリードフレーム15が設けられて
いる。本発明によるバッテリー内部が高圧のため、図5Cに示すように、電流導
体としてリードフォイル16を打ち抜いて簡単に形成されるグリッドで陽電極を
製造することが可能となる。U字形の輪郭部分5により、鉛導体の各側部におけ
る陽極の活性材料4′の厚さを決まる。陽極板におけるグリッドは、筒形バッテ
リーの鉛の刺状の形成体に対応する。即ち、これらの剌状の形成体は電極の中央
の位置にあり、電極のペーストにより完全に覆われている。また、PbO2に完
全に変質された後の電極導体は、妥当な程度に小さい抵抗値で作用しなければな
らないため、その厚さは、極板の厚さに比して薄くしてはならない。
本発明による容積の絶対的な制限及び制御は、パワーバッテリーにおける電極
を極めて薄く形成し、活性材料が陽電極における鉛のいわゆる成長体(Plante)
から受け取られるようにし、場合によっては、0.5mm以下とすることが可能で
ある。また、電流導体が互いに対向する位置に配置されるため、これらのバッテ
リーは、電流の配分が極めて均一となり、このことは、PbO2に変換される電
流導体に関して極めて重要なことである。これらのセルにおける電極は、電流を
伝達する部品においてPbO2の導電率を最大にすべく特に高圧でなければなら
ない。
いわゆる酸素の再結合率が高い完全に閉鎖したセルを得るため、セル内の液体
の圧力は4−10大気圧以上の高圧でなければならない。この圧力のとき、酸素の
溶融性は極めて高まり、このため、水素よりも先に、充電中に形成される酸素が
その飽和形態のとき、陰極板を酸化させ、このため、この極板は完全に充電され
ず、水素ガスの発生が阻止される。本発明によるセルの物理的強度のため、かか
る液体の圧力を容易に維持することが可能となる。この高い液体の圧力も本発明
の一部である。
誤った処理の場合に気体の圧力を低下させるため、これらのセルは、安全弁に
より提供されている。
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