JPH09511020A - 焼結品の製造方法 - Google Patents

焼結品の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明による焼結品の製造方法は、0.7〜2.7重量%の炭素と、3〜6重量%のクロムと、5〜10重量%のコバルトと、0.5〜3重量%のバナジウムと、6〜11重量%のモリブデンと、0.3〜2重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成分と、残部としての鉄からなり、さらに選択的に3重量%以下のタングステンを含む組成を有するプレアロイ鉄系粉体と少なくとも0.1重量%の添加炭素粉を混合する段階と、前記混合粉を一軸成形によって圧縮して最終寸法に近い圧粉体を形成し、前記圧粉体を、最終焼結密度が理論密度の95%より大きくなるように1100〜1300℃の範囲内の温度で連続ガス雰囲気焼結炉で焼結する段階とによって構成されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 焼結品の製造方法 本発明は、内燃機関における高負荷用のバルブシートインサートなどの焼結品 を製造する方法に関する。 ガソリンエンジン内で用いられるバルブシートインサートを粉末や金法によっ て製造することは、よく知られている。通常、プレアロイ化した鉄系粉体と各種 添加物からなる鉄系粉末混合物は、理論密度の約80%の密度が得られるように 一軸方向に加圧され、その圧粉体が焼結され、多くの場合、得られた焼結品の残 留空孔が銅の含浸によって充填される。一般的に中合金鋼または高速度鋼からな る原料粉は、圧縮性を高め、かつ、加圧工具に付加される応力を減らすために、 比較的高い比率の鉄粉で希釈されることもある。このような希釈がなされると、 理論密度の85%に達する焼結密度を得ることができる。こうして製造されたバ ルブシートインサートは、通常、低負荷用ないし中負荷用として用いられる。 従来、トラック、船舶、工業設備、発電機などに用いられる大型ディーゼルエ ンジン内の高負荷用のバルブシートインサートは、例えば、鋳造で製造されてい た。この鋳造によるバルブシートインサート用の合金としては、コバルト基、ニ ッケル基または鉄基の材料が挙げられる。また、極めて高負荷な用途には、ステ ライト(商品名)のようなコバルトを多く含有する合金が好適な鋳造材料として 用いられていた。しかし、コバルトは高価で、かつ、戦略資材でもあり、そのコ ストは最近になって、バルブシートインサートの普及を妨げるような水準にまで 値上がりしている。 鋳造によるバルブシートインサートは、その耐磨耗性を、凝固中に形成される 硬質炭化物相に依存している。しかし、このような硬質相は、鋳造法による場合 、かなり広範囲に、かつ、比較的不均一に分布している。これは、本質的に横断 面 積の少ない成分を構成するので、破壊じん性の不足という欠点をもたらす。広範 囲に分布した硬質炭化物を有するこのような材料の他の欠点は、機械加工性に劣 り、バルブ材料との融和性に劣る点にある。 GB−A−2187757には、種々の用途の内でもバルブシートに好適な鉄 基焼結材料が記載されている。この材料は、液相焼結を促進して焼結中にある程 度の高密度化を達成するために比較的高いボロン含有量を有している。しかし、 高密度化を得るための助剤としてのボロンの添加は、焼結中の収縮と歪みの均一 性の観点から焼結温度を著しく制約する。また、このようなボロン含有材料に関 しては、適切な炉内での真空条件下でそれらの材料を焼結するのが一般的であり 、その結果、製造コストが高くなる。さらに、この文献では、そのような材料が バルブシートとして用いられる場合が記載されているが、この文献の主眼点は、 バルブシートインサートとその相手バルブの場合におけるような衝撃を受けるよ うな接触というよりも、互いに滑り接触している部品の耐磨耗性に置かれている 。また、この文献には、その焼結合金が理論密度の90%より大きい密度を有す るのが好ましいと記載されている。 また、リンも同様に液相焼結を促進するのに用いられているが、この場合も、 前記と同様の欠点を有する。 本発明の目的は、高負荷用に好適な高密度焼結バルブシートインサートおよび そのようなバルブシートインサートを製造する方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、従来の製造プラント設備で経済的な前記バルブシートイ ンサートを製造すること、および従来の製造プラントで経済的に前記バルブシー トインサートを製造する方法を提供することにある。このようなプラントとして は、従来の約770MPa未満の圧力で操作される一軸成形プレスと成形工具、 および従来のコンベアと、還元雰囲気または制御されたあるカーボンポテンシャ ルを維持するための保護ガス雰囲気を有する従来の移動ビーム炉またはバッチ炉 を備えているとよい。 また、本発明の他の目的は、ステライト(商品名)のような公知の鋳造による バルブシートインサートよりもコバルト含有量が少なく、これまでは大量生産と して利用できなかった鉄基材料を用いる極めて高負荷な用途に用いられる焼結バ ルブシートインサートを提供することにある。 さらに、本発明の他の目的は、焼結助剤としてボロンまたはリンを用いずに上 記の目的を達成することにある。 本発明の第1の態様による焼結品を製造する方法は、0.7〜2.7重量%の 炭素と、3〜6重量%のクロムと、5〜10重量%のコバルトと、0.5〜3重 量%のバナジウムと、6〜11重量%のモリブデンと、0.3〜2重量%のシリ コンと、総含有量が最大2重量%のその他各成分と、残部としての鉄とからなり 、さらに選択的に3重量%以下のタングステンを含む組成を有するプレアロイ鉄 系粉体を、少なくとも0.1重量%の炭素粉添加物と混合する段階と、前記混合 粉を一軸成形によって圧縮して圧粉体を形成し、前記圧粉体を、最終焼結密度が 理論密度の95%より大きくなるように1100〜1300℃の範囲内の温度で 連続ガス雰囲気焼結炉で焼結する段階とによって構成されることを特徴とする。 本発明は主としてバルブシートインサートの製造に関するものであるが、その 方法は、例えば、軸受シェル、ローラ、タペットシム、ロッカーパッドなどの高 密度、高強度および耐磨耗性が必要な部品の製造にも適応可能である。従って、 バルブシートインサートに関するどのような事項も前記の他の該当部品に適用さ れる。 前記プレアロイ粉体は、好ましくは、最低0.1重量%のタングステンを含み 、さらに好ましくは、最低1重量%のタングステンを含むとよい。 前記プレアロイ粉体の組成は、0.7〜1.6重量%の炭素と、3〜4.25 重量%のクロムと、7.5〜8.5重量%のコバルトと、1〜1.3重量%のバ ナジウムと、1〜2重量%のタングステンと、9〜10重量%のモリブデンと、 0.3〜1.5重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成分と 、残部の鉄とからなるのが好ましい 前記焼結合金の全炭素含有量は1〜2.0重量%の範囲にあるのが好ましい。 従って、焼結合金バルブシートの炭素含有量がこの範囲内に入るように、例えば 、グラファイトのような炭素粉を適当な量だけ添加するとよい。 前記混合粉は、0.3重量%以上の炭素粉添加物を含むのが好ましい。この炭 素含有量によって、所望の最少密度を達成するための焼結温度を下げることが可 能であることが、本発明者らによって見いだされている。 遊離炭素の有用な最大添加量は0.8重量%である。この値以上の炭素が添加 されると、微細組織内に連続的な炭化物の網状組織が焼結中に形成されて、焼結 品の機械加工性が劣化する。 混合粉への遊離炭素の添加は、マトリクス内の炭化物の比率を上昇させて耐磨 耗性を改善させるという点において効果的である。 圧粉体は、最終的な焼結形状よりも大きくなるように予備成形されるよい。 前記焼結温度は、1130〜1250℃の範囲内にあるのが好ましい。 実際の焼結温度と焼結時間は、所望される実際の組成や焼結密度に依存し、さ らに詳細には、原料としての混合粉に含まれる実際の遊離炭素量に依存する。例 えば、所望の焼結密度、プレアロイ粉体の組成、焼結時間および初期の圧粉密度 のような変数を含む所定の組み合わせパラメータに対して、最低焼結温度は混合 粉に最初に添加される遊離炭素量に反比例する。 成形用ワックスを除去したり、機械加工性を向上させる助剤として混合粉に添 加される硫化マンガンが部分的に加水分解されて生じる化合物を減少させるため に、1120℃未満の温度で行われる予備焼結段階をさらに選択的に行ってもよ い。 本発明の1つの利点は、混合粉に遊離炭素を添加することによって炭素含有量 を部分的に調整する点にある。このような炭素の添加によって、必要とする焼結 温度を低下させ、また、十分な高密度化を効果的に達成する有効焼結温度の範囲 を拡張することができる。本発明の方法によって、焼結中に所望の高密度化が得 られる焼結温度の範囲が約50℃に拡張されるので、焼結操業における柔軟性を さらに向上させ、かつ、炉内の温度制御を極めて容易に行うことができる。 前述のように、本発明の方法は、真空焼結のような高価で緻密な技術や装置を 必要としない従来の製造プラントで実施することができる。特に、本発明の方法 は、水素と窒素の混合気体のような安易に入手できる低コストの連続ガス雰囲気 下で実施できる。窒素と5〜30vol%水素からなるこのようなガス雰囲気は 、必要とされる高品質の焼結品の製造に非常に適しているし、また、ある場合に は、一般的に用いられているがいくらか高価な75vol%水素を含む解離した アンモニアよりも優れた効果を発揮することが見いだされている。特に、10v ol%水素しか含まない窒素からなるガス雰囲気が、解離したアンモニアと比較 して、1130〜1220℃の温度範囲内での焼結密度をより増すことができる 。逆に、所定の密度を達成するための焼結温度を低下させ、また、好ましい焼結 が達成される温度の範囲を拡張することに、この利点を活用することもできる。 一軸方向の圧縮後の圧粉体の密度は、完全理論密度の85%未満に制限される とよい。これによって、一軸成形に通常用いられる圧力と同等の圧力で、圧粉す ることが可能になる。 最終的に得られる焼結バルブシートインサートの密度は、完全理論密度の約9 7%よりも大きくなるのが好ましい。しかし、ここで注意すべきは、焼結工程中 に成分間で生じる反応による完全理論密度を正確に予測することは非常に困難で あるという点である。例えば、グラファイト粉のような炭素の添加は、密度に対 して、適切な数学的計算によって予測されるような正確な影響を与えることがな い。何故なら、実際の密度はその炭素と、混合されるプレアロイ粉体の他の成分 との合金化によって影響されるからである。 本発明の他の利点は、理論密度の85%未満の圧粉密度から完全理論密度の9 5%より大きい高密度化が生じる焼結段階中において大きな収縮が生じるが、こ のような収縮は焼結体の全体にわたって実質的に均一であり、材料中に例えばボ ロンまたはリンを含有することによって生じる液相焼結機構で通常生じる歪みが 実質的に生じない点にある。 焼結バルブシートインサートは、遊離炭化物と粒界炭化物が均一に分布する主 としてパーライトからなる組織を生じさせるために、焼結後に熱処理されてもよ い。この熱処理は、主としてパーライトからなる微細組織を生じる等温変態であ るのが好ましい。このような組織は、マルテンサイトの微細組織よりもさらに熱 的に安定であり、約100℃の高温における微細組織の安定性を向上させる。 また、本発明の方法は、機械加工性を改善して自己潤滑特性を与えることも可 能な成分を焼結材料中に形成する反応焼結助剤を混合粉に添加する段階を含むと よい。本明細書に引例されている、本出願人による同時に係属中の国際特許出願 番号PCT/GB93/00380に記載のように、このような添加物として、 一種以上のアルカリ土類金属炭化物と二硫化モリブデンのような硫化材料を用い るとよい。焼結中に、炭化物は二硫化モリブデンと反応して、例えば、機械加工 性を改善するマグネシウムおよび/またはカルシウム硫化物粒子を形成し、過剰 の二硫化モリブデンは組織の全体にわたって分散する固体潤滑剤として残留する 。この二硫化物から解離されたモリブデンは組織内に分散して特性を改善する。 あるいは、混合粉は、焼結材料の機械加工性を改善する化合物の添加剤を含ん でもよい。このような添加物として、例えば、高純度硫化マンガンが挙げられる 。 粉末や金法は、鋳造法と比較して、炭化物相の寸法と分布を制御することによ って、鋳造法によるバルブシートインサートに事実上生じる収縮孔がなく、かつ 、 より均一で緻密な組織を有するバルブシートインサートを製造することが可能で ある。さらに、低密度焼結部品に生じる空孔をなくし、また、硬質な炭化物相の 寸法と分布を改善することによって、本発明によるバルブシートインサートの機 械加工性が著しく改善される。また、機械加工性は、前述のように、機械加工性 を向上するように特に意図して注意深く制御された炭化物相によってさらに改善 される。 本発明の第1態様による方法によって製造される本発明の第2態様による鉄基 合金焼結品は、0.8〜3重量%の炭素と、3〜6重量%のクロムと、5〜10 重量%のコバルトと、0.5〜3重量%のバナジウムと、6〜11重量%のモリ ブデンと、0.3〜2重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各 成分と、残部としての鉄とからなり、さらに選択的に3重量%以下のタングステ ンを含む組成を有し、かつその組成を有する合金の完全理論密度の95%より大 きな密度を有することを特徴とする。 本発明の1実施例によれば、前記焼結品は、内燃機関用のバルブシートインサ ートとして用いられる。 前記焼結品の組成は、最低0.1重量%のタングステンを含むのが好ましい。 前記焼結品の組成は、0.8〜2重量%の炭素と、3〜5重量%のクロムと、 6〜9重量%のコバルトと、0.5〜2.5重量%のバナジウムと、0.5〜2 .5重量%のタングステンと、7〜10重量%のモリブデンと、0.3〜1.5 重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成分と、残部の鉄とか らなるのが好ましい。 前記焼結品の組成は、1〜2.0重量%の炭素と、3〜4.25重量%のクロ ムと、7.5〜8.5重量%のコバルトと、1〜1.3重量%のバナジウムと、 1〜2重量%のタングステンと、9〜10重量%のモリブデンと、0.3〜1. 5重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成分と、残部の鉄と からなるのがさらに好ましい。 前記焼結品の密度は、完全理論密度の97%より大きくなるのが好ましい。 前記焼結品の微細組織は、ベイナイトまたはマルテンサイトから構成されても よいが、主としてパーライトからなるのが好ましい。 前記焼結品の最終硬度は微細組織に依存し、20〜70HRCの範囲にあるの がよい。さらに、バルブシートの硬度は35〜45HRCの範囲内にあるのが好 ましい。 本発明の焼結品は、鋳造によるバルブシートと比較して、遊離炭化物が比較的 均一に分布している。また、遊離炭化物は、鋳造によバルブシートと比較して、 狭い寸法分布を有している。代表的には、本発明による焼結バルブシートの遊離 炭化物は、1〜10μmの寸法範囲にある。一方、鋳造によるバルブシートの遊 離炭化物は、通常、5〜40μmの寸法範囲にあり、かつ、かなり大きな平均寸 法を有している。 本発明がさらに詳細に理解されるために、添付の図面のみを参照して実施例を 説明する。 図1は、本発明の方法による組成物に関して、理論密度の95%より大きくか つ安定した密度が得られるように焼結するための最低焼結温度を示すグラフであ る。 図2は、本発明によるバルブシート組成物の焼結密度と焼結温度の関係を示す グラフである。 図3は、本発明による焼結のままのバルブシートと焼結後に熱処理されたバル ブシートの室温硬度の柱状図である。 図4は、本発明による焼結後に熱処理されたバルブシートの硬度と測定温度の 関係を示すグラフである。 図5は、焼結後に熱処理された材料の圧縮強度と測定温度の関係を示すグラフ である。 図6は、機械加工性に及ぼす遊離炭素の添加の影響を示すグラフである。 図7は、焼結温度と密度に及ぼす焼結ガス雰囲気の影響を示すグラフである。 最初に、1.1重量%の炭素と、3.9重量%のクロムと、7.9重量%のコ バルトと、1.2重量%のバナジウムと、1.7重量%のタングステンと、9. 4重量%のモリブデンと、0.7重量%のシリコンと、残部の鉄とからなる組成 を有する鉄ベースのプレアロイ粉末を溶融噴霧法によって作製し、その後、焼鈍 することによって圧縮可能な粉体を得た。 例1 上記の組成を有するプレアロイ粉末に0.5重量%の炭素と0.5重量%の硫 化マンガンを添加して、混合粉を得た。 例2 上記の組成を有するプレアロイ粉末に0.5重量%の炭素と1重量%の硫化マ ンガンを添加して、混合粉を得た。 例3 例1における炭素粉末の添加効果を実証するために、上記の組成を有するプレ アロイ粉末に0.5重量%の硫化マンガンを添加して、対照例となる混合粉を得 た。 例4 例2における炭素粉末の添加効果を実証するために、上記の組成を有するプレ アロイ粉末に1重量%の硫化マンガンを添加して、対照例となる混合粉を得た。 例5 上記の組成を有するプレアロイ粉末に0.25重量%の炭素と0.5重量%の 硫化マンガンを添加して、混合粉を得た。 例6 上記の組成を有するプレアロイ粉末に0.75重量%の炭素と0.5重量%の 硫化マンガンを添加して、混合粉を得た。 上記の各例における混合粉に、金型成形を円滑に行うための潤滑ワックスを1 重量%混合した。次いで、混合粉は、外径43mm、内径29mmの基準寸法を 有するリング状に種々の圧力で加圧され、得られた各サンプルは移動ビーム炉内 で窒素と水素の混合気体からなる雰囲気下において種々の温度で焼結された。こ のように焼結されたサンプルのいくつかは、パーライトまたはパーライト/ベイ ナイト組織に変態される熱処理を施された。 焼結のままのサンプルと焼結後に熱処理されたサンプルについて、種々の試験 を行った。例えば、測定温度の関数としての寸法制御と密度および圧縮強度、お よび室温硬度と高温硬度を評価するための測定を行った。 種々の機械的および物理的性質の試験結果が添付図面に示されている。 図1から、0.5重量%の炭素の添加が、必要とされる焼結温度をより実際的 な水準の約1175℃にまで、約75℃下げることがわかる。グラファイト粉末 として別途混合粉に添加することによって炭素の必要量を部分的に調整すること によって、圧縮性を改善し、素地中の炭化物の形成を容易にすることができる。 図2は、例1、3、5、および6の材料の高密度化を詳細に示す曲線である。 図2において理論密度の95%より大きい密度を達成するための、焼結温度に及 ぼす遊離炭素の添加量を零から0.75重量%まで上昇させた場合の影響が示さ れている。このグラフから、遊離炭素の含有量を上昇させるにつれて低温の広い 範囲の焼結温度で高密度化が得られることがわかる。 図3は、例1、2、3、および4の混合粉を用いた焼結のままのサンプルと焼 結後焼鈍されたサンプルの室温硬度の柱状図である。図から、0.5重量%の炭 素の添加によって、焼結後に熱処理された材料の室温硬度が、バルブシートイン サートに好適な35〜45HRCの範囲内で、著しく改良されることがわかる。 材料の硬度は熱処理によって低下するが、それは熱処理によってパーライト組織 が形成されるからである。 図4は、例1、3、5、および6の混合粉を用いた焼結後熱処理されたサンプ ルの各温度における高温硬度を示している。図から、炭素を含有する材料におい ては高い硬度水準が高温でも保持されること、および、300〜500℃の範囲 内で炭素の添加量が増すにつれて硬度が高い水準で保持されることがわかる。 図5に、耐圧縮強度が示されている。添加炭素は、高温で材料特性を改善する 効果があることがわかる。 図6は、一定の添加量(0.5重量%)の硫化マンガンを含む材料における機 械加工性に及ぼす炭素添加の影響を示している。 図7は、10vol%、75vol%の水素を含む2つの異なった雰囲気下で 例1の材料を焼結した場合の焼結中の高密度化に及ぼす雰囲気の影響を示してい る。より急速な高密度化が、解離したアンモニアの水素量よりも低い水素量の雰 囲気下において、より低い焼結温度で得られることがわかる。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年5月9日 【補正内容】 請求の範囲(補正) 1. 0.7〜2.7重量%の炭素と、3〜6重量%のクロムと、5〜10重 量%のコバルトと、0.5〜3重量%のバナジウムと、6〜11重量%のモリブ デンと、0.3〜2重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成 分と、残部としての鉄とからなり、さらに選択的に3重量%以下のタングステン を含む組成を有するプレアロイ鉄系粉体を、少なくとも0.25重量%の炭素粉 の添加物と混合する段階と、前記混合粉を一軸成形によって圧縮して圧粉体を形 成し、前記圧粉体を、最終焼結密度が理論密度の95%より大きくなるように、 1130〜1250℃の範囲内の温度で、ガス雰囲気を有する連続ガス雰囲気焼 結炉で焼結する段階とによって構成されることを特徴とする焼結品の製造方法。 2. 前記プレアロイ粉体が、最低0.1重量%のタングステンを含むことを 特徴とする請求項1に記載の焼結品の製造方法。 3. 前記プレアロイ粉体の前記組成が、0.7〜1.6重量%の炭素と、3 〜4.25重量%のクロムと、7.5〜8.5重量%のコバルトと、1〜1.3 重量%のバナジウムと、1〜2重量%のタングステンと、9〜10重量%のモリ ブデンと、0.3〜1.5重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその 他各成分と、残部である鉄とからなることを特徴とする請求項1または2のいず れかに記載の焼結品の製造方法。 4. 前記焼結品の全炭素含有量が1〜2.0重量%の範囲にあることを特徴 とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 5. 前記混合粉が、最低0.3重量%の添加炭素粉を含むことを特徴とする 先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 6. 遊離炭素の最大添加量が0.8重量%であることを特徴とする請求項1 ないし4のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 7. 1120℃以下の温度で行われる予備焼結段階をさらに含むことを特徴 とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 8. 前記焼結段階が、水素と窒素の混合気体からなる連続ガス雰囲気におい て行われることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方 法。 9. 前記ガス雰囲気が30vol%以下の水素を含むことを特徴とする請求 項8に記載の焼結品の製造方法。 10. 前記焼結品の圧粉密度が理論密度の85%未満であることを特徴とする 先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 11. 前記焼結品の最終密度が完全理論密度の約97%よりも大きいことを特 徴とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 12. 遊離炭化物が均一に分布されたパーライトを主体とする組織を形成する ように前記焼結品を焼結後に熱処理する段階をさらに含むことを特徴とする先行 する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 13. 前記熱処理が等温熱処理であることを特徴とする請求項12に記載の焼 結品の製造方法。 14. 請求項1ないし13のいずれかの方法によって製造される鉄基合金焼結 品において、0.8〜3重量%の炭素と、3〜6重量%のクロムと、5〜10重 量%のコバルトと、0.5〜3重量%のバナジウムと、6〜11重量%のモリブ デンと、0.3〜2重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成 分と、残部としての鉄とからなり、さらに選択的に3重量%以下のタングステン を含む組成を有し、かつ前記組成の合金の完全理論密度の95%よりも大きい焼 結密度を有することを特徴とする焼結品。 15. 最低0.1重量%のタングステンをさらに含むことを特徴とする請求項 14に記載の焼結品。 16. 微細組織が1〜10μmの範囲にある寸法の遊離炭化物を含有すること を特徴とする請求項14または15のいずれかに記載の焼結品。 17. 20〜70HRCの範囲にある硬度を有することを特徴とする請求項1 4ないし16のいずれかに記載の焼結品。 18. 35〜45HRCの範囲にある硬度を有することを特徴とする請求項1 7に記載の焼結品。 19. 内燃機関用のバルブシートインサートに用いられることを特徴とする請 求項14ないし18のいずれかに記載の焼結品。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホーム,デイヴィッド イギリス国、シーヴイ23 0ディーワイ ラグビー、ニュートン、メイン・ストリー ト 1

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 焼結品の製造方法において、0.7〜2.7重量%の炭素と、3〜6重 量%のクロムと、5〜10重量%のコバルトと、0.5〜3重量%のバナジウム と、6〜11重量%のモリブデンと、0.3〜2重量%のシリコンと、総含有量 が最大2重量%のその他各成分と、残部としての鉄とからなり、さらに選択的に 3重量%以下のタングステンを含む組成を有するプレアロイ鉄系粉体を、少なく とも0.1重量%の炭素粉の添加物と混合する段階と、前記混合粉を一軸成形に よって圧縮して圧粉体を形成し、前記圧粉体を、最終焼結密度が理論密度の95 %より大きくなるように1100〜1300℃の範囲内の温度で連続ガス雰囲気 焼結炉で焼結する段階とによって構成されることを特徴とする焼結品の製造方法 。 2. 前記プレアロイ粉体が、最低0.1重量%のタングステンを含むことを 特徴とする請求項1に記載の焼結品の製造方法。 3. 前記プレアロイ粉体の前記組成が、0.7〜1.6重量%の炭素と、3 〜4.25重量%のクロムと、7.5〜8.5重量%のコバルトと、1〜1.3 重量%のバナジウムと、1〜2重量%のタングステンと、9〜10重量%のモリ ブデンと、0.3〜1.5重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその 他各成分と、残部が鉄からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに 記載の焼結品の製造方法。 4. 前記焼結品の全炭素含有量が1〜2.0重量%の範囲にあることを特徴 とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 5. 前記混合粉が、最低0.3重量%の添加炭素粉を含むことを特徴とする 先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 6. 遊離炭素の最大添加量が0.8重量%であることを特徴とする請求項1 ないし4のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 7. 前記焼結温度が1130〜1250℃の範囲内にあることを特徴とする 先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 8. 1120℃以下の温度で行われる予備焼結段階をさらに含むことを特徴 とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 9. 前記焼結段階が、水素と窒素の混合気体からなる連続ガス雰囲気におい て行われることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方 法。 10. 前記ガス雰囲気が30vol%以下の水素を含むことを特徴とする請求 項9に記載の焼結品の製造方法。 11. 前記焼結品の圧粉密度が理論密度の85%未満であることを特徴とする 先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 12. 前記焼結品の最終密度が完全理論密度の約97%よりも大きいことを特 徴とする先行する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 13. 遊離炭化物が均一に分布されたパーライトを主体とする組織を形成する ように前記焼結品を焼結後に熱処理する段階をさらに含むことを特徴とする先行 する請求項のいずれかに記載の焼結品の製造方法。 14. 前記熱処理が等温熱処理であることを特徴とする請求項13に記載の焼 結品の製造方法。 15. 請求項1ないし13のいずれかの方法によって製造される鉄基合金焼結 品において、0.8〜3重量%の炭素と、3〜6重量%のクロムと、5〜10重 量%のコバルトと、0.5〜3重量%のバナジウムと、6〜11重量%のモリブ デンと、0.3〜2重量%のシリコンと、総含有量が最大2重量%のその他各成 分と、残部としての鉄とからなり、さらに選択的に3重量%以下のタングステン を含む組成を有し、かつ前記組成の合金の完全理論密度の95%よりも大きい焼 結密度を有することを特徴とする焼結品。 16. 最低0.1重量%のタングステンをさらに含むことを特徴とする請求項 15に記載の焼結品。 17. 微細組織が1〜10μmの範囲にある寸法の遊離炭化物を含有すること を特徴とする請求項15または16のいずれかに記載の焼結品。 18. 20〜70HRCの範囲にある硬度を有することを特徴とする請求項1 5ないし17のいずれかに記載の焼結品。 19. 35〜45HRCの範囲にある硬度を有することを特徴とする請求項1 8に記載の焼結品。 20. 内燃機関用のバルブシートインサートに用いられることを特徴とする請 求項15ないし19のいずれかに記載の焼結品。
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